JP7389738B2 - 酸素原子および硫黄原子を含む環状化合物 - Google Patents

酸素原子および硫黄原子を含む環状化合物 Download PDF

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Description

本発明は、酸素原子および硫黄原子を含む環状化合物、および当該化合物を含む香味付与組成物に関する。
昨今、飲食品や香粧品における消費者の要求は高度化および多様化しているが、特に、香りに注目が集まっており、香りの特性が製品の訴求力に重要な要素となっている。例えば、製品への配合によって、当該製品の香りや味に持続性、天然感など特徴的な香味を付与できる化合物への要求が高まっている。
本発明に係る化合物のように、分子中に複素環、酸素原子および硫黄原子を有する化合物としては、例えば、2-フルフリルメチルスルフィド、2-フルフリルメチルジスルフィド、メチル(5-メチル-2-フリル)スルフィド、メチル(2-メチル-3-フリル)ジスルフィドなどの化合物がコーヒーの淹れたて感の付与に有効であることが知られている(特許文献1)。
しかし、飲食品や香粧品など各種物品によりよい香味を付与して、既存品の香味との差別化を可能とする新たな化合物の開発が期待されて続けている。
特開2008-259472号公報
本発明の課題は、物品への香味の付与に有用な新たな化合物を提供することである。
本発明者らは、物品への香味付与に有効な未知の化合物を鋭意探索したところ、香りを呈することや香味の付与効果が全く知られていなかった酸素原子および硫黄原子を含む環状化合物が香味付与に有用であることを見出した。すなわち、酸素原子および硫黄原子を含む環状化合物(具体的には、チオフェノン化合物およびフランチオン化合物)が、それぞれ特徴的な香気を有し、物品への香味付与に有用であることを見出し、本発明に至った。かくして、本発明は以下のものを提供する。
[1] 下記式(1)で表される化合物を含む、香味付与組成物。
Figure 0007389738000001
[式中、(i)~(iv)を満たす:(i)nは0~3の整数を表し、(ii)五員環の2箇所の破線は、1箇所が炭素-炭素間二重結合であり、もう1箇所が単結合であること、または2箇所とも単結合であることを表し、(iii)前記五員環の側鎖の破線は、1箇所が炭素-炭素間二重結合であり、その他の箇所が単結合であること、またはすべての箇所が単結合であることを表し、(iv)XおよびXは、一方が酸素原子であり、もう一方が硫黄原子である。]
[2] [1]に記載の香味付与組成物を含む消費財。
[3] [1]に記載の香味付与組成物を消費財に配合することを含む、消費財の香味付与方法。
[4] [1]に記載の香味付与組成物を他の香味付与組成物に配合することを含む、香味付与組成物の香味付与方法。
[5] 下記式(1’)で表される化合物。
Figure 0007389738000002
[式中、(i)~(iv)を満たす:(i)nは0~3の整数を表し、(ii)五員環の2箇所の破線は、1箇所が炭素-炭素間二重結合であり、もう1箇所が単結合であること、または2箇所とも単結合であることを表し、(iii)前記五員環の側鎖の破線は、1箇所が炭素-炭素間二重結合であり、その他の箇所が単結合であること、またはすべての箇所が単結合であることを表し、(iv)XおよびXは、一方が酸素原子であり、もう一方が硫黄原子である。(ただし、(i)nが1であり、(ii)前記五員環の破線の1箇所が炭素-炭素間二重結合であり、もう1箇所が単結合であり、(iii)前記側鎖の破線のすべての箇所が単結合であり、(iv)Xが硫黄原子、Xが酸素原子であり、かつ、前記側鎖が五員環の5位に結合している場合を除く。)]
本発明によって、各種物品への香味の付与に新規に使用可能な化合物を提供できるようになった。
以下、本発明について、具体例を挙げつつさらに詳細に説明する。本明細書において、「~」は下限値および上限値を含む範囲を意味し、濃度(ppt、ppb、ppmなど)、%は特に断りのない限りそれぞれ質量濃度、質量%を表すものとする。
(式(1)で表される化合物)
式(1)で表される、酸素原子および硫黄原子を含む環状化合物(本明細書では単に式(1)の化合物ということもある)はこれまで香りがあることも消費財など各種物品への香味付与に使用可能なことも全く知られていなかった化合物群であり、本発明者らによって香味付与用途の有用性が初めて確認されたものである。
Figure 0007389738000003
式(1)中、(i)~(iv)を満たす:(i)nは0~3の整数を表し、(ii)五員環の2箇所の破線は、1箇所が炭素-炭素間二重結合であり、もう1箇所が単結合であるか、または2箇所とも単結合であることを表し、(iii)前記五員環の側鎖(本明細書では、単に側鎖ということもある)の破線は、1箇所が炭素-炭素間二重結合であり、その他の箇所が単結合であること、またはすべての箇所が単結合であることを表し、(iv)XおよびXは、それぞれ酸素原子および硫黄原子であるか、それぞれ硫黄原子および酸素原子である。
式(1)中、XおよびXがそれぞれ酸素原子および硫黄原子である場合は、フランチオン化合物といえて、XおよびXがそれぞれ硫黄原子および酸素原子である場合は、チオフェノン化合物といえる。
式(1)中、nは好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは1~2の整数であり、さらに好ましくは1である。また、式(1)中、破線のうち、好ましくは炭素-炭素間二重結合が五員環に1箇所、かつ側鎖に1箇所存在し、nは1で、側鎖の破線のうち3位と4位の間に二重結合が存在する、またはnは2で側鎖の二重結合が4位と5位の間に1箇所存在する。より好ましくは、五員環に存在する前記炭素-炭素間二重結合は、3位と4位の間に1箇所存在する。また、フランチオン化合物の場合、好ましくは、側鎖は五員環の4位に結合している。
式(1)の化合物の好ましい具体例としては、以下の式(1-1)の化合物、式(1-2)の化合物、式(1-3)の化合物、および式(1-4)の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。式(1-1)の化合物は、nが1であり、側鎖の破線のうち3位と4位の間に二重結合が1箇所存在し、その他の箇所は単結合であり、五員環に1箇所存在する前記炭素-炭素間二重結合は3位と4位の間に存在し、XおよびXがそれぞれ酸素原子および硫黄原子であり、側鎖は五員環の4位に結合している場合である。式(1-2)の化合物は、nが1であり、側鎖の破線のうち3位と4位の間に二重結合が1箇所存在し、その他の箇所は単結合であり、五員環に1箇所存在する前記炭素-炭素間二重結合は3位と4位の間に存在し、XおよびXがそれぞれ硫黄原子および酸素原子であり、側鎖は五員環の4位に結合している場合である。式(1-3)の化合物は、nが1であり、側鎖の破線のうち3位と4位の間に二重結合が1箇所存在し、その他の箇所は単結合であり、五員環に1箇所存在する前記炭素-炭素間二重結合は3位と4位の間に存在し、XおよびXがそれぞれ硫黄原子および酸素原子であり、側鎖は五員環の3位に結合している場合である。式(1-4)の化合物は、nが1であり、側鎖の破線のうち3位と4位の間に二重結合が1箇所存在し、その他の箇所は単結合であり、五員環に1箇所存在する前記炭素-炭素間二重結合は3位と4位の間に存在し、XおよびXがそれぞれ硫黄原子および酸素原子であり、側鎖は五員環の5位に結合している場合である。
Figure 0007389738000004
(式(1)の化合物の製造例)
式(1)の化合物を得る手段は特に限定されないが、例えば、下記の一般的な方法によって得ることができる。
(合成例1)
本発明の式(1)の化合物のうち、XおよびXがそれぞれ酸素原子および硫黄原子である場合、すなわちフランチオン化合物は、例えば下記反応経路1、2に示す反応経路によって製造することが出来る。すなわち二重結合を有するラクトン化合物のカルボニル酸素を、硫化剤を用いて硫黄に置換することで得られる。
二重結合を有するラクトン化合物は、例えば、以下の反応経路1に記載の方法に従って合成できる。反応経路1中、Rは式(1)の側鎖に相当し、炭素数5~8のアルキル基またはアルケニル基であり、イソペンチル基、イソヘキシル基、3-メチル-2-ブテニル基(プレニル基)、4-メチル-3-ペンテニル基(ホモプレニル基)、5-メチル-4-ヘキセニル基などを挙げることが出来るが、ホモプレニル基が好ましい。
Figure 0007389738000005
