JP2022104508A - ジスルフィド化合物を含む香味付与組成物 - Google Patents

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    • A23L27/20Synthetic spices, flavouring agents or condiments

Abstract

【課題】香味付与に有用な香味付与組成物を提供する。【解決手段】下記式(1)で表されるジスルフィド化合物を含む、香味付与組成物を提供する。当該香味付与組成物は、香味付与に加えてさらに炭酸感の増強効果を有していてもよい。本発明は、さらに、香味付与組成物を含む消費財、香味付与組成物を消費財に添加することを含む消費財の香味付与方法、および香味付与組成物を他の香味付与組成物に添加することを含む香味付与組成物の香味付与方法を提供できる。TIFF2022104508000018.tif2847【選択図】なし

Description

本発明は、ジスルフィド化合物を含む香味付与組成物に関する。
昨今、飲食品や香粧品における消費者の要求は高度化および多様化しているが、特に、香りに注目が集まっており、香りの特性が製品の訴求力に重要な要素となっている。例えば、物品への添加によって、当該物品の香味に持続性、天然感など特徴的な香味を付与できる化合物への要求が高まっている。
含硫化合物(分子中に硫黄原子を含むもの)のいくつかは香味付与に使用することが知られており、その例として、1,2-エタンジチオール、2,3-ブタンジチオール、1,6-ヘキサンジチオールなどのアルカンジチオール類を調理肉様などの香気賦与に使用すること(特許文献1)、ジメチルトリスルフィドをバニラフレーバーに添加することで、バニラの天然感、バニラの高級感およびバニラエキス感を改善すること(特許文献2)、3-メルカプト-3-メチルブチルアセテート、2-フルフリルメチルスルフィド、2-フルフリルメチルジスルフィドなどの含硫化合物の組み合わせによってコーヒーの淹れたて感を付与すること(特許文献3)、が記載されている文献が知られている。
特開昭50-12277号公報 特開2018-115241号公報 特開2008-259472号公報
しかしながら、従来香味付与に用いられてきた含硫化合物だけでは、香味の質および強度の点で単調である、使用できる香味が限られている、香味に所望の特徴を付与できない、などの少なくとも1つの理由から、物品の香味に対する消費者の多様な要望に十分対応できておらず、香味付与に有用な新たな含硫化合物の発見が課題となっていた。従って、本発明の課題は、物品への香味の付与に有用な含硫化合物を含む香味付与組成物を提供することである。
本発明者らは、上記課題を鑑み鋭意研究したところ、香味付与用途が知られておらず、香りを有すること自体も全く知られていなかった下記式(1)で表される化合物が香味付与に有用であることを見出し、本発明に至った。
Figure 2022104508000001
かくして、本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次の通りである。
[1] 下記式(1)で表されるジスルフィド化合物を含む、香味付与組成物。
Figure 2022104508000002
[2] 前記香味付与組成物が、香味付与に加えてさらに炭酸感の付与効果を有する、[1]に記載の香味付与組成物。
[3] [1]または[2]に記載の香味付与組成物を含む消費財。
[4] [1]または[2]に記載の香味付与組成物を消費財に添加することを含む、消費財の香味付与方法。
[5] [1]または[2]に記載の香味付与組成物を他の香味付与組成物に添加することを含む、香味付与組成物の香味付与方法。
本発明によって、各種物品への香味の付与に使用可能な香味付与組成物を提供できるようになった。
以下、本発明について、具体例を挙げつつさらに詳細に説明する。本明細書において、「~」は下限値および上限値を含む範囲を意味し、濃度(ppt、ppb、ppmなど)、%は特に断りのない限りそれぞれ質量濃度、質量%を表し、濃度とは特に断りのない限り最終濃度とする。
[式(1)で表されるジスルフィド化合物を含む香味付与組成物]
本発明において、香味付与組成物が含有する下記式(1)で表されるジスルフィド化合物(本明細書では、単に式(1)の化合物ということもある)は、これまで香りがあることも各種消費財への香味付与に使用可能なことも全く知られていなかった化合物であり、本発明者らによって香味付与用途の有用性が初めて確認されたものである。
Figure 2022104508000003
式(1)の化合物を得る手段は特に限定されないが、例えば、下記の一般的な方法によって合成して得ることができる。
式(1)の化合物の合成には、既知の一般的な非対称ジスルフィドの合成を適用することができる。すなわちハロゲン化アルキルに対し、チオ硫酸塩を反応させて、アルキルチオ硫酸塩(Bunte塩)とした後、これにさらにアルカンチオラートを反応させることで非対称ジスルフィドを得る。具体例として、下記反応経路(A)または反応経路(B)に従った合成方法が例示できるが、原料の入手容易さを考慮すると、(A)の方が好ましい。
Figure 2022104508000004
反応経路(A)および(B)において、第1の反応では、出発物質である化合物(a1)のXはハロゲン原子を表し、例えば、塩素または臭素であってよい。化合物(a2)および化合物(a3)のMはアルカリ金属を表し、例えば、ナトリウムまたはカリウムであってよい。また、化合物(a2)は水和物であってよく、例えば、5水和物であってよい。化合物(a2)の使用量は、化合物(a1)に対し1~1.5当量でよく、好ましくは1.2~1.3当量である。使用する溶媒は、化合物(a2)については水もしくはメタノールまたはこれらの混合物を溶媒とでき、化合物(a1)については各種の溶媒を使用することができる。第1の反応において化合物(a2)の溶解に使用した溶媒と混和しない溶媒を用いて二相系での反応を行う場合には四級アンモニウム塩のような相間移動触媒の併用が好ましい。用いる相間移動触媒の好ましい例として、テトラ(n-ブチル)アンモニウム=ブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウム=クロリド、メチルトリ(n-オクチル)アンモニウム=クロリドなどを挙げることができるが、これらに限定されない。反応温度については0~100℃の範囲内でよく、特に20~60℃の範囲内で行うことが好ましい。
