JP2017148066A - 容器に充填・密封された加熱殺菌処理済食品 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】もち種架橋澱粉、増粘剤、及びHLB10以上のショ糖脂肪酸エステルを含有する、容器に充填・密封された加熱殺菌処理済食品。もち種架橋澱粉が、コーン、米、及びイモから選ばれた1種以上に由来するヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉であり、ショ糖脂肪酸エステルの含有量が0.01〜1質量%であり、もち種架橋澱粉の含有量が0.05〜10質量%であり、増粘剤がキサンタンガムを含み、さらに、未加工澱粉を含有する加熱殺菌処理済食品。
【選択図】なし
Description
したがって、本発明は、より長期の常温保存が可能であり、高品質の、容器に充填・密封された加熱殺菌処理済食品を提供することを目的とする。また、本発明は、レトルト食品等を保存する間に冷蔵状態に置いた場合や、冷凍状態に置いて解凍した場合や、冷凍解凍を繰り返した場合に、品質維持が図れる加熱殺菌処理済食品を提供することを目的とする。
本発明の食品としては、特に限定されるものではないが、例えばレトルト食品、無菌充填食品(殺菌した流動状食品を、無菌的に容器に充填したもの)、チルド食品・冷凍食品(容器に充填した食品を、レトルト食品と比べて低温で加熱殺菌処理したもの)などが挙げられる。
また、本発明の食品としては、特に限定されるものではないが、例えばシチュー、ポタージュ、スープ、カレー、クリーム系のスプレッド、フィリングなどが挙げられる。本発明の食品は、好ましくは澱粉で粘性を付けた流動状食品である。
本発明の食品に含まれるもち種架橋澱粉としては、もち種ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉、もち種アセチル化アジピン酸架橋澱粉、もち種アセチル化リン酸架橋澱粉、もち種リン酸モノエステル化リン酸架橋澱粉、もち種リン酸架橋澱粉が挙げられ、もち種ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉が好ましい。もち種架橋澱粉の製法については特に限定されないが、例えば原料澱粉を無水酢酸及び無水アジピン酸で反応させることにより製造することができる。また、もち種ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉は、原料澱粉に、アルカリ条件下でトリメタリン酸ナトリウムまたはオキシ塩化リンを加えて反応させた後、酸化プロピレンを反応させることにより製造することができる。
原料澱粉であるもち種澱粉としては、例えばコーン、米、イモ等に由来するものが挙げられる。これらのもち種澱粉は、単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。本発明の食品におけるもち種架橋澱粉の含有量は、好ましくは0.05〜10質量%であり、より好ましくは0.07〜5質量%であり、さらに好ましくは0.07〜3質量%である。
本発明の食品には、さらに増粘剤、好ましくはキサンタンガムを配合してもよい。増粘剤は、単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。本発明の食品における増粘剤の含有量は、好ましくは0.01〜0.8質量%であり、より好ましくは0.03〜0.2質量%である。増粘剤を加えることで、もち種架橋澱粉とショ糖脂肪酸エステルの作用を補って食品本来の粘性や口どけを付与することができる。
本発明の食品には、さらに未加工澱粉を配合してもよい。未加工澱粉としては、例えば小麦、コーン、米、タピオカ、イモ等に由来するものが挙げられる。これらの未加工澱粉は、単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。本発明の食品における未加工澱粉の含有量は、好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは8質量%であり、さらに好ましくは5質量%以下である。未加工澱粉を加えることで、食品本来の粘性や口どけを付与することができる。
香辛料としては、特に限定されるものではなく、従来知られた香辛料を用いることができる。香辛料の具体的としては、例えばカルダモン、クローブ、ナツメグ、フェヌグリーク、ローレル、フェンネル、コリアンダー、クミン、キャラウェー、タイム、セージ、陳皮、胡椒、唐辛子、マスタード、ジンジャー、ターメリック、パプリカ等から選ばれる1種又は2種以上を混合して用いることができる。使用する香辛料の種類は、求められる最終製品の風味に応じて適宜、調整すればよい。
ルウは、小麦粉及び/又は澱粉と、食用油脂とを含む原料から得られるものである。一般に、「ルウ」とは、小麦粉及び/又は澱粉と、食用油脂とを含む原料を加熱処理して得られたものをいう。ルウに、もち種架橋澱粉と、必要により未加工澱粉を加えることで、加熱殺菌処理済食品の風味を向上することができる。また、ルウの原料として用いることができる食用油脂としては、天然油脂、加工油脂、及びこれらの混合物のいずれをも用いることができる。具体的には、バター、マーガリン、豚脂、牛脂、及びこれらの混合物等を挙げることができる。小麦粉及び/又は澱粉と、食用油脂を含む原料を加熱処理する場合、加熱温度は、原料の品温が110℃以上となるように加熱することが好ましく、110℃以上140℃以下に達するように加熱することが更に好ましい。また、加熱処理の時間は、3分から120分程度行うことが好ましい。なお、上記ショ糖脂肪酸エステルは、ルウに配合してもよい。