上記反応の工程は、ヒドロキシル基が保護されたプロパルギルアルコールA(式Aにおいて、PGは保護基を表す)を原料として、任意の塩基とクロロギ酸エチルを用いてエトキシカルボニル化し三重結合を有する不飽和エステルBとする。なおクロロギ酸エチルは必ずしもエチルエステルである必要はなくメチル、プロピル等の任意のアルキルエステルを用いてもよい。得られた不飽和エステルBに対し銅試薬存在下、グリニャール試薬を加えることでZ選択的に共役付加反応させ二重結合を有する不飽和エステルCとする。得られた不飽和エステルCの脱保護を行うと環化まで進行し、目的のラクトン化合物を得ることが出来る。以下、各工程について一般的な製法を述べるが、本発明を限定するものではない。上記反応の出発物質として用いられるヒドロキシル基が保護されたプロパルギルアルコールAは、一般的な方法に従って合成されたもの、または市販品のいずれでもよい。保護基としてはエトキシエチル(EE)基やテトラヒドロピラニル(THP)基のようなアセタール系保護基やt-ブチルジメチルシリル(TBS)基のようなシリル系保護基などを挙げることが出来るが、EE基が好ましい。エトキシカルボニル化反応に用いる塩基は特に限定はされないが、n-ブチルリチウムが好ましい。共役付加反応に用いるグリニャール試薬は対応するハロゲン化アルキルとマグネシウムから調製することが出来る。ハロゲン化アルキルは一般的な方法に従って合成されたもの、または市販品のいずれでもよい。用いる銅試薬は臭化銅ジメチルスルフィド錯体、臭化銅、ヨウ化銅などを挙げることが出来るが、臭化銅ジメチルスルフィド錯体が好ましい。脱保護の条件は用いた保護基の種類によって適宜選択してよい。EE基のようなアセタール系保護基は一般的には酸加水分解で脱保護されるが特に限定はされない。酸加水分解に用いる酸は塩酸、硫酸などを挙げることが出来るが、塩酸が好ましい。脱保護が進行すると環化まで進行し目的物D、すなわち二重結合を有するラクトン化合物へと変換される。
反応経路1ではラクトン環の4位に側鎖がある場合の反応経路であるが、ラクトン環の3位に側鎖のあるラクトン化合物の場合は、Biosci.Biotechnolo.Biochem.,66(1),pp.135-140(2002)に記載の方法を参照して合成でき、ラクトン環の5位に側鎖のあるラクトン化合物の場合は、Biosci.Biotechnolo.Biochem.,84(8),pp.1560-1569(2020)に記載の方法を参照して合成できる。
次いで、反応経路1によって得られた二重結合を有するラクトン化合物のカルボニル酸素を、下記反応経路2に従って、硫化剤を用いて硫黄に置換して、目的物E、すなわち式(1)の化合物の一態様であるフランチオン化合物が得られる。用いる硫化剤は特に限定はされないが、ローソン試薬が好ましい。
Figure 0007389738000006
(合成例2)
また、式(1)の化合物のうち、五員環の4位に側鎖を有するフランチオン化合物の場合は、別法として、下記反応経路3に示すようにラクトン前駆体Fのカルボニル酸素を硫黄に置換し、その後環化することで製造することも出来る。
Figure 0007389738000007
上記反応の出発物質として用いられる前駆体Fは一般的な方法に従って合成されたもの、または市販品のいずれでもよい。例えば、J.Agric.Food.Chem.2019,67,pp.7410-7415に記載の方法に従って合成できる。ラクトン前駆体Fの保護基(PG)としてはエトキシエチル(EE)基やテトラヒドロピラニル(THP)基のようなアセタール系保護基やt-ブチルジメチルシリル(TBS)基のようなシリル系保護基などを挙げることが出来るが、EE基が好ましい。ラクトン前駆体FのRは式(1)の側鎖に相当し、炭素数5~8のアルキル基またはアルケニル基であり、イソペンチル基、イソヘキシル基、プレニル基、ホモプレニル基、5-メチル-4-ヘキセニル基などを挙げることが出来るが、ホモプレニル基が好ましい。ラクトン前駆体のRはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などを挙げることが出来るが、エチル基が好ましい。ラクトン前駆体に対し前述の方法で硫黄原子を導入し、その後ラクトン前駆体を脱保護すると環化まで進行し目的物へと変換される。脱保護の条件は用いた保護基の種類によって選択する必要がある。EE基のようなアセタール系保護基は一般的には酸加水分解で脱保護されるが特に限定はされない。酸加水分解に用いる酸は塩酸、硫酸などを挙げることが出来るが、塩酸が好ましい。
(合成例3)
本発明の式(1)の化合物のうち、XおよびXがそれぞれ硫黄原子および酸素原子である場合、すなわちチオフェノン化合物は、例えば下記反応経路4や5に示す反応経路によって製造することが出来る。すなわち対応するチオフェンを酸化することで得られる。以下、一般的な製法を述べるが、本発明を限定するものではない。
Figure 0007389738000008
Figure 0007389738000009
上記反応の出発物質として用いられるチオフェンKまたはLは一般的な方法に従って合成されたもの、または市販品のいずれでもよい。例えば、チオフェンKであれば、Bull.Chem.Soc.Jpn.1983,56,pp.1446-1449に記載の方法に従って、チオフェンLであれば、Recl.Trav.Chim.Pays-Bas.1977,96,pp.18-22に記載の方法に従って、合成することができる。チオフェンKおよびLのRは式(1)の側鎖に相当し、炭素数5~8のアルキル基またはアルケニル基であり、イソペンチル基、イソヘキシル基、プレニル基、ホモプレニル基、5-メチル-4-ヘキセニル基などを挙げることが出来るが、ホモプレニル基が好ましい。酸化の方法は特に限定はされないが、ホウ酸エステルを経由した酸化方法が好ましい。具体的には、まずチオフェンを塩基で処理し脱プロトン化し、その後ホウ酸エステルと反応させ、得られたホウ酸エステルを酸化剤で処理することで目的物H、IまたはJ、すなわち式(1)の化合物の一態様であるチオフェノン化合物へと変換される。用いる塩基はn-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、グリニャール試薬などを挙げることが出来るが、n-ブチルリチウムが好ましい。用いるホウ酸エステルはホウ酸トリメチル、ホウ酸トリブチルなどを挙げることが出来るが、ホウ酸トリメチルが好ましい。用いる酸化剤は過酸化水素水、オキソン、酸素などが挙げられるが、過酸化水素水が好ましい。
式(1)の各化合物は、それ自体、硫黄様、メタリック、ゴマ様、熟成香(熟した果実の甘い香りや、熟成したワインやウイスキーのような甘く香ばしいような感覚)、ゴム様、ワキシー(ワックスまたは蝋様)、オイリー(油様)、チキン様、ラクトン(lactone)様(ラクトン化合物から感じられるような甘さ、クリーミーさなどを含む感覚)、ハーブ様、柑橘様といった香気を含む特徴的な香気を呈し、各種物品に配合することで配合対象に香味を付与できる。配合対象としては特に限定されないが、香味付与組成物(詳細は後述する)、飲食品、香粧品、医薬衛生品などの消費財を例示できる。
本明細書において、香味とは、香りによって変化し得る1種または複数種の感覚、代表的には嗅覚および/または味覚を含む感覚を意味する。本明細書において、用語「香味を付与」とは、前記香味を新たに加える、または増強することを含み、例えば、付与の結果香味が改善されるものであってよい。さらには、香味の付与の結果、嗅覚および/または味覚以外の感覚、例えば、冷感、温感、質感(のど越し、固さ、粘度など、テクスチャともいう)、炭酸感や辛さなどの刺激感、などを増強、抑制、または改善するものであってもよい。また、本明細書において、飲食品の香味を風味と呼ぶこともある。
(本発明の香味付与組成物)
本発明の香味付与組成物は、式(1)の化合物の1種以上を所定量含むものであり、各種物品に配合してその物品に香味を付与(香味付与の定義は上述した通りである)することのできるものである。
本発明の香味付与組成物の例として、各種物品に香りを付与できる組成物、すなわちいわゆる香料;各種物品に香りおよび/または味を付与できる各種エキス;各種飲食品に香りおよび/または味を付与できるその他食品添加物;各種香粧品や医薬衛生品に香りおよび/または味を付与できる添加物;などが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の香味付与組成物は、式(1)の化合物の他にも任意の成分を含み得るが、実質的に式(1)の化合物のみからなるものであってもよい。本発明の香味付与組成物が式(1)の化合物以外の成分も含む場合、当該香味付与組成物中の式(1)の化合物の濃度は、香味付与組成物の配合対象や香気特性に応じて任意に決定できる。なお、本明細書において、濃度とは特に断りのない限り最終濃度とする。
