JP2004261031A - スティック裁断野菜用ソースとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】付着性が良くてスティック裁断野菜の上に載せて食し易く、しかも切れ性が良くて袋詰容器から取り出す際に、押し出し口の周りの汚れにくいソースを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、澱粉、植物擂潰物、水及び調味混合物からなり、粘度が5000〜25000センチポイズ(cp)であり、かつ、30メッシュ(目開き600μm)オン、6メッシュ(目開き3350μm)パスの植物擂潰物を20〜45重量%含有するスティック裁断野菜用ソースに関する。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明は、澱粉、植物擂潰物、水及び調味混合物からなり、粘度が5000〜25000センチポイズ(cp)であり、かつ、30メッシュ(目開き600μm)オン、6メッシュ(目開き3350μm)パスの植物擂潰物を20〜45重量%含有するスティック裁断野菜用ソースに関する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、きゅうり、セロリ、にんじん等のスティック裁断野菜に載せて食するスティック裁断野菜用ソースとその製造方法に関する。なお、ここでいうスティック裁断野菜とは、スティック状、つまり棒状に裁断された野菜を指しており、一般には3〜7mm×3〜7mm×100〜150mm程度の大きさにカットされたものを指している。
【0002】
【従来の技術】
従来、ソースとして、例えば野菜類のペースト、酢、油及び増粘剤を含有し、粘度が1000〜4000センチポアズであることを特徴とするソースが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このソースはパスタ料理には適しているものの、きゅうり、セロリ、にんじん等のスティック裁断野菜に載せて食するスティック裁断野菜用ソースとしては、比較的低粘度の乳化物のため付着性が不足し、不適当であった。
【0003】
このようなスティック裁断野菜用ソースとしては、裁断野菜をソースの中に漬けたり、或いはすくい上げるようにして裁断野菜の上に載せたりして用いるディップソースが知られているが、粘性が低かったり、粘度が高くとも付着性が低いか、切れ性の低いものがほとんどであり、スティック裁断野菜に載せづらいものばかりである。
【0004】
一方、付着性が高い高粘度ソース類としては、ドレッシング、マヨネーズ様食品、たれ類等、各種のものが知られている。また、これらの中に固形具材が入ったものも知られている。
高粘度ソースにおいて、固形具材を固定したり、野菜などに載せたり、絡ませたりするときには、主に粘度を高めることによって実施しており、具体的には乳化による方法、増粘剤として多糖類を使用する方法、又は澱粉を使用する方法等が用いられている。
【0005】
しかしながら、こられのソース類をスティック裁断野菜の様に細く切った食品の上に載せて、食す場合、下記の様な問題点が生じる。
例えば、乳化ドレッシングの場合、ある程度の粘度があるものの、スティック裁断野菜の様に細く切った食品の上に載せようとする場合には粘度が足りなかったり、乳化による粘性の性質から流れ落ちやすくなってしまう。これらは低粘度のものは全て言えるが、粘度を高くしたものであっても多糖類で粘度を付けたものでは乳化同様その性質から流れ落ちやすくなる。
また、澱粉である程度高粘度に調整されたたれ類や、乳化の中でも粘度が高くなっているマヨネーズ様食品等はスティック裁断野菜のような食品の上に載せて食べることはできるが、高粘度に調整されてはいるものの、切れ性が無いことから、食品に載せる際に糸曳き性が残る、触感として重たい等のことから載せづらく感じる。また、袋詰め容器等から絞り出す際、押し出し口の周りが汚れてしまうという問題も生じている。
【0006】
このように今まではスティック裁断野菜の上に載せて食し易く、しかも切れ性が良くて袋詰容器から取り出す際に、押し出し口の周りの汚れにくい高粘度のソースは無かった。
【0007】
【特許文献1】
特開平4‐112774号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の欠点を解消し、付着性が良くてスティック裁断野菜の上に載せて食し易く、しかも切れ性が良くて袋詰容器から取り出す際に、押し出し口の周りの汚れにくいソースを提供することを目的とするものである。
また、本発明は、付着性や切れ性などに優れるスティック裁断野菜用ソースが得られると共に、調味混合物として具材を含んでいる場合に、製造時において、含まれている具材に色や食感の劣化のないスティック裁断野菜用ソースの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、このような課題を解決するため鋭意検討を重ねた。その過程で、付着性を後記実施例に示す方法で5秒以上持たせた中で、更には切れ性が後記実施例に示す方法で0.2g以下となるように調整することが必要であることが分かった。
本発明者はさらに検討を進め、その結果、澱粉、30メッシュ(目開き600μm)オン、6メッシュ(目開き3350μm)パスの植物擂潰物、水及び調味混合物からなり、粘度が5000〜25000センチポイズであり、かつ、前記植物擂潰物を20〜45重量%含有するスティック裁断野菜用ソースが目的を達成しうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
【0010】
すなわち、請求項1に係る本発明は、澱粉、植物擂潰物、水及び調味混合物からなり、粘度が5000〜25000センチポイズ(cp)であり、かつ、30メッシュ(目開き600μm)オン、6メッシュ(目開き3350μm)パスの植物擂潰物を20〜45重量%含有するスティック裁断野菜用ソースを提供するものである。
