以下、本発明に係る現像剤補給容器及び現像剤補給システムについて具体的に説明する。なお、以下において、特段の記載がない限り、発明の思想の範囲内において現像剤補給容器の種々の構成を同様な機能を奏する公知の他の構成に置き換えることが可能である。すなわち、特段の記載がない限り、後述する実施例に記載された現像剤補給容器の構成だけに限定する意図はない。
(参考例1)
まず、画像形成装置の基本構成について説明し、続いて、この画像形成装置に搭載される現像剤補給システムを構成する現像剤補給装置と現像剤補給容器の構成について順に説明する。
(画像形成装置)
現像剤補給容器(所謂、トナーカートリッジ)が着脱可能(取り外し可能)に装着される現像剤補給装置が搭載された画像形成装置の一例として、電子写真方式を採用した複写機(電子写真画像形成装置)の構成について図1を用いて説明する。
同図において、100は複写機本体(以下、画像形成装置本体もしくは装置本体という)である。また、101は原稿であり、原稿台ガラス102の上に置かれる。そして、原稿の画像情報に応じた光像を光学部103の複数のミラーMとレンズLnにより、電子写真感光体104(以下、感光体)上に結像させることにより静電潜像を形成する。この静電潜像は乾式の現像器(1成分現像器)201により現像剤(乾式粉体)としてのトナー(1成分磁性トナー)を用いて可視化される。
なお、本例では、現像剤補給容器1から補給すべき現像剤として1成分磁性トナーを用いた例について説明するが、このような例だけではなく、後述するような構成としても構わない。
具体的には、1成分非磁性トナーを用いて現像を行う1成分現像器を用いる場合、現像剤として1成分非磁性トナーを補給することになる。また、磁性キャリアと非磁性トナーを混合した2成分現像剤を用いて現像を行う2成分現像器を用いる場合、現像剤として非磁性トナーを補給することなる。なお、この場合、現像剤として非磁性トナーとともに磁性キャリアも併せて補給する構成としても構わない。
105〜108は記録媒体(以下、「シート」ともいう)Sを収容するカセットである。これらカセット105〜108に積載されたシートSのうち、複写機の液晶操作部から操作者(ユーザ)が入力した情報もしくは原稿101のシートサイズを基に最適なカセットが選択される。ここで記録媒体としては用紙に限定されずに、例えばOHPシート等適宜使用、選択できる。
そして、給送分離装置105A〜108Aにより搬送された1枚のシートSを、搬送部109を経由してレジストローラ110まで搬送し、感光体104の回転と、光学部103のスキャンのタイミングを同期させて搬送する。
111、112は転写帯電器、分離帯電器である。ここで、転写帯電器111によって、感光体104上に形成された現像剤による像をシートSに転写する。そして、分離帯電器112によって、現像剤像(トナー像)の転写されたシートSを感光体104から分離する。
この後、搬送部113により搬送されたシートSは、定着部114において熱と圧によりシート上の現像剤像を定着させた後、片面コピーの場合には、排出反転部115を通過し、排出ローラ116により排出トレイ117へ排出される。
また、両面コピーの場合には、シートSは排出反転部115を通り、一度排出ローラ116により一部が装置外へ排出される。そして、この後、シートSの終端がフラッパ118を通過し、排出ローラ116にまだ挟持されているタイミングでフラッパ118を制御すると共に排出ローラ116を逆回転させることにより、再度装置内へ搬送される。さらに、この後、再給送搬送部119,120を経由してレジストローラ110まで搬送された後、片面コピーの場合と同様の経路をたどって排出トレイ117へ排出される。
上記構成の装置本体100において、感光体104の回りには現像手段としての現像器201、クリーニング手段としてのクリーナ部202、帯電手段としての一次帯電器203等の画像形成プロセス機器が設置されている。なお、現像器201は原稿101の画像情報に基づき光学部103により感光体104に形成された静電潜像に現像剤を付着させることにより現像するものである。また、一次帯電器203は、感光体104上に所望の静電像を形成するため感光体表面を一様に帯電するためのものである。また、クリーナ部202は感光体104に残留している現像剤を除去するためのものである。
図2は、画像形成装置の外観図である。画像形成装置の外装カバーの一部である交換用前カバー40を操作者が開けると、後述する現像剤補給装置8の一部が現れる。
そして、この現像剤補給装置8内に現像剤補給容器1を挿入することで、現像剤補給容器1は現像剤補給装置8へ現像剤を補給可能な状態にセットされる。一方、操作者が現像剤補給容器1を交換する際は、装着時とは逆の操作を行うことで現像剤補給装置8から現像剤補給容器1を取り出し、新たな現像剤補給容器1を再度セットすれば良い。ここでは、交換用前カバー40は現像剤補給容器1を着脱(交換)するための専用カバーであって、現像剤補給容器1を着脱するためだけに開閉される。尚、装置本体100のメンテナンスは、前面カバー100cを開閉することによって行われる。
(現像剤補給装置)
次に、現像剤補給装置8について、図3、図4、図5を用いて説明する。図3は、現像剤補給装置8の概略斜視図である。図4は図3の裏側から見た現像剤補給装置8の概略斜視図である。図5は現像剤補給装置8の概略断面図である。
現像剤補給装置8には、現像剤補給容器1が取り外し可能(着脱可能)に装着される装着部(装着スペース)8fが設けられている。さらに、後述する現像剤補給容器1の排出口(排出孔)1cから排出された現像剤を受入れるための現像剤受入れ口(現像剤受入れ孔)8aが設けられている。なお、現像剤受入れ口8aの直径は、装着部8f内が現像剤により汚れてしまうのを可及的に防止する目的で、現像剤補給容器1の排出口1cと略同じにすることが望ましい。現像剤受入れ口8aと排出口1cの直径が同じなら、それぞれの口の内面以外に現像剤が付着して汚れることを防止することができるためである。
本例では、現像剤受入れ口8aは、現像剤補給容器1の排出口1cに合せて、微細口(ピンホール)とされており、約φ2mmに設定されている。
さらに、現像剤補給容器1の位置を固定するためのL字状の位置決めガイド(保持部材)8bが設けられており、この位置決めガイド8bにより現像剤補給容器1の装着部8fへの装着方向がA方向となるように構成されている。なお、現像剤補給容器1の装着部8fからの取り外し方向は、A方向とは逆方向となる。
また、現像剤補給装置8は、その下部に現像剤を一時的に溜めておくホッパ8gが設けられている。このホッパ8g内には、図5に示すように現像器201の一部である現像剤ホッパ部201aへ現像剤を搬送するための搬送スクリュー11と、現像剤ホッパ部201aと連通した開口8eが設けられている。また、本例においてホッパ8gの容積は130cm3となっている。
図1に示す現像器201は、上述したように、原稿101の画像情報に基づいて感光体104上に形成された静電潜像を、現像剤を用いて現像するものである。また、現像器201には、現像剤ホッパ部201aの他に、現像ローラ201fが設けられている。
この現像剤ホッパ部201aには、現像剤補給容器1から補給された現像剤を撹拌するための撹拌部材201cが設けられている。そして、この撹拌部材201cにより撹拌された現像剤は、搬送部材201dにより搬送部材201e側へと送られる。
そして、搬送部材201e、201bにより順に搬送されてきた現像剤は、現像ローラ201fに担持され、最終的に感光体104へと供給される。
また、現像剤補給装置8には、図3、図4に示すように、後述する現像剤補給容器1を駆動する駆動機構として機能する係止部材9とギア10を有している。
この係止部材9は、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8の装着部8fに装着された際に、現像剤補給容器1の駆動入力部として機能する係止部3と係止するように構成されている。
また、この係止部材9は、現像剤補給装置8の装着部8fに形成された長穴部8cに遊嵌されており、装着部8fに対し、図中、上下方向に移動可能な構成となっている。また、この係止部材9は、後述する現像剤補給容器1の係止部3(図9参照)との差し込み性を考慮してその先端にテーパ部9dが設けられており、丸棒形状となっている。
さらに、この係止部材9の係止部9a(係止部3と係合する係合部位)は、図4に示すレール部9bに繋がっており、レール部9bは現像剤補給装置8のガイド部8dにその両側端部が保持され、図中、上下方向に移動可能な構成となっている。
そして、レール部9bには、ギア部9cが設けられており、ギア10と係合している。また、このギア10は駆動モータ500と連結されている。従って、画像形成装置100に設けられた制御装置600により駆動モータ500の回転方向を周期的に逆転させる制御を行うことにより、係止部材9が、長穴8cに沿って、図中、上下方向に往復動する構成となっている。
(現像剤補給装置による現像剤補給制御)
次に現像剤補給装置8による現像剤補給制御について、図6、図7を用いて説明する。図6は制御装置600の機能構成を示すブロック図であり、図7は補給動作の流れを説明するフローチャートである。
本例では、後述する現像剤補給容器1の吸気動作に伴い現像剤補給装置8側から現像剤補給容器1内へと現像剤が逆流しないように、ホッパ8g内に一時的に貯留される現像剤の量(剤面の高さ)を制限している。そこで、本例では、ホッパ8g内に収容されている現像剤の量を検出する現像剤センサ8k(図5参照)を設けている。そして、図6に示すように、その現像剤センサ8kの出力に応じて制御装置600が駆動モータ500を作動/非作動の制御を行うことにより、ホッパ8g内に一定量以上の現像剤が収容されないように構成している。その制御フローについて説明する。まず図7に示すように、現像剤センサ8kがホッパ8g内の現像剤残量をチェックする(S100)。そして、現像剤センサ8kにより検出された現像剤収容量が所定未満であると判定された場合、つまり現像剤センサ8kにより現像剤が検出されなかった場合、駆動モータ500を駆動し、一定時間、現像剤の補給を実行する(S101)。
その結果、現像剤センサ8kにより検出された現像剤収容量が所定量に達したと判定された場合、つまり、現像剤センサ8kにより現像剤が検出された場合、駆動モータ500の駆動をオフし、現像剤の補給動作を停止する(S102)。この補給動作の停止により、一連の現像剤補給工程が終了する。
このような現像剤補給工程は、画像形成に伴い現像剤が消費されてホッパ8g内の現像剤収容量が所定量未満となると、繰り返し実行される構成となっている。
なお、本例では、現像剤補給容器1から排出された現像剤を、ホッパ8g内に一時的に貯留し、その後、現像器へ補給する構成としているが、以下のような現像剤補給装置の構成としても構わない。
特に装置本体100が低速機の場合には、本体のコンパクト化、低コスト化が要求される。この場合、図8に示すように現像剤補給容器1から現像剤を直接現像器201に補給する構成が望ましい。具体的には、上述したホッパ8gを省き、現像剤補給容器1から現像器201へ直接的に現像剤を補給する構成である。この図8は、現像剤補給装置として2成分現像器201を用いた例である。この現像器201には、現像剤が補給される攪拌室と現像ローラ201fへ現像剤を供給する現像室を有しており、攪拌室と現像室には現像剤搬送方向が互いに逆向きとなるスクリュー201dが設置されている。そして、攪拌室と現像室は長手方向両端部において互いに連通しており、2成分現像剤はこれらの2つの部屋を循環搬送される構成となっている。また、攪拌室には現像剤中のトナー濃度を検出する磁気センサ201gが設置されており、この磁気センサ201gの検出結果に基づいて制御装置600が駆動モータ500の動作を制御する構成となっている。この構成の場合、現像剤補給容器1から補給される現像剤は、非磁性トナー、もしくは非磁性トナー及び磁性キャリアとなる。
本例では、後述するように、現像剤補給容器1内の現像剤は排出口1cから重力作用のみではほとんど排出されず、ポンプ2による排気動作によって現像剤が排出されるため、排出量のばらつきを抑えることができる。そのため、ホッパ8gを省いた図8のような例であっても、同様に、後述する現像剤補給容器1の適用が可能である。
(現像剤補給容器)
次に、本発明実施の形態に係る現像剤補給容器1について、図9、図10を用いて説明する。図9は、現像剤補給容器1の概略斜視図である。また、図10は、現像剤補給容器1の概略断面図である。
図9に示すように、現像剤補給容器1は、現像剤を収容する現像剤収容部として機能する容器本体1aを有している。なお、図10に示す1bは、容器本体1a内の現像剤が収容される現像剤収容スペースを示している。つまり、本例では、現像剤収容部として機能する現像剤収容スペース1bは、容器本体1aと後述するポンプ2の内部スペースを合せたものとなる。本例では、体積平均粒径が5μm〜6μmの乾式粉体である1成分トナーが現像剤収容スペース1bに収容されている。
また、本例では、ポンプ部として、その容積が可変な容積可変型ポンプ2を採用している。具体的には、ポンプ2として、現像剤補給装置8から受けた駆動力により伸縮可能な蛇腹状の伸縮部(蛇腹部、伸縮部材)2aが設けられたものを採用している。
本例の蛇腹状のポンプ2は、図9、10に示すように、「山折り」部と「谷折り」部が周期的に交互に設けられており、その折り目に沿って(その折り目を基点として)、折り畳まれたり伸びたりすることができる。従って、本例のように、蛇腹状のポンプ2を採用した場合、伸縮量に対する容積変化量のばらつきを少なくすることができるので、安定した容積可変動作を行うことが可能となる。
ここで本例においては、現像剤収容スペース1bの全容積は480cm3で、そのうち、ポンプ部2の容積は160cm3(伸縮部2aが自然長の時)であり、本例ではポンプ部2を自然長から伸張する方向にポンピング動作を行う設定となっている。
また、ポンプ部2の伸縮部2aの伸縮による容積変化量は15cm3であり、ポンプ2の最大伸張時の全容積は495cm3に設定されている。
なお、現像剤補給容器1には、240gの現像剤が充填されている。
また、係止部材9を駆動する駆動モータ500を制御装置600が制御することにより、容積変化速度が90cm3/sとなるように設定されている。なお、容積変化量、容積変化速度は現像剤補給装置8側からの要求排出量を鑑みて適宜設定することができる。
なお、本例のポンプ2は、蛇腹状のものを採用しているが、現像剤収容スペース1b内の空気量(圧力)を変化させることができるポンプであれば、他の構成であっても構わない。例えば、ポンプ部2として、一軸偏芯スクリューポンプを用いる構成であっても構わない。この場合、一軸偏芯スクリューポンプによる吸排気を行うための開口が別途必要となり、その開口から現像剤が漏れ出てしまうのを防止するためのフィルタ等の機構が必要となってしまう。また一軸偏芯スクリューポンプを駆動する為のトルクが非常に高いことから画像形成装置本体100への負荷が増大する。従って、このような弊害の無い、蛇腹状のポンプの方がより好ましい。
また、現像剤収容スペース1bがポンプ部2の内部空間だけとなる構成であっても何ら構わない。つまり、この場合、ポンプ部2が現像剤収容部1bとしての機能も同時に果たすことになる。
また、ポンプ部2の接合部2bと容器本体1aの被接合部1iが熱溶着により一体化されており、ここから現像剤が漏れないように現像剤収容スペース1bの気密性が保たれるように構成されている。
さらに、現像剤補給容器1には、現像剤補給装置8の駆動機構と係合可能に設けられ、この駆動機構からポンプ部2を駆動するための駆動力が入力される駆動入力部(駆動力受け部、駆動連結部、係合部)として係止部3が設けられている。
