JP2007054003A - 調理麺の製造方法 - Google Patents

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政明 長澤
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英夫 小堺
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肇 小池
Yasushi Unagiike
泰 鰻池
Mina Niitsu
巳奈 新津
Ryosuke Mochizuki
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Abstract

【課題】麺特有の食感や風味を損なうことなく張り付き防止の効果を発揮させることができるようにしたものであり、乾麺市場の活性化と新しいメニュー提案を視野に入れ、炒めても張り付きが少なく、調理適性に優れ、時間が経過しても麺線同士が付着しにくく、美味しく食べられる「焼きうどんに適した麺」や「炒め料理に優れた麺」を提供する。
【解決手段】1)小麦粉に対し大豆粉を5重量%以上配合したことを特徴とする調理麺の製造方法。2)小麦粉、あるいは、大豆粉を含む小麦粉に対し、多糖類として寒天、こんにゃく粉、セルロース、カードラン、グアーガム、アルギン酸塩、ペクチン、カラギーナン、蛋白質素材として、卵白粉から少なくとも1種を配合することを特徴とする調理麺の製造方法。
【選択図】なし

Description

この発明は、炒めても、また盛り付け後も張り付きが少なく食べやすい、例えば「焼きうどんに適した麺」や「炒め料理に優れた麺」の製造方法を提供しようとするものである。
これまで、一般に乾麺を炒めて食べるという食習慣はほとんどなかった。そして、乾麺を茹でた上で炒めようとすると、その調理の際にべとつきが生じたり、張り付いてしまうという問題があった。これは、茹でた際、乾麺主原料の小麦粉中の澱粉が糊化し、麺表面が糊状になることによって麺線同士が付着し、調理後の時間が経過するほど付着程度は強くなる。
そこで出願人は、乾麺市場の活性化と新しいメニュー提案を視野に入れ、炒めても張り付きが少なく、調理適性に優れ、時間が経過しても麺線同士が付着しにくく、美味しく食べられる「焼きうどんに適した麺」や「炒め料理に優れた麺」の商品化を進めてきた。
麺類において、麺線間の張り付き、付着性を抑制する方法として幾つかの技術が公開されている。例えば、特開2005−034104公報(特許文献1参照)、特開2005−034038公報(特許文献2参照)、特開2004−065216公報(特許文献3参照)、特開2002−199851公報(特許文献4参照)、特開2001−061422公報(特許文献5参照)等には、麺質の改良、改質方法として油脂、乳化剤を利用した方法が記載されている。
また、特開2003−102412公報(特許文献6参照)には卵黄、糖質、油脂を加圧、加熱処理により乳化状添加物を生成し、これを麺に添加することによって麺質を改良する方法が記載されており、特開2002−223713公報(特許文献7参照)には食用油脂、食用蛋白を麺に配合することによって麺線の付着防止に効果のあることが記載されている。
さらに、特開2000−139385公報(特許文献8参照)には有機酸や有機酸塩類、大豆由来の水溶性ヘミセルロースを溶解した麺用製剤、特開2000−139386公報(特許文献9参照)には大豆食物繊維、コラーゲン、ゼラチン等にキサンタンガム、カラギーナン、ローカストビンガム等を併用する麺用ほぐれ改良剤の製造方法が記載されている。
ここで、食用蛋白として代表的な大豆の事例をさらにあげると、特開2002−186436公報(特許文献10参照)には、下記の工程からなる微粒子生大豆粉入りの無かんすい生、蒸麺の製造方法について記載されている。
<第1工程>脱皮生大豆の10ミクロン以下への微粉化、及びこれを用水に懸濁させて原料小麦粉に混合する。この工程ではカルシウム素材や食塩を加え起泡を抑制する作業をも包含する。
<第2工程>次に、この混合物のミキシングと寝かしの操作をする。
<第3工程>さらに、圧延、麺線切り出しによって生麺を製造する。
<第4工程>蒸麺の場合はこれより蒸し工程、散水、ほぐし、湯浸、冷水浸漬、水切り、包装がある。
また、特開2004−242609公報(特許文献11参照)には、小麦粉に適量の大豆粉を混合(a)すると共に、適量の緑色素成分および鹹水を加えて(d)麺粉を練り上げ、加圧、展伸等といった従前と製造工程は殆ど変えないで適宜製麺(g)することにより、本来の中華麺類としての外観を保持したまま、大豆由来の栄養価が補充、強化されている麺線、餃子皮、ワンタン皮等に加工した大豆入り中華麺とするものである。
他方、特開2000−217527公報(特許文献12参照)には、穀粉100重量部に対して固形分換算重量基準で0.05〜5重量部のこんにゃくゲルの微粒子を含有する麺類、その製造方法及びこんにゃくゲルの微粒子を有効成分とする麺類の食感向上剤であって、こんにゃくの配合に拘わらず、均一で、表面の肌荒れ(ざらつき)がなく、適度の弾力性、歯切れのよい食感を有するこんにゃくゲル入り麺類を提供することが示されている。
