JP2017038530A - 耐熱性を有するゲル状食品 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱調理によりゲルが融解せず、保形性を有するゲル状食品を提供する。【解決手段】下記(a)と、(b)及び/又は(c)を含有するゲル状食品;(a)カードラン:ゲル状食品中の含量が0.8質量%以上、(b)ネイティブ型ジェランガム、脱アシル型ジェランガム、サイリウムシードガム、寒天、タマリンドシードガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、グァーガム及びタラガムからなる群から選択される1種以上:カードラン1質量部に対し、0.001〜3質量部、(c)澱粉:カードラン1質量部に対し、0.01〜30質量部。【選択図】図1

Description

本発明は、耐熱性を有するゲル状食品、及び耐熱性を有するゲル状食品の製造方法に関する。具体的には、加熱処理によりゲル状食品が融解しないという耐熱性を有するゲル状食品に関する。
従来、加熱調理が可能なゲル状食品として、耐熱性を有するゲル化剤、ローカストビーンガム及びκ−カラギナン、並びに加工澱粉を含有することを特徴とするゲル状食品が知られている(特許文献1参照)。
また、特許文献2には、カードランと、セルロース及び/又はセルロース誘導体を含有する、加熱耐性を有するゼリーが開示されている。
特開2014−93975号公報 特開2007−319048号公報
しかしながら、特許文献1に開示された処方に従って調製されたゲル状食品は、後述の実験例で示すように、容器から取り出してスチームコンベクションオーブンによりスチーム処理した場合や、湯中でボイル処理した場合にゲルが融解し(溶け)、耐熱性を十分に有するゲル状食品ではない。
また、特許文献2の処方に従って調製されたゲル状食品も、特許文献1で開示されたゲル状食品と同様に、容器から取り出してスチームコンベクションオーブンによりスチーム処理した場合や、湯中でボイル処理することでゲルが融解するという問題を有する。
以上のように、従来、耐熱性を有するとされていたゲル状食品であっても、加熱処理条件が過酷であると、ゲルが融解するという新たな課題を有することを本発明者は見出した。かかる課題に鑑み、本発明では耐熱性を有し、加熱処理によりゲルが融解しないゲル状食品を提供することを目的とする。より具体的には、容器から取り出した後にスチームコンベクションオーブンによるスチーム処理や、湯中でのボイル処理などの過酷な加熱処理を行なった場合においてもゲルが融解せず、保形性を有するゲル状食品を提供することを目的とする。
本発明はまた、耐熱性を有しつつも、柔らかい食感を有するゲル状食品を提供することを目的とする。
本発明者は上記のごとき課題を解決すべく鋭意研究した結果、下記(a)と、(b)及び/又は(c)を含有することで、耐熱性を有するゲル状食品を提供できることを見出して本発明に至った。
すなわち本発明は、以下の態様を有するゲル状食品に関する;
項1.加熱処理によりゲルが融解しないゲル状食品であり、下記(a)と、(b)及び/又は(c)を含有するゲル状食品;
(a)カードラン:ゲル状食品中の含量が0.8質量%以上、
(b)ネイティブ型ジェランガム、脱アシル型ジェランガム、サイリウムシードガム、寒天、タマリンドシードガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、グァーガム及びタラガムからなる群から選択される1種以上:カードラン1質量部に対し、0.001〜3質量部、
(c)澱粉:カードラン1質量部に対し、0.01〜30質量部。
項2.前記ゲル状食品がさらに、ペースト状物、搾汁物及び粉体物からなる群から選択される1種以上の食材を含有する、項1に記載のゲル状食品。
項3.前記加熱処理が、スチームコンベクションオーブンを用いた75℃で10分間のスチーム処理である、項1又は2に記載のゲル状食品。
項4.前記加熱処理が、80℃の湯中での10分間のボイル処理である、項1又は2に記載のゲル状食品。
項5.喫食前にスチーム処理及び/又はボイル処理される食品用である、項1又は2に記載のゲル状食品。
本発明はまた、以下の態様を有するゲル状食品の製造方法にも関する。
項6.
(工程1)下記(a)と、(b)及び/又は(c)を含有する混合液を調製する工程;
(a)カードラン:ゲル状食品中の含量が0.8質量%以上、
(b)ネイティブ型ジェランガム、脱アシル型ジェランガム、サイリウムシードガム、寒天、タマリンドシードガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グルコマンナングァーガム、及びタラガムからなる群から選択される1種以上:カードラン1質量部に対し、0.001〜3質量部、
(c)澱粉:カードラン1質量部に対し、0.01〜30質量部、並びに、
(工程2)前記工程1で調製した混合液を75℃以上に加熱する工程、
を含む、ゲル状食品の製造方法。
項7.前記工程1における混合液の温度が70℃以下である、項6に記載のゲル状食品の製造方法。
本発明によれば、耐熱性に優れるゲル状食品を提供できる。これにより、温かい状態で喫食可能なゲル状食品を提供できる。また、本発明のゲル状食品を具材として含む、加熱処理(例えば、加熱調理)された食品を提供することができる。