具体的には、現像剤補給装置8の係止部材9と係止可能な係止部3は、ポンプ部2の上端に接着剤により取り付けられている。また、係止部3には、図9に示すように、中央に係止穴3aが形成されている。現像剤補給容器1が装着部8f(図3参照)に装着された際にこの係止穴3aに係止部材9が差し込まれることで、両者が実質的に一体化する(差し込み性を考慮して僅かにガタがある)。これにより、図9に示すように、伸縮部2aの伸縮方向であるp方向、q方向に対して係止部3と係止部材9の相対位置が固定される。なお、ポンプ部2と係止部3は、例えば、射出成形法やブロー成形法等を用いて一体的に形成されたものを用いるのがより好ましい。
このようにして係止部材9と実質的に一体化された係止部3は、係止部材9からポンプ部2の伸縮部2aを伸縮させるための駆動力が入力される。その結果、係止部材9の上下動に伴い、これに追従してポンプ部2の伸縮部2aを伸縮させることが可能となる。
つまり、ポンプ部2は、駆動入力部として機能する係止部3が受けた駆動力により排出口1cを通して現像剤補給容器の内部に向かう気流と現像剤補給容器から外部に向かう気流を交互に繰り返し発生させる気流発生機構として機能する。
なお、本例では、丸棒形状とされる係止部材9と丸穴形状とされる係止部3を用いて両者を実質的に一体化させる例としているが、伸縮部2aの伸縮方向(p方向、q方向)に対して互いの相対位置が固定できれば、他の構造としても構わない。例えば、係止部3を棒状部材としつつ係止部材9を係止穴とする例や、係止部3と係止部材9の断面形状を、三角形や四角形などの多角形や、楕円や星形などその他の形状とすることも可能である。または、従来公知の別の係止構成を採用しても構わない。
また、容器本体1aの下端部のフランジ部1gには、現像剤収容スペース1bにある現像剤の現像剤補給容器1外への排出を許容する排出口1cが形成されている。排出口1cについては詳細を後で説明する。
また、図10に示すように、容器本体1aの下部は排出口1cへ向かって傾斜面1fが形成されており、現像剤収容スペース1bに収容された現像剤は重力により傾斜面1fを滑り落ちて排出口1c近傍へ集まる形状となっている。本例では、この傾斜面1fの傾斜角度(現像剤補給容器1が現像剤補給装置8にセットされた状態における水平面とのなす角度)は、現像剤であるトナーの安息角よりも大きい角度に設定されている。
なお、排出口1c周辺部の形状については、図10に示すように排出口1cと容器本体1a内部との接続部の形状を平らな形状(図10中の1W)にする以外には、図11に示すように傾斜面1fと排出口1cを接続した形状もある。
図10に示す平らな形状では現像剤補給容器1の高さ方向のスペース効率が良く、図11に示す傾斜面1fと接続した形状では傾斜面1fに残る現像剤が排出口1cへと導かれるため残量が少ないといった利点がある。以上のように排出口1c周辺部の形状については必要に応じて適宜選択することが可能である。
本例では、図10に示した平らな形状を選択する。
また、現像剤補給容器1は排出口1cのみが現像剤補給容器1外部と連通しており、排出口1cを除いて実質密閉されている。
次に、排出口1cを開閉するシャッタ機構について図3、図10を用いて説明する。
現像剤補給容器1を輸送する際の現像剤漏れを防止するため、排出口1cの周囲を取り囲むように弾性体で形成されたシール部材4がフランジ部1gの下面に接着、固定されている。このシール部材4がフランジ部1gの下面との間で圧縮されるように、排出口1cを密閉するためのシャッタ5が設けられている。このシャッタ5は、付勢部材であるバネ(不図示)により閉鎖方向に常時付勢された状態(バネの伸び力で付勢)にある。
このシャッタ5は、現像剤補給容器1を装着する動作に連動して、現像剤補給装置8に形成された突き当て部8h(図3)の端面に突き当たることで、バネが縮み、開封が行われるように構成されている。このとき、現像剤補給容器1のフランジ部1gが、現像剤補給装置8側の位置決めガイド8bと突き当て部8hとの間に挿入され、現像剤補給容器1の側面1k(図9参照)が現像剤補給装置8のストッパ部8iに当接する。その結果、現像剤補給装置8に対する装着方向(A方向)の位置が決まる(図17参照)。
このように、フランジ部1gが位置決めガイド8bにガイドされながら現像剤補給容器1の挿入動作が完了した時点で、排出口1cと現像剤受入れ口8aの位置が合致する。
また、現像剤補給容器1の挿入動作が完了した時点で、排出口1cと受入れ口8aの間はシール部材4(図17)により、外部へ現像剤が漏れないようシールされる。
そして、現像剤補給容器1の挿入動作に伴い、現像剤補給容器1の係止部3の係止穴3aに係止部材9が差し込まれ、両者が一体化する。
また、このとき、現像剤補給容器1の現像剤補給装置8に対する装着方向(A方向)と直交する方向(図3において上下方向)の位置も位置決めガイド8bのL字部によって決まる。つまり、位置決め部としてのフランジ部1gは現像剤補給容器1が上下方向(ポンプ2の往復動方向)に動いてしまうのを防止する役目も果たしている。
ここまでが、現像剤補給容器1の一連の装着工程となる。つまり、操作者が交換用前カバー40を閉じることで、装着工程が完了する。
なお、現像剤補給装置8からの現像剤補給容器1の取り外し工程は、上述した装着工程とは逆の手順で操作を行えば良い。
具体的には、交換用前カバー40を開け、現像剤補給容器1を装着部8fから取り出せば良い。このとき、突き当て部8hによる干渉状態が解除されることで、バネ(不図示)によりシャッタ5が閉鎖される。
また、本例では、容器本体1a(現像剤収容スペース1b)の内圧を、大気圧(外気圧)よりも低くした状態(減圧状態、負圧状態)と、大気圧よりも高くした状態(加圧状態、正圧状態)とに所定の周期で交互に繰り返し変化させている。ここで大気圧(外気圧)は、現像剤補給容器1が設置された環境におけるものである。このように、容器本体1aの内圧を変化させることにより、排出口1cから現像剤を排出させる構成となっている。本例では、480cm3〜495cm3の間を約0.3秒の周期で変化(往復動)させる構成となっている。
容器本体1aの材質としては、内圧の変化に対して大きく潰れてしまったり、大きく膨らんでしまったりしない程度の剛性を有したものを採用するのが好ましい。
そこで、本例では、容器本体1aの材質としてポリスチレン樹脂を採用し、ポンプ2の材質としてポリプロピレン樹脂を用いている。
なお、使用する材質に関して、容器本体1aは圧力に耐えうる素材であれば、例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂を使用することが可能である。また、金属製であっても構わない。
また、ポンプ2の材質に関しては、伸縮機能を発揮し容積変化によって現像剤収容スペース1bの内圧を変化させることができる前提の材料であれば良い。例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレン等を肉薄で形成したものでも構わない。また、ゴムや、その他の伸縮性材料などを使用することも可能である。
なお、樹脂材料の厚みを調整するなどして、容器本体1a、ポンプ2のそれぞれが上述した機能を満たすのであれば、容器本体1aとポンプ2を同じ材質で、例えば、射出成形法やブロー成形法等を用いて一体的に成形されたものを用いても構わない。
また、本例では、現像剤補給容器1は、外部とは排出口1cを通じてのみ連通しており、排出口1cを除き外部から実質密閉された構成としている。つまり、ポンプ2により現像剤補給容器1の内圧を加圧、減圧させて排出口1cから現像剤を排出する構成を採用していることから、安定した排出性能が保たれる程度の気密性が求められる。
一方、現像剤補給容器1を運搬する(特に、空輸)際や長期間保存する際に、環境の急激な変動により容器の内圧が急激に変動してしまう恐れがある。例えば、標高の高い地域で使用する場合や、気温の低い場所に保管されていた現像剤補給容器1を気温の高い室内に持ち込み使用する場合など、現像剤補給容器1の内部が外気に対して加圧状態になってしまう恐れがある。このような事態になると、容器が変形したり、開封時に現像剤が噴出してしまう等の問題が生じ得る。
そこで、本例では、その対策として、現像剤補給容器1に直径φが3mmの開口を形成し、この開口にフィルタを設けている。フィルタとしては、外部への現像剤漏れは防止しつつ容器内外の通気を許容する特性を備えた、日東電工株式会社製のTEMISH(登録商標名)を用いた。なお、本例では、このような対策を施してはいるが、ポンプ2による排出口1cを介した吸気動作並びに排気動作への影響は無視することができ、事実上、現像剤補給容器1の気密性は保たれていると言える。
(現像剤補給容器の排出口について)
本例では、現像剤補給容器1の排出口1cについて、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に現像剤を補給する姿勢のとき、重力作用のみでは十分に排出されない程度の大きさに設定している。つまり、排出口1cの開口サイズは、重力作用のみでは現像剤補給容器から現像剤の排出が不充分となる程度に小さく設定している(微細口(ピンホール)とも言う)。言い換えると、排出口1cが現像剤で実質閉塞されるようにその開口の大きさを設定している。これにより、以下の効果を期待できる。
(1)排出口1cから現像剤が漏れ難くなる。
(2)排出口1cを開放した際の現像剤の過剰排出を抑制できる。
(3)現像剤の排出をポンプ部による排気動作に支配的に依存させることができる。
そこで、本発明者等は、重力作用のみで十分に排出されない排出口1cをどのくらいの大きさに設定すべきか、検証実験を行った。以下、その検証実験(測定方法)とその判断基準を以下に説明する。
底部中央に排出口(円形状)が形成された所定容積の直方体容器を用意し、容器内に現像剤を200g充填した後、充填口を密閉し排出口を塞いだ状態で容器をよく振って現像剤を十分に解す。この直方体容器は、容積が約1000cm3、大きさは、縦90mm×横92mm×高さ120mmとなっている。
その後、可及的速やかに排出口を鉛直下方に向けた状態で排出口を開封し、排出口から排出された現像剤の量を測定する。このとき、この直方体容器は、排出口以外は完全に密閉されたままの状態とする。また、検証実験は温度24℃、相対湿度55%の環境下で行った。
上記手順で、現像剤の種類と排出口の大きさを変えて排出量を測定する。なお、本例では、排出された現像剤の量が2g以下である場合、その量は無視できるレベルであり、その排出口が重力作用のみでは十分に排出されない大きさであると判断した。
検証実験に用いた現像剤を表1に示す。現像剤の種類は、1成分磁性トナー、2成分現像器に用いられる2成分非磁性トナー、2成分現像器に用いられる2成分非磁性トナーと磁性キャリアの混合物である。
これらの現像剤の特性を表す物性値として、流動性を示す安息角の他に、粉体流動性分析装置(Freeman Technology社製 パウダーレオメータFT4)により、現像剤層の解れ易さを示す流動性エネルギーについて測定した。
この流動性エネルギーの測定方法について図12を用いて説明する。ここで図12は流動性エネルギーを測定する装置の模式図である。
この粉体流動性分析装置の原理は、粉体サンプル中でブレードを移動させ、そのブレードが粉体中を移動するのに必要な流動性エネルギーを測定するものである。ブレードはプロペラ型で、回転すると同時に回転軸方向にも移動するためブレードの先端はらせんを描くことになる。
プロペラ型のブレード51(以下、ブレードと呼ぶ)として、径が48mmで、反時計回りになめらかにねじられたSUS製のブレード(型番:C210)を使用した。詳細には、48mm×10mmのブレード板の中心にブレード板の回転面に対して法線方向に回転軸が存在し、ブレード板の両最外縁部(回転軸から24mm部分)のねじれ角が70°、回転軸から12mmの部分のねじれ角が35°となっている。
流動性エネルギーとは、粉体層中に上述の如くらせん状に回転するブレード51を侵入させ、ブレードが粉体層中を移動する際に得られる回転トルクと垂直荷重の総和を時間積分して得られたトータルエネルギーを指す。この値が、現像剤粉体層の解れ易さを表しており、流動性エネルギーが大きい場合は解れにくく、流動性エネルギーが小さい場合は解れ易いことを意味している。
今回の測定では、図12に示す通り、この装置の標準部品であるφが50mmの円筒容器50(容積200cm3、図12のL1=50mm)に各現像剤Tを粉面高さ70mm(図12のL2)となるように充填した。充填量は、測定する嵩密度に合せて調整する。更に、標準部品であるφ48mmのブレード51を粉体層に侵入させ、侵入深さ10〜30mm間に得られたエネルギーを表示する。
測定時の設定条件としては、ブレード51の回転速度(tip speed。ブレードの最外縁部の周速)を60mm/s、また、粉体層への鉛直方向のブレード進入速度を、移動中のブレード51の最外縁部が描く軌跡と粉体層表面とのなす角θ(helix angle。以後なす角と呼ぶ)が10°になるスピードとした。粉体層への垂直方向の進入速度は11mm/sである(粉体層への鉛直方向のブレード進入速度=ブレードの回転速度×tan(なす角×π/180))。また、この測定についても温度24℃、相対湿度55%の環境下で行った。
なお、現像剤の流動性エネルギーを測定する際の現像剤の嵩密度は、現像剤の排出量と排出口の大きさとの関係を検証する実験の際の嵩密度に近く、嵩密度の変化が少なく安定して測定ができる嵩密度として0.5g/cm3に調整した。
このようにして測定された流動性エネルギーをもつ現像剤(表1)について、検証実験を行った結果を図13に示す。図13は、排出口の径と排出量との関係を、現像剤の種類毎に示したグラフである。
図13に示す検証結果より、現像剤A〜Eについて、排出口の直径φが4mm(開口面積が12.6mm2:円周率は3.14で計算、以下同じ)以下であれば、排出口からの排出量が2g以下になることが確認された。排出口の直径φが4mmよりも大きくなると、いずれの現像剤とも、排出量が急激に多くなることが確認された。
つまり、現像剤の流動性エネルギー(嵩密度が0.5g/cm3)が4.3×10−4(kg・m2/s2(J))以上4.14×10−3(kg・m2/s2(J))以下のとき、排出口の直径φが4mm(開口面積が12.6(mm2))以下であれば良い。
また、現像剤の嵩密度については、この検証実験では十分に現像剤を解して流動化した状態で測定を行っており、通常の使用環境で想定される状態(放置された状態)よりも嵩密度が低く、より排出し易い条件で測定を行っている。
次に、図13の結果から最も排出量が多くなる現像剤Aを用いて、排出口の直径φを4mmに固定して、容器内の充填量を30〜300gに振って、同様の検証実験を行った。その検証結果を図14に示す。図14の検証結果から、現像剤の充填量を変化させても、排出口からの排出量はほとんど変わらないことが確認できた。
以上の結果から、排出口をφ4mm(面積12.6mm2)以下にすることで、現像剤の種類や嵩密度状態に依らず、排出口を下にした状態(現像剤補給装置201への補給姿勢を想定)で、排出口から重力作用のみでは十分に排出されないことが確認できた。
一方、排出口1cの大きさの下限値としては、現像剤補給容器1から補給すべき現像剤(1成分磁性トナー、1成分非磁性トナー、2成分非磁性トナー、2成分磁性キャリア)が少なくとも通過できる値に設定するのが好ましい。つまり、現像剤補給容器1に収容されている現像剤の粒径(トナーの場合は体積平均粒径、キャリアの場合は個数平均粒径)よりも大きい排出口にするのが好ましい。例えば、補給用の現像剤に2成分非磁性トナーと2成分磁性キャリアが含まれている場合、大きい方の粒径、つまり、2成分磁性キャリアの個数平均粒径よりも大きな排出口にするのが好ましい。
具体的には、補給用の現像剤に2成分非磁性トナー(体積平均粒径が5.5μm)及び2成分磁性キャリア(個数平均粒径が40μm)が含まれている場合、排出口1cの径を0.05mm(開口面積0.002mm2)以上に設定するのが好ましい。