当該濃度の例として、本発明の香味付与組成物が式(1)の化合物およびその溶媒(具体例は後述)以外の成分を実質的に含まない場合は、0.1%~100%の範囲内が例示できる。好ましい例として1%~100%、10%~100%、20%~100%、50%~100%、70%~100%、80%~100%、90%~100%、95%~100%、および99%~100%の範囲内、ならびに実質的に100%が挙げられる。
当該濃度の例として、特に香味付与組成物が式(1)の化合物以外にも香味付与可能なその他成分を含む場合には、香味付与組成物の全体質量に対して、0.001ppm~1%、好ましくは0.1ppm~1%の範囲内が挙げられる。より具体的には、下限値を0.001ppm、0.01ppm、0.1ppm、1ppm、10ppm、100ppm、0.1%のいずれかとし、上限値を1%、0.1%、100ppm、10ppm、1ppm、0.1ppm、0.01ppmのいずれかとして、これら下限値および上限値の任意の組み合わせによる範囲内とすることができるが、これらに限定されない。なお、香味付与組成物の処方や香調にも依存するが、香味付与組成物中の式(1)の化合物の濃度が0.001ppm未満の場合は配合効果が低いと感じられる場合があり、1%を超える場合は式(1)の化合物由来の香りが強く配合対象の香味付与組成物の香気特性を好ましくないと感じさせる場合があるが、配合対象の香味付与組成物の香調などによっては、式(1)の化合物を前記下限を下回る濃度または前記上限を上回る濃度で配合してもよい。
また、本発明の香味付与組成物において式(1)の化合物に加えて、さらに含有し得る他の任意の化合物または成分の例として、各種類の香料化合物または香料組成物、油溶性色素類、ビタミン類、機能性物質、魚肉エキス類、畜肉エキス類、植物エキス類、酵母エキス類、動植物タンパク質類、動植物蛋白分解物類、澱粉、デキストリン、糖類、アミノ酸類、核酸類、有機酸類、溶剤などを例示することができる。例えば、「特許庁公報、周知・慣用技術集(香料)第II部食品用香料、平成12年1月14日発行」、「日本における食品香料化合物の使用実態調査」(平成12年度厚生科学研究報告書、日本香料工業会、平成13年3月発行)、および「合成香料 化学と商品知識」(2016年12月20日増補新版発行、合成香料編集委員会編集、化学工業日報社)に記載されている天然精油、天然香料、合成香料などを挙げることができる。
合成香料化合物のその他の例として、炭化水素化合物としては、α-ピネン、β-ピネン、ミルセン、カンフェン、リモネンなどのモノテルペン、バレンセン、セドレン、カリオフィレン、ロンギフォレンなどのセスキテルペン、1,3,5-ウンデカトリエンなどが挙げられる。
アルコール化合物としては、ブタノール、ペンタノール、3-オクタノール、ヘキサノール、(Z)-3-ヘキセン-1-オール、プレノール、2,6-ノナジエノールなどの飽和または不飽和アルコール、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、テトラヒドロミルセノール、ファルネソール、ネロリドール、セドロール、テルピネオールなどのテルペンアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコールが挙げられる。
アルデヒド化合物としては、アセトアルデヒド、ヘキサナール、オクタナール、デカナール、(E)-2-ヘキセナール、2,4-オクタジエナールなどの飽和または不飽和アルデヒド、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、シトラール、ミルテナール、ペリルアルデヒドなどのテルペンアルデヒド、ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、アミルシンナムアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、ヘリオトロピン、p-トリルアルデヒドなどの芳香族アルデヒドが挙げられる。
ケトン化合物としては、2-ヘプタノン、2-ウンデカノン、1-オクテン-3-オン、アセトインなどの飽和または不飽和ケトン、ジアセチル、2,3-ペンタンジオン、マルトール、エチルマルトール、シクロテン、2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンなどのジケトンおよびヒドロキシケトン、カルボン、メントン、ヌートカトンなどのテルペンケトン、α-イオノン、β-イオノン、β-ダマセノンなどのテルペン分解物に由来するケトン、ラズベリーケトンなどの芳香族ケトンが挙げられる。
フランまたはエーテル化合物としては、フルフリルアルコール、フルフラール、ローズオキシド、リナロールオキシド、メントフラン、テアスピラン、エストラゴール、オイゲノール、1,8-シネオールなどが挙げられる。
エステル化合物としては、酢酸エチル、酢酸イソアミル、酪酸エチル、イソ酪酸エチル、酪酸イソアミル、2-メチル酪酸エチル、3-メチル酪酸エチル、イソ酪酸2-メチルブチル、ヘキサン酸エチル、ヘキサン酸アリル、ヘプタン酸エチル、カプロン酸エチル、イソ吉草酸イソアミル、ノナン酸エチルなどの脂肪族エステル、酢酸リナリル、酢酸ゲラニル、酢酸ラバンジュリル、酢酸テルペニルなどのテルペンアルコールエステル、酢酸ベンジル、酪酸ベンジル、サリチル酸メチル、サリチル酸ベンジル、ケイ皮酸メチル、プロピオン酸シンナミル、安息香酸エチル、イソ吉草酸シンナミル、3-メチル-2-フェニルグリシド酸エチルなどの芳香族エステルが挙げられる。
ラクトン化合物としては、γ-デカラクトン、γ-ドデカラクトン、δ-デカラクトン、δ-ドデカラクトン、7-デセン-4-オリド、2-デセン-5-オリドなどの飽和または不飽和ラクトンが挙げられる。
酸化合物としては、酢酸、酪酸、オクタン酸、イソバレル酸、カプロン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸などの飽和または不飽和脂肪酸が挙げられる。
含窒素化合物としては、インドール、スカトール、ピリジン、アルキル置換ピラジン、アントラニル酸メチル、トリメチルピラジンなどが挙げられる。
含硫化合物としては、メタンチオール、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィド、アリルイソチオシアネート、3-メチル-2-ブテン-1-チオール、3-メチル-2-ブタンチオール、3-メチル-1-ブタンチオール、2-メチル-1-ブタンチオール、およびフルフリルメルカプタンなどが挙げられる。
天然精油としては、スイートオレンジ、ビターオレンジ、プチグレン、レモン、ベルガモット、マンダリン、ネロリ、ペパーミント、スペアミント、ラベンダー、カモミール、ローズマリー、ユーカリ、セージ、バジル、ローズ、ヒヤシンス、ライラック、ゼラニウム、ジャスミン、イランイラン、アニス、クローブ、ジンジャー、ナツメグ、カルダモン、スギ、ヒノキ、ベチバー、パチョリ、ラブダナムなどが挙げられる。
各種動植物エキスとしては、ハーブまたはスパイスの抽出物、コーヒー、緑茶、紅茶、またはウーロン茶の抽出物や、乳または乳加工品およびこれらのリパーゼおよび/またはプロテアーゼなどの各種酵素分解物などが挙げられる。
本発明の香味付与組成物は、式(1)の化合物を公知の方法によって適切な溶媒や分散媒に配合して調製することができる。
本発明の香味付与組成物の形態としては、式(1)の化合物やその他成分を水溶性または油溶性の溶媒に溶解した溶液、乳化製剤、粉末製剤、その他固体製剤(固形脂など)などが好ましい。
水溶性溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、2-プロパノール、メチルエチルケトン、グリセリン、プロピレングリコールなどを例示することができる。これらのうち、飲食品への使用の観点から、エタノールまたはグリセリンが特に好ましい。油溶性溶媒としては、植物性油脂、動物性油脂、精製油脂類(例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの加工油脂や、トリアセチン、トリプロピオニンなどの短鎖脂肪酸トリグリセリドが挙げられる)、各種精油、トリエチルシトレートなどを例示することができる。