第2の反応では、使用する溶媒は、水またはメタノールが好ましい。化合物(a4)のMはアルカリ金属を表し、例えば、ナトリウムまたはカリウムであってよい。化合物(a4)の使用量は、過剰に使用すると後述の不均化を促進させることから、化合物(a3)に対し0.3~0.8当量の範囲内、特に0.3~0.5当量の範囲内の使用が好ましい。生成した式(1)の化合物は、アルカリ性溶液中では徐々に対称ジスルフィドに不均化するため、第2の反応は10分から30分、0℃から20℃で行い、その後ただちに炭化水素系溶媒で生成物を抽出することが好ましい。あるいは反応液中に水またはメタノールと混和しない炭化水素系溶媒を共存させて二相系として反応させ、ただちにその炭化水素系溶媒を分離してもよい。用いる炭化水素系溶媒の好ましい例として、石油エーテル、n-ペンタン、n-ヘキサンなどを挙げることができる。
式(1)の化合物は、それ自体、オニオン様、ガーリック様、トロピカルフルーツ様、ロースト香といった香気を含む特徴的な香気を呈し、各種消費財に添加することで添加対象に香味を付与できる。添加対象の物品に特に制限はないが、香味付与組成物(詳細は後述する)や、飲食品、香粧品、保健衛生品などの消費財が例示できる。
本明細書において、香味とは、香りによって変化し得る1種または複数種の感覚、代表的には嗅覚および/または味覚を含む感覚を意味する。本明細書において、「香味付与」とは、香味を新たに加えることおよび増強することを含む。例えば、「香味付与」の結果香味が改善されるものであってよい。また、本明細書において、飲食品の香味を風味と呼ぶこともある。さらには、香味の付与の結果、嗅覚および/または味覚以外の感覚、例えば、冷感、温感、質感(のど越し、固さ、粘度など、テクスチャともいう)、炭酸感、辛さなどの刺激感、などを増強、抑制、または改善するものであってもよい。本明細書において、「添加」とは、ある対象に噴霧、滴下などによって単に加えること、およびある対象と混ぜ合わせることの、少なくとも1つを含む。
[香味付与組成物]
本発明の一実施態様に係る香味付与組成物(本明細書では単に本発明の香味付与組成物ということもある)は、式(1)の化合物を所定量含むものであり、各種消費財に添加してその消費財に香味付与することのできるものである。本発明の香味付与組成物の例として、飲食品、香粧品、医薬衛生品など各種消費財に添加できる香料組成物が代表例として挙げられ、そのほかにも、各種消費財に添加できる各種動植物エキス、各種動植物原料の発酵品、などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の香味付与組成物は、式(1)の化合物の他にも、溶媒、分散媒、式(1)の化合物以外の香味付与成分、抗酸化剤などの補助成分など任意の成分(具体例は後述)を含み得るが、実質的に式(1)の化合物のみからなるものであってもよい。本発明の香味付与組成物が式(1)の化合物以外の成分も含む場合、当該香味付与組成物中の式(1)の化合物の濃度は、香味付与組成物の添加対象や香気特性に応じて任意に決定できる。
本発明の香味付与組成物中の式(1)の化合物の濃度の例として、本発明の香味付与組成物が式(1)の化合物およびその溶媒または分散媒(具体例は後述)以外の成分を実質的に含まない場合は、0.1%~99.9%の範囲内が例示できる。好ましい例として1%~99.9%、10%~99.9%、20%~99.9%、50%~99.9%、70%~99.9%、80%~99.9%、90%~99.9%、95%~99.9%、および99%~99.9%の範囲内が挙げられる。
本発明の香味付与組成物中の式(1)の化合物の濃度の例として、特に本発明の香味付与組成物が式(1)の化合物およびその溶媒または分散媒以外に香味付与可能な成分を含む場合には、当該香味付与組成物中の式(1)の化合物の濃度は、香味付与組成物の添加対象や香気特性に応じて任意に決定できるが、例えば、香味付与組成物の全体質量に対して、10ppt~10%、好ましくは100ppt~1%、より好ましくは1ppb~0.1%の範囲内が挙げられる。より具体的には、下限値を10ppt、100ppt、1ppb、10ppb、100ppb、1ppm、10ppm、100ppm、0.1%、1%のいずれかとし、上限値を10%、1%、0.1%、100ppm、10ppm、1ppm、100ppb、10ppb、1ppb、100pptのいずれかとして、これら下限値および上限値の任意の組み合わせによる範囲内とすることができるが、これらに限定されない。なお、香味付与組成物の処方や香調にも依存するが、香味付与組成物中の式(1)の化合物の濃度を10ppt~10%とすると、式(1)の化合物由来の香りが過度に突出することなく消費財への香味付与効果が感じられる。香味付与組成物の香調などによっては、式(1)の化合物を10ppt~10%の範囲外の濃度で添加してもよい。
本発明の香味付与組成物において、式(1)の化合物に加えて、さらに含有し得る他の任意の香味付与成分またはその他の補助成分の例として、各種類の香料化合物、香料組成物、油溶性色素類、ビタミン類、機能性物質、魚肉エキス類、畜肉エキス類、植物エキス類、酵母エキス類、動植物タンパク質類、動植物蛋白分解物類、澱粉、デキストリン、糖類、アミノ酸類、核酸類、有機酸類、溶剤などを例示することができる。例えば、「特許庁公報、周知・慣用技術集(香料)第II部食品用香料、平成12年1月14日発行」、「日本における食品香料化合物の使用実態調査」(平成12年度厚生科学研究報告書、日本香料工業会、平成13年3月発行)、および「合成香料 化学と商品知識」(2016年12月20日増補新版発行、合成香料編集委員会編集、化学工業日報社)に記載されている天然精油、天然香料、合成香料などを挙げることができる。
香料化合物のその他の例として、炭化水素化合物としては、α-ピネン、β-ピネン、ミルセン、カンフェン、リモネンなどのモノテルペン、バレンセン、セドレン、カリオフィレン、ロンギフォレンなどのセスキテルペン、1,3,5-ウンデカトリエンなどが挙げられる。
アルコール化合物としては、ブタノール、ペンタノール、3-オクタノール、ヘキサノール、(Z)-3-ヘキセン-1-オール、プレノール、2,6-ノナジエノールなどの飽和または不飽和アルコール、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、テトラヒドロミルセノール、ファルネソール、ネロリドール、セドロール、テルピネオールなどのテルペンアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコールが挙げられる。
アルデヒド化合物としては、アセトアルデヒド、ヘキサナール、オクタナール、デカナール、(E)-2-ヘキセナール、2,4-オクタジエナールなどの飽和または不飽和アルデヒド、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、シトラール、ミルテナール、ペリルアルデヒドなどのテルペンアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、アミルシンナムアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン、p-トリルアルデヒドなどの芳香族アルデヒドが挙げられる。
