JP2004180516A - 菓子及びその製造法 - Google Patents

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Shigeru Ashida
茂 芦田
Isao Ochi
勇生 越智
Yoshio Yamawaki
祥夫 山脇
Tatsumi Miyazaki
辰己 宮崎
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Fuji Oil Co Ltd
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Abstract

【課題】本発明は、本発明は、消費者の多様な好みに合せ食感を改質した菓子、その製造法を提供することを目的とした。
【解決手段】加圧・加熱し、圧力解除することにより膨化させた粒状植物性たん白素材であって、かつ最大粒径2mm未満の微粒状植物性たん白素材を含有する生地を焼成又は油ちょうしてなる菓子。
【選択図】なし。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食感が改質された菓子、及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平8−322456号公報
【特許文献2】
特開平9−149757号公報
【特許文献3】
特開平10−14482号公報
【特許文献4】
特開平3−67536号公報
【0003】焼き菓子や揚げ菓子では、食場面によって、クリスピー感に優れサクサクとした軽い食感が求められたり、逆にしっとりとしたソフトな食感などが求められている。そのため、消費者の多様な要求に応じて柔軟に食感を改質でき、かつ簡便に製造できる方法が求められている。菓子の食感を改質する方法としては、以下のように従来から種々の検討がなされている。
【0004】特許文献1には「ビスケット類の製造法」として、小麦粉を主原料にした生地にプロテアーゼとリポキシゲナーゼを作用させることによりビスケット類の食感(サクサク感)を改良する方法が開示されている。しかし、かかる方法では加熱温度とその反応時間をコントロールする必要性があり、製造時における作業性が良好ではない。
【0005】特許文献2には、「ビスケット類の製造法」として、小麦粉をローストさせグルテンを失活させたロースト小麦粉を添加し、食感を改良する方法が開示されている。
【0006】特許文献3には、「焼き菓子の製造法」として水溶性の食物繊維を配合することで機械適性にも優れ、食感を改良する方法が開示されている。しかし水溶性の食物繊維を配合したものは、独特の風味が発現する傾向がある。
【0007】これらの方法はいずれも一定の食感改良効果が認められるものの、作業性、経済性、保存性、風味の点で、満足できる方法ではなかった。かかる問題点を解決するために利用しうる手段としては、特許文献4による方法が挙げられる。
【0008】特許文献4に記載された方法はクッキーに見掛け比重0.3以下の粒状大豆たん白に水をしみ込ませることなく乾燥状態で粉体原料と共に生地に添加し、すぐに焼成することにより軽くてサクサクした食感を有するクッキーを得る方法である。しかしJAS規格によると「粒状大豆たん白」は、355μmの篩目を通過するものの割合が10%以下とされているものであり、例えば粒状大豆たん白製品である「ニューフジニック51」(不二製油(株)製)などは平均粒子径が5mm程度である。そのため、通常使用される粒状植物性たん白を菓子製品に使用すると、粒状物自体のごわごわとした食感を感じる。またビスケットやクラッカーのように生地を薄く成形するものの場合は、粒状物の存在により外観が損なわれたり、成形が困難になる場合がある。
