JP6227705B2 - 車両用ホイール - Google Patents
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Description
図7に示すように、この車両用ホイールの副気室部材10は、ホイール周方向Xに長手の本体部13と、本体部13のホイール周方向Xの端部から突出するように設けられる管体18と、を備えている。
なお、本体部13は、上板25aと、この上板25aと対向する側(図7の紙面裏側)に設けられる図示しない底板とを備えて構成される。この上板25aと底板(図示省略)との間には副気室(図示省略)が形成されている。また、管体18の内側に形成される連通孔18aは、この副気室と連通している。
そして、本体部13からホイール幅方向Yに延出する両縁部14a,14bの先端は、ウェル部(図示省略)の外周面に形成される第1及び第2の縦壁面16a,16b(図7中、仮想線で略記する)に係止されている。
また、この副気室部材10においては、本体部13の端部からホイール周方向Xに延出するように、板状体からなる延出部14cが形成されている。この延出部14cは、ウェル部の外周面側に凸の湾曲形状となっている。延出部14cの両端は、第1及び第2の縦壁面16a,16bに係止されている。
図7中、符号33a,33a・・・は、上板25aが部分的に底板(図示省略)側に窪んで上板25aと底板とを結合する結合部である。
ちなみに、図示しないが、管体18が本体部13の端部に無いと仮定した副気室部材と比較して、図7に示す副気室部材10の管体18と延出部14cとが一体化した部分の遠心方向への変形量は33%増加していた。Q位置における底板(図示省略)の変形量(Q位置の面直方向への変位長さ)は64%増加していた。R位置における上板25aの変形量(R位置の面直方向への変位長さ)は70%増加していた。
この車両用ホイールによれば、前記突出部が回止め部材が形成される縁部側に偏倚して形成されているので、この縁部とは反対側の縁部がリム側に向けて押圧される際に、この押圧時に突出部が邪魔にならずにリムに対する副気室部材の取り付けが容易となる。
この車両用ホイールによれば、副気室部材の軽量化や量産性の向上、製造コストの削減、副気室の気密性の確保等を達成することができる。
図1は、本発明の実施形態に係る車両用ホイール1の斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の車両用ホイール1は、ヘルムホルツレゾネータとしての副気室部材10をホイール周方向Xに等間隔に複数有するものである。ちなみに、本実施形態では、4つの副気室部材10を有するものを想定しているが、本発明は2つ若しくは3つ又は5つ以上の副気室部材10を有するものであってもよい。
そして、本実施形態に係る車両用ホイール1は、後記する連通孔18a(図2参照)を内側に有する管体18を、副気室部材10のホイール幅方向Yの中央部よりも後記の縁部14a(図2参照)側に偏倚するように形成したことを主な特徴とする。
ここでは、まず車両用ホイール1の全体構成について説明する。
副気室部材10は、図2に示すように、一方向(ホイール周方向X)に長い部材であって、本体部13と、管体18と、縁部14a,14bと、延出部14c,14dと、を備えている。
なお、管体18は、特許請求の範囲にいう「突出部」に相当する。
この管体18は、本体部13のホイール幅方向Y、換言すれば外周面11d(図1参照)の幅方向における中央線10fよりも縁部14a側に偏倚して設けられている。
管体18の内側には、連通孔18aが形成されている。この連通孔18aは、本体部13の内側の副気室SC(図3参照)と、後記するタイヤ空気室MC(図3参照)とを連通させるものである。
このような連通孔18を有する本実施形態での管体18は、前記のように縁部14a側に偏倚しているが、本発明は縁部14b側に偏倚している管体18を有する構成とすることもできる。
