JP2009248848A - 車両用ホイール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】タイヤ空気室内で副気室部材13をウェル部11cの外周面11d上に固定した車両用ホイールであって、ウェル部11cの外周面11dから径方向外側に立ち上がり、外周面11dの周方向に延びるように形成される第1の縦壁面15と、第1の縦壁面15と対向するようにウェル部11cに形成される第2の縦壁面16とを備え、副気室部材13の底板25a及び上板25bのうちの少なくとも一方には第1の縦壁面15と第2の縦壁面16とに交差する方向にビード31が形成されていることを特徴とする。
【選択図】図3
Description
本実施形態に係る車両用ホイールは、ウェル部に副気室部材(ヘルムホルツ・レゾネータ)を嵌め込んで固定したことを主な特徴としている。ここでは、先ず車両用ホイールの全体構成について説明した後に、副気室部材の構成について説明する。
ここで参照する図面において、図1は、本実施形態に係る車両用ホイールの斜視図である。図2は、図1の車両用ホイールにタイヤを装着した車輪の要部正面断面図である。図3は、図2中に示したウェル部を部分的に拡大した図である。
このウェル部11cの外周面には、リム11の周方向に延びるように環状の縦壁14が立設されている。
この縦壁14は、図3に示すように、ウェル部11cの外周面11dからホイール径方向Zの外側(図3の紙面上側、以下同じ)に立ち上がる第1の縦壁面15を形成するように外周面11dに立設されている。
また、ウェル部11cのホイール幅方向Yの内側(図3の紙面右側、以下同じ)に形成される側面部11eには、第1の縦壁面15と対向するように第2の縦壁面16が設けられている。なお、本実施形態での縦壁14は、リム11を鋳造する際にウェル部11cと一体に成形される。
次に、副気室部材13について説明する。ここで参照する図面において、図4は、副気室部材の配置位置を示す車両用ホイールの側面断面図である。図5は、副気室部材の全体斜視図である。図6(a)は、副気室部材の平面図であり、副気室部材の上板の一部を切欠いて示した図、図6(b)は、図6(a)のVIb−VIb断面図である。図7(a)は、副気室部材の突出部(管部材)を図3のVIIa方向から見た斜視図、図7(b)は、図6(a)のVIIb−VIIb断面図、図7(c)は、副気室部材の仮止め爪を図5のVIIc方向から見た斜視図である。なお、図6(a)において、上板で隠れた底板のビード及び結合部は仮想線で示している。
副気室部材13は、図5に示すように、ホイール周方向Xに長い部材であって、本体部13aと、突出部18と、縁部13eとを備えている。そして、副気室部材13は、長手方向に沿って湾曲しており、図4に示すように、ウェル部11cの外周面11dに沿うように配置されている。
前記した本体部13aは、図6(a)及び(b)に示すように、底板25aと、この底板25aとの間に後記する副気室SC(図4参照)を形成する上板25bとを備えている。なお、本実施形態での底板25a及び上板25bのそれぞれは、同じ厚さとなっているが、これらの厚さは相互に異なっていても良い。
結合部33は、図6(b)に示すように、底板25aが上板25b側に向かって局部的に凹んだ有底円筒状に形成されたものであって、その底部側が上板25bと接合している。つまり、結合部33は、底板25aと上板25bとを部分的に結合している。
本実施形態での結合部33は、図6(a)に示すように、本体部13aのホイール幅方向Yの中程でホイール周方向Xに沿って並ぶように配置されている。ちなみに、突出部18の近傍に配置される結合部33は、後記するようにホイール幅方向Yに並んで2つ配置されている。
ちなみに、このような結合部33及び前記したビード31が形成される底板25a(図3参照)は、後記するように、第1の縦壁面15側及び第2の縦壁面16側に延出する縁部13eと一体になってウェル部11cの外周面11d側に凸となる湾曲面を形成している。
前記した突出部18は、図1に示す車両用ホイール10が回転した際に副気室部材13の回り止めをより確実に行うものである。
この突出部18は、図6(a)に示すように、ホイール周方向X(車両用ホイール10(図1参照)の回転方向)と交差する方向に本体部13aから突出している。
更に詳しく説明すると、この突出部18は、図7(a)に示すように、本体部13aの上板25bの根元部18aから縦壁14側に延びている。
