JP6935572B1 - 香味付与組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】新規な香味付与組成物ならびに消費財、香味付与組成物の香味付与方法、消費財の香味付与方法を提供する。【解決手段】式(1)で表される化合物を含む香味付与組成物、当該香味付与組成物を含有する消費財、当該香味付与組成物を他の香味付与組成物に添加する工程を含む香味付与組成物の香味付与方法、当該香味付与組成物を消費財に添加する工程を含む消費財の香味付与方法。ただし、式(1)中、Rは炭素数2〜8の直鎖アルキル基を表す。【選択図】なし

Description

本発明は、香味付与組成物および消費財、香味付与組成物の香味付与方法、消費財の香味付与方法に関する。
近年、飲食品、香粧品、医薬品、保健衛生品など様々な物品(以下、消費財という場合がある。)に対する消費者の要求は、その消費財の香気にも及んでいる。消費者の天然志向の高まりから、天然感に富む多様な香気が求められているが、従来から提案されている香料化合物だけでは十分には対応しきれず、従来にない特徴を付与可能で、かつ、汎用性のある香味付与組成物の開発が望まれている。
消費財の香味付与組成物の一例として、特許文献1には、3−メチルオクタノ−4−ラクトン(いわゆるウイスキーラクトン)をビール風味飲料に添加して、ビール風味飲料にビール様のアルコール感、香味、清涼感、爽快感などの風味を付与して、その香味を改善できることが記載されている。
特開2015−27309号公報
しかしながら、消費財などの香味付与組成物として使用されている特許文献1に記載の化合物は、香味の質および強度の点で単調である、コク感などを増強して全体的に満足感を増強する点で十分とはいえない、使用できる香味が限られている、などの少なくとも1つの理由から、多様化している消費財の香味を改善する要望に十分対応できておらず、新規な香味付与組成物および消費財の開発が期待されている。
以上より、本発明の課題は、新規な香味付与組成物および消費財、香味付与組成物の香味付与方法、消費財の香味付与方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、特定のラクトンが優れた香味付与効果を奏することを見出し、本願に係る発明を完成するに至った。
かくして、本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
[1] 下記式(1)で表される化合物を含む香味付与組成物。
Figure 0006935572
[式(1)中、Rは炭素数2〜8の直鎖アルキル基を表す。]
[2] [1]に記載の香味付与組成物において、前記香味付与組成物がビール風味飲料用である、香味付与組成物。
[3] [1]に記載の香味付与組成物を含む消費財。
[4] [3]に記載の消費財において、前記消費財がビール風味飲料であり、前記ビール風味飲料の全質量を基準として、前記化合物の濃度が0.1ppt〜1ppbの範囲となる、消費財。
[5] [1]に記載の香味付与組成物を他の香味付与組成物に添加する工程を含む、香味付与組成物の香味付与方法。
[6] [1]に記載の香味付与組成物を消費財に添加する工程を含む、消費財の香味付与方法。
[7] [6]に記載の消費財の香味付与方法において、前記消費財がビール風味飲料であり、前記ビール風味飲料の全質量を基準として、前記化合物の濃度が0.1ppt〜1ppbの範囲となる、消費財の香味付与方法。
本発明によれば、新規な香味付与組成物、消費財、香味付与組成物の香味付与方法および消費財の香味付与方法を提供することができる。
以下、本発明の一実施の形態について、詳細に説明する。本明細書において、「〜」は下限値および上限値を含む範囲を意味し、「濃度(ppm、ppb、ppt)」、「%」は特に断りのない限りそれぞれ「質量濃度」、「質量パーセント濃度」を表すものとする。また、本明細書において、「香味」とは、香気(香り)によって変化し得る1種または複数種の感覚、代表的には嗅覚および/または味覚を含む感覚を意味する。本明細書において、用語「香味付与(香味を付与する)」には、香味を新たに加える、および/または、香味を増強することを含み、香味を付与乃至増強した結果、香味が改善されるものをも含んでいる。さらには、用語「香味付与(香味を付与する)」には、香味付与の結果、嗅覚および/または味覚以外の感覚、例えば、冷感、温感、質感(のど越し、固さ、粘度など、テクスチャともいう)、炭酸や辛さなどの刺激感などを増強、抑制、または改善するものも含んでいる。また、本明細書において、飲食品の香味を風味と呼ぶこともある。また、本明細書において、「添加」とは、ある対象に噴霧、滴下などによって単に加えること、およびある対象と混ぜ合わせることの、少なくとも1つを含む。
(香味付与組成物)
本発明の一実施の形態に係る香味付与組成物(以下、本件香味付与組成物という場合がある。)は、式(1)で表される化合物のうち、Rが炭素数2〜8の直鎖アルキル基であるもの(以下、本件化合物という場合がある。)を所定量含有する。
Figure 0006935572
本件香味付与組成物は、本件化合物のみで構成してもよいし、本件化合物を所定量含んでいればそれ以外の成分を含んでいてもよい。例えば、本件香味付与組成物が本件化合物以外の成分として溶媒および/または他の香気成分を含む場合、本件香味付与組成物自体を香料組成物として使用することもできる。当該香味付与組成物中の本件化合物の濃度は、香味付与組成物の添加対象や香気特性に応じて任意に決定できる。
本件香味付与組成物は、後述の実施例にその一例を示すように、各種物品に添加することでその物品に香味を付与することができる。より具体的には、本件香味付与組成物は、添加対象の各種物品に麦芽感、樽感および/または焙煎感などを付与することができ、飲みごたえ感、熟成感および/または高級感を付与することができる。
本件化合物の例として、以下の式(2)で表される2−メチルヘキサノ−4−ラクトン(2-Methylhexano-4-lactone;Rがエチル基であるもの、別名:2−メチル−4−ヘキサノライド(2-Methyl-4-hexanolide))、式(3)で表される2−メチルヘプタノ−4−ラクトン(2-Methylheptano-4-lactone;Rがプロピル基であるもの、別名:2−メチル−4−ヘプタノライド(2-Methyl-4-heptanolide))、式(4)で表される2−メチルオクタノ−4−ラクトン(2-Methyloctano-4-lactone;Rがブチル基であるもの、別名:2−メチル−4−オクタノライド(2-Methyl-4-octanolide))、式(5)で表される2−メチルノナノ−4−ラクトン(2-Methylnonano-4-lactone;Rがペンチル基であるもの、別名:2−メチル−4−ノナノライド(2-Methyl-4-nonanolide))、式(6)で表される2−メチルデカノ−4−ラクトン(2-Methyldecano-4-lactone;Rがヘキシル基であるもの、別名:2−メチル−4−デカノライド(2-Methyl-4-decanolide))、式(7)で表される2−メチルウンデカノ−4−ラクトン(2-Methylundecano-4-lactone;Rがヘプチル基であるもの、別名:2−メチル−4−ウンデカノライド(2-Methyl-4-undecanolide))、式(8)で表される2−メチルドデカノ−4−ラクトン(2-Methyldodecano-4-lactone;Rがオクチル基であるもの、別名:2−メチル−4−ドデカノライド(2-Methyl-4-dodecanolide))を挙げることができる。
Figure 0006935572
Figure 0006935572
Figure 0006935572
Figure 0006935572
Figure 0006935572
Figure 0006935572
Figure 0006935572
なお、本発明者らは、本件化合物のそれぞれが、ウッディな香気を呈し、樽やヒノキの香りを想起させることを確認している。特に、本件化合物のうち、式(1)中のRの炭素数が少ない方が軽く、華やかな感覚を想起させ、Rの炭素数が多くなるほどミドル〜ラストに余韻を与え、オイリー、ワキシーで濃厚な感覚を想起させることを確認している。
