JP6427230B1 - 車両用ホイールに対する副気室部材の構成方法および副気室部材情報システム - Google Patents
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Abstract
【課題】開発工数を削減することが可能な車両用ホイールに対する副気室部材の構成方法等を提供する。【解決手段】タイヤ空気室MC内でヘルムホルツレゾネータとしての副気室部材10をウェル部11cの外周面11dに有する車両用ホイール1の副気室部材10の構成方法であって、副気室部材10は、適用する車両用ホイール1のサイズ毎に複数準備され、かつ、各副気室部材10の対応する共鳴周波数はそれぞれ異なり、車両用ホイール1に組み合わせるタイヤ20のサイズに応じて、複数の副気室部材10のうちから、対応する共鳴周波数の副気室部材10を選択するようにした。【選択図】図2
Description
本発明は、車両用ホイールに対する副気室部材の構成方法および副気室部材情報システムに関する。
従来の副気室部材(レゾネータ)の製造では、特定の車種毎に副気室部材(レゾネータ)の設計を行っていた(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、特定の車種毎に副気室部材を設計していたため、開発に多大な工数を要していた。また、車種に応じて副気室部材を適切に知らせるシステムはなかった。
本発明は、前記した従来の課題を解決するものであり、開発工数を削減することが可能な車両用ホイールに対する副気室部材の構成方法等を提供することを目的とする。
本発明の車両用ホイールに対する副気室部材の構成方法は、タイヤ空気室内でヘルムホルツレゾネータとしての副気室部材をウェル部の外周面に有する車両用ホイールの副気室部材の構成方法であって、前記副気室部材は、適用する前記車両用ホイールのサイズ毎に複数準備され、かつ、前記各副気室部材の対応する共鳴周波数はそれぞれ異なり、前記車両用ホイールに組み合わせるタイヤのサイズに応じて、複数の前記副気室部材のうちから、対応する共鳴周波数の前記副気室部材を選択するようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、開発工数を削減することが可能な車両用ホイールに対する副気室部材の構成方法等を提供することができる。
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。まず、副気室部材10を有する車両用ホイール1について図1ないし図3を参照して説明する。図1は、副気室部材が取り付けられた車両用ホイールの一例を示す斜視図、図2は、図1のII−II断面図、図3は、図1の副気室部材の全体斜視図である。
図1に示すように、車両用ホイール1は、ヘルムホルツレゾネータとしての副気室部材10をホイール周方向Xに延在して構成されている。
図1に示すように、車両用ホイール1は、ヘルムホルツレゾネータとしての副気室部材10をホイール周方向Xに延在して構成されている。
また、車両用ホイール1は、リム11と、このリム11をハブ(図示省略)に連結するためのディスク12と、を備えている。副気室部材10は、例えば、リム11におけるウェル部11cの外周面11d上に嵌め込まれて取り付けられる。以下では、リム11について説明した後に、副気室部材10について説明する。
図2には、リム11に組み付けられるタイヤ20を仮想線(二点鎖線)で描いている。ちなみに、このタイヤ20に形成されたビード部21a,21bは、その緊縮力によってタイヤ20をリム11に取り付けるものである。
リム11は、ビード部21a,21bが配置されるビードシート11a,11b同士の間でホイール径方向Zの内側(図2の紙面下側)に向かって凹んだウェル部11cを有している。
ウェル部11cは、胴部11eと、この胴部11eを挟んでホイール幅方向Yに互いに向き合う一対の立ち上がり部S1,S2とで囲まれて形成されている。胴部11eは、ホイール幅方向Yにわたって略同径となる円筒形状を呈している。立ち上がり部S1,S2は、胴部11eの表面、つまりウェル部11cの外周面11dからホイール径方向Zの外側(図2の紙面上側)にそれぞれ立ち上がるように形成されている。
また、ウェル部11cの外周面には、ホイール幅方向Yの略中央に縦壁15が形成されている。この縦壁15は、ホイール周方向X(図1参照)に沿って環状に形成されている。
なお、図2中、符号MCは、タイヤ空気室である。また、符号13は、次に説明する副気室部材10の本体部である。
図3に示すように、副気室部材10は、ホイール周方向Xに長い部材であって、本体部13と、管体18と、縁部14a,14bと、を備えている。また、副気室部材10は、縁部14bが立ち上がり部S2に係止され、縁部14aが縦壁15に係止されている。