また、乳化製剤とするためには、式(1)の化合物を水溶性溶媒および乳化剤と共に乳化して得ることができる。式(1)の化合物の乳化方法としては特に制限されるものではなく、従来から飲食品などに用いられている各種類の乳化剤、例えば、脂肪酸モノグリセリド、脂肪酸ジグリセリド、脂肪酸トリグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン、化工でん粉、ソルビタン脂肪酸エステル、キラヤ抽出物、アラビアガム、トラガントガム、グアーガム、カラヤガム、キサンタンガム、ペクチン、アルギン酸及びおよびその塩類、カラギーナン、ゼラチン、カゼインキラヤサポニン、カゼインナトリウムなどの乳化剤を使用してホモミキサー、コロイドミル、回転円盤型ホモジナイザー、高圧ホモジナイザーなどを用いて乳化処理することにより安定性の優れた乳化液を得ることができる。これら乳化剤の使用量は厳密に制限されるものではなく、使用する乳化剤の種類などに応じて広い範囲にわたり変えることができるが、通常、式(1)の化合物1質量部に対し、約0.01~約100質量部、好ましくは約0.1~約50質量部の範囲内が適当である。また、乳化を安定させるため、かかる水溶性溶媒液は水の他に、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マルチトール、ショ糖、グルコース、トレハロース、糖液、還元水飴などの多価アルコール類の1種類または2種類以上の混合物を配合することができる。
また、かくして得られた乳化液は、所望ならば乾燥することにより粉末製剤とすることができる。粉末化に際して、さらに必要に応じて、アラビアガム、トレハロース、デキストリン、砂糖、乳糖、ブドウ糖、水飴、還元水飴などの糖類を適宜配合することもできる。これらの使用量は粉末製剤に望まれる特性などに応じて適宜に選択することができる。
本発明の香味付与組成物はさらに、必要に応じて、香味付与組成物において通常使用されている成分を含有していてもよい。例えば、水、エタノールなどの溶剤や、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ヘキシルグリコール、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、ジエチルフタレート、ハーコリン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、中鎖脂肪酸ジグリセライドなどの香料保留剤を含有することができる。
(各種物品への使用)
本発明の式(1)の化合物を含む香味付与組成物は、各種物品に配合して使用することができる。各種物品への香味付与によって、香味の付与された物品が製造される。そのため、本発明において、各種物品への香味付与方法とは、香味の付与された物品の製造方法ともいえる。ここで、本発明の配合対象である各種物品は、生産者による製造途中のものであってもよく、上市され消費者が用い得るものであってもよい。例えば、飲食品、香粧品、保健衛生品などの各種消費財に本発明の香味付与組成物を配合することで、香味の付与された消費財が製造でき、本発明の香味付与組成物の配合は、生産者の消費財の製造中に行われてもよいし、上市された消費財に対し、消費者によって行われてもよい。また、本発明の香味付与組成物を他の香味付与組成物に配合してさらに香味を付与することで、香味の付与された新たな香味付与組成物を製造してもよく、この新たな香味付与組成物も、本発明の香味付与組成物として各種物品の製造に用いることができる。例えば、式(1)の化合物を含む香味付与組成物は、それ自体を飲食品、香粧品、医薬衛生品などの各種消費財、または他の香味付与組成物などの各種物品に配合してもよいし、1種または2種以上の水溶性香料、乳化香味付与組成物、任意の香料化合物、天然精油(例えば、前掲の「特許庁公報、周知・慣用技術集(香料)第II部食品香料」、「日本における食品香料化合物の使用実態調査」、および「合成香料 化学と商品知識」に記載される香料化合物)、から選択される1種以上と併せて各種物品に配合してもよい。
本発明の式(1)の化合物を含む香味付与組成物を配合可能な飲食品は特に限定されないが、例として、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、ライム、マンダリン、みかん、カボス、スダチ、ハッサク、イヨカン、ユズ、シークワーサー、金柑などの各種柑橘風味;ストロベリー、ブルーベリー、ラズベリー、アップル、チェリー、プラム、アプリコット、ピーチ、パイナップル、バナナ、メロン、マンゴー、パパイヤ、キウイ、ペアー、グレープ、マスカット、巨峰などの各種フルーツ風味;ミルク、ヨーグルト、バターなどの乳風味;バニラ風味;緑茶、抹茶、ほうじ茶、紅茶、烏龍茶、プーアル茶、ハーブティーなどの各種茶風味;コーヒー風味;コーラ風味;カカオ風味;ココア風味;スペアミント、ペパーミントなどの各種ミント風味;シナモン、カモミール、カルダモン、キャラウェイ、クミン、クローブ、コショウ、コリアンダー、サンショウ、シソ、ショウガ、スターアニス、タイム、トウガラシ、ナツメグ、バジル、マジョラム、ローズマリー、ローレル、ワサビ、山椒などの各種スパイスまたはハーブ風味;アーモンド、カシューナッツ、クルミなどの各種ナッツ風味;ワイン、ブランデー、ウイスキー、ラム、ジン、リキュール、日本酒、焼酎、ビールなどの各種酒類(アルコール)風味;ニンジン、トマト、キュウリなどの野菜風味;などの風味の1以上を有する飲食品が挙げられる。すなわち、上記風味の1種類のみを感じさせる飲食品でもよく、2種類以上の風味を感じさせる飲食品でもよく、その複数種類の風味が同類であっても異類であってもよく、例えば、前者の例としてフルーツ風味のうちバナナ、ピーチおよびアップル風味など複数のフルーツ風味を感じさせる(いわゆるミックスフルーツ風味)が挙げられ、後者の例として、レモンなどの柑橘風味および乳風味を感じさせるもの(シトラス風味の乳酸菌飲料など)や、ミント風味や柑橘風味およびコーラ風味を感じさせるもの(ミントまたはレモンフレーバーのコーラ飲料など)が挙げられるが、式(1)の化合物またはそれを含有する香料組成物によって香味を付与可能な任意の風味であってよい。
好適に使用できる風味の例として、柑橘を代表とする各種果実風味;ビール風味;紅茶、緑茶に代表される各種茶風味;乳風味;油脂風味;チョコレート風味;ココア風味;ショウガやシソなどを含む各種スパイスまたはハーブ風味;畜肉風味;卵風味などを挙げることができるが、これらに限定されない。式(1-1)の化合物のようなフランチオン化合物の場合は、果実、ワイン、ウイスキーなどの熟成感、飲食品の加熱(代表的には焙煎したもの、焼いたもの、蒸したもの、炒ったもの)感の付与や、香味のトップから香ばしさなど印象的な香味をより強く感じさせる効果があるため、コーヒー、ゴマ、チョコレート、カカオ、各種加熱調理品(例えば、餃子、チャーハン、とんかつ、フライなど高温調理したものなど)、焼き菓子、パン類、きなこ、黒ビールなどの飲食品や、これらのような香気を有する香粧品や保健衛生品が例示できる。式(1-2)~(1-4)の化合物のようなチオフェノン化合物では、動物または植物油脂を用いたオイリー感のある飲食品、柑橘果皮のようなワキシー感を有する香味を有する飲食品、香粧品または医薬衛生品、動物性食品素材由来のだしやスープ(チキンスープ、コンソメ、豚骨スープなど)を用いた各種飲食品、卵を使用した各種飲食品、畜肉を使用した各種飲食品、可食性の植物(特にハーブ)を用いた飲食品、香粧品または医薬衛生品、茶葉(例えば、紅茶、ウーロン茶、プーアル茶、緑茶など)を用いた飲食品、香粧品または医薬衛生品が例示できる。
より具体的な飲食品例としては、せんべい、あられ、おこし、餅類、饅頭、ういろう、あん類、羊かん、水羊かん、錦玉、ゼリー、カステラ、飴玉、ビスケット、クラッカー、ポテトチップス、クッキー、パイ、プリン、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、ドーナツ、チョコレート、チューインガム、キャラメル、キャンディー、ピーナッツペーストまたはその他のペースト類、などの菓子類;パン、うどん、ラーメン、中華麺、すし、五目飯、チャーハン、ピラフ、餃子の皮、シューマイの皮、お好み焼き、たこ焼き、などのパン類、麺類、ご飯類、その他穀類;糠漬け、梅干、福神漬け、べったら漬け、千枚漬け、らっきょう、味噌漬け、たくあん漬け、および、それらの漬物の素、などの漬物類;サバ、イワシ、サンマ、サケ、マグロ、カツオ、クジラ、カレイ、イカナゴ、アユなどの魚類、スルメイカ、ヤリイカ、紋甲イカ、ホタルイカなどのイカ類、マダコ、イイダコなどのタコ類、クルマエビ、ボタンエビ、イセエビ、ブラックタイガーなどのエビ類、タラバガニ、ズワイガニ、ワタリガニ、ケガニなどのカニ類、アサリ、ハマグリ、ホタテ、カキ、ムール貝などの貝類、などの魚介類;缶詰、煮魚、佃煮、すり身、水産練り製品(ちくわ、蒲鉾、あげ蒲鉾、カニ足蒲鉾など)