【0009】以上の特許文献1〜4に列挙した方法を採用しても一定の範囲の食感改良効果しか期待できず、消費者の多様な食感のニーズに柔軟に対応することが困難である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、消費者の多様な好みに合せ食感を改質した菓子、その製造法を提供することを目的とした。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意研究するなかで、膨化された植物性たん白を粉砕し篩別した最大粒径が2.0mm未満の微粒状植物性たん白を生地に添加し、焼成あるいは油ちょうすること、さらには液体原料を予めしみこませてから焼き菓子や揚げ菓子の生地に用いることにより前記課題を解決できる知見を得て、本発明を完成するに到った。
【0012】即ち、本発明は、
(1)加圧・加熱し、圧力解除することにより膨化させた植物性たん白素材であって、かつ最大粒径2mm未満の微粒状植物性たん白素材を含有する生地を焼成又は油ちょうしてなる菓子、
(2)該微粒状植物性たん白を澱粉性原料に対して1〜25重量%含有する上記(1)記載の菓子、
(3)該微粒状植物性たん白に予め液体原料を保持させてから生地に練り込むことを特徴とする上記(1)又は(2)記載の菓子の製造法、を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明における菓子は、焼き菓子や揚げ菓子等の原材料を混合した生地を焼成又は油ちょうしてなる菓子である。
【0014】焼き菓子としては、ビスケット、クッキー、クラッカー、パイ、シュー皮、スポンジケーキ、バターケーキ、パウンドケーキ、ウエハースなどを例示することができる。揚げ菓子としては、じゃがいもやさつまいもを成型してフライした菓子や揚げせんべい、ドーナツなどを例示することができる。
【0015】本発明の菓子には、加圧・加熱し、圧力解除することにより膨化させた植物性たん白素材であって、かつ最大粒径2mm未満の微粒状植物性たん白素材を生地に含有させることに特徴を有する。
【0016】本発明の微粒状植物性たん白素材の主原料となる植物性たん白素材としては、植物性由来のたん白を含有する原料であれば任意に使用することができ、例えば大豆たん白素材、小麦たん白素材等が挙げられるが、大豆たん白素材を用いることがより好ましい。大豆たん白素材としては、例えば丸大豆、脱脂大豆、濃縮大豆たん白、分離大豆たん白、全脂もしくは脱脂豆乳粉末、おから等の使用が可能である。特に脱脂大豆、濃縮大豆たん白、分離大豆たん白、脱脂豆乳粉末などの粗たん白質含量が乾燥固形分中50重量%以上のものを用いることが好ましい。
【0017】本発明の膨化された植物性たん白素材を得るために、植物性たん白素材を加圧・加熱し、圧力解除する方法としては、乾熱もしくは湿熱加熱、及び間接もしくは直接加熱を問わず、植物性たん白素材が加熱膨化することにより変性し、水不溶性となる方法を用いれば良い。
【0018】例えば植物性たん白素材を単独で、またはその他澱粉類や油脂類などの原料を併用して水系下に1軸や2軸エクストルーダー等の加熱装置を用いて例えば100〜200℃にて加圧加熱し、先端のダイより押出すことにより膨化させて、これをカッターや粉砕機等で適当な大きさに切断し、「粒状植物性たん白」とする方法を用いることができる。この際、得られた粒状植物性たん白中の粗たん白質含量は乾燥固形分中40重量%以上、好ましくは50重量%以上であることが適当である。
【0019】またポンせんべいやばくだんあられなどの製造法と同様に、密閉性加圧膨化装置を用いて植物性たん白素材を必要により加水し、100℃以上の高温・加圧条件下に投じ、加熱した後に、大気圧以下の密閉性装置外に放出させ、瞬間的に水分を蒸発させることにより、その水蒸気による膨張圧で植物性たん白素材を膨化させる方法も例示できる。
【0020】加熱膨化させた植物性たん白素材は変性により水に溶解しにくくなるため、生地に練りこんだ際に溶解分散せず、加熱凝固性(ゲル化性)も有しないため、生地中では皮膜形成やグルテンネットワークのごとき骨格形成には寄与せずに、菓子生地中で断点を作る機能を有することが特徴である。