本件化合物は、当業者によってなし得る任意の方法で入手することができるが、好ましくは、対応するγ−ラクトンに、ハロゲン化メタンおよび塩基を作用させて、γ−ラクトンのα位をメチル化し、合成することができる。
以上の合成方法により得られた本件化合物は、さらに必要に応じてカラムクロマトグラフィまたは減圧蒸留などの手段を用いて精製してもよい。
本件香味付与組成物の添加対象の物品としては特に限定されないが、飲食品、香粧品、医薬品、または保健衛生品などの消費財を例示できる。さらに、本件香味付与組成物は、各種香料組成物に添加して、当該香料組成物に香味を付与し当該香料組成物の香味を改善することもできる。後述の実施例に示すように、本件香味付与組成物は、ビール風味飲食品、柑橘風味飲食品、コーヒー風味飲食品、ワイン風味飲食品、またはウイスキー風味飲食品に添加することで、麦芽感、樽感および/または焙煎感などを付与する結果、飲みごたえ感、熟成感および/または高級感を特に付与する。そのため、本件香味付与組成物は、ビール風味飲食品用、柑橘風味飲食品用、コーヒー風味飲食品用、ワイン風味飲食品用、またはウイスキー風味飲食品用のそれぞれとして好適に使用することができる。特に、本件香味付与組成物は、ビール風味飲料に麦芽感、樽感および/または焙煎感などを付与する効果が著しく、ビール風味飲料用として最適である。
本件香味付与組成物中の本件化合物の濃度は、香味付与組成物の添加対象に応じて任意に決定できる。本件化合物の濃度の例として、香味付与組成物の全体質量に対して、1ppm〜100%、好ましくは100ppm〜10%の範囲内が挙げられる。より具体的には、下限値を1ppm、10ppm、100ppm、0.1%、1%、10%のいずれかとし、上限値を100%、10%、1%、0.1%、100ppm、10ppmのいずれかとして、これら下限値および上限値の任意の組み合わせによる範囲内とすることができるが、これらに限定されない。
(香料組成物)
本発明の一実施の形態に係る香料組成物(以下、本件香料組成物という場合がある。)は、本件香味付与組成物の一態様であり、本件化合物を所定量含有し、着香を目的として各種物品に添加することができる。本件香料組成物は、各種物品に添加することでその物品に香味を付与することができる。より具体的には、本件香料組成物は、添加対象の各種物品に麦芽感、樽感および/または焙煎感などを付与することができ、飲みごたえ感、熟成感および/または高級感を付与することができる。
本件香料組成物の具体例としては、飲食品用香料組成物(フレーバー組成物ともいう)、香粧品用香料組成物(フレグランス組成物ともいう)が挙げられる。添加対象となる物品の例としては、上述のように、飲食品、香粧品、医薬品、または保健衛生品などの消費財が挙げられる。本件香料組成物の形態は特に限定されず、水溶性香料組成物、油溶性香料組成物、乳化香料組成物、粉末香料組成物が例示できる。
本件香料組成物中の本件化合物の濃度は、香料組成物の添加対象に応じて任意に決定でき、前述の本件香味付与組成物と同様、有効成分である本件化合物の濃度を基準として添加量を調整すればよい。本件化合物の濃度の例として、香料組成物の全体質量に対して、0.1ppt〜10%、好ましくは1ppb〜0.1%の範囲内が挙げられる。より具体的には、下限値を0.1ppt、1ppt、10ppt、100ppt、1ppb、10ppb、100ppb、1ppm、10ppm、100ppm、0.1%、1%のいずれかとし、上限値を10%、1%、0.1%、100ppm、10ppm、1ppm、100ppb、10ppb、1ppb、100ppt、10ppt、1pptのいずれかとして、これら下限値および上限値の任意の組み合わせによる範囲内とすることができるが、これらに限定されない。なお、香料組成物の処方や香調にも依存するが、香料組成物中の本件化合物の濃度が0.1ppt未満の場合は添加効果が低いと感じられる場合があり、10%を超える場合は本件化合物由来の香りが強く添加対象の香料組成物の香気または風味特性に好ましくないと感じられる場合があるが、添加対象の香料組成物の香調などによっては本件化合物を前記下限を下回る濃度または前記上限を上回る濃度で添加してもよい。
また、本件香料組成物は、本件化合物に加えて、さらに他の任意の化合物または成分を含有し得る。
そのような化合物または成分の例として、各種類の香料化合物または香料組成物、油溶性色素類、ビタミン類、機能性物質、魚肉エキス類、畜肉エキス類、植物エキス類、酵母エキス類、動植物タンパク質類、動植物蛋白分解物類、澱粉、デキストリン、糖類、アミノ酸類、核酸類、有機酸類、溶剤などを例示することができる。例えば、「特許庁公報、周知・慣用技術集(香料)第II部食品用香料、平成12年1月14日発行」、「日本における食品香料化合物の使用実態調査」(平成12年度厚生科学研究報告書、日本香料工業会、平成13年3月発行)、および「合成香料 化学と商品知識」(2016年12月20日増補新版発行、合成香料編集委員会編集、化学工業日報社)に記載されている天然精油、天然香料、合成香料などを挙げることができる。
合成香料化合物の具体例として、炭化水素化合物としては、α−ピネン、β−ピネン、γ−テルピネン、ミルセン、カンフェン、リモネンなどのモノテルペン、バレンセン、セドレン、カリオフィレン、ロンギフォレンなどのセスキテルペン、1,3,5−ウンデカトリエンなどが挙げられる。
アルコール化合物としては、ブタノール、ペンタノール、3−オクタノール、ヘキサノールなどの飽和アルコール、(Z)−3−ヘキセン−1−オール、プレノール、2,6−ノナジエノールなどの不飽和アルコール、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、テトラヒドロミルセノール、ファルネソール、ネロリドール、セドロール、α−ターピネオール、テルピネン−4−オール、ボルネオールなどのテルペンアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコールが挙げられる。
アルデヒド化合物としては、アセトアルデヒド、ヘキサナール、オクタナール、デカナールなどの飽和アルデヒド、(E)−2−ヘキセナール、2,4−オクタジエナールなどの不飽和アルデヒド、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、シトラール、ミルテナール、ペリルアルデヒドなどのテルペンアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナミルアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン、p−トリルアルデヒドなどの芳香族アルデヒドが挙げられる。
ケトン化合物としては、2−ヘプタノン、2−ウンデカノン、1−オクテン−3−オン、アセトイン、6−メチル−5−ヘプテン−2−オン(メチルヘプテノン)などの飽和および不飽和ケトン、ジアセチル、2,3−ペンタンジオン、マルトール、エチルマルトール、シクロテン、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノンなどのジケトンおよびヒドロキシケトン、カルボン、メントン、ヌートカトンなどのテルペンケトン、α−イオノン、β−イオノン、β−ダマセノンなどのテルペン分解物に由来するケトン、ラズベリーケトンなどの芳香族ケトンが挙げられる。
フランまたはエーテル化合物としては、フルフリルアルコール、フルフラール、ローズオキシド、リナロールオキシド、メントフラン、テアスピラン、エストラゴール、オイゲノール、1,8−シネオールなどが挙げられる。
エステル化合物としては、酢酸エチル、酢酸イソアミル、酢酸オクチル、酪酸エチル、イソ酪酸エチル、酪酸イソアミル、2−メチル酪酸エチル、イソ吉草酸エチル、イソ酪酸2−メチルブチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸アリル、ヘプタン酸エチル、オクタン酸エチル、イソ吉草酸イソアミル、ノナン酸エチルなどの脂肪族エステル、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、酢酸ラバンジュリル、酢酸テルピニル、酢酸ネリルなどのテルペンアルコールエステル、酢酸ベンジル、サリチル酸メチル、ケイ皮酸メチル、プロピオン酸シンナミル、安息香酸エチル、イソ吉草酸シンナミル、3−メチル−2−フェニルグリシド酸エチルなどの芳香族エステルが挙げられる。