本体部13は、外周面11d(図1参照)の周方向の曲率に合わせて湾曲するようにその周方向に長く形成されている。
管体18は、副気室部材10の長手方向(ホイール周方向X)端部であって、副気室部材10における短手方向(ホイール幅方向Y)の一方の側縁に偏って配置されている。具体的には、管体18は、2つの縁部14a,14bのうち一方の縁部14b側寄りに配置されている。
このような管体18の内側には、図3に示すように、連通孔18aが形成されている。この連通孔18aの断面形状は、略矩形を呈している。また、連通孔18aは、タイヤ空気室MC(図2参照)と、副気室部材10の内部に形成された副気室SC(図2参照)とを連通させている。
また、本体部13は、ホイール周方向Xの中間部分において、内側の中空部である副気室SCを二分するように隔壁16が形成されている。管体18は、本体部13のホイール周方向Xの互いに逆側の端部に形成されている。副気室部材10の連通孔18aの間隔は、約90度に設定されている。なお、本実施形態では、連通孔18aを90度の間隔で配置した副気室部材10をウェル部11cに1箇所設ける場合を例に挙げて説明したが、同様の副気室部材10を、車両用ホイール1の回転中心を挟んで反対側に追加して設ける構成であってもよい。
なお、副気室部材10は、樹脂成形品を想定しているがこれに限定されるものではなく金属等の他の材料で形成することもできる。なお、樹脂製の場合は、その軽量化や量産性の向上、製造コストの削減、副気室SCの気密性の確保等を考慮すると、軽量で高剛性のブロー成形可能な樹脂が望ましい。中でも、繰り返しの曲げ疲労にも強いポリプロピレンが特に望ましい。
(第1実施形態)
ところで、副気室部材10を特定の車種毎に設計すると、多大な開発工数を要する課題がある。そこで、本実施形態では、予め準備された複数の副気室部材10から一つの有効な副気室部材を選択して車両用ホイール1に適用することで、開発工数を削減するようにしたものである。以下、第1実施形態に係る車両用ホイール1に対する副気室部材10の構成方法について、図4ないし図6を参照して詳細に説明する。図4(a)は、気柱重心長を模式的に示す図、(b)はタイヤ加振テストによる共鳴音の周波数とホイール振動レベルとの関係を示す図である。図5は、第1実施形態に係る各副気室部材の周波数分布図である。図6は、副気室部材を選択する際のホイールインチサイズと扁平率との関係の一例を示す表である。
ところで、副気室部材10を特定の車種毎に設計すると、多大な開発工数を要する課題がある。そこで、本実施形態では、予め準備された複数の副気室部材10から一つの有効な副気室部材を選択して車両用ホイール1に適用することで、開発工数を削減するようにしたものである。以下、第1実施形態に係る車両用ホイール1に対する副気室部材10の構成方法について、図4ないし図6を参照して詳細に説明する。図4(a)は、気柱重心長を模式的に示す図、(b)はタイヤ加振テストによる共鳴音の周波数とホイール振動レベルとの関係を示す図である。図5は、第1実施形態に係る各副気室部材の周波数分布図である。図6は、副気室部材を選択する際のホイールインチサイズと扁平率との関係の一例を示す表である。
図4(a)に示すように、車両用ホイール1のリム11のリム周長X1は、リム径(直径)D1(図2参照)における周方向の長さである。タイヤ外周長X2は、車輪(車両用ホイール1+タイヤ20)の外径(直径)D2(図2参照)における周方向の長さである。
また、気柱重心長X3は、図4において破線で示すように、タイヤ20の回転中心Oを基準として気柱重心径(半径)R3で回転させたときの周方向1周分の長さである。なお、気柱重心径R3は、近似的に、図2に示すように、タイヤ20の内径D4と、リム11のリム径D1との径方向中間の位置を意味している。なお、リム径D1は、タイヤ20のビード部21a,21bが当接する部分である。
また、周波数は、以下の(式1)によって表すことができる。なお、空気中の音速は、約350m/s(25℃)である。
周波数=音速/波長・・・(式1)
また、気柱共鳴音波長は、以下の(式2)によって表すことができる。
気柱共鳴音波長=気柱重心長・・・(式2)
これら(式1)および(式2)によって、気柱共鳴音周波数(共鳴周波数)は、以下の(式3)によって表すことができる。
気柱共鳴音周波数=音速/気柱重心長・・・(式3)
周波数=音速/波長・・・(式1)
また、気柱共鳴音波長は、以下の(式2)によって表すことができる。
気柱共鳴音波長=気柱重心長・・・(式2)
これら(式1)および(式2)によって、気柱共鳴音周波数(共鳴周波数)は、以下の(式3)によって表すことができる。
