JP2008212145A - 人造米及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 蛋白質、脂質、食物繊維、イソフラボンなどの大豆の栄養成分を豊富に含み、米飯の代替、或いは米飯と同様な食感を有し、外観上の異物感がなく、米飯と混合しても異物感を感じさせなく、抵抗感なく食することができる新しい人造米及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】 大豆を主原料とし、L 表色系でL値が63.0〜72.0であり、かつ、a値が−1.0〜4.0であることを特徴とする人造米、並びに原料大豆として加熱処理を行っていない大豆を粉砕して調製した大豆粉を使用し、原料をエクストルーダーに投入して、中間バレルの温度を70℃〜150℃に加熱して混練した後、混練物を押出し成形して米粒状の形状にし、得られた米粒状形状物を90℃以下で乾燥させることを特徴とする、前記人造米の製造方法を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、大豆を主原料としながら米飯に比べて違和感のない新しい人造米、及びその製造方法に関する。
米は長きにわたり日本食の中心として食されてきたが、米のみでは低タンパクであるなど栄養素が不足する。
一方、大豆は必須アミノ酸のバランスに優れており、米に不足しているリジンも比較的多く含有するため、米を主体とした食事の必須アミノ酸バランスを向上し、また不飽和脂肪酸やイソフラボンなど、米には少ない栄養素を補填することができる。
このことから、大豆を主原料とし、米粒状の形状に加工され、米と同様な調理条件で調理でき、米飯として違和感なく食することが可能な人造米が開発されれば、簡便に大豆の豊富な栄養素を毎日継続的に摂取することが期待でき、従来の米飯の欠点を補うことができる。
従来から、食用を目的とした大豆を主原料として含有した人造米に関する発明が提案されている。
例えば、脱皮し、かつ小割りした大豆をα化して水分16%以下に乾燥したことを特徴とするα化した小割大豆破砕物が提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、この大豆破砕物は、破砕物のうち、米粒と同等の大きさのものを選別しただけであり、米粒とは形状を異にしており、大きさも不揃いであるなど、米飯として違和感なく食することが出来るとは言いがたいものであった。
また、生大豆の脱皮・半割物を研削し、研削処理大豆を該大豆重量の等重量倍以上の加水下に加熱処理および/または加熱加圧処理して得られ、炊飯米様形態を有することを特徴とする大豆由来食品が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、このものは、大豆を米粒の形状に近い形まで削ったものであり、形状としては米粒状であるが、製造工程中に高温処理があり、この処理によって大豆中の蛋白質の変性やメイラード反応を起こし着色するため、食味だけでなく、外観上も米飯とするには抵抗感のあるものであった。また、このものは、大豆粒の個体差も反映するため、均一性に欠ける欠点があった。
上記の外観上の異物感や食味上の違和感を解決する方法として、エクストルーダーを使用する成形方法が期待される。
エクストルーダーは、加熱、混練、加圧等の一連の操作を行なった上で押し出し成形するため、形状や製造物の食味は均一となり、かつ、大豆蛋白の組織的改変が可能であるため、食感の点でも優れた製造方法となる可能性をもっている。
エクストルーダーを使用して製造した人造米の例として、さやを取り、加熱した大豆を原料とした大豆粉を用いた人造米が開示されている(特許文献3参照)。
このものは粉末化した大豆原料を使用し、エクストルーダーによる押出成形しているため、形状や食味の点では従来よりも優れていると言えるものの、低温でエクストルーダーで処理をしていることから大豆成分の劣化が少ないものと言える。
しかし、後述の比較例2で示すように、特許文献3の実施例に示されるのと同様な方法で調製した人造米は、調理後の食感は米飯と異なるだけでなく、特に米飯として見た場合に外観上の異物感があり、米飯の代替、或いは精白米と混合して調理し、米飯のように食することは到底できるものではなかった。