ラクトン化合物としては、γ−デカラクトン、γ−ドデカラクトン、δ−デカラクトン、δ−ドデカラクトンなどの飽和ラクトン、7−デセン−4−オリド、2−デセン−5−オリドなどの不飽和ラクトンが挙げられる。
酸化合物としては、酢酸、酪酸、イソ吉草酸、ヘキサン酸、オクタン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの飽和・不飽和脂肪酸が挙げられる。
含窒素化合物としては、インドール、スカトール、ピリジン、アルキル置換ピラジン、アントラニル酸メチル、トリメチルピラジンなどが挙げられる。
含硫化合物としては、メタンチオール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、アリルイソチオシアネート、3−メチル−2−ブテン−1−チオール、3−メチル−2−ブタンチオール、3−メチル−1−ブタンチオール、2−メチル−1−ブタンチオール、3−メルカプトヘキサノール、4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノン、酢酸3−メルカプトヘキシル、p−メンタ−8−チオール−3−オンおよびフルフリルメルカプタンなどが挙げられる。
天然精油としては、スイートオレンジ、ビターオレンジ、プチグレン、レモン、ベルガモット、マンダリン、ネロリ、ペパーミント、スペアミント、ラベンダー、カモミール、ローズマリー、ユーカリ、セージ、バジル、ローズ、ヒヤシンス、ライラック、ゼラニウム、ジャスミン、イランイラン、アニス、クローブ、ジンジャー、ナツメグ、カルダモン、スギ、ヒノキ、ベチバー、パチョリ、ラブダナムなどが挙げられる。
各種動植物エキスとしては、ハーブまたはスパイスの抽出物、コーヒー、緑茶、紅茶、またはウーロン茶の抽出物や、乳または乳加工品およびこれらのリパーゼまたはプロテアーゼなどの各種酵素分解物などが挙げられる。
本件香料組成物は、本件香味付与組成物を公知の方法によって適切な溶媒や分散媒に添加して調製することができる。
本件香料組成物の形態としては、本件香味付与組成物またはその他成分を水溶性または油溶性の溶媒に溶解した溶液、乳化製剤、粉末製剤、またはその他固体製剤(固形脂など)などが好ましい。
水溶性溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、2−プロパノール、メチルエチルケトン、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどを例示することができる。これらのうち、飲食品への使用の観点から、エタノールまたはグリセリンが特に好ましい。油溶性溶媒としては、植物性油脂、動物性油脂、精製油脂類(例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの加工油脂や、トリアセチン、トリプロピオニンなどの短鎖脂肪酸トリグリセリドが挙げられる。)、各種精油、トリエチルシトレートなどを例示することができる。
また、乳化製剤とするためには、本件香味付与組成物を水溶性溶媒および乳化剤と共に乳化して得ることができる。本件香味付与組成物の乳化方法としては特に制限されるものではなく、従来から飲食品などに用いられている各種類の乳化剤、例えば、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、加工でん粉、ソルビタン脂肪酸エステル、キラヤ抽出物、アラビアガム、トラガントガム、グアーガム、カラヤガム、キサンタンガム、ペクチン、アルギン酸およびその塩類、カラギーナン、ゼラチン、カゼインキラヤサポニン、またはカゼインナトリウムなどの乳化剤を使用してホモミキサー、コロイドミル、回転円盤型ホモジナイザー、高圧ホモジナイザーなどを用いて乳化処理することにより安定性の優れた乳化液を得ることができる。これら乳化剤の使用量は厳密に制限されるものではなく、使用する乳化剤の種類などに応じて広い範囲にわたり変えることができるが、通常、本件化合物1質量部に対し、約0.01〜約100質量部、好ましくは約0.1〜約50質量部の範囲内が適当である。また、乳化状態を安定させるため、係る乳化液には水の他に、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、ショ糖、グルコース、トレハロース、糖液、還元水飴などの多価アルコール類の1種類または2種類以上の混合物を添加することができる。
また、かくして得られた乳化液は、所望ならば乾燥することにより粉末製剤とすることができる。粉末化に際して、さらに必要に応じて、アラビアガム、トレハロース、デキストリン、砂糖、乳糖、ブドウ糖、水飴、還元水飴などの糖類を適宜添加することもできる。これらの使用量は粉末製剤に望まれる特性などに応じて適宜に選択することができる。
本件香料組成物は、上記以外に、必要に応じて、香料組成物において通常使用されている成分を含有していてもよい。例えば、水、エタノールなどの溶剤や、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ヘキシルグリコール、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、ジエチルフタレート、ハーコリン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、中鎖脂肪酸ジグリセライドなどの香料保留剤を含有することができる。
(香味付与組成物の香味付与方法)
本発明の一実施の形態に係る香味付与組成物の香味付与方法(以下、本件に係る香味付与組成物の香味付与方法という場合がある。)は、本件香味付与組成物を他の香味付与組成物に添加する工程を含む。
本件香味付与組成物を他の香味付与組成物に有効量添加することで、添加対象の香味付与組成物に香味を付与することができる。より具体的には、本件香味付与組成物の添加対象である香味付与組成物に麦芽感、樽感および/または焙煎感を付与し、香味付与組成物の香味を改善することができる。
本件に係る香味付与組成物の香味付与方法において、添加対象の香味付与組成物に対する本件香味付与組成物の添加量は、有効成分として含まれる本件化合物によって香味が改善される有効量であればよく、香味付与組成物の種類や形態に応じて任意に設定することができる。添加対象の香味付与組成物が香料組成物である場合には、香料組成物に対する本件化合物の濃度の例としては、前掲「香料組成物」の項目で述べた通りである。
本件に係る香味付与組成物の香味付与方法において、本件香味付与組成物を他の香味付与組成物に添加する方法は特に限定されない。また、本件香味付与組成物を他の香味付与組成物に添加する時期(タイミング)についても特に限定されない。
(消費財)
本発明の一実施の形態に係る消費財(以下、本件消費財という場合がある。)は、本件香味付与組成物を所定量含むものである。本件消費財は、本件香味付与組成物が有効量添加されているため、香味が付与された消費財を提供することができる。より具体的には、本件消費財は、本件香味付与組成物が添加されているため、麦芽感、樽感および/または焙煎感が付与され、香味が改善された消費財を提供することができる。また、本件消費財は、トップ、ミドル、ラストのいずれか1以上の香味のうち、特にミドル〜ラストの呈味感が付与される。
本件消費財において、消費財に対する本件香味付与組成物の添加量は、有効成分として含まれる本件化合物による消費財の香味や所望の効果の程度などに応じて任意に決定できる。
当該濃度の例として、飲食品であれば、飲食品の全体質量に対して、本件化合物の濃度として0.001ppt〜0.1%、好ましくは0.1ppt〜100ppm、より好ましくは1ppt〜1ppmの範囲内が挙げられる。より具体的には、下限値を0.001ppt、0.01ppt、0.1ppt、1ppt、10ppt、100ppt、1ppb、10ppb、100ppb、1ppm、10ppm、100ppmのいずれか、上限値を0.1%、100ppm、10ppm、1ppm、100ppb、10ppb、1ppb、100ppt、10ppt、1ppt、0.1ppt、0.01pptのいずれかとして、これら下限値および上限値の任意の組み合わせの範囲内が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい濃度の例として、飲食品の全体質量に対して、本件化合物の濃度として100ppt〜100ppb、100ppt〜1ppm、1ppb〜100ppb、1ppb〜1ppm、10ppb〜1ppm、10ppb〜100ppb、100ppb〜10ppm、1ppm〜100ppmから、飲食品の風味特性に応じて選択することができるが、これらに限定されない。