気柱共鳴音周波数=音速/気柱重心長・・・(式3)
このように、(式3)から、気柱共鳴音周波数は、気柱重心長X3に基づいて決まるものである。この気柱重心長X3は、気柱重心径R3(図2参照)によって決まるもの、つまりタイヤ20のサイズの一種を示すタイヤの扁平率に基づいて決定される。なお、タイヤの扁平率は、タイヤの高さをH(図2参照)とし、タイヤの断面幅をW(図2参照)としたときに、(H/W)×100(%)で表される。
図4(b)に示すように、タイヤ加振テストでは、例えば、周波数がRf(例えば、220Hz)において、タイヤ空気室MC(図2参照)内において気柱共鳴音が発生する。
図5に示すように、例えば、17インチ(インチサイズ)のホイールの場合、取り得る扁平率は、80%から35%までが一般的である(1インチは、約2.54cmである)。タイヤの扁平率が80%の場合、気柱重心径R3(図4(a)参照)が大きくなるので、気柱重心長X3(図4(a)参照)が長くなる。よって、前記した(式3)において、分母の気柱重心長X3が大きくなることで、気柱共鳴音周波数は低くなる。また、タイヤの扁平率が35%の場合、気柱重心径R3が小さくなるので、気柱重心長X3が短くなる。よって、前記した(式3)において、分母の気柱重心長X3が小さくなることで、気柱共鳴音周波数は高くなる。
このように、気柱重心長X3が決まることで気柱共鳴音周波数が決まるので、17インチの車両用ホイール1で想定される周波数の幅(周波数fa〜fb)が決まる。一つの副気室部材(以下、レゾネータと表記する)の対応周波数(対応可能な共鳴周波数)は、±5Hzと仮定した場合、4パターンのレゾネータ(レゾネータA、レゾネータB、レゾネータC、レゾネータD)を用意(準備)する。これにより、対応する周波数の範囲(fa〜fb)をカバーする(ロードノイズを消音する)ことができる。各レゾネータA〜Dは、それぞれ、対応周波数の中央値において消音効果が最も高く、中央値から前後に離れるにつれて消音効果が低くなるように山型となっている。また、レゾネータAとレゾネータBの対応周波数の間隔S0、レゾネータBとレゾネータCの対応周波数の間隔S0、レゾネータCとレゾネータDの対応周波数の間隔S0は、すべて同じである。換言すると、レゾネータA〜Dの対応周波数は、等間隔S0に設定されている。
また、対応周波数において隣り合うレゾネータ、つまりレゾネータAとレゾネータB、レゾネータBとレゾネータC、レゾネータCとレゾネータDが、対応周波数が少なくとも消音効果のピークを除いて一部で重なるように設定されている。これにより、周波数fa〜fbの全範囲において、効果的な消音に実現できる。
このように、17インチのホイールにおいて、レゾネータA〜Dが設定されている場合、扁平率が図5の点P1のタイヤが選択されたとき、レゾネータAを車両用ホイール1を選択して取り付けることで、気柱共鳴音を低減することができる。また、扁平率が図5の点P2のタイヤが選択されたとき、レゾネータAおよびレゾネータBのうちのいずれか有効なものを選択して取り付けることで、気柱共鳴音を低減することができる。
このように、第1実施形態では、一つのサイズのホイールに対して複数のレゾネータA〜Dを予め準備(製造)しておく。そして、タイヤの扁平率に応じてレゾネータA〜Dのうちから一つのレゾネータを選択する。同様にして、別のサイズのホイールについても、複数のレゾネータを予め準備(製造)しておくことで、選択されたホイールおよびタイヤに基づいて最適なレゾネータを選択する。
図6に示すように、第1実施形態では、各ホイールのインチサイズ毎(ホイールのサイズ毎)に複数のレゾネータを準備する。例えば、ホイールのインチサイズが小さいもの(例えば、13インチ)に対して、扁平率に応じてレゾネータA10,B10,C10,D10を準備する。また、ホイールインチサイズが大きいもの(例えば、22インチ)に対して、扁平率に応じてレゾネータA20,B20,C20,D20を準備する。また、ホイールインチサイズが中間のもの(例えば、17インチ)に対して、扁平率に応じてレゾネータA15,B15,C15,D15を準備する。また、図示省略しているが、その他のホイールインチサイズ(14インチ〜16インチ、18インチ〜21インチ)のものに対して、扁平率に応じて複数のレゾネータを準備する。ちなみに、ホイールのインチサイズが小さくなると共鳴周波数が高くなり、ホイールのインチサイズが大きくなると共鳴周波数が低くなる。
このように、第1実施形態では、ホイールのインチサイズ毎に対応する複数のレゾネータを予め準備しておく。例えば、購入する者に対して、ホイールのインチサイズとタイヤの扁平率を確認することで、図6に示す表からそれに合うレゾネータを選択することができ、カタログ販売が可能になる。例えば、ホイールのインチサイズが17インチで、扁平率が高いホイールに取り付ける場合には、レゾネータD15(図6参照)を選択することができる。