請求項2に係る本発明は、植物擂潰物が、オニオン及び/又はトマトの擂潰物である請求項1記載のスティック裁断野菜用ソースを提供するものである。
請求項3に係る本発明は、水に澱粉を加熱溶解して糊化し、次いで45℃以下に冷却してから30メッシュ(目開き600μm)オン、6メッシュ(目開き3350μm)パスの植物擂潰物及び調味混合物を混合し、かつ、全体の粘度を5000〜25000センチポイズとすることを特徴とする請求項1記載のスティック裁断野菜用ソースの製造方法を提供するものである。
【0011】
請求項1に係る本発明のスティック裁断野菜用ソースは、澱粉、植物擂潰物、水及び調味混合物からなるものである。
【0012】
請求項1に係る本発明においては、澱粉を用いる。この澱粉の使用により、粘度を高める。ここで粘度を高めるために、乳化や多糖類の添加による方法もあるが、これらの方法は曳糸性が強いことから、その影響を大きく受けて目的を達成できなくなるため、不適当である。
澱粉としては、馬鈴薯、タピオカ、ワキシーコーン、コーン、小麦等を原料とする天然澱粉の他、これら天然澱粉をエーテル・エステル化したものや架橋化したもの、さらにはそれらを組み合わせたもの等のいわゆる加工澱粉も用いることができる。
【0013】
請求項1に係る本発明のスティック裁断野菜用ソースとしては、このような澱粉の使用により、粘度を5000〜25000cp、好ましくは7500〜20000cpとすることが必要である。
すなわち、本発明ではB型粘度計で測定したスティック裁断野菜用ソース全系の粘度が5000cp〜25000cpであることが必要である。5000cp未満ではスティック裁断野菜の上に載せづらくなってくる。一方、25000cpを超えると、澱粉量も多くなり、澱粉の糸曳き性が残り、容器から取り出す際には押し出し口の周りは汚れしまい、更には澱粉独特のもたつき感により、スティック裁断野菜に載せづらくなってくる。また、風味・食味的にも好ましくないものになってくる。
【0014】
上記した如き澱粉の含有量は、用いる澱粉の種類等により異なるため、一義的に決定することは困難である。要するにスティック裁断野菜用ソース全系の粘度が5000cp〜25000cpとなる量であれば良い。一般的には、1〜5重量%程度であるが、これに制限されるものではない。
【0015】
次に、請求項1に係る本発明においては、植物擂潰物を用いることが必要である。
使用する植物擂潰物としては、トマト、オニオン等挙げられ、特に限定されるものではないが、請求項2に記載したように、オニオン及び/又はトマトの擂潰物が好ましい。
このような植物擂潰物は、トマト、オニオン等の植物を裁断機等で裁断処理して得られる。例えば、パルパーフィニッシャーで2段階処理された植物擂潰物が用いられる。
【0016】
請求項1に係る本発明においては、このような植物擂潰物の中でも、特に最終の大きさとして30メッシュ(目開き600μm)オン、6メッシュ(目開き3350μm)パスの大きさのものを主となるように処理したものを用い、この大きさのものを20〜45重量%含有することが必要である。
【0017】
一般に澱粉で粘度を高くした場合には、切れのあるソースを作ることが困難であるが、上記したような植物擂潰物を特定割合で用いることにより、澱粉で粘度を高くした場合でも粘性を変え、切れのあるソースを作ることができる。
ここで30メッシュ(目開き600μm)パスや、6メッシュ(目開き3350μm)オンの植物擂潰物を主体としたものでは、澱粉による粘性を変えることができず、澱粉本来の粘性が出てしまい、切れのあるソースとならなくなる。
【0018】
請求項1に係る本発明においては、30メッシュ(目開き600μm)オン、6メッシュ(目開き3350μm)パスの植物擂潰物を20〜45重量%という割合で含有することが必要である。
この範囲の大きさの植物擂潰物の割合が20重量%未満であると、澱粉本来の粘性が出てしまい、切れのあるソースとならない。一方、この範囲の大きさの植物擂潰物の割合が45重量%を超えると、植物擂潰物の占める割合が多くなり過ぎ、ソースとしての調味ができなくなってくると共に、スティック裁断野菜へ載せづらく、また、ソースとしての食味・食感への影響も出てしまう。
【0019】
ここで付着性、切れ性の測定方法については、従来知られている方法では充分にその物性を示すことができないことから、後記実施例に示すような手法を用いた。なお、付着性については流動性を測定するコンシストメーターによる方法も考えられるが、粘度の影響もあり、付着性そのものを測定するには不適当と考えた。
【0020】
請求項1に係る本発明においては、澱粉、植物擂潰物以外に、水と調味混合物とを用いる。
ここで調味混合物としては、一般にソースに使用されるものであれば特に制限はなく、また、具材を含む概念である。
具材以外の調味混合物として具体的には例えば、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム、醤油、味噌、塩、砂糖、赤唐辛子、青唐辛子、ハラペーニョ、胡椒類、醸造酢、オリーブオイル、レモン果汁、ココナッツミルク、ガーリック、魚醤、蝦醤、レモングラス等のハーブ類、粉チーズ、チーズフレーバー等を挙げることができる。
一方、具材としては、例えばポテト、ピーマン、なす等が挙げられ、さらに擂潰物でない形であればオニオン、トマトを用いることもできる。
【0021】
澱粉、植物擂潰物を除く、水と調味混合物の含有量について、澱粉と植物擂潰物を使用した後の残存量ということになり、一般的には水は15〜50重量%程度であり、調味混合物は20〜40重量%程度であるが、これに制限されるものではない
【0022】
請求項1に係る本発明のスティック裁断野菜用ソースは、以上の如きものである。