そして、突出部18の先端部は、縦壁14に形成された切欠き部14aに嵌り込んでいる。なお、本実施形態での切欠き部14aは、リム11(図1参照)を鋳造する際に縦壁14と同時に形成されるか、又は縦壁14に機械加工を施して形成される。
f0(Hz):共鳴周波数
C(m/s):副気室SC内部の音速(=タイヤ空気室MC内部の音速)
V(m3):副気室SCの容積
L(m):連通孔13bの長さ
S(m2):連通孔13bの開口部断面積
α:補正係数
なお、前記共鳴周波数f0は、タイヤ空気室MCの共鳴周波数に合わせられる。この際、図4に示す4つの副気室部材13の共鳴周波数f0は、全て同じに設定しても良いし、違えても良い。具体的には、タイヤ空気室MC(図2参照)の共鳴周波数に2つの共鳴周波数(f1,f2)が認められる場合に、4つの副気室部材13の共鳴周波数f0を(f1+f2)/2に設定することができる。また、リム中心を挟んで対向する1対の副気室部材13の共鳴周波数f0をf1に設定し、他の1対の副気室部材13の共鳴周波数f0をf2に設定することもできる。更に4つの副気室部材13の全ての共鳴周波数f0をf1、f2のいずれか一方に設定しても良い。
前記した縁部13eは、図5に示すように、本体部13aからその周囲に延出する板状体で形成されている。更に詳しく説明すると、縁部13eは、図3及び図6(b)に示すように、底板25aと上板25bとを結合している。そして、縁部13eは、図6(a)に示すように、本体部13aからホイール周方向Xに延出すると共に、ホイール幅方向Yに延出してその先端部が第1の縦壁面15及び第2の縦壁面16の溝部17(図3参照)に嵌り込んでいる。
なお、本体部13aからホイール幅方向Yに延出する縁部13eは、特許請求の範囲にいう「縁部」に相当する。
そして、第1の縦壁面15側及び第2の縦壁面16側に延出する縁部13eは、前記したように、湾曲する底板25aと一体になってウェル部11cの外周面11d側に凸となる湾曲面を形成している(図3参照)。
このような本実施形態での縁部13eの厚さは、底板25a及び上板25bの厚さと同じ厚さに設定されている。なお、本実施形態での縁部13eは、その厚さや樹脂材料を適宜に選択することでバネ弾性を有している。
仮止め爪13fは、図6(a)に示すように、縁部13eのホイール周方向Xの両端にそれぞれ設けられている。そして、仮止め爪13fは、突出部18の反対側、つまり、第2の縦壁面16側に設けられている。
本実施形態での仮止め爪13fは、図7(c)に示すように、縁部13eのエッジ13gに設けられた折り曲げ切片で構成されており、エッジ13gからホイール径方向の内側Z1に鉤状に屈曲する支持片T1と、この支持片T1からホイール周方向の外側X1に張り出すと共に、第2の縦壁面16(図6(a)参照)に向かう側Y1に延出する係止片T2とで形成されている。
この組み付け方法では、図8(a)に示すように、先ず副気室部材13の突出部18側の縁部13eが第1の縦壁面15の溝部17に嵌め込まれる。この際、突出部18は、縦壁14の切欠き部14aに嵌め込まれる。
次に、図8(b)に示すように、副気室部材13のウェル部11cの外周面11d側が、より凸となるように副気室部材13を撓ませながら、仮止め爪13fの係止片T2が第2の縦壁面16の溝部17に嵌め込まれて係止される。その結果、副気室部材13は、ウェル部11cに対して仮組みされる。そして、仮組みされた副気室部材13がウェル部11cの外周面11d側に押圧されると、第2の縦壁面16側に位置する縁部13eは、図3に示すように、第2の縦壁面16の溝部17に嵌め込まれる。その結果、ウェル部11cに対する副気室部材13の本組み、つまりウェル部11cに対する副気室部材13の固定が完了する。
本実施形態における車両用ホイール10は、従来の車両用ホイール(例えば、特許文献1参照)のようにリムに複数の隔壁や蓋部材を順次に組み付けて気密性を考慮しながら高精度にこれらを結合させて副気室を形成していくものと異なって、予め副気室SCを有する副気室部材13をリム11(ウェル部11c)に嵌め込むだけで製造される。したがって、車両用ホイール10は、前記した特許文献1に示された従来の車両用ホイールと比較して、製造工数や製造コストを削減することができ、量産性を向上させることができる。また、車両用ホイール10は、従来の車両用ホイールと異なって、副気室SCの気密性の確保に対する特別な配慮も不要であるため、消音性能の品質を安定させることができる。