なお、選択したレゾネータD15を車両用ホイール1に取り付ける方法としては、前記した方法に限定されるものではない。例えば、ウェル部11cに縦壁15が形成されていない車両用ホイール1の場合には、レゾネータを幅広に形成して、レゾネータの縁部を立ち上がり部S1,S2に係止させる構成であってもよい。
また、その他の方法としては、レゾネータ(副気室部材10)の材質が合成樹脂製のものであればリム11に接着する構成を採用でき、またレゾネータ(副気室部材10)の材質が金属製のものであればリム11に溶接する構成を採用できる。
以上説明したように、第1実施形態の車両用ホイール1に対するレゾネータの構成方法では、レゾネータA〜Dが車両用ホイール1のサイズ(インチサイズ)毎に複数準備され、かつ、各レゾネータA〜Dの対応する共鳴周波数がそれぞれ異なるように構成されている。また、第1実施形態では、車両用ホイール1に組み合わせるタイヤ20のサイズに応じて、レゾネータA〜D(A10,B10,C10,D10,・・・,A15,B15,C15,D15,・・・,A20,B20,C20,D20)のうちから、対応する共鳴周波数のレゾネータを選択する。図6に示すように、レゾネータA10,B10,C10,D10,・・・,A15,B15,C15,D15,・・・,A20,B20,C20,D20をカタログ品として予め複数準備する。これにより、特定の車種毎に副気室部材(レゾネータ)を設計する必要がなくなるので、開発工数を削減することが可能になる。また、特定の車種だけではなく、様々な車種にレゾネータを適用することが可能になる。
ところで、気柱共鳴音の周波数は、タイヤ20の気柱重心長X3(図4(a)参照)の影響が支配的であり、タイヤ20の気柱重心長X3は、タイヤ20の扁平率の影響が大きい。そこで、第1実施形態では、適用するレゾネータを、車両用ホイール1に組み合わせるタイヤ20の扁平率(タイヤサイズ)に応じて選択するようにしたものである。これにより、レゾネータを効果的に選択すること、換言すると消音効果を実現できるレゾネータを確実に選択することができる。
また、第1実施形態では、各レゾネータA〜Dの対応する共鳴周波数が、それぞれ等間隔S0に設定されている(図5参照)。このように等間隔に設定することで、幅広いタイヤサイズに対して効果的な消音を実現することができる。換言すると、高い扁平率のタイヤから低い扁平率のタイヤまで、消音効果を安定的に発揮することが可能になる(図5参照)。
(第2実施形態)
図7は、第2実施形態に係る各副気室部材の周波数分布図である。
図7に示すように、第2実施形態の車両用ホイール1に対するレゾネータの構成方法では、各レゾネータA〜Dの対応する共鳴周波数は、それぞれ不等間隔に設定されている。すなわち、レゾネータAとレゾネータBの対応周波数(対応する共鳴周波数)の間隔S1が最も長く設定され、レゾネータBとレゾネータCの対応周波数の間隔S2が間隔S1よりも短く設定され、レゾネータCとレゾネータDの対応周波数の間隔S3が間隔S2よりも短く設定されている(S1>S2>S3)。また、対応周波数において隣り合うレゾネータ、つまりレゾネータAとレゾネータB、レゾネータBとレゾネータC、レゾネータCとレゾネータDのそれぞれの対応周波数は、少なくとも消音効果のピークを除いて一部で互いに重なるように設定されている。また、レゾネータCとレゾネータDの重なりが最も大きく設定され、レゾネータAとレゾネータBの重なりが最も小さく設定され、レゾネータBとレゾネータCの重なりがその中間に設定される。
図7は、第2実施形態に係る各副気室部材の周波数分布図である。
図7に示すように、第2実施形態の車両用ホイール1に対するレゾネータの構成方法では、各レゾネータA〜Dの対応する共鳴周波数は、それぞれ不等間隔に設定されている。すなわち、レゾネータAとレゾネータBの対応周波数(対応する共鳴周波数)の間隔S1が最も長く設定され、レゾネータBとレゾネータCの対応周波数の間隔S2が間隔S1よりも短く設定され、レゾネータCとレゾネータDの対応周波数の間隔S3が間隔S2よりも短く設定されている(S1>S2>S3)。また、対応周波数において隣り合うレゾネータ、つまりレゾネータAとレゾネータB、レゾネータBとレゾネータC、レゾネータCとレゾネータDのそれぞれの対応周波数は、少なくとも消音効果のピークを除いて一部で互いに重なるように設定されている。また、レゾネータCとレゾネータDの重なりが最も大きく設定され、レゾネータAとレゾネータBの重なりが最も小さく設定され、レゾネータBとレゾネータCの重なりがその中間に設定される。