、フライ、天ぷら、などの魚介類の加工飲食物類;鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉、馬肉などの畜肉類;カレー、シチュー、ビーフシチュー、ハヤシライスソース、ミートソース、マーボ豆腐、ハンバーグ、餃子、釜飯の素、スープ類(コーンスープ、トマトスープ、コンソメスープなど)、肉団子、角煮、畜肉缶詰などの畜肉を用いた加工飲食物類;卓上塩、調味塩、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、ひしお、ふりかけ、お茶漬けの素、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、中華の素、天つゆ、めんつゆ(昆布だしまたは鰹だしなど)、ソース(中濃ソース、トマトソースなど)、ケチャップ、焼肉のタレ、カレールー、シチューの素、スープの素、だしの素(昆布だしまたは鰹だしなど)、複合調味料、新みりん、唐揚げ粉・たこ焼き粉などのミックス粉、などの調味料類、これらの調味料類が添加された動物性または植物性だし風味飲食品;チーズ、ヨーグルト、バターなどの乳製品;野菜の煮物、筑前煮、おでん、鍋物などの煮物類;持ち帰り弁当の具や惣菜類;リンゴ、ぶどう、柑橘類(グレープフルーツ、オレンジ、レモンなど)などの果物の果汁飲料や果汁入り清涼飲料、果物の果肉飲料や果粒入り果実飲料;トマト、ピーマン、セロリ、ウリ、ニガウリ、ニンジン、ジャガイモ、アスパラガス、ワラビ、ゼンマイなどの野菜や、これら野菜類を含む野菜系飲料、野菜スープなどの野菜含有飲食品;コーヒー、ココア、緑茶、紅茶、烏龍茶、清涼飲料、コーラ飲料、乳酸菌飲料などの嗜好飲料品;生薬やハーブを含む飲料;コーラ飲料、果汁飲料、乳飲料、ノンアルコールビールやいわゆる「第三のビール」などを含むビールテイスト飲料(ビール風味飲料ともいう)、スポーツドリンク、ハチミツ飲料、ビタミン補給飲料、ミネラル補給飲料、栄養ドリンク、滋養ドリンク、乳酸菌飲料などの機能性飲料;各種酒類(ビール風味、梅酒風味、チューハイ風味など)風味のアルコールテースト飲料などのノンアルコール嗜好飲料類;ワイン、焼酎、泡盛、清酒、ビール、チューハイ、カクテルドリンク、発泡酒、果実酒、薬味酒、いわゆる「第三のビール」などのその他醸造酒(発泡性)またはリキュール(発泡性)など、またはこれらを含むアルコール飲料類;などを挙げることができる。
本発明の式(1)の化合物を含む香味付与組成物を配合可能な香粧品または医薬衛生品は特に限定されないが、例として、オーデコロン、オードトワレ、オードパルファム、パルファムなどの香水類;シャンプー、リンス、整髪料(ヘアクリーム、ポマードなど)などのヘアケア製品;ファンデーション、口紅、リップクリーム、リップグロス、化粧水、化粧用乳液、化粧用クリーム、化粧用ゲル、美容液、パック剤などの化粧品類;制汗スプレー、デオドラントシート、デオドラントクリーム、デオドラントスティックなどのデオドラント製品;無機塩類系、清涼系、炭酸ガス系、スキンケア系、酵素系、生薬系などの入浴剤;サンタン製品、サンスクリーン製品などの日焼け化粧品類;フェイス用石鹸や洗顔クリームなどの洗顔料、ボディ用石鹸やボディソープ、洗濯用石鹸、洗濯用洗剤、消毒用洗剤、防臭洗剤、柔軟剤、台所用洗剤、清掃用洗剤などの保健・衛生用洗剤類;歯みがき、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなどの保健・衛生材料類;室内や車内などの芳香消臭剤、ルームフレグランスなどの芳香製品;などを挙げることができる。使用可能な香調も特に限定されず、式(1)の化合物またはそれを含有する香味付与組成物によって香味を改善可能な任意の香調であってよいが、例えば、香ばしいニュアンスを含む甘い香調、例えばキャラメルや焼き菓子を想起させる香調に好適に使用することができる。そのほかにも、シトラス調、フローラル調、フルーティ調、グリーン調、オゾン調などに使用してもよい。
本発明において、本発明の香味付与組成物を配合した飲食品、香粧品、医薬衛生品などの各種消費財、他の香味付与組成物などの各種物品中の式(1)の化合物の濃度は、物品の香味や所望の効果の程度などに応じて任意に決定できる。
当該濃度の例として、他の香味付与組成物であれば、上記「本発明の香味付与組成物」の項で記載した濃度を採用できる。
当該濃度の例として、飲食品であれば、飲食品の全体質量に対して、式(1)の化合物の濃度として1ppt~1ppmの範囲内が挙げられる。より具体的には、下限値を1ppt、10ppt、100ppt、1ppb、10ppb、100ppbのいずれか、上限値を1ppm、100ppb、10ppb、1ppb、100ppt、10pptのいずれかとして、これら下限値および上限値の任意の組み合わせの範囲内が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい濃度の例として、飲食品の全体質量に対して、本発明の式(1)の化合物の濃度として10ppt~10ppb、10ppt~100ppb、100ppt~10ppb、100ppt~100ppb、1ppb~10ppb、1ppb~100ppbから、飲食品の風味特性に応じて選択することができるが、これらに限定されない。なお、飲食品の種類や風味にも依存するが、飲食品中の式(1)の化合物の濃度が1ppt未満の場合は、風味改善効果が低いと感じられる場合があり、1ppmを超える場合は、化合物そのものの香気が突出して配合対象の飲食品の風味を好ましくないと感じさせる場合がある。
香粧品であれば、香粧品の全体質量に対して、本発明の式(1)の化合物の濃度として1ppt~1%の範囲内が挙げられる。より具体的には、下限値を1ppt、10ppt、100ppt、1ppb、10ppb、100ppb、1ppm、10ppm、100ppm、0.1%のいずれか、上限値を1%、0.1%、100ppm、10ppm、1ppm、100ppb、10ppb、1ppb、100ppt、10pptのいずれかとして、これら下限値および上限値の任意の組み合わせの範囲内が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい濃度の例として、香粧品の全体質量に対して、本発明の式(1)の化合物の濃度として、100ppb~100ppm、1ppm~100ppm、1ppm~0.1%、10ppm~0.1%の各範囲から、香粧品の香気特性に応じて選択することができるが、これらに限定されない。なお、香粧品の種類や香気にも依存するが、香粧品中の本発明の式(1)の化合物の濃度が1ppt未満の場合は、香気改善効果が低いまたは変化がないと感じられる場合があり、1%を超える場合は、配合対象の香粧品の香気を好ましくないと感じさせる場合がある。
本発明の式(1)の化合物によって、各種物品に良好な香りまたは味を付与することができ、例えば、トップの香り立ちおよび/またはミドルからラストの味の厚みや余韻を増強することができる。具体的な効果の例としては、例えば、本発明の式(1)の化合物を飲食品や香粧品などの物品に有効量配合することで、飲食品や香粧品などに使用された動植物素材を想起させるような天然感、フレッシュ感、果汁感、みずみずしさ、ボリューム感(香りに伴い、味も増強されたように感じ香味全体が膨らんだような感覚)、コク、油脂感、香ばしさ、肉感などの少なくとも1種が増強され、芯のある香味となり、それが良好なバランスのまま持続する(余韻ともいう)という効果を奏する。
さらに、本発明の香味付与組成物は、香味付与の結果、苦み、渋み、えぐみ(これらを総称して収斂味ともいう)、タンパク臭などの異味異臭、アルコールに起因する刺激感(代表的には、焼け感またはバーニング感と言われる、アルコール含有飲食品を喫食した時に口中や喉で感じられる、熱いまたは焼けるような刺激感)などの不快味をマスキングすることにも使用できる。すなわち、本発明の香味付与組成物は、収斂味やタンパク臭などが突出し異味異臭として感じられることや、アルコールの過度の刺激感が問題となり得る飲食品に配合して、その飲食品の香味にコクおよび/または味の厚みなどを付与することにより、突出した異味異臭や不快味をマスキングするために使用できる。このような飲食品としては、例えばタンパク質を高含有する飲食品が例示でき、より具体的には、プロテイン飲料、濃厚流動食、高栄養飲料などの各種高栄養食品、植物性タンパク質を用いた代替肉(植物肉などとも称する)などが挙げられ、他の例としては比較的高いアルコール濃度を有する飲料や、アルコールの刺激感が感じられやすい香味のアルコール飲料などが挙げられるが、これらに限定されない。当該マスキング効果を得るために飲食品に対する式(1)の化合物の濃度を調整することができる。例えば、前述の濃度範囲1ppt~1ppmにおいて、若干高い濃度で飲食品に配合することで、コクやボリューム感などを十分に付与でき、マスキング効果を十分に得ることができる。マスキング効果が得られやすい濃度範囲の例として、下限値を0.01ppb、0.1ppb、1ppb、10ppb、20ppb、50ppb、100ppb、200ppb、500ppbのいずれか、上限値を1ppm、500ppb、200ppb、100ppb、50ppb、20ppb、10ppb、1ppb、0.1ppbのいずれかとして、これらの任意の組合せによる濃度範囲でよく、具体的には、0.1ppb~100ppbまたは1ppb~200ppbが例示できるが、これらに限定されず、所望のマスキング効果の程度や配合対象の飲食品の香味に応じて決定してよい。
