JP2015174498A - 車両用ホイール - Google Patents
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Abstract
Description
また、前記の縦壁を省略してウェル部の両方の立上り部の間に副気室部材を嵌め込む構成では、タイヤのビード落しに使用されるスペース(ビード落し部)が消失してリムに対するタイヤの組付けが困難となる。
そこで、ウェル部の両方の立上り部の間に副気室部材を嵌め込むとともに、この副気室部材の上側(ホイール径方向の外側)の一部の領域を凹ませてビード落し部を形成することも考えられる。
しかしながら、このような副気室部材がウェル部に取り付けられると、ホイールが高速回転した際に、生じた遠心力がビード落し部(凹み)の段差部分に集中する。そのため、この段差部分を起点に副気室部材が変形するおそれがある。
したがって、ビード落し部を有してタイヤの組付け性を良好にし、遠心力が加わった際の変形を確実に防止する副気室部材を備える車両用ホイールが望まれている。
また、この車両用ホイールは、第1領域と第2領域とは接続領域に結合部を設けて上板と底板とが一体になるように結合している。これにより第1領域と第2領域との境界領域が結合部により補強されて剛性が高まる。よって、この車両用ホイールによれば、遠心力による副気室部材の変形が防止される。
このような車両用ホイールによれば、接続領域のうち、本体部に遠心力が加わった際に、内部応力が集中しやすい接続領域と裾領域との境界寄りに偏倚した位置に結合部が設けられるので、より一層副気室部材の剛性が高められる。よって、この車両用ホイールによれば、遠心力による副気室部材の変形がより確実に防止される。
図1は、本発明の実施形態に係る車両用ホイール1の斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の車両用ホイール1は、ヘルムホルツレゾネータとしての副気室部材10をホイール周方向Xに等間隔に複数有するものである。ちなみに、本実施形態では、4つの副気室部材10を有するものを想定している。
以下では、リム11について説明した後に、副気室部材10について説明する。
図2は、図1のII−II断面における部分拡大断面図である。なお、図2には、リム11に組み付けられるタイヤ20のビード部21a,21b近傍を部分的に仮想線(二点鎖線)で描いている。ちなみに、このビード部21a,21bは、その緊縮力によってタイヤ20をリム11に取り付けるものである。このビード部21a,21bは、後記するビード30とは構成上の関連性がない。
リム11は、ビード部21a,21bが配置されるビードシート11a,11b同士の間でホイール径方向Zの内側(図2の紙面下側)に向かって凹んだウェル部11cを有している。
胴部Tは、ホイール幅方向Yにわたって略同径となる円筒形状を呈している。
立上り部S1,S2は、胴部Tの表面、つまりウェル部11cの外周面11dからホイール径方向Zの外側(図2の紙面上側)にそれぞれ立ち上がるように形成されている。
図3は、副気室部材10の全体斜視図である。図3中、符号Xは、この副気室部材10がリム11(図1参照)のウェル部11c(図1参照)に取り付けられた際のホイール周方向を示し、符号Yは、ホイール幅方向を示している。
本体部13は、外周面11d(図1参照)の周方向の曲率に合わせて湾曲するようにその周方向に長く形成されている。本体部13のホイール径方向Zの内側(図3の紙面下側)には、後に詳しく説明する複数のビード30が形成されている。
図3中、符号15は、次に説明する凹部である。
この凹部15は、タイヤ組付け時にタイヤ20のビード部21a,21bを落とし込むためのもの(ビード落し部)である。
第2領域13bは、第1領域13aよりもホイール径方向Zの内側に凹むように形成され、前記凹部15は、この第2領域13bに形成される。
つまり、第2領域13bは、第1領域13aと比べて、ウェル部11cの外周面11d上の高さが低くなるように形成されている。言い換えれば、第2領域13bは、ホイール回転中心(図示省略)を基準にすると、第2領域13bは、第1領域13aよりも縮径するように形成されている。
本実施形態での接続領域13cは、裾領域13dよりも大きい曲率で湾曲して第1領域13aに向けて上り勾配となっている。
ちなみに、本実施形態での裾領域13dと接続領域13cとの境界は、裾領域13dの曲率と接続領域13cの曲率の変わり目で規定されている。
なお、裾領域13dと接続領域13cとのいずれかが直線的な上り勾配を形成している場合には、その変曲点が裾領域13dと接続領域13cとの境界となる。