ところで、一般に、ホイールのインチサイズに応じて売れ筋のタイヤサイズ(扁平率)が異なっている。そこで、第2実施形態では、各レゾネータA〜Dの対応周波数を不等間隔に設定している(図7参照)。これにより、対応周波数をタイヤの売れ筋に合わせて設定することで、ニーズに合わせた最適な消音効果を提供することができる。
なお、第2実施形態では、レゾネータの対応周波数の間隔を設定する際に、それぞれの間隔S1,S2,S3をすべて異なる間隔にしたが、このような構成に限定されるものではない。例えば、レゾネータAとレゾネータBの対応周波数の間隔がS1に設定され、レゾネータBとレゾネータCの対応周波数の間隔およびレゾネータCとレゾネータDの対応周波数の間隔が同じで、かつ間隔S1よりも短く設定されていてもよい。
(第3実施形態)
図8は、副気室部材を連通孔の位置で切断したときの断面図である。図9は、第3実施形態に係る各副気室部材の周波数分布図である。
ところで、レゾネータのばらつき要素として、図8に示すように、レゾネータ(副気室部材10)における樹脂の厚みTのばらつきが問題となる。樹脂の厚みTは、連通孔18aの開口部断面積Sに影響を与える。すなわち、樹脂の厚みTが薄くなれば連通孔18aの開口部断面積Sが大きくなり、樹脂の厚みTが厚くなれば連通孔18aの開口部断面積Sが小さくなる。
図8は、副気室部材を連通孔の位置で切断したときの断面図である。図9は、第3実施形態に係る各副気室部材の周波数分布図である。
ところで、レゾネータのばらつき要素として、図8に示すように、レゾネータ(副気室部材10)における樹脂の厚みTのばらつきが問題となる。樹脂の厚みTは、連通孔18aの開口部断面積Sに影響を与える。すなわち、樹脂の厚みTが薄くなれば連通孔18aの開口部断面積Sが大きくなり、樹脂の厚みTが厚くなれば連通孔18aの開口部断面積Sが小さくなる。
また、連通孔18aの長さLは、次の(式4)で示されるヘルムホルツレゾネータの共鳴周波数f0を求める式を満たすように設定される。
f0=C/2π×√(S/V(L+α×√S))・・・(式4)
f0(Hz):共鳴周波数
C(m/s):副気室SC内部の音速(=タイヤ空気室MC内部の音速)
V(m3):副気室SCの容積
L(m):連通孔18aの長さ
S(m2):連通孔18aの開口部断面積
α:補正係数
なお、前記共鳴周波数f0は、タイヤ空気室MCの共鳴周波数に合わせられる。
f0=C/2π×√(S/V(L+α×√S))・・・(式4)
f0(Hz):共鳴周波数
C(m/s):副気室SC内部の音速(=タイヤ空気室MC内部の音速)
V(m3):副気室SCの容積
L(m):連通孔18aの長さ
S(m2):連通孔18aの開口部断面積
α:補正係数
なお、前記共鳴周波数f0は、タイヤ空気室MCの共鳴周波数に合わせられる。
前記した(式4)によって、開口部断面積Sが大きい場合には、厚みT(図8参照)のばらつきによる断面積の変動割合が小さくなる。逆に、開口部断面積Sが小さい場合には、厚みT(図8参照)のばらつきによる断面積の変動割合が大きくなる。そこで、第3実施形態の車両用ホイール1に対するレゾネータの構成方法では、図9に示すように、ばらつきが大きくなる側つまり対応周波数において低周波側のレゾネータの間隔が、高周波側の間隔よりも狭くなるように構成したものである。すなわち、レゾネータAとレゾネータBの対応周波数の間隔S4が最も短く設定され、レゾネータBとレゾネータCの対応周波数の間隔S5が間隔S4よりも長く設定され、レゾネータCとレゾネータDの対応周波数の間隔S6が間隔S5よりも長く設定されている(S4<S5<S6)。
このように第3実施形態では、各レゾネータA〜Dの対応する共鳴周波数の間隔を、高周波側の間隔S6に比べて低周波側の間隔S4の方を狭く設定したものである。このようにレゾネータの製品ばらつきに応じて、対応周波数を設定することで、タイヤサイズ毎の消音不足を抑制することができる。
(第4実施形態)
図10は、第4実施形態における各副気室部材の周波数分布図である。
図10に示すように、第4実施形態では、第3実施形態とは逆に、あえて、ばらつきが小さい側(高周波側)の対応周波数の間隔S9を、ばらつきの大きい側(低周波側)の間隔S7に比べて狭く設定したものである。すなわち、レゾネータAとレゾネータBの対応周波数の間隔S7が最も長く設定され、レゾネータBとレゾネータCの対応周波数の間隔S8が間隔S7よりも短く設定され、レゾネータCとレゾネータDの対応周波数の間隔S9が間隔S8よりも短く設定されている(S9<S8<S7)。
図10は、第4実施形態における各副気室部材の周波数分布図である。