スチーム処理試験において、保形性の評価基準「○」を示す図である(実施例1−1)。 スチーム処理試験において、保形性の評価基準「△」を示す図である。 スチーム処理試験において、保形性の評価基準「×」を示す図である(比較例2−1)。 ボイル処理試験において、保形性の評価基準「○」を示す図である(実施例1−1)。左に湯中でのゲル状食品の状態を示し、右に、ゲル状食品を湯と共にメッシュ(3.5メッシュ、目開き5.66mm)を通した後に、メッシュ上部に残ったゲル状食品の状態を示す。 ボイル処理試験において、保形性の評価基準「△」を示す図である。左に湯中でのゲル状食品の状態を示し、右に、ゲル状食品を湯と共にメッシュ(3.5メッシュ)を通した後に、メッシュ上部に残ったゲル状食品の状態を示す。 ボイル処理試験において、保形性の評価基準「×」を示す図である(比較例2−1)。左に湯中でのゲル状食品の状態(融解している状態)を示し、右に、ゲル状食品を湯と共にメッシュ(3.5メッシュ)を通した後に、メッシュ上部に残渣物がなかったことを示す。
1.ゲル状食品
本発明で使用する(a)カードランは、アグロバクテリウム属菌(Agrobacterium biovar 1)又はリビゾウム属菌(Rhizobium radiobacter)の培養液から得られる多糖類であり、加熱により凝固するという性質を有する。
本発明のゲル状食品は、カードランを含有し、ゲル状食品におけるカードラン含量が0.8質量%以上であることを特徴とする。本発明のゲル状食品における好ましいカードラン含量は0.8〜30質量%であり、より好ましくは0.8〜10質量%、更に好ましくは0.9〜7質量%である。一方、ゲル状食品におけるカードラン含量が0.8質量%未満であると、耐熱性を有するゲル状食品を提供することができない。
本発明では、前記(a)に加え、下記(b)及び/又は(c)を併用することを特徴とする;
(b)ネイティブ型ジェランガム、脱アシル型ジェランガム、サイリウムシードガム、寒天、タマリンドシードガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、グァーガム及びタラガムからなる群から選択される1種以上:カードラン1質量部に対し、0.001〜3質量部、
(c)澱粉:カードラン1質量部に対し、0.01〜30質量部。
(b)ネイティブ型ジェランガム、脱アシル型ジェランガム、サイリウムシードガム、寒天、タマリンドシードガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、グァーガム及びタラガムからなる群から選択される1種以上は、カードラン1質量部に対して、0.001〜3質量部、好ましくは0.005〜1質量部、より好ましくは0.008〜0.8質量部、更に好ましくは0.008〜0.5質量部用いる。当該割合でカードランと(b)を併用することで、優れた耐熱性を有しつつも、匙刺さりが良く、柔らかい食感を有するゲル状食品を提供することができる。
カードラン1質量部に対する、(b)ネイティブ型ジェランガム、脱アシル型ジェランガム、サイリウムシードガム、寒天、タマリンドシードガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、グァーガム及びタラガムからなる群から選択される1種以上の割合が0.001質量部未満の場合は、調製されたゲル状食品がカードラン特有の非常に硬い食感となり、また、匙刺さりが非常に悪く、スプーンで容易にすくい難いゲル状食品となる。一方、当該割合が3質量部を超えると、カードランによるゲル化を阻害し、耐熱性を有するゲル状食品を調製することができない。
ゲル状食品における、(b)ネイティブ型ジェランガム、脱アシル型ジェランガム、サイリウムシードガム、寒天、タマリンドシードガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、グァーガム及びタラガムからなる群から選択される1種以上の含量は特に制限されないが、好ましい含量は0.001〜2質量%であり、より好ましくは0.005〜1質量%、更に好ましくは0.01〜0.8質量%、更により好ましくは0.02〜0.7質量%である。
(c)澱粉は、カードラン1質量部に対して、0.01〜30質量部、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.3〜10質量部用いる。当該割合でカードランと澱粉を併用することで、優れた耐熱性を有しつつも、匙刺さりが良く、柔らかい食感を有するゲル状食品を提供することができる。また、カードランのみを用いて調製されたゲル状食品は、流通又は保存した場合や、冷凍後にゲル状食品を解凍した場合などに多くの離水が発生するが、澱粉を併用することで当該離水を顕著に抑制することができる。かかる点、本発明のゲル状食品は冷凍流通にも適している。
カードラン1質量部に対する澱粉の割合が0.01質量部未満である場合は、調製されたゲル状食品が、カードラン特有の非常に硬い食感となる。また、匙刺さりが非常に悪く、スプーンで容易にすくい難いゲル状食品となる。一方、当該割合が30質量部を超えると、カードランによるゲル化を阻害し、耐熱性を有するゲル状食品を調製することができない。
ゲル状食品における、(c)澱粉の含量は特に制限されないが、好ましい含量は0.1〜30質量%であり、より好ましくは0.5〜20質量%、更に好ましくは1〜18質量%である。
本発明で用いる(c)澱粉の由来原料は、特に制限されない。例えば、由来原料として、米、小麦、馬鈴薯、コーン、ワキシーコーン、甘藷、豆、タピオカ又はサゴヤシ等が挙げられる。
本発明で用いる澱粉は、由来原料から得られた澱粉をそのまま用いてもよく、当該澱粉を精製したもの、又は当該澱粉に化学的処理若しくは物理的処理などの処理が施されたものを用いてもよい。本発明において好ましい澱粉は、化学的処理及び/又は物理的処理が施された澱粉であり、より好ましい澱粉は化学的処理が施された澱粉である。