また、上板25aは、凹部15の形成位置に応じて、逆S字状に屈曲している。つまり、上板25aは、本体部13に、立上り部S2の高さに合わせた第1領域13aと、この第1領域13aよりも高さの低い裾領域13dと、これら第1領域13aと裾領域13dとの間の接続領域13cと、が形成されるように屈曲している。
なお、ホイール幅方向Yの上板25aの両端部は、ホイール径方向Zの内側に窪むように湾曲し、副気室部材10がウェル部11c上に取り付けられる際の押圧部35a,35b(図5参照)を形成している。
さらに具体的には、側板25cは、ウェル部11cの底板25bの一端から立ち上がり、第1の縦壁面16aの傾斜面に沿うように形成されている。
また、側板25dは、ウェル部11cの底板25bの他端から立ち上がり、第2の縦壁面16bの傾斜面に沿うように形成されている。
ちなみに、上板25aが第1領域13aと第2領域13bとの間で高低差を有しているので、側板25cのホイール径方向Zの長さは、側板25dの長さよりも短い。本実施形態での側板25cの長さは、側板25dの長さの半分程度となるように設定されているが、これに限定されるものではない。
前記の副気室SCは、これら上板25aと、底板25bと、一対の側板25c,25dと、によって囲まれて本体部13の内側に形成されている。
また、第1領域13aの上面側には、その長手方向に沿って複数の上側結合部33a(本実施形態では11個)が形成されている。そして、接続領域13cと裾領域との境界には、これら接続領域13cと裾領域13dとに跨るように、上側結合部33bが形成されている。この上側結合部33bは、ホイール幅方向Yに前記の上側結合部33aと並ぶように複数形成され、本実施形態での上側結合部33bは11個となっている。
また、上側結合部33b(図4(a)参照)に対応する位置に下側結合部34bが形成されている。つまり、下側結合部34bは、接続領域13c(図4(a)参照)と裾領域13d(図4(a)参照)との境界でこれら接続領域13cと裾領域13dとに跨るように形成されている。
なお、図4(a)及び(b)中、符号18は、後に詳しく説明する管体18である。
言い換えれば、ビード30は、図4(b)に示すように、ホイール幅方向Yに本体部13を横切るように溝状に形成されている。ビード30は、下側結合部34aと下側結合部34bとを繋ぐ方向に複数形成され、本実施形態でのビード30は、11本となっている。
また、ホイール幅方向Yの本体部13の両端部には、前記したように、上板25aと、ビード30を形成する底板25bとがビード50上で一体になるよう接合した接合部25g,25hが形成されている。
そして、この両端部は、ウェル部11c(図2参照)側に副気室部材10を押圧して取り付ける際の押圧部35a,35bとなっている。
次に、管体18(図3参照)について説明する。
再び図3に戻って、管体18は、副気室部材10の長手方向(ホイール周方向X)端部であって、副気室部材10の短手方向(ホイール幅方向Y)の一方の側縁に偏倚して配置されている。具体的には、本実施形態での管体18は、2つの縁部14a,14bのうち一方の縁部14b側寄りに配置されている。
このような管体18の内側には、図3に示すように、連通孔18aが形成されている。本実施形態での連通孔18aの断面形状は、ホイール径方向Zに縦長の略矩形を呈している。この連通孔18aは、タイヤ空気室MC(図2参照)と、副気室SC(図2参照)とを連通させている。
そして、本実施形態では、図4(b)に示すように、側板25dがホイール周方向Xに本体部13から延出して管体18の側壁を形成している。
また、図5に示すように、管体18のホイール径方向Zの外側(図5の紙面上側)の位置は、管体18が突出する位置での本体部13のホイール径方向Zの外側の位置よりも、図5中、白抜きの矢印で示すように、ホイール径方向Zの内側にシフトしている。
f0(Hz):共鳴周波数
C(m/s):副気室SC内部の音速(=タイヤ空気室MC内部の音速)
V(m3):副気室SCの容積
L(m):連通孔18aの長さ
S(m2):連通孔18aの開口部断面積
α:補正係数
なお、前記共鳴周波数f0は、タイヤ空気室MCの共鳴周波数に合わせられる
次に、縁部14a,14b(図3参照)について説明する。
図3に示すように、縁部14a,14bのそれぞれは、副気室部材10の短手方向(ホイール幅方向Y)に向けて本体部13から延出している。
ちなみに、縁部14a,14bの延出方向は、側板25c,25dの立上り方向に一致していることが望ましいが、側板25c,25dの立上り方向に沿うように延出していれば、多少の延出方向のずれは許容される。
次に、ウェル部11cに対する副気室部材10の取付方法について説明する。図6(a)及び(b)は、ウェル部11cに対する副気室部材10の取付方法を説明する工程説明図である。