ケトン化合物としては、2-ヘプタノン、2-ウンデカノン、1-オクテン-3-オン、アセトインなどの飽和または不飽和ケトン、ジアセチル、2,3-ペンタンジオン、マルトール、エチルマルトール、シクロテン、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンなどのジケトンおよびヒドロキシケトン、カルボン、メントン、ヌートカトンなどのテルペンケトン、α-イオノン、β-イオノン、β-ダマセノンなどのテルペン分解物に由来するケトン、ラズベリーケトンなどの芳香族ケトンが挙げられる。
フランまたはエーテル化合物としては、フルフリルアルコール、フルフラール、ローズオキシド、リナロールオキシド、メントフラン、テアスピラン、エストラゴール、オイゲノール、1,8-シネオールなどが挙げられる。
エステル化合物としては、酢酸エチル、酢酸イソアミル、酪酸エチル、イソ酪酸エチル、酪酸イソアミル、2-メチル酪酸エチル、3-メチル酪酸エチル、イソ酪酸2-メチルブチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸アリル、ヘプタン酸エチル、カプロン酸エチル、イソ吉草酸イソアミル、ノナン酸エチルなどの脂肪族エステル、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、酢酸ラバンジュリル、酢酸テルペニルなどのテルペンアルコールエステル、酢酸ベンジル、酪酸ベンジル、サリチル酸メチル、サリチル酸ベンジル、ケイ皮酸メチル、プロピオン酸シンナミル、安息香酸エチル、イソ吉草酸シンナミル、3-メチル-2-フェニルグリシド酸エチルなどの芳香族エステルが挙げられる。
ラクトン化合物としては、γ-デカラクトン、γ-ドデカラクトン、δ-デカラクトン、δ-ドデカラクトン、7-デセン-4-オリド、2-デセン-5-オリドなどの飽和または不飽和ラクトンが挙げられる。
酸化合物としては、酢酸、酪酸、オクタン酸、イソバレル酸、カプロン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの飽和または不飽和脂肪酸が挙げられる。
含窒素化合物としては、インドール、スカトール、ピリジン、アルキル置換ピラジン、アントラニル酸メチル、トリメチルピラジンなどが挙げられる。
含硫化合物としては、メタンチオール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、アリルイソチオシアネート、3-メチル-2-ブテン-1-チオール、3-メチル-2-ブタンチオール、3-メチル-1-ブタンチオール、2-メチル-1-ブタンチオール、2-メチル-3-ブテン-1-チオール、3-メチル-2-ブテン-1-チオール、およびフルフリルメルカプタンなどが挙げられる。
天然精油としては、スイートオレンジ、ビターオレンジ、プチグレン、レモン、ベルガモット、マンダリン、ネロリ、ペパーミント、スペアミント、ラベンダー、カモミール、ローズマリー、ユーカリ、セージ、バジル、ローズ、ヒヤシンス、ライラック、ゼラニウム、ジャスミン、イランイラン、アニス、クローブ、ジンジャー、ナツメグ、カルダモン、スギ、ヒノキ、ベチバー、パチョリ、ラブダナムなどが挙げられる。
各種動植物エキスとしては、ハーブまたはスパイスの抽出物、コーヒー、緑茶、紅茶、またはウーロン茶の抽出物や、乳または乳加工品およびこれらのリパーゼおよび/またはプロテアーゼなどの各種酵素分解物などが挙げられる。
本発明の香味付与組成物は、式(1)の化合物を公知の方法によって適切な溶媒や分散媒に添加して調製することができる。本発明の香味付与組成物の形態としては、式(1)の化合物やその他成分を水溶性または油溶性の溶媒に溶解した溶液、乳化製剤、粉末製剤、その他固体製剤(固形脂など)などが好ましい。使用する溶媒や分散媒の種類に特に制限はないが、例えば以下に挙げるものを使用することができる。
水溶性溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、2-プロパノール、メチルエチルケトン、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシルグリコール、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、ジエチルフタレートなどを例示することができる。これらのうち、飲食品へ使用する場合には、エタノールまたはプロピレングリコールが特に好ましい。油溶性溶媒としては、植物性油脂、動物性油脂、精製油脂類(例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの加工油脂や、トリアセチン、トリプロピオニンなどの短鎖脂肪酸トリグリセリドが挙げられる)、ハーコリン、各種精油、トリエチルシトレートなどを例示することができる。
また、乳化製剤とするためには、式(1)の化合物を水溶性溶媒および乳化剤と共に乳化して得ることができる。式(1)の化合物の乳化方法としては特に制限されるものではなく、従来から飲食品などに用いられている各種類の乳化剤、例えば、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、化工でん粉、ソルビタン脂肪酸エステル、キラヤ抽出物、アラビアガム、トラガントガム、グアーガム、カラヤガム、キサンタンガム、ペクチン、アルギン酸及びおよびその塩類、カラギーナン、ゼラチン、カゼイン、キラヤサポニン、カゼインナトリウムなどの乳化剤を使用してホモミキサー、コロイドミル、回転円盤型ホモジナイザー、高圧ホモジナイザーなどを用いて乳化処理することにより安定性の優れた乳化液を得ることができる。これら乳化剤の使用量は厳密に制限されるものではなく、使用する乳化剤の種類などに応じて広い範囲にわたり変えることができるが、通常、式(1)の化合物1質量部に対し、約0.01~約100質量部、好ましくは約0.1~約50質量部の範囲内が適当である。また、乳化を安定させるため、かかる水溶性溶媒液は水の他に、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、ショ糖、グルコース、トレハロース、糖液、還元水飴などの多価アルコール類の1種類または2種類以上の混合物を添加することができる。
また、かくして得られた乳化液は、所望ならば乾燥することにより粉末製剤とすることができる。粉末化に際して、さらに必要に応じて、アラビアガム、トレハロース、デキストリン、砂糖、乳糖、ブドウ糖、水飴、還元水飴などの糖類を適宜添加することもできる。これらの使用量は粉末製剤に望まれる特性などに応じて適宜に選択することができる。