但し、排出口1cの大きさを現像剤の粒径に近い大きさに設定してしまうと、現像剤補給容器1から所望の量を排出させるのに要するエネルギー、つまり、ポンプ2を動作させるのに要するエネルギーが大きくなってしまう。また、現像剤補給容器1の製造上においても制約が生じる場合がある。射出成形法を用いて樹脂部品に排出口1cを成形するには、排出口1cの部分を形成する金型部品の耐久性が厳しくなってしまう。以上から、排出口1cの直径φは0.5mm以上に設定するのが好ましい。
なお、本例では、排出口1cの形状を円形状としているが、このような形状に限定されるものでは無い。つまり、直径が4mmの場合に相当する開口面積である12.6mm2以下の開口面積を有する開口であれば、正方形、長方形、楕円や、直線と曲線を組合せた形状等、に変更可能である。
但し、円形状の排出口は、開口の面積を同じとした場合、他の形状に比べて現像剤が付着して汚れてしまう開口の縁の周長が最も小さい。そのため、シャッタ5の開閉動作に連動して広がってしまう現像剤の量も少なく、汚れ難い。また、円形状の排出口は、排出時の抵抗も少なく最も排出性が高い。従って、排出口1cの形状としては、排出量と汚れ防止のバランスが最も優れた円形状がより好ましい。
以上より、排出口1cの大きさについては、排出口1cを鉛直下方に向けた状態(現像剤補給装置8への補給姿勢を想定)で、重力作用のみで十分に排出されない大きさが好ましい。具体的には、排出口1cの直径φは、0.05mm(開口面積0.002mm2)以上4mm(開口面積12.6mm2)以下の範囲に設定するのが好ましい。さらに、排出口1cの直径φは、0.5mm(開口面積0.2mm2)以上4mm(開口面積12.6mm2)以下の範囲に設定するのがより好ましい。本例では、以上の観点から、排出口1cを円形状とし、その開口の直径φを2mmに設定している。
なお、本例では、排出口1cの数を1個としているがそれに限るものではなく、それぞれの開口面積が上述した開口面積の範囲を満足するように、排出口1cを複数設ける構成としても構わない。例えば、直径φが2mmの1つの現像剤受入れ口8aに対して、直径φが0.7mmの排出口1cを2つ設ける構成である。但し、この場合、現像剤の排出量(単位時間当たり)が低下してしまう傾向となるため、直径φが2mmの排出口1cを1つ設ける構成の方がより好ましい。
(現像剤補給工程)
次に、図15〜18を用いて、ポンプ2による現像剤補給工程について説明する。図15はポンプ2の伸縮部2aが縮んだ状態を示す概略斜視図である。図16はポンプ2の伸縮部2aが伸びた状態を示す概略斜視図である。図17はポンプ2の伸縮部2aが縮んだ状態を示す概略断面図である。図18はポンプ2の伸縮部2aが伸びた状態を示す概略断面図である。
本例では、後述するように、吸気工程(排出口1cを介した吸気動作)と排気工程(排出口1cを介した排気動作)が交互に繰り返し行われるように、駆動変換機構により回転力の駆動変換が行われる構成となっている。以下、吸気工程と排気工程について、順に、詳細に説明する。
まず、ポンプを用いた現像剤の排出原理について説明する。
ポンプ2の伸縮部2aの動作原理は上述した通りである。再度述べると、図10に示すように、伸縮部2aの下端は容器本体1aに接合されている。また、この容器本体1aは下端のフランジ部1gを介して現像補給装置8の位置決めガイド8bにより、p方向、q方向(必要に応じて図9参照)への移動が阻止された状態となる。そのため、容器本体1aと接合されている伸縮部2aの下端は、現像剤補給装置8に対して上下方向の位置が固定された状態になる。
一方、伸縮部2aの上端は係止部3を介して、係止部材9に係止されており、この係止部材9が上下動することで、p方向、q方向へと往復動する。
従って、ポンプ2の伸縮部2aは、下端が固定された状態にあるので、それよりも上側の部分が伸縮動作を行うことになる。
次に、ポンプ2の伸縮部2aの伸縮動作(排気動作及び吸気動作)と現像剤排出との関係について説明する。
(排気動作)
まず、排出口1cを介した排気動作について説明する。
係止部材9が下方へ移動することに伴い、伸縮部2aの上端がp方向へ変位する(伸縮部が縮む)ことで、排気動作が行われる。具体的には、この排気動作に伴い現像剤収容スペース1bの容積が減少していく。その際、容器本体1aの内部は排出口1cを除き密閉されており、現像剤が排出されるまでは、排出口1cが現像剤で実質的に塞がれた状態となっているため、現像剤収容スペース1b内の容積が減少していくことで現像剤収容スペース1bの内圧が上昇していく。
このとき、現像剤収容スペース1bの内圧はホッパ8g内の圧力(大気圧とほぼ同等)よりも大きくなるため、図17に示すように、現像剤は現像剤収容スペース1bとホッパ8gとの圧力差により、空気圧で押し出される。つまり、現像剤収容スペース1bからホッパ8gへと現像剤Tが排出される。図17の矢印は、現像剤収容スペース1b内の現像剤Tへ作用する力の方向を示したものである。
その後、現像剤とともに現像剤収容スペース1b内のエアーも排出されていくため、現像剤収容スペース1bの内圧は低下していく。
(吸気動作)
次に、排出口1cを介した吸気動作について説明する。
係止部材9が上方へ移動することに伴い、ポンプ2の伸縮部2aの上端がq方向へ変位する(伸縮部が伸びる)ことで、吸気動作が行われる。具体的には、この吸気動作に伴い現像剤収容スペース1bの容積が増大していく。その際、容器本体1aの内部は排出口1cを除き密閉された状態となっており、排出口1cが現像剤で実質的に塞がれた状態となっている。そのため現像剤収容スペース1b内の容積増加に伴い、現像剤収容スペース1bの内圧が減少していく。
このとき、現像剤収容スペース1bの内圧はホッパ8gの内圧(大気圧とほぼ同等)よりも小さくなる。そのため、図18に示すように、ホッパ8g内の上部にあるエアーが、現像剤収容スペース1bとホッパ8gの圧力差により、排出口1cを通って現像剤収容スペース1b内へと移動する。図18の矢印は、現像剤収容スペース1b内の現像剤Tへ作用する力の方向を示している。また、図18の楕円で示したZは、ホッパ8gから取り込まれたエアーを模式的に示したものである。
その際、排出口1cを通して現像剤補給装置8側からエアーが取り込まれるため、排出口1c近傍に位置する現像剤を解すことができる。具体的には、排出口1c近傍に位置する現像剤に対して、エアーを含ませることで嵩密度を低下させ、現像剤を流動化させることができる。
このように、現像剤を流動化させておくことにより、次の排気動作時に、排出口1cから現像剤を閉塞することなく排出させることが可能となるのである。従って、排出口1cから排出される現像剤Tの量(単位時間当たり)を、長期に亘り、ほぼ一定とすることが可能となる。
(現像剤収容部の内圧の推移)
次に、現像剤補給容器1の内圧がどのように変化しているかについての検証実験を行った。以下、この検証実験について説明する。
現像剤補給容器1内の現像剤収容スペース1bが現像剤で満たされるように現像剤を充填した上で、ポンプ2を15cm3の容積変化量で伸縮させた際の、現像剤補給容器1の内圧の推移を測定した。現像剤補給容器1の内圧の測定は、現像剤補給容器1に圧力計(株式会社キーエンス社製、型名:AP−C40)を接続して行った。
現像剤を充填した現像剤補給容器1のシャッタ5を開いて排出口1cを外部のエアーと連通可能とした状態で、ポンプ2を伸縮動作させている際の圧力変化の推移を図19に示す。
図19において、横軸は時間を示し、縦軸は大気圧(基準(0))に対する現像剤補給容器1内の相対的な圧力を示している(+が正圧側、−が負圧側を示している)。
現像剤補給容器1の容積が増加し、現像剤補給容器1の内圧が外部の大気圧に対して負圧になると、その気圧差により排出口1cからエアーが取り込まれる。また、現像剤補給容器1の容積が減少し、現像剤補給容器1の内圧が大気圧に対して正圧になると、内部の現像剤に圧力が掛かる。このとき、現像剤及びエアーが排出された分だけ内部の圧力が緩和される。
この検証実験により、現像剤補給容器1の容積が増加することで現像剤補給容器1の内圧が外部の大気圧に対して負圧になり、その気圧差によりエアーが取り込まれることを確認できた。また、現像剤補給容器1の容積が減少することで現像剤補給容器1の内圧が大気圧に対して正圧になり、内部の現像剤に圧力が掛かることで現像剤が排出されることを確認できた。この検証実験では、負圧側の圧力の絶対値は1.3kPa、正圧側の圧力の絶対値は3.0kPaであった。
このように、本例の構成の現像剤補給容器1であれば、ポンプ2による吸気動作と排気動作に伴い現像剤補給容器1の内圧が負圧状態と正圧状態とに交互に切り替わり、現像剤の排出を適切に行うことが可能となることが確認された。
以上説明した通り、本例では、現像剤補給容器1に吸気動作と排気動作を行う簡易なポンプを設けたことで、エアーによる現像剤の解し効果を得ながら、エアーによる現像剤の排出を安定的に行うことができる。
つまり、本例の構成であれば、排出口1cの大きさが極めて小さい場合であっても、現像剤を嵩密度の小さい流動化した状態で排出口1cを通過させることが出来るため、現像剤に大きなストレスをかけることなく、高い排出性能を確保することができる。
また、本例では、容積可変型のポンプ2の内部を現像剤収容スペース1bとして利用する構成としているため、ポンプ2の容積を増大させて内圧を減圧させる際に、新たな現像剤収容空間を形成することができる。従って、ポンプ2の内部が現像剤で満たされている場合であっても、簡易な構成で、現像剤にエアーを含ませて、嵩密度を低下させることができる(現像剤を流動化させることができる)。よって、現像剤補給容器1に現像剤を従来以上に高密度に充填させることが可能となる。
なお、以上のように、ポンプ2の内部空間を現像剤収容スペース1bとして使用せずに、フィルタ(エアーは通過できるもののトナーは通過できないフィルタ)によりポンプ2と現像剤収容スペース1bとの間を仕切る構成としても構わない。但し、ポンプの容積増大時に新たな現像剤収容空間を形成することができる点で、上述した本例の構成の方がより好ましい。
(吸気工程における現像剤の解し効果について)
次に、吸気工程での排出口1cを介した吸気動作による現像剤の解し効果について検証を行った。なお、排出口1cを介した吸気動作に伴う現像剤の解し効果が大きければ、小さな排気圧(少ないポンプ容積変化量)で、次の排気工程において現像剤補給容器1内の現像剤の排出をただちに開始させることができる。従って、本検証は、本例の構成であれば、現像剤の解し効果が顕著に高まることを示すためのものである。以下、詳しく説明する。
図20(a)、21(a)に検証実験に用いた現像剤補給システムの構成を簡易に示したブロック図を示す。図20(b)、21(b)は現像剤補給容器内で生じる現象を示す概略図である。なお、図20は本例と同様な方式の場合であり、現像剤補給容器Cに現像剤収容部C1とともにポンプ部Pが設けられている。そして、ポンプ部Pの伸縮動作により現像剤補給容器Cの排出口(本例と同様な排出口1c(不図示))を介した吸気動作と排気動作を交互に行い、ホッパHに現像剤を排出するものである。一方、図21は比較例の方式の場合であり、ポンプ部Pを現像剤補給装置側に設け、ポンプ部Pの伸縮動作により現像剤収容部C1への送気動作と現像剤収容部C1からの吸引動作を交互に行い、ホッパHに現像剤を排出させるものである。なお、図20、図21において、現像剤収容部C1、ホッパHは同じ内容積であり、ポンプ部Pも同じ内容積(容積変化量)となっている。
まず、現像剤補給容器Cに200gの現像剤を充填する。
次に、現像剤補給容器Cの物流後の状態を想定して15分間に亘り加振を行った後、ホッパHに接続する。
そして、ポンプ部Pを動作させて、排気工程において直ちに現像剤を排出開始させるために必要となる吸気工程の条件として、吸気動作時に達する内圧のピーク値を測定した。なお、図20の場合は現像剤収容部C1の容積が480cm3となる状態、図21の場合はホッパHの容積が480cm3となる状態を各々ポンプ部Pの動作をスタートさせる位置としている。
また、図21の構成での実験は、図20の構成と空気容積の条件を揃えるため、予めホッパHに200gの現像剤を充填した上で行った。また、現像剤収容部C1及びホッパHの内圧は、それぞれに圧力計(株式会社キーエンス社製、型名:AP−C40)を接続することで測定を行った。
検証の結果、図20に示す本例と同様な方式では、吸気動作時の内圧のピーク値(負圧)の絶対値が少なくとも1.0kPaであれば、次の排気工程において現像剤を直ちに排出開始させることができた。一方、図21に示す比較例の方式では、送気動作時の内圧のピーク値(正圧)が少なくとも1.7kPaでないと、次の排気工程において現像剤を直ちに排出開始させることができなかった。
つまり、図20に示す本例と同様な方式であれば、ポンプ部Pの容積増加に伴い吸気が行われることから、現像剤補給容器Cの内圧を大気圧(容器外の圧力)よりも低い負圧側にすることができ、現像剤の解し効果が顕著に高いことが確認された。これは、図20(b)に示すように、ポンプ部Pの伸張に伴い現像剤補給容器Cの容積が増加することにより、現像剤層Tの上部の空気層Rが大気圧に対して減圧状態となるからである。そのため、この減圧作用により現像剤層Tの体積が膨張する方向に力が働くため(波線矢印)、現像剤層を効率的に解すことが可能となるのである。さらに、図20の方式においては、この減圧作用により、現像剤補給容器C内へ外部からエアーが取り込まれることになり(白抜き矢印)、このエアーが空気層Rへ到達する際にも現像剤層Tが解されることになり、非常に優れたシステムと言える。現像剤補給容器C内の現像剤が解されている証拠に、本実験では吸気動作時に現像剤補給容器C内の現像剤全体の見かけ体積が増加している現象を確認した(現像剤の上面が上に動く現象)。
一方、図21に示す比較例の方式では、現像剤収容部C1への送気動作に伴い現像剤補給容器Cの内圧が高まり大気圧よりも正圧側となってしまい現像剤が凝集してしまうため、現像剤の解し効果が認められなかった。これは、図21(b)に示すように、現像剤補給容器Cの外部からエアーが強制的に送り込まれるため、現像剤層Tの上部の空気層Rが大気圧に対して加圧状態となるからである。そのため、この加圧作用により、現像剤層Tの体積が収縮する方向に力が働くため(波線矢印)、現像剤層Tが圧密化してしまうのである。実際、本比較例では吸気動作時に現像剤補給容器C内の現像剤全体の見かけ体積が増加する現象を確認することが出来なかった。従って、図21の方式においては、現像剤層Tの圧密化により、その後の現像剤排出工程を適切に行うことができない恐れが高い。
また、上記した空気層Rが加圧状態となることによる現像剤層Tの圧密化を防ぐ為に、空気層Rに相当する部位にエアー抜き用のフィルタ等を設けて、圧力上昇を低減することも考えられるが、フィルタ等の透気抵抗分は空気層Rの圧力が上昇してしまう。また、圧力上昇を仮に無くしたとしても、上述した空気層Rを減圧状態とすることによる解し効果は得られない。
以上から、本例の方式を採用することにより、ポンプ部の容積増加に伴う「排出口を介した旧記動作」が果たす役割が大きいことが確認された。
以上のように、ポンプ2が排気動作と吸気動作を、交互に繰り返し行うことにより、現像剤補給容器1の排出口1cから現像剤の排出を効率良く行うことが可能となる。つまり、本例では、排気動作と吸気動作を同時に並行して行うのではなく、交互に繰り返し行う構成としているので、現像剤の排出に要するエネルギーを可及的に少なくすることができる。
一方、従来のように現像剤補給装置側に送気用のポンプと吸引用のポンプを別々に設けた場合には、2つのポンプの動作を制御する必要があり、特に急速に送気と吸気を交互に切り換えることは容易ではない。
従って、本例では、1つのポンプを用いて現像剤の排出を効率良く行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易化することができる。