【0021】一方、分離大豆たん白等の未変性の植物性たん白素材は水に溶解しやすく、加熱凝固性を有しゲル形成能が高いため、吸水能と保水能が非常に強く、原料混合時にダマになりやすく、また生地は切れやすくかつ経時的に弾力の強すぎる生地となり、成型が困難になる等の作業上問題になる場合がある。この点、既に加熱膨化を行い水不溶性となっている植物たん白素材は、ダマができずに容易に生地中に分散し、経時的な生地粘性の変化が少ないため作業性の低下は見受けられない。
【0022】本発明において、膨化された植物性たん白素材を微粒状とする方法としては、一般的に使用されている粉砕方法を使用することができる。例えば、上記の膨化された植物性たん白素材を粉砕し、篩分けにより微細化画分を得ることが適当である。植物性たん白が大豆たん白の場合、膨化された大豆たん白素材を粉砕してもいいし、篩で篩分けした製品としての「粒状大豆たん白」を選別した後の、いわゆる篩下といわれる微細な粉を利用することも出来る。又、膨化された小麦たん白素材を所望の大きさまで粉砕し乾燥したものでも良い。
【0023】微粒状植物性たん白素材は最大粒径2.0mm未満、好ましくは1.8mm未満、より好ましくは0.2mm以上1.0mm未満が適当である。最大粒径とは、その粒径の篩いをパスした粒径をいう。従って最大粒径2mm未満とは最大径2mmの篩いをパスした粒径をいう。この範囲に粉砕することで、生地の成形がしやすく、ごわごわした食感にならず、クリスピーでかつ軽い食感となり、歯切れの良い焼き菓子となる。粒径が大きすぎるとビスケットやクラッカー等の薄い生地の場合は粒状物の存在により生地の成形が困難になる場合があり、また加熱後の食感がごわごわしたり、粒状物のテクスチャーを感じ所望の食感が得られない。そして粒状物の存在により製品の外観が損なわれる場合がある。
【0024】なお、本発明において、最大粒径は以下のように定義する。即ち、微粒化した試料を篩い振動機(IIDA SEISAKUSYO製)を用い、自動的に振動を与えながら、各種サイズのメッシュの篩いを大きい方から通過させ、試料が全て通過する最も小さいメッシュ目開きの大きさを最大粒径とする。
【0025】この微粒状植物性たん白素材は澱粉性原料に対して1〜25重量%、好ましくは1〜15重量%、さらに好ましくは3〜8重量%を用いることが適当である。配合する微粒状植物性たん白素材の含有量が少ないと、十分な食感の改質効果が得られず、含有量が多すぎると、菓子製品の種類によっては生地のまとまりが弱くなりすぎたり、特有の匂いが生じる場合がある。
【0026】微粒状植物性たん白素材を生地に含有させる方法としては、微粒状植物性たん白素材を乾燥状態のまま、例えば小麦粉等の粉原料と共に、生地に練り込む方法と、微粒状植物性たん白素材に予め水溶液状、乳化液状または油液状の液体原料を保持させてから生地に練り込む方法がある。これらの方法は菓子の種類や消費者の食感のニーズに合わせて適宜選択しうる。
【0027】微粒状植物性たん白素材を乾燥状態で生地に練り込んだ場合は、生地中に物理的に形成された断点により、適度な脆さを付与することが可能になる。そして一旦多孔質に膨化した組織を微細に粉砕しているため、スポンジや軽石の如くその組織内に原材料の水分を保持する。これらにより、加熱時に水分の蒸散と火抜けに優れ、クリスピー感、サクサク感、歯切れに優れた好ましい食感になる。
【0028】また、多孔質の構造を有する微粒状植物性たん白素材に、予め液体原料を保持させてから生地に練り込んだ場合は、原料の生地中への均一分散を極めて容易にすることができる。すなわち、微粒状植物性たん白素材が原料の分散剤として機能する。したがって、菓子の種類により、生地の攪拌時間が短い場合や、強いシェアをかけられない場合など、製菓原料が生地中に均一に分散しにくい場合に特に有効な手段である。また油脂や糖などを多量に入れて菓子の食感を改質しようとすると、生地がべたついたり、ダレたりして生地の物性を損ねてしまい、成形性に影響を及ぼす場合がある。この場合、微粒状植物性たん白素材に予め液体原料として油脂や糖を保持させると、生地の物性を損ねずに油脂や糖などを多量に入れることができ、菓子の食感を改質することが可能である。
