JP2021036795A - ラクトン化合物 - Google Patents
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Abstract
Description
例えば、本発明に係る化合物が属するフラノン類では、4−(4−メチル−3−ペンテニル)−2(5H)−フラノンを有効成分とする香料組成物をシトラスやフローラル調の香味の改善に使用すること(特許文献1)、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン、2−エチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−3(2H)−フラノン、5−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチル−2(5H)−フラノンなどによって酸味や酸臭をマスキングすること(特許文献2)、3−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−2(5H)−フラノンなどによって甘味を増強する方法(特許文献3)が提案され、また、2,5−ジメチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン、5−エチル−3−ヒドロキシ−4−メチル−2(5H)−フラノン、2−エチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−3(2H)−フラノンなどが、硬化油風味」に極めて類似した、醸成されたねっとりとした上品な甘さの付与に寄与するとされている(特許文献4)。
[1] 式Aで表されるラクトン化合物からなる、香味付与剤。
[2] [1]に記載の香味付与剤を有効成分として含有する、香料組成物。
[3] [1]に記載の香味付与剤または[2]に記載の香料組成物を配合してなる、消費財。
[4] [1]に記載の香味付与剤または[2]に記載の香料組成物を消費財に配合することを含む、消費財の香味改善方法。
[5] [1]に記載の香味付与剤を香料組成物に配合することを含む、香料組成物の香気改善方法。
[6] 式A’で表されるラクトン化合物。
[7] 下記式A1〜A13で表される化合物のいずれかであるラクトン化合物。
式Aで表されるラクトン化合物は、これまで香料化合物として使用可能なことが全く知られていなかった化合物群であり、本発明者らによって香料化合物としての有用性が初めて確認されたものである。香料化合物の中には構造がわずかに異なる異性体では香りを呈さないものや不快な香りを呈するものもある中で、本発明は、この化合物群においては各類縁体が好ましい香気を呈し、有効量物品に配合することで物品に香味を付与することができる、という驚くべき発見に基づく。
本明細書において、香味とは、香りによって刺激し得る1種または複数種の感覚、代表的には嗅覚と味覚などを含む感覚を意味する。本明細書において、用語「香味を付与」とは、前記香味を新たに加える、または増強することを含み、例えば、付与の結果香味が改善されるものであってよい。
式Aの各ラクトン化合物は、それ自体、シトラス様、ウッディ、紫蘇様、フィッシー(魚様)、ハーバル、スイート、ワキシー、フラワリー、メタリック、パウダリー、コショウ、オイリー、スパイシーおよび/またはファッティ(脂肪様)といった香気を含む特徴的な香気を呈し、香味付与剤として各種物品に配合することで配合対象に香味を付与できる。配合対象としては特に限定されないが、飲食品、香粧品、医薬衛生品などの消費財を例示できる。さらに、本発明の化合物は、各種香料組成物に配合して、当該組成物に香気を付与することもできる。
式Aで表されるラクトン化合物の一部である式A’で表されるラクトン化合物は、従来文献未記載の新規化合物である。
例えば、式A’で表されるラクトン化合物は、以下の式A1〜A13によって表される化合物であってよい。
式Aのラクトン化合物を得る手段は特に限定されないが、例えば、下記の方法によって得ることができる。
式Aのラクトン化合物のうち、2(5H)−フラノン骨格を有する化合物(例えば、式A−1〜A−3、式A−12、式A−13の各化合物)は、例えば下記に示す反応経路1によって製造できる。
本発明のラクトン化合物のうち、2(5H)−フラノン骨格を有する化合物(例えば式A−4、式A−5の化合物)は、例えば下記に示す反応経路2によって製造することが出来る。
本発明のラクトン化合物のうち、2(3H)−フラノン骨格を有する化合物(例えば式A−6〜式A−10の化合物)は、上記のように製造した2(5H)−フラノン骨格を有する化合物(例えば式A−1〜式A−5の化合物)を下記の反応経路3のように異性化することで製造することが出来る。