なお、上述したようにポンプの排気動作と吸気動作を交互に繰り返すことで現像剤の排出を効率良く行うことができるが、排気動作、吸気動作を途中で一度停止して、再び動作させても構わない。
例えば、ポンプの排気動作を一気に行うのではなく、ポンプの圧縮動作を途中で一度停止して、その後再び圧縮して排気しても良い。吸気動作も同様である。更に、排出量及び排出速度を満足する前提で、各動作を多段階にしても構わない。ただし、あくまでポンプの動作は多段階に分割した排気動作の後、吸気動作を行い、基本的に排気動作と吸気動作を繰り返すことに変わりは無い。
また、本例では、現像剤収容スペース1bの内圧を減圧状態にすることにより排出口1cからエアーを取り込み現像剤を解している。一方、上述した従来例では、現像剤補給容器1外部から現像剤収容スペース1bにエアーを送り込むことにより現像剤を解しているが、その際、現像剤収容スペース1bの内圧は加圧状態となっており、現像剤が凝集してしまう。つまり、現像剤を解す効果としては現像剤が凝集しにくい減圧状態で解すことができる本例の方が好ましい。
(参考例2)
次に、参考例2の構成について、図22、23を用いて説明する。図22は現像剤補給容器1の概略斜視図を示しており、図23は現像剤補給容器1の概略断面図を示している。なお、本例では、ポンプの構成が参考例1と異なるだけであり、その他の構成は参考例1とほぼ同様である。従って、本例では、上述した参考例1と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本例では、図22、図23に示すように、参考例1のような蛇腹状の容積可変型ポンプの代わりに、プランジャー型ポンプを用いている。このプランジャー型ポンプは、内筒部1hの外周面の近傍を内筒部1hに対して相対移動可能に設けられた外筒部6を有している。また、外筒部6の上面には、参考例1と同様に、係止部3が接着、固定されている。つまり、外筒部6の上面に固定された係止部3は、現像剤補給装置8の係止部材9が差し込まれることで、実質的に両者が一体化され、外筒部6が係止部材9とともに上下動(往復動)することが可能となる。
なお、内筒部1hは、容器本体1aと接続されており、その内部空間は現像剤収容スペース1bとして機能する。
また、この内筒部1hと外筒部6の隙間からエアーの漏れを防止するため(気密性を保つことで現像剤が漏れないように)、弾性シール7が内筒部1hの外周面に接着、固定されている。この弾性シール7は内筒部1hと外筒部6の間で圧縮されるように構成されている。
従って、現像剤補給装置8に不動に固定された容器本体1a(内筒部1h)に対し、外筒部6をp方向、q方向へ往復動させることで現像剤収容スペース1b内の容積を変化させることができる。つまり、現像剤収容スペース1bの内圧を負圧状態と正圧状態とに交互に繰り返し変化させることができる。
このように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤収補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
なお、本例では、外筒部6の形状が円筒形状の例について説明したが、例えば、断面が四角形などの他の形状であっても構わない。この場合、内筒部1hの形状も外筒部6の形状に対応させるのが好ましい。また、プランジャー型ポンプに限らず、ピストンポンプを用いても構わない。
また、本例のポンプを用いた場合、内筒と外筒の隙間からの現像剤漏れを防止するためのシール構成が必要となり、その結果構成が複雑になるとともにポンプ部を駆動するための駆動力が大きくなってしまうことから、参考例1の方がより好ましい。
(参考例3)
次に、参考例3の構成について、図24、25を用いて説明する。図24は本実施例の現像剤補給容器1のポンプ12が伸びた状態を示す外観斜視図であり、図25は現像剤補給容器1のポンプ12が縮んだ状態を示す外観斜視図である。なお、本例では、ポンプの構成が参考例1と異なるだけであり、その他の構成は参考例1とほぼ同様である。従って、本例では、上述した参考例1と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本例では、図24、25に示すように、参考例1のような蛇腹状の折り目が付けられたポンプの代わりに、折り目の無い、膨張と収縮が可能な膜状のポンプ12を用いている。このポンプ12の膜状部はゴム製とされている。なお、ポンプ12の膜状部の材質としては、ゴムではなく、樹脂フィルムなどの柔軟材料を用いても構わない。
この膜状のポンプ12は、容器本体1aと接続されており、その内部空間は現像剤収容スペース1bとして機能する。また、この膜状のポンプ12には、上記例と同様に、その上部に係止部3が接着、固定されている。従って、係止部材9の上下動に伴い、ポンプ12は膨張と収縮を交互に繰り返すことができる。
このように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易化することができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例の場合、図26に示すように、ポンプ12の膜状部の上面に膜状部よりも剛性の高い板状部材13を取り付け、この板状部材13に係止部3を設置するのが好ましい。このような構成とすることで、ポンプ12の係止部3の近傍のみが変形してしまうことに起因して、ポンプ12の容積変化量が少なくなってしまうのを抑制することができる。つまり、係止部材9の上下動に対するポンプ12の追従性を向上させることが可能となり、ポンプ12の膨張、収縮を効率良く行わせることができる。つまり、現像剤の排出性を向上させることが可能となる。
次に、実施例1の構成について、図27〜29を参照して説明する。図27は現像剤補給容器1の外観斜視図、図28は現像剤補給容器1の断面斜視図、図29は現像剤補給容器1の部分断面図である。なお、本例では、現像剤収容スペースの構成が参考例1と異なるだけであり、その他の構成は参考例1とほぼ同様である。従って、本例では、上述した参考例1と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
図27、28のように、本例の現像剤補給容器1は、容器本体1a及びポンプ2の部分Xと円筒部14の部分Yの2つの要素から構成されている。なお、現像剤補給容器1の部分Xの構造は、参考例1で説明したものとほぼ同様であり、詳細な説明を省略する。
(現像剤補給容器の構成)
本例の現像剤補給容器1では、参考例1とは異なり、部分X(排出口1cが形成された排出部とも呼ぶ)の側方に接続部14cを介して円筒部14が接続された構造となっている。
この円筒部(現像剤収容回転部)14は、長手方向一端側は塞がれている一方、部分Xの開口と接続される側である他端側は開口しており、その内部空間は現像剤収容スペース1bとなっている。従って、本例では、容器本体1aの内部空間、ポンプ2の内部空間、円筒部14の内部空間の全てが現像剤収容スペース1bとなっており、多量の現像剤を収容することが可能となっている。なお、本例では、現像剤収容回転部としての円筒部14の断面形状が円形となっているが、必ずしも円形でなくても構わない。例えば、現像剤搬送時において回転運動を阻害しない範囲であれば、現像剤収容回転部の断面形状を多角形形状など、非円形形状としても構わない。
そして、この円筒部14の内部には螺旋状の搬送突起(搬送部)14aが設けられており、この搬送突起14aは、円筒部14がR方向へ回転することに伴い、収容された現像剤を部分X(排出口1c)に向けて搬送する機能を有している。
また、円筒部14の内部には、搬送突起14aにより搬送されてきた現像剤を、円筒部14のR方向への回転(回転軸線は略水平方向)に伴い、部分X側へ受け渡す受け渡し部材(搬送部)16が円筒部14の内部に立設されている。この受け渡し部材16は、現像剤を掬い上げる板状部16aと、板状部16aにより掬い上げられた現像剤を部分Xに向けて搬送(ガイド)する傾斜突起16bが板状部16aの両面に設けられている。また、板状部16aには、現像剤の攪拌性を向上させるべく、現像剤の往来を許容する貫通穴16cが形成されている。
さらに、円筒部14の長手方向一端側(現像剤搬送方向下流端側)の外周面には駆動入力部としてのギア部14bが接着、固定されている。このギア部14bは、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着されると、現像剤補給装置8に設けられた駆動機構として機能する駆動ギア300と係合する。従って、駆動ギア300からの回転駆動力が回転力受け部としてのギア部14bに入力されると、円筒部14がR方向(図28)へ回転することになる。なお、このようなギア部14bの構成に限らず、円筒部14を回転させることができるのであれば、例えば、ベルトや摩擦車を用いるもの等、他の駆動入力機構を採用しても構わない。
そして、図29に示すように、円筒部14の長手方向一端側(現像剤搬送方向下流端側)には、部分Xとの接続管の役割を果たす接続部14cが設けられている。なお、上述した傾斜突起16bの一端がこの接続部14cの近傍に至るまで延出するように設けられている。従って、傾斜突起16bにより搬送される現像剤が、再度、円筒部14の底面側へ落下することを可及的に防止し、接続部14c側へ適切に受け渡されるように構成されている。
また、以上のように円筒部14は回転するのに対し、参考例1と同様に、容器本体1aやポンプ2はフランジ部1gを介して現像剤補給装置8に不動となるように(円筒部14の回転軸線方向及び回転方向への移動が阻止されるように)保持されている。それ故、円筒部14は容器本体1aに対して相対回転自在に接続されている。
また、円筒部14と容器本体1a間にはリング状の弾性シール15が設けられており、この弾性シール15は円筒部14と容器本体1aとの間で所定量圧縮されることでシールする。これにより、円筒部14の回転中にそこから現像剤が漏れてしまうのを防止している。また、これにより、気密性も保たれるので、ポンプ2による解し作用と排出作用を現像剤に対して無駄無く生じさせることが可能となる。つまり、現像剤補給容器1として排出口1c以外には実質内部と外部が連通する開口が無い。
(現像剤補給工程)
次に、現像剤補給工程について説明する。
操作者が現像剤補給容器1を現像剤補給装置8に挿入、装着させると、参考例1と同様に現像剤補給容器1の係止部3が現像剤補給装置8の係止部材9と係止するとともに、現像剤補給容器1のギア部14bが現像剤補給装置8の駆動ギア300と係合する。
その後、駆動ギア300を回転駆動用の別の駆動モータ(不図示)により回転駆動するとともに、係止部材9を上述した駆動モータ500により上下方向に駆動させる。すると、円筒部14がR方向へ回転し、それに伴い、内部の現像剤が搬送突起14aにより受け渡し部材16に向けて搬送される。そして、円筒部14のR方向への回転に伴い、受け渡し部材16は現像剤を掬い上げるとともに接続部14cへと搬送する。そして、接続部14cから容器本体1a内へ搬送されてきた現像剤は、参考例1と同様に、ポンプ2の伸縮動作に伴い、排出口1cから排出される。
以上が、現像剤補給容器1の一連の装着〜補給工程である。なお、現像剤補給容器1を交換する際は、操作者が現像剤補給装置8から現像剤補給容器1を取り出し、再度、新たな現像剤補給容器1を挿入、装着すれば良い。
参考例1〜参考例3のような現像剤収容スペース1bが鉛直方向に長い縦型の容器構成の場合、現像剤補給容器1の容積を大きくし充填量を増やすと、現像剤の自重により排出口1c近傍に重力作用がより集中してしまう。その結果、排出口1c近傍の現像剤が圧密されやすくなり、排出口1cからの吸気/排気の妨げとなる。この場合、排出口1cからの吸気で圧密された現像剤を解す、または、排気で現像剤を排出させるためには、ポンプ2の容積変化量の増加により現像剤収容スペース1bの内圧(負圧/正圧)を更に大きくしなければならなくなる。しかし、その結果、ポンプ2を駆動させるための駆動力も増加し、画像形成装置本体100への負荷が過大になる恐れがある。
それに対し、本実施例では、容器本体1a及びポンプ2の部分Xと円筒部14の部分Yを水平方向に並べて設置しているため、図9に示す構成に対して、容器本体1a内における排出口1c上の現像剤層の厚さを薄く設定することができる。これにより、重力作用により現像剤が圧密されにくくなるため、その結果画像形成装置本体100へ負荷をかけることなく、安定した現像剤の排出が可能になる。
以上のように、本例の構成であれば、円筒部14を設けたことにより画像形成装置本体に負荷をかけることなく現像剤補給容器1を大容量化することができる。
また、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易化することができる。
なお、円筒部14における現像剤搬送機構として、上述した例に限らず、現像剤補給容器1を振動、或いは、揺動、又はその他の方式を用いる構成としても構わない。具体的には、例えば、図30のような構成にしても構わない。
つまり、図30に示すように、円筒部14自体は現像剤補給装置8に実質不動(僅かにガタがある)に固定される構成としつつ、搬送突起14aの代わりに、円筒部14に対し相対回転することで現像剤を搬送する搬送部材17が円筒部内に内装されている。
搬送部材17は、軸部17aと軸部17aに固定された可撓性の搬送翼17bから構成されている。また、この搬送翼17bは、軸部17aの軸線方向に対して先端側が傾斜した傾斜部Sを有している。そのため、円筒部14内の現像剤を撹拌しながら部分Xに向けて搬送することが可能となる。
また、円筒部14の長手方向一端面には回転力受け部としてのカップリング部14eが設けられており、このカップリング部14eは現像剤補給装置8のカップリング部材(不図示)と駆動連結することで回転駆動力が入力される構成となっている。そして、このカップリング部14eは搬送部材17の軸部17aと同軸的に結合されており、軸部17aに回転駆動力が伝達される構成となっている。
従って、現像剤補給装置8のカップリング部材(不図示)から付与された回転駆動力により軸部17aに固定されている搬送翼17bが回転し、円筒部14内の現像剤が部分Xに向けて攪拌されながら搬送される。
但し、図30に示す変形例では、現像剤搬送工程において現像剤に与えるストレスが大きくなってしまう傾向にあり、また、駆動トルクも大きくなってしまうことから、本実施例のような構成の方がより望ましい。
本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
次に、実施例2の構成について、図31〜33を用いて説明する。なお、図31の(a)は現像剤補給装置8を現像剤補給容器1の装着方向から見た正面図、(b)は現像剤補給装置8の内部の斜視図である。図32の(a)は現像剤補給容器1の全体斜視図、(b)は現像剤補給容器1の排出口21a周辺の部分拡大図、(c)〜(d)は現像剤補給容器1を装着部8fに装着した状態を示す正面図及び断面図である。図33の(a)は現像剤収容部20の斜視図、(b)は現像剤補給容器1の内部を示す部分断面図、(c)はフランジ部21の断面図、(d)は現像剤補給容器1を示す断面図である。
上述した参考例1〜3、実施例1では、現像剤補給装置8の係止部材9を上下動させることでポンプを伸縮させる例について説明したが、本例では、現像剤補給装置8から現像剤補給容器1が回転駆動力のみを受ける点が大きく異なる。その他の構成について、上述した例と同様な構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
具体的には、本例では、現像剤補給装置8から入力された回転駆動力をポンプを往復動させる方向の力へ変換し、これをポンプに伝達する構成としている。