【0029】本発明における菓子生地の原料は、通常使用されている製菓原料であれば良く、特に限定されない。例えば、小麦粉や澱粉類等の澱粉性原料、動植物性たん白質、油脂類、膨張剤、乳化剤、多糖類、ガム質、味付けのための甘味料や調味料等を用いることができ、更には、着色料、着香料、その他の食品添加物を含有することを妨げない。このうち、小麦粉や不溶性の原料以外の原料は液体原料(水溶液、乳化液、油液)として微粒状植物性大豆たん白に保持させることができる。
【0030】小麦粉は強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉などを用いることができ、最終製品の食感に応じて選択すれば良い。
【0031】澱粉類としては、小麦、コーン、ワキシーコーン、米などの穀物澱粉、馬鈴薯、タピオカ等の芋類澱粉、小豆、いんげん豆、ササゲ、そら豆、及びその他の豆類等に由来するものやいずれにも該当しないサゴ澱粉などが列挙できる。これらを原料とする焙焼デキストリン、酵素変性澱粉、酸分解澱粉、酸化澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉、架橋澱粉、アルファー化澱粉、湿熱処理澱粉などの加工澱粉等を用いることができる。
【0032】動植物性たん白質としては、卵、カゼイン、ホエーたん白質、鳥獣魚介肉たん白質等を用いることができる。また未変性の分離大豆たん白や濃縮大豆たん白等も用いてもよいが、前記した通り、生地の物性を損ねない程度に添加することが好ましい。
【0033】油脂類は、食用に適するものであれば特に制限はなく、パーム油、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、ひまわり油、ヤシ油、シア油等の植物性油脂、牛脂、豚脂、魚油、乳脂などの動物性油脂等が列挙でき、上記油脂単独、又は混合油脂、あるいはそれらの部分水素添加、水添分別、分別、エステル交換などの加工を施した油脂などを利用することができ、これらを粉末化した油脂であっても構わない。また油脂類には、バター、マーガリン、ショートニングなどの油中水型乳化物やクリーム、フィリングなどの水中油型乳化物も含まれる。なお、常温で固形の油脂類は加温して液状ないしペースト状にすることにより、液体原料として微粒状大豆たん白に予め保持させ、生地に練り込むことが可能である。
【0034】甘味料は、砂糖、グルコース、マルトース、トレハロース等の糖類、マルチトール、ラクチトール、エリスリトール、ソルビトール等の糖アルコール、アスパルテーム、ステビア、スクラロース、ソーマチン等の高甘味度甘味料等を用いることができる。なお、微粒状大豆たん白にこれらを予め液体原料として保持させてから生地に練り込む場合は、液状の製品を、又は、水溶液に調製して用いればよい。
【0035】本発明における生地の成型は特に限定されず、菓子の種類に応じて常法にて行うことができる。例えばクッキーやビスケットなどでは圧延ロールなどを用いて一定の厚みに圧延し、得られたシート状の生地を型抜きする方法を採用すればよい。また、加熱方法については、バッチ式、連続式を問わずにオーブンなどの焼成機器を用い、目的に応じた焼成温度で加熱することができる。また、加湿式オーブンや適宜その他の焼成方法も利用することができる。更には、揚げ菓子においてもバッチ式、連続式問わずにフライヤーを用いることができ、目的に応じた油ちょう温度を選択すれば良い。
【0036】
【実施例】以下、実施例により本発明の態様を詳細に説明する。なお、以下「部」とは「重量部」を示すこととする。
【0037】
〔実験例1〕(クッキーの調製)
25℃〜30℃に調温したマーガリン「不二アットレーETF」(不二製油(株)製)50重量部(以下単に「部」と表現)を上白糖40部及び微粒状大豆たん白10部とともにビーターを使用して、縦型ミキサーにてすり合わせホイップした。ホイップした混合物の比重が0.85になったところで全卵6部を少しずつ加え、クリーム状になったところで更に水8部に溶解させた膨張剤(重曹0.2部、重炭安0.2部)、食塩0.3部を加えホイップを続け、混合物の比重が0.80になったところで薄力粉100部を入れ、低速で30秒混合し生地を調製した。冷蔵庫で2〜3時間生地を冷却した後、手で揉んで均一な状態にし、シーターで所定の厚みに展延後、型抜き又はカットし展板にのせ、200〜210℃で7〜8分焼成してクッキーを得た。