本発明の化合物のうちブチロラクトン骨格を有する化合物(例えば、式A’−1、式A−11の化合物)は、例えば、2(5H)フラノン骨格を有する化合物から、下記に示す反応経路4によって製造することが出来る。
本発明の化合物のうち、式A’−2、式A’−3、または式A’−4で表される各化合物については、文献に記載の方法に従って製造することができる。具体的には、式A’−2の化合物であればJ.Agric.Food Chem.,41,p.2097−2103(1993年)に記載の方法に従って、式A’−3の化合物および式A’−4の化合物であればJ.Chem.Res.(s),3,p.102−103(1986年)に記載の方法に従って製造することができる。
本発明の香料組成物は、式Aのラクトン化合物の1種以上からなる香味付与剤を、有効成分として所定量含むものである。本発明の香料組成物は、各種物品に配合することができる。物品の例としては、上述のように、飲食品、香粧品、医薬衛生品などの消費財が挙げられる。本発明の香料組成物の形態は特に限定されず、水溶性香料組成物、油溶性香料組成物、乳化香料組成物、粉末香料組成物が例示できる。
式Aのラクトン化合物からなる本発明の香味付与剤、およびそれを含む本発明の香料組成物は、各種物品またはそれに用いる香料組成物に配合して使用することができる。
缶詰、煮魚、佃煮、すり身、水産練り製品(ちくわ、蒲鉾、あげ蒲鉾、カニ足蒲鉾など)、フライ、天ぷら、などの魚介類の加工飲食物類;鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉、馬肉などの畜肉類;カレー、シチュー、ビーフシチュー、ハヤシライスソース、ミートソース、マーボ豆腐、ハンバーグ、餃子、釜飯の素、スープ類(コーンスープ、トマトスープ、コンソメスープなど)、肉団子、角煮、畜肉缶詰などの畜肉を用いた加工飲食物類;卓上塩、調味塩、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、ひしお、ふりかけ、お茶漬けの素、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、中華の素、天つゆ、めんつゆ(昆布だしまたは鰹だしなど)、ソース(中濃ソース、トマトソースなど)、ケチャップ、焼肉のタレ、カレールー、シチューの素、スープの素、だしの素(昆布だしまたは鰹だしなど)、複合調味料、新みりん、唐揚げ粉・たこ焼き粉などのミックス粉、などの調味料類、これらの調味料類が添加された動物性または植物性だし風味飲食品;チーズ、ヨーグルト、バターなどの乳製品;野菜の煮物、筑前煮、おでん、鍋物などの煮物類;持ち帰り弁当の具や惣菜類;リンゴ、ぶどう、柑橘類(グレープフルーツ、オレンジ、レモンなど)などの果物の果汁飲料や果汁入り清涼飲料、果物の果肉飲料や果粒入り果実飲料;トマト、ピーマン、セロリ、ウリ、ニガウリ、ニンジン、ジャガイモ、アスパラガス、ワラビ、ゼンマイなどの野菜や、これら野菜類を含む野菜系飲料、野菜スープなどの野菜含有飲食品;コーヒー、ココア、緑茶、紅茶、烏龍茶、清涼飲料、コーラ飲料、乳酸菌飲料などの嗜好飲料品;生薬やハーブを含む飲料;コーラ飲料、果汁飲料、乳飲料、ノンアルコールビールやいわゆる「第三のビール」などを含むビールテイスト飲料、スポーツドリンク、ハチミツ飲料、ビタミン補給飲料、ミネラル補給飲料、栄養ドリンク、滋養ドリンク、乳酸菌飲料などの機能性飲料;各種酒類(ビール風味、梅酒風味、チューハイ風味など)風味のアルコールテースト飲料などのノンアルコール嗜好飲料類;ワイン、焼酎、泡盛、清酒、ビール、チューハイ、カクテルドリンク、発泡酒、果実酒、薬味酒、いわゆる「第三のビール」などのその他醸造酒(発泡性)またはリキュール(発泡性)など、まあはこれらを含むアルコール飲料類;などを挙げることができる。
例えば、本発明の化合物を飲食品や香粧品などの物品に微量配合することで、飲食品や香粧品などに使用された動植物素材を想起させるような天然感、果汁感、みずみずしさ、ボリューム感、華やかさ、コクなどが増強され、芯のある香りとなり、それが良好なバランスのまま持続可能となるという効果を奏する。より具体的には、果実飲料であれば、果汁感、果皮感(苦さ、渋さ、ワックス感など)などを付与することができる。
(1)式A−1の4−(4−メチル−4−ペンテニル)−2(5H)−フラノンの合成
まず、Eur.J.Org.Chem.2007,14,2257−2267頁に記載の方法に従って5−ブロモ−2−メチル−1−ペンテンを合成し、次いで下記の反応経路の通りに合成を行った。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ1.73(s,3H),1.75(tt,J=7.2,7.6Hz,2H),2.10(t,J=7.6Hz,2H),2.40(t,J=7.2Hz,2H),4.70(br s,1H),4.74(br d,2H),4.78(br s,1H),5.87(br t,1 H).