(式(1’)で表される化合物)
本発明は、下記式(1’)で表される、酸素原子および硫黄原子を含む環状化合物(本明細書では、単に式(1’)の化合物ということもある)も提供する。
Figure 0007389738000010
式(1’)中、(i)~(iv)を満たす:(i)nは0~3の整数を表し、(ii)五員環の破線は、1箇所が炭素-炭素間二重結合であり、もう1箇所が単結合であるか、または2箇所とも単結合であることを表し、(iii)前記五員環の側鎖の破線は、1箇所が炭素-炭素間二重結合であり、その他の箇所が単結合であること、またはすべての箇所が単結合であることを表し、(iv)XおよびXは、一方が酸素原子であり、もう一方が硫黄原子である。(ただし、(i)nが1であり、(ii)前記五員環の破線の1箇所が炭素-炭素間二重結合であり、もう1箇所が単結合であり、(iii)前記側鎖の破線のすべての箇所が単結合であり、(iv)Xが硫黄原子、Xが酸素原子であり、かつ、前記側鎖が五員環の5位に結合している場合を除く。)
式(1’)で表される各化合物は、従来文献未記載の新規化合物である。式(1’)の化合物は、上述の式(1)の化合物に包含され、上述のように香味付与に有効に用いることができる。
式(1’)において、好ましい態様は式(1)における好ましい態様と同じである。すなわち、式(1’)中、nは好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは1~2の整数であり、さらに好ましくは1である。また、式(1’)中、破線のうち、好ましくは炭素-炭素間二重結合が五員環に1箇所、かつ側鎖に1箇所存在し、nは1で、側鎖の破線のうち3位と4位の間に二重結合が存在する、またはnは2で側鎖の二重結合が4位と5位の間に存在する。より好ましくは、五員環に1箇所存在する炭素-炭素間二重結合は、3位と4位の間に存在する。また、フランチオン化合物の場合、好ましくは、側鎖は五員環の4位に結合している。
式(1’)の化合物の好ましい具体例としては、以下の式(1’-1)の化合物、式(1’-2)の化合物、式(1’-3)の化合物、および式(1’-4)の化合物が挙げられるが、これらに限定されない。式(1’-1)の化合物、式(1’-2)の化合物、式(1’-3)の化合物、および式(1’-4)の化合物はそれぞれ、式(1-1)の化合物、式(1-2)の化合物、式(1-3)の化合物、および式(1-4)の化合物と同じである。
Figure 0007389738000011
式(1’)の化合物は、上記した式(1)の化合物の製造方法と同様の方法によって製造することができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
式(1)の化合物の例として、以下式(1-1)~(1-4)の各化合物を合成した。
実施例1(1):式(1-1)の化合物(4-(4-メチル-3-ペンテニル)フラン-2(5H)-チオン)の合成
まず、J.Agric.Food.Chem.2019,67,pp.7410-7415に記載の方法に従って4-(4-メチル-3-ペンテニル)フラン-2(5H)-オン(化合物α)を合成し、次いで下記の反応経路の通りに合成を行った。
Figure 0007389738000012
300mLナスフラスコに化合物α(1.00g,6.02mmol)、脱水トルエン(60mL)、ローソン試薬(2.44g,6.03mmol)を入れアルゴン雰囲気下10時間加熱還流した。
反応液を冷却後、シリカゲル(4.0g)を加え減圧濃縮し粗精製物(7.05g)を得た。この粗精製物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーで2回(1回目:SiO:60g,ヘキサン:酢酸エチル=30:1,2回目:SiO:50g,ヘキサン:酢酸エチル=100:1→70:1→50:1)精製し、さらにクーゲルロール(オーブン温度:~250℃/0.27kPa)で精製して、式(1-1)の化合物を黄色油状物として131mg(収率12%)得た。得られた式(1-1)の化合物を本発明品1とした。得られた式(1-1)の化合物の物性値は以下の通りであった。
H-NMR(400MHz,CDCl):δ1.62(s,3H),1.70(s,3H),2.29(q,J=7.2Hz,2H),2.45(t,J=7.2Hz,2H),5.06(m,2H),5.07(m,1H),6.36(m,1H).
13C-NMR(100MHz,CDCl):δ17.8,25.6,25.8,27.8,82.6,121.8,129.7,134.0,168.8,214.5.
IR(全反射測定法):2967,2912,2853,1605,1433,1375,1362,1327,1274,1227,1211,1158,1142,1092,978,892,855,829,804cm-1
DART-TOFMS:m/z calcd.for C1015 [M+H] 183.0838,found 183.0831.
実施例1(2):式(1-2)の化合物(4-(4-メチル-3-ペンテニル)チオフェン-2(5H)-オン)および(1-3)の化合物(3-(4-メチル-3-ペンテニル)チオフェン-2(5H)-オン)の合成
まず、Bull.Chem.Soc.Jpn.1983,56,pp.1446-1449に記載の方法に従って3-(4-メチル-3-ペンテニル)チオフェン(化合物β)を合成し、次いで下記の反応経路の通りに合成を行った。
Figure 0007389738000013
100mL三つ口フラスコに化合物β(1.50g,9.02mmol)、脱水ジエチルエーテル(EtO、25mL)を入れ、アルゴン雰囲気下撹拌した。ここにn-ブチルリチウム(n-BuLi、1.58Mヘキサン溶液,6.30mL,9.95mmol)を室温(rt)で15分かけて加え、その後30分間加熱還流した。反応液を-78℃に冷却後、ホウ酸トリメチル(B(OMe)、1.20mL,10.7mmol)を10分かけて加え、同温下4時間撹拌した。反応液を室温まで昇温後、過酸化水素水(H、35%,1.50mL,17.4mmol)を加え、1時間加熱還流した。
反応液を冷却後、水を入れ、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムによる乾燥、減圧濃縮を経て粗精製物(1.23g)を得た。この粗精製物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:60g,ヘキサン:酢酸エチル=40:1)にて精製し、式(1-2)の化合物を716mg、式(1-3)の化合物を151mg得た。これらを更に精製するため、式(1-2)の化合物については、さらにフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:60g,ヘキサン:酢酸エチル=50:1)およびクーゲルロール(オーブン設定:~235℃/0.27kPa)で精製し、高純度の目的物を無色油状物として413mg(収率25%)得た。式(1-3)の化合物については、さらにフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(SiO:60g,ヘキサン:酢酸エチル=50:1)およびクーゲルロール(オーブン温度:~210℃/0.13kPa)で精製し高純度の目的物を無色油状物として134mg(収率8%)得た。得られた式(1-2)の化合物を本発明品2とし、式(1-3)の化合物を本発明品3とした。得られた式(1-2)の化合物および式(1-3)の化合物の物性値は以下の通りであった。
式(1-2)の化合物の物性値
H-NMR(400MHz,CDCl):δ1.62(s,3H),1.70(s,3H),2.30(q,J=7.6Hz,2H),2.50(t,J=7.6Hz,2H),3.98(s,2H),5.09(m,1H),6.11(m,1H).