図10に示すように、第4実施形態では、第3実施形態とは逆に、あえて、ばらつきが小さい側(高周波側)の対応周波数の間隔S9を、ばらつきの大きい側(低周波側)の間隔S7に比べて狭く設定したものである。すなわち、レゾネータAとレゾネータBの対応周波数の間隔S7が最も長く設定され、レゾネータBとレゾネータCの対応周波数の間隔S8が間隔S7よりも短く設定され、レゾネータCとレゾネータDの対応周波数の間隔S9が間隔S8よりも短く設定されている(S9<S8<S7)。
このように第4実施形態では、各レゾネータA〜Dの対応する共鳴周波数の間隔を、低周波側の間隔S7に比べて高周波側の間隔S9の方を狭く設定したものである。これによれば、ばらつきの少ない側(高周波側)においてより高い消音効果を発揮することができる。
なお、第1実施形態ないし第4実施形態では、図1に示す副気室部材10に適用する場合を例に挙げて説明したが、このような副気室部材に限定されるものではなく、例えば、図11に示す副気室部材10Aに適用してもよい。図11は、他の副気室部材が取り付けられた車両用ホイールを示す斜視図である。
図11に示すように、車両用ホイール1Aは、ヘルムホルツレゾネータとしての副気室部材10Aをホイール周方向Xに複数備えている。図11においては、作図の便宜上、副気室部材10aおよび副気室部材10bの2つのみを記載しているが、車両用ホイール1Aは、ホイール周方向Xに4つの副気室部材10a,10b,・・・を備えている。副気室部材10a,10b,・・・は、それぞれ、一つの副気室を有している。また、副気室部材10a,10bは、ホイール周方向Xの中央において、ホイール幅方向Y(縦壁15側)に向けて突出する管体18を有している。また、4つの管体18は、ホイール周方向Xに90度おきに配置されている。
ところで、タイヤの気柱共鳴音の共鳴周波数に合わせてヘルムホルツレゾネータを設定するのが一般的であるが、タイヤの気柱共鳴音の共鳴周波数よりも低い共鳴周波数の第1のヘルムホルツレゾネータの連通孔18aと、タイヤの気柱共鳴音の共鳴周波数よりも高い共鳴周波数の第2のヘルムホルツレゾネータの連通孔18aとを2組備えてもよい。その場合、車両用ホイール1Aは、一方の組の第1のヘルムホルツレゾネータの連通孔18aと、第2のヘルムホルツレゾネータの連通孔とをホイール回転中心を通って結ぶ直線と、他方の組の第1のヘルムホルツレゾネータの連通孔と、第2のヘルムホルツレゾネータの連通孔18aとをホイール回転中心を通って結ぶ直線とが互いに直交している。
また、副気室部材10Aのホイール幅方向Yの一方の縁部は、縦壁15に係止される。また、縦壁15には、副気室部材10Aが係止される際に管体18が嵌入される切欠き部15aが形成されている。
なお、車両用ホイール1Aでは、副気室部材10Aがホイール周方向Xに沿って4箇所に形成される場合を例に挙げて説明したが、連通孔18aの間隔が約90度となるように、副気室部材10Aを2箇所に設ける構成であってもよい。
(副気室部材情報システム)
図12は、本発明の実施形態に係る副気室部材情報システムの構成図である。
図12に示すように、本実施形態の副気室部材情報システムSA(タイヤ・ホイール通販サイト)は、情報処理装置100と、副気室部材データベース(以下、副気室部材DBと表記する)150と、によって構成されている。この副気室部材情報システムSAは、タイヤとホイールを通販するサイトに適用されるものである。このような通販サイトをターゲットとして、タイヤのサイズとホイールのサイズが決まると、副気室部材10が決まるというシステムである。タイヤ・ホイール通販サイトでは、前記した車両用ホイール1に対する副気室部材10の構成方法によって、車両用ホイール1のサイズ(インチサイズ)毎に、複数の副気室部材(レゾネータ)が準備されている。
図12は、本発明の実施形態に係る副気室部材情報システムの構成図である。
図12に示すように、本実施形態の副気室部材情報システムSA(タイヤ・ホイール通販サイト)は、情報処理装置100と、副気室部材データベース(以下、副気室部材DBと表記する)150と、によって構成されている。この副気室部材情報システムSAは、タイヤとホイールを通販するサイトに適用されるものである。このような通販サイトをターゲットとして、タイヤのサイズとホイールのサイズが決まると、副気室部材10が決まるというシステムである。タイヤ・ホイール通販サイトでは、前記した車両用ホイール1に対する副気室部材10の構成方法によって、車両用ホイール1のサイズ(インチサイズ)毎に、複数の副気室部材(レゾネータ)が準備されている。