このようなスティック裁断野菜用ソースは、様々な方法により製造することができるが、例えば請求項3に係る本発明の方法によれば、具材を劣化させることなく、付着性が良くてスティック裁断野菜の上に載せて食し易く、しかも切れ性が良くて袋詰容器から取り出す際に、押し出し口の周りの汚れにくいソースを製造することができる。さらに、請求項3に係る本発明の方法によれば、調味混合物として具材を含んでいる場合に、製造時において、含まれている具材に退色が生じたり、食感の劣化が生じるおそれがない。
【0023】
すなわち、請求項3に係る本発明は、請求項1記載のスティック裁断野菜用ソースの製造方法に関し、水に澱粉を加熱溶解して糊化し、次いで45℃以下に冷却してから30メッシュ(目開き600μm)オン、6メッシュ(目開き3350μm)パスの植物擂潰物及び調味混合物を混合し、かつ、全体の粘度を5000〜25000センチポイズとすることを特徴とするものである。
【0024】
ここで原料成分を一度に混合し、澱粉を加熱溶解させた場合や、或いは、予め水に澱粉を加熱溶解して糊化し、次いで冷却したとしても45℃を超える場合には、いずれも付着性や切れ性は良好であるものの、含まれている具材に色や食感の劣化を生じさせてしまうため好ましくない。
なお、通常、澱粉で糊化し、ソースの粘性を得る場合は、生産効率の観点からも全ての原料を混合してから、澱粉を糊化する。しかし、この場合、糊化に必要な温度は90℃程度まで達し、使用している具材等の原料の劣化が進み、最終のソースの品質を損なうことになるため、不適当である。
よって、澱粉の糊化に必要な加熱を先に実施し、充分に冷却してから具材等の原料を混合することにより、品質劣化のないスティック裁断野菜用ソースが得られる。
【0025】
このようにして得られたスティック裁断野菜用ソースは、一般的には、例えば85℃で1〜2分間程度の加熱殺菌を施され、さらに冷却された後、最終製品とされる。なお、冷却後に凍結すると、使用している植物擂潰物や調味混合物の野菜の褐変が抑制され、野菜本来の食感や風味が解凍後の使用時まで長時間維持され、好適なものとなる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの範囲に限定されるものではない。
【0027】
I.試験1(実施例1,2と比較例1,2)
この試験1では、様々な粘度のものを調製し、好適な粘度を調べた。
【0028】
実施例1
水20重量%に加工澱粉(ファリネックスVA70;松谷化学製)2.0重量%を投入し、90℃達温まで加熱溶解した。次いで、これを40℃まで冷却した後、植物擂潰物としてオニオン擂潰物18重量%とトマト擂潰物30重量%、さらに赤とうがらし1.7重量%、ハラペーニョ0.1重量%、オリーブオイル3重量%、レモン果汁0.5重量%、醸造酢1.7重量%、白胡椒0.7重量%、黒胡椒0.7重量%、上白糖0.4重量%、食塩1.2重量%、5mm角にカットしたピーマン20重量%を30分間良く攪拌混合して、粘度が20000cpのスティック裁断野菜用ソースを得た。
なお、上記のオニオン擂潰物は、30メッシュパスのものが20重量%、30メッシュオン6メッシュパスのものが80重量%、6メッシュオンのものが0重量%の割合のものである。また、トマト擂潰物は30メッシュパスのものが21重量%、30メッシュオン6メッシュパスのものが79重量%、6メッシュオンのものが0重量%の割合のものである。製品中における30メッシュオン6メッシュパスの植物擂潰物の割合は、表1に示すとおり、38重量%であった。
【0029】
得られたスティック裁断野菜用ソースの粘度、付着性、切れ性の測定結果と、ソースの載せ易さ、食味・食感の官能評価結果を表1に示す。粘度、付着性、切れ性の測定方法と、ソースの載せ易さ、食味・食感の官能評価方法とを以下に示す。
【0030】
〔粘度、付着性、切れ性の測定方法〕
粘度はB型粘度計で測定した結果である。
付着性は、次のようにして測定した。
▲1▼ステンレス製スパーテルに0.5g対象物を乗せ、これを下向きに垂直にする。▲2▼ここから対象物が流れ落ちるまでの時間を計測する。▲3▼5秒以上の場合を○、5秒未満の場合を×とし、2段階で評価した。
【0031】
切れ性(糸曳き性)は、次のようにして測定した。▲1▼径10mmの押し出し口のある軟包材に対象物を入れる。▲2▼この軟包材を横向きにし、秤に乗せたビーカーに対象物約3gを10秒かけてゆっくりと押し出す。▲3▼15秒そのままで静止させる。▲4▼その後、押し出し口の先に残った対象物をそぎ取り、重量を測定する。▲5▼この重量の5回の平均値を評価値とした。目標値は0.2g以下とした。
【0032】
〔ソースの載せ易さ、食味・食感の官能評価方法〕
実施例と比較例でそれぞれ得られたスティック裁断野菜用ソースについて、スティック裁断野菜に載せたときの載せ易さと食味・食感とについて官能評価を行った。スティック裁断野菜としては、その大きさを5mm×5mm×100mmにしたきゅうりを用い、これでスティック裁断野菜用ソースをすくう様にして載せて食すことで評価した。評価は5名の専門パネラーにより行った。
【0033】
a.ソースの載せ易さ
○:非常に載せ易い。
△:載せ易さはやや悪い。
×:非常に載せ難い。
【0034】
b.食味・食感の評価
○:風味・食感が問題無く、ソースとして非常に良い。
△:風味・食感が損なわれており、ソースとして好ましくないレベル。
×:風味・食感について異質なレベル
【0035】
なお、具材の大きさの測定は次のようにして行った。▲1▼対象具材を50g量り取り、水を450g加えて10倍希釈し、充分に攪拌し均一化する。▲2▼これを上に6メッシュ、下に30メッシュの篩を重ね、上記▲1▼の調整液を通す。▲3▼篩の下や周りの余分な水分を取り除き、篩に残った具材を計量し、その割合を示した。
【0036】
比較例1
実施例1において、加工澱粉の量を0.5重量%とし、粘度を3500cpとしたこと以外は、実施例1と同様にしてスティック裁断野菜用ソースを得た。
結果を表1に示す。
【0037】
実施例2