本実施形態でウェル部11cに対する副気室部材10の取り付けには、副気室部材10をウェル部11cの外周面11dに向けて押圧する一対のプッシャ(押圧装置)50(図6(a)及び(b)参照)を使用することを想定している。
なお、図6(a)及び(b)中、プッシャ50は、作図の便宜上、仮想線(二点鎖線)で示している。
これにより副気室部材10がウェル部11cの外周面11dに接近するに伴って、縁部14a,14bは、図示しないが、突出部P1,P2から受ける反力によりホイール幅方向Yのホイール内側に向けて変位する。
この車両用ホイール1は、図2に示したように、第1及び第2の縦壁面16a,16bの溝部17a,17bのそれぞれに、縁部14a,14bが嵌り込んで係止される。
ちなみに、この変形量はCAE(Computer Aided Engineering)によるシミュレーション試験を行って求めたものである。
そして、この連続領域13cに複数の上側結合部33b及び前記の下側結合部34b(図5参照)が一列に並ぶように配置されている。
これに対して、比較例に係る図7(b)に係る車両用ホイール100では、上側結合部33b及び前記の下側結合部34b(図5参照)が裾領域13dの縁部14a寄りに配置されている。
これに対して、本実施形態に係る車両用ホイール1では、図7(a)に示すように、第2領域13bのうち連続領域13cが「変形量が中程度の部分」10bとなった。ちなみに、「変形量が大きい部分」10aは、上側結合部33bの間にわずかに認められる程度であった。また、本実施形態に係る車両用ホイール1の最大変形量は、比較例に係る車両用ホイール100の最大変形量よりも10%程度低減された。
また、この車両用ホイール1によれば、第2領域13bの裾領域13dから接続領域13cにかけて凹に湾曲しているので、遠心力による副気室部材10の変形がより確実に防止される。
したがって、本実施形態の車両用ホイール1によれば、従来よりもホイールの限界回転速度(副気室部材10がウェル部11cから脱離する限界回転速度)をより高速に設定することができる。
また、車両用ホイール1によれば、上側結合部33a,33bと下側結合部34a,34bとが接合されて副気室SCの容積の変動を抑制するので、消音機能をより効果的に発揮させることができる。
よって、本発明の車両用ホイール1によれば、従来の車両用ホイール(例えば、特許文献1参照)のように縦壁の高さを変更すること等の大幅な設計変更を行わなくても、ウェル部11cをホイール径方向Zの内側に拡張して副気室SCの容積を大きくすることができる。
つまり、ホイール幅が狭くても副気室SCの容積を大きくすることができ、ホイール重量が軽減されて燃費に優れるとともに、消音性能にも優れた車両用ホイール1を提供することができる。
これにより車両用ホイール1の生産効率が一段と良好となる。
10 副気室部材
11 リム
11a ビードシート
11c ウェル部
11d 外周面
12 ディスク
13 本体部
13a 第1領域
13b 第2領域
13c 接続領域
13d 裾領域
14a 縁部
14b 縁部
15 凹部
16a 第1の縦壁面
16b 第2の縦壁面
17a 溝部
17b 溝部
18a 連通孔
25a 上板
25b 底板
25c 側板
25d 側板
30 ビード
33a 上側結合部
33b 上側結合部
34a 下側結合部
34b 下側結合部
X ホイール周方向
Y ホイール幅方向
Z ホイール径方向
SC 副気室
MC タイヤ空気室
S1 立上り部
S2 立上り部
Claims (2)
- ヘルムホルツレゾネータとしての副気室部材がウェル部の外周面上に取り付けられた車両用ホイールであって、
前記副気室部材は、前記ウェル部の前記外周面側に配置される底板と、この底板との間で副気室を形成する上板と、を有する本体部を備え、
前記本体部には、ホイール幅方向に沿う断面視で、ホイール幅方向に並ぶように第1領域と、第2領域と、が規定され、
前記第2領域は、前記第1領域と比べて、前記ウェル部の外周面上の高さが低い裾領域と、この裾領域と前記第1領域とを接続する接続領域と、を備え、
前記本体部には、前記上板と前記底板の一方から、又は両方から、前記副気室内部へ窪んで前記上板と前記底板とを部分的に結合する複数の結合部の少なくとも一部が、前記接続領域内に設けられていることを特徴とする車両用ホイール。 - 請求項1に記載の車両用ホイールにおいて、
前記結合部は、前記接続領域のうち、前記裾領域との境界寄りに偏倚した位置に設けられていることを特徴とする車両用ホイール。
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