13C-NMR(100MHz,CDCl):δ17.7,25.6,26.3,32.2,39.9,122.0,128.4,133.7,171.8,200.0.
IR(全反射測定法):2967,2912,2855,1670,1627,1442,1403,1377,1142,1092,878,850,836,770,656cm-1
DART-TOFMS:m/z calcd.for C1015 [M+H] 183.0838,found 183.0838.
式(1-3)の化合物の物性値
H-NMR(400MHz,CDCl):δ1.59(s,3H),1.69(d,J=0.8Hz,3H),2.22(q,J=7.2Hz,2H),2.35(m,2H),3.95(m,2H),5.09(m,1H),7.16(m,1H).
13C-NMR(100MHz,CDCl):δ17.7,25.6,26.2,26.5,35.1,122.9,132.9,145.4,146.9,200.5.
IR(全反射測定法):2966,2913,2854,1667,1642,1436,1410,1376,1106,1012,986,902,864,826,804,773,613,521cm-1
DART-TOFMS:m/z calcd.for C1015 [M+H] 183.0838,found 183.0851.
実施例1(3):式(1-4)の化合物(5-(4-メチル-3-ペンテニル)チオフェン-2(5H)-オン)の合成
まず、Recl.Trav.Chim.Pays-Bas.1977,96,pp.18-22に記載の方法に従って2-(4-メチル-3-ペンテニル)チオフェン(化合物γ)を合成し、次いで下記の反応経路の通りに合成を行った。
Figure 0007389738000014
100mL三つ口フラスコに化合物γ(1.50g,9.02mmol)、脱水ジエチルエーテル(25mL)を入れ、アルゴン雰囲気下撹拌した。ここにn-ブチルリチウム(1.58Mヘキサン溶液,6.30mL,9.95mmol)を室温で15分かけて加え、その後30分間加熱還流した。反応液を-78℃に冷却後、ホウ酸トリメチル(1.20mL,10.7mmol)を10分かけて加え、同温下4時間撹拌した。反応液を室温まで昇温後、過酸化水素水(35%,1.50mL,17.4mmol)を加え、1時間加熱還流した。
反応液を冷却後、水を入れ、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムによる乾燥、減圧濃縮を経て粗精製物(1.28g)を得た。この粗精製物をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーで2回(1回目:SiO:60g,ヘキサン:酢酸エチル=50:1、2回目:SiO:60g,ヘキサン:酢酸エチル=100:1→20:1)精製し、さらにクーゲルロール(オーブン温度:~230℃/0.27kPa)で精製し、式(1-4)の化合物を無色油状物として524mg(収率32%)得た。得られた式(1-4)の化合物を本発明品4とした。得られた式(1-4)の化合物の物性値は以下の通りであった。
H-NMR(400MHz,CDCl):δ1.62(s,3H),1.71(d,J=0.8Hz,3H),1.75(m,1H),2.01(m,1H),2.19(q,J=7.2Hz,2H),4.47(tt,J=2.4,6.8Hz,1H),5.11(m,1H),6.28(dd,J=2.4,6.0Hz,1H),7.43(dd,J=2.4,6.0Hz,1H).
13C-NMR(100MHz,CDCl):δ17.7,25.7,26.6,34.4,54.2,122.3,132.0,133.7,158.7,200.0.
IR(全反射測定法):2968,2913,2852,1673,1605,1437,1377,1337,1125,1079,823,790,662,642,614cm-1
DART-TOFMS:m/z calcd.for C1015 [M+H] 183.0838,found 183.0847.
[実施例2]合成した式(1)の化合物の香気特性
実施例1(1)~(3)で得られた式(1)の各化合物(すなわち、式(1-1)~式(1-4)の各化合物)の香気評価を行った。香気評価では、99%エタノールに式(1)の各化合物が1質量%の濃度となるように配合し、本発明の香味付与組成物(本発明品2-1~2-4)とした。よく訓練された経験年数10年以上のパネリスト5名に嗅がせ、感じられる香気についてコメントさせた。代表的なコメントを下記表1に示す。また、表1には、比較品として、香料化合物として既知のフルフリルメチルスルフィドの香気も同様にして嗅がせ感じられる香気についてコメントさせた。フルフリルメチルスルフィドは式(1)の化合物と同じく分子中に複素環、酸素原子および硫黄原子を有し、コーヒーに含まれることが知られている化合物である。
Figure 0007389738000015
表1に示すように、本発明の式(1)の化合物である式(1-1)~式(1-4)の各化合物(本発明品1~4)をそれぞれ含有する本発明品2-1~2-4は、それぞれ特徴的な香気を呈しており、従って各種物品に配合して香味を付与できるものであった。比較品のフルフリルメチルスルフィドにはない特性も有しており、本発明の式(1)の各化合物は比較品の化合物とは異なる香味も付与可能であるといえる。
[実施例3] 果実香味付与組成物への配合効果
下記表2に示す一般的な処方に従ってオレンジ様の香りを有する基本調合香料組成物を調製した。
Figure 0007389738000016
このオレンジ様基本調合香料組成物に、実施例1(1)~(3)で得た式(1)の各化合物を、その濃度が基本調合香料組成物全質量に対して0.1%となるように配合し、本発明の香味付与組成物(本発明品3-1~3-4)を得た。そして、上記基本調合香料組成物を対照品として、本発明の香味付与組成物の香気について、よく訓練された経験年数10年以上のパネリスト7人に評価させた。その結果、パネリスト7人全員が、本発明の香味付与組成物はいずれも、オレンジ果皮様のワキシー感やオイル感、オレンジ果実のしぼりたてのようなフレッシュ感、および香気の余韻が顕著に増強されたと回答した。
[実施例4] 果実調の香りの洗剤への配合効果
市販のオレンジの香りの食器用液体洗剤を用意し、実施例1(1)~(3)で得られた式(1)の各化合物(式(1-1)~式(1-4)の各化合物)を、それぞれ下記表3に示す濃度となるように配合して、本発明の洗剤を調製した(本発明品4-1~4-12)。これらの食器用液体洗剤の実際の食器洗浄時の香気について、官能評価を行った。具体的には、よく訓練された経験年数15年以上のパネリスト5人により、市販のオレンジの香りの食器用液体洗剤による食器洗浄時の香気を対照とし、対照の香気と比べた、本発明の洗剤による食器洗浄時の香気について、その天然感について「大きく向上した」=4点、「向上した」=3点、「わずかに向上した」=2点、「変化なし」=1点として点数付けさせるとともに、対照品と比べた時の香気の変化について感じられたことを自由にコメントさせた。ここで、天然感とは、オレンジ果実を想起させる何らかの香気が増強されており、実際のオレンジ果汁を配合したような自然なオレンジの香気を意味するものとした。その平均的な香気評価結果を表3に示す。
Figure 0007389738000017
表3に示すように、式(1)の各化合物は、オレンジの香りの洗剤に香味を付与し、さらにはその天然感を向上できることが確認された。また、少なくとも洗剤中10ppb~1000ppmの濃度範囲内で香味付与効果が得られることが確認された。
[実施例5] 果実風味飲食品への配合効果
市販のマーマレードに、実施例1で得られた式(1)の各化合物(式(1-1)~式(1-4)の各化合物)を、それぞれ下記表4に記載の濃度となるように配合して、本発明の果実風味飲食品を得た。そして、本発明の果実風味飲食品の天然感について、市販のマーマレードを対照品として官能評価を行った。具体的には、よく訓練された経験年数10年以上のパネリスト10名に、対照品と比較した天然感について「大きく向上した」=4点、「向上した」=3点、「わずかに向上した」=2点、「変化なし」=1点として点数付けるとともに、対照品と比べて感じられた風味の変化について自由にコメントさせた。ここで、天然感とは、素材であるオレンジ果実を想起させる何らかの香味が増強されており、オレンジをより多く使用したような自然な香味を意味するものとした。パネリスト10名の平均点および代表的なコメントを下記表4に示す。