13C−NMR(100MHz,CDCl3):δ 22.1,24.9,27.9,37.0,73.0,111.1,115.5,144.2,170.2,174.1.
IR(液膜法):2941,1782,1749,1639,1451,1173,1130,1031,889cm−1.
DART−TOFMS:m/z[MH]+ calcd.for C10H15O2 + 167.1067,found 167.1075.
まず、1−クロロ−4−メチル−2−ペンテンを、Angew.Chem.Int.Ed.2011,50,11257−11260頁に記載の方法に従って合成した。次いで、得られた1−クロロ−4−メチル−2−ペンテンと、上記実施例1(1)で得られたエチル 4−(1’−エトキシエトキシ)ブチ−2−ノエート(下記反応経路の(2)−1)とを用いて、下記の反応経路の通りに式A−2および式A−3のラクトン化合物を合成した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):1.00(d,J=6.8Hz,6H),2.31(dq,J=6.8,6.8Hz,1H),3.09(d,J=6.8Hz,2H),4.73(br d,2H),5.39(ddt,J=1.2,15.2,6.8Hz,1H),5.59(dd,J=6.8,15.2Hz,1H),5.84(br t,1H).
13C−NMR(100MHz,CDCL3):δ22.2(2C),31.0,31.8,72.8,115.7,119.9,142.6,169.4,173.9.
IR(液膜法):2960,2930,2870,1781,1748,1637,1466,1449,1167,1129,1030,975,886cm−1.
DART−TOFMS:m/z「MH」+ calcd. for C10H15O2 + 167.1067,found 167.1071.
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ0.98(d,J=6.8Hz,6H),2.55(m,1H),3.17(d,J=7.2Hz,2H),4.75(br s,2H),5.31(dt,J=10.4,7.2Hz,1H),5.48(dd,J=10.4,10.4Hz,1H),5.86(br t,1H).
13C−NMR(100MHz,CDCl3):δ22.8(2C),26.7,26.8,72.8,115.7,119.5,141.7,169.2,173.9.
IR(液膜法):2960,2870,1781,1750,1636,1465,1341,1166,1124,1037,887,843,772,707cm−1.
DART−TOFMS:m/z「MH」+ calcd.for C10H15O2 + 167.1067,found 167.1072.
下記反応経路の出発物質(3)−1を、J.Org.Chem.2006,71,5830−5833頁に記載の方法で合成した。その後は、下記反応経路の通りに合成を行い、式A−4および式A−5のラクトン化合物を得た。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ0.94(d,J=6.8Hz,6H),1.75(m,1H),2.08−2.13(m,2H),4.94(br d,2H),5.94(s,1H),6.04(dt,J=11.6,7.6Hz,1H),6.15(d,J=11.6Hz,1H).
13C−NMR(100MHz,CDCl3):δ22.3(2C),28.6,39.2,72.7,116.3,119.5,142.6,161.8,173.9.
IR(液膜法):3021,2959,2933,2897,2872,1783,1751,1637,1608,1466,1325,1175,1153,1130,1037,890,854,760,705cm−1.
DART−TOFMS:m/z「MH」+ calcd.for C10H15O2 + 167.1067,found 167.1078.
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ0.91 (d,J=6.8 Hz,6H),1.73(m,1H),2.08−2.13(m,2H),4.95(br d,2H),5.82(s,1H),6.10(dt,J=16.0,7.6Hz,1H),6.37(d,J=16.0 Hz,1H).
13C−NMR(100MHz,CDCl3):δ22.3(2C),28.1,42.4,70.5,113.9,122.5,140.6,162.4,174.2.
Mp:31〜34℃
IR(液膜法):2959,2933,2873,1780,1749,1652,1598,1467,1326,1153,1035,1001,972,889cm−1.
DART−TOFMS:m/z「MH」+ calcd.for C10H15O2 + 167.1067,found 167.1069.