化学的処理を施された澱粉としては、例えば、リン酸架橋澱粉類(例えば、リン酸架橋澱粉、アセチル化リン酸架橋澱粉、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、又はリン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉等)、アジピン酸架橋澱粉類(例えば、アセチル化アジピン酸架橋澱粉等)、アセチル化酸化澱粉、酸化澱粉、オクテニルコハク酸澱粉ナトリウム、酢酸澱粉、リン酸化澱粉、又はヒドロキシプロピル澱粉等が挙げられ、好ましい澱粉は、リン酸架橋澱粉類及び/又はヒドロキシプロピル澱粉である。また、物理的処理が施された澱粉としては、例えばα化澱粉等が挙げられる。
本発明のゲル状食品は、前記(b)及び(c)を併用することが、より好ましい。これらを併用することで、優れた耐熱性と適度な柔らかさを有するゲル状食品を提供することができる。また、匙刺さりが良好であり、スプーン等で容易にすくうことができるゲル状食品を提供できる。
本発明のゲル状食品は、前記(a)と、(b)及び/又は(c)を含有することで、ペースト状物、搾汁物及び粉体物からなる群から選択される1種以上の食材(食品素材)を含有する場合であっても、耐熱性に優れるゲル状食品を提供できるという利点を有する。
対象となる食材は特に制限されず、例えば、穀類(例えば、米、麦(例えば、小麦、大麦等)、パン、麺、餅、麩等)、いも類(例えば、じゃがいも、さつまいも、蒟蒻等)、甘味料(例えば、糖類、糖アルコール、オリゴ糖、高甘味度甘味料等)、豆類(例えば、大豆、小豆、餡、豆腐、えんどう、豆乳等)、種実類(例えば、栗、銀杏等)、野菜類(例えば、葉菜類(例えば、キャベツ、ほうれん草、白菜等)、茎菜類(例えば、玉ねぎ、アスパラガス等)根菜類(例えば、人参、大根、蕪等)、果菜類(例えば、かぼちゃ、トマト、コーン等)、花菜類(例えば、ブロッコリー等)など)、果実類(例えば、梅、柑橘類、トロピカルフルーツ、りんご、苺、桃、ぶどう等)、きのこ類(例えば、えのきたけ、きくらげ、椎茸、しめじ、まいたけ、まつたけ等)、藻類(例えば、あおさ、海苔、昆布、ひじき、もずく、わかめ等)、魚介類(例えば、白身魚、赤身魚、うなぎ、穴子、いかなご、しらす、あさり、あわび、牡蠣、しじみ、はまぐり、ほたて、海老、蟹、イカ、タコ、うに、くらげ等)、肉類(例えば、牛肉、豚肉、鶏肉、ハム、ベーコン等)、卵類(例えば、うずら卵、鶏卵等)、乳類(例えば、牛乳、加工乳、濃縮乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、練乳、クリーム、発酵乳、チーズ等)、油脂類(例えば、植物油脂、動物脂、バター、マーガリン、ラード、ショートニング等)、調味料類(例えば、味噌、ソース、ケチャップ、醤油、みりん、マヨネーズ、ドレッシング、食塩、酢、だし類、ルウ、うまみ調味料、たれ、つゆ等)、香辛料類などが挙げられる。
本発明のゲル状食品における、ペースト状物(ピューレを含む)、搾汁物及び粉体物からなる群から選択される1種以上の食材の含量は特に制限されないが、例えば、0.5〜95質量%、好ましくは1〜90質量%、より好ましくは5〜85質量%、更に好ましくは10〜80質量%が挙げられる。
また、ゲル状食品における、ペースト状物、搾汁物及び粉体物からなる群から選択される1種以上の食材の含量が15質量%以上、更には25質量%以上、特には35質量%以上と増加するにつれ、耐熱性を有するゲル状食品を調製することが格段に難しくなる。例えば、ゲル状食品をスチームコンベクションオーブンによりスチーム処理した場合や、湯中でボイル処理した際に、ゲル状食品が融解する、又はゲル状食品の形状が大きく崩れやすくなる。この原因は定かではないが、ゲル状食品中に存在する、ペースト状物、搾汁物及び粉体物からなる群から選択される1種以上の食材が、カードランによるゲル化を阻害するためであると推測される。
しかし本発明では、前記(a)と、(b)及び/又は(c)を併用することで、ゲル状食品における、ペースト状物、搾汁物及び粉体物からなる群から選択される1種以上の食材の含量が上記割合であっても、スチームコンベクションオーブンによりスチーム処理した場合や、湯中でゲル状食品をボイル処理した場合においても、ゲル状食品が融解又は崩壊することなく、耐熱性に極めて優れるゲル状食品を提供することができる。
また、食材として、穀類、いも類、豆類、種実類、野菜類、果実類、きのこ類、藻類、魚介類、肉類、卵類、及び調味料類からなる群から選択される1種以上を用いた場合や、これらのペースト状物や搾汁物を用いた場合は、ゲル状食品の保形性を維持することが更に困難となる。しかし本発明では、このような場合においても、耐熱性に極めて優れるゲル状食品を提供することができる。
本発明のゲル状食品は耐熱性を有し、加熱処理によりゲルが融解しないことを特徴とする。具体的には、加熱処理として下記に示すスチーム処理試験を行った場合に、ゲル状食品が融解しないことを特徴とする。また、本発明のゲル状食品は、下記に示すスチーム処理試験を行った場合に、形状を保持していることが好ましい。
(スチーム処理試験)
底部の直径が20mm、上部の直径が30mm、高さが25mm、容量が15mLのポーションカップ容器に充填されたゲル状食品を、−20℃で12時間冷凍後、冷凍状態のまま容器から取り出す。75℃に加温したスチームコンベクションオーブン内に容器から取り出したゲル状食品を入れ、オーブン内の温度が75℃に達してから、75℃で10分間のスチーム処理を行なう。
スチーム処理後にゲル状食品が形状を保持しているか否かの判断は、例えば、図2のようにゲル状食品の形が崩れて原型をとどめない状態(目安として、スチーム処理前のゲル状食品の高さを100%とした場合に、スチーム処理後のゲル状食品の高さが20%以上且つ50%以下である場合)や、ゲル状食品が融解した状態を形状を保持していないと判断し、それ以外は形状を保持していると判断する。