[他の香味付与組成物の香味付与方法]
本発明の一態様として、本発明の香味付与組成物は、他の香味付与組成物に添加してその香味付与組成物に香味を付与することもでき(本明細書では、本発明の他の香味付与組成物の香味付与方法ということがある)、それによって香味の付与された新たな香味付与組成物を製造することができる。本発明の、他の香味付与組成物の香味付与方法によって製造された新たな香味付与組成物も、本発明の香味付与組成物として、飲食品、香粧品、保健衛生品などの各種消費財の製造に用いることができる。当該製造にあたっては、他の香味付与組成物それ自体を飲食品、香粧品、医薬衛生品などの各種消費財に添加してもよいし、1種または2種以上の水溶性香料、乳化香味付与組成物、任意の香料化合物、天然精油(例えば、前掲の「特許庁公報、周知・慣用技術集(香料)第II部食品香料」、「日本における食品香料化合物の使用実態調査」、および「合成香料 化学と商品知識」に記載される香料化合物)、から選択される1種以上と併せて各種消費財に添加してもよい。
[消費財の香味付与方法および消費財]
式(1)の化合物を含む本発明の香味付与組成物は、飲食品、香粧品、保健衛生品などの各種消費財に添加して使用することができる。各種消費財への香味付与によって、香味の付与された消費財が製造される。そのため、本発明において、各種消費財への香味付与方法とは、香味の付与された消費財の製造方法ともいえる。香味付与組成物の各種消費財への添加タイミングは任意である。
式(1)の化合物を含む香味付与組成物を添加可能な飲食品は特に限定されず、いかなる香味(風味ともいう)を有していてもよいが、香味の例として、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、ライム、マンダリン、みかん、カボス、スダチ、ハッサク、イヨカン、ユズ、シークワーサー、金柑などの各種柑橘風味;ストロベリー、ブルーベリー、ラズベリー、アップル、チェリー、プラム、アプリコット、ピーチ、パイナップル、バナナ、メロン、マンゴー、パパイヤ、キウイ、ペアー、グレープ、マスカット、巨峰、ライチ、パッションフルーツなどの各種フルーツ風味;ミルク、ヨーグルト、バターなどの乳風味;バニラ風味;緑茶、抹茶、ほうじ茶、紅茶、烏龍茶、プーアル茶、ハーブティーなどの各種茶風味;コーヒー風味;コーラ風味;カカオ風味;ココア風味;スペアミント、ペパーミントなどの各種ミント風味;シナモン、カモミール、カルダモン、キャラウェイ、クミン、クローブ、コショウ、コリアンダー、サンショウ、シソ、ショウガ、スターアニス、タイム、トウガラシ、ナツメグ、バジル、マジョラム、ローズマリー、ローレル、ワサビ、山椒、ニンニク(ガーリック)などの各種スパイスまたはハーブ風味;アーモンド、カシューナッツ、クルミなどの各種ナッツ風味;ワイン、ブランデー、ウイスキー、ラム、ジン、リキュール、日本酒、焼酎、ビールなどの各種酒類(アルコール)風味;ニンジン、トマト、キュウリ、タマネギなどの野菜風味;鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉、馬肉などの畜肉風味;魚介風味;野菜、畜肉、魚介などの出汁(ブイヨン)風味;コンソメ風味;カラメル風味;などの風味の1以上を有する飲食品が挙げられる。すなわち、上記風味の1種類のみを感じさせる飲食品でもよく、2種類以上の風味を感じさせる飲食品でもよく、その複数種類の風味が同類であっても異類であってもよく、例えば、前者の例としてフルーツ風味のうちバナナ、ピーチおよびアップル風味など複数のフルーツ風味を感じさせる飲食品(いわゆるミックスフルーツ風味)が挙げられ、後者の例として、レモンなどの柑橘風味および乳風味を感じさせる飲食品(シトラス風味の乳酸菌飲料など)や、ミント風味や柑橘風味とコーラ風味とを感じさせる飲食品(ミントまたはレモンフレーバーのコーラ飲料など)が挙げられるが、本発明の香味付与組成物によって香味を付与可能な任意の風味であってよい。
本発明の香味付与組成物の添加対象の飲食品の好適な風味の例として、柑橘類、ソフトフルーツ類を含む各種果実風味;コーヒー風味;ココア風味;チョコレート風味;ビール風味;畜肉風味;ワイン、ウイスキーなどの酒類風味;カラメル風味;ガーリック(ニンニク)やオニオン(タマネギ)などの各種スパイス(香辛料)またはハーブ風味;ロースト風味(加熱料理された畜肉、魚介、植物性原料、菓子などから感じられる香ばしい香味を含むもの);紅茶、緑茶に代表される各種茶風味;乳風味;などを挙げることができるが、これらに限定されない。
さらに、本発明の香味付与組成物は、塩味を感じさせる各種飲食品に添加してその飲食品に塩味感を付与することにも好適に使用できる。例えば、各種飲食品に添加して塩味感を付与することで、その飲食品の満足感や風味の余韻などを向上し、嗜好性を向上させることができる。特に、減塩飲食品に添加して塩味感を付与することで、これまで、ナトリウム塩の代替成分などに起因してしばしば減塩飲食品に不足しているとされてきた満足感や風味の余韻などを向上し、減塩飲食品の嗜好性を向上することができる。
より具体的な飲食品例としては、せんべい、あられ、おこし、餅類、饅頭、ういろう、あん類、羊かん、水羊かん、錦玉、ゼリー、カステラ、飴玉、ビスケット、クラッカー、ポテトチップス、クッキー、パイ、プリン、氷菓、アイスクリーム、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、ドーナツ、チョコレート、チューインガム、キャラメル、キャンディー、ピーナッツペーストまたはその他のペースト類、などの菓子類;パン、うどん、ラーメン、中華麺、すし、五目飯、チャーハン、ピラフ、餃子の皮、シューマイの皮、お好み焼き、たこ焼き、などのパン類、麺類、ご飯類、その他穀類;糠漬け、梅干、福神漬け、べったら漬け、千枚漬け、らっきょう、味噌漬け、たくあん漬け、および、それらの漬物の素、などの漬物類;サバ、イワシ、サンマ、サケ、マグロ、カツオ、クジラ、カレイ、イカナゴ、アユなどの魚類、スルメイカ、ヤリイカ、紋甲イカ、ホタルイカなどのイカ類、マダコ、イイダコなどのタコ類、クルマエビ、ボタンエビ、イセエビ、ブラックタイガーなどのエビ類、タラバガニ、ズワイガニ、ワタリガニ、ケガニなどのカニ類、アサリ、ハマグリ、ホタテ、カキ、ムール貝などの貝類、などの魚介類;鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉、馬肉などの畜肉類;缶詰、煮魚、佃煮、すり身、水産練り製品(ちくわ、蒲鉾、あげ蒲鉾、カニ足蒲鉾など)、フライ、天ぷら、カレー、シチュー、ビーフシチュー、ハヤシライスソース、ミートソース、マーボ豆腐、ハンバーグ、餃子、釜飯の素、スープ類(コーンスープ、トマトスープ、コンソメスープなど)、肉団子、角煮、畜肉缶詰、野菜の煮物、筑前煮、おでん、鍋物、持ち帰り惣菜類、ラーメン、そば、うどん、そうめんなどの麺類およびそれに用いるスープ、野菜スープなどの動植物原料を用いた加工食品類;卓上塩、調味塩、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、ひしお、ふりかけ、お茶漬けの素、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、中華の素、天つゆ、めんつゆ(昆布だしまたは鰹だしなど)、ソース(中濃ソース、トマトソースなど)、ケチャップ、焼肉のタレ、カレールー、シチューの素、スープの素、だしの素(昆布だしまたは鰹だしなど)、複合調味料、新みりん、唐揚げ粉・たこ焼き粉などのミックス粉、などの調味料類、これらの調味料類が添加された動物性または植物性だし風味飲食品;チーズ、ヨーグルト、バターなどの乳製品;リンゴ、ぶどう、柑橘類(グレープフルーツ、オレンジ、レモンなど)などの果汁、果肉、果粒、果皮などを用いた果実飲料;トマト、ピーマン、セロリ、ウリ、ニガウリ、ニンジン、ジャガイモ、アスパラガス、ワラビ、ゼンマイなどの野菜や、これら野菜類を含む野菜系飲料、野菜スープなどの野菜含有飲食品;コーヒー、ココア、緑茶、紅茶、烏龍茶、清涼飲料、炭酸飲料、コーラ飲料、乳酸菌飲料などの嗜好飲料品;生薬やハーブを含む飲料;コーラ飲料、果汁飲料、乳飲料、スポーツドリンク、ハチミツ飲料、ビタミン補給飲料、ミネラル補給飲料、栄養ドリンク、滋養ドリンク、乳酸菌飲料などの機能性飲料;各種酒類風味(ビール風味、梅酒風味、チューハイ風味など)のアルコールテースト飲料などのノンアルコール嗜好飲料類(ノンアルコールビール、ノンアルコールチューハイなど);ワイン、焼酎、泡盛、清酒、ビール、チューハイ、カクテルドリンク、発泡酒、果実酒、薬味酒、いわゆる「第三のビール」などを含むビールテイスト飲料(ビール風味飲料ともいう)、その他醸造酒(発泡性)、リキュール(発泡性)、またはこれらを含む、アルコール飲料類;などを挙げることができる。
本発明の香味付与組成物を添加可能な香粧品は特に限定されないが、例として、オーデコロン、オードトワレ、オードパルファム、パルファムなどの香水類;シャンプー、リンス、整髪料(ヘアクリーム、ポマードなど)などのヘアケア製品;ファンデーション、口紅、リップクリーム、リップグロス、化粧水、化粧用乳液、化粧用クリーム、化粧用ゲル、美容液、パック剤などの化粧品類;制汗スプレー、デオドラントシート、デオドラントクリーム、デオドラントスティックなどのデオドラント製品;無機塩類系、清涼系、炭酸ガス系、スキンケア系、酵素系、生薬系などの入浴剤;サンタン製品、サンスクリーン製品などの日焼け化粧品類;フェイス用石鹸や洗顔クリームなどの洗顔料、ボディ用石鹸やボディソープ、洗濯用石鹸、洗濯用洗剤、消毒用洗剤、防臭洗剤、柔軟剤、台所用洗剤、清掃用洗剤などの保健・衛生用洗剤類;歯みがき、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどの保健衛生材料類;室内や車内などの芳香消臭剤、ルームフレグランスなどの芳香製品;などを挙げることができる。使用可能な香調も特に限定されず、本発明の香味付与組成物によって香味を付与可能な任意の香調であってよいが、例えば、柑橘類の香調(特に完熟感、果皮感、またはビター感の1種以上の付与)、パッションフルーツを含むソフトフルーツなどの果実の香調(特に完熟感、ビター感または果汁感の1種以上の付与)、香ばしいニュアンスを含む甘くもやや焦げ感のあるほろ苦い香調、例えばキャラメルや焼き菓子を想起させる香調に好適に使用することができる。そのほかにも、フローラル調、グリーン調、オゾン調などに使用してもよい。
本発明において、本発明の香味付与組成物を添加した飲食品、香粧品、医薬衛生品などの各種消費財中の式(1)の化合物の濃度は、消費財の香味や所望の効果の程度などに応じて任意に決定できる。
当該濃度の例として、飲食品であれば、飲食品の全体質量に対して、式(1)の化合物の濃度として0.01ppt~100ppm、好ましくは0.1ppt~10ppm、より好ましくは1ppt~1ppmの範囲内が挙げられる。例えば、下限値を0.01ppt、0.1ppt、1ppt、10ppt、100ppt、1ppb、10ppb、100ppb、1ppm、10ppmのいずれか、上限値を100ppm、10ppm、1ppm、100ppb、10ppb、1ppb、100ppt、10ppt、1ppt、0.1pptのいずれかとして、これら下限値および上限値の任意の組み合わせの範囲内でよいが、これらの濃度範囲に限定されない。なお、飲食品の種類や風味にも依存するが、飲食品中の式(1)の化合物の濃度が0.01ppt~100ppmの範囲内においては、化合物そのものの香気が過度に突出することなく、添加対象の飲食品に香味を付与することができる。添加対象の飲食品の香味特性などによっては、式(1)の化合物を前記下限を下回る濃度または前記上限を上回る濃度で添加してもよい。
香粧品であれば、香粧品の全体質量に対して、式(1)の化合物の濃度として0.01ppt~1%の範囲内が挙げられる。より具体的には、下限値を0.01ppt、0.1ppt、1ppt、10ppt、100ppt、1ppb、10ppb、100ppb、1ppm、10ppm、100ppm、0.1%のいずれか、上限値を1%、0.1%、100ppm、10ppm、1ppm、100ppb、10ppb、1ppb、100ppt、10ppt、1ppt、0.1pptのいずれかとして、これら下限値および上限値の任意の組み合わせの範囲内が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい濃度の例として、香粧品の全体質量に対して、式(1)の化合物の濃度として、100ppb~100ppm、1ppm~100ppm、1ppm~0.1%、10ppm~0.1%の各範囲から、香粧品の香気特性に応じて選択することができるが、これらに限定されない。なお、香粧品の種類や香気にも依存するが、香粧品中の式(1)の化合物の濃度が1ppt~1%において、化合物そのものの香気が過度に突出することなく、添加対象の飲食品に香味を付与することができる。添加対象の香粧品の香気特性などによっては、式(1)の化合物を、前記下限を下回る濃度または前記上限を上回る濃度で添加してもよい。