実施例1において、加工澱粉の量を1.0重量%とし、粘度を7500cpとしたこと以外は、実施例1と同様にしてスティック裁断野菜用ソースを得た。
結果を表1に示す。
【0038】
比較例2
実施例1において、加工澱粉の量を3.0重量%とし、粘度を30000cpとしたこと以外は、実施例1と同様にしてスティック裁断野菜用ソースを得た。
結果を表1に示す。
【0039】
なお、比較のために、市販品2種(市販品1と2)について、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0040】
市販品1(乳化ドレッシング)
JASで定められた乳化液状ドレッシング。
【0041】
市販品2(マヨネーズ)
JASで定められたマヨネーズで具材の添加はないもの。
【0042】
【表1】
【0043】
表1の結果によれば、ソースの粘度が3500cpである場合には、付着性、切れ性、ソースの載せ易さ、食味・食感に劣るが、7500cp以上の場合には、付着性、切れ性、ソースの載せ易さ、食味・食感に優れたスティック裁断野菜用ソースとなることが分かる。
但し、粘度が30000cpの場合には、食味・食感が損なわれることが分かる。
これらのことから、粘度としては、5000〜25000cpの範囲が良いことが分かった。
【0044】
II.試験2(実施例1,3,4と比較例3,4)
この試験2では、粘度を上記試験1における実施例1の20000cpに固定し、植物擂潰物の好適な使用量を検討した。
【0045】
実施例3
実施例1において、30メッシュオン6メッシュパスの植物擂潰物の量を45重量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてスティック裁断野菜用ソースを得、同様に評価した。
結果を実施例1の結果と共に表2に示す。
【0046】
実施例4
実施例1において、30メッシュオン6メッシュパスの植物擂潰物の量を20重量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてスティック裁断野菜用ソースを得、同様に評価した。
結果を表2に示す。
【0047】
比較例3
実施例1において、30メッシュオン6メッシュパスの植物擂潰物の量を15重量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてスティック裁断野菜用ソースを得、同様に評価した。
結果を表2に示す。
【0048】
比較例4
実施例1において、30メッシュオン6メッシュパスの植物擂潰物の量を48重量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてスティック裁断野菜用ソースを得、同様に評価した。
結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
表2の結果によれば、30メッシュオン6メッシュパスの植物擂潰物の量を20〜45重量%の範囲とすることにより、付着性、切れ性、ソースの載せ易さ、食味・食感に優れたスティック裁断野菜用ソースとなることが分かる。
【0051】
以上の試験1と試験2の結果とから、食品に載せて食べやすいスティック裁断野菜用ソースであって、しかも容器からの取り出しの際に取り出し口の汚れ等が無いものを得るためには、全系粘度が5000cp〜25000cpの中で6〜30メッシュの植物擂潰物を20〜45重量%含むことが必要であることが分かった。
【0052】
III.試験3(製造方法の検討;実施例1と比較例5,6,7)
この試験3では、実施例1において、原料成分を一度に混合し、澱粉を加熱溶解したり(比較例5)、或いは種々冷却温度を変えて(比較例6,7)、製造方法の検討を行った。
【0053】
比較例5
実施例1において、原料成分を一度に混合し、澱粉を加熱溶解したこと以外は、実施例1と同様にしてスティック裁断野菜用ソースを得た。
得られたスティック裁断野菜用ソースについて、具材のピーマンの劣化具合を次のようにして評価した。結果を表3に示す。
【0054】
〔ピーマンの劣化具合の評価方法〕
1)ピーマンの退色(褐色化現象)
○:ピーマンの退色が無い。
×:ピーマンの退色が部分的に見られ、ソースの外観を損なう。
2)ピーマンの食感
○:ピーマンの食感が維持され、劣化の無いレベル。
△:ピーマンの食感はやや劣化はあるが、許容できるレベル。
×:ピーマンの歯ごたえがなくなり、食感劣化が起こり、好ましくないレベル。
【0055】
比較例6
実施例1において、冷却温度を40℃ではなく、80℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてスティック裁断野菜用ソースを得た。
得られたスティック裁断野菜用ソースについて、具材のピーマンの劣化具合を比較例5と同様にして評価した。結果を表3に示す。
【0056】
比較例7
実施例1において、冷却温度を40℃ではなく、60℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてスティック裁断野菜用ソースを得た。
得られたスティック裁断野菜用ソースについて、具材のピーマンの劣化具合を比較例5と同様にして評価した。結果を表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】
表3の結果によれば、原料成分を一度に混合し、澱粉を加熱溶解したり(比較例5)、或いは水に澱粉を加熱溶解して糊化し、次いで冷却してから植物擂潰物及び調味混合物を混合したとしても、冷却温度が80℃や60℃であったりする(比較例6,7)と、含まれている具材に色や食感の劣化を生じさせてしまうことが分かる。
【0059】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明によれば、付着性が良くてスティック裁断野菜の上に載せて食し易く、しかも切れ性が良くて袋詰容器から取り出す際に、押し出し口の周りの汚れにくいソースが提供される。