スチーム処理後にゲル状食品が融解しているか否かの判断は、例えば、図3のようにゲル状食品が原型をとどめない状態(目安として、スチーム処理前のゲル状食品の高さを100%とした場合に、スチーム処理後のゲル状食品の高さが20%未満である場合)を、ゲル状食品が融解していると判断する。
本発明のゲル状食品は、上記スチームの温度条件を80℃以上に引き上げた場合(80℃に加温したスチームコンベクションオーブン内に容器から取り出したゲル状食品を入れ、オーブン内の温度が80℃に達してから、80℃で10分間のスチーム処理を行う場合)、更には当該温度条件を90℃、特には98℃に引き上げた場合においても、ゲル状食品が融解しないことが好ましく、形状を保持していることがより好ましい。
本発明のゲル状食品は更に、加熱処理として下記に示すボイル処理試験を行なった場合に、ゲル状食品が融解しないことが好ましく、ゲル状食品の形状を保持していることがより好ましい。
(ボイル処理試験)
底部の直径が20mm、上部の直径が30mm、高さが25mm、容量が15mLのポーションカップ容器に充填されたゲル状食品を、−20℃で12時間冷凍後、冷凍状態のまま容器から取り出して80℃の湯中で10分間加熱する。
ボイル処理後にゲル状食品が形状を保持しているか否かは、例えば、図5のように形が崩れて原型をとどめない状態(目安として、ボイル処理後のゲル状食品を、湯と共に3.5メッシュの篩に通したときに、メッシュ上に残ったゲル状食品の重量が、ボイル処理前のゲル状食品の重量の20質量%以上且つ60質量%未満である場合)や、ゲル状食品が融解した状態を形状を保持していないと判断し、それ以外は形状を保持していると判断する。
ここで、ボイル処理後にゲル状食品が融解しているか否かの判断は、例えば、図6のように湯中からゲル状食品をかたまりとして取り出せることができない状態(目安として、ボイル処理後のゲル状食品を、湯と共に3.5メッシュ(目開き5.66mm)の篩に通したときに、メッシュ上に残ったゲル状食品の重量が、ボイル処理前のゲル状食品の重量の20質量%未満である場合)をゲル状食品が融解していると判断する。
本発明のゲル状食品は、上記ボイル処理の温度条件を90℃に引き上げた場合(90℃の湯中で10分間加熱する場合)、更には100℃に引き上げた場合においても、ゲル状食品が融解しないことが好ましく、形状を保持していることがより好ましい。
以上のように、本発明のゲル状食品は優れた耐熱性を有するため、加熱処理(例えば、加熱調理)が可能であるという利点を有する。特に、スチームコンベクションオーブンによるスチーム処理や湯中でのボイル処理は、飽和状態に近い蒸気中又は水中で加熱される処理であるため、通常の加熱処理(例えば、オーブン処理等)と比較して、ゲル状食品の形状を保持することが非常に難しい。そのため、従来のゲル状食品は加熱処理ができない、又は加熱処理方法が限定される等の問題を有する。しかし、本発明のゲル状食品は耐熱性に極めて優れるため、様々な加熱処理方法を幅広く適用できるという利点を有する。例えば、本発明のゲル状食品を味噌汁の具材や煮物の具材として用いることができ、加熱調理を行っても具材の形状を保持することが可能である。
また、湯中でのボイル処理は、スチームコンベクションオーブンによるスチーム処理に比べて、ゲル状食品の形状を保持することがより一層困難となるが、本発明のゲル状食品は、湯中でボイル処理した場合においてもゲルが融解することなく形状を保持できるという、従来技術と比べて驚くべき効果を奏する。
また、本発明のゲル状食品は優れた耐熱性を有しつつも、柔らかい食感を有し、且つ、匙刺さりが良いため、食べ物を噛み砕く能力が低下した咀嚼機能低下者向けの食品としての利用価値が高い。
咀嚼機能低下者向けの食品については、日本介護食品協議会が「ユニバーサルデザインフード」という、「かたさ」を基準とした自主規格を運用している。本規格によれば、「容易にかめる(区分1)」かたさの目安として、上限値5×10N/mが挙げられ、「歯ぐきでつぶせる(区分2)」かたさの目安として、上限値5×10N/mが挙げられ、「舌でつぶせる(区分3)」かたさの目安として、上限値2×10N/mが挙げられている。
本発明によれば、下記測定方法に従って測定された「かたさ」が、好ましくは上記区分1、より好ましくは区分2、更に好ましくは区分3のかたさの基準を満たすゲル状食品を提供することができる。
(かたさの測定方法)
(手順1)調製したゲル状食品を容器から取り出し100℃の湯中で10分間ボイルした後、直径40mm、高さ15mmの円柱の型抜きを用いてゲル状食品を切り出す。
(手順2)切り出した後、ゲル状食品の温度を20±2℃に調整する。
(手順3)直径40mm、高さ15mmのシャーレにゲル状食品を置き、テクスチャーアナライザーを使用し、直径20mm、高さ8mmの円柱型プランジャーで圧縮速度10mm/秒、クリアランス5mmの条件で押し込んだ際の最大応力値を測定する。
2.ゲル状食品の製造方法
本発明のゲル状食品は、下記(a)と、(b)及び/又は(c)を含有させる以外は、製造方法は特に制限されない。
(a)カードラン:ゲル状食品中の含量が0.8質量%以上、
(b)ネイティブ型ジェランガム、脱アシル型ジェランガム、サイリウムシードガム、寒天、タマリンドシードガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、グァーガム及びタラガムからなる群から選択される1種以上:カードラン1質量部に対し、0.001〜3質量部、
(c)澱粉:カードラン1質量部に対し、0.01〜30質量部。
例えば、本発明のゲル状食品は、下記製造方法に従って製造することができる。
(工程1)下記(a)と、(b)及び/又は(c)を含有する混合液を調製する工程;
(a)カードラン:ゲル状食品中の含量が0.8質量%以上、