以下、現像剤補給装置8、現像剤補給容器1の構成について、順に、詳細に説明する。
(現像剤補給装置)
まず、現像剤補給装置8について、図31を用いて説明する。
現像剤補給装置8は、現像剤補給容器1が取り外し可能(着脱可能)に装着される装着部(装着スペース)8fを有している。現像剤補給容器1は、図31(b)に示すように、装着部8fに対してM方向に装着される構成となっている。つまり、現像剤補給容器1の長手方向(回転軸線方向)がほぼこのM方向と一致するように装着部8fに装着される。なお、このM方向は、後述する図33(b)のX方向と実質平行である。また、現像剤補給容器1の装着部8fからの取り出し方向はこのM方向とは反対の方向となる。
また、装着部8fには、図31(a)に示すように、現像剤補給容器1が装着された際に現像剤補給容器1のフランジ部21(図32参照)と当接することでフランジ部21の回転方向への移動を規制するための回転方向規制部(保持機構)29が設けられている。さらに、装着部8fには、図31(b)に示すように、現像剤補給容器1が装着された際に現像剤補給容器1のフランジ部21と係止することでフランジ部21の回転軸線方向への移動を規制するための、回転軸線方向規制部(保持機構)30が設けられている。この回転軸線方向規制部30は、フランジ部21との干渉に伴い弾性変形し、その後、フランジ部21との干渉が解除された段階で弾性復帰することでフランジ部21を係止する樹脂製のスナップロック機構とされている。
また、装着部8fは、現像剤補給容器1が装着された際に、後述する現像剤補給容器1の排出口21a(図32参照)と連通し、現像剤補給容器1から排出された現像剤を受入れるための現像剤受入れ口31を有している。そして、現像剤補給容器1の排出口21aから現像剤が現像剤受入れ口31を通して現像剤補給装置8へと供給される。なお、本実施例において、現像剤受入れ口31の直径φは、装着部8f内での現像剤による汚れを可及的に防止する目的で、排出口21aと同じで、約2mmに設定されている。
更に、装着部8fは、図31(a)に示すように、駆動機構(駆動部)として機能する駆動ギア300を有している。この駆動ギア300は、駆動モータ500から駆動ギア列を介して回転駆動力が伝達され、装着部8fにセットされた状態にある現像剤補給容器1に対し回転駆動力を付与する機能を有している。
また、駆動モータ500は、図31に示すように、制御装置(CPU)600によりその動作を制御される構成となっている。
なお、本例において、駆動ギア300は、駆動モータ500の制御を簡易化させるため、一方向にのみ回転するように設定されている。つまり、制御装置600は、駆動モータ500について、そのオン(作動)/オフ(非作動)のみを制御する構成となっている。従って、駆動モータ500(駆動ギア300)を正方向と逆方向とに周期的に反転させることで得られる反転駆動力を現像剤補給容器1に付与する構成に比して、現像剤補給装置8の駆動機構の簡易化を図ることができる。
(現像剤補給容器)
次に現像剤補給容器1の構成について、図32、図33を用いて説明する。
現像剤補給容器1は、図32(a)に示すように、中空円筒状に形成され内部に現像剤を収容する内部空間を備えた現像剤収容部20(容器本体とも呼ぶ)を有している。本例では、円筒部20kとポンプ部20bが現像剤収容部20として機能する。さらに、現像剤補給容器1は、現像剤収容部20の長手方向(現像剤搬送方向)一端側にフランジ部21(非回転部とも呼ぶ)を有している。また、現像剤収容部20はこのフランジ部21に対して相対回転可能に構成されている。
なお、本例では、図33(d)に示すように、現像剤収容部として機能する円筒部20kの全長L1が約300mm、外径R1が約70mmに設定されている。また、ポンプ部20bの全長L2(使用上の伸縮可能範囲の中で最も伸びた状態のとき)は約50mm、フランジ部21のギア部20aが設置されている領域の長さL3は約20mmとなっている。また、現像剤収容部として機能する排出部21hが設置されている領域の長さL4は約25mmとなっている。さらに、ポンプ部20bの最大外径R2(使用上の伸縮可能範囲の中で最も伸びた状態のとき)が約65mm、現像剤補給容器1の現像剤を収容し得る全容積が約1250cm3となっている。なお、本例では、現像剤収容部として機能する円筒部20kとポンプ部20bとともに、排出部21hが現像剤を収容し得る領域となっている。
また、本例では、図32、33に示すように、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着された状態のとき円筒部20kと排出部21hが水平方向に並ぶように構成されている。つまり、円筒部20kは、その水平方向長さがその鉛直方向長さよりも充分に長く、その水平方向一端側が排出部21hと接続された構成となっている。従って、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着された状態のとき排出部21hの鉛直上方に円筒部20kが位置するように構成する場合に比して、吸排気動作を円滑に行うことが可能となる。なぜなら、排出口21a上に存在するトナーの量が少なくなる為、排出口21a近傍の現像剤が圧密され難くなるからである。
このフランジ部21には、図32(b)に示すように、現像剤収容部内(現像剤収容室内)20から搬送されてきた現像剤を一時的に貯留するための中空の排出部(現像剤排出室)21hが設けられている(必要に応じて図33(b)、(c)参照)。この排出部21hの底部には、現像剤補給容器1の外へ現像剤の排出を許容する、つまり、現像剤補給装置8へ現像剤を補給するための小さな排出口21aが形成されている。この排出口21aの大きさについては前述の通りである。
また、排出部21h内(現像剤排出室内)の底部の内部形状は、残留してしまう現像剤の量を可能な限り低減させるため、排出口21aに向けて縮径する漏斗(じょうご)状に設けられている(必要に応じて図33(b)、(c)参照)。
さらに、フランジ部21には排出口21aを開閉するシャッタ26が設けられている。このシャッタ26は、現像剤補給容器1の装着部8fへの装着動作に伴い、装着部8fに設けられた突き当て部8h(必要に応じて図31(b)参照)と突き当たるように構成されている。従って、シャッタ26は、現像剤補給容器1の装着部8fへの装着動作に伴い、現像剤収容部20の回転軸線方向(M方向とは逆方向)へ現像剤補給容器1に対して相対的にスライドする。その結果、シャッタ26から排出口21aが露出されて開封動作が完了する。
この時点で、排出口21aは装着部8fの現像剤受入れ口31と位置が合致しているので互いに連通した状態となり、現像剤補給容器1からの現像剤補給が可能な状態となる。
また、フランジ部21は、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8の装着部8fに装着されると、実質不動となるように構成されている。
具体的には、フランジ部21は、図32(c)に示すように、装着部8fに設けられた回転方向規制部29により現像剤収容部20の回転軸線周りの方向へ回転しないように規制(阻止)される。つまり、フランジ部21は現像剤補給装置8により実質回転不可となるように保持される(ガタ程度の僅かな無視できる回転は可能となっている)。
さらに、フランジ部21は、現像剤補給容器1の装着動作に伴い装着部8fに設けられた回転軸線方向規制部30に係止される。具体的には、フランジ部21は、現像剤補給容器1の装着動作の途中で回転軸線方向規制部30に当接することで、回転軸線方向規制部30を弾性変形させる。その後、フランジ部21は、装着部8fに設けられたストッパである内壁部28a(図32(d)参照)に突き当たることで現像剤補給容器1の装着工程が完了する。このとき、装着完了とほぼ同時に、フランジ部21による干渉した状態が解かれて、回転軸線方向規制部30の弾性変形が解除される。
その結果、図32(d)に示すように、回転軸線方向規制部30がフランジ部21のエッジ部(係止部として機能する)と係止することにより、回転軸線方向(現像剤収容部20の回転軸線方向)への移動が実質阻止(規制)された状態となる。このとき、ガタ程度の僅かな無視できる移動は可能となっている。
以上のように、本例では、フランジ部21が、現像剤収容部20の回転軸線方向へ自らが移動することがないように、現像剤補給装置8の回転軸線方向規制部30により保持されている。更に、フランジ部21は、現像剤収容部20の回転方向へ自らが回転することがないように、現像剤補給装置8の回転方向規制部29により保持されている。
なお、操作者により現像剤補給容器1が装着部8fから取り出される際に、フランジ部21からの作用により回転軸線方向規制部30は弾性変形し、フランジ部21との係止が解除される。なお、現像剤収容部20の回転軸線方向は、ギア部20a(図33)の回転軸線方向とほぼ一致している。
従って、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着された状態では、フランジ部21に設けられている排出部21hも、現像剤収容部20の回転軸線方向及び回転方向への移動が実質阻止された状態となる(ガタ程度の移動は許容する)。
一方、現像剤収容部20は現像剤補給装置8により回転方向への規制は受けることなく、現像剤補給工程において回転する構成となっている。但し、現像剤収容部20は、フランジ部21により、回転軸線方向への移動が実質阻止された状態となる(ガタ程度の移動は許容する)。
(ポンプ部)
次に、往復動に伴いその容積が可変なポンプ部(往復動可能なポンプ)20bについて図33、図34を用いて説明する。ここで、図34(a)はポンプ部20bが現像剤補給工程において使用上最大限伸張された状態、図34(b)はポンプ部20bが現像剤補給工程において使用上最大限圧縮された状態を示す現像剤補給容器1の断面図である。
本例のポンプ部20bは、排出口21aを介して吸気動作と排気動作を交互に行わせる吸排気機構として機能する。
ポンプ部20bは、図33(b)に示すように、排出部21hと円筒部20kとの間に設けられており、円筒部20kに接続、固定されている。つまり、ポンプ部20bは円筒部20kとともに一体的に回転可能となる。
また、本例のポンプ部20bは、その内部に現像剤を収容可能な構成となっている。このポンプ部20b内の現像剤収容スペースは、後述するように、吸気動作時における現像剤の流動化に大きな役割を担っている。
そして、本例では、ポンプ部20bとして、往復動に伴いその容積が可変な樹脂製の容積可変型ポンプ(蛇腹状ポンプ)を採用している。具体的には、図33(a)〜(b)に示すように、蛇腹状のポンプを採用しており、「山折り」部と「谷折り」部が周期的に交互に複数形成されている。従って、このポンプ部20bは、現像剤補給装置8から受けた駆動力により、圧縮、伸張を交互に繰り返し行うことができる。なお、本例では、ポンプ部20bの伸縮時の容積変化量は、15cm3(cc)に設定されている。図33(d)に示すように、ポンプ部20bの全長L2(使用上の伸縮可能範囲の中で最も伸びた状態のとき)は約50mm、ポンプ部2bの最大外径R2(使用上の伸縮可能範囲の中で最も伸びた状態のとき)は約65mmとなっている。
このようなポンプ部20bを採用することにより、現像剤補給容器1(現像剤収容部20及び排出部21h)の内圧を、大気圧よりも高い状態と大気圧よりも低い状態とに、所定の周期(本例では約0.9秒)で、交互に繰り返し変化させることができる。この大気圧は、現像剤補給容器1が設置された環境におけるものである。その結果、小径(直径が約2mm)の排出口21aから排出部21h内にある現像剤を効率良く、排出させることが可能となる。
また、ポンプ部20bは、図33(b)に示すように、排出部21h側の端部がフランジ部21の内面に設けられたリング状のシール部材27を圧縮した状態で、排出部21hに対して相対回転可能に固定されている。
これにより、ポンプ部20bは、シール部材27と摺動しながら回転するため、回転中においてポンプ部20b内の現像剤が漏れることなく、また、気密性が保たれる。つまり、排出口21aを介した空気の出入りが適切に行われるようになり、補給中における、現像剤補給容器1(ポンプ部20b、現像剤収容部20、排出部21h)の内圧を所望の状態にすることができるようになっている。
(駆動伝達機構)
次に、搬送部20cを回転させるための回転駆動力を現像剤補給装置8から受ける、現像剤補給容器1の駆動受け機構(駆動入力部、駆動力受け部)について説明する。
現像剤補給容器1には、図33(a)に示すように、現像剤補給装置8の駆動ギア300(駆動機構として機能する)と係合(駆動連結)可能な駆動受け機構(駆動入力部、駆動力受け部)として機能するギア部20aが設けられている。このギア部20aは、ポンプ部20bの長手方向一端側に固定されている。つまり、ギア部20a、ポンプ部20b、円筒部20kは、一体的に回転可能な構成となっている。
従って、駆動ギア300からギア部20aに入力された回転駆動力はポンプ部20bを介して円筒部20k(搬送部20c)へ伝達される仕組みとなっている。
つまり、本例では、このポンプ部20bが、ギア部20aに入力された回転駆動力を現像剤収容部20の搬送部20cへ伝達する駆動伝達機構として機能している。
従って、本例の蛇腹状のポンプ部20bは、その伸縮動作を阻害しない範囲内で、回転方向へのねじれに強い特性を備えた樹脂材を用いて製造されている。
なお、本例では、現像剤収容部20の長手方向(現像剤搬送方向)一端側、つまり、排出部21h側の一端にギア部20aを設けているが、このような例に限られるものではなく、例えば、現像剤収容部2の長手方向他端側、つまり、最後尾側に設けても構わない。この場合、対応する位置に駆動ギア300が設置されることになる。
また、本例では、現像剤補給容器1の駆動入力部と現像剤補給装置8の駆動部間の駆動連結機構としてギア機構を用いているが、このような例に限られるものではなく、例えば、公知のカップリング機構を用いるようにしても構わない。具体的には、現像剤収容部20の長手方向一端の底面(図33(d)の右側の端面)に駆動入力部として非円形状の凹部を設け、一方、現像剤補給装置8の駆動部として前述の凹部と対応した形状の凸部を設け、これらが互いに駆動連結する構成としても構わない。
(駆動変換機構)
次に、現像剤補給容器1の駆動変換機構(駆動変換部)について説明する。
現像剤補給容器1には、ギア部20aが受けた搬送部20cを回転させるための回転駆動力を、ポンプ部20bを往復動させる方向の力へ変換する駆動変換機構(駆動変換部)が設けられている。なお、本例では、後述するように、駆動変換機構としてカム機構を採用した例について説明するが、このような例だけに限らず、実施例3以降で説明するような他の構成を採用しても構わない。
つまり、本例では、搬送部20cとポンプ部20bを駆動するための駆動力を1つの駆動入力部(ギア部20a)で受ける構成としつつ、ギア部20aが受けた回転駆動力を、現像剤補給容器1側で往復動力へ変換する構成としている。
これは、現像剤補給容器1に駆動入力部を2つ別々に設ける場合に比して、現像剤補給容器1の駆動入力機構の構成を簡易化できるからである。更に、現像剤補給装置8の1つの駆動ギアから駆動を受ける構成としたため、現像剤補給装置8の駆動機構の簡易化にも貢献することができる。
また、現像剤補給装置8から往復動力を受ける構成にした場合、前述したような、現像剤補給装置8と現像剤補給容器1間の駆動連結が適切に行われずに、ポンプ部20bを駆動することができなくなる恐れがある。具体的には、現像剤補給容器1を画像形成装置100から取り出した後、再度これを装着するような場合に、ポンプ部20bを適切に往復動させることができない問題が懸念される。
