JP5091828B2 - 車両用ホイール - Google Patents
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Description
この車両用ホイールによれば、従来の車両用ホイール(例えば、特許文献1参照)のようにホイールに複数の隔壁や蓋部材を順次に組み付けて副気室を形成していくものと異なって、予め副気室を有する副気室部材をウェル部側に嵌め込むだけで製造できるので、製造工数や製造コストを削減することができると共に、量産性を向上させることができる。
そして、この車両用ホイールは、回転した際の副気室部材の回り止めを確実に行うために、連通孔を兼ねた管状の回り止め部材を副気室部材から突出させて縦壁に形成した切欠き部に嵌め込んでいる。
本実施形態に係る車両用ホイールは、副気室が形成された副気室部材の本体部を部分的に突出させた突出部と、この突出部から延出する管状の回り止め部とを備え、副気室とタイヤ空気室とを連通する連通孔が回り止め部の内側に形成されていることを主な特徴とする。
ここでは、先ず車両用ホイールの全体構成について説明した後に副気室部材の構成について説明する。参照する図面において、図1は、本実施形態に係る車両用ホイールの斜視図である。図2は、図1の車両用ホイールにタイヤを装着した車輪の要部正面断面図である。図3は、図2中に示したウェル部を部分的に拡大した図である。図4は、副気室部材を上板側から見た全体斜視図である。図5は、副気室部材の回り止め部を図3のV方向から見た斜視図である。
図1に示すように、本実施形態に係る車両用ホイール10は、リム11と、このリム11を図示しないハブに連結するためのディスク12と、リム11のウェル部11cの外周面上に固定された副気室部材13とで主に構成されている。
このウェル部11cの外周面には、リム11の周方向に延びるように環状の縦壁14が立設されている。
この縦壁14は、図3に示すように、ウェル部11cの外周面11dからホイール径方向Zの外側(図3の紙面上側、以下同じ)に立ち上がる第1の縦壁面15を形成するように外周面11dに立設されている。
副気室部材13は、図4に示すように、ホイール周方向Xに長い部材であって、本体部13aと、回り止め部18と、縁部13eとを備えている。そして、副気室部材13は、長手方向に沿って湾曲しており、図1に示すように、ウェル部11cの外周面に沿うように配置されている。ちなみに、本実施形態に係る車両用ホイール10では、図示しないが、副気室部材13がウェル部11cのホイール周方向Xに沿って等間隔に4つ配置されている。つまり、ホイール中心軸を挟んで対向する一対の副気室部材13が2組配置されている。
底板25aは、後記するように、ウェル部11cから立ち上がる第1の縦壁面15及び第2の縦壁面16のそれぞれに向かって延出する縁部13e,13eと一体になってホイール径方向Zの内側に凸となる湾曲面を形成している。
本体部13aは、このような底板25aと上板25bとの間に次に説明する副気室SCを形成している。
副気室SCの容積は、50〜250cc程度が好ましい。副気室SCの容積をこの範囲内に設定することで、副気室部材13は、消音効果を充分に発揮しつつ、その重量の増大を抑制して車両用ホイール10の軽量化を図ることができる。また、ホイール周方向の副気室部材13の長さは、リム11の周長と同じ長さを最大として、車両用ホイール10の重量の調整やウェル部11cに対する組付け容易性を考慮して適宜に設定することができる。
この回り止め部18は、図4に示すように、ホイール周方向X(車両用ホイール10(図1参照)の回転方向)と交差する方向に本体部13aから突出している。
更に詳しく説明すると、この回り止め部18は、図3及び図5に示すように、本体部13aを部分的に縦壁14側に、言い換えれば第1の縦壁面15(図3参照)側に突出させた突出部18aから延出している。つまり、回り止め部18の先端部の位置は、突出部18aがないものと比較して、図5に示す突出部18aの突出長さ分(R分)、更に前方に張り出る段付き構造となる。
本実施形態での突出部18aの形状は、図5に示すように、ホイール径方向Zに薄くて扁平な略直方体となっている。そして、回り止め部18は、突出部18aの縦壁14寄りの端面から延出している。
連通孔13bの断面形状は、特に制限はなく、本実施形態では楕円形(図5参照)となっているが、円形、多角形等のいずれであってもよい。
f0(Hz):共鳴周波数
C(m/s):副気室SC内部の音速(=タイヤ空気室MC内部の音速)