また、請求項3に係る本発明の方法によれば、付着性や切れ性などに優れるスティック裁断野菜用ソースが得られると共に、調味混合物として具材を含んでいる場合に、製造時において、含まれている具材に色や食感の劣化を生じさせるおそれがない。
【発明の属する技術分野】
本発明は、きゅうり、セロリ、にんじん等のスティック裁断野菜に載せて食するスティック裁断野菜用ソースとその製造方法に関する。なお、ここでいうスティック裁断野菜とは、スティック状、つまり棒状に裁断された野菜を指しており、一般には3〜7mm×3〜7mm×100〜150mm程度の大きさにカットされたものを指している。
【0002】
【従来の技術】
従来、ソースとして、例えば野菜類のペースト、酢、油及び増粘剤を含有し、粘度が1000〜4000センチポアズであることを特徴とするソースが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このソースはパスタ料理には適しているものの、きゅうり、セロリ、にんじん等のスティック裁断野菜に載せて食するスティック裁断野菜用ソースとしては、比較的低粘度の乳化物のため付着性が不足し、不適当であった。
【0003】
このようなスティック裁断野菜用ソースとしては、裁断野菜をソースの中に漬けたり、或いはすくい上げるようにして裁断野菜の上に載せたりして用いるディップソースが知られているが、粘性が低かったり、粘度が高くとも付着性が低いか、切れ性の低いものがほとんどであり、スティック裁断野菜に載せづらいものばかりである。
【0004】
一方、付着性が高い高粘度ソース類としては、ドレッシング、マヨネーズ様食品、たれ類等、各種のものが知られている。また、これらの中に固形具材が入ったものも知られている。
高粘度ソースにおいて、固形具材を固定したり、野菜などに載せたり、絡ませたりするときには、主に粘度を高めることによって実施しており、具体的には乳化による方法、増粘剤として多糖類を使用する方法、又は澱粉を使用する方法等が用いられている。
【0005】
しかしながら、こられのソース類をスティック裁断野菜の様に細く切った食品の上に載せて、食す場合、下記の様な問題点が生じる。
例えば、乳化ドレッシングの場合、ある程度の粘度があるものの、スティック裁断野菜の様に細く切った食品の上に載せようとする場合には粘度が足りなかったり、乳化による粘性の性質から流れ落ちやすくなってしまう。これらは低粘度のものは全て言えるが、粘度を高くしたものであっても多糖類で粘度を付けたものでは乳化同様その性質から流れ落ちやすくなる。
また、澱粉である程度高粘度に調整されたたれ類や、乳化の中でも粘度が高くなっているマヨネーズ様食品等はスティック裁断野菜のような食品の上に載せて食べることはできるが、高粘度に調整されてはいるものの、切れ性が無いことから、食品に載せる際に糸曳き性が残る、触感として重たい等のことから載せづらく感じる。また、袋詰め容器等から絞り出す際、押し出し口の周りが汚れてしまうという問題も生じている。
【0006】
このように今まではスティック裁断野菜の上に載せて食し易く、しかも切れ性が良くて袋詰容器から取り出す際に、押し出し口の周りの汚れにくい高粘度のソースは無かった。
【0007】
【特許文献1】
特開平4‐112774号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の欠点を解消し、付着性が良くてスティック裁断野菜の上に載せて食し易く、しかも切れ性が良くて袋詰容器から取り出す際に、押し出し口の周りの汚れにくいソースを提供することを目的とするものである。
また、本発明は、付着性や切れ性などに優れるスティック裁断野菜用ソースが得られると共に、調味混合物として具材を含んでいる場合に、製造時において、含まれている具材に色や食感の劣化のないスティック裁断野菜用ソースの製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、このような課題を解決するため鋭意検討を重ねた。その過程で、付着性を後記実施例に示す方法で5秒以上持たせた中で、更には切れ性が後記実施例に示す方法で0.2g以下となるように調整することが必要であることが分かった。
本発明者はさらに検討を進め、その結果、澱粉、30メッシュ(目開き600μm)オン、6メッシュ(目開き3350μm)パスの植物擂潰物、水及び調味混合物からなり、粘度が5000〜25000センチポイズであり、かつ、前記植物擂潰物を20〜45重量%含有するスティック裁断野菜用ソースが目的を達成しうることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに到った。
【0010】
すなわち、請求項1に係る本発明は、澱粉、植物擂潰物、水及び調味混合物からなり、粘度が5000〜25000センチポイズ(cp)であり、かつ、30メッシュ(目開き600μm)オン、6メッシュ(目開き3350μm)パスの植物擂潰物を20〜45重量%含有するスティック裁断野菜用ソースを提供するものである。
請求項2に係る本発明は、植物擂潰物が、オニオン及び/又はトマトの擂潰物である請求項1記載のスティック裁断野菜用ソースを提供するものである。
請求項3に係る本発明は、水に澱粉を加熱溶解して糊化し、次いで45℃以下に冷却してから30メッシュ(目開き600μm)オン、6メッシュ(目開き3350μm)パスの植物擂潰物及び調味混合物を混合し、かつ、全体の粘度を5000〜25000センチポイズとすることを特徴とする請求項1記載のスティック裁断野菜用ソースの製造方法を提供するものである。
【0011】
請求項1に係る本発明のスティック裁断野菜用ソースは、澱粉、植物擂潰物、水及び調味混合物からなるものである。
【0012】
請求項1に係る本発明においては、澱粉を用いる。この澱粉の使用により、粘度を高める。ここで粘度を高めるために、乳化や多糖類の添加による方法もあるが、これらの方法は曳糸性が強いことから、その影響を大きく受けて目的を達成できなくなるため、不適当である。