以上のように、これまでに大豆を主成分とした米様物質を製造する技術はあったものの、特に異物感の問題が解決できず、米飯と同様に継続的に食するに満足できる品質の人造米は存在しなかった。
即ち、大豆の栄養成分を豊富に含みながら、異物感なく米飯の代替として継続的に食することができる人造米及びその製造方法を開発する必要があった。
特開昭62−215357号公報 特開2005−341962号公報 WO2006/041683号公報
本発明の目的は、蛋白質、脂質、食物繊維、イソフラボンなどの大豆の栄養成分を豊富に含み、米飯の代替、或いは米飯と同様な食感を有し、外観上の異物感がなく、米飯と混合しても異物感を感じさせなく、抵抗感なく食することができる新しい人造米及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、大豆を主原料とした人造米の製造方法としては、物性や形状を均一にできる点で大豆粉を原料としてエクストルーダーを使用して成形する方法が好適であるとの考えをもとに、大豆粉を原料に使用した違和感のない人造米を製造できる条件を広範囲に検討した。
その検討の過程で、外観的に異物と感じることと人造米の色彩との間に関連性があることに気付き、人造米についてL 表色系の色彩値を測定し、色彩値と調理後の違和感との関係を検討した。
その結果、違和感の少ない人造米と違和感を強く感じる人造米との間で、L 表色系の色彩値のうち、意外にも、b値は官能評価との関連性は見られず、官能評価とL値及びa値の値の間に非常に強い関連性があり、人造米の色彩値のうち、L値が63.0〜72.0であり、かつa値が−1.0〜4.0の範囲内にある人造米は、精白米と混合して炊飯調理した場合に、外観上、異物感を感じさせず、抵抗感なく米飯と同様に食することができることを見出し、同時に食味の点でも優れていることを見出して、本発明を完成するに至った。
さらに、大豆粉を主原料として、上記範囲のL値及びa値を有する人造米を製造する方法を検討したところ、従来全く着目されていなかった大豆粉の調製方法が最終的に出来上がる人造米の色彩に大きく影響し、加熱処理を行っていない大豆(非加熱大豆)を粉砕して調製した大豆粉を原料とすることが上記の範囲の色彩値を有する人造米を製造する上で重要であることを見出した。
加えて、非加熱大豆から調製した大豆粉をエクストルーダーで混練、成形する工程の操作条件として、意外にも特許文献3に記載の条件よりも中間バレル温度を高くすることや、エクストルーダー処理によって得られた成形物の乾燥条件も影響することを見出し、90℃以下の温度で乾燥することが重要であることも見出した。
即ち、上記の特定の大豆原料を用い、エクストルーダーにて特定の操作条件にて混練成形し、特定の温度条件で乾燥させることによってはじめて異物感を感じない人造米を製造できることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の(1)〜(3)に関する。
(1)大豆を主原料とし、L 表色系でL値が63.0〜72.0であり、かつ、a値が−1.0〜4.0であることを特徴とする人造米。
(2)原料大豆として加熱処理を行っていない大豆を粉砕して調製した大豆粉を使用し、原料をエクストルーダーに投入して、中間バレルの温度を70℃〜150℃に加熱して混練した後、混練物を押出し成形して米粒状の形状にし、得られた米粒状形状物を90℃以下で乾燥させることを特徴とする、(1)に記載の人造米の製造方法。
(3)大豆粉として、原料大豆として加熱処理を行っていない大豆を、50℃以下の温度を保持しながら粉砕して調製した大豆粉を用いる、(2)に記載の方法。
本発明の人造米は、精白米と混合して炊飯調理した場合に、外観上、異物感を感じさせず、抵抗感なく米飯と同様に食することができ、しかも大豆を主原料とするため、豊富な植物性蛋白質をはじめ、大豆由来の食物繊維、不飽和脂肪酸、カルシウム、大豆イソフラボンなどを含有しており、米飯と同様に食しても違和感が非常に少ないものとなる。
即ち、例えば米飯の代替として、或いは精白米に混ぜても外観上異物感を感じず、抵抗感なく食することができるため、大豆の豊富な栄養素を無理なく継続的に摂取できることが期待される。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の人造米は、大豆を主原料とし、L 表色系でL値が63.0〜72.0であり、かつ、a値が−1.0〜4.0であることを特徴とする。