より好ましい具体的な例として、ビール風味飲料(ビール、発泡酒、新ジャンル、ノンアルコールビールテイスト飲料などを含む。)であれば、ビール風味飲料の全体質量に対して、本件化合物の濃度として0.1ppt〜1ppbの範囲内が挙げられ、当該範囲内においてビール風味飲料に麦芽感および/またはキレ、ドライ感、飲みごたえ感を付与することができる。柑橘風味飲食品(柑橘風味飲料および柑橘風味食品を含み、具体的にはオレンジジュース、レモンジュース、グレープフルーツジュースなどの果汁飲料や無果汁で柑橘風味を有する飲料、これらにアルコールを含むアルコール飲料などを含む。)であれば、柑橘風味飲食品の全体質量に対して、本件化合物の濃度として0.1ppt〜1ppbの範囲内が挙げられ、当該範囲内において柑橘風味飲食品にビター感および/またはピール感、天然(リアル)感を付与することができる。ワイン風味飲食品(ワイン風味飲料およびワイン風味食品を含み、具体的にはワイン、スパークリングワイン、シェリー酒もしくはサングリア、オペレーターなどの各種ワインカクテルまたはワインの原料であるぶどう風味飲料などを含む。)であれば、ワイン風味飲食品の全体質量に対して、本件化合物の濃度として1ppb〜100ppbの範囲内が挙げられ、当該範囲内においてワイン風味飲食品に自然な樽感および/または麦芽(モルト)感を付与することができる。ウイスキー風味飲食品(ウイスキー風味飲料およびウイスキー風味食品を含み、具体的にはウイスキーまたはウォッカ、ラム、ジンなどのスピリッツ、またはウイスキーの原料である大麦、ライ麦、トウモロコシなどの穀物および麦芽の風味を有する飲料などを含む。)であれば、ウイスキー風味飲食品の全体質量に対して、本件化合物の濃度として1ppb〜100ppbの範囲内が挙げられ、当該範囲内においてウイスキー風味飲食品に自然な樽感および/または麦芽感を付与することができる。コーヒー風味飲食品(コーヒー風味飲料およびコーヒー風味食品を含み、具体的にはコーヒー、コーヒー飲料、コーヒー風味の乳飲料、コーヒーリキュールもしくはこれを含むカクテルなどを含む。)であれば、コーヒー風味飲食品の全体質量に対して、本件化合物の濃度として1ppb〜100ppbの範囲内が挙げられ、当該範囲内においてコーヒー風味飲食品に焙煎(焙煎豆)感および/またはコク(濃厚)感を付与することができる。バニラ風味飲食品(バニラ風味飲料およびバニラ風味食品を含み、具体的には乳飲料、プリン、バニラアイスクリームなどを含む。)であれば、バニラ風味飲食品の全体質量に対して、本件化合物の濃度として0.1ppt〜100ppbの範囲内が挙げられ、当該範囲内においてバニラ風味飲食品に天然感(樽感や熟成感を含む様々な香りが複雑に絡み合ったバニラ独特の甘い香味を包含する感覚)および/または高級感を付与することができる。特に、バニラ風味飲料であれば、バニラ風味飲料の全体質量に対して、本件化合物の濃度として0.1ppt〜1ppbの範囲内が、バニラ風味食品であれば、バニラ風味食品の全体質量に対して、本件化合物の濃度として1ppb〜100ppbの範囲内が、それぞれ好ましい。
なお、飲食品の種類や香味にも依存するが、飲食品中の本件化合物の濃度が0.001ppt未満の場合は、香味改善効果が低いと感じられる場合があり、0.1%を超える場合は、本件化合物そのものの香気が突出して添加対象の飲食品の香味に好ましくないと感じられる場合があるが、飲食品の香味などによっては本件化合物を前記下限を下回る濃度または前記上限を上回る濃度で添加してもよい。
当該濃度の例として、香粧品であれば、香粧品の全体質量に対して、本件化合物の濃度として0.001ppt〜0.1%の範囲内が挙げられる。より具体的には、下限値を0.001ppt、0.01ppt、0.1ppt、1ppt、10ppt、100ppt、1ppb、10ppb、100ppb、1ppm、10ppm、100ppmのいずれか、上限値を0.1%、0.01%、100ppm、10ppm、1ppm、100ppb、10ppb、1ppb、100ppt、10ppt、1ppt、0.1ppt、0.01pptのいずれかとして、これら下限値および上限値の任意の組み合わせの範囲内が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい濃度の例として、香粧品の全体質量に対して、本件化合物の濃度として、100ppt〜100ppm、10ppb〜10ppm、100ppb〜1ppmの各範囲から、香粧品の香気特性に応じて選択することができるが、これらに限定されない。なお、香粧品の種類や香気にも依存するが、香粧品中の本件化合物の濃度が0.001ppt未満の場合は、香気改善効果が低いまたは変化がないと感じられる場合があり、0.1%を超える場合は、添加対象の香粧品の香気に好ましくないと感じられる場合があるが、香粧品の香気などによっては本件化合物を前記下限を下回る濃度または前記上限を上回る濃度で添加してもよい。
本件香味付与組成物は、それ自体を消費財に添加してもよいし、1種または2種以上の水溶性香料、乳化香料組成物、任意の香料化合物、天然精油(例えば、前掲の「特許庁公報、周知・慣用技術集(香料)第II部食品香料」、「日本における食品香料化合物の使用実態調査」、および「合成香料 化学と商品知識」に記載される香料化合物)、から選択される1種以上と併せて消費財に添加してもよい。
本件香味付与組成物を添加可能な飲食品は特に限定されないが、例として、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、ライム、マンダリン、みかん、カボス、スダチ、ハッサク、イヨカン、ユズ、シークワーサー、金柑などの各種柑橘風味;ストロベリー、ブルーベリー、ラズベリー、アップル、チェリー、プラム、アプリコット、ピーチ、パイナップル、バナナ、メロン、マンゴー、パパイヤ、キウイ、ペアー、グレープ、マスカット、巨峰などの各種フルーツ風味;ミルク、ヨーグルト、バターなどの乳風味;バニラ風味;緑茶、紅茶、ウーロン茶、ハーブティーなどの各種茶風味;コーヒー風味;コーラ風味;カカオ風味;ココア風味;スペアミント、ペパーミントなどの各種ミント風味;シナモン、カモミール、カルダモン、キャラウェイ、クミン、クローブ、コショウ、コリアンダー、サンショウ、シソ、ショウガ、スターアニス、タイム、トウガラシ、ナツメグ、バジル、マジョラム、ローズマリー、ローレル、ガーリック、ワサビなどの各種スパイスまたはハーブ風味;アーモンド、カシューナッツ、クルミなどの各種ナッツ風味;ワイン、ブランデー、ウイスキー、ラム、ジン、リキュール、日本酒、焼酎、ビールなどの各種酒類風味;タマネギ、セロリ、ニンジン、トマト、キュウリなどの野菜風味;鶏肉、鴨肉、豚肉、牛肉、羊肉、馬肉などの各種畜肉風味;マグロなどの赤身魚、サバ、タイ、サケ、アジなどの白身魚、アユ、マス、コイなどの淡水魚、サザエ、ハマグリ、アサリ、シジミなどの貝類、エビ、カニなどの各種甲殻類、ワカメ、昆布などの各種海藻類、などの各種魚介や海藻風味;米、大麦、小麦、麦芽などの麦類などの各種穀物風味;牛脂、鶏油、ラードなどの畜肉の油脂や各種魚類の油などの各種油脂風味;などの風味の1以上を有する飲食品が挙げられる。すなわち、上記風味の1種類のみを感じさせる飲食品でもよく、2種類以上の風味を感じさせる飲食品でもよく、その複数種類の風味が同類であっても異類であってもよく、例えば、前者の例としてフルーツ風味のうちバナナ、ピーチおよびアップル風味など複数のフルーツ風味を感じさせる(いわゆるミックスフルーツ風味)が挙げられ、後者の例として、レモンなどの柑橘風味および乳風味を感じさせるもの(シトラス風味の乳酸菌飲料など)や、ミント風味や柑橘風味およびコーラ風味を感じさせるもの(ミントまたはレモンフレーバーのコーラ飲料など)が挙げられる。