澱粉としては、馬鈴薯、タピオカ、ワキシーコーン、コーン、小麦等を原料とする天然澱粉の他、これら天然澱粉をエーテル・エステル化したものや架橋化したもの、さらにはそれらを組み合わせたもの等のいわゆる加工澱粉も用いることができる。
【0013】
請求項1に係る本発明のスティック裁断野菜用ソースとしては、このような澱粉の使用により、粘度を5000〜25000cp、好ましくは7500〜20000cpとすることが必要である。
すなわち、本発明ではB型粘度計で測定したスティック裁断野菜用ソース全系の粘度が5000cp〜25000cpであることが必要である。5000cp未満ではスティック裁断野菜の上に載せづらくなってくる。一方、25000cpを超えると、澱粉量も多くなり、澱粉の糸曳き性が残り、容器から取り出す際には押し出し口の周りは汚れしまい、更には澱粉独特のもたつき感により、スティック裁断野菜に載せづらくなってくる。また、風味・食味的にも好ましくないものになってくる。
【0014】
上記した如き澱粉の含有量は、用いる澱粉の種類等により異なるため、一義的に決定することは困難である。要するにスティック裁断野菜用ソース全系の粘度が5000cp〜25000cpとなる量であれば良い。一般的には、1〜5重量%程度であるが、これに制限されるものではない。
【0015】
次に、請求項1に係る本発明においては、植物擂潰物を用いることが必要である。
使用する植物擂潰物としては、トマト、オニオン等挙げられ、特に限定されるものではないが、請求項2に記載したように、オニオン及び/又はトマトの擂潰物が好ましい。
このような植物擂潰物は、トマト、オニオン等の植物を裁断機等で裁断処理して得られる。例えば、パルパーフィニッシャーで2段階処理された植物擂潰物が用いられる。
【0016】
請求項1に係る本発明においては、このような植物擂潰物の中でも、特に最終の大きさとして30メッシュ(目開き600μm)オン、6メッシュ(目開き3350μm)パスの大きさのものを主となるように処理したものを用い、この大きさのものを20〜45重量%含有することが必要である。
【0017】
一般に澱粉で粘度を高くした場合には、切れのあるソースを作ることが困難であるが、上記したような植物擂潰物を特定割合で用いることにより、澱粉で粘度を高くした場合でも粘性を変え、切れのあるソースを作ることができる。
ここで30メッシュ(目開き600μm)パスや、6メッシュ(目開き3350μm)オンの植物擂潰物を主体としたものでは、澱粉による粘性を変えることができず、澱粉本来の粘性が出てしまい、切れのあるソースとならなくなる。
【0018】
請求項1に係る本発明においては、30メッシュ(目開き600μm)オン、6メッシュ(目開き3350μm)パスの植物擂潰物を20〜45重量%という割合で含有することが必要である。
この範囲の大きさの植物擂潰物の割合が20重量%未満であると、澱粉本来の粘性が出てしまい、切れのあるソースとならない。一方、この範囲の大きさの植物擂潰物の割合が45重量%を超えると、植物擂潰物の占める割合が多くなり過ぎ、ソースとしての調味ができなくなってくると共に、スティック裁断野菜へ載せづらく、また、ソースとしての食味・食感への影響も出てしまう。
【0019】
ここで付着性、切れ性の測定方法については、従来知られている方法では充分にその物性を示すことができないことから、後記実施例に示すような手法を用いた。なお、付着性については流動性を測定するコンシストメーターによる方法も考えられるが、粘度の影響もあり、付着性そのものを測定するには不適当と考えた。
【0020】
請求項1に係る本発明においては、澱粉、植物擂潰物以外に、水と調味混合物とを用いる。
ここで調味混合物としては、一般にソースに使用されるものであれば特に制限はなく、また、具材を含む概念である。
具材以外の調味混合物として具体的には例えば、グルタミン酸ナトリウム、イノシン酸ナトリウム、グアニル酸ナトリウム、醤油、味噌、塩、砂糖、赤唐辛子、青唐辛子、ハラペーニョ、胡椒類、醸造酢、オリーブオイル、レモン果汁、ココナッツミルク、ガーリック、魚醤、蝦醤、レモングラス等のハーブ類、粉チーズ、チーズフレーバー等を挙げることができる。
一方、具材としては、例えばポテト、ピーマン、なす等が挙げられ、さらに擂潰物でない形であればオニオン、トマトを用いることもできる。
【0021】
澱粉、植物擂潰物を除く、水と調味混合物の含有量について、澱粉と植物擂潰物を使用した後の残存量ということになり、一般的には水は15〜50重量%程度であり、調味混合物は20〜40重量%程度であるが、これに制限されるものではない
【0022】
請求項1に係る本発明のスティック裁断野菜用ソースは、以上の如きものである。
このようなスティック裁断野菜用ソースは、様々な方法により製造することができるが、例えば請求項3に係る本発明の方法によれば、具材を劣化させることなく、付着性が良くてスティック裁断野菜の上に載せて食し易く、しかも切れ性が良くて袋詰容器から取り出す際に、押し出し口の周りの汚れにくいソースを製造することができる。さらに、請求項3に係る本発明の方法によれば、調味混合物として具材を含んでいる場合に、製造時において、含まれている具材に退色が生じたり、食感の劣化が生じるおそれがない。
【0023】
すなわち、請求項3に係る本発明は、請求項1記載のスティック裁断野菜用ソースの製造方法に関し、水に澱粉を加熱溶解して糊化し、次いで45℃以下に冷却してから30メッシュ(目開き600μm)オン、6メッシュ(目開き3350μm)パスの植物擂潰物及び調味混合物を混合し、かつ、全体の粘度を5000〜25000センチポイズとすることを特徴とするものである。
【0024】