即ち、本発明の人造米は、大豆を主原料としており、本発明の人造米の色彩は、L 表色系で、明度を表すL値は63.0〜72.0であり、色度を表すa値は−1.0〜4.0である。同じく色度を示すb値は19〜28となる。
なお、L 表色系での色彩値は、例えば測色計(使用機種 CR−400:コニカミノルタセンシング社製)を用いて、照明・受光光学系 D/0(拡散照明垂直受光方式)、光源C(通常の光)、使用セルCR−A50(コニカミノルタセンシング社製)にて測定することができる。
このような本発明の人造米は、原料大豆として加熱処理を行っていない大豆を粉砕して調製した大豆粉を使用し、原料をエクストルーダーに投入して、中間バレルの温度を70℃〜150℃に加熱して混練した後、混練物を押出し成形して米粒状の形状にし、得られた米粒状形状物を90℃以下で乾燥させることにより製造することができる。
本発明において原料として使用する大豆は、粉砕処理に供する以前に、加熱処理が行われていないことであることが必要であるが、大豆の品種に関しては、特に限定はない。粉砕処理に供する以前に、加熱処理されている大豆(例えば、脱脂大豆粉や低脂大豆粉など)を使用した場合には、炊飯後の異物感が強く感じられるものとなってしまうため、好ましくない。
本発明において原料として使用する大豆は、粉砕処理に供する以前に加熱処理が行われていない非加熱の大豆であれば、その形態に特に限定はないが、人造米とした時の栄養面や官能面から、さやから取り出した大豆そのままの全粒の丸大豆(全粒大豆)や脱皮大豆が好ましい。
なかでも外皮を取り除いた脱皮大豆は、皮に含まれる苦味成分であるサポニンが除かれているため、苦味などの異味が少なく、米飯と混合された状態でも、米飯としての食味上の違和感がより少なく、より好ましい。
脱皮方法は、熱負荷を抑えて行うことが好ましく、具体的には衝突式の脱皮機などを使用することが好ましい。
本発明においては、原料大豆として、このように加熱処理を行っていない大豆を粉砕する。
大豆の粉砕方法としては、50℃以下、好ましくは10℃〜50℃の温度を保持しながら粉砕処理することが必要である。50℃より高い温度にて粉砕すると最終的に製造される人造米の色調が濃くなり、異物感の高いものとなる。大豆の粉砕処理時の温度は50℃以下であればよいが、冷却費用など費用面からは10℃以上であることが好ましい。
そのような粉砕処理は、具体的には、ロールミル、ピンミルのような粉砕機を用いる方法でも可能であるが、処理中に摩擦によって比較的熱を生じやすく、褐変が生じないまでも、褐変反応の中間生成物であるアミノレダクトンが発生することから、衝突式の粉砕機などの摩擦熱が生じにくいものを用いることが特に好ましい。
本発明においては、上記の方法で調製した大豆粉を原料として用いるが、この大豆粉は全原料に対して乾燥重量あたり少なくとも50%以上の割合で使用することが好ましい。
これは、原料中における大豆の含量が乾燥重量あたり50%を下回ると、米と混合し炊飯して米飯と一緒に摂取する場合には、大豆の摂取量が少なくなり、摂取できる大豆の栄養素の量が少なくなってしまうためである。
本発明において大豆と配合使用できる原料としては、最終的な人造米の色彩や食味に影響を与えるものでなければ特に限定はない。具体的には例えば、もち粉,コーンスターチ,ワキシーコーンスターチ,小麦粉、馬鈴薯澱粉などの粉末穀類、活性小麦グルテンなどの植物性タンパク質、高度分岐環状デキストリン,ヒドロキシプロピル澱粉,酢酸澱粉,ヒドロキシアルキル澱粉,リン酸架橋澱粉などの化工澱粉類、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの加工多糖類、ラフィノース,スタキオース,トレハロースなどの少糖類、米粉、塩化カルシウム,硫酸カルシウム,水酸化カルシウム,クエン酸カルシウム,塩化マグネシウムなどのミネラル類、レシチンなどの乳化剤、酢酸,クエン酸,酒石酸,リンゴ酸,コハク酸,リン酸,フェルラ酸などの果実酸、コエンザイムQ10,大豆イソフラボン,α‐リポ酸などの健康素材、発芽玄米,あわ,ひえ,アマランサスなどの雑穀類、野菜、種子など食品の粉末、食塩、調味料、香料などが挙げられる。
これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの配合量は、原料の種類などに応じて適宜選択すればよい。
これらの中でも特に、小麦グルテン、米粉、カルシウム塩(塩化カルシウム,硫酸カルシウム,クエン酸カルシウムなど)は、外観上の色彩には影響しないが、米粒らしい形状や食感が向上するため、特に好ましい。
小麦グルテンの全原料に対する配合量は、好ましくは15〜35%(乾燥重量あたり)、特に好ましくは18〜30%(乾燥重量あたり)である。
次に、米粉の場合、全原料に対する配合量は、好ましくは5〜30%(乾燥重量あたり)、特に好ましくは7〜20%(乾燥重量あたり)である。
また、カルシウム塩としては、塩化カルシウムや硫酸カルシウムが好適に使用され、全原料に対する使用量は、0.2〜5%(乾燥重量あたり)、好ましくは0.5〜4%(乾燥重量あたり)である。
本発明において、大豆粉及びその他の配合材料からなる原料は、エクストルーダーに投入して混練する。
混練時の水分含量は、30〜60重量%が好ましく、さらに好ましくは35〜55重量%で、この範囲になるようにバレル部に水を供給する。
使用するエクストルーダーとしては、加水、混練、加熱、冷却、米形状の押出し成形までの各処理をひとつのユニットで瞬時に行なうことができるものが好ましく、1軸、2軸いずれであっても使用することができる。
次に、エクストルーダーの操作条件について説明する。
中間バレルの設定温度は70℃から150℃、好ましくは80℃〜140℃とすることが必要である。中間バレルの温度が150℃を超えると、褐変反応が促進され米飯に対する違和感が生じる原因となる。一方、中間バレルの温度が70℃より低いと、大豆中のリポキシゲナーゼを十分に失活させることが出来ないため、該酵素の作用によって青臭みが生じるため、米飯とするのには違和感が強いものとなる。
ダイ部に移動する直前の圧力が1〜10kg/cmとなるように調整して、ダイ部で押出しカッティング成形をする。形状は、乾燥後、米粒と認識される形状になるサイズであればよい。
上記方法により得られる米粒状形状物(人造米)は、通常、25〜55重量%程度の水分を含有する含水形態のものとなり、更にこれを乾燥することによって、乾燥形態(低含水物)にする。
乾燥は、90℃以下で行うことが必要であり、通常、5〜90℃の範囲で行なう。90℃を超える温度で乾燥した場合には、糖とアミノ酸のメイラード反応が生じやすくなり、さらには大豆に含まれる油脂分の分解が始まり、褐変反応を促進させるため好ましくない。一方、5℃より低い温度で乾燥した場合には、乾燥効率が悪く、乾燥に時間がかかることや、部分的に水分の凍結がおこりやすく、蛋白変性が起こって物性が劣化してしまうので好ましくない。
なお、使用する乾燥機は特に限定されるものではなく、例えば熱風バンド乾燥、熱風流動乾燥、真空乾燥などにより行なうことができる。
乾燥は、通常、水分含量が10重量%以下、好ましくは7重量%以下であり、より好ましくは7重量%以下であり、かつ、2重量%以上となる程度まで行う。
乾燥後の水分が10重量%を超えると、自由水が少なからず残存し、微生物汚染の危険性や保存中に徐々に褐変反応が進行して、長期間保存すると色が赤みを増してしまうため、好ましくない。
このようにして、目的とする人造米を製造することができる。
得られた人造米は、保存中の酸化による変化を抑えるために、窒素充填或いは脱酸素剤などにより脱酸素化した状態で保管することが好ましい。
上記で製造した米粒の大きさは任意に調整することができるが、通常は6mm×1mm程度である。
上記の方法にて製造した本発明の人造米の色彩は、L 表色系で以下の通りであり、L値は63.0〜72.0、a値は−1.0〜4.0、b値は19〜28となる。
なお、L 表色系での色彩値は、前記したように例えば測色計(使用機種 CR−400:コニカミノルタセンシング社製)を用いて、照明・受光光学系 D/0(拡散照明垂直受光方式)、光源C(通常の光)、使用セルCR−A50(コニカミノルタセンシング社製)にて測定することができる。