【0038】尚、本発明に使用している微粒状大豆たん白は、脱脂大豆を主原料とし、エクストルーダーにより押し出して膨化させた組織状大豆たん白(加熱変性し水不溶化したもの)をアーシェル社製コミットロールにて粗粉砕し、乾燥ラインにて水分10重量%以下となるよう乾燥して得られた粒状大豆たん白を、ゴミタ社製粉砕機にて微粉砕することにより作製した。微粒状植物性たん白としては、最大粒径の異なる4種類(▲1▼〜▲4▼)を用いた。これらをそれぞれ使用した試験区A〜Eを表1に示した。表1に記載の微粒状大豆たん白▲2▼は、10メッシュ(目開き1.7mm)を全て通過するが、これより細かいメッシュのふるいは全ては通過しないため、最大粒径を1.7mmとした。また、微粒状大豆たん白▲4▼は、18.5メッシュ(目開き0.85mm)を全て通過するが、これより細かいメッシュのふるいは全ては通過しないため、最大粒径を0.85mmとした。
【0039】
Figure 2004180516
【0040】焼成した試験区A〜Eのクッキーの食感、風味などを10人のパネラーで比較検討した。評価の結果を表2に示す。評価は5点満点として優れている順に5から1の段階評価をしてもらい、平均点で示した。
【0041】
Figure 2004180516
【0042】微粒状大豆たん白の配合しなかった試験区A、Bのクッキーは、サクサク感が十分でなく、クリスピー感もC〜Eよりも劣り、十分満足できるものではなかった。それに対し、微粒状大豆たん白▲2▼(最大粒径1.7mm)、微粒状大豆たん白▲3▼(最大粒径1.4mm)及び、微粒状大豆たん白▲4▼(最大粒径0.85mm)を配合した試験区(C〜E)はクリスピ−で歯切れが良く、サクサクとした食感で良好であった。最大粒径の大きい微粒状大豆たん白を添加した試験区Bは、歯切れの良さについては一定の効果があるものの、食感がごわごわしており、ざらつきを感じ好ましくなかった。かかる食感改良効果は微粒状大豆たん白が多孔質であることにより、組織内に原材料の水分を保持し、加熱時に水分の蒸散と火抜けを促進したのではないかと考えられる。
【0043】
〔実施例1及び比較例1〕(クラッカーの調製)
コートミキサーに水27部、生イースト1.2部、モルトエキス0.3部を分散させ、薄力粉50部、準強力粉20部を加え、フックを用いて低速にて1分15秒混練した(生地温度約24度)。得られた中種生地を27度にて16〜20時間醗酵させた。再び、コートミキサーに生地を移し本ごね工程を行った。即ち、薄力粉30部、ショートニング(不二製油(株)製パンパスLB)12部、食塩1.7部、砂糖1部、重曹0.5部、脱脂粉乳1部、水4部を加え低速にて2分20秒攪拌した。本ごね工程を経た生地を27度にて醗酵させた後、ゲージ厚4mmにてシーティングし生地を3つ折りし、再びシーティングし、今度は生地を2つ折りにした後、ゲージ厚を1.3mmに調整し、シーティング成型した。成型後の生地を適当な大きさにカットし、オーブンを用いて250℃で3分間焼成しクラッカーを得た(比較例1)。また上記記載と同様の方法で、本ごね工程において、微粒状大豆たん白▲4▼(最大粒径0.85mm)を10部配合し、生地の硬さを調整するために加水を6部に変更し、微粒状大豆たん白を含有するクラッカーを得た(実施例1)。
【0044】微粒状大豆たん白を配合した実施例1のクラッカーは、比較例1と比べると非常にクリスピーで歯切れが良く、サクサクとした食感で良好であった。かかる食感改良効果も実験例1と同様の作用によるものと考えられる。
【0045】
〔実験例2〕(ウエハースの調製)
ビーターと称する攪拌羽根を装着したケンウッドミキサーに水100部を入れ、重炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、食塩、全卵を低速で1分間混合し、次いで薄力粉、強力粉、微粒状大豆たん白を入れ低速で2分間攪拌し、残りの調整水を添加し、同じく低速で1分間混練して生地を得た。手焼き方式の挟み焼き機に得られた生地を流し込み、ガス直火にて裏表合計3分30秒焼成してウエハースを製造した。基本配合を表3に示す。微粒状大豆たん白は最大粒径の異なる4種類▲1▼、▲2▼、▲4▼を何れか用いて表4の試験区H〜Pに示した量にて添加した。なお、水は微粒状大豆たん白の添加量と同量をさらに添加した。