そして、副気室部材13が樹脂で形成されているので、車両用ホイール10は従来の車両用ホイール(例えば、特許文献1参照)と比較して、より軽量化を図ることができる。また、副気室部材13がブロー成形等で形成することができるので、車両用ホイール10は従来の車両用ホイール(例えば、特許文献1参照)と比較して、より量産性に優れる。
また、この車両用ホイール10では、図3に示すように、副気室SCがホイール径方向Zに薄い扁平形状となっているので、リム中心から副気室部材13の最大径D1を小さくしながらも、副気室SCの所定の容積を確保することができる。
また、このような副気室部材13のウェル部11cに対する本組みに先立って、副気室部材13は、仮止め爪13fを介してウェル部11cに仮組みすることができる。したがって、一旦仮組みすることで位置決めした副気室部材13を、取付治具、プレス機等の機械力を使用して本組みすることができるので、ウェル部11cに対する副気室部材13の組み付け容易性及び位置決めの正確性が向上する。
このような副気室部材13cは、遠心力F1(図9(a)参照)が生じた際に、延設方向Ed2のビードが底板25aの折れ線部として作用することで遠心力F1に対する底板25aの曲げ剛性が不十分となる。その結果、この副気室部材13cを備える車両用ホイールでは、車速200km/hを超えるような高速回転で生じた遠心力F1に抗しきれずに副気室部材13cが変形してウェル部11cから脱落するおそれがある。
また、本実施形態に係る車両用ホイール10は、前記したように底板25aの面剛性がビード31で高められるので、このビード31が形成されていないものよりも底板25aの厚さを低減することができる。その結果、この車両用ホイール10は、底板25aにビード31が形成されていないものよりも軽量化を図ることができる。
そして、この車両用ホイール10は、副気室SCの容積の変動を効果的に抑制することができるので、上板25bが平坦なものよりも上板25bの厚さを低減することができる。その結果、この車両用ホイール10は、上板25bが平坦なものよりも軽量化を図ることができる。
そして、突出部18の内側には、連通孔13bが形成されているので、突出部18と別途に連通孔13bを形成するための部材を設けなくてもよく、車両用ホイール10は、その構造が簡素化されて更なる軽量化を図ることができる。
ちなみに、図10(b)中、符号13eは、縁部であり、符号33は、結合部であり、符号SCは、副気室である。
なお、図10(a)及び(b)に示す副気室部材13の結合部33は、前記実施形態での結合部33と同様に、底板25aが上板25b側に向かって局部的に凹んで形成されたものである。
図11(b)に示す副気室部材13は、上板25bが底板25a側に有底円筒状に凹んで結合部33を形成している。
なお、図11(a)及び(b)において、符号31は、ビードであり、このビード31は、前記実施形態でのビード31と同様に、底板25aに形成されている。
ちなみに、結合部33は、ホイール幅方向Y(図6(a)参照)に複数列が並ぶように配置されていても良い。
したがって、ここでの他の実施形態に係る車両用ホイール10では、副気室部材13を固定するウェル部11cの外周面11dが、前記実施形態に係る車両用ホイール10と比較して、更にホイール径方向の内側に形成されることとなる。
その結果、この他の実施形態に係る車両用ホイール10は、ウェル部11cの外周面11dの周長が短くなるので、更に軽量化を図ることができる。そして、この車両用ホイール10では、前記実施形態での車両用ホイール10と比較して、副気室部材13が、ビードシート部11aから離れるように、更にホイール径方向の内側にシフトすることとなるので、タイヤ20の組み付け性能が更に向上する。
図13(a)に示す車両用ホイール10は、副気室部材13をウェル部11cの周面に沿って等間隔に2つ配置している。
図13(b)に示す車両用ホイール10は、副気室部材13をウェル部11cの周面に沿って等間隔に3つ配置している。
この底板25aには、第1のビード31aが形成された部分を除く地の部分に凹凸形状構造32が形成されている。
ちなみに、この凹凸形状構造32は、図15(a)に示すように、同じ径の球面32aが連なって形成されており、1つの球面32aの周囲に6つの球面32aが配置される最密充填構造様のものが望ましい。なお、ここでの凹凸形状構造32を構成する凸部は球面32aに限定されるものではなく、例えば、突出したその外形が球面以外の他の立体形状となるものであっても良い。具体的には、凸部は有底の筒体であってもよく、この筒体の平面形状は円形であっても多角形であっても良い。そして、凸部の配置も前記した最密充填構造様に限定されるものではない。ちなみに、筒体からなる凸部、特に側面視で矩形となるものは、隣接する凸部同士をラップさせてはならず、隣接する凸部同士で凹凸が形成されるように配置される。