本発明の人造米は、単体で、或いは精白米や玄米、胚芽米などに混ぜて適当な量の水を加えた後、炊飯などの加圧加熱調理を行なって米飯と同様に食することができる。
なお、精白米や玄米、胚芽米などに混ぜて炊飯などの加圧加熱調理を行なう場合の人造米の配合割合としては、5〜50重量%(乾燥重量あたり)、好ましくは10〜40重量%(乾燥重量あたり)とするのが望ましい。
加圧加熱調理時における、本発明の人造米に対する加水量は、該人造米の含水量に応じて適宜決定すればよいが、通常は、本発明の人造米の乾燥重量に対して、1〜10倍重量程度の水量を加えるのが適当である。加圧加熱調理は、例えば通常使用される炊飯器を用いて米と同様に行なうことができる。
本発明の人造米を調理した後の形状は、米飯と同様なものであり、外観上、異物として認識されることがなく、また、食味も米飯と同様であり、違和感なく、食することができる。
以上の如く、本発明の人造米は、米と同様な調理条件で調理することができ、米飯と同様な食味であるため違和感がなく、抵抗感なく米飯と同様に毎日継続的に摂取することが可能な食品であり、栄養的にも大豆の栄養源を豊富に含有する優れた食品である。
以下、実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1−1、1−2、1−3及び比較例1−1、1−2
実施例1−1として、以下のようにして人造米を得た。
加熱処理していない、乾燥した大豆(品種スズユタカ)を衝突式の脱皮機にて脱皮処理後、40℃に維持しながら衝突式の粉砕機にて粉砕した大豆粉を調製した。
上記で調製した大豆粉70重量部、活性小麦グルテン(協和発酵フーズ株式会社:レギュラーグルテンA)20重量部、上新粉(安田穀粉株式会社:上新粉)9重量部、塩化カルシウム粉末(冨田製薬株式会社:塩化カルシウム)1重量部を混合した。
上記混合原料を2軸エクストルーダー(株式会社スエヒロEPM:EA−100)に投入し、上記全原料60:水40の割合(重量比)で混練した。中間バレル部の温度を80℃に設定して加熱した後、先端バレル及びダイ部で冷却しながら6mm×1mmの長方形の穴から押出し、カッティング成形を行なった。スクリュー回転数は250rpmで行なった。得られた押出物を棚式乾燥機にて80℃で120分間乾燥し、人造米を得た。
なお、上記実施例1−1において、中間バレル部の設定温度を80℃から120℃としたこと以外は同様にして行った場合を実施例1−2とした。
また、上記実施例1−1において、中間バレル部の設定温度を80℃から140℃としたこと以外は同様にして行った場合を実施例1−3とした。
実施例1−1、1−2、1−3で製造した人造米の水分量は、それぞれ5.5重量%、5.3重量%、5.5重量%であった。
比較として、中間バレル部の温度を、先に示した特許文献3(WO2006/041683号公報)の実施例に記載の温度である60℃としたこと以外は実施例1−1と同様にして行った場合を比較例1−1とした。
また、上記実施例1−1において、中間バレル部の設定温度を80℃から160℃としたこと以外は同様にして行った場合を比較例1−2とした。
比較例1−1、1−2で製造した人造米の水分量は、それぞれ5.6重量%、4.9重量%であった。
以上のようにして製造された各人造米の色彩値を、次のようにして測定した。
即ち、測色計(コニカミノルタセンシング社製CR−400)を使用し、上記で製造した人造米を円筒状セルに内容物が動かない程度に詰め、L 表色系により測定した。測定条件は、照明・受光光学系はD/0(拡散照明垂直受光方式)、光源はC(通常の光)、セルはCR−A50(コニカミノルタセンシング社製)を使用した。
測定は、同一サンプルを10回測定し、その10回の平均値を測定値とした。参考として、精白米(富山県産コシヒカリ)の色彩値を同様に測定した。
また、次のようにして炊飯後の人造米の官能評価を行った。
人造米の官能評価は、以下に記載する方法で精白米と混合して炊飯し、炊飯物について行った。
炊飯方法は、人造米24gを精白米150gと混合し、水を315g添加してジャー炊飯器(SR−AF10V−N型、松下電器社製)にて常法通りに炊飯を行ない、しゃもじで十分にかき混ぜた後、約5分間ジャー炊飯器内で蒸らした。