より具体的な飲食品例としては、せんべい、あられ、おこし、餅類、饅頭、ういろう、あん類、羊かん、水羊かん、錦玉、ゼリー、カステラ、飴玉、ビスケット、クラッカー、ポテトチップス、クッキー、パイ、プリン、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、ドーナツ、チョコレート、チューインガム、キャラメル、キャンディー、ピーナッツペーストまたはその他のペースト類、などの菓子類;パン、うどん、ラーメン、中華麺、すし、五目飯、チャーハン、ピラフ、餃子の皮、シューマイの皮、お好み焼き、たこ焼き、などのパン類、麺類、ご飯類、その他穀類;糠漬け、梅干、福神漬け、べったら漬け、千枚漬け、らっきょう、味噌漬け、たくあん漬け、および、それらの漬物の素、などの漬物類;サバ、イワシ、サンマ、サケ、マグロ、カツオ、クジラ、カレイ、イカナゴ、アユなどの魚類、スルメイカ、ヤリイカ、紋甲イカ、ホタルイカなどのイカ類、マダコ、イイダコなどのタコ類、クルマエビ、ボタンエビ、イセエビ、ブラックタイガーなどのエビ類、タラバガニ、ズワイガニ、ワタリガニ、ケガニなどのカニ類、アサリ、ハマグリ、ホタテ、カキ、ムール貝などの貝類、などの魚介類;缶詰、煮魚、佃煮、すり身、水産練り製品(ちくわ、蒲鉾、あげ蒲鉾、カニ足蒲鉾など)、フライ、天ぷら、などの魚介類の加工飲食物類;鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉、馬肉などの畜肉類;カレー、シチュー、ビーフシチュー、ハヤシライスソース、ミートソース、マーボ豆腐、ハンバーグ、餃子、釜飯の素、スープ類(コーンスープ、トマトスープ、コンソメスープなど)、肉団子、角煮、畜肉缶詰などの畜肉を用いた加工飲食物類;卓上塩、調味塩、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、ひしお、ふりかけ、お茶漬けの素、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、中華の素、天つゆ、めんつゆ(昆布だしまたは鰹だしなど)、ソース(中濃ソース、トマトソースなど)、ケチャップ、焼肉のタレ、カレールー、シチューの素、スープの素、だしの素(昆布だしまたは鰹だしなど)、複合調味料、新みりん、唐揚げ粉・たこ焼き粉などのミックス粉、などの調味料類、これらの調味料類が添加された動物性または植物性だし風味飲食品;チーズ、ヨーグルト、バターなどの乳製品;ビール酵母、パン酵母などの各種酵母、乳酸菌など各種微生物発酵品;野菜の煮物、筑前煮、おでん、鍋物などの煮物類;持ち帰り弁当の具や惣菜類;リンゴ、ぶどう、柑橘類(グレープフルーツ、オレンジ、レモンなど)などの果物の果汁飲料や果汁入り清涼飲料、果物の果肉飲料や果粒入り果実飲料;トマト、ピーマン、セロリ、ウリ、ニガウリ、ニンジン、ジャガイモ、アスパラガス、ワラビ、ゼンマイなどの野菜や、これら野菜類を含む野菜系飲料、野菜スープなどの野菜含有飲食品;コーヒー、ココア、緑茶、紅茶、烏龍茶、清涼飲料、コーラ飲料、炭酸飲料(柑橘香味など各種香味のサイダーなど)、乳酸菌飲料などの嗜好飲料品;生薬やハーブを含む飲料;コーラ飲料、果汁飲料、乳飲料、ノンアルコールビールやいわゆる「第三のビール」などを含むビールテイスト飲料、スポーツドリンク、ハチミツ飲料、ビタミン補給飲料、ミネラル補給飲料、栄養ドリンク、滋養ドリンク、乳酸菌飲料などの機能性飲料;各種酒類(ビール風味、梅酒風味、チューハイ風味など)風味のアルコールテースト飲料などのノンアルコール嗜好飲料類;ワイン、焼酎、泡盛、清酒、ビール、チューハイ、カクテルドリンク、発泡酒、果実酒、薬味酒、いわゆる「第三のビール」などのその他醸造酒(発泡性)またはリキュール(発泡性)など、またはこれらを含むアルコール飲料類;などを挙げることができる。
本件香味付与組成物を添加可能な香粧品は特に限定されないが、例として、オーデコロン、オードトワレ、オードパルファム、パルファムなどの香水類;シャンプー、リンス、整髪料(ヘアクリーム、ポマードなど)などのヘアケア製品;ファンデーション、口紅、リップクリーム、リップグロス、化粧水、化粧用乳液、化粧用クリーム、化粧用ゲル、美容液、パック剤などの化粧品類;制汗スプレー、デオドラントシート、デオドラントクリーム、デオドラントスティックなどのデオドラント製品;無機塩類系、清涼系、炭酸ガス系、スキンケア系、酵素系、生薬系などの入浴剤;サンタン製品、サンスクリーン製品などの日焼け化粧品類;フェイス用石鹸や洗顔クリームなどの洗顔料、ボディ用石鹸やボディソープ、洗濯用石鹸、洗濯用洗剤、消毒用洗剤、防臭洗剤、柔軟剤、台所用洗剤、清掃用洗剤などの保健・衛生用洗剤類;歯みがき、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどの保健・衛生材料類;室内や車内などの芳香消臭剤、ルームフレグランスなどの芳香製品;などを挙げることができる。
本件香味付与組成物が使用可能な香調は限定されるものではなく、本件香味付与組成物によって香味を改善可能な任意の香調であってよい。ただし、本件香味付与組成物は、各種柑橘系の香調の物品に添加した際、ビター感および/またはピール感、天然感を付与することができるため、シトラス調、フルーティ調、グリーン調、ウッディ調、モス調などに好適に使用することができる。より具体的には、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、ライム、ユズ、カボスなどが挙げられるが、これらに限定されない。
(消費財の香味付与方法)
本発明の一実施の形態に係る消費財の香味付与方法(以下、本件に係る消費財の香味付与方法という場合がある。)は、本件香味付与組成物を、消費財に添加する工程を含む。
本件香味付与組成物を、飲食品や香粧品などの消費財に有効量添加することで、その消費財に香味を付与することができる。より具体的には、添加対象の消費財に麦芽感、樽感および/または焙煎感を付与し、消費財の香味を改善することができる。また、本件香味付与組成物を飲食品や香粧品などの消費財に有効量添加することで、トップ、ミドル、ラストのいずれか1以上の香味のうち、特にミドル〜ラストの呈味感を付与することができる。
本件に係る消費財の香味付与方法において、消費財に対する本件香味付与組成物の添加量は、有効成分として含まれる本件化合物によって、香味が改善される有効量であればよく、消費財の種類や形態に応じて任意に設定することができる。この場合において、消費財中の本件化合物の濃度の例としては、前掲「消費財」の項目で述べた通りである。
消費財の香味付与方法において、本件香味付与組成物を消費財に添加する方法は特に限定されない。また、本件香味付与組成物を消費財に添加する時期(タイミング)についても特に限定されない。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]本件化合物の合成例
以下、本件化合物の合成例について説明する。ここでは、2−メチルオクタノ−4−ラクトンを合成する場合を実施例1−1として説明するが、本発明者らは、実施例1−1中のγ−オクタラクトンをγ−ヘキサラクトン、γ−ヘプタラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、γ−ドデカラクトンに置き換えることで、その他の反応条件を変えることなく、それぞれ2−メチルヘキサノ−4−ラクトン、2−メチルヘプタノ−4−ラクトン、2−メチルノナノ−4−ラクトン、2−メチルデカノ−4−ラクトン、2−メチルウンデカノ−4−ラクトン、2−メチルドデカノ−4−ラクトンを合成できることを確認した。以下、実施例において使用した本件化合物は、実施例1−1で合成したものである。
<実施例1−1>2−メチルオクタノ−4−ラクトンの合成
500mL四口フラスコに、リチウムジイソプロピルアミド(7.08g,70mmol)およびテトラヒドロフラン(150mL)を加え、−78℃で冷却撹拌した。当該フラスコ内にn−ブチルリチウム(54mL、84mmol)を滴下し、0℃まで昇温しながら撹拌し、0℃到達後30分撹拌した。再度−78℃まで冷却した後、γ−オクタラクトン(10g、70mmol)のテトラヒドロフラン溶液(150mL)を当該フラスコ内に滴下して、−78℃で1時間撹拌した。さらに、当該フラスコ内にヨードメタン(17.9g、126mmol)を滴下して、徐々に室温まで昇温させながら終夜撹拌した。翌朝に当該フラスコ内に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、分液操作後に水層を酢酸エチルで抽出した。この抽出層と分液した有機層とを合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後に吸引濾過した。濾液を減圧濃縮して得られた残渣をシリカカラムクロマトグラフィー精製(200g、ヘキサン:酢酸エチル=30:1)し、2−メチルオクタノ−4−ラクトンを得た(7.5g、収率69%)。