ここで原料成分を一度に混合し、澱粉を加熱溶解させた場合や、或いは、予め水に澱粉を加熱溶解して糊化し、次いで冷却したとしても45℃を超える場合には、いずれも付着性や切れ性は良好であるものの、含まれている具材に色や食感の劣化を生じさせてしまうため好ましくない。
なお、通常、澱粉で糊化し、ソースの粘性を得る場合は、生産効率の観点からも全ての原料を混合してから、澱粉を糊化する。しかし、この場合、糊化に必要な温度は90℃程度まで達し、使用している具材等の原料の劣化が進み、最終のソースの品質を損なうことになるため、不適当である。
よって、澱粉の糊化に必要な加熱を先に実施し、充分に冷却してから具材等の原料を混合することにより、品質劣化のないスティック裁断野菜用ソースが得られる。
【0025】
このようにして得られたスティック裁断野菜用ソースは、一般的には、例えば85℃で1〜2分間程度の加熱殺菌を施され、さらに冷却された後、最終製品とされる。なお、冷却後に凍結すると、使用している植物擂潰物や調味混合物の野菜の褐変が抑制され、野菜本来の食感や風味が解凍後の使用時まで長時間維持され、好適なものとなる。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの範囲に限定されるものではない。
【0027】
I.試験1(実施例1,2と比較例1,2)
この試験1では、様々な粘度のものを調製し、好適な粘度を調べた。
【0028】
実施例1
水20重量%に加工澱粉(ファリネックスVA70;松谷化学製)2.0重量%を投入し、90℃達温まで加熱溶解した。次いで、これを40℃まで冷却した後、植物擂潰物としてオニオン擂潰物18重量%とトマト擂潰物30重量%、さらに赤とうがらし1.7重量%、ハラペーニョ0.1重量%、オリーブオイル3重量%、レモン果汁0.5重量%、醸造酢1.7重量%、白胡椒0.7重量%、黒胡椒0.7重量%、上白糖0.4重量%、食塩1.2重量%、5mm角にカットしたピーマン20重量%を30分間良く攪拌混合して、粘度が20000cpのスティック裁断野菜用ソースを得た。
なお、上記のオニオン擂潰物は、30メッシュパスのものが20重量%、30メッシュオン6メッシュパスのものが80重量%、6メッシュオンのものが0重量%の割合のものである。また、トマト擂潰物は30メッシュパスのものが21重量%、30メッシュオン6メッシュパスのものが79重量%、6メッシュオンのものが0重量%の割合のものである。製品中における30メッシュオン6メッシュパスの植物擂潰物の割合は、表1に示すとおり、38重量%であった。
【0029】
得られたスティック裁断野菜用ソースの粘度、付着性、切れ性の測定結果と、ソースの載せ易さ、食味・食感の官能評価結果を表1に示す。粘度、付着性、切れ性の測定方法と、ソースの載せ易さ、食味・食感の官能評価方法とを以下に示す。
【0030】
〔粘度、付着性、切れ性の測定方法〕
粘度はB型粘度計で測定した結果である。
付着性は、次のようにして測定した。
▲1▼ステンレス製スパーテルに0.5g対象物を乗せ、これを下向きに垂直にする。▲2▼ここから対象物が流れ落ちるまでの時間を計測する。▲3▼5秒以上の場合を○、5秒未満の場合を×とし、2段階で評価した。
【0031】
切れ性(糸曳き性)は、次のようにして測定した。▲1▼径10mmの押し出し口のある軟包材に対象物を入れる。▲2▼この軟包材を横向きにし、秤に乗せたビーカーに対象物約3gを10秒かけてゆっくりと押し出す。▲3▼15秒そのままで静止させる。▲4▼その後、押し出し口の先に残った対象物をそぎ取り、重量を測定する。▲5▼この重量の5回の平均値を評価値とした。目標値は0.2g以下とした。
【0032】
〔ソースの載せ易さ、食味・食感の官能評価方法〕
実施例と比較例でそれぞれ得られたスティック裁断野菜用ソースについて、スティック裁断野菜に載せたときの載せ易さと食味・食感とについて官能評価を行った。スティック裁断野菜としては、その大きさを5mm×5mm×100mmにしたきゅうりを用い、これでスティック裁断野菜用ソースをすくう様にして載せて食すことで評価した。評価は5名の専門パネラーにより行った。
【0033】
a.ソースの載せ易さ
○:非常に載せ易い。
△:載せ易さはやや悪い。
×:非常に載せ難い。
【0034】
b.食味・食感の評価
○:風味・食感が問題無く、ソースとして非常に良い。
△:風味・食感が損なわれており、ソースとして好ましくないレベル。
×:風味・食感について異質なレベル
【0035】
なお、具材の大きさの測定は次のようにして行った。▲1▼対象具材を50g量り取り、水を450g加えて10倍希釈し、充分に攪拌し均一化する。▲2▼これを上に6メッシュ、下に30メッシュの篩を重ね、上記▲1▼の調整液を通す。▲3▼篩の下や周りの余分な水分を取り除き、篩に残った具材を計量し、その割合を示した。
【0036】
比較例1
実施例1において、加工澱粉の量を0.5重量%とし、粘度を3500cpとしたこと以外は、実施例1と同様にしてスティック裁断野菜用ソースを得た。
結果を表1に示す。
【0037】
実施例2
実施例1において、加工澱粉の量を1.0重量%とし、粘度を7500cpとしたこと以外は、実施例1と同様にしてスティック裁断野菜用ソースを得た。
結果を表1に示す。
【0038】
比較例2
実施例1において、加工澱粉の量を3.0重量%とし、粘度を30000cpとしたこと以外は、実施例1と同様にしてスティック裁断野菜用ソースを得た。
結果を表1に示す。
【0039】
なお、比較のために、市販品2種(市販品1と2)について、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
【0040】
市販品1(乳化ドレッシング)
JASで定められた乳化液状ドレッシング。
【0041】
市販品2(マヨネーズ)
JASで定められたマヨネーズで具材の添加はないもの。
【0042】
【表1】
【0043】
表1の結果によれば、ソースの粘度が3500cpである場合には、付着性、切れ性、ソースの載せ易さ、食味・食感に劣るが、7500cp以上の場合には、付着性、切れ性、ソースの載せ易さ、食味・食感に優れたスティック裁断野菜用ソースとなることが分かる。