(b)ネイティブ型ジェランガム、脱アシル型ジェランガム、サイリウムシードガム、寒天、タマリンドシードガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、グァーガム及びタラガムからなる群から選択される1種以上:カードラン1質量部に対し、0.001〜3質量部、
(c)澱粉:カードラン1質量部に対し、0.01〜30質量部、並びに
(工程2)前記工程1で調製した混合液を75℃以上に加熱する工程、
を含む、ゲル状食品の製造方法。
(工程1)の(a)と、(b)及び/又は(c)を含有する混合液を調製する工程は、分散媒(例えば、水)と(a)、並びに(b)及び/又は(c)が混合されていれば、製法は特に制限されない。例えば、本工程として、分散媒に、(a)、並びに(b)及び/又は(c)を添加し、混合する方法(工程1−1)や、(a)を含有する液と、(b)及び/又は(c)を含有する液を各々調製後、両者を混合する方法(工程1−2)などが挙げられる。また、ゲル状食品の原料として、ペースト状物、搾汁物及び粉体物からなる群から選択される1種以上の食材を用いる場合は、当該混合液にこれらを添加することができる。
カードランは水に溶解しないため、カードランを利用するときは、通常、水とカードランを混合した液を高速ミキサー及び/又はホモジナイザーを用いて、懸濁液としたものを用いる。従って、本発明では、必要に応じて、(a)と、(b)及び/又は(c)を含有する混合液を高速ミキサー及び/又はホモジナイザーで処理してもよく、また、(a)カードランを含有する液を高速ミキサー及び/又はホモジナイザーで処理した懸濁液と、(b)及び/又は(c)を混合することにより、混合液を調製してもよい。高速ミキサーによる分散処理条件は特に制限されないが、例えば、回転数3000rpm以上の条件で処理することが好ましい。回転数の上限は特に制限されないが、例えば10000rpmが挙げられる。同様に、ホモジナイザーによる分散処理条件も特に制限されず、回転型のホモジナイザー(例えば、ロボミックス、ホモディスパー、ホモミキサー等)を用いる時の条件として、回転数3000〜10000rpmを例示できる。また、圧力型のホモジナイザー(例えば、高圧ホモジナイザー、ナノマイザー等)を用いる時の条件として、5MPa以上を例示できる。圧力型のホモジナイザーを用いる場合の圧力の上限値も特に制限されないが、例えば、20MPaが挙げられる。
また、本発明は、(a)と、(b)及び/又は(c)を含有する混合液や、(a)カードランを含有する液を高速ミキサー及び/又はホモジナイザーで処理せずとも、耐熱性を有するゲル状食品を製造できるという利点を有する。従って、本発明では、例えば、プロペラ撹拌機を用いた3000rpm未満の比較的弱い撹拌といった、より簡便な製造工程で耐熱性を有するゲル状食品を製造することができる。
なお、カードランは75℃以上で熱不可逆性のゲルを形成するため、(a)と、(b)及び/又は(c)を含有する混合液は70℃以下で調製されることが好ましい。
従って、例えば(工程1)として、(工程1−1)分散媒に、(a)、並びに(b)及び/又は(c)を添加し、混合する方法を用いる場合には、当該混合液は70℃以下で調製されることが好ましく、50℃以下で調製されることがより好ましく、35℃以下で調製されることが更に好ましい。当該混合液の下限は特に制限されないが、例えば4℃、好ましくは10℃が挙げられる。
また、例えば(工程1)として、(工程1−2)(a)を含有する液と、(b)及び/又は(c)を含有する液を各々調製後、両者を混合する方法を用いる場合には、(a)を含有する液は70℃以下で調製されることが好ましく、(b)及び/又は(c)を含有する液は、(a)を含有する液と混合する際の温度(液温)が70℃以下であることが好ましい。
なお、(b)及び/又は(c)の分散媒における溶解温度が70℃を超える場合は、(b)及び/又は(c)を含有する液は、これらの溶解温度以上(例えば、75℃以上や80℃以上)に加熱され、その後、(a)を含有する液と混合したときの温度が70℃以下となるような温度に調整されていることが望ましく、(a)を含有する液と混合する前に、70℃以下になっていることがより望ましい。
カードランは75℃以上、好ましくは80℃以上に加熱することにより、熱不可逆性のゲルを形成する。そのため、(工程2)では、工程1で調製した混合液を75℃以上、好ましくは80℃以上に加熱することによって、耐熱性を有するゲルを製造することができる。加熱温度の上限は特に制限されないが、例えば150℃が挙げられ、好ましい上限温度は100℃である。
加熱時間は特に制限されないが、好ましい加熱時間は5分以上であり、より好ましくは10分以上である。加熱時間の上限も特に制限されないが、例えば、1時間が挙げられる。次いで、必要に応じて冷却工程をとることにより、本発明のゲル状食品を製造することができる。
以下に、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を限定するものではない。また、本実施例において使用した素材は以下のとおりである。
澱粉1:ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉
澱粉2:ヒドロキシプロピル澱粉
脱アシル型ジェランガム製剤:脱アシル型ジェランガム42質量%、クエン酸三ナトリウム10質量%及びデキストリン48質量%を含有する製剤
実験例1 ゲル状食品の調製
(ゲル状食品の調製)
表1の処方に従い、ゲル状食品を調製した。
25℃の水に、カードラン、ネイティブ型ジェランガム及び澱粉を適宜添加した。そこへ、人参ペースト(人参100%)を添加し、プロペラ撹拌機で撹拌し、混合液を調製した。当該混合液をポーションカップ容器(底部の直径20mm、上部の直径30mm、高さ25mm、容量15mL)に充填し、85℃の恒温槽で30分加熱し、ゲル状食品を調製した。
(スチーム処理試験)