式(1)の化合物によって、各種物品に、トップの香味立ちおよび/またはミドルからラストの香味を付与することができ、とくに、ミドルからラストの香味の付与に有効である。例えば、式(1)の化合物を飲食品や香粧品などの物品に有効量添加することで、飲食品や香粧品などに使用された動植物素材を想起させるような天然感、フレッシュ感、果汁感、果肉感、みずみずしさ、ボリューム感(香りに伴い、味も増強されたように感じ香味全体が膨らんだような感覚)、コク感、畜肉感、香ばしさ、などの少なくとも1種が増強され、芯のある香味となり、それが良好なバランスのまま持続するという効果を奏する。特に、ミドルからラストにかけての香味付与に有効であり、具体的には、オニオンやガーリックなどの香辛料を使用する食品や、ロースト香のある飲食物(ココアやコーヒー、その製造で樽を用いる酒類、加熱調理された肉、スープ、カレーなど)の香味付与に効果があり、柑橘類やソフトフルーツ類に代表される各種果実の香味においても、特にビターな香味またはトロピカルフルーツ様の香味を含む果実香味の付与に効果があり、天然感が付与される。
さらに、本発明の香味付与組成物は、各種物品に添加して香味付与した結果、その物品に、炭酸感を付与することも可能である。炭酸感付与については、炭酸を含む、飲料や菓子に代表される各種物品に、本発明の香味付与組成物を所定量添加することでその物品に炭酸に起因する香味および/または刺激(本明細書では炭酸感という)を増強することができ、炭酸感のより具体的な例として、のど越しおよび炭酸刺激感が挙げられる。本明細書において、のど越しとは、嚥下された飲料が喉を通過する際に感じられる香味のボリューム感を意味しており、喉で感じられる筋肉の動きや飲み込みの抵抗感等を含む複合的な感覚を意味し、炭酸刺激感とは炭酸のパチパチとはじけるような爽快感を含む感覚を意味する。炭酸感付与の目的における添加対象物品の代表例に、炭酸入りアルコール飲料、炭酸入りノンアルコールのビール風味飲料、炭酸入りの清涼飲料、炭酸感が付与された菓子(錠菓、ガムなど)が例示できるが、これらに限定されない。炭酸感付与効果を得るために飲食品に対する式(1)の化合物の濃度を調整することができ、例えば、前述の飲食品における濃度範囲例0.01ppt~100ppm内において比較的低濃度で飲食品に添加することで、炭酸感付与効果を十分に得ることができる。炭酸感付与効果が得られやすい濃度範囲の例として、1ppt~1ppb、好ましくは10ppt~100pptの範囲が挙げられる。下限値を1ppt、5ppt、10ppt、20ppt、50ppt、100ppt、500pptのいずれか、上限値を1ppb、500ppt、200ppt、100ppt、50ppt、20ppt、10pptのいずれかとして、これらの任意の組合せによる濃度範囲を採用できるが、これらに限定されず、所望の炭酸感付与効果の程度や添加対象の飲食品の香味に応じて、1ppt未満または1ppbを超える濃度で使用してもよい。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。具体的には、本発明の香味付与組成物に含有させる式(1)の化合物の入手方法例、および本発明の香味付与組成物の各種物品への添加例を示す。
[実施例1]式(1)の化合物の合成
下記反応経路に従って合成した。
Figure 2022104508000005
(第1の反応) 500mL四口フラスコに出発物質の塩化アルケニル化合物(a1)(40.8g,390mmol)、トルエン(95.2g)、イオン交換水(131g)、チオ硫酸ソーダ五水和物(a2)(116g,468mmol)、テトラ(n-ブチル)アンモニウム=ブロミド(TBAB)(2.51g,7.80mmol)を加えて撹拌溶解し、20℃にて3時間激しく撹拌して反応させた。反応液の上層をサンプリングして(a1)の消費を確認した後、反応液を分液ロートに移して下層を分離し、上層を廃棄した。
(第2の反応) 第1の反応で得られた下層を500mL四口フラスコに移し、ヘキサン(64.3g)を加えた。激しく撹拌しつつ、20℃にてメチルメルカプタンナトリウム塩(a4)の20%水溶液(45.6g,130mmol)を一度に加えた。10分間激しく撹拌した後、反応液を分液ロートに移して上層を分離し、下層を廃棄した。得られた上層を10%食塩水(80g)で2回洗浄し、ロータリーエヴァポレーターで溶媒を留去した。得られた粗製(12.4g)を減圧蒸留(bp87℃/1.5kPa)にて精製することで、式(1)の化合物(6.94g,収率36%,純度98.4%)を得た。
得られた化合物の物性値は以下の通りであった。
H NMR(CDCl,400MHz) δ 1.71(3H,s),1.75(3H,s),2.41(3H,s),4.40(2H,d,J=8.0Hz),5.29(1H,tm,J=8.0Hz).
13C NMR(CDCl,100MHz) δ 17.9,23.5,25.8,36.5,119.3,137.3.
IR(液膜法,cm-1) 2976,2914,2856,1667,1438,1376,1306,1209,1103,952,843.
得られた式(1)の化合物の香気評価を行った。香気評価では、95%エタノールに式(1)の化合物を混合して式(1)の化合物の0.1%エタノール溶液を調製し、よく訓練された経験年数10年以上のパネリスト5名に嗅がせ、感じられる香気についてコメントさせた。その結果、感じられた香りとして、オニオン様、ガーリック様、トロピカルフルーツ様、ロースト様の香りが挙げられた。式(1)の化合物の0.1%エタノール溶液は、このまま各種物品に添加して、本発明の香味付与組成物として使用することができる(本発明品1-1)。
[実施例2] 果実香味付与組成物への添加例
下記表1~表3に示す一般的な処方に従って、レモン様の香りを有する基本調合香料組成物、オレンジ様の香りを有する基本調合香料組成物、およびグレープ様の香りを有する基本調合香料組成物をそれぞれ調製した。
Figure 2022104508000006
Figure 2022104508000007
Figure 2022104508000008
一方で、本発明の香味付与組成物として、95%エタノールに式(1)の化合物を混合して式(1)の化合物の任意の濃度のエタノール希釈溶液を用意した(本発明品2-1)。
得られた各基本調合香料組成物に、本発明品2-1を、式(1)の化合物の濃度が下記表4に示す濃度となるように添加して、本発明の香味付与組成物の一態様である本発明の香料組成物を調製した(本発明品2-2~2-22)。また、含硫化合物の一種であるスルフィドに属し香料化合物として知られるアリルメチルジスルフィドを比較品として選択し、下記表4に示す濃度となるように各基本調合香料組成物に添加して、比較品の香料組成物を調製した(比較品2-1~2-3)。そして、上記基本調合香料組成物を対照品として、対照品と比べた本発明品および比較品の香料組成物の香気について、よく訓練された経験年数10年以上のパネリスト10人に評価させた。評価にあたっては、香気の天然感について下記基準で点数付けさせるとともに、対照品と比べた香気について自由にコメントさせた。表4に、パネリスト10人の点数平均と代表的なコメントを示す。
(基準)対照品と比べた天然感について
「大きく増強された」=4点
「増強された」=3点
「わずかに増強された」=2点
「増強が感じられなかった」=1点