以上の工程で得られた2−メチルオクタノ−4−ラクトン(その他の本件化合物も同様。)またはこれを適当な溶媒で希釈したものを、以下の実施例では本発明品(本件香味付与組成物の一態様)と称する。
[実施例2]香料組成物(柑橘風味)への添加効果
下記表1の処方に従って、グレープフルーツエッセンス基本調合香料組成物を調製した。
Figure 0006935572
グレープフルーツエッセンス基本調合香料組成物に、本発明品を、グレープフルーツエッセンス基本調合香料組成物中の本件化合物の濃度が下記表2に示す濃度になるように添加し、実施例2−1〜2−21の香料組成物を調製した。また、グレープフルーツエッセンス基本調合香料組成物に、既知の香料化合物である3−メチルオクタノ−4−ラクトン(以下、ウイスキーラクトンという。)および3,6−ジメチル−3a,4,5,7a−テトラヒドロ−3H−1−ベンゾフラン−2−オン(以下、ワインラクトンという。)を下記表2の通りそれぞれ添加し、比較例2−1,2−2の香料組成物を調製した。そして、得られた実施例2−1〜2−21および比較例2−1〜2−2の香料組成物について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本発明品またはウイスキーラクトン、ワインラクトンのいずれも添加していないグレープフルーツエッセンス基本調合香料組成物を対照品として、実施例2−1〜2−21および比較例2−1〜2−2を対照品と比べた際の香気についてコメントさせるとともに、対照品と比べた天然感について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。ここで天然感とは、果汁感や果皮感に富み、丸ごとのグレープフルーツ果実そのものを思わせるような感覚を意味する。
<天然感に関する評価基準>
対照品に比べて著しく増加した:4
対照品に比べて大きく増加した:3
対照品に比べてある程度増加した:2
対照品に比べてわずかに増加した:1
対照品と同等であるか対照品よりも劣る:0
官能評価の結果を下記表2に示す。
Figure 0006935572
表2に示すように、本発明品は、柑橘風味の香料組成物の果汁感および果肉感、ビター感を付与することが確認され、中でも含まれる化合物が2−メチルオクタノ−4−ラクトンである場合に香味付与の効果が最も高いことが確認された。特に、本発明品は、ワインラクトンや、本件化合物と構造類似の化合物であるウイスキーラクトンでは得られない賦香効果および各種香味の付与効果を奏することが確認できた。
[実施例3]香料組成物(バニラ風味)への添加効果
下記表3の処方に従って、バニラ基本調合香料組成物を調製した。
Figure 0006935572
バニラ基本調合香料組成物に、本発明品を、バニラ基本調合香料組成物中の本件化合物の濃度が下記表4に示す濃度になるように添加し、実施例3−1〜3−21の香料組成物を調製した。また、バニラ基本調合香料組成物に、既知の香料化合物であるウイスキーラクトンおよびワインラクトンを下記表4の通りそれぞれ添加し、比較例3−1,3−2の香料組成物を調製した。そして、得られた実施例3−1〜3−21および比較例3−1〜3−2の香料組成物について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本発明品またはウイスキーラクトン、ワインラクトンのいずれも添加していないバニラ基本調合香料組成物を対照品として、実施例3−1〜3−21および比較例3−1,3−2を対照品と比べた際の香気についてコメントさせるとともに、対照品と比べた天然感について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。ここで天然感とは、樽感や熟成感を含む様々な香りが複雑に絡み合ったバニラ独特の甘い香味を包含する感覚を意味する。
<天然感に関する評価基準>
対照品に比べて著しく増加した:4
対照品に比べて大きく増加した:3
対照品に比べてある程度増加した:2
対照品に比べてわずかに増加した:1
対照品と同等であるか対照品よりも劣る:0
官能評価の結果を下記表4に示す。
Figure 0006935572
表4に示すように、本発明品は、バニラ風味香料組成物の天然感および高級感を良好に付与することが確認され、中でも含まれる化合物が2−メチルオクタノ−4−ラクトンである場合に香味付与の効果が最も高いことが確認された。特に、本発明品は、ワインラクトンや、本件化合物と構造類似の化合物であるウイスキーラクトンでは得られない賦香効果および各種香味の付与効果を奏することが確認できた。
[実施例4]飲食品(柑橘風味飲料)への添加効果
市販の20%オレンジ果汁入り飲料(以下、オレンジ飲料という。)に、本発明品を、オレンジ飲料中の本件化合物の濃度が下記表5に示す濃度になるように添加し、実施例4−1〜4−35の柑橘風味飲料を調製した。また、オレンジ飲料に、既知の香料化合物であるウイスキーラクトンおよびワインラクトンを下記表5の通りそれぞれ添加し、比較例4−1,4−2の柑橘風味飲料を調製した。そして、得られた実施例4−1〜4−35および比較例4−1〜4−2の柑橘風味飲料について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本発明品またはウイスキーラクトン、ワインラクトンのいずれも添加していない上記オレンジ飲料を対照品として、実施例4−1〜4−35および比較例4−1〜4−2を対照品と比べた際の香味の違いについてパネリストにコメントさせるとともに、ビター感および天然感について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。ここでビター感とは、アルベド(中果皮)を含んだ果実を丸ごと食べた際に感じるほろ苦さ、ワキシーな感覚を意味し、天然感とは、果汁感や果皮感に富み、丸ごとのオレンジ果実そのものを思わせるような感覚を意味するものとする。
<ビター感および天然感に関する評価基準>
対照品に比べて著しく増加した:4
対照品に比べて大きく増加した:3
対照品に比べてある程度増加した:2
対照品に比べてわずかに増加した:1
対照品と同等であるか対照品よりも劣る:0
官能評価の結果を下記表5に示す。
Figure 0006935572
表5に示すように、本発明品は、柑橘風味飲料にビター感、天然感などを付与し、柑橘風味飲料の香味を改善することが確認された。中でも含まれる化合物が2−メチルオクタノ−4−ラクトンである場合に、ビター感を適度に付与し、かつ、天然感を最も付与することができ、柑橘風味飲料に対する香味付与の効果が最も高いことが確認された。特に、本発明品は、ワインラクトンや、本件化合物と構造類似の化合物であるウイスキーラクトンでは得られない賦香効果および各種香味の付与効果を奏することが確認できた。
[実施例5]飲食品(その他フルーツ飲料)への添加効果
市販の10%マンゴー果汁入り飲料(以下マンゴー飲料という。)に、本発明品を下記表6の通り添加し、実施例5−1〜5−21のフルーツ飲料を調製した。そして、得られた実施例5−1〜5−21のフルーツ飲料について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本発明品を添加していない上記マンゴー飲料を対照品として、実施例5−1〜5−21を対照品と比べた際の香味の違いについてパネリストにコメントさせるとともに、果肉感および熟成感について下記評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。ここで果肉感とは、マンゴー果実そのものをまるごと食したような繊維感、甘さや果汁感を包含する感覚を意味し、熟成感とは、熟した果実のような甘くジューシーで濃厚な香味を意味するものとする。
<果肉感および熟成感に関する評価基準>
対照品に比べて著しく増加した:4
対照品に比べて大きく増加した:3
対照品に比べてある程度増加した:2
対照品に比べてわずかに増加した:1
対照品と同等であるか対照品よりも劣る:0
官能評価の結果を下記表6に示す。
Figure 0006935572
表6に示すように、本発明品は、フルーツ飲料に果肉感、熟成感などを付与し、フルーツ飲料の香味を改善することが確認された。中でも含まれる化合物が2−メチルオクタノ−4−ラクトンである場合に、果肉感を適度に付与し、かつ、完熟感を最も付与することができ、フルーツ飲料に対する香味付与の効果が最も高いことが確認された。
[実施例6]飲食品(コーヒー風味飲料)への添加効果
市販のブラックコーヒーに、本発明品を下記表7の通り添加し、実施例6−1〜6−35のコーヒー風味飲料を調製した。また、ブラックコーヒーに、既知の香料化合物であるウイスキーラクトンおよびワインラクトンを下記表7の通りそれぞれ添加し、比較例6−1,6−2のコーヒー風味飲料を調製した。そして、得られた実施例6−1〜6−35および比較例6−1,6−2のコーヒー風味飲料について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本発明品またはウイスキーラクトン、ワインラクトンのいずれも添加していない上記ブラックコーヒーを対照品として、実施例6−1〜6−35および比較例6−1,6−2を対照品と比べた際の香味の違いについてパネリストにコメントさせるとともに、焙煎感およびコク感について下記の基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。ここで焙煎感とは、スモーキー感およびオイル感などから得られる総合的な香ばしさを意味し、コク感とは、香味の全体的な厚みや濃厚感が豊富で、好ましい感覚を意味する。
<焙煎感およびコク感に関する評価基準>
対照品に比べて著しく増加した:4
対照品に比べて大きく増加した:3
対照品に比べてある程度増加した:2
対照品に比べてわずかに増加した:1
対照品と同等であるか対照品よりも劣る:0
官能評価の結果を下記表7に示す。
Figure 0006935572
表7に示すように、本発明品は、コーヒー風味飲料の香ばしさやボディ感などを付与し、コーヒー風味飲料の焙煎感およびコク感を高めることが確認された。中でも含まれる化合物が2−メチルオクタノ−4−ラクトンである場合に香味付与の効果が最も高いことが確認された。特に、本発明品は、ワインラクトンや、本件化合物と構造類似の化合物であるウイスキーラクトンでは得られない賦香効果および各種香味の付与効果を奏することが確認できた。
[実施例7]飲食品(各種嗜好飲料(紅茶、麦茶、ココア))への添加効果
市販の無糖紅茶、麦茶、ココアに、本発明品を下記表8の通り添加し、実施例7−1〜7−21の嗜好飲料を調製した。そして、得られた実施例7−1〜7−21の嗜好飲料について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本発明品を添加していない上記各市販品を対照品として、実施例7−1〜7−21を対照品と比べた際の香味の違いについてパネリストにコメントさせるとともに、嗜好度およびボリューム感について下記の基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。ここで嗜好度とは、対照品と比べた、その飲料を好ましいと感じられる度合いを意味し、ボリューム感とは、トップ〜ラストまでの香気の強さ、広がり、持続性など総合的な香味の豊かさを伴う感覚を意味する。
<嗜好度およびボリューム感に関する評価基準>
対照品に比べて著しく増加した:4
対照品に比べて大きく増加した:3
対照品に比べてある程度増加した:2
対照品に比べてわずかに増加した:1
対照品と同等であるか対照品よりも劣る:0
官能評価の結果を下記表8に示す。
Figure 0006935572
表8に示すように、本発明品は、嗜好飲料の香ばしさや茶葉のような苦みを付与し、嗜好飲料の嗜好度およびボリューム感を高めることが確認された。
[実施例8]飲食品(ビール風味飲料)への添加効果
市販のビール風味飲料(ノンアルコール)に、本発明品を下記表9,10の通り添加し、実施例8−1〜8−70のビール風味飲料を調製した。また、ビール風味飲料に、既知の香料化合物であるウイスキーラクトンおよびワインラクトンを下記表9,10の通りそれぞれ添加し、比較例8−1〜8−11のビール風味飲料を調製した。そして、得られた実施例8−1〜8−70および比較例8−1〜8−11のビール風味飲料について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本発明品、ウイスキーラクトンまたはワインラクトンのいずれも添加していない上記ビール風味飲料を対照品として、実施例8−1〜8−70および比較例8−1〜8−11を対照品と比べた際の香味の違いについてパネリストにコメントさせるとともに、麦芽感、コク感およびビールらしさについて下記の基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。ここで麦芽感とは、麦芽がもたらす香ばしさや呈味感を意味し、コク感とは、香味の全体的な厚みや濃厚感が豊富で、好ましい感覚を意味し、ビールらしさとは麦芽感とコク感とを総合的に判断して一般的なビールにどれだけ近いかを意味する。また、総合的な評価として、パネリスト15名のうち、実施例8−1〜8−70および比較例8−1〜8−11を対照品と比べた際に対照品に比べて好ましいと判断した人数が13名以上だったものを「◎」、10名以上だったものを「○」、8名以上だったものを「△」、7名以下だったものを「×」とした。
<麦芽感、コク感およびビールらしさに関する評価基準>
対照品に比べて著しく増加した:4
対照品に比べて大きく増加した:3
対照品に比べてある程度増加した:2
対照品に比べてわずかに増加した:1
対照品と同等であるか対照品よりも劣る:0
官能評価の結果を下記表9,10に示す。
Figure 0006935572
Figure 0006935572
表9,10に示すように、本発明品は、ビール風味飲料の麦芽感およびコク感を良好に付与することが確認された。特に、ビール風味飲料のうち、製造に使用される麦芽量がビールよりも少ないビール風味飲料に対して、本発明品を添加した場合には、ビール風味飲料の麦芽感およびコク感が付与されることによって、ビールらしさが増大し、ビールに近い香味が得られることが確認された。
本発明品は、中でも含まれる化合物が2−メチルオクタノ−4−ラクトンである場合、次いで2−メチルヘプタノ−4−ラクトンである場合、次いで2−メチルノナノ−4−ラクトンである場合に、トップ立ちの軽さと余韻とのバランスが取れており、香味付与の効果が最も高いことが確認された。
特に、本発明品は、ワインラクトンやウイスキーラクトンでは得られない賦香効果および各種香味の付与効果を奏することが確認できた。特筆すべきこととして、本件化合物は、ウイスキーラクトンと構造類似の化合物であるにもかかわらず、ウイスキーラクトンよりも低濃度で効果を奏し、ビールに必要なキレやメリハリを付与できることが確認された。
[実施例9]飲食品(ナッツ風味調味料)への添加効果
市販のアーモンドバターに、本発明品を下記表11の通り添加し、実施例9−1〜9−7のナッツ風味調味料を調製した。そして、得られた実施例9−1〜9−7のナッツ風味調味料について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本発明品を添加していない上記アーモンドバターを対照品として、実施例9−1〜9−7を対照品と比べた際の香味の違いについてパネリストにコメントさせるとともに、対照品と比べた嗜好度について実施例7と同様の評価基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
官能評価の結果を下記表11に示す。
Figure 0006935572
表11に示すように、本発明品は、アーモンドの香ばしさおよびコクを増強し、優れた香味の付与効果を奏することが確認され、中でも含まれる化合物が2−メチルウンデカノラクトンである場合に香味付与の効果が最も高いことが確認された。
[実施例10]飲食品(ハーブ・スパイス風味ドレッシング)への添加効果
市販のガーリック風味、オニオン風味、コショウ風味、バジル風味の各ドレッシングに、本発明品を下記表12の通り添加し、実施例10−1〜10−28の香味ドレッシングを調製した。そして、得られた実施例10−1〜10−28の香味ドレッシングについて、5名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本発明品を添加していない上記各ドレッシングを対照品として、実施例10−1〜10−28を対照品と比べた際の香味の違いについてパネリストにコメントさせることによって行った。
官能評価の結果を下記表12に示す。
Figure 0006935572
表12に示すように、本発明品は、香味ドレッシングの刺激感やコクを良好に増強することが確認できた。
[実施例11]飲食品(ワイン風味飲料)への添加効果
市販の赤ワインに、本発明品を下記表13の通り添加し、実施例11−1〜11−35のワイン風味飲料を調製した。また、赤ワインに、既知の香料化合物であるウイスキーラクトンおよびワインラクトンを下記表13の通りそれぞれ添加し、比較例11−1〜11−2のワイン風味飲料を調製した。そして、得られた実施例11−1〜11−35および比較例11−1〜11−2のワイン風味飲料について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本発明品、ウイスキーラクトンまたはワインラクトンのいずれも添加していない上記各市販品を対照品として、実施例11−1〜11−35および比較例11−1〜11−2を対照品と比べた際の香味の違いについてパネリストにコメントさせるとともに、樽感および濃厚感について下記の基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。ここで樽感とは、ウッド様(ウッディ)を基調として、バニラ様およびナッツ様、カカオ様などの香味を伴う感覚を意味し、濃厚感とは、香味の全体的な厚みや濃厚感が豊富で、好ましい感覚を意味する。
<樽感および濃厚感に関する評価基準>
対照品に比べて著しく増加した:4
対照品に比べて大きく増加した:3
対照品に比べてある程度増加した:2
対照品に比べてわずかに増加した:1
対照品と同等であるか対照品よりも劣る:0
官能評価の結果を下記表13に示す。
Figure 0006935572
表13に示すように、本発明品は、ワイン風味飲料の樽感および濃厚感を良好に増強することが確認され、中でも含まれる化合物が2−メチルオクタノ−4−ラクトンである場合、次いで2−メチルヘプタノ−4−ラクトンおよび2−メチルノナノ−4−ラクトンである場合に、樽感と濃厚感とのバランスが取れており、香味付与の効果が最も高いことが確認された。また、本発明品は、ワインラクトンやウイスキーラクトンでは得られない賦香効果および各種香味の付与効果を奏することが確認できた。
[実施例12]飲食品(ウイスキー風味飲料)への添加効果
市販のウイスキーに、本発明品を下記表14の通り添加し、実施例12−1〜12−35のウイスキー飲料を調製した。また、ウイスキーに、既知の香料化合物であるウイスキーラクトンおよびワインラクトンを下記表14の通りそれぞれ添加し、比較例12−1,12−2のウイスキー風味飲料を調製した。そして、得られた実施例12−1〜12−35および比較例12−1,12−2のウイスキー風味飲料について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本発明品、ウイスキーラクトンまたはワインラクトンのいずれも添加していない上記各市販品を対照品として、実施例12−1〜12−35および比較例12−1,12−2を対照品と比べた際の香味の違いについてコメントさせるとともに、樽感および濃厚感について上記実施例11と同様の基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。
官能評価の結果を下記表14に示す。
Figure 0006935572
表14に示すように、本発明品は、ウイスキー風味飲料の樽感および濃厚感を良好に増強することが確認され、中でも含まれる化合物が2−メチルオクタノ−4−ラクトンである場合、次いで2−メチルヘプタノ−4−ラクトンおよび2−メチルノナノ−4−ラクトンである場合に、樽感と濃厚感とのバランスが取れており、香味付与の効果が最も高いことが確認された。また、本発明品は、ワインラクトンやウイスキーラクトンでは得られない賦香効果および各種香味の付与効果を奏することが確認できた。
[実施例13]飲食品(スープ)への添加効果
市販のオニオンコンソメスープ(レトルト調理品)に、本発明品を下記表15の通り添加し、実施例13−1〜13−7のスープを調製した。そして、得られた実施例13−1〜13−7のスープについて、5名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本発明品を添加していない上記オニオンコンソメスープを対照品として、実施例13−1〜13−7を対照品と比べた際の香味の違いについてパネリストにコメントさせることにより行った。
官能評価の結果を下記表15に示す。
Figure 0006935572
表15に示すように、本発明品は、スープの香ばしさやコク、甘さを良好に増強することが確認された。
[実施例14]飲食品(バニラアイスクリーム)への添加効果
市販のバニラアイスクリームに、本発明品を下記表16の通り添加し、実施例14−1〜14−7のアイスクリームを調製した。そして、得られた実施例14−1〜14−7のアイスクリームについて、5名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本発明品を添加していない上記アイスクリームを対照品として、実施例14−1〜14−7を対照品と比べた際の香味の違いについてパネリストにコメントさせることにより行った。
官能評価の結果を下記表16に示す。
Figure 0006935572
表16に示すように、本発明品は、添加対象にバニラの天然感や高級感を付与することが確認された。
[実施例15]香粧品(台所用洗剤)への添加効果
市販のオレンジ調、ローズ調およびピーチ調の香調の各台所用洗剤に、本発明品を下記表17の通り添加し、実施例15−1〜15−21の台所用洗剤を調製した。そして、得られた実施例15−1〜15−21の台所用洗剤について、15名のよく訓練されたパネリスト(経験年数10年以上)による官能評価を行った。官能評価は、本発明品を添加していない上記各台所用洗剤を対照品として、実施例15−1〜15−21を対照品と比べた際の香気の違いについてパネリストにコメントさせるとともに、天然感について下記の基準にしたがいパネリストが点数付けしたものを平均することにより行った。ここで天然感とは、対照品の各香調に対応する天然素材そのもの(例えば、オレンジ果実、ローズ生花、およびピーチ果実)を感じさせるような感覚を包含するものとする。
<天然感に関する評価基準>
対照品に比べて著しく増加した:4
対照品に比べて大きく増加した:3
対照品に比べてある程度増加した:2
対照品に比べてわずかに増加した:1
対照品と同等であるか対照品よりも劣る:0
官能評価の結果を下記表17に示す。
Figure 0006935572
表17に示すように、本発明品は、各種柑橘調、フローラル調やフルーツ調の香調の香気の増強に有用であることが確認された。

Claims (7)

  1. 下記式(1)で表される化合物を有効成分として含む飲食品用香味付与組成物。
    Figure 0006935572
    [式(1)中、Rは炭素数2〜8の直鎖アルキル基を表す。]
  2. 請求項1に記載の飲食品用香味付与組成物において、
    前記飲食品がビール風味飲料である、飲食品用香味付与組成物。
  3. 請求項1に記載の飲食品用香味付与組成物を含む飲食品
  4. 請求項3に記載の飲食品において、
    前記飲食品がビール風味飲料であり、
    前記ビール風味飲料の全質量を基準として、前記化合物の濃度が0.1ppt〜1ppbの範囲となる、飲食品
  5. 請求項1に記載の飲食品用香味付与組成物を他の飲食品用香味付与組成物に添加する工程を含む、飲食品用香味付与組成物の香味付与方法。
  6. 請求項1に記載の飲食品用香味付与組成物を飲食品に添加する工程を含む、飲食品の香味付与方法。
  7. 請求項6に記載の飲食品の香味付与方法において、
    前記飲食品がビール風味飲料であり、
    前記ビール風味飲料の全質量を基準として、前記化合物の濃度が0.1ppt〜1ppbの範囲となる、飲食品の香味付与方法。
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