符号33aは、後記する上側結合部である(図3参照)。
図3に示すように、副気室部材10の本体部13は、底板25bと、この底板25bとの間に副気室SCを形成する上板25aとを備えている。なお、本実施形態での上板25a及び底板25bのそれぞれは、同じ厚さとなっているが、これらの厚さは相互に異なっていてもよい。
上板25aには、本体部13を構成する部分に、上側結合部33aが形成されている。この上側結合部33aは、上板25aが部分的に副気室SC側に向かって窪むように形成されたものであり、平面視で円形を呈している。この上側結合部33aは、図2に示すように、副気室部材10の長手方向(ホイール周方向X)に沿って本体部13の中央線10f上で1列に並ぶように8個形成されている。
これらの底側結合部33bは、底板25bが部分的に副気室SC側に向かって窪むように形成されたものであり、平面視で円形を呈している。これらの底側結合部33bは、その先端部が、上板25aの上側結合部33aの先端部と一体になって、上板25aと底板25bとを結合している。
なお、本発明においては、このような上側結合部33a及び底側結合部33bを有しない構造とすることもできる。
図4に示すように、副気室SC内で相互に結合された上側結合部33aと底側結合部33bは、副気室部材10の機械的強度を向上させる共に、副気室SCの容積の変動を抑制して消音機能をより効果的に発揮させる構成となっている。
なお、図4中、符号13は、本体部であり、符号25aは、上板であり、符号25bは、底板である。
f0(Hz):共鳴振動周波数
C(m/s):副気室SC内部の音速(=タイヤ空気室MC内部の音速)
V(m3):副気室SCの容積
L(m):連通孔18aの長さ
S(m2):連通孔18aの開口部断面積
α:補正係数
なお、前記共鳴振動周波数f0は、タイヤ空気室MCの共鳴振動周波数に合わせられる。
そして、縁部14a及び縁部14bの先端は、第1の縦壁面16aの溝部17a及び第2の縦壁面16bの溝部17bに嵌り込んでいる。
リム11は、図1に示すホイール幅方向Yの両端部に形成されるタイヤのビードシート部(図示省略)同士の間で、ホイール径方向の内側(回転中心側)に向かって凹んだウェル部11cを有している。
ウェル部11cは、図示しないタイヤをリム11に組み付けるリム組み時に、タイヤのビード部(図示省略)を落とし込むために設けられている。ちなみに、本実施形態でのウェル部11cは、ホイール幅方向Yに亘って略同径となる円筒形状に形成されている。
このウェル部11cの外周面11dには、リム11の周方向に延びるように環状の縦壁15が立設されている。
また、ウェル部11cのホイール幅方向Yの内側(図3の紙面左側)に形成される側面部11eには、第1の縦壁面16aと略向き合うように第2の縦壁面16bが設けられている。なお、本実施形態での縦壁15は、リム11を鋳造する際にウェル部11cと一体に成形される。
なお、本実施形態でウェル部11cに対する副気室部材10の取付けには、溝部17b寄りの位置で縁部14bをウェル部11cの外周面11dに向けて押圧するプッシャ(押圧装置)50(図5(a)及び(b)参照)を使用することを想定している。
なお、図5(a)及び(b)中、プッシャ50は、作図の便宜上、仮想線(二点鎖線)で示している。
本実施形態で使用するプッシャ50としては、例えば、副気室部材10の長手方向(図2のホイール周方向X)の湾曲率に倣った円弧形状の輪郭を有するエッジ部分を備える板状部材が挙げられるが、本発明に適用できるプッシャ50はこれに限定するものではなく適宜に設計変更することができる。
そして、図5(a)中、仮想線で示すプッシャ50が縁部14bに当てられる。符号11dは、ウェル部11cの外周面である。
この際、バネ弾性を有する縁部14bは、プッシャ50の押圧力の大きさに応じて撓むこととなる。
そして、更にプッシャ50が縁部14bをウェル部11cの外周面11dに向けて押圧すると、図3に示すように、縁部14aが第1の縦壁面16aに形成された溝部17aに、また縁部14bが第2の縦壁面16bに形成された溝部17bにそれぞれ完全に嵌り込むことで副気室部材10がウェル部11cに取り付けられる。