ここで、天然感とは、レモン果実、オレンジ果実、またはグレープ果実を想起させる香気が増強されており、本物の果実のような自然な香気であることを意味する。
Figure 2022104508000009
表4に示すように、式(1)の化合物は、各種果実香気の香料組成物に天然感を感じさせる良好な香気を付与できること、およびアリルメチルジスルフィドでは得られない香味付与効果が得られることが確認された。また、式(1)の化合物は、香料組成物中少なくとも10ppt~10%の濃度範囲内で香味付与効果を奏し、1ppb~0.1%の範囲で特に優れた効果を奏することが確認された。本実施例で得られた本発明品2-2~2-22の香料組成物は、本発明の香味付与組成物として、飲食品、香粧品、保健衛生品などの消費財に添加してその消費財への香味付与に使用することができる。
[実施例3] 果実風味飲食品への添加例
果実風味飲食品として市販のライムジュース、グレープフルーツジュース、レモネード、キウイジュース、ライチジュースを用意し、実施例2で得た本発明品2-1(式(1)の化合物のエタノール希釈溶液)を、式(1)の化合物の濃度が下記表5に示す濃度になるように市販の各ジュースに配合して、本発明の果実風味飲料を得た(本発明品3-1~3-25)。そして、市販の各ジュースを対照品として、本発明の果実風味飲料の香味について、よく訓練された経験年数10年以上のパネリスト10人に評価させた。評価にあたっては、対照品と比べた本発明品の果実風味飲料の天然感について下記基準で点数付けさせるとともに、対照品と比べた本発明品の香味について自由にコメントさせた。表5に、パネリスト10人の点数平均と代表的なコメントを示す。
(基準)対照品と比べた天然感について
「大きく増強された」=4点
「増強された」=3点
「わずかに増強された」=2点
「増強が感じられなかった」=1点
ここで、天然感とは、用意した市販の各果実飲料の素材である果実自体を想起させる香味が増強されており、実際の果実を絞って添加したような自然な香味を意味するものとした。
Figure 2022104508000010
表5に示すように、式(1)の化合物は各種果実風味に天然感を感じさせる良好な香味を付与できることが確認された。また、式(1)の化合物は、果実風味飲食品中少なくとも0.01ppt~100ppmの濃度範囲内で香味付与効果を奏し、1ppt~1ppmの範囲で特に優れた効果を奏することが確認された。
[実施例4] コーヒー風味飲食品への添加例
市販の無糖コーヒーに、実施例2で得た本発明品2-1(式(1)の化合物のエタノール希釈溶液)を化合物濃度が下記表6に示す濃度にように添加して、本発明のコーヒー風味飲料を得た(本発明品4-1~4-3)。また、比較品としてアリルメチルジスルフィドを用意し、化合物濃度が下記表7に示す濃度となるように市販の無糖コーヒーに添加し、比較品のコーヒー風味飲料を得た(比較品4-1)。そして、市販の無糖コーヒーを対照品として、得られた本発明および比較品のコーヒー風味飲料について、よく訓練された経験年数10年以上のパネリスト10人に、対照品と比べた本発明品および比較品の香味について自由にコメントさせた。表6に、パネリスト10人の代表的なコメントを示す。
Figure 2022104508000011
表6に示すように、本発明の香味付与組成物は、少なくとも式(1)の化合物の濃度がコーヒー風味飲食品中1ppt~1ppmの濃度範囲内で、コーヒー風味飲食品に香味を付与し、その自然な香ばしさを増強できることが確認された。
[実施例5] 各種風味の飲料への添加例
市販の炭酸マスカットジュース、ノンアルコールビールテイスト飲料、レモン香の無糖炭酸水を用意し、実施例2で得た本発明品2-1(式(1)の化合物のエタノール希釈溶液)を、式(1)の化合物の濃度が下記表7に示す濃度となるように市販の各飲料に添加して、本発明の飲料を得た(本発明品5-1~5-18)。そして、市販の各飲料を対照品として、本発明の飲料の香味について、よく訓練された経験年数10年以上のパネリスト10人に評価させた。評価にあたっては、対照品と比べた本発明品の香味の嗜好性について下記基準で点数付けさせるとともに、対照品と比べた本発明品の香味について自由にコメントさせた。嗜好性とは、おいしいと感じ、また喫食したいと感じるような感覚を意味する。表7に、パネリスト10人の点数平均と代表的なコメントを示す。
(基準)対照品と比べた嗜好性について
「大きく増強された」=4点
「増強された」=3点
「わずかに増強された」=2点
「増強が感じられなかった」=1点
Figure 2022104508000012
表7に示すように、式(1)の化合物は、少なくとも飲食品中1ppt~1ppmの濃度範囲内で香味付与効果を奏することが確認され、特に10ppt~10ppbの範囲で特に優れた効果を奏することが確認された。また、式(1)の化合物は、香味付与に加えて、1ppt~1ppbの範囲で炭酸感増強効果を奏することが確認された。
[実施例6] チョコレート、カカオ風味飲食品への添加例
市販のチョコレートドリンクおよびココア飲料を用意した。そして、実施例2で得た本発明品2-1(式(1)の化合物のエタノール希釈溶液)を、式(1)の化合物の濃度がそれぞれ下記表8に示す濃度となるように市販のチョコレートドリンクまたはココア飲料に添加して、本発明のチョコレート飲料およびココア飲料を得た(本発明品6-1~6-8)。そして、本発明の各飲料について、市販品を対照品として官能評価を行った。評価にあたっては、よく訓練された経験年数10年以上のパネリスト10人に、対照品と比較した本発明品のコク感について下記基準に従って点数付けさせるとともに、対照品と比べた本発明品の香味について自由にコメントさせた。ここで、コク感とは、香味が強くかつまろやかであり、喫食後の香味の余韻も十分に感じられる感覚を意味する。表8にパネリスト10人の点数平均と代表的なコメントを示す。
(基準)対照品と比べたコク感について
「大きく増強された」=4点
「増強された」=3点
「わずかに増強された」=2点
「増強が感じられなかった」=1点
Figure 2022104508000013
表8に示すように、本発明の香味付与組成物は、飲食品中少なくとも式(1)の化合物の濃度が1ppt~1ppmの濃度範囲内で、チョコレート風味やカカオ風味飲食品に香味を付与し、その代表例としてコク感を増強できることが確認された。
[実施例7] 各種酒類風味飲食品への添加例