調製したゲル状食品を、−20℃で12時間冷凍後、冷凍状態のまま容器から取り出した。98℃に加温したスチームコンベクションオーブン内に容器から取り出したゲル状食品を入れ、オーブン内の温度が98℃に達してから、98℃で10分間のスチーム処理を行ない、スチーム処理による加熱後の保形性を下記基準に従って確認した。また、加熱後のゲル状食品について、匙刺さり及び食感を評価した。結果を表2に示す。
(保形性の評価)
○:保形性を有する(下記△又は×に該当しないものをいう)
△:形が崩れて原型をとどめない(例えば、図2)
×:ゲル状食品が融解する(例えば、図3)
(匙刺さりの評価)
スプーンを用いてゲル状食品をすくい取る際の、ゲル状食品へのスプーンの刺さりやすさを評価した。具体的には、ゲル状食品からスプーン1杯分を容易にすくいとれるものを匙刺さりが良い「○」と評価し、匙がささりにくいものや、スプーン1杯分のゲル状食品を容易にすくい難いものを「×」と評価した。スプーンは、柄の長さが5cmであり、つぼ部が長径2.3cmの楕円形状であるものを用いた。
また、実施例1−1〜1−8の中で、加熱処理後の保型性に特に優れていた実施例1−1〜1−6について、以下に示すボイル処理試験を行った。
(ボイル処理試験)
調製したゲル状食品を−20℃で12時間冷凍後、冷凍状態のまま容器から取り出して100℃の湯中で10分間加熱し、加熱後の保形性を、下記基準に従って確認した。また、加熱後のゲル状食品について、スチーム処理試験と同様にして、食感及び匙刺さりを評価した。結果を表3に示す。
(保形性の評価)
○:保形性を有する(下記△又は×に該当しないものをいう)
△:形が崩れて原型をとどめない(例えば、図5)
×:ゲル状食品が融解する(例えば、図6)
表2及び表3に示すように、1質量%以上のカードランと、カードラン1質量部に対して0.01〜0.07質量部のネイティブ型ジェランガムを併用することで、人参ペースト含量が50質量%以上と多いにもかかわらず、加熱処理後もゲルの形状が崩壊又は融解することなく、優れた保型性を有していた。中でも、実施例1−1、1−2及び1−5のゲル状食品は極めて保型性に優れており、スチーム処理後及びボイル処理後も、容器から取り出した直後(加熱処理前)とほぼ同一の形状が保持されていた。
また、実施例1−1〜1−8のゲル状食品は、匙刺さりが良く、且つ滑らかな食感を有していた。
一方、カードラン及びネイティブ型ジェランガムを併用しつつも、カードラン含量が0.5質量%である比較例1−1のゲル状食品は、スチーム処理によりゲル状食品の形状が崩れ、また、ボイル処理によりゲルが融解した。ゲル化剤としてカードランを単独で使用した比較例1−2及び1−3のゲル状食品は、スチーム処理及びボイル処理試験後に保形性を有していたものの匙刺さりが悪く、また、硬く、もそもそとした食感であった。
(離水試験)
澱粉を2質量%使用したゲル状食品(実施例1−5)及びカードランを単独使用したゲル状食品(比較例1−2)について、以下に示す手順で離水試験を行った。
(手順1)調製したゲル状食品を−20℃で12時間冷凍後、容器のままゲル状食品を20℃の流水に1時間さらして解凍する。
(手順2)解凍後、容器ごとゲル状食品の質量を測定する。
(手順3)容器の蓋を剥がし、傾けて流れ出る水分を、秤の上にのせた紙(商品名:キムワイプ)に吸水させる。次いで、ゲル状食品を容器から取り出し、容器内に残存した水分を上記紙に吸水させる。
(手順4)吸水前後の紙の質量差を離水量とし、下記式に従って離水率を算出する。
式1


離水率は、実施例1−5のゲル状食品が2.2%、及び比較例1−2のゲル状食品が6.7%であり、実施例1−5のゲル状食品は比較例1−2のゲル状食品に比べて離水が顕著に抑制されていることが示された。
試験例2 ゲル状食品の調製(特許文献1及び2の再現性試験)
(ゲル状食品の調製)
表4の処方に従い、ゲル状食品を調製した。
(比較例2−1のゲル状食品の調製)
80℃の水に、脱アシル型ジェランガム製剤、イオタ型カラギナン、キサンタンガム、寒天、ローカストビーンガム、カッパ型カラギナン、エーテル化リン酸架橋ワキシーコーン及びデキストリンを添加し、プロペラ撹拌機で撹拌しながら10分間加熱した。そこへ、人参ペースト(人参100%)を添加した後、あらかじめ湯に溶かした乳酸カルシウムを添加して混合液を調製した。当該混合液をポーションカップ容器(底部の直径20mm、上部の直径30mm、高さ25mm、容量15mL)に充填し、8℃の冷却水槽で冷却し、ゲル状食品を調製した。本ゲル状食品は、特許文献1を再現した処方である。
(比較例2−2及び2−3のゲル状食品の調製)
25℃の水に、カードラン、微結晶セルロース及びヒドロキシメチルセルロースを適宜添加した。そこへ、人参ペースト(人参100%)を添加し、プロペラ撹拌機で撹拌して混合液を調製した。当該混合液をポーションカップ容器(底部の直径20mm、上部の直径30mm、高さ25mm、容量15mL)に充填し、85℃の恒温槽で30分加熱し、ゲル状食品を調製した。本ゲル状食品は、特許文献2を再現した処方である。
(スチーム処理及びボイル処理試験)
実験例1と同様に、調製したゲル状食品についてスチーム処理及びボイル処理試験を行い、加熱後の保形性を評価した。結果を表4に示す。
特許文献1及び2に記載された処方に従って調製したゲル状食品は、いずれも耐熱性を有しておらず、スチーム処理試験及びボイル処理試験のいずれにおいてもゲル状食品が融解した。
実験例3 ゲル状食品の調製
(ゲル状食品の調製)
表5の処方に従い、ゲル状食品を調製した。
25℃の水に、カードラン、ネイティブ型ジェランガム又は澱粉を適宜添加した。そこへ、人参ペースト(人参100%)を添加し、プロペラ撹拌機で撹拌して混合液を調製した。当該混合液をポーションカップ容器(底部の直径20mm、上部の直径30mm、高さ25mm、容量15mL)に充填し、85℃の恒温槽で30分加熱し、ゲル状食品を調製した。