Figure 0007389738000018
表4に示すように、式(1)の各化合物は、オレンジ風味飲食品に香味を付与し、さらにはその天然感を向上できることが確認された。また、少なくとも飲食品中0.1ppb~1ppmの濃度範囲内で香味付与効果が得られることが確認された。
[実施例6] ビールテイスト飲料への配合効果
市販のノンアルコールビールテイスト飲料に、実施例1で得られた式(1)の各化合物(式(1-1)~式(1-4)の各化合物)を、それぞれ下記表5に記載の濃度となるように配合して、本発明の果実風味飲食品を得た。そして、本発明の果実風味飲食品の天然感について、市販のビールテイスト飲料を対照品として官能評価を行った。具体的には、よく訓練された経験年数10年以上のパネリスト10名に、対照品と比較したビール感について「大きく向上した」=4点、「向上した」=3点、「わずかに向上した」=2点、「変化なし」=1点として点数付けさせた。ここで、ビール感とは、通常のビールに似ているを意味するものとした。パネリスト10名の平均点および代表的なコメントを下記表5に示す。
Figure 0007389738000019
表5に示すように、式(1)の各化合物は、ビール風味の飲食品に香味を付与し、さらにはその天然感を向上できることが確認された。また、少なくとも飲食品中0.1ppb~1ppmの濃度範囲内で香味付与効果が得られることが確認された。
[実施例7] 式(1-1)の化合物の使用例
本発明の式(1)の化合物の一例として、式(1-1)の化合物の使用例を記載する。下記表6に示すように各種香味の市販の各種飲食品に式(1-1)の化合物を配合し、よく訓練された経験年数15年以上のパネリスト5名に、市販品を対照品として、対照品と比べた時の香味の変化についてコメントさせた。代表的なコメントを下記表6に示す。
Figure 0007389738000020
表6に示すように、式(1-1)の化合物(フランチオン化合物)は、実施例3~5に示した以外にも、各種香味の物品に香味を付与でき、その香味を改善できることが確認された。また、果実などの熟成感、飲食品の加熱(代表的には焙煎したもの、焼いたもの、蒸したもの、炒ったもの)感の付与や、香味のトップから香ばしさなど印象的な香味をより強く感じさせる効果も確認された。上記表6に記載のもの以外にも、チョコレート、カカオ、加熱調理品全般(例えば、餃子、チャーハン、とんかつ、フライなど高温調理したものなど)、焼き菓子、パン類、きなこ、黒ビールなどが、式(1-1)の化合物の配合によってその香味を優れたものとできる物品として例示できる。
[実施例8] 式(1-2)の化合物の使用例
本発明の式(1)の化合物の一例として、式(1-2)の化合物の使用例を記載する。下記表7に示すように各種香味の市販の各種飲食品に式(1-2)の化合物を配合し、よく訓練された経験年数15年以上のパネリスト5名に、市販品を対照品として、対照品と比べた時の香味の変化についてコメントさせた。代表的なコメントを下記表7に示す。
Figure 0007389738000021
表7に示すように、式(1-2)の化合物(チオフェノン化合物)は、実施例3~5に示した以外にも、各種香味の物品に香味を付与出来、その香味を改善できることが確認された。また、特にコクの付与効果に優れることも確認された。上記表7に記載のもの以外にも、動物または植物油脂を用いたオイリー感のある飲食品、柑橘果皮のようなワキシー感を有する香味を有する飲食品、香粧品または医薬衛生品、動物性食品素材由来のだしやスープ(チキンスープ、コンソメ、豚骨スープなど)を用いた各種飲食品、卵を使用した各種飲食品、畜肉を使用した各種飲食品などが、式(1-2)の化合物の配合によってその香味を優れたものとできる物品として例示できる。
[実施例9] 式(1-3)の化合物の使用例
本発明の式(1)の化合物の一例として、式(1-3)の化合物の使用例を記載する。下記表8に示すように各種香味の市販の各種飲食品に式(1-3)の化合物を配合し、よく訓練された経験年数15年以上のパネリスト5名に、市販品を対照品として、対照品と比べた時の香味の変化についてコメントさせた。代表的なコメントを下記表8に示す。
Figure 0007389738000022
表8に示すように、式(1-3)の化合物(チオフェノン化合物)は、実施例3~5に示した以外にも、各種香味の物品に香味を付与出来、その香味を改善できることが確認された。また、特にミドル以降の香味全体の増強やコクの付与効果に優れることも確認された。上記表8に記載のもの以外にも、動物または植物油脂を用いたオイリー感のある飲食品、柑橘果皮のようなワキシー感を有する香味を有する飲食品、香粧品または医薬衛生品、可食性の植物(特にハーブ)を用いた飲食品、香粧品または医薬衛生品、茶葉(例えば、紅茶、ウーロン茶、プーアル茶、緑茶など)を用いた飲食品、香粧品または医薬衛生品などが、式(1-3)の化合物の配合によってその香味を優れたものとできる物品として例示できる。
[実施例10] 式(1-4)の化合物の使用例
本発明の式(1)の化合物の一例として、式(1-4)の化合物の使用例を記載する。下記表9に示すように各種香味の市販の各種飲食品に式(1-4)の化合物を配合し、よく訓練された経験年数15年以上のパネリスト5名に、市販品を対照品として、対照品と比べた時の香味の変化についてコメントさせた。代表的なコメントを下記表9に示す。
Figure 0007389738000023
表9に示すように、式(1-4)の化合物(チオフェノン化合物)は、実施例3~5に示した以外にも、各種香味の物品に香味を付与出来、その香味を改善できることが確認された。また、特にミドル以降の香味全体の増強やコクの付与効果に優れることも確認された。上記表9に記載のもの以外にも、動物または植物油脂を用いたオイリー感のある飲食品、柑橘果皮のようなワキシー感および/または果汁感を有する香味を有する飲食品、香粧品または医薬衛生品、可食性の植物(特にハーブ)を用いた飲食品、香粧品または医薬衛生品、茶葉(例えば、紅茶、ウーロン茶、プーアル茶、緑茶など)を用いた飲食品、香粧品または医薬衛生品などが、式(1-4)の配合に化合物によってその香味を優れたものとできる物品として例示できる。
[実施例11]プロテイン飲料への配合効果
市販のプロテイン飲料に、実施例1(1)~(3)で得られた式(1)の各化合物(式(1-1)~式(1-4)の各化合物)を、その濃度がプロテイン飲料全質量に対し100ppbの濃度となるように配合して、本発明のプロテイン飲料(本発明品11-1~11-4)を得た。そして、市販のプロテイン飲料を対照品として、対照品と比べた本発明のプロテイン飲料の香味の変化について、よく訓練された経験年数10年以上のパネリスト4名に回答させた。その結果、パネリスト4名全員が、本発明のプロテイン飲料はいずれも、対照品の市販のプロテイン飲料に比べて風味のボリューム感が増して、高濃度のタンパク質に感じられる独特の苦みと渋みが軽減され、いわゆるタンパク臭が弱くなり全体として飲用後の満足感が増したと回答した。

Claims (5)

  1. 下記式(1-1)~(1-4)のいずれかで表される化合物を含む香味付与組成物。
    Figure 0007389738000024
  2. 請求項1に記載の香味付与組成物を含む消費財。
  3. 請求項1に記載の香味付与組成物を消費財に配合することを含む、消費財の香味付与方法。
  4. 請求項1に記載の香味付与組成物を他の香味付与組成物に配合することを含む、香味付与組成物の香味付与方法。
  5. 下記式(1-1)~(1-4)のいずれかで表される化合物。
    Figure 0007389738000025
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