市販のモルトウイスキーおよび赤ワインを用意した。実施例2で得た本発明品2-1(式(1)の化合物のエタノール希釈溶液)を、式(1)の化合物の濃度が下記表9に示す濃度となるように市販のモルトウイスキーまたは赤ワインに添加して、本発明の酒類風味飲料を得た(本発明品7-1~7-10)。そして、本発明の酒類風味飲料について、市販品を対照品として官能評価を行った。評価にあたっては、よく訓練された経験年数10年以上のパネリスト10人に、対照品と比較した本発明品の熟成感について下記基準に従って点数付けさせるとともに、対照品と比べた本発明品の香味について自由にコメントさせた。ここで、熟成感とは、適切な保存条件において長期間の継時変化を経て得られるような芳醇で味わい深いと感じさせる感覚を意味する。表9にパネリスト10人の点数平均と代表的なコメントを示す。
(基準)対照品と比べた熟成感について
「大きく増強された」=4点
「増強された」=3点
「わずかに増強された」=2点
「増強が感じられなかった」=1点
Figure 2022104508000014
表9に示すように、本発明の香味付与組成物は、少なくとも式(1)の化合物の濃度が1ppt~1ppmの濃度範囲内で、酒類風味飲食品に香味を付与し、その代表例として熟成感を向上できることが確認された。
[実施例8] 各種畜肉風味飲食品への添加例
市販のチキンコンソメスープの素を用意し、包装に記載された説明書きに従ってチキンコンソメスープを調製した。また、市販のグレイビーソースを用意した。そして、市販のチキンコンソメスープおよびグレイビーソースに、実施例2で得た本発明品2-1(式(1)の化合物のエタノール希釈溶液)を、式(1)の化合物の濃度が下記表10に示す濃度となるように添加して、本発明の畜肉風味飲食品を得た(本発明品8-1~8-10)。そして、本発明の畜肉風味飲食品のコク感および塩味感について、市販品を対照品として官能評価を行った。評価にあたっては、よく訓練された経験年数10年以上のパネリスト10人に、対照品と比較した本発明品のコク感について下記基準に従って点数付けさせるとともに、対照品と比べた本発明品の香味について自由にコメントさせた。表10にパネリスト10人の点数平均と代表的なコメントを示す。
(基準)対照品と比べたコク感および塩味感について
「大きく増強された」=4点
「増強された」=3点
「わずかに増強された」=2点
「増強が感じられなかった」=1点
Figure 2022104508000015
表10に示すように、本発明の香味付与組成物は、飲食品中少なくとも式(1)の化合物の濃度が1ppt~1ppmの濃度範囲内で、各種畜肉風味飲食品に香味を付与し、その代表例としてコク感と塩味感を付与できることが確認された。
また、表10に示す結果から、本発明の香味付与組成物は、加熱調理したタンパク質加工食品(例えば、ローストチキン、牛ステーキ、ローストポーク、焼き魚、畜肉または魚介ハンバーグなど)に、香ばしさ(加熱感、ロースト感ともいう)、調理感(単に食品素材そのものではなく、調味料や香辛料などで風味付けされ、さらに必要であれば加熱調理されて香ばしさなども加わった、複雑でおいしい風味であるという感覚)などを増強することができると考えられる。例えば、本発明の香味付与組成物は、レトルト食品に対し、調理したてのような香ばしさなどを付与することができると考えられる。
[実施例9]各種スパイスまたはハーブ風味飲食品への添加例
市販のニンニク風味ドレッシング、玉ねぎドレッシング、レトルトカレールーを用意し、実施例2で得た本発明品2-1(式(1)の化合物のエタノール希釈溶液)を、式(1)の化合物の濃度が下記表11に示す濃度となるように各市販品に添加して、本発明の飲食品を得た(本発明品9-1~9-18)。そして、本発明の飲食品のコク感および塩味感について、市販品を対照品として官能評価を行った。評価にあたっては、よく訓練された経験年数10年以上のパネリスト10人に、対照品と比較した本発明品のコク感および塩味感について下記基準に従って点数付けさせるとともに、対照品と比べた本発明品の香味について自由にコメントさせた。表11にパネリストの点数平均と代表的なコメントを示す。
(基準)対照品と比べたコク感および塩味感について
「大きく増強された」=4点
「増強された」=3点
「わずかに増強された」=2点
「増強が感じられなかった」=1点
Figure 2022104508000016
表11に示すように、本発明の香味付与組成物は、飲食品中少なくとも式(1)の化合物の濃度が1ppt~1ppmの濃度範囲内で、各種スパイスまたはハーブ風味飲食品に良好な香味を付与できることが確認され、その代表例としてコク感と塩味感を付与できることが確認された。
また、表12に示す結果から、本発明の香味付与組成物は、特にニンニク様および/または玉ねぎ様の香味を含む香味の物品(例えば、ニンニクなどの香辛料チューブ、オニオンスープ、その他ニンニクおよび/または玉ねぎを原材料に用いた各種調味料など)に有効に使用できると考えられる。
[実施例10] 加熱加工飲食品への添加例
市販のカラメルソースに、実施例2で得た本発明品2-1(式(1)の化合物のエタノール希釈溶液)を、式(1)の化合物濃度が10ppbとなるように添加してよく混合し、本発明の甘味飲食品を得た(本発明品10-1)。そして、本発明の甘味飲食品の風味について、よく訓練された経験年数10年以上のパネリスト5名に、対照品と比較した本発明品の香味について自由にコメントさせた。その結果、パネリスト5名全員が、本発明品は甘さを含むコク感および香ばしさが増強され、作り立てのカラメルソースのような、良好なビター感と甘さのある香り高いソースになったと評価した。
また、本実施例10および実施例8の結果から、本発明の香味付与組成物は、香ばしさを含む各種焼き菓子、パンなどの飲食品に好ましい香ばしさやコク感を与え、特に有効に使用できると考えられる。
[実施例11]柑橘調の香りの香粧品への添加例
市販のレモン調の液体芳香剤を用意した。そこに、実施例2で調製した、式(1)の化合物を1ppm含有する本発明のレモン香料組成物(本発明品2-6)を1%添加して、本発明のレモン調芳香剤を調製した(本発明品11-1)。そして、市販のレモン調の液体芳香剤を対照品として、本発明品のレモン調芳香剤の香気について、経験年数8年以上のパネリスト5名による官能評価を行った。その結果、パネリスト5名全員が、本発明品のレモン調芳香剤はレモンの果皮感や果汁感が付与され、搾りたてレモンのようなフレッシュな天然感のある香りになったと評価した。

Claims (5)

  1. 下記式(1)で表されるジスルフィド化合物を含む、香味付与組成物。
    Figure 2022104508000017
  2. 前記香味付与組成物が、香味付与に加えてさらに炭酸感の増強効果を有する、請求項1に記載の香味付与組成物。
  3. 請求項1または2に記載の香味付与組成物を含む消費財。
  4. 請求項1または2に記載の香味付与組成物を消費財に添加することを含む、消費財の香味付与方法。
  5. 請求項1または2に記載の香味付与組成物を他の香味付与組成物に添加することを含む、香味付与組成物の香味付与方法。
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