また、このような凹凸形状構造32は、底板25a及び上板25bのいずれか一方に前記したビード31が形成されていれば、その他方となる底板25a又は上板25bには、凹凸形状構造32のみが形成されていても良い。
11c ウェル部
11d ウェル部の外周面
13 副気室部材
13a 本体部
13e 縁部
14 縦壁
15 第1の縦壁面
16 第2の縦壁面
17 溝部
18 突出部
25a 底板
25b 上板
31 ビード
31a 第1のビード
31b 第2のビード
31c 第2のビード
32 凹凸形状構造
32a 球面(凸部)
33 結合部
MC タイヤ空気室
SC 副気室
Claims (5)
- タイヤ空気室内で副気室部材をウェル部の外周面上に固定した車両用ホイールであって、
前記ウェル部の前記外周面から径方向外側に立ち上がり、前記外周面の周方向に延びるように形成される第1の縦壁面と、
前記第1の縦壁面と対向するように前記ウェル部に形成される第2の縦壁面と、
を備え、
前記副気室部材は、
樹脂で形成され、
前記ウェル部の前記外周面側の底板と、この底板との間で副気室を形成する上板と、前記副気室と前記タイヤ空気室を連通する連通孔と、からなる本体部と、
前記底板と前記上板とを結合すると共に、前記本体部から前記第1の縦壁面と前記第2の縦壁面に延出して、前記第1の縦壁面と前記第2の縦壁面のそれぞれに形成された溝部に係止される縁部と、
を有し、
前記底板及び前記上板のうちの少なくとも一方には前記副気室部材の平面視で前記第1の縦壁面と前記第2の縦壁面とに交差する方向にビードが形成されていることを特徴とする車両用ホイール。 - タイヤ空気室内で副気室部材をウェル部の外周面上に固定した車両用ホイールであって、
前記ウェル部の外周面から径方向外側に立ち上がり、前記外周面の周方向に延びるように形成される第1の縦壁面と、
前記第1の縦壁面と対向するように前記ウェル部に形成される第2の縦壁面と、
を備え、
前記副気室部材は、
樹脂で形成され、
前記ウェル部の前記外周面側の底板と、この底板との間で副気室を形成する上板と、前記副気室と前記タイヤ空気室を連通する連通孔と、からなる本体部と、
前記底板と前記上板とを結合すると共に、前記本体部から前記第1の縦壁面と前記第2の縦壁面に延出して、前記第1の縦壁面と前記第2の縦壁面のそれぞれに形成された溝部に係止される縁部と、
を有し、
前記底板及び前記上板のうちの少なくとも一方には前記第1の縦壁面と前記第2の縦壁面とに直交する方向にビードが形成されていることを特徴とする車両用ホイール。 - タイヤ空気室内で副気室部材をウェル部の外周面上に固定した車両用ホイールであって、
前記ウェル部の前記外周面から径方向外側に立ち上がり、前記外周面の周方向に延びるように形成される第1の縦壁面と、
前記第1の縦壁面と対向するように前記ウェル部に形成される第2の縦壁面と、
を備え、
前記副気室部材は、
樹脂で形成され、
前記ウェル部の前記外周面側の底板と、この底板との間で副気室を形成する上板と、前記副気室と前記タイヤ空気室を連通する連通孔と、からなる本体部と、
前記底板と前記上板とを結合すると共に、前記本体部から前記第1の縦壁面と前記第2の縦壁面に延出して、前記第1の縦壁面と前記第2の縦壁面のそれぞれに形成された溝部に係止される縁部と、
を有し、
前記底板及び前記上板のうちの少なくとも一方には前記第1の縦壁面と前記第2の縦壁面とに斜交する方向にビードが形成されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用ホイール。 - 前記副気室部材は、前記底板及び前記上板のうち少なくとも一方が前記副気室側に凹むように形成されて、前記底板と前記上板とを部分的に結合する結合部を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用ホイール。
- 前記底板及び前記上板のうち少なくとも一方には、前記副気室の外側へ突出する多数の凸部がその板面の全体にわたって形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両用ホイール。
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