例えば、ポンプ部20bが自然長よりも圧縮された状態でポンプ部20bへの駆動入力を停止させた場合、現像剤補給容器1を取り出すと、ポンプ部20bが自己復元して伸張された状態となる。つまり、画像形成装置100側の駆動出力部の停止位置はそのままであるにも関わらず、ポンプ部20b用の駆動入力部の位置が現像剤補給容器1が取り出されている間に変わってしまう。その結果、画像形成装置100側の駆動出力部と現像剤補給容器1側のポンプ部20b用の駆動入力部との駆動連結が適切に行われず、ポンプ部20bを往復動させることができなくなってしまう。すると、現像剤補給が行われないことになり、その後の画像形成ができない状況に陥ってしまう懸念がある。
なお、このような問題は、現像剤補給容器1が取り出されている際に、ユーザによりポンプ部20bの伸縮状態を変えられてしまう場合も同様に発生し得る。
また、このような問題は、新品の現像剤補給容器1へ交換する際にも同様に発生し得る。
本例の構成であれば、このような問題を解決することが可能である。以下、詳細に説明する。
現像剤収容部20の円筒部20kの外周面には、図33、34に示すように、周方向において、実質等間隔となるように、回転部として機能するカム突起20dが複数設けられている。具体的には、円筒部20kの外周面に2つのカム突起20dが約180°対向するように設けられている。
ここで、カム突起20dの配置個数については、少なくとも1つ設けられていれば構わない。但し、ポンプ部20bの伸縮時の抗力により駆動変換機構等にモーメントが発生し、スムーズな往復動が行われない恐れがあるため、後述するカム溝21bの形状との関係が破綻しないよう複数個設けるのが好ましい。
一方、フランジ部21の内周面には、このカム突起20dが嵌り込む従動部として機能するカム溝21bが全周に亘り形成されている。このカム溝21bについて、図35を用いて説明する。図35において、矢印Aは円筒部20kの回転方向(カム突起20dの移動方向)、矢印Bはポンプ部20bの伸張方向、矢印Cはポンプ部20bの圧縮方向を示している。また、円筒部20kの回転方向Aに対するカム溝21cのなす角度をα、カム溝21dのなす角度をβとする。また、カム溝21bのポンプ部20bの伸縮方向B、Cにおける振幅(=ポンプ部20bの伸縮長さ)をLとする。
具体的には、このカム溝21bは、これを展開した図35に示すように、円筒部20k側から排出部21h側へ傾斜した溝部21cと、排出部21h側から円筒部20k側へ傾斜した溝部21dとが、交互に連結された構造となっている。本例では、α=βに設定している。
従って、本例では、このカム突起20dとカム溝21bが、ポンプ部20bへの駆動伝達機構として機能する。つまり、このカム突起20dとカム溝21bは、駆動ギア300からギア部20aが受けた回転駆動力を、ポンプ部20bを往復移動させる方向への力(円筒部20kの回転軸線方向への力)に変換し、これをポンプ部20bへ伝達する機構として機能する。
具体的には、駆動ギア300からギア部20aに入力された回転駆動力によりポンプ部20bとともに円筒部20kが回転し、この円筒部20kの回転に伴いカム突起20dが回転することになる。従って、このカム突起20dと係合関係にあるカム溝21bにより、ポンプ部20bが円筒部20kとともに回転軸線方向(図33のX方向)へ往復移動することになる。このX方向は、図31、32のM方向とほぼ平行な方向となっている。
つまり、このカム突起20dとカム溝21bは、ポンプ部20bが伸張した状態(図34の(a))とポンプ部20bが収縮した状態(図34の(b))が交互に繰り返されるように、駆動ギア300から入力された回転駆動力を変換している。
従って、本例では、前述のようにポンプ部20bが円筒部20kとともに回転するように構成されているため、円筒部20k内の現像剤がポンプ部20b内を経由する際に、ポンプ20bの回転により現像剤を撹拌する(解す)ことができる。つまり、ポンプ部20bを円筒部20kと排出部21hとの間に設けているため、排出部21hへ送り込まれる現像剤に対して攪拌作用を施すことができるようになっており、更に好ましい構成と言える。
また、本例では、前述のように円筒部20kがポンプ部20bとともに往復動するように構成されているため、円筒部20kの往復動により円筒部20k内の現像剤を攪拌する(解す)ことができる。
(駆動変換機構の設定条件)
本例では、駆動変換機構は、円筒部20kの回転に伴い排出部21hへ搬送される現像剤搬送量(単位時間当たり)が、排出部21hからポンプ作用により現像剤補給装置8へ排出される量(単位時間当たり)よりも多くなるように駆動変換している。
これは、排出部21hへの搬送部20cによる現像剤の搬送能力に対してポンプ部20bによる現像剤の排出能力の方が大きいと、排出部21hに存在する現像剤の量が次第に減少してしまうからである。つまり、現像剤補給容器1から現像剤補給装置8への現像剤補給に要する時間が長くなってしまうことを防止するためである。
そこで、本例の駆動変換機構は、排出部21hへの搬送部20cによる現像剤の搬送量を2.0g/s、ポンプ部20bによる現像剤の排出量を1.2g/sに設定している。
また、本例では、駆動変換機構は、円筒部20kが1回転する間にポンプ部20bが複数回往復動するように、駆動変換している。これは以下の理由に依るものである。
円筒部20kを現像剤補給装置8内で回転させる構成の場合、駆動モータ500は円筒部20kを常時安定して回転させるために必要な出力に設定するのが好ましい。但し、画像形成装置100における消費エネルギーを可能な限り削減するためには、駆動モータ500の出力を極力小さくする方が好ましい。ここで、駆動モータ500に必要な出力は、円筒部20kの回転トルクと回転数から算出されることから、駆動モータ500の出力を小さくするには、円筒部20kの回転数を可能な限り低く設定するのが好ましい。
しかし、本例の場合、円筒部20kの回転数を小さくしてしまうと、単位時間当たりのポンプ部20bの動作回数が減ってしまうことから、現像剤補給容器1から排出される現像剤の量(単位時間当たり)が減ってしまう。つまり、画像形成装置本体100から要求される現像剤の補給量を短時間で満足させるには、現像剤補給容器1から排出される現像剤の量では不足してしまう恐れがある。
そこで、ポンプ部20bの容積変化量を増加させれば、ポンプ部20bの1周期当たりの現像剤排出量を増やすことができるため、画像形成装置本体100からの要求に応えることが可能となるが、このような対処方法では以下のような問題がある。
つまり、ポンプ部20bの容積変化量を増加させると、排気工程における現像剤補給容器1の内圧(正圧)のピーク値が大きくなるため、ポンプ部20bを往復動させるのに要する負荷が増大してしまう。
このような理由から、本例では、円筒部20kが1回転する間にポンプ部20bを複数周期動作させているのである。これにより、円筒部20kが1回転する間にポンプ部20bを1周期しか動作させない場合に比して、ポンプ部20bの容積変化量を大きくすることなく、単位時間当たりの現像剤の排出量を増やすことが可能となる。そして、現像剤の排出量を増やすことができた分、円筒部20kの回転数を低減することが可能となる。
ここで、円筒部20kが1回転する間にポンプ部20bを複数周期動作させることに伴う効果について検証実験を行った。実験方法は、現像剤補給容器1に現像剤を充填し、現像剤補給工程における現像剤の排出量と円筒部20kの回転トルクを測定した。そして、円筒部20kの回転トルクと予め設定された円筒部20kの回転数から、円筒部20kの回転に必要な駆動モータ500の出力(=回転トルク×回転数)を算出した。実験条件は、円筒部20kの1回転当たりのポンプ部20bの動作回数を2回、円筒部20kの回転数を30rpm、ポンプ部20bの容積変化量を15cm3とした。
検証実験の結果、現像剤補給容器1からの現像剤排出量は、約1.2g/sとなった。また、円筒部20kの回転トルク(定常時の平均トルク)は0.64N・mで、駆動モータ500の出力は、約2W(モータ負荷(W)=0.1047×回転トルク(N・m)×回転数(rpm)。0.1047は単位換算係数)と算出された。
一方、円筒部20kの1回転当たりのポンプ部20bの動作回数を1回、円筒部20kの回転数を60rpmに設定して、それ以外の条件は上記と同様にして比較実験を行った。つまり、上記の検証実験と現像剤の排出量が同じ、約1.2g/sとなるようにした。
すると、比較実験の場合、円筒部20kの回転トルク(定常時の平均トルク)は0.66N・mで、駆動モータ500の出力は、約4Wと算出された。
以上の結果から、円筒部20kが1回転する間にポンプ部20bを複数周期動作させる構成にした方が好ましいことが確認できた。つまり、円筒部20kの回転数を低減させたままでも、現像剤補給容器1の排出性能を維持することが可能になることが確認できた。従って、本例のような構成とすることにより、駆動モータ500をより小さい出力に設定できるため、画像形成装置本体100での消費エネルギーの削減に貢献することができる。
(駆動変換機構の配置位置)
本例では、図33、図34に示すように、駆動変換機構(カム突起20dとカム溝21bにより構成されるカム機構)を、現像剤収容部20の外部に設けている。つまり、駆動変換機構を、円筒部20k、ポンプ部20b、フランジ部21の内部に収容された現像剤と接触することが無いように、円筒部20k、ポンプ部20b、フランジ部21の内部空間から隔てられた位置に設けている。
これにより、駆動変換機構を現像剤収容部20の内部空間に設けた場合に想定される問題を解消することができる。つまり、駆動変換機構の摺擦箇所への現像剤の侵入により、現像剤の粒子に熱と圧が加わって軟化していくつかの粒子同士がくっついて大きな塊(粗粒)となってしまったり、変換機構への現像剤の噛み込みによりトルクアップするのを防止することができる。
(ポンプ部による現像剤排出原理)
次に、図34を用いて、ポンプ部による現像剤補給工程について説明する。
本例では、後述するように、吸気工程(排出口21aを介した吸気動作)と排気工程(排出口21aを介した排気動作)が交互に繰り返し行われるように、駆動変換機構により回転力の駆動変換が行われる構成となっている。以下、吸気工程と排気工程について、順に、詳細に説明する。
(吸気工程)
まず、吸気工程(排出口21aを介した吸気動作)について説明する。
図34(a)に示すように、上述した駆動変換機構(カム機構)によりポンプ部20bがω方向に伸張されることで、吸気動作が行われる。つまり、この吸気動作に伴い、現像剤補給容器1の現像剤を収容し得る部位(ポンプ部20b、円筒部20k、フランジ部21)の容積が増大する。
その際、現像剤補給容器1の内部は排出口21aを除き実質密閉された状態となっており、さらに、排出口21aが現像剤Tで実質的に塞がれた状態となっている。そのため、現像剤補給容器1の現像剤Tを収容し得る部位の容積増加に伴い、現像剤補給容器1の内圧が減少する。
このとき、現像剤補給容器1の内圧は大気圧(外気圧)よりも低くなる。そのため、現像剤補給容器1外にあるエアーが、現像剤補給容器1内外の圧力差により、排出口21aを通って現像剤補給容器1内へと移動する。
その際、排出口21aを通して現像剤補給容器1外からエアーが取り込まれるため、排出口21a近傍に位置する現像剤Tを解す(流動化させる)ことができる。具体的には、排出口21a近傍に位置する現像剤に対して、エアーを含ませることで嵩密度を低下させ、現像剤Tを適切に流動化させることができる。
また、その結果、エアーが排出口21aを介して現像剤補給容器1内に取り込まれるため、現像剤補給容器1の内圧はその容積が増加しているにも関わらず大気圧(外気圧)近傍を推移することになる。
このように、現像剤Tを流動化させておくことにより、後述する排気動作時に、現像剤Tが排出口21aに詰まってしまうことなく、排出口21aから現像剤をスムーズに排出させることが可能となるのである。従って、排出口21aから排出される現像剤Tの量(単位時間当たり)を、長期に亘り、ほぼ一定とすることが可能となる。
(排気工程)
次に、排気工程(排出口21aを介した排気動作)について説明する。
図34(b)に示すように、上述した駆動変換機構(カム機構)によりポンプ部20bがγ方向に圧縮されることで、排気動作が行われる。具体的には、この排気動作に伴い現像剤補給容器1の現像剤を収容し得る部位(ポンプ部20b、円筒部20k、フランジ部21)の容積が減少する。その際、現像剤補給容器1の内部は排出口21aを除き実質密閉されており、現像剤が排出されるまでは、排出口21aが現像剤Tで実質的に塞がれた状態となっている。従って、現像剤補給容器1の現像剤Tを収容し得る部位の容積が減少していくことで現像剤補給容器1の内圧が上昇する。
このとき、現像剤補給容器1の内圧は大気圧(外気圧)よりも高くなるため、図34(b)に示すように、現像剤Tは現像剤補給容器1内外の圧力差により、排出口21aから押し出される。つまり、現像剤補給容器1から現像剤補給装置8へ現像剤Tが排出される。
その後、現像剤Tとともに現像剤補給容器1内のエアーも排出されていくため、現像剤補給容器1の内圧は低下する。
以上のように、本例では、1つの往復動式のポンプを用いて現像剤の排出を効率良く行うことができるので、現像剤排出に要する機構を簡易化することができる。
(カム溝の設定条件)
次に、図36〜図41を用いてカム溝21bの設定条件の変形例について説明する。図36〜図41は、いずれも、カム溝21bの展開図を示したものである。図36〜図41に示すフランジ部21の展開図を用いて、カム溝21bの形状を変更した場合のポンプ部20bの運転条件に与える影響について説明する。
ここで、図36〜図41において、矢印Aは現像剤収容部20の回転方向(カム突起20dの移動方向)、矢印Bはポンプ部20bの伸張方向、矢印Cはポンプ部20bの圧縮方向を示す。また、カム溝21bのうち、ポンプ部20bを圧縮させる際に使用される溝をカム溝21c、ポンプ部20bを伸張させる際に使用する溝をカム溝21dとする。更に、現像剤収容部20の回転方向Aに対するカム溝21cのなす角度をα、カム溝21dのなす角度をβ、カム溝のポンプ部20bの伸縮方向B、Cにおける振幅(=ポンプ部20bの伸縮長さ)をLとする。
まず、ポンプ部20bの伸縮長さLに関して説明する。
例えば、伸縮長さLを短くした場合、ポンプ部20bの容積変化量が減少してしまうことから、外気圧に対し発生させることができる圧力差も小さくなってしまう。そのため、現像剤補給容器1内の現像剤にかかる圧力が減少し、結果としてポンプ部の1周期(=ポンプ部20bを1往復伸縮)当たりの現像剤補給容器1から排出される現像剤の量が減少する。
このことから、図36に示すように、角度α、βが一定の状態でカム溝の振幅L´をL´<Lに設定すれば、図35の構成に対し、ポンプ部20bを1往復させた際に排出される現像剤の量を減少させることができる。逆に、L´>Lに設定すれば、現像剤の排出量を増加させることも当然可能となる。
また、カム溝の角度α、βに関して、例えば、角度を大きくした場合、現像剤収容部20の回転速度が一定であれば、現像剤収容部20が一定時間回転した時に移動するカム突起20dの移動距離が増えるため、結果としてポンプ部20bの伸縮速度は増加する。
その一方、カム突起20dがカム溝21bを移動する際にカム溝21bから受ける抵抗が大きくなるため、結果として現像剤収容部20を回転させるのに要するトルクが増加する。
このことから、図37に示すように、伸縮長さLが一定の状態でカム溝21cの角度α´、カム溝21dの角度β´を、α´>α及びβ´>βに設定すれば、図35の構成に対しポンプ部20bの伸縮速度を増加できる。その結果、現像剤収容部20の1回転当たりのポンプ部20bの伸縮回数を増加させることができる。更に、排出口21aから現像剤補給容器1内へ入り込む空気の流速が増加するため、排出口21a周辺に存在する現像剤の解し効果は向上する。