副気室部材DB150は、車両用ホイール1(図1,2参照)のインチサイズ(サイズ)と、車両用ホイール1(図2参照)に組合わせるタイヤ20のサイズとに対応付けて、車両用ホイール1に適用されてロードノイズを消音する副気室部材10(レゾネータ)の情報が記憶されている。例えば、副気室部材DB150は、図6で示したように、車両用ホイール1のインチサイズとタイヤ20の扁平率(サイズ)とが対応付けられたデータが記憶されている。なお、1インチは、約2.54cmである。
情報処理装置100は、プロセッサ、記憶装置、メモリ、入出力インタフェース(いずれも図示せず)を備え、通信ネットワークNを介して通信を行うものである。また、情報処理装置100は、入力受付け部101と、情報出力部102とを備えて構成されている。
入力受付け部101は、車両用ホイール1のインチサイズ(サイズ)と車両用ホイール1に組合わせるタイヤ20の扁平率(サイズ)との入力情報を、通信ネットワークNを介して端末200から受付けるものである。なお、端末200は、パーソナルコンピュータ、携帯電話、移動携帯情報端末など様々な入出力装置によって構成される。
情報出力部102は、入力受付け部101で受付けた車両用ホイール1のインチサイズとタイヤ20の扁平率(サイズ)とに基づいて、副気室部材DB150から車両用ホイール1に適用される副気室部材10(レゾネータ)の情報を取得して、端末200に通信ネットワークNを介して出力して表示させるものである。
なお、図10では、情報処理装置100と副気室部材DB150とが別体で構成された場合を示しているが、一体で構成されていてもよい。
このように構成された副気室部材情報システムSAでは、ユーザがタイヤ20のサイズ(扁平率)と、車両用ホイール1のサイズ(インチサイズ)とを入力することで、ユーザの車輪(タイヤ+ホイール)に適合したレゾネータを容易に選択することができる。
図13は、本発明の実施形態に係る副気室部材情報システムの他の構成図である。なお、図13の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して重複した説明を省略する。
図13に示すように、副気室部材情報システムSB(タイヤ・ホイール通販サイト)は、図12の副気室部材情報システムSAに、車種・ホイールデータベース160(以下、車種・ホイールDBとする)を追加した構成である。
図13に示すように、副気室部材情報システムSB(タイヤ・ホイール通販サイト)は、図12の副気室部材情報システムSAに、車種・ホイールデータベース160(以下、車種・ホイールDBとする)を追加した構成である。
車種・ホイールDB160は、車両用ホイール1のインチサイズ(サイズ)と、車種とを対応付けた情報が記憶されている。これは、車種が決まることでホイールのサイズも決まるからである。なお、車種とは、例えば、車個別の名前である。
情報処理装置100は、車種の入力を端末200から受付けると、受付けた車種に基づいて車種・ホイールDB160から、車両用ホイール1のインチサイズ(サイズ)を算出する(ホイールサイズ算出部)。すなわち、情報処理装置100の入力受付け部101は、端末200から通信ネットワークNを介して車種の入力を受付けると、車種・ホイールDB160から受付けた車種に対応した車両用ホイール1のサイズを取得する。
そして、情報処理装置100は、取得した車両用ホイール1のサイズを端末200に出力(表示)する。そして、端末200からタイヤ20のサイズ(扁平率)が入力された場合には、取得した車両用ホイール1のサイズと、入力されたタイヤ20のサイズとに基づいて、副気室部材DB150から適用可能な(ロードノイズを消音できる)副気室部材10(レゾネータ)の情報を取得して、端末200に通信ネットワークNを介して出力(画面表示)する。
このように構成された副気室部材情報システムSBでは、車種のみによって車両用ホイール1のサイズを算出できるので、車両用ホイール1のサイズの算出が容易になり、副気室部材10(レゾネータ)の選択が容易になる。
なお、前記した実施形態では車種のみから車両用ホイール1のサイズを算出した場合を例に挙げて説明したが、このような構成に限定されるものではない。例えば、端末200から車両用ホイール1のサイズと車種とを入力して、車種・ホイールDB160から車両用ホイール1のサイズを算出するようにしてもよい。この場合、入力した車両用ホイール1のサイズと、車種から算出した車両用ホイール1のサイズとが異なるとき、車種から算出した車両用ホイール1のサイズを採用して、端末200から入力した車両用ホイール1のサイズを無視して(切り捨てて)、端末200に出力(表示)する。
なお、入力した車両用ホイール1のサイズと、車種から算出した車両用ホイール1のサイズとが異なるとき、端末200に、互いのサイズが不一致であることを出力(表示)するようにしてもよい。