以下の反応経路の通り、実施例1(1)で得た式A−1のラクトン化合物を異性化して、式A−6のラクトン化合物を合成した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ1.60(tt,J=7.6,7.6Hz,2H),1.72(s,3H),2.04(t,J=7.6Hz,2H),2.13(t,J=7.6Hz,2H),3.09(br d,2H),4.68(s,1H),4.75(s,1H),6.52(br t,1H).
13C−NMR(100MHz,CDCl3):δ22.2,25.2,25.9,35.0,37.1,110.6,120.0,137.3,144.8,176.4.
IR(液膜法):3120,3074,2967,2937,2866,1794,1749,1649,1456,1392,1375,1275,1125,1056,889,825,560cm−1.
DART−TOFMS: m/z[MH]+ calcd.for C10H15O2 + 167.1067,found 167.1082.
以下の反応経路の通り、実施例1(2)で得た式A−2のラクトン化合物を異性化して、式A−7のラクトン化合物を合成した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ0.98(d,J=6.4Hz,6H),2.28 dq,J=6.4,6.4 Hz,1H),2.80(d,J=6.8Hz,2H),3.08(br d,2H),5.31(ddt,J=0.8,15.2,6.8Hz,1H),5.51(dd,J=6.4,15.2Hz,1H),6.51(br t,1H).
13C−NMR(100MHz,CDCl3):δ22.4(2C),29.6,30.9,35.0,119.5,121.7,137.4,141.0,176.5.
IR(液膜法):2959,2930,2871,1802,1466,1392,1275,1127,1056,973,824,559cm−1.
DART−TOFMS:m/z[MH]+ calcd. for C10H15O2 + 167.1067,found 167.1071.
以下の反応経路の通り、実施例1(2)で得た式A−3のラクトン化合物を異性化して、式A−8のラクトン化合物を合成した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ0.97(d,J=6.8Hz,6H),2.58(m,1H),2.87(br dt,2H),3.09(br,2H),5.22(ddt,J=0.8,10.8,7.6Hz,1H),5.38(m,1H),6.51(br,1H).
13C−NMR(100MHz,CDCl3):δ23.0(2C),24.6,26.5,35.1,119.2,121.4,137.5,140.5,176.3.
IR(液膜法):3007,2959,2929,2870,1801,1465,1269,1129,1056,825,777,726,559cm−1.
DART−TOFMS:m/z[MH]+ calcd.for C10H15O2 +167.1067,found 167.1072.
以下の反応経路の通り、実施例1(3)で得た式A−4のラクトン化合物を異性化して、式A−9のラクトン化合物を合成した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ0.90(d,J=6.4Hz,6H),1.61−1.72(m,1H),2.01(dd,J=7.2,7.6Hz,2H),3.26(br d,2H),5.54(dt,J=15.6,7.6Hz,1H),6.05(d,J=15.6Hz,1H),6.72(s,1H).
13C−NMR(100MHz,CDCl3):δ22.2(2C),28.4,32.5,42.1,120.1,121.1,131.7,138.4,175.1.
IR(液膜法):2956,2927,2870,1803,1610,1466,1385,1132,1121,1061,966,823,564cm−1.
DART−TOFMS:m/z[MH]+ calcd.for C10H15O2 + 167.1067,found 167.1079.
以下の反応経路の通り、実施例1(3)で得た式A−5のラクトン化合物を異性化して、式A−10のラクトン化合物を合成した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ0.93 (d,J=6.4Hz,6H),1.67(m,1H),2.05(ddd,J=1.6,7.2,7.6Hz,2H),3.41(br d,2H),5.52(dt,J=11.6,7.6Hz,1H),5.88(d,J=11.6 Hz,1H),6.78(br t,1H).
13C−NMR(100MHz,CDCl3):δ22.3(2C),28.9,35.3,38.1,118.4,118.8,132.0,140.8,175.4.
IR(液膜法):2957,2926,2900,2872,1804,1652,1467,1386,1265,1228,1133,1064,942,823,681,521cm−1.
DART−TOFMS:m/z[MH]+ calcd.for C10H15O2 + 167.1067,found 167.1075.
4−(4−メチル−3−ペンテニル)−2(5H)−フラノンを、Biosci.Biotechnol.Biochem.2002,66,135−140頁に記載の方法に従って合成し、これを出発物質として、以下の反応によって式A−11の4−(4−メチルペンタニル)ブチロラクトンを合成した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ0.88 (d,J=6.4 Hz,6H),1.18(dt,J=7.2,7.2Hz,2H),1.25−1.35(m,2H),1.45(dt,J=7.2,7.2Hz,2H),1.54(m,1H),2.18(dd,J=7.6,16.4Hz,1H),2.53(dd,J=7.6,15.2Hz,1H),2.61(m,1H),3.92(dd,J=7.2,8.8Hz,1H),4.42(dd,J=7.2,8.8Hz,1H).