逆に、α´<α及びβ´<βに設定すれば現像剤収容部20の回転トルクを減少させることができる。また、例えば、流動性の高い現像剤を使用した場合、ポンプ部20bを伸張させた際に、排出口21aから入り込んだ空気により排出口21a周辺に存在する現像剤が吹き飛ばされやすくなる。その結果、排出部21h内に現像剤を十分に貯留することができなくなり、現像剤の排出量が低下する可能性がある。この場合は、本設定によりポンプ部20bの伸張速度を減少させれば、現像剤の吹き飛ばしを抑えることで排出能力を向上することができる。
また、図38に示すカム溝21bのように、角度α<角度βに設定すれば、ポンプ部20bの伸張速度を圧縮速度に対して大きくすることができる。逆に、図40に示すように角度α>角度βに設定すれば、ポンプ部20bの伸張速度を圧縮速度に対して小さくすることができる。
例えば、現像剤補給容器1内の現像剤が高密度状態にある場合、ポンプ部20bを伸張する時よりも圧縮する時の方がポンプ部20bの動作力が大きくなってしまう。その結果、ポンプ部20bを圧縮する時の方が現像剤収容部20の回転トルクが高くなりやすい。しかし、この場合は、カム溝21bを図38に示す構成に設定すれば、図35の構成に対しポンプ部20bの伸張時における現像剤の解し効果を増加させることができる。更に、圧縮時にカム突起20dがカム溝21bから受ける抵抗が小さくなり、ポンプ部20bの圧縮時における回転トルクの増加を抑制することが可能になる。
なお、図39に示すように、カム溝21c、21dの間に現像剤収容部20の回転方向(図中矢印A)に対して実質平行なカム溝21eを設けても良い。この場合、カム突起20dがカム溝21eを通過している間はカム作用が働かないので、ポンプ部20bが伸縮動作を停止する過程を設けることが可能となる。
それにより、例えば、ポンプ部20bが伸張した状態で動作停止する過程を設ければ、排出口21a周辺に常に現像剤が存在する排出初期には、動作停止の間、現像剤補給容器1内の減圧状態が維持されるため現像剤の解し効果がより向上する。
一方、排出末期には、現像剤補給容器1内の現像剤が少なくなるのと、排出口21aから入り込んだ空気により排出口21a周辺に存在する現像剤が吹き飛ばされることにより、排出部21h内に現像剤を十分に貯留することができなくなる。
つまり、現像剤の排出量が次第に減少してしまう傾向となるが、この場合も伸張した状態で動作を停止することで、その間に現像剤収容部20を回転し現像剤を搬送し続ければ、排出部21hを現像剤で十分に満たすことができる。従って、現像剤補給容器1内の現像剤が空となるまで安定した現像剤の排出量を維持することができる。
また、図35の構成において、ポンプ部20bの1周期当たりの現像剤排出量を増加させる場合、前述のようにカム溝の伸縮長さLを長く設定することで達成できる。しかし、この場合、ポンプ部20bの容積変化量が増加することになるから、外気圧に対し発生できる圧力差も大きくなる。そのため、ポンプ部20bを駆動させるための駆動力も増加し、現像剤補給装置8で必要となる駆動負荷が過大になる恐れがある。
そこで、上記の弊害を発生させることなく、ポンプ部20bの1周期当たりの現像剤の排出量を増加させるために、図40に示すカム溝21bのように、角度α>角度βに設定することで、ポンプ部20bの圧縮速度を伸張速度に対して大きくしても構わない。
ここで、図40の構成の場合について検証実験を行った。
検証方法は、図40に示すカム溝21bを有する現像剤補給容器1に現像剤を充填し、ポンプ部20bを圧縮動作→伸張動作の順で容積変化させて排出実験を行い、その際の排出量を測定した。また実験条件として、ポンプ部20bの容積変化量を50cm3、ポンプ部20bの圧縮速度を180cm3/s、ポンプ部20bの伸張速度を60cm3/sに設定した。ポンプ部20bの動作周期は約1.1秒である。
なお、図35の構成の場合についても、同様に、現像剤の排出量を測定した。但し、ポンプ部20bの圧縮速度及び伸張速度は、いずれも90cm3/sに設定し、ポンプ部20bの容積変化量とポンプ部20bの1周期にかかる時間は、図40の例と同じである。
検証実験結果について説明する。まず図42(a)に、ポンプ20bの容積変化時における現像剤補給容器1の内圧変化の推移を示す。図42(a)において、横軸は時間を示し、縦軸は大気圧(基準(0))に対する現像剤補給容器1内の相対的な圧力を示している(+が正圧側、−が負圧側を示している)。また、実線は図40、点線は図35に示すカム溝21bを有する現像剤補給容器1での圧力推移を示す。
まず、ポンプ部20bの圧縮動作時において、両例とも時間経過とともに内圧は上昇し、圧縮動作終了時にピークに達する。この際、現像剤補給容器1内が大気圧(外気圧)に対して正圧で推移するため、内部の現像剤に対して圧力が掛かり現像剤は排出口21aから排出される。
続いて、ポンプ部20bの伸張動作時には、ポンプ部20bの容積が増加するため、両例とも現像剤補給容器1の内圧は減少していく。この際は、現像剤補給容器1内が大気圧(外気圧)に対して正圧から負圧になり、エアーが排出口21aから取り込まれるまでは、内部の現像剤に対して圧力が掛かり続けるため、現像剤は排出口21aから排出される。
つまり、ポンプ部20bの容積変化時において、現像剤補給容器1が正圧状態、即ち内部の現像剤に圧力が掛かっている間は現像剤が排出されるため、ポンプ部20bの容積変化時における現像剤の排出量は、圧力の時間積分量に応じて増加する。
ここで、図42(a)に示すように、ポンプ20bの圧縮動作終了時の到達圧は、図40の構成では5.7kPa、図35の構成では5.4kPaとなり、ポンプ部20bの容積変化量が同一にもかかわらず図40の構成の方が高くなっている。これは、ポンプ部20bの圧縮速度を大きくすることで現像剤補給容器1内が一気に加圧され、圧力に押されて現像剤が排出口21aに一気に集中することで、現像剤が排出口21aから排出される際の排出抵抗が大きくなったためである。両例とも排出口21aは小径に設定されているため、更にその傾向は顕著なものとなる。従って、図42(a)に示すように、両例ともポンプ部の1周期にかかる時間は同じであるため、圧力の時間積分量は図40の例の方が大きくなっている。
次に、表2に、ポンプ部20bの1周期当たりにおける現像剤の排出量の実測値を示す。
表2に示すように、図40の構成では3.7g、図35の構成では3.4gであり、図40の方が多く排出されていた。この結果と図42(a)の結果から、ポンプ部20bの1周期当たりにおける現像剤の排出量が、圧力の時間積分量に応じて増加することが改めて確認された。
以上のように、図40のように、ポンプ部20bの圧縮速度を伸張速度に対して大きく設定し、ポンプ部20bの圧縮動作時に現像剤補給容器1内をより高い圧力に到達させることで、ポンプ部20bの1周期当たりの現像剤排出量を増加させることができる。
次に、ポンプ部20bの1周期当たりの現像剤排出量を増加させる別の方法について説明する。
図41に示すカム溝21bでは、図39と同様に、カム溝21cとカム溝21dの間に現像剤収容部20の回転方向に対して実質平行なカム溝21eを設けている。但し、図41に示すカム溝21bでは、カム溝21eはポンプ部20bの1周期の中で、ポンプ部20bの圧縮動作の後にポンプ部20bを圧縮した状態で、ポンプ部20bを動作停止させる位置に設けている。
ここで、同様に、図41の構成についても、現像剤の排出量の測定を行った。検証実験方法は、ポンプ部20bの圧縮速度及び伸張速度を180cm3/sに設定し、それ以外は図40に示す例と同様とした。
検証実験結果について説明する。図42(b)に、ポンプ部20bの伸縮動作中における現像剤補給容器1の内圧変化の推移を示す。ここで、実線は図41、点線は図40に示すカム溝21bを有する現像剤補給容器1での圧力推移を示す。
図41の場合においても、ポンプ部20bの圧縮動作時は時間経過とともに内圧は上昇して圧縮動作終了時にピークに達する。この際、図40と同様に、現像剤補給容器1内が正圧状態で推移するため、内部の現像剤は排出される。なお、図41の例におけるポンプ部20bの圧縮速度は図40の例と同一に設定したので、ポンプ部20bの圧縮動作終了時の到達圧は5.7kPaで、図40の時と同等だった。
続いて、ポンプ部20bを圧縮した状態で動作を停止すると、現像剤補給容器1の内圧は緩やかに減少していく。これは、ポンプ部20bの動作停止後も、ポンプ部20bの圧縮動作で発生した圧力が残っているため、その作用により内部の現像剤とエアーが排出されるためである。但し、圧縮動作終了後、即伸張動作を開始するよりは、内圧を高い状態で維持することができるため、その間に現像剤はより多く排出される。
更に、その後伸張動作を開始させると、図40の例と同様に現像剤補給容器1の内圧は減少していき、現像剤補給容器1内が正圧から負圧になるまでは、内部の現像剤に対して圧力が掛かり続けるため現像剤は排出される。
ここで、図42(b)において圧力の時間積分値を比較すると、両例ともポンプ部20bの1周期にかかる時間は同じであるため、ポンプ部20bの動作停止時に高い内圧を維持している分、圧力の時間積分量は図41の例の方が大きくなっている。
また、表2に示すように、ポンプ部20bの1周期当たりにおける現像剤の排出量の実測値は、図41の場合では4.5gで、図40の場合(3.7g)より多く排出されていた。図42(b)と表2の結果から、ポンプ部20bの1周期当たりにおける現像剤の排出量が、圧力の時間積分量に応じて増加することが改めて確認された。
このように、図41の例は、ポンプ部20bの圧縮動作の後、ポンプ部20bを圧縮した状態で動作停止するように設定した構成である。そのため、ポンプ部20bの圧縮動作時に現像剤補給容器1内をより高い圧力に到達させ、かつその圧力をできるだけ高い状態で維持することにより、ポンプ部20bの1周期当たりの現像剤排出量を更に増加させることができる。
以上のように、カム溝21bの形状を変更することにより、現像剤補給容器1の排出能力を調整することができるため、現像剤補給装置8から要求される現像剤の量や使用する現像剤の物性等に適宜対応することが可能となる。
なお、図35〜図41においては、ポンプ部20bによる排気動作と吸気動作が交互に切り替わる構成となっているが、排気動作や吸気動作をその途中で一旦中断させて、所定時間経過後に排気動作や吸気動作を再開させるようにしても構わない。
例えば、ポンプ部20bによる排気動作を一気に行うのではなく、ポンプ部の圧縮動作を途中で一旦停止させて、その後再び圧縮して排気しても良い。吸気動作も同様である。更に、現像剤の排出量や排出速度を満足できる範囲内において、排気動作や吸気動作を多段階にしても構わない。このように、排気動作や吸気動作をそれぞれ多段階に分割して実行するように構成したとしても、「排気動作と吸気動作を交互に繰り返し行う」ことに変わりは無い。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例では、搬送部(螺旋状の凸部20c)を回転させるための駆動力とポンプ部(蛇腹状のポンプ部20b)を往復動させるための駆動力を1つの駆動入力部(ギア部20a)で受ける構成としている。従って、現像剤補給容器の駆動入力機構の構成を簡易化することができる。また、現像剤補給装置に設けられた1つの駆動機構(駆動ギア300)により現像剤補給容器へ駆動力を付与する構成としたため、現像剤補給装置の駆動機構の簡易化にも貢献することができる。また、現像剤補給装置に対する現像剤補給容器の位置決め機構として簡易なものを採用することが可能となる。
また、本例の構成によれば、現像剤補給装置から受けた搬送部を回転させるための回転駆動力を、現像剤補給容器の駆動変換機構により駆動変換する構成としたことで、ポンプ部を適切に往復動させることが可能となる。つまり、現像剤補給容器が現像剤補給装置から往復駆動力の入力を受ける方式においてポンプ部の駆動を適切に行えなくなってしまう問題を回避することが可能となる。
次に、実施例3の構成について図43(a)〜(b)を用いて説明する。図43(a)は現像剤補給容器1の概略斜視図、図43(b)はポンプ部20bが伸びた状態を示す概略断面図である。本例では、上述した例と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本例では、現像剤補給容器1の回転軸線方向において円筒部20kを分断する位置にポンプ部20bとともに駆動変換機構(カム機構)を設けた点が実施例2と大きく異なる。その他の構成は実施例2とほぼ同様である。
図43(a)に示すように、本例では、回転に伴い現像剤を排出部21hに向けて搬送する円筒部20kは、円筒部20k1と円筒部20k2により構成されている。そして、ポンプ部20bはこの円筒部20k1と円筒部20k2との間に設けられている。
このポンプ部20bと対応する位置に駆動変換機構として機能するカムフランジ部15が設けられている。このカムフランジ部15の内面には、実施例2と同様に、カム溝15aが全周に亘って形成されている。一方、円筒部20k2の外周面には、カム溝15aに嵌まり込むように構成された、駆動変換機構として機能するカム突起20dが形成されている。
また、現像剤補給装置8には回転方向規制部29(必要に応じて図31参照)と同様な部位が形成されており、カムフランジ部15の保持部として機能することにより実質回転不可となるように保持される。さらに、現像剤補給装置8には回転軸線方向規制部30(必要に応じて図31参照)と同様な部位が形成されており、カムフランジ部15の保持部として機能することにより実質移動不可となるように保持される。
従って、ギア部20aに回転駆動力が入力されると、円筒部20k2とともにポンプ部20bがω方向とγ方向へ往復動(伸縮)することになる。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、ポンプ部20bの設置位置を円筒部を分断する位置に設けたとしても、実施例2と同様に、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力によりポンプ部20bを往復動させることが可能となる。
なお、排出部21hに貯留されている現像剤に対して効率良くポンプ部20bによる作用を施せるという点で、ポンプ部20bが排出部21hに直接的に接続されている実施例2の構成の方がより好ましい。
さらに、現像剤補給装置8により実質不動となるように保持しなければならないカムフランジ部(駆動変換機構)15が別途必要となってしまう。また、現像剤補給装置8側にカムフランジ部15が円筒部20kの回転軸線方向に移動するのを規制する機構が別途必要となってしまう。従って、このような機構の複雑化を考慮すると、フランジ部21を利用する実施例2の構成の方がより好ましい。
なぜなら、実施例2では、排出口21aの位置を実質不動とするためフランジ部21が現像剤補給装置8により保持される構成となっており、この点に着目して駆動変換機構を構成する一方のカム機構をフランジ部21に設けているからである。つまり、駆動変換機構の簡易化を図っているからである。
次に、実施例4の構成について図44を用いて説明する。本例では、上述した例と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本例では、現像剤補給容器1の現像剤搬送方向上流側の端部に駆動変換機構(カム機構)を設けた点と、円筒部20k内の現像剤を攪拌部材20mを用いて搬送する点が実施例2と大きく異なる。その他の構成は実施例2とほぼ同様である。
本例では、図44に示すように、円筒部20k内に円筒部20kに対して相対回転する搬送部としての撹拌部材20mが設けられている。この撹拌部材20mは、現像剤補給装置8に回転不可となるように固定された円筒部20kに対し、ギア部20aが受けた回転駆動力により、相対回転することにより現像剤を攪拌しながら排出部21hに向けて回転軸線方向に搬送する機能を有している。具体的には、攪拌部材20mは、軸部と、この軸部に固定された搬送翼部と、を備えた構成となっている。