この車両用ホイール1は、図3に示したように、第1及び第2の縦壁面16a,16bの溝部17a,17bのそれぞれに、縁部14a,14bが嵌り込んで係止される。
従来の副気室部材10は、管体18が本体部13のホイール周方向Xの端部であってホイール幅方向Yの略中央位置からホイール周方向Xに突出している。従来の副気室部材10においては、図7に示したとおり、濃淡の程度で3種類に分けられる網掛け部分のうち、変形量(持ち上がり程度)が最も大きい網掛け部分10aが、副気室部材10のホイール周方向Xに沿って大きく分布している。
ちなみに、この変形量はCAE(Computer Aided Engineering)によるシミュレーション試験を行って求めたものである。
したがって、本実施形態の車両用ホイール1によれば、従来よりもホイールの限界回転速度(副気室部材10がウェル部11cから脱離する限界回転速度)をより高速に設定することができる。
前記実施形態では、管体18は、後記する延出部14cと一体となるように形成されているが(図2参照)、延出部14cとは別個独立に本体部13から突出する構成とすることもできる。
また、前記実施形態では、連通孔18aの断面形状が縦長の舌状を呈するようになっているが、本発明は連通孔18aの断面形状が縦長の楕円、縦長の多角形となるように管体18を構成することもでき、また断面形状は縦長でなくても良い。
10 副気室部材(ヘルムホルツレゾネータ)
10f 本体部の中央線
11c ウェル部
11d ウェル部の外周面
13 本体部
14a 縁部
14b 縁部
16a 第1の縦壁面
16b 第2の縦壁面
18 管体(突出部)
18a 連通孔
25a 上板
25b 底板
X ホイール周方向
Y ホイール幅方向
Z ホイール径方向
SC 副気室
SC1 第1副気室
SC2 第2副気室
MC タイヤ空気室
Claims (3)
- タイヤ空気室内でヘルムホルツレゾネータとしての副気室部材をウェル部の外周面に固定した車両用ホイールであって、
前記ウェル部の前記外周面から径方向外側に立ち上がり、前記外周面の周方向に延びるように形成される第1の縦壁面と、
前記第1の縦壁面と前記外周面の幅方向で対向するように前記ウェル部に形成される第2の縦壁面と、
を備え、
前記副気室部材は、
前記ウェル部の前記外周面側に配置される底板と、この底板との間で副気室を形成する上板とを有する、前記周方向に長手の本体部と、
前記本体部の前記幅方向の両側部のそれぞれで前記底板と前記上板とを結合すると共に、前記第1の縦壁面と前記第2の縦壁面のそれぞれに形成された溝部に係止される縁部と、
前記本体部の長手方向に沿った中央線上で前記上板と前記底板とが部分的に窪んで前記上板と前記底板とを結合する結合部と、
前記本体部の長手方向の端部から前記周方向に突出するように設けられ、前記副気室と前記タイヤ空気室とを連通する連通孔が内側に形成される突出部と、
を有し、
前記突出部は前記本体部の前記幅方向における前記結合部よりも前記縁部側に偏倚して設けられているものであって、縁部に隣接して設けられており、
前記連通孔は、ホイール径方向に縦長の断面形状を有することを特徴とする車両用ホイール。 - 請求項1に記載の車両用ホイールにおいて、
前記連通孔は、断面視で縦長の舌状を呈していることを特徴とする車両用ホイール。 - 請求項1に記載の車両用ホイールにおいて、
前記第1の縦壁面がウェル部に立設した環状の縦壁に形成され、
前記縁部からホイール幅方向に突出して前記縦壁に形成された切欠き部に嵌入することで前記副気室部材がホイール周方向にずれるのを防止する回止め部材を備え、
前記突出部は、前記回止め部材が形成される縁部側に偏倚して形成されていることを特徴とする車両用ホイール。
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