V(m3):副気室SCの容積(但し、Vには突出部18aの容積を含む)
L(m):連通孔13bの長さ
S1(m2):連通孔13bの断面積
α:補正係数
なお、前記共鳴周波数f0は、タイヤ空気室MCの共鳴周波数に合わせられる。この際、前記した4つの副気室部材13の共鳴周波数f0は、全て同じに設定してもよいし、違えてもよい。具体的には、タイヤ空気室MC(図2参照)の共鳴周波数に2つの共鳴周波数(f1,f2)が認められる場合に、4つの副気室部材13の共鳴周波数f0を(f1+f2)/2に設定することができる。また、リム中心を挟んで対向する一対の副気室部材13の共鳴周波数f0をf1に設定し、他の一対の副気室部材13の共鳴周波数f0をf2に設定することもできる。更に4つの副気室部材13の全ての共鳴周波数f0をf1、f2のいずれか一方に設定しても良い。
なお、図6中、比(S2/S1)は、断面積比(S2/S1)と記す。また、共鳴周波数のずれ(Hz)は、突出部18aが無い副気室部材における前記式(1)の計算値f0(Hz)から突出部18aを有する副気室部材13における前記式(1)の計算値f0(Hz)を減じた値である。
図6に示すように、比(S2/S1)が5.5以上となるように設定した副気室部材13は、突出部18aが無いものと比較して、共鳴周波数のずれが無くなっている。つまり、比(S2/S1)を5.5以上とすることによって、突出部18aを形成したことによる前記式(1)の計算値f0(Hz)への影響が回避されている。
縁部13eの厚さは、底板25a及び上板25bの厚さと同じ厚さに設定されている。なお、本実施形態での縁部13eは、その厚さや樹脂材料を適宜に選択することでバネ弾性を有している。
本実施形態に係る車両用ホイール10は、従来の車両用ホイール(例えば、特許文献1参照)のようにリムに複数の隔壁や蓋部材を順次に組み付けて気密性を考慮しながら高精度にこれらを結合させて副気室を形成していくものと異なって、予め副気室SCを有する副気室部材13をリム11(ウェル部11c)に嵌め込むだけで製造される。したがって、車両用ホイール10は、前記した特許文献1のような従来の車両用ホイールと比較して、製造工数や製造コストを削減することができ、量産性を向上させることができる。また、車両用ホイール10は、従来の車両用ホイールと異なって、副気室SCの気密性の確保に対する特別な配慮も不要であるため、消音性能の品質を安定させることができる。
そして、回り止め部18の内側には、連通孔13bが形成されているので、回り止め部18と別途に連通孔13bを形成するための部材を設けなくてもよく、車両用ホイール10は、その構造が簡素化されて更なる軽量化を達成することができる。
図7(a)に示す車両用ホイール10は、副気室部材13をウェル部11cの周面に沿って等間隔に2つ配置している。
図7(b)に示す車両用ホイール10は、副気室部材13をウェル部11cの周面に沿って等間隔に3つ配置している。
11c ウェル部
13 副気室部材
13a 本体部
13b 連通孔
13e 縁部
14 縦壁
14a 切欠き部
15 第1の縦壁面
16 第2の縦壁面
17 溝部
18 回り止め部
18a 突出部
25a 底板
25b 上板
MC タイヤ空気室
X ホイール周方向
SC 副気室
Claims (1)
- タイヤ空気室内で副気室部材をウェル部の外周面上に固定した車両用ホイールであって、
前記ウェル部の外周面からホイール径方向の外側に立ち上がり、前記外周面のホイール周方向に延びるように形成される第1の縦壁面と、
前記第1の縦壁面と対向するように前記ウェル部に形成される第2の縦壁面と、
を備え、
前記副気室部材は、
前記ウェル部の外周面側の底板と、この底板との間で副気室を形成する上板と、からなる本体部と、
前記底板と前記上板とを結合すると共に、前記本体部から前記第1の縦壁面と前記第2の縦壁面とに延出して、前記第1の縦壁面と前記第2の縦壁面とのそれぞれに形成された溝部に係止される縁部と、
前記本体部を部分的に前記第1の縦壁面側に突出させた突出部と、
この突出部から延出して前記第1の縦壁面に係止されることで前記副気室部材を回り止めする管状の回り止め部と、
を有し、
前記回り止め部の内側には、前記副気室と前記タイヤ空気室を連通させて前記副気室と共にヘルムホルツレゾネータを構成する連通孔が形成され、
前記連通孔の断面積(S1)に対する前記突出部内の前記副気室の断面積(S2)の比(S2/S1)が5.5以上であることを特徴とする車両用ホイール。
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