特開2000−189088公報(特許文献13参照)には、原料粉100重量部に対して乾燥こんにゃくの粉粒体を0.05〜3重量部添加するか、これにさらに重量平均分子量が約500〜約110,000であり、かつ分解後の重量平均分子量Mwと分解前の重量平均分子量Moとの比(Mw/Mo)が0.004〜0.85である穀物蛋白質の部分分解物を0.01〜3重量部添加することにより、麺類の湯伸びおよび茹で伸びを抑制することが記載されている。
特開平10−155440号公報(特許文献14参照)には、小麦粉とコンニャク粉末を必須成分とし、小麦粉100に対して、コンニャク紛末0.2〜2、食塩0.1〜1、水20〜70の割合で配合していることにより、特にコンニャク成分が配合されていることで、茹で麺にした場合でも乾麺にして茹でた場合でも、相当な時間が経ってものびにくく、食感が良好であると共に、くっつきにくい麺類になり、風味も損なわれないことが記載されている。
特開平9−37729号公報(特許文献15参照)には、製品麺の含有水分全量にほぼ相当する量の20%以下の水に、製品重量に対して0.5〜1.5重量%のコンニャク粉を添加してコンニャク糊を製造し、コンニャク糊をゼリー化する前に小麦粉及び粉末カンスイに添加して攪拌することにより麺生地を製造するとともに、麺生地中に微粒子状に分散したコンニャク糊を粉末カンスイにてアルカリ処理してコンニャクゲルとなし、得られた麺生地を麺帯に延ばして打粉を使用することなく麺線に切り出すことにより、製造作業の煩雑化や長時間化を招来することなく、生麺での保存性に優れ、しかも「腰」のある中華生麺を製造することが記載されている。
特開平8−332039号公報(特許文献16参照)には、小麦粉100重量部に対してこんにゃく精粉0.05〜0.1重量部で水に溶かし、2時間以上定温で放置した後、小麦粉及び副原料と一緒に撹拌する製造法であって、茹麺を長時間低温保存しても伸びの無い茹麺類を提供することが記載されている。
しかし、麺同士の張り付きや付着性の抑制効果を狙った場合、その効果を具体的に数値化して述べた事例がなく、抑制効果が明らかに発揮されているのかどうかが不明確で、官能評価という客観的な判断に基づいているものが多い。また、麺の張り付きや付着性を改良する目的の場合、加えられる材料はほとんどが油脂や乳化剤に限られていたり、可食状態に調理したの麺類を製剤水溶液に浸漬させて張り付きや付着性を抑制するという、根本的に麺質を改良したという技術ではない。即ち、調理中あるいは調理後の麺同士の張り付きや付着性について、その抑制を目的とした麺質そのものを改質する調理麺の製造方法に関しては事例がない。
そこで、発明者らは、麺の張り付きや付着性の抑制効果を理化学的に数値化し、調理適性や食味評価においても同様の効果が得られるような調理麺そのものの製造方法、つまり、麺の配合と調理適性について研究した。そして、茹でる、炒める等の加熱調理に対して物理的な耐性を示す、例えば、熱凝固特性を有する蛋白質や凝固特性に特長のある多糖類に着眼した。その結果、大豆粉が調理適性に優れていることを見出し、同じ食用蛋白素材として卵白粉も適していることも見出した。また、高い吸水力、保水力、ゲル形成力等を有する高分子多糖成分として寒天、こんにゃく粉、セルロース、カードラン、グアーガム、アルギン酸塩、ペクチン、カラギーナンが適していることも見出した。
ここで、麺の張り付き、付着性を具体的に数値化する方法について以下に説明する。
1.測定装置
レオメータを用いた。咀嚼試験、即ち、調理された検体を架台に固定し、一定速度で動くプランジャーで検体を咀嚼する方法で行った。
2.検体
所定配合された検体を3mmになるように圧延し、直径2.8mmの型により型抜きしたものを使用した。
3.検体の調理方法
1)検体を作り10分茹で、水洗いをする。
2)小さじ1杯の油をひき、フライパンを50秒あたためる。
3)検体20枚を入れ、40秒フライパンを動かしながら炒める。
4)炒めた直後にレオメータにより測定する。(直後データ)
5)20分放置後、再び測定を行う。(放置後データ)
4.プランジャー
直径2.0mmの球のプランジャーを使用し、6cm/min.の一定速度で咀嚼した。
5.咀嚼条件
プランジャーと検体の接触面積を一定にする為、検体上部より2.3mmの距離を押すこととした。
6.データ解析
プランジャーが検体を押した時に発生する力を「硬さ(g)」、検体からプランジャーが引き離される時に発生する力を「粘着力(g)」とし、所定の「硬さ」に対する「粘着力」を考察する為に、「(粘着力(g)÷硬さ(g))×1000」の値を算出した。
次に、実際にレオメータにて測定し、麺の張り付き、付着性について抑制効果のあることを具体的に示す。
◎食用蛋白素材類配合による測定結果
蛋白素材の選定においては、一般的に加工食品に利用され、固く、強いゲル強度を有するものを対象として検討した。
レオメータ測定及び官能評価に供試した試料の配合を表1、レオメータ測定結果を表2、官能評価結果を表3に示した。尚、官能評価に供試した試料は、9種類の乾麺それぞれ100gを得た(切刃#12角、製品麺厚1.00mm)後、これを5分間茹で、水道水で水洗いした後、フライパンでサラダ油10cc、粉末調味料(食塩、コショウ)少々とともに1分間炒め、皿に盛り付けて10人のパネラーにて試食を行った。調理中(炒め)の評価及び試食評価(盛り付け10分後)の基準は表4の通りである。また、代表的な麺について、張り付き等の外観の様子を図2(図面代用写真)に図示した。

Figure 2007054003

Figure 2007054003

Figure 2007054003

Figure 2007054003

脱脂大豆粉は配合量が増加するほど硬くなる傾向を示したが、粘着力は増加減少の傾向が確認されなかった。そこで、粘着力に強く影響される麺同士の張り付きについては、所定の硬さに対する粘着力を「付着性」として表し、「付着性」=「(粘着力(g)÷硬さ(g))×1000」を算出した。その結果、脱脂大豆粉の配合量が増加するほど「付着性」は減少する傾向が確認された。この「付着性」の減少傾向は官能評価結果とも相関し、脱脂大豆粉の配合量が増加するほど麺同士が徐々にほぐれ易くなり、また、張り付きにくくなることと一致した。同時に、算出した「付着性」をほぐれ性や張り付きの指標として評価できることが確立された。
このように考えると、卵白粉の張り付き抑制効果も脱脂大豆粉と同様に顕著であるが、おからについては効果がないと言える。また、脱脂大豆粉と卵白粉あるいはゼラチンとの併用効果についても検討したが、卵白粉の張り付き抑制効果が確認されたのに対し、ゼラチンは効果が確認されなかった。
◎多糖類配合による測定結果
素材の選定については、ゲルの特長として比較的固く、離水防止に優れているものを対象に検討した。
レオメータ測定及び官能評価に供試した試料の配合を表5、レオメータ測定結果を表6、官能評価結果を表7に示した。尚、官能評価に供試した試料は、14種類の乾麺それぞれ100gを得た(切刃#12角、製品麺厚1.00mm)後、これを5分間茹で、水道水で水洗いした後、フライパンでサラダ油10cc、粉末調味料(食塩、コショウ)少々とともに1分間炒め、皿に盛り付けて10人のパネラーにて試食を行った。調理中(炒め)の評価及び試食評価(盛り付け10分後)の基準は表4の通りである。また、代表的な麺について、張り付き等の外観の様子を図3(図面代用写真)に図示した。

Figure 2007054003
単位:重量部

Figure 2007054003

Figure 2007054003

寒天は、「付着性」の値が低く、張り付きの抑制効果は非常に大きかった。こんにゃく粉についても効果が大きく、微細粉末のものの方が「付着性」の値が小さいことも分かった。また、寒天、こんにゃく粉以外の多糖類に関しても、全て張り付き抑制効果のある結果となった。但し、ペクチンやグアーガムのように調理直後の効果が弱いものも存在する。また、算出した「付着性」については官能評価結果とも相関し、評価の高いものほど、「付着性」は低い値を示す傾向であった。
全体としては調理直後に効果的なものは放置後にも効果的であった。ゲルをしっかり形成し、水分をしっかり抱え込み、みずみずしさを保つ効果のある多糖類に、特に張り付き抑制効果が見られたのではないかと考える。

特開2005−034104公報 特開2005−034038公報 特開2004−065216公報 特開2002−199851公報 特開2001−061422公報 特開2003−102412公報 特開2002−223713公報 特開2000−139385公報 特開2000−139386公報 特開2002−186436公報 特開2004−242609公報 特開2000−217527公報 特開2000−189088公報 特開平10−155440号公報 特開平9−37729号公報 特開平8−332039号公報
しかしながら、例えば大豆粉とこんにゃく粉を個別に配合した場合の張り付きのデータについて検討した結果、張り付き防止について所望の効果を得ようとすると、それぞれ所定の配合量を必要とし、そのため食感や風味において、麺特有の食感や風味が損なわれてしまうという問題があった。
そこで、大豆粉以外の蛋白素材、多糖類について、麺特有の食感、風味を有し、麺同士の張り付き等を抑制する適性配合について検討した。
即ち、表8、9及び10の配合に従って24種類の生麺100gを得た(切刃#12角,麺厚1.20mm)。これを3分間茹で、水道水で水洗いした後、皿に盛り付けて試食を行った。盛り付け10分後の試食評価の結果は表11、12及び13の通りであった。また、代表的な麺について、張り付き等の外観の様子を図4、図5および図6(それぞれ図面代用写真)に図示した。

Figure 2007054003

Figure 2007054003

Figure 2007054003
単位:重量部
*カードラン、グアーガム ペクチン、セルロース、アルギン酸ナトリウム、カラギーナンについてそれぞ
れ検討。

Figure 2007054003
<評価基準>
張り付き、付着性の抑制 ◎:十分効果あり ○:効果あり △:やや効果あり ×:効果なし
肌荒れ、ざらつき ○:なし ×:あり
食感 ◎:十分満足 ○:満足 △:やや満足 ×:不満足
総合評価 ◎:十分満足 ○:満足 △:やや満足 ×:不満足

Figure 2007054003
<評価基準>
張り付き、付着性の抑制 ◎:十分効果あり ○:効果あり △:やや効果あり ×:効果なし
肌荒れ、ざらつき ○:なし ×:あり
食感 ◎:十分満足 ○:満足 △:やや満足 ×:不満足
総合評価 ◎:十分満足 ○:満足 △:やや満足 ×:不満足

Figure 2007054003
<評価基準>
張り付き、付着性の抑制 ◎:十分効果あり ○:効果あり △:やや効果あり ×:効果なし
肌荒れ、ざらつき ○:なし ×:あり
食感 ◎:十分満足 ○:満足 △:やや満足 ×:不満足
総合評価 ◎:十分満足 ○:満足 △:やや満足 ×:不満足
寒天については小麦粉あるいは小麦粉と脱脂大豆粉100重量部に対して、5重量部以上の配合では張り付き抑制効果が得られなくなり、逆に張り付く傾向であった。同様に、こんにゃく粉については10重量部以上の配合では張り付き抑制効果が得られなくなり、寒天と同様に張り付く傾向であった。また、寒天、こんにゃく粉については少量の添加でも張り付き抑制効果のあることが確認された。一方、卵白粉や多糖類については、張り付き抑制効果の期待できる配合量は寒天やこんにゃく粉よりも多少多い傾向であった。配合量が少ない場合は張り付き抑制の効果がなく、逆に、配合量が多い場合は麺に肌荒れが生じる、食感がざらつく、硬くなりすぎる等の麺としての適性に不具合を生じる結果となった。さらに、配合量が多すぎる場合、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナンは張り付きやすくなってしまうことも確認された。
このように、張り付き抑制効果の期待される配合量は各素材によって異なり、適性配合量がそれぞれ存在する。
そこでこの発明は、麺特有の食感や風味を損なうことなく張り付き防止の効果を発揮させることができるようにしたものであり、乾麺市場の活性化と新しいメニュー提案を視野に入れ、炒めても張り付きが少なく、調理適性に優れ、時間が経過しても麺線同士が付着しにくく、美味しく食べられる「焼きうどんに適した麺」や「炒め料理に優れた麺」を提供しようとするものである。
即ち、この発明の調理麺の製造方法は、小麦粉に対し大豆粉を5重量%以上配合したことを特徴とするものである。
この発明の調理麺の製造方法は、小麦粉、あるいは、大豆粉を含む小麦粉に対し、多糖類として寒天、こんにゃく粉、セルロース、カードラン、グアーガム、アルギン酸塩、ペクチン、カラギーナン、蛋白質素材として卵白粉から少なくとも1種を配合することをも特徴とするものである。
この発明の調理麺の製造方法は、小麦粉、あるいは、大豆粉を含む小麦粉100重量部に対して外割で、寒天0.1〜3.0重量部、こんにゃく粉0.1〜5.0重量部、セルロース0.5〜5.0重量部、カードラン0.5〜10重量部、グアーガム0.5〜10重量部、アルギン酸塩0.5〜3.0重量部、ペクチン0.5〜3.0重量部、カラギーナン0.5〜3.0重量部、卵白粉0.5〜2.0重量部含むことをも特徴とするものである。
この発明の調理麺の製造方法は、調理方法として、茹で工程、炒め工程、調味料をからめる工程の単独、あるいはそれらの組み合わせによって調理されて得られる調理麺であり、調理後に放置されても張り付きの少ない、ほぐれ性に優れていることをも特徴とするものである。
この発明の調理麺の製造方法は、麺の形態が、乾麺、生麺、蒸麺、茹麺等から選ばれてなることをも特徴とするものである。
この発明において使用される小麦粉は、コシ、硬さ、弾力のある麺を形成する機能を果たすものであり、麺のコシを出すために強力粉を用いるのが望ましいが、手打ちによって製造する場合には製麺しやすさを考慮し、準強力粉あるいは中力粉を使用することが可能であり、また、強力粉、中力粉、薄力粉を適宜好みによって混合したものを使用することも可能である。
大豆粉は、麺類に対して大豆特有の栄養成分や風味を添加する機能を果たし、大豆に適宜加工を加えることにより、食物繊維や各種栄養素等の有効成分を損ねないように粉状に粉砕したものであり、大豆、青大豆等を乾燥して摺り潰す。粉砕する場合にも始めに荒く砕き、その後に粉砕機を用いて粉に仕上げたものとすることができる。原材料は、健康に配慮した生産によって国内において比較的購買力が高い遺伝子操作のされていない大豆や無農薬の大豆等を使用したものとするのが望ましく、大豆粉そのままか、あるいは脱脂大豆粉に加工したものを用いることができる。
一方、卵白粉、寒天、こんにゃく粉、セルロース、カードラン、グアーガム、アルギン酸塩、ペクチン、カラギーナンは、一般的に使用されているパウダー状のものを利用することが望ましい。
小麦粉に対する大豆粉の配合量は5重量%以上とするのが望ましく、5重量%以下では張り付きを防止する効果が得られない。
小麦粉あるいは大豆粉を含む小麦粉に対するこんにゃく粉の配合量は、小麦粉もしくは小麦粉と大豆粉利用の外割で0.1ないし5.0重量部の範囲内とするのが望ましく、0.1以下では張り付きを防止する効果が得られず、また5.0を越えてしまうと麺特有のコシのあるなめらかな食感を得ることができなくなってしまう。
また、こんにゃく粉以外の食品素材についても、寒天0.1〜3.0重量部、こんにゃく粉0.1〜5.0重量部、セルロース0.5〜5.0重量部、カードラン0.5〜10重量部、グアーガム0.5〜10重量部、アルギン酸塩0.5〜3.0重量部、ペクチン0.5〜3.0重量部、カラギーナン0.5〜3.0重量部、卵白粉0.5〜2.0重量部の範囲内とするのが望ましい。
上記した調理麺の製造方法の構成は、基本的に次の通りのものである。
すなわち、小麦粉に適量の大豆粉およびこんにゃく粉を混合するとともに、塩水を加えて練り上げ、ロールを通して粗麺帯とした後、該粗麺帯をロール間に通す工程によって加圧、延伸する工程を経ることにより、大豆粉およびこんにゃく粉入りの麺帯として、麺線に適宜製麺加工するものである。
そして、具体的には、小麦粉9重量部に対して大豆粉1重量部とこんにゃく粉0.1重量部、望ましくは小麦粉7重量部に対して大豆粉3重量部とこんにゃく粉0.1重量部の割合として混合機に投入、始動して大豆粉およびこんにゃく粉入りの小麦粉を作った後、該小麦粉1.1kgに対し、350gの塩水(8.5w/w%)加えて所定時間混練して麺粉とし、この練り上げた麺粉をロール間に通して粗麺帯としてから、該粗麺帯をロール間に通す工程によって加圧、延伸し、麺帯を製造する工程を経ることにより、麺線等に適宜製麺加工するようにした調理麺の製造方法である。
当該調理麺の製造方法は、麺打ち用の混合機や製麺機等を使用した製造方法に限定されるものではなく、終始手打ちによる作業によって実現することも可能であり、混合機だけを用いたり、製麺機だけを使用して他の作業については手作業で対応する等、手打ちと機械打ちとを適宜組合せて自由に選択、採用したものにも対応可能である。
また、調理麺の商品形態としては、乾麺、生麺、蒸麺、茹麺等、何れの形態でもよい。
以上のようにこの発明によれば、麺特有の食感や風味を損なうことなく張り付き防止の効果を発揮させることができるようになったので、乾麺市場の活性化と新しいメニュー提案を視野に入れ、炒めても張り付きが少なく、調理適性に優れ、時間が経過しても麺線同士が付着しにくく、美味しく食べられる「焼きうどんに適した麺」や「炒め料理に優れた麺」を提供することができるようになった。
すなわち、本発明によって得られる「調理麺」は、茹でた後、フライパンにて調味料を加えて炒めることによって調理されるもので、炒めている最中に張り付きが起こらず、皿に盛り付けた後にも麺同士が張り付きにくく、簡単にほぐれるという特長を備えている。通常の乾麺では、炒めている最中でも張り付きやすく、また、皿に盛り付けた後も魂となって張り付いてしまう。調味料は粉末でも液体でもかまわない。
もちろん、調理方法については、茹でた後、炒めることなく調味料をからめるだけで食べることも可能である。この場合も、盛り付けた後の張り付きは充分抑制される。
また単純に、茹でた後、皿に盛り付け、ざるうどんの状態で食べる場合にも、盛り付けた麺の張り付きは抑制される。
(実施例1)
図1の調理麺の製造工程のフローチャートに示される事例は、小麦粉および大豆粉、こんにゃく粉を重量比で7:3:0.1の割合で混合した原料粉1.1kgに対し、塩水を加えて所定時間混練し、練り上げた麺粉を製麺機に移して麺帯を造り、熟成させた後に麺線となすようにした、この発明の基本的構成を備えてなる調理麺の製造方法の代表的な一実施例を示すものである。
当該調理麺を製造するには、先ず、図中(a)で示すように小麦粉と大豆粉、こんにゃく粉との混合比が7:3:0.1の割合となるように、強力粉(小麦粉)に大豆粉、こんにゃく粉を混合するが、その際にはそれぞれの粉を篩に掛ける等してムラが生じないよう混合するのが望ましい。
図中(b)に示すように、前記大豆粉およびこんにゃく粉を配合した小麦粉3,000gを図示しない混合機に投入し、混練駆動させながら、塩水を少量ずつ静かに注ぎ込み3ないし7分程度に渡り、混合することによってソボロ状の麺粉を造り、その麺粉を混合機から取り出して図示しない製麺機に供給し、図中(c)に示すように、麺粉を平行に配置された一対の回転ローラー間に供給することによって圧縮し麺帯を造り、二枚の麺帯を重ねてローラー間を通過させて一枚に合わせる作業を複数回に渡って繰り返した後、薄力粉かまたはコーンスターチ等の打ち粉を振りながらロールに巻き取り、図中(d)に示すように、布巾を被せたりビニール袋に入れる等して乾燥を防ぎ、室温で保管するか冷蔵保管して3時間程度熟成させる。打ち粉や熟成は省略してもかまわない。
図中(e)に示すように、熟成が完了した麺帯は、図示しない製麺機にセットされた切刃に供給されることにより、ストレート麺またはスープのからみが良いウェーブ麺を一食分ずつにカットし、調理麺用の麺線に加工して次々に送出していくようする。
このようにして得られた麺は「生麺」であるが、乾燥することによって得られる「乾麺」、蒸すことによって得られる「蒸麺」、茹でることによって得られる「茹麺」等、商品としては様々な形態をとることができる。
以下に、麺の調理例と張り付き抑制効果等について具体的に示す。
(調理例1)
表14の配合に従って3種類の乾麺それぞれ100gを得た(切刃#10角、製品麺厚1.50mm)。これを10分間茹で、水道水で水洗いした後、皿に盛り付けて10人のパネラーにて試食を行なった。試食評価の結果は表15の通りであった。尚、評価基準は表4の通りである。

Figure 2007054003

Figure 2007054003

これによると、通常のざるうどんのように調理して食べる場合において、張り付き、ほぐれ性、べとつき等、何れも対照よりも優れていることが確認され、良好な結果が得られている。また、小麦粉として準強力粉、大豆粉として全脂大豆粉を使用しても張り付き抑制効果の得られることが確認される。尚、張り付き等の概観の様子を図示したのが図7(図面代用写真)である。
(調理例2)
表16の配合に従って3種類の生麺それぞれ100gを得た(切刃#12角、製品麺厚1.20mm)。これを3分間茹で、水道水で水洗いした後、フライパンでサラダ油10cc、粉末調味料(食塩、コショウ)少々とともに1分間炒め、皿に盛り付けて10人のパネラーにて試食を行った。調理(炒め)中の評価及び試食評価(盛り付け10分後)の結果は表17の通りであった。尚、評価基準は表4の通りである。

Figure 2007054003

Figure 2007054003

これによると、炒めるという調理工程を経て食べる場合においては、調理中、盛り付け後の何れも麺同士の張り付き、ほぐれ性、べとつきは対照よりも優れていることが確認され、良好な結果が得られている。また、No.CよりもNo.Dの方が張り付き等の抑制効果は大きかったが、麺質の点では異なっており、No.Cはソフトでしなやかな食感を有しているのに対し、No.Dは硬く、しっかりとした食感が特長であった。
この発明の調理麺の製造方法は、炒めても、また盛り付け後も張り付きが少なく食べやすい、例えば「焼きうどんに適した麺」や「炒め料理に優れた麺」のみならず、茹で麺や煮込みうどん等としても調理の可能な調理麺の製造方法を提供することが可能である。
この発明の調理麺の製造工程を示すフローチャートである。 代表的な麺について、食用蛋白素材類配合による張り付き等の外観の様子を示す図面代用写真である。 代表的な麺について、多糖類配合による張り付き等の外観の様子を示す図面代用写真である。 代表的な麺について、大豆粉以外の蛋白素材、多糖類配合による張り付き等の外観の様子を示す図面代用写真である。 代表的な麺について、大豆粉以外の蛋白素材、多糖類配合による張り付き等の外観の様子を示す図面代用写真である。 代表的な麺について、大豆粉以外の蛋白素材、多糖類配合による張り付き等の外観の様子を示す図面代用写真である。 代表的な麺について、全脂大豆粉末粉と寒天配合による張り付き等の外観の様子を示す図面代用写真である。

Claims (5)

  1. 小麦粉に対し大豆粉を5重量%以上配合したことを特徴とする調理麺の製造方法。
  2. 小麦粉、あるいは、大豆粉を含む小麦粉に対し、多糖類として寒天、こんにゃく粉、セルロース、カードラン、グアーガム、アルギン酸塩、ペクチン、カラギーナン、蛋白質素材として、卵白粉から少なくとも1種を配合することを特徴とする調理麺の製造方法。
  3. 小麦粉、あるいは、大豆粉を含む小麦粉100重量部に対して外割で、寒天0.1〜3.0重量部、こんにゃく粉0.1〜5.0重量部、セルロース0.5〜5.0重量部、カードラン0.5〜10重量部、グアーガム0.5〜10重量部、アルギン酸塩0.5〜3.0重量部、ペクチン0.5〜3.0重量部、カラギーナン0.5〜3.0重量部、卵白粉0.5〜2.0重量部含むことを特徴とする請求項2に記載の調理麺の製造方法。
  4. 調理方法として、茹で工程、炒め工程、調味料をからめる工程の単独、あるいはそれらの組み合わせによって調理されて得られる調理麺であり、調理後に放置されても張り付きの少ない、ほぐれ性に優れていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の調理麺の製造方法。
  5. 麺の形態が、乾麺、生麺、蒸麺、茹麺等から選ばれてなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の調理麺の製造方法。
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