【0046】
Figure 2004180516
【0047】
Figure 2004180516
【0048】加熱焼成したウエハースH〜Pの食感、風味などを10人のパネラーで比較検討した。評価の結果を表5に示す。評価は5点満点として優れている順に5から1の段階評価をしてもらい、平均点で示した。
【0049】
Figure 2004180516
【0050】微粒状大豆たん白▲2▼を使用した試験区J及び微粒状大豆たん白▲4▼を使用した試験区Kは、未配合である試験区Hと比べ、クリスピー感、歯切れ感、からっと感に優れた。かかる食感改良効果も実験例1と同様の作用によるものと考えられる。微粒状大豆たん白▲1▼を使用した試験区Iは、その最大粒径が大きいため、歯切れ付与については一定の効果が認められるものの、ごわごわとしたざらついた食感となり改質効果が限定されるものであった。また、試験区K〜Pの結果より、微粒状大豆たん白の配合量については、配合量が少なすぎるとその効果が得られにくく(試験区L)、過剰量配合すると歯切れ改善における改良効果は得られ易いが、独特の風味及びざらつたテクスチャーが発現する傾向となった(試験区P)。
【0051】
〔実施例2及び比較例2〕(ソフトな食感の包餡クッキーの製造)
視覚的、食感的なインパクトを有するクッキーを得るため、クッキー生地外皮で内材のフルーツペーストを包む二重構造(以下、包餡と称す)クッキーの手法にて製造を行った。
【0052】(クッキー生地外皮の製造)
実験例3にて用いたケンウッドミキサーにショートニング「コットンPS」(不二製油(株)製)50部、上白糖20部、ソルビトール液「フードル70」(東和化成(株)製)20部を入れビーター羽根で均一に摺り合わせ、次いで液卵10部を摺り合わせ、薄力粉100部、ベーキングパウダー1部を摺り合わせた(比較例2)。実施例も同様な方法で摺り合わせるが、ソルビトール56部は微粒状植物性たん白▲4▼24部と共に摺り合わせナイロン袋に入れ乾燥を防止した状態で20℃の部屋で一晩保管後用いた(実施例2)。ソルビトールを微粒状植物性たん白に吸着させることで微粒状植物性たん白は膨潤し粘土様の可塑性を有する状態となった。
【0053】(クッキー生地外皮の物性状態)
比較例2のクッキー生地(ソルビトール液を25部含む)は包餡適性は良好であつた。一方、実施例2のクッキー生地(ソルビトール液を56部含む)はソルビトール液を比較例2の三倍程含有する。このように水分系の量が多過ぎる生地は柔らかくなり、包餡不良を起こすが、実施例2のクッキー生地は包餡適性良好であつた。
【0054】一般的に、包餡用生地は粘土様で粘りがあり包み易く、且つベタベタしない物性であることが重要であり、生地が柔らかすぎたりべたべたする場合、又逆に固すぎる場合には包餡作業が困難になる。比較例2ではかかる問題が生じたが、実施例2では、そのような問題は一切発生しなかった。実施例2では、ソルビトールが微粒状植物性たん白に吸着保持されたため、ソルビトールを多く使用しているにも関わらず生地の柔化の問題が発生しなかったと考えられる。すなわち、食感をソフトに改質する目的で液状の材料を多く配合する場合、微粒状植物性たん白に予め液状の材料を吸着させることで、生地物性を損なわず目的を達成することができた。
【0055】(包あんクッキー用内材のフルーツペーストフィリングの調製)
市販のミックスフルーツ「M1」((株)うめはら製)を家庭用のジューサーミキサーにて潰しペースト状とし、フルーツペーストフィリングを調製した。
実施例2及び比較例2にて調製したクッキー生地15gを外皮とし、上記記述の方法にて試作したフルーツペーストフィリング7gを手作業にて包あんし、電気式の焼成オーブンにて12分間焼成を行った。得られた包餡クッキーの食感、しとり感、風味を10人のパネラーで比較検討した。評価は5点満点として優れている順に5から1の段階評価を行い、平均点を表6に示した。