但し、粘度が30000cpの場合には、食味・食感が損なわれることが分かる。
これらのことから、粘度としては、5000〜25000cpの範囲が良いことが分かった。
【0044】
II.試験2(実施例1,3,4と比較例3,4)
この試験2では、粘度を上記試験1における実施例1の20000cpに固定し、植物擂潰物の好適な使用量を検討した。
【0045】
実施例3
実施例1において、30メッシュオン6メッシュパスの植物擂潰物の量を45重量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてスティック裁断野菜用ソースを得、同様に評価した。
結果を実施例1の結果と共に表2に示す。
【0046】
実施例4
実施例1において、30メッシュオン6メッシュパスの植物擂潰物の量を20重量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてスティック裁断野菜用ソースを得、同様に評価した。
結果を表2に示す。
【0047】
比較例3
実施例1において、30メッシュオン6メッシュパスの植物擂潰物の量を15重量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてスティック裁断野菜用ソースを得、同様に評価した。
結果を表2に示す。
【0048】
比較例4
実施例1において、30メッシュオン6メッシュパスの植物擂潰物の量を48重量%としたこと以外は、実施例1と同様にしてスティック裁断野菜用ソースを得、同様に評価した。
結果を表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
表2の結果によれば、30メッシュオン6メッシュパスの植物擂潰物の量を20〜45重量%の範囲とすることにより、付着性、切れ性、ソースの載せ易さ、食味・食感に優れたスティック裁断野菜用ソースとなることが分かる。
【0051】
以上の試験1と試験2の結果とから、食品に載せて食べやすいスティック裁断野菜用ソースであって、しかも容器からの取り出しの際に取り出し口の汚れ等が無いものを得るためには、全系粘度が5000cp〜25000cpの中で6〜30メッシュの植物擂潰物を20〜45重量%含むことが必要であることが分かった。
【0052】
III.試験3(製造方法の検討;実施例1と比較例5,6,7)
この試験3では、実施例1において、原料成分を一度に混合し、澱粉を加熱溶解したり(比較例5)、或いは種々冷却温度を変えて(比較例6,7)、製造方法の検討を行った。
【0053】
比較例5
実施例1において、原料成分を一度に混合し、澱粉を加熱溶解したこと以外は、実施例1と同様にしてスティック裁断野菜用ソースを得た。
得られたスティック裁断野菜用ソースについて、具材のピーマンの劣化具合を次のようにして評価した。結果を表3に示す。
【0054】
〔ピーマンの劣化具合の評価方法〕
1)ピーマンの退色(褐色化現象)
○:ピーマンの退色が無い。
×:ピーマンの退色が部分的に見られ、ソースの外観を損なう。
2)ピーマンの食感
○:ピーマンの食感が維持され、劣化の無いレベル。
△:ピーマンの食感はやや劣化はあるが、許容できるレベル。
×:ピーマンの歯ごたえがなくなり、食感劣化が起こり、好ましくないレベル。
【0055】
比較例6
実施例1において、冷却温度を40℃ではなく、80℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてスティック裁断野菜用ソースを得た。
得られたスティック裁断野菜用ソースについて、具材のピーマンの劣化具合を比較例5と同様にして評価した。結果を表3に示す。
【0056】
比較例7
実施例1において、冷却温度を40℃ではなく、60℃としたこと以外は、実施例1と同様にしてスティック裁断野菜用ソースを得た。
得られたスティック裁断野菜用ソースについて、具材のピーマンの劣化具合を比較例5と同様にして評価した。結果を表3に示す。
【0057】
【表3】
【0058】
表3の結果によれば、原料成分を一度に混合し、澱粉を加熱溶解したり(比較例5)、或いは水に澱粉を加熱溶解して糊化し、次いで冷却してから植物擂潰物及び調味混合物を混合したとしても、冷却温度が80℃や60℃であったりする(比較例6,7)と、含まれている具材に色や食感の劣化を生じさせてしまうことが分かる。
【0059】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明によれば、付着性が良くてスティック裁断野菜の上に載せて食し易く、しかも切れ性が良くて袋詰容器から取り出す際に、押し出し口の周りの汚れにくいソースが提供される。
また、請求項3に係る本発明の方法によれば、付着性や切れ性などに優れるスティック裁断野菜用ソースが得られると共に、調味混合物として具材を含んでいる場合に、製造時において、含まれている具材に色や食感の劣化を生じさせるおそれがない。
Claims (3)
- 澱粉、植物擂潰物、水及び調味混合物からなり、粘度が5000〜25000センチポイズであり、かつ、30メッシュ(目開き600μm)オン、6メッシュ(目開き3350μm)パスの植物擂潰物を20〜45重量%含有するスティック裁断野菜用ソース。
- 植物擂潰物が、オニオン及び/又はトマトの擂潰物である請求項1記載のスティック裁断野菜用ソース。
- 水に澱粉を加熱溶解して糊化し、次いで45℃以下に冷却してから30メッシュ(目開き600μm)オン、6メッシュ(目開き3350μm)パスの植物擂潰物及び調味混合物を混合し、かつ、全体の粘度を5000〜25000センチポイズとすることを特徴とする請求項1記載のスティック裁断野菜用ソースの製造方法。
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