また、本例では、駆動入力部としてのギア部20aが、現像剤補給容器1の長手方向一端側(図44において右側)に設けられており、このギア部20aが攪拌部材20mと同軸的に結合された構成となっている。
さらに、ギア部20aと同軸的に回転するようにギア部20aと一体化された中空のカムフランジ部21iが現像剤補給容器の長手方向一端側(図44において右側)に設けられている。このカムフランジ部21iには、円筒部20kの外周面に約180°対向する位置に2つ設けられたカム突起20dと嵌合するカム溝21bが、内面に全周に亘って形成されている。
また、円筒部20kはその一端部(排出部21h側)がポンプ部20bに固定され、更にポンプ部20bはその一端部(排出部21h側)がフランジ部21に固定されている(それぞれ熱溶着法により両者が固定されている)。従って、現像剤補給装置8に装着された状態では、ポンプ部20bと円筒部20kはフランジ部21に対して実質回転不可となる。
なお、本例においても、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着されると、フランジ部21(排出部21h)は現像剤補給装置8により回転方向並びに回転軸線方向への移動が阻止された状態となる。
従って、現像剤補給装置8からギア部20aに回転駆動力が入力されると、攪拌部材20mとともにカムフランジ部21iが回転する。その結果、カム突起20dはカムフランジ部21iのカム溝21bによってカム作用を受け、円筒部20kが回転軸線方向へ往復移動を行うことにより、ポンプ部20bが伸縮するようになる。
このように、攪拌部材20mが回転するに連れて現像剤が排出部21hへと搬送され、排出部21h内にある現像剤は最終的にポンプ部20bによる吸排気動作により排出口21aから排出される。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例の構成においても、実施例2〜3と同様に、現像剤補給装置8からギア部20aが受けた回転駆動力により、円筒部20kに内蔵された攪拌部材20mの回転動作とポンプ部20bの往復動作の双方を行うことが可能となる。
なお、本例の場合、円筒部20kでの現像剤搬送工程において現像剤に与えるストレスが大きくなってしまう傾向にあり、また、駆動トルクも大きくなってしまうことから、実施例2や3の構成の方がより好ましい。
次に、実施例5の構成について、図45(a)〜(d)を用いて説明する。図45の(a)は現像剤補給容器1の概略斜視図、(b)は現像剤補給容器1の拡大断面図、(c)〜(d)はカム部の拡大斜視図である。本例では、上述した例と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本例では、ポンプ部20bが現像剤補給装置8により回転不可となるように固定されている点が大きく異なり、その他の構成は実施例2とほぼ同様である。
本例では、図45(a)、(b)に示すように、ポンプ部20bと現像剤収容部20の円筒部20kとの間に中継部20fが設けられている。この中継部20fは、その外周面にカム突起20dが約180°対向する位置に2つ設けられており、その一端側(排出部21h側)はポンプ部20bに接続、固定されている(熱溶着法により両者が固定されている)。
また、ポンプ部20bは、その一端部(排出部21h側)がフランジ部21に固定(熱溶着法により両者が固定されている)されており、現像剤補給装置8に装着された状態では、実質回転不可となる。
そして、円筒部20kと中継部20fとの間でシール部材27が圧縮されるように構成されており、円筒部20kは中継部20fに対して相対回転可能となるように一体化されている。また、円筒部20kの外周部には、後述するカムギア部7から回転駆動力を受けるための回転受け部(凸部)20gが設けられている。
一方、中継部20fの外周面を覆うように、円筒形状のカムギア部7が設けられている。このカムギア部7はフランジ部21に対して円筒部20kの回転軸線方向には実質不動(ガタ程度の移動は許容する)となるよう係合し、且つフランジ部21に対して相対回転可能となるように設けられている。
このカムギア部7には、図45(c)に示すように、現像剤補給装置8から回転駆動力が入力される駆動入力部としてのギア部7aと、カム突起20dと係合するカム溝7bが設けられている。さらに、カムギア部7には、図45(d)に示すように、回転受け部20gと係合して円筒部20kと連れ回りするための回転係合部(凹部)7cが設けられている。つまり、回転係合部(凹部)7cは、回転受け部20gに対し回転軸線方向への相対移動が許容されながらも、回転方向へは一体的に回転できるような係合関係となっている。
本例における現像剤補給容器1の現像剤補給工程について説明する。
現像剤補給装置8の駆動ギア300からギア部7aが回転駆動力を受けてカムギア部7が回転すると、カムギア部7は回転係合部7cにより回転受け部20gと係合関係にあるので、円筒部20kとともに回転する。つまり、回転係合部7cと回転受け部20gが、現像剤補給装置8からギア部7aに入力された回転駆動力を円筒部20k(搬送部20c)へ伝達する役割を果たしている。
一方、実施例2〜4と同様に、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着されると、フランジ部21は回転不可となるように現像剤補給装置8に保持され、その結果、フランジ部21に固定されたポンプ部20bと中継部20fも回転不可となる。また同時に、フランジ部21は回転軸線方向への移動が現像剤補給装置8により阻止された状態となる。
従って、カムギア部7が回転すると、カムギア部7のカム溝7bと中継部20fのカム突起20dとの間にカム作用が働く。つまり、現像剤補給装置8からギア部7aに入力された回転駆動力が、中継部20fと円筒部20kを(現像剤収容部20の)回転軸線方向へ往復動させる力へ変換される。その結果、フランジ部21にその往復動方向一端側(図45(b)の左側)の位置が固定された状態にあるポンプ部20bは、中継部20fと円筒部20kの往復動に連動して伸縮することになり、ポンプ動作が行われることになる。
このように、円筒部20kが回転するに連れて搬送部20cにより現像剤が排出部21hへと搬送され、排出部21h内にある現像剤は最終的にポンプ部20bによる吸排気動作により排出口21aから排出される。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例では、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力を、円筒部20kを回転させる力とポンプ部20bを回転軸線方向へ往復動(伸縮動作)させる力に同時変換し、伝達している。
従って、本例においても、実施例2〜4と同様に、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力により、円筒部20k(搬送部20c)の回転動作とポンプ部20bの往復動作の両方を行うことが可能となる。
次に、実施例6の構成について、図46(a)、(b)を用いて説明する。図46の(a)は現像剤補給容器1の概略斜視図、(b)は現像剤補給容器1の拡大断面図を示している。本例では、上述した例と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本例では、現像剤補給装置8の駆動機構300から受けた回転駆動力を、ポンプ部20bを往復動させるための往復駆動力に変換した後、その往復駆動力を回転駆動力に変換することで円筒部20kを回転させる点が、上記実施例と大きく異なる点である。
本例では、図46(b)に示すように、ポンプ部20bと円筒部20kとの間に中継部20fが設けられている。この中継部20fは、その外周面にカム突起20dが各々約180°対向する位置に2つ設けられており、その一端側(排出部21h側)はポンプ部20bに接続、固定されている(熱溶着法により両者が固定されている)。
また、ポンプ部20bは、その一端部(排出部21h側)がフランジ部21に固定(熱溶着法により両者が固定されている)されており、現像剤補給装置8に装着された状態では、実質回転不可となる。
そして、円筒部20kの一端部と中継部20fとの間でシール部材27が圧縮されるように構成されており、円筒部20kは中継部20fに対して相対回転可能となるように一体化されている。また、円筒部20kの外周部には、カム突起20iが各々約180°対向する位置に2つ設けられている。
一方、ポンプ部20bや中継部20fの外周面を覆うように、円筒形状のカムギア部7が設けられている。このカムギア部7は、フランジ部21に対して円筒部20kの回転軸線方向には不動となるよう係合し、且つ相対回転可能となるように設けられている。また、このカムギア部7には、実施例5と同様に、現像剤補給装置8から回転駆動力が入力される駆動入力部としてのギア部7aと、カム突起20dと係合するカム溝7bが設けられている。
更に、円筒部20kや中継部20fの外周面を覆うように、カムフランジ部15が設けられている。カムフランジ部15は、現像剤補給容器1が現像剤補給装置8の装着部8fに装着されると、実質不動となるように構成されている。また、このカムフランジ部15には、カム突起20iと係合するカム溝15aが設けられている。
次に、本例における現像剤補給工程について説明する。
現像剤補給装置8の駆動ギア300からギア部7aが回転駆動力を受けてカムギア部7が回転する。すると、ポンプ部20bと中継部20fはフランジ部21に回転不可に保持されているため、カムギア部7のカム溝7bと中継部20fのカム突起20dとの間にカム作用が働く。
つまり、現像剤補給装置8からギア部7aに入力された回転駆動力が、中継部20fを(円筒部20kの)回転軸線方向へ往復動させる力へ変換される。その結果、フランジ部21にその往復動方向一端側(図46(b)の左側)の位置が固定された状態にあるポンプ部20bは、中継部20fの往復動に連動して伸縮することになり、ポンプ動作が行われることになる。
更に、中継部20fが往復動すると、カムフランジ部15のカム溝15aとカム突起20iとの間にカム作用が働き、回転軸線方向への力が回転方向への力に変換され、これが円筒部20kへ伝達される。その結果、円筒部20k(搬送部20c)が回転することになる。よって、円筒部20kが回転するに連れて搬送部20cにより現像剤が排出部21hへと搬送され、排出部21h内にある現像剤は最終的にポンプ部20bによる吸排気動作により排出口21aから排出される。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例では、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力を、ポンプ部20bを回転軸線方向へ往復動(伸縮動作)させる力に変換させた後、その力を円筒部20kを回転させる力に変換し、伝達している。
従って、本例においても、実施例2〜5と同様に、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力により、円筒部20k(搬送部20c)の回転動作とポンプ部20bの往復動作の両方を行うことが可能となる。
但し、本例の場合、現像剤補給装置8から入力された回転駆動力を往復駆動力に変換した上で再度回転方向の力へ変換しなければならず、駆動変換機構の構成が複雑化してしまうため、再変換が不要な実施例2〜5の構成の方がより好ましい。
次に、実施例7の構成について、図47(a)〜(b)、図48(a)〜(d)を用いて説明する。図47の(a)は現像剤補給容器の概略斜視図、(b)は現像剤補給容器の拡大断面図、図48(a)〜(d)は駆動変換機構の拡大図を示している。なお、図48(a)〜(d)は後述するギアリング60、及び回転係合部60bの動作説明の都合上、当該部位が常に上面にある状態を模式的に表した図である。また、本例では、上述した例と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本例では、駆動変換機構としてかさ歯ギアを用いた点が、上記した例と大きく異なる点である。
図47(b)に示すように、ポンプ部20bと円筒部20kとの間に中継部20fが設けられている。この中継部20fは、後述する連結部62が係合する係合突起20hが設けられている。
また、ポンプ部20bは、その一端部(排出部21h側)がフランジ部21に固定(熱溶着法により両者が固定されている)されており、現像剤補給装置8に装着された状態では、実質回転不可となる。
そして、円筒部20kの排出部21h側の一端部と中継部20fとの間でシール部材27が圧縮されるように構成されており、円筒部20kは中継部20fに対して相対回転可能となるように一体化されている。また、円筒部20kの外周部には、後述するギアリング60から回転駆動力を受けるための回転受け部(凸部)20gが設けられている。
一方、円筒部20kの外周面を覆うように、円筒形状のギアリング60が設けられている。このギアリング60はフランジ部21に対して相対回転可能となるように設けられている。
このギアリング60には、図47(a)、(b)に示すように、後述するかさ歯ギア61に回転駆動力を伝達するためのギア部60aと、回転受け部20gと係合して円筒部20kと連れ回りするための回転係合部(凹部)60bが設けられている。回転係合部(凹部)60bは、回転受け部20gに対し回転軸線方向への相対移動が許容されながらも、回転方向へは一体的に回転できるような係合関係となっている。
また、フランジ部21の外周面には、かさ歯ギア61がフランジ部21に対して回転可能となるように設けられている。更に、かさ歯ギア61と係合突起20hは連結部62により接続されている。
次に、現像剤補給容器1の現像剤補給工程について説明する。
現像剤補給装置8の駆動ギア300から現像剤収容部20のギア部20aが回転駆動力を受けて円筒部20kが回転すると、円筒部20kは回転受け部20gによりギアリング60と係合関係にあるので、ギアリング60は円筒部20kとともに回転する。つまり、回転受け部20gと回転係合部60bが、現像剤補給装置8からギア部20aに入力された回転駆動力をギアリング60へ伝達する役割を果たしている。
一方、ギアリング60が回転すると、その回転駆動力はギア部60aからかさ歯ギア61に伝達され、かさ歯ギア61は回転する。そして、このかさ歯ギア61の回転駆動は、図48(a)〜(d)に示すように、連結部62を介して係合突起20hの往復運動に変換される。これにより、係合突起20hを有する中継部20fは往復運動される。その結果、ポンプ部20bは、中継部20fの往復動に連動して伸縮することになり、ポンプ動作が行われることになる。
このように、円筒部20kが回転するに連れて搬送部20cにより現像剤が排出部21hへと搬送され、排出部21h内にある現像剤は最終的にポンプ部20bによる吸排気動作により排出口21aから排出される。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例においても、実施例2〜6と同様に、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力により、円筒部20k(搬送部20c)の回転動作とポンプ部20bの往復動作の両方を行うことが可能となる。
なお、かさ歯ギアを用いた駆動変換機構の場合、部品点数が多くなってしまうことから、実施例2〜6の構成の方がより好ましい。
次に、実施例8の構成について、図49(a)〜(c)を用いて説明する。図49の(a)は駆動変換機構の拡大斜視図、(b)〜(c)は駆動変換機構を上方から見た拡大図を示している。なお、本例では、上述した例と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。なお、図49(b)、(c)は後述するギアