JP6900128B2 - 4−(4−メチル−3−ペンテニル)−2(3h)−フラノンおよびそれを有効成分として含有する香料組成物 - Google Patents
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Description
例えば、本発明に係る化合物が属するフラノン類では、4−(4−メチル−3−ペンテニル)−2(5H)−フラノンを有効成分とする香料組成物をシトラスやフローラル調の香味の改善に使用すること(特許文献1)、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン、2−エチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−3(2H)−フラノン、5−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチル−2(5H)−フラノンなどによって酸味や酸臭をマスキングすること(特許文献2)、3−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−2(5H)−フラノンなどによって甘味を増強する方法(特許文献3)が提案され、また、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン、5−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチル−2(5H)−フラノン、2−エチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−3(2H)−フラノンなどが、硬化油風味」に極めて類似した、醸成されたねっとりとした上品な甘さの付与に寄与するとされている(特許文献4)。
[1] 式(1)で表される、4−(4−メチル−3−ペンテニル)−2(3H)−フラノン。
[3] [1]に記載の式(1)で表される化合物、または[2]に記載の香料組成物を消費財に配合してなる、消費財。
[4] [1]に記載の式(1)で表される化合物、または[2]に記載の香料組成物を消費財に配合することを含む、消費財の香味改善方法。
[5] 式(1)で表される化合物を香料組成物に配合することを含む、香料組成物の香気改善方法。
[6] 式(1)で表される4−(4−メチル−3−ペンテニル)−2(3H)−フラノンと、式(2)で表される4−(4−メチル−3−ペンテニル)−2(5H)−フラノンとの異性体混合物を有効成分として含有する、香料組成物。
(本発明の化合物:4−(4−メチル−3−ペンテニル)−2(3H)−フラノン)
本発明の式(1)の化合物は、従来文献未記載の新規化合物である。本発明の式(1)の化合物は任意の合成方法によって得ることができるが、例えば、異性体である4−(4−メチル−3−ペンテニル)−2(5H)−フラノン(下記反応式中の式(2)で表される化合物、以下5H体と称することがある)を、下記製造工程で示すように異性化することにより得ることができる。
(本発明の香料組成物)
本発明の香料化合物は、式(1)の化合物を、有効成分として所定量含むものであって、各種物品に配合することができる。物品の例としては、上述のように、飲食品、香粧品、医薬衛生品などの消費財が挙げられる。本発明の香料組成物の形態は特に限定されず、水溶性香料組成物、油溶性香料組成物、乳化香料組成物、粉末香料組成物が例示できる。
上記式(2)で表される4−(4−メチル−3−ペンテニル)−2(5H)−フラノンと併用してよい。
本発明の式(1)の化合物およびそれを含む香料組成物は、各種物品またはそれに用いる香料組成物に配合して使用することができる。
缶詰、煮魚、佃煮、すり身、水産練り製品(ちくわ、蒲鉾、あげ蒲鉾、カニ足蒲鉾など)、フライ、天ぷら、などの魚介類の加工飲食物類;鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉、馬肉などの畜肉類;カレー、シチュー、ビーフシチュー、ハヤシライスソース、ミートソース、マーボ豆腐、ハンバーグ、餃子、釜飯の素、スープ類(コーンスープ、トマトスープ、コンソメスープなど)、肉団子、角煮、畜肉缶詰などの畜肉を用いた加工飲食物類;卓上塩、調味塩、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、ひしお、ふりかけ、お茶漬けの素、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、中華の素、天つゆ、めんつゆ(昆布だしまたは鰹だしなど)、ソース(中濃ソース、トマトソースなど)、ケチャップ、焼肉のタレ、カレールー、シチューの素、スープの素、だしの素(昆布だしまたは鰹だしなど)、複合調味料、新みりん、唐揚げ粉・たこ焼き粉などのミックス粉、などの調味料類、これらの調味料類が添加された動物性または植物性だし風味飲食品;チーズ、ヨーグルト、バターなどの乳製品;野菜の煮物、筑前煮、おでん、鍋物などの煮物類;持ち帰り弁当の具や惣菜類;リンゴ、ぶどう、柑橘類(グレープフルーツ、オレンジ、レモンなど)などの果物の果汁や果汁飲料や果汁入り清涼飲料、果物の果肉飲料や果粒入り果実飲料;トマト、ピーマン、セロリ、ウリ、ニガウリ、ニンジン、ジャガイモ、アスパラガス、ワラビ、ゼンマイなどの野菜や、これら野菜類を含む野菜系飲料、野菜スープなどの野菜含有飲食品;コーヒー、ココア、緑茶、紅茶、烏龍茶、清涼飲料、コーラ飲料、乳酸菌飲料、ワイン、ビール、ノンアルコールビール等の嗜好飲料品;生薬やハーブを含む飲料;コーラ飲料、果汁飲料、乳飲料、ビールテイスト飲料、スポーツドリンク、ハチミツ飲料、ビタミン補給飲料、ミネラル補給飲料、栄養ドリンク、滋養ドリンク、乳酸菌飲料、各種酒類(ビール風味、梅酒風味、チューハイ風味など)風味のアルコールテースト飲料などのノンアルコール嗜好飲料類;チューハイ、カクテルドリンク、発泡酒、果実酒、薬味酒、いわゆる「第三のビール」などのその他醸造酒(発泡性)またはリキュール(発泡性)などのアルコール飲料類;などを挙げることができる。
(1)tert−ブチルジメチル(4−(4−メチル−3−ペンテニル)−2−フラニルオキシ)シランの合成
カラム:Inertsil diol(250mmL.×4.6mmI.D.,5μm)
移動相:ヘキサン/酢酸エチル=85/15
流量:1mL/min
カラム温度:40℃
検出:UV248nm
得られた4−(4−メチル−3−ペンテニル)−2(3H)−フラノン(本発明の式(1)の化合物)の物性値は以下の通りであった。
1H NMR(CDCl3,400MHz) δ 1.61(s,3H),1.69(s,3H),2.10−2.20(m,4H),3.08−3.10(m,2H),5.04−5.09(m,1H),6.50−6.52(m,1H).
13C NMR(CDCl3,100MHz) δ 17.75,25.65,26.04,26.55,35.15,120.05,122.80,132.95,137.30,176.57.
MS(EI,70eV) m/z 39(9),41(44),67(7),69(100),70(8),97(73),98(16),122(7),138(13),166(30).
また、特開2017−25182に記載の方法に従って、4−(4−メチル−3−ペンテニル)−2(5H)−フラノンを合成した。
(1)レモン様香料組成物
下記表1および2の一般的な処方に従って、レモン様基本調合香料組成物およびグレープ様基本調合香料組成物を調整した。
下記表5の処方のゼリー液を調整した。
本発明品1(本発明の式(1)の化合物、3H体)および式(2)の化合物(5H体)を、市販の無糖紅茶に下記表7の濃度で配合して、本発明および比較品の飲料を得た。そして、市販の無糖紅茶を対照品として、対照品と比べた本発明品および比較品の飲料の香味についてよく訓練された調香師15名による官能評価を行った。官能評価では、天然感、持続性、ボリューム感について「大きく向上した」=4点、「向上した」=3点、「わずかに向上した」=2点、「変化なし」=1点、「劣化した」=0点として点数付けさせるとともに、香味に関してコメントさせた。調香師15名の平均した結果を下記表7に示す。
市販のノンアルコールビールに、本発明品1(本発明の式(1)の化合物、3H体)および式(2)の化合物(5H体)を下記表7の濃度で配合して、本発明および比較品のノンアルコールビール飲料を得た。そして、市販のノンアルコールビールを対照品として、対照品と比べた本発明品および比較品の飲料の香味についてよく訓練された調香師15名による官能評価を行った。官能評価では、コク、持続性、ボリューム感について「大きく向上した」=4点、「向上した」=3点、「わずかに向上した」=2点、「変化なし」=1点、「劣化した」=0点として点数付けさせるとともに、香味に関してコメントさせた。なお、ビール感とは、ノンアルコールビールでありながらビールと錯覚してしまうような、ビールに似た風味であるかどうかに関するものとした。調香師15名の平均した結果を下記表8に示す。
市販の容器詰ブラックコーヒーに、本発明品1(本発明の式(1)の化合物、3H体)および式(2)の化合物(5H体)を下記表9の濃度で配合して、本発明および比較品のコーヒー飲料を得た。そして、市販の容器詰ブラックコーヒーを対照品として、対照品と比べた本発明品および比較品の飲料の香味についてよく訓練された調香師15名による官能評価を行った。官能評価では、天然感、持続性、ボリューム感について「大きく向上した」=4点、「向上した」=3点、「わずかに向上した」=2点、「変化なし」=1点、「劣化した」=0点として点数付けさせるとともに、香味に関してコメントさせた。なお、天然感とは、ここでは缶コーヒーでありながら実際に淹れたコーヒーと感じられるような風味とする。調香師15名の平均した結果を下記表9に示す。
市販のショウガ風味ドレッシングおよびペッパー風味ドレッシングに、本発明品1(式(1)の化合物、3H体)および式(2)の化合物(5H体)を下記表10の濃度で配合して、本発明および比較品のスパイス風味ドレッシングを得た。そして、市販の各ドレッシングを対照品として、対照品と比べた本発明品および比較品の飲料の香味についてよく訓練された調香師15名による官能評価を行った。官能評価では、天然感、持続性、ボリューム感について「大きく向上した」=4点、「向上した」=3点、「わずかに向上した」=2点、「変化なし」=1点、「劣化した」=0点として点数付けさせるとともに、香味に関してコメントさせた。調香師15名の平均した結果を下記表10に示す。
下記表11の一般的な処方に従って、リリー様基本調合香料組成物を調整した。
下記表13の処方のシャンプー液を調製した。
下記表15の処方にて油性ゲル状消臭芳香剤液を調製した。
Claims (6)
- 請求項1に記載の式(1)で表される化合物を有効成分として含有する、香料組成物。
- 請求項1に記載の式(1)で表される化合物、または請求項2に記載の香料組成物を消費財に配合してなる、消費財。
- 請求項1に記載の式(1)で表される化合物、または請求項2に記載の香料組成物を消費財に配合することを含む、消費財の香味改善方法。
- 式(1)で表される化合物を香料組成物に配合することを含む、香料組成物の香気改善方法。
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