(耐熱性試験)
実験例1と同様に、調製したゲル状食品についてスチーム処理試験を行い、加熱後の保形性、匙刺さり及び食感を評価した。結果を表6に示す。
カードランを2質量%使用し、かつネイティブ型ジェランガムを併用した実施例3−1、並びにネイティブ型ジェランガムと澱粉を併用した実施例3−2のゲル状食品は、優れた耐熱性を有しつつも、スプーンで容易にすくうことができる良好な匙刺さりと、柔らかい食感を有していた。また、実施例3−1及び3−2のゲル状食品はいずれも咀嚼機能低下者向けの食品として適していた。
更に、実施例3−1及び3−2のゲル状食品について、実験例1と同様にボイル処理試験を行なったところ、100℃の湯中で10分間加熱後も保形性を有していた。また、その食感は柔らかく、匙刺さりが良好であり、スプーンで容易にすくうことができた。
一方、ゲル化剤として、カードランのみを使用した比較例3のゲル状食品は、硬く、また、匙刺さりが悪く、咀嚼機能低下者向けの食品として適していなかった。更には、もそもそとした食感であった。
実験例4 ゲル状食品の調製
(ゲル状食品の調製)
表7の処方に従い、ゲル状食品を調製した。
25℃の水に、カードラン、ネイティブ型ジェランガム及び澱粉を適宜添加し、ロボミックス(プライミクス社製)を用いて、8000rpmで10分間、撹拌処理(ホモジナイズ)した。そこへ、人参ペースト(人参100%)を添加し、プロペラ撹拌機で撹拌して混合液を調製した。当該混合液をポーションカップ容器(底部の直径20mm、上部の直径30mm、高さ25mm、容量15mL)に充填し、85℃の恒温槽で30分加熱し、ゲル状食品を調製した。
(耐熱性試験)
実験例1と同様に、調製したゲル状食品についてボイル処理試験を行い、加熱後の保形性、匙刺さり及び食感を評価した。結果を表8に示す。
カードランと、ネイティブ型ジェランガムを併用した実施例4−1及び4−2のゲル状食品、並びに、カードラン、ネイティブ型ジェランガム及び澱粉を併用した実施例4−3のゲル状食品は、ボイル処理後も、加熱処理前とほぼ同一の形状を有しており、耐熱性に優れていることが示された。また、いずれのゲル状食品も匙刺さりが良好であり、スプーンで容易にすくうことができ、且つ、柔らかい食感を有していた。
一方、ゲル化剤として、カードランのみを使用した比較例4は、加熱処理後に保型性を有していたが、匙刺さりが非常に悪く、スプーンで容易にすくうことができなかった。更には、非常に硬く、もそもそした食感を有していた。
(離水試験)
調製したゲル状食品を−20℃で12時間冷凍後、容器のままゲル状食品を20℃の流水に1時間さらして解凍した。解凍後、容器の蓋を剥がし、容器を傾けて流れ出た水分量と、その後、容器からゲル状食品を取り出して容器内に残存した水分量を確認し、解凍後の離水状態を評価した。比較例4のゲル状食品は、大量の離水が生じていたが、実施例4−1〜4−3のゲル状食品、特には実施例4−2及び4−3のゲル状食品は、比較例4に比べて離水量が大幅に少なかった。
なお、最も離水が少なかった実施例4−3と、比較例4のゲル状食品について、実験例1に記載した離水試験に従って、離水率を算出したところ、その値は1.9%(実施例4−3)及び10.1%(比較例4)であった。
実験例5 ゲル状食品の調製
(ゲル状食品の調製)
表9の処方に従い、ゲル状食品を調製した。
25℃の水に、カードランと、適宜、澱粉を添加した。そこへ、人参ペースト(人参100%)を添加し、プロペラ撹拌機で撹拌して混合液を調製した。当該混合液をポーションカップ容器(底部の直径20mm、上部の直径30mm、高さ25mm、容量15mL)に充填し、85℃の恒温槽で30分加熱し、ゲル状食品を調製した。
(ボイル処理試験)
実験例1と同様に、調製したゲル状食品についてボイル処理試験を行い、加熱後の保形性、食感及び匙刺さりを評価した。結果を表10に示す。
実施例5のゲル状食品は、ボイル処理後も保型性を有し、優れた耐熱性を有することが示された。また、スプーンで容易にすくうことができる良好な匙刺さりと、柔らかい食感を有していた。更に、咀嚼機能低下者向けの食品として適した物性を有していた。
一方、ゲル化剤として、カードランのみを使用した比較例5のゲル状食品は、非常に硬い食感を有し、また、匙刺さりが悪く、咀嚼機能低下者向けの食品として適していなかった。
実験例6 ゲル状食品の調製
(ゲル状食品の調製)
表11の処方に従い、ゲル状食品を調製した。
25℃の水に、カードランと、適宜、澱粉を添加した。そこへ、人参ペースト(人参100%)を添加し、プロペラ撹拌機で撹拌して混合液を調製した。当該混合液をポーションカップ容器(底部の直径20mm、上部の直径30mm、高さ25mm、容量15mL)に充填し、85℃の恒温槽で30分加熱し、ゲル状食品を調製した。
(ボイル処理試験)
実験例1と同様に、調製したゲル状食品についてボイル処理試験を行なった。結果を表11に示す。
カードランを単独で用いた比較例6−1及び6−2のゲル状食品は、ボイル処理試験によってゲルが融解したが、カードランと澱粉を併用した実施例6−1〜6−4のゲル状食品はボイル処理試験後も、保形性を有していた。
実験例7 ゲル状食品の調製
(ゲル状食品の調製)
表12に示す処方に従って、ゲル状食品を調製した。
脱アシル型ジェランガム製剤を添加し、プロペラ撹拌機で撹拌しながら、80℃で10分間加熱融解した。そこへ、予め90℃の湯に溶解した乳酸カルシウムを添加した。
上記液とは別途、25℃の水に、カードランと人参ペースト(人参100%)を添加し、プロペラ撹拌機を用いて10分間撹拌した。次いで、当該液を50℃に加熱し、カードランを含有する液を調製した。