本発明の食品は、その目的とする最終形態に応じて、各種調味料等の風味原料、植物性原料のペースト状物(例えば、トマトペースト、ポテトペースト、リンゴペースト、オニオンペースト、カボチャペースト、ブロッコリーペースト等)等を含んでいてもよい。
本発明の食品は、7大アレルゲン(卵、牛乳、小麦、そば、落花生、えび、かに)等のアレルゲンを含まないアレルゲンフリー食品として調製することができる。特定のアレルゲンを選択的に(例えば2大アレルゲンを選択して)アレルゲンフリーとした食品として調製することができることは勿論である。また、アレルゲンフリーのレトルト食品(缶詰を含む)、チルド食品、冷凍食品、無菌充填食品等として調製することができる。これらの食品は、加熱して喫食してもよいが、加熱することなくそのまま喫食することができる。また、長期間の保存も可能である形態にして、食べ物によるアレルギーの有無に関わらず、誰でも食べやすい非常食、災害食等として備蓄するための食品として利用することができる。
本発明の食品は、もち種架橋澱粉と必要により増粘剤を含有することにより、小麦を含んでいないにもかかわらず、小麦様の粘性、食感を達成することができる。また、一般食品、アレルゲンフリー食品を問わず、乳原料を含まない(乳原料フリーと表示できるレベルで乳原料を含まないことを含む)ことで、長期の常温保存や、保存の間に冷蔵状態や冷凍状態に置いた場合に、食品の品質維持を図る効果をより達成することが可能となる。
本発明の食品は、優れた品質保持効果を有し、温めなくても高品質で食することができるため、非常食、災害食等として簡便で、省エネルギーの観点からも優れたものとなる。
食品調製工程では、上述の材料を適宜配合して、常法により食品を調製してもよい。
加熱殺菌処理工程は、調製された食品を容器に充填・密封する前に、又は容器に充填・密封された後に行ってもよい。また、食品の加熱殺菌処理は、従来公知の方法で行えばよい。例えば、食品がレトルト食品である場合、調製された食品をレトルトパウチに充填した後密封し、これを例えば120〜125℃で20〜60分間加熱することによりレトルト処理すればよい。
また、容器への食品の充填・密封は、従来公知の方法で行えばよい。
以下、本発明について実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明は以下に示す実施例に何ら限定されるものではない。
表1〜3に示した原料(配合量は質量%で表示される)を、加熱釜で撹拌しながら100℃達温まで加熱してカレーソースを調製し、レトルトパウチに充填密封し、レトルト処理を施した。実施例9の製品はアレルゲンフリー食品として調製した。
各実施例及び比較例で得られたレトルトカレーソースを、3年常温保存後に官能試験により評価した。分離は、以下の基準で、5段階で評価した。風味と粘性は、以下の基準で、10名のパネリストの官能評価(温めずにそのまま喫食した場合)により5段階で評価した。結果を表1、表2に示す。
<分離>
5:殆ど離水はなく、非常に滑らかな流動性を維持する。
4:殆ど離水はなく、流動性を有する。
3:僅かに離水があり、流動性がやや悪い。
2:離水があり、流動性が悪く、ダマが見られる。
1:著しく離水し、流動性はなく、ゼリー状の固まりとなる。
<風味と粘性>
5:非常にバランスよく良好な風味に優れ、最適な口どけを有する。
4:バランスよく良好な風味に優れ、最適な口どけを有する。
3:良好な風味があり、口どけは早い。
2:風味に一体感がなく、口どけが悪い。
1:バランスに欠け、風味に一体感がなく、口どけが悪く、粉っぽい。
また、以上の本発明の加熱殺菌処理済食品は、3年常温保存の間に、冷凍状態に置いて解凍することを繰り返した場合も、澱粉の老化による粘度低下や離水が抑制され、カレーソース等の本来の粘性や口どけを有し、美観及び食味のトータルで品質が優れたものとなっていた。
実施例9と同じ原料を用いて調製したカレーソースを、レトルトパウチに充填密封し、レトルト殺菌処理を施した後冷凍した。得られたレトルトカレーソースを、5年冷凍保存後に解凍して常温で食したところ、澱粉の老化による粘度低下や離水が抑制され、カレーソース等の本来の粘性や口どけを有し、美観及び食味のトータルで品質が優れたものであった。
実施例9と同じ原料を用いて調製したカレーソースを、冷凍パウチに充填密封し、速やかに冷凍した。得られたカレーソースを、5年冷凍保存後に解凍して常温で食したところ、澱粉の老化による粘度低下や離水が抑制され、カレーソース等の本来の粘性や口どけを有し、美観及び食味のトータルで品質が優れたものであった。
Claims (7)
- もち種架橋澱粉、増粘剤、及びHLB10以上のショ糖脂肪酸エステルを含有することを特徴とする、容器に充填・密封された加熱殺菌処理済食品。
- もち種架橋澱粉が、もち種ヒドロキシプロピル化リン酸架橋澱粉である、請求項1記載の食品。
- もち種架橋澱粉が、コーン、米、及びイモからなる群より選ばれた1種以上に由来する、請求項1又は2記載の食品。
- 前記ショ糖脂肪酸エステルの含有量が0.01〜1質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の食品。
- もち種架橋澱粉の含有量が0.05〜10質量%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の食品。
- さらに、未加工澱粉を含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の食品。
- 増粘剤がキサンタンガムを含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の食品。
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