【0056】
Figure 2004180516
【0057】比較例2のフルーツ包餡クッキーは風味は良いものの、ソルビトールの添加量が少ないため、ソフト感、しとり感で満足出来きるものでなかった。一方、実施例2のフルーツクッキーはソフト感、しとり感共に優れ、フィリングであるフルーツの食感と一体化し、風味も良く感じられ差別性のあるものであった。かかる食感改質効果は、多孔質である微粒状大豆たん白の保持力により予めソルビトールを保持させることによって、多量のソルビトールを生地の物性を損ねることなく添加できたことによるものと考えられる。
【0058】
〔実験例3及び比較例3〕(ハードビスケットの調製)
コートミキサーに水16部、炭酸アンモニウム0.8部、重曹0.4部、食塩0.6部、上白糖シロップ30部(上白糖20部と水10部で構成されたシロップ)、ブドウ糖液糖5.0部、ショートニング「パンパスLB」(不二製油(株)製)17部、薄力粉98部、コーンスターチ2部を加えミキサーボールを40℃で加温しながら、フックを用いて低速にて30分混練した(生地温度約35℃)。得られた生地に予め処理した微粒状大豆たん白▲4▼30部を分散させ、再び、コートミキサーにて5分間混ぜ生地と合わせた。フロアタイムを10分間40℃で経た後、4mmまでシーターで展延後、3つ折りを1回行ない、更に生地の方向を90度変え、生地を再度4mmまで展延後、3つ折りを1回加えた。この生地を最終的に、シーターで厚さ1.7mmに延ばした。穴あけ器で生地に均一に穴をあけ、一枚8.0gに型抜きして焼成した。焼成条件は、上火220℃下火200℃のオーブンにて4分間焼成した。
【0059】ここで、微粒状大豆たん白の前処理だが、実施例3では、水100部に微粒状大豆たん白100部を縦型ミキサーにてゆっくりと混合し吸水させた後、更に予め溶解しておいたショートニング100部をミキサーを回転させながら徐々に添加してペースト状にした物を使用した。比較例3では微粒状大豆たん白は添加せずショートニング10部のみ添加した。
【0060】微粒状大豆たん白▲4▼を配合した実施例3のハードビスケットは、従来のビスケットより油脂を多量に添加できた効果と微粒状大豆たん白の添加によって、サクサクとした口中でホグレ感のよい良好な食感となった。一方、比較例3は油脂を多量に添加したものの、微粒状大豆たん白に保持させなかったため、生地がべた付いてしまい製造が出来ない状態となった。微粒状大豆たん白はが水と油脂を吸着した形で生地に添加し分散させたことで、焼成により水は蒸発し、ポーラスな組織で尚且つ、油脂を分散させた効果から得られたハードビスケットは、よりサクサクした口中でホグレ感のよい食感を得るに至ったと考えられる。
【0061】
【発明の効果】以上説明したとおり、加熱膨化し、水不溶化した特定の粒径の微粒状植物性たん白素材を焼き菓子や揚げ菓子に用いれば、その特異的な多孔質構造により、乾燥状態で使用したり、予め食感改質効果のある液体原料を保持させてから生地に使用することにより様々な食感に改質することが可能である。特に後者の場合、従来では大量に添加すると生地の物性を損ねるため少量しか添加できなかった原料を多量に使用することが可能である。本発明の技術は単一の食感を改良するだけの従来方法と比べて、極めて多様なニーズにも対応可能な汎用性の高い技術であり、製菓産業において大いに利用しうることが期待できる。

Claims (3)

  1. 加圧・加熱し、圧力解除することにより膨化させた植物性たん白素材であって、かつ最大粒径2mm未満の微粒状植物性たん白素材を含有する生地を焼成又は油ちょうしてなる菓子。
  2. 該微粒状植物性たん白素材を澱粉性原料に対して1〜25重量%含有する請求項1記載の菓子。
  3. 該微粒状植物性たん白素材に予め液体原料を保持させてから生地に練り込むことを特徴とする請求項1又は2記載の菓子の製造法。
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