13C−NMR(100MHz,CDCl3):δ22.5(2C),25.1,27.8,33.3,34.5,35.7,38.7,73.4,177.2.
IR(液膜法):2955,2928,2869,1780,1469,1420,1385,1367,1171,1020,995,838cm−1.
DART−TOFMS:m/z「MH」+ calcd.for C10H19O2 + 171.1380,found 171.1388.
出発原料には上記実施例1(1)で得られたエチル 4−(1’−エトキシエトキシ)ブチ−2−ノエート(下記反応経路の(10)−1)を用いた。また、下記反応経路の化合物(10)−2を、J.Org.Chem.2016,81,7288−7300頁に記載の方法に従って合成した。これらの化合物を用いて、下記の反応経路に従って合成を行った。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ1.60(s,3H),1.64(tt,J=7.6,7.6Hz,2H),1.70(s,3H),2.07(dt,J=7.2,7.6Hz,2H),2.40(t,J=7.6Hz,2H),4.74(d,J=2.0Hz,2H),5.09(t,J=7.2Hz,1H),5.84(br t,1H).
13C−NMR(100MHz,CDCl3):δ17.7,25.7,27.3,27.4,28.0,73.0,115.3,122.9,133.0,170.6,174.1.
IR(液膜法):2966,2928,2862,1782,1751,1637,1449,1377,1170,1149,1129,1025,887,852cm−1.
DART−TOFMS:m/z「MH」+ calcd.for C11H17O2 + 181.1223,found 181.1228.
出発原料には上記実施例1(1)で得られたエチル 4−(1’−エトキシエトキシ)ブチ−2−ノエート(下記反応経路の(11)−1)を用い、下記の反応経路に従って合成を行った。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ1.65(s,3H),1.77(s,3H),3.10(d,J=6.8 Hz,2H),4.72−4.74(m,2H),5.21(m,1H),5.82(m,1H).
13C−NMR(100MHz,CDCl3):δ17.8,25.6,27.5,72.8,115.4,117.1,136.5,169.7,174.0.
IR(液膜法):2973,2929,2918,1781,1749,1652,1646,1636,1558,1541,1521,1507,1456,1169,1036,888,845,505cm−1.
DART−TOFMS:m/z「MH」+ calcd.for C9H13O2 + 153.0910,found 153.0917.
4−(4−メチル−3−ペンテニル)−2(5H)−フラノンを、Biosci.Biotechnol.Biochem.2002,66,135−140頁に記載の方法に従って合成し、これを出発物質として、以下の反応によって式A’−1の4−(4−メチル−3−ペンテニル)ブチロラクトンを合成した。
1H−NMR(400MHz,CDCl3):δ1.52(dt,J=7.2,7.6Hz,2H),1.61(s,3H),1.70(s,3H),2.02(dt,J=7.2,7.6Hz,2H),2.19(dd,J=7.6,16.4Hz,1H),2.54(dd,J=7.6,15.2Hz,1H),2.62(m,1H),3.93(dd,J=7.6,9.2Hz,1H),4.41(dd,J=7.6,8.8Hz,1H),5.07(m,1H).
13C−NMR(100MHz,CDCl3):δ17.7,25.7,25.8,33.1,34.5,35.3,73.4,122.9,132.8,177.2.
IR(液膜法):2966,2921,2856,1781,1455,1420,1378,1172,1025,839cm−1.
DART−TOFMS:m/z[MH]+ calcd.for C10H17O2 + 169.1223,found 169.1244.
式A’−2の化合物を、J.Agric.Food Chem.,41,p.2097−2103(1993年)に記載の方法に従って合成して得た。また、式A’−3の化合物および式A’−4の化合物を、J.Chem.Res.(s),3,p.102−103(1986年)に記載の方法に従って合成して得た。
実施例1(1)〜(13)で得られた式Aの各ラクトン化合物の香気評価を行った。香気評価は、95%エタノール溶液に式Aの各ラクトン化合物を濃度が0.1質量%となるように配合し、その溶液を匂い紙に浸し、よく訓練された経験年数10年以上の調香師12名に嗅がせて香気についてコメントさせた。また、香気の強度について、本発明のラクトン化合物の類縁体である4−(4−メチル−3−ペンテニル)−2(5H)−フラノン(特開2017−25182号公報に記載)を対照品とし、上記12名の調香師による下記の基準に従って点数付けを行った。
1:対照品より香気が弱い
2:対照品と同程度の香気の強さであった
3:対照品より香気が強い
4:対照品より香気が非常に強い
調香師12名の平均的な結果を下記表1に示す。
下記表2の一般的な処方に従って、グレープフルーツ様基本調合香料組成物を調整した。
市販のノンアルコールビールに、実施例1(1)〜(13)で得られた式Aの各ラクトン化合物を、1ppmとなるように配合して、本発明のノンアルコールビール飲料を得た。そして、市販のノンアルコールビールを対照品として、対照品と比べた本発明品および比較品の飲料の香味についてよく訓練された経験年数10年以上の調香師12名による官能評価を行った。官能評価では、ホップ感、コク感、ビール感について「大きく向上した」=4点、「向上した」=3点、「わずかに向上した」=2点、「変化なし」=1点、「劣化した」=0点として点数付けさせるとともに、香味に関してコメントさせた。なお、ビール感とは、ノンアルコールでありながらビールのような香味が感じられるという意味とした。調香師12名の平均した結果を下記表4に示す。
市販のミルク入り紅茶飲料に、実施例1(1)〜(13)で得られた式Aの各ラクトン化合物を、1ppmとなるように配合して、本発明の紅茶飲料を得た。そして、市販の紅茶飲料を対照品として、対照品と比べた本発明品の紅茶飲料の香味についてよく訓練された経験年数10年以上の調香師5名による官能評価を行い、どのような香味が増強されたかについて回答させた。その結果、調香師5名全員が、本発明品の紅茶飲料はいずれも、対照品の市販の紅茶飲料に比べて、乳脂様のコク、生乳のフレッシュ感、紅茶の茶葉をふんだんに使用したようなふくよかな香味が増強されていると回答した。なかでも、式A−3の化合物、式A−7の化合物、式A−10の化合物、式A’−1〜A’−4の化合物が、これらの増強効果が高かったと回答した。
市販の缶入りブラックコーヒーに、実施例1(1)〜(13)で得られた式Aの各ラクトン化合物を、コーヒー全量に対し1ppmの濃度となるように配合して、本発明のコーヒー飲料を得た。そして、市販の缶入りブラックコーヒーを対照品として、対照品と比べた本発明品のコーヒー飲料の香味についてよく訓練された経験年数10年以上の調香師5名による官能評価を行い、どのような香味が増強されたかについて回答させた。その結果、調香師5名全員が、本発明品のコーヒー飲料はいずれも、対照品の市販のコーヒー飲料に比べて、コーヒーオイル様のコク感、コーヒー豆様の渋さ、良好な酸味が増量されていると回答した。特に、式A−1の化合物、式A−3の化合物、式A−5の化合物、式A−7の化合物、式A−13の化合物、式A’−3〜のA’−4の化合物が、これらの増強効果が高かったと回答した。
市販のショウガ風味ドレッシングおよびシソ風味ドレッシングに、実施例1(1)〜(13)で得られた式Aの各ラクトン化合物をドレッシング全量に対し1ppmの濃度となるように配合して、本発明の香辛料風味ドレッシングを得た。そして、市販の各ドレッシングを対照品として、対照品と比べた本発明品のドレッシングの香味についてよく訓練された経験年数10年以上の調香師7名による官能評価を行い、どのような香味が増強されたかについて回答させた。
下記表8の一般的な処方に従って、ミュゲ様基本調合香料組成物を調製した。
Claims (7)
- 請求項1に記載の香味付与剤を有効成分として含有する、香料組成物。
- 請求項1に記載の香味付与剤または請求項2に記載の香料組成物を配合してなる、消費財。
- 請求項1に記載の香味付与剤または請求項2に記載の香料組成物を消費財に配合することを含む、消費財の香味改善方法。
- 請求項1に記載の香味付与剤を香料組成物に配合することを含む、香料組成物の香気改善方法。
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WO2022085379A1 (ja) * | 2020-10-20 | 2022-04-28 | 長谷川香料株式会社 | ラクトン化合物 |
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