なお、前記した実施形態では、副気室部材DB150と車種・ホイールDB160とが通信ネットワークNを介して別個に構成された場合を例に挙げて説明したが、副気室部材DB150に車種・ホイールDB160が組み込まれた構成であってもよい。
以上、本実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。例えば、前記した各実施形態では、ホイールのインチサイズ毎に4パターンのレゾネータA〜Dを予め準備した場合を例に挙げて説明したが、4パターンに限定されるものではなく、5パターン以上のレゾネータを準備してもよく、3パターン以下のレゾネータを準備してもよい。
1,1A 車両用ホイール
10,10A 副気室部材(レゾネータ)
11 リム
11a ビードシート
11c ウェル部
11d 外周面
12 ディスク
13 本体部
18a 連通孔
100 情報処理装置
101 入力受付け部
102 情報出力部
150 副気室部材データベース
160 車種・ホイールデータベース
200 端末
X ホイール周方向
Y ホイール幅方向
Z ホイール径方向
SC 副気室
MC タイヤ空気室
S1 立上がり部
S2 立上がり部
SA,SB 副気室部材情報サイト
N 通信ネットワーク
10,10A 副気室部材(レゾネータ)
11 リム
11a ビードシート
11c ウェル部
11d 外周面
12 ディスク
13 本体部
18a 連通孔
100 情報処理装置
101 入力受付け部
102 情報出力部
150 副気室部材データベース
160 車種・ホイールデータベース
200 端末
X ホイール周方向
Y ホイール幅方向
Z ホイール径方向
SC 副気室
MC タイヤ空気室
S1 立上がり部
S2 立上がり部
SA,SB 副気室部材情報サイト
N 通信ネットワーク
Claims (8)
- タイヤ空気室内でヘルムホルツレゾネータとしての副気室部材をウェル部の外周面に有する車両用ホイールの副気室部材の構成方法であって、
前記副気室部材は、適用する前記車両用ホイールのサイズ毎に複数準備され、かつ、前記各副気室部材の対応する共鳴周波数はそれぞれ異なり、
前記車両用ホイールに組み合わせるタイヤのサイズに応じて、複数の前記副気室部材のうちから、対応する共鳴周波数の前記副気室部材を選択するようにしたことを特徴とする車両用ホイールに対する副気室部材の構成方法。 - 対応する共鳴周波数の前記副気室部材は、前記車両用ホイールに組み合わせるタイヤの扁平率に応じて選択するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の車両用ホイールに対する副気室部材の構成方法。
- 前記各副気室部材の対応する共鳴周波数は、それぞれ等間隔に設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用ホイールに対する副気室部材の構成方法。
- 前記各副気室部材の対応する共鳴周波数は、それぞれ不等間隔に設定されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用ホイールに対する副気室部材の構成方法。
- 前記各副気室部材の対応する共鳴周波数の間隔は、高周波側の間隔に比べて低周波側の間隔の方が狭いことを特徴とする請求項4に記載の車両用ホイールに対する副気室部材の構成方法。
- 前記各副気室部材の対応する共鳴周波数の間隔は、低周波側の間隔に比べて高周波側の間隔の方が狭いことを特徴とする請求項4に記載の車両用ホイールに対する副気室部材の構成方法。
- 車両用ホイールのサイズと前記車両用ホイールに組み合わせるタイヤのサイズとに対応付けて、前記車両用ホイールに適用されてロードノイズを消音する副気室部材の情報が記憶された副気室部材データベースと、
前記車両用ホイールのサイズと前記タイヤのサイズとの入力を、通信ネットワークを介して端末から受付ける入力受付け部と、
前記入力受付け部から受付けた前記車両用ホイールのサイズと前記タイヤのサイズとに基づいて、前記副気室部材データベースから前記車両用ホイールに適用される前記副気室部材の情報を取得して、前記端末に前記通信ネットワークを介して出力して表示させる情報出力部とを、有することを特徴とする副気室部材情報システム。 - 前記車両用ホイールのサイズと車種を対応付けた車種・ホイールデータベースを有し、
前記車両用ホイールのサイズに替えて又は前記車両用ホイールのサイズとあわせて、前記車種の入力を前記端末から受付け、前記受付けた車種に基づいて前記車種・ホイールデータベースから、前記車両用ホイールのサイズを算出することを特徴とする請求項7に記載の副気室部材情報システム。
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