脱アシル型ジェランガムを含有する液(80℃)と、カードランを含有する液(50℃)を混合し、当該混合液をポーションカップ容器(底部の直径20mm、上部の直径30mm、高さ25mm、容量15mL)に充填し、85℃の恒温槽で30分間加熱後、冷却することでゲル状食品を調製した。
(耐熱性試験)
実験例1と同様に、調製したゲル状食品についてスチーム処理試験を行ったところ、実施例7−1及び7−2のゲル状食品は98℃で10分間のスチーム処理後も、良好な保形性を有していた。また、スプーンで容易にすくうことができる良好な匙刺さりと、柔らかい食感を有していた。更に、保形性により優れていた実施例7−1のゲル状食品について、実験例1と同様にボイル処理を行なったところ、100℃の湯中で10分間加熱処理後も、加熱処理前の形状を保持していた(保型性の評価「○」)。また、スプーンで容易にすくうことができる良好な匙刺さりと、柔らかい食感を有していた。
実験例8 ゲル状食品の調製
(ゲル状食品の調製)
表13の処方に従い、ゲル状食品を調製した。
25℃の水に、カードランと、サイリウムシードガム、寒天、タマリンドシードガム、イオタ型カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム及びグルコマンナンを適宜添加した。そこへ、人参ペースト(人参100%)を添加し、プロペラ撹拌機で撹拌し、混合液を調製した。当該混合液をポーションカップ容器(底部の直径20mm、上部の直径30mm、高さ25mm、容量15mL)に充填し、85℃の恒温槽で30分加熱し、ゲル状食品を調製した。
(耐熱性試験)
実験例1と同様に、調製したゲル状食品(実施例8−1〜8−9)についてスチーム処理試験を行った。結果を表14に示す。
表14に示すように、実施例8−1〜8−9のいずれのゲル状食品も優れた耐熱性を示し、スチーム処理後もゲル状食品の形状を保持していた。また、スプーンで容易にすくうことができる良好な匙刺さりと、柔らかい食感を有していた。
更に、実施例8−1〜8−9の中で、保型性に特に優れていた実施例8−1〜8−6について、実験例1と同様にボイル処理を行ったところ、いずれもゲル状食品の形状を保持していた(保型性の評価「○」)。また、スプーンで容易にすくうことができる良好な匙刺さりと、柔らかい食感を有していた。
実験例9 ゲル状食品のかたさの測定
実験例1〜8で調製したゲル状食品(実施例1−1〜1−8、実施例3−1〜3−2、実施例4−1〜4−3、実施例5、実施例6−1〜6−4、実施例7−1〜7−2及び実施例8−1〜8−9)の中で、最も硬い食感を有していた実施例8−3について、以下に示す方法に従ってかたさを測定した。
(かたさの測定方法)
(試料の調製)下底50mm、上底63mm、高さ22mm、容量65mlの容器に充填する以外は、実施例1−8のゲル状食品の調製と同様にして、ゲル状食品を調製する。調製したゲル状食品を−20℃で12時間冷凍後、以下に示す手順に従い測定を行った。
(手順1)当該ゲル状食品を容器から取り出し100℃の湯中で10分間ボイルした後、直径40mmの円柱の型抜きを用いてゲル状食品を切り出し、高さ15mmにカットした。
(手順2)切り出した後、ゲル状食品の温度を20±2℃に調整する。
(手順3)直径40mm、高さ15mmのシャーレにゲル状食品を置き、テクスチャーアナライザーを使用し、直径20mm、高さ8mmの円柱型プランジャーで圧縮速度10mm/秒、クリアランス5mmの条件で押し込んだ際の最大応力値を測定する。
結果、実施例8−3のかたさは1.0×10N/m(ユニバーサルデザインフードの区分3:舌でつぶせるかたさ)であった。


Claims (7)

  1. 加熱処理によりゲルが融解しないゲル状食品であり、下記(a)と、(b)及び/又は(c)を含有するゲル状食品;
    (a)カードラン:ゲル状食品中の含量が0.8質量%以上、
    (b)ネイティブ型ジェランガム、脱アシル型ジェランガム、サイリウムシードガム、寒天、タマリンドシードガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、グァーガム及びタラガムからなる群から選択される1種以上:カードラン1質量部に対し、0.001〜3質量部、
    (c)澱粉:カードラン1質量部に対し、0.01〜30質量部。
  2. 前記ゲル状食品がさらに、ペースト状物、搾汁物及び粉体物からなる群から選択される1種以上の食材を含有する、請求項1に記載のゲル状食品。
  3. 前記加熱処理が、スチームコンベクションオーブンを用いた75℃で10分間のスチーム処理である、請求項1又は2に記載のゲル状食品。
  4. 前記加熱処理が、80℃の湯中での10分間のボイル処理である、請求項1又は2に記載のゲル状食品。
  5. 喫食前に、スチーム処理及び/又はボイル処理される食品用である、請求項1又は2に記載のゲル状食品。
  6. (工程1)下記(a)と、(b)及び/又は(c)を含有する混合液を調製する工程;
    (a)カードラン:ゲル状食品中の含量が0.8質量%以上、
    (b)ネイティブ型ジェランガム、脱アシル型ジェランガム、サイリウムシードガム、寒天、タマリンドシードガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、グァーガム及びタラガムからなる群から選択される1種以上:カードラン1質量部に対し、0.001〜3質量部、
    (c)澱粉:カードラン1質量部に対し、0.01〜30質量部、並びに、
    (工程2)前記工程1で調製した混合液を75℃以上に加熱する工程、
    を含む、ゲル状食品の製造方法。
  7. 前記工程1における混合液の温度が70℃以下である、請求項6に記載のゲル状食品の製造方法。

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