精白米と人造米が混ざった状態の炊飯物について、外観上、人造米を異物として感じるかどうか(異物感)及び食した時の食味に違和感を感じるかどうかをそれぞれ評価した。
評価は、訓練された官能検査員20名で行い、◎(人造米に対して異物感がない、または、人造米に対して違和感がない)、○(人造米に対して異物感をあまり感じない、または、人造米に対して違和感をあまり感じない)、△(人造米に対して異物感を感じる、または、人造米に対して違和感を感じる)、×(人造米に対して異物感を非常に強く感じる、または、人造米に対して違和感を非常に強く感じる)の4段階で評価した。
色彩値の測定結果及び官能評価結果を表1に示した。
Figure 2008212145
上記の結果から、異物感を感じる、感じないと色彩値のb値とは関連性がなかったが、精白米と値が大きく異なっていたものの、L値とa値は関連性があり、精白米に近い値であり、外観上の異物感を感じなかった。
実施例1−1、1−2、1−3のようにL値が63.0から72.0の範囲であり、かつ、a値が−1.0から4.0の範囲にあるときに、異物感をあまり感じなく、同時に食味での違和感も感じられず、特に中間バレル部の温度が120℃である実施例1−2の場合は異物感がなかった。上記の実施例1−1、1−2、1−3において、食味上の違和感は感じられず、食するに適したものであった。
一方、中間バレル部の温度を、先に示した特許文献3(WO2006/041683号公報)の実施例に記載の温度である60℃とした比較例1−1の場合には、製造された人造米は異物感が強く感じられるものであり、食するに適するものでなかった。また、比較例1−2のように中間バレル温度を160℃に設定した場合にも、異物感が感じられ、食するに違和感を感じるものであった。
従って、L値が63.0から72.0の範囲であり、かつ、a値が−1.0から4.0の範囲の範囲内にある人造米を製造するには、中間バレル部の温度を一定の範囲(70〜150℃)に設定することが必要であることが分かった。
実施例2及び比較例2〜5
加熱処理していない、乾燥した大豆(品種スズユタカ)を衝突式の脱皮機にて脱皮処理後、品温を40℃に維持しながら衝突式の粉砕機にて粉砕して調製した大豆粉を原料として使用し、実施例1と同様に大豆粉70重量部、活性小麦グルテン(協和発酵フーズ株式会社:レギュラーグルテンA)20重量部、上新粉(安田穀粉株式会社:上新粉)9重量部、塩化カルシウム粉末(冨田製薬株式会社:塩化カルシウム)1重量部を混合した。
上記混合原料を2軸エクストルーダー(株式会社スエヒロEPM:EA−100)に投入し、上記全原料60:水40の割合(重量比)で混練した。
中間バレル部の温度を、実施例1にて最も異物感が感じられなかった120℃に設定して加熱した後、先端バレル及びダイ部で冷却しながら6mm×1mmの長方形の穴から押出し、カッティング成形を行なった。スクリュー回転数は250rpmで行なった。得られた押出物を棚式乾燥機にて80℃で120分間乾燥し、人造米を得た。水分量は、5.3重量%であった。
比較例2として、乾燥した大豆(品種スズユタカ)を140℃で10分間加熱処理し、その後、上記実施例2と同一の条件で衝突式の脱皮機にて脱皮処理し、次いで衝突式の粉砕機にて粉砕して調製した加熱大豆粉を使用したこと以外は、実施例2と同一の方法及び同一の条件にて人造米を得た。水分量は5.1重量%であった。
比較例3として、大豆粉として市販低脂肪大豆粉(商品名Soy Beginnings ソイ ビギニングス、Thumb Oilseed Producer‘s Coperative サム オイルシード プロデューサーズ コオペレイティブ社製、油脂分約8%、脱脂工程にて加熱されている)を使用したこと以外は、上記実施例2と同一の方法及び同一の条件にて人造米を得た。水分量は5.1重量%であった。
比較例4として、大豆粉として市販脱脂大豆粉(商品名サンリッチ400、昭和産業株式会社製、脱脂工程にて加熱されている)を使用したこと以外は、上記実施例2と同一の方法及び同一の条件にて人造米を得た。水分量は4.7重量%であった。
比較例5として、乾燥温度を100℃とし、乾燥時間を100分としたこと以外は、上記実施例2と同一の方法及び同一の条件で人造米を得た。水分量は4.8重量%であった。
このようにして得られた各人造米の色彩値の測定及び官能評価は実施例1と同様に行った。
各人造米の製造条件、並びに色彩値測定結果及び官能評価結果を表2に示した。
Figure 2008212145
中間バレル部の温度は、実施例2及び比較例2〜5とも全て120℃にて設定したが、表3に示す如く、加熱した大豆を使用して調製した大豆粉を原料とした比較例2から4においては、実施例1で示したL値が63.0から72.0の範囲であり、かつa値が−1.0から4.0の範囲から外れており、炊飯後の異物感が強く感じられ、中間バレル部の温度と共に非加熱大豆を粉砕して調製した大豆粉を使用することが必要であることが分かった。
また、非加熱大豆を粉砕して調製した大豆粉を使用した場合でも、比較例5のように乾燥温度を100℃とした場合には、色彩値は上記範囲を外れてしまい、官能的に異物感が感じられたことから、中間バレル部の温度及び原料に非加熱大豆を粉砕して調製した大豆粉を使用することに加え、乾燥温度は90℃以下にすることが必要なことが分かった。
実施例3及び比較例6
加熱処理していない、乾燥した大豆(品種スズユタカ)を衝突式の脱皮機にて脱皮処理後、品温を40℃に維持しながら衝突式の粉砕機にて粉砕して調製した大豆粉を原料として使用し、大豆粉70重量部、コーンスターチを原料として加工した化工澱粉(三和澱粉工業株式会社:商品名デリカスターH200W)27重量部、塩化カルシウム粉末(冨田製薬株式会社:塩化カルシウム)3重量部を混合した。
上記混合原料を2軸エクストルーダー(株式会社スエヒロEPM:EA−100)に投入し、上記全原料65:水35の割合(重量比)で混練した。
中間バレル部の温度を、90℃に設定して加熱した後、先端バレル及びダイ部で冷却しながら6mm×1mmの長方形の穴から押出し、カッティング成形を行なった。スクリュー回転数は250rpmで行なった。得られた押出物を棚式乾燥機にて70℃で120分間乾燥し、人造米を得た。水分量は、5.9重量%であった。
比較例6として、乾燥した大豆(品種スズユタカ)を140℃で10分間加熱処理し、その後、上記実施例3と同一の条件で衝突式の脱皮機にて脱皮処理し、次いで衝突式の粉砕機にて粉砕して調製した加熱大豆粉を使用したこと以外は、実施例3と同一の方法及び同一の条件にて人造米を得た。水分量は5.8重量%であった。
このようにして得られた各人造米の色彩値の測定及び官能評価は実施例1と同様に行った。
各人造米の製造条件、並びに色彩値測定結果及び官能評価結果を表3に示した。
Figure 2008212145
表3から、L値が63.0から72.0の範囲であり、かつ、a値が−1.0から4.0の範囲に入る人造米の製造にあたり、原料として非加熱大豆を粉砕して調製した大豆粉を使用すること、中間バレル部の温度設定、乾燥温度が同時に実現したときに、異物感がなく、食味的にも優れた人造米が製造できた。
以上のことから、L値が63.0から72.0の範囲であり、かつ、a値が−1.0から4.0の範囲に入る人造米の製造にあたり、原料として非加熱大豆を粉砕して調製した大豆粉を使用すること、中間バレル部の温度設定、乾燥温度が同時に実現されたときにはじめて異物感のない人造米となることが分かった。また、食味的にも優れたものであった。
本発明の人造米は、米飯の代替として、或いは精白米に混ぜても外観上異物感を感じず、抵抗感なく食することができるため、大豆の豊富な栄養素を無理なく継続的に摂取できることが期待される。また、業務用米飯や米飯加工食品への利用が期待される。

Claims (3)

  1. 大豆を主原料とし、L 表色系でL値が63.0〜72.0であり、かつ、a値が−1.0〜4.0であることを特徴とする人造米。
  2. 原料大豆として加熱処理を行っていない大豆を粉砕して調製した大豆粉を使用し、原料をエクストルーダーに投入して、中間バレルの温度を70℃から150℃に加熱して混練した後、混練物を押出し成形して米粒状の形状にし、得られた米粒状形状物を90℃以下で乾燥させることを特徴とする、請求項1に記載の人造米の製造方法。
  3. 大豆粉として、原料大豆として加熱処理を行っていない大豆を、50℃以下の温度を保持しながら粉砕して調製した大豆粉を用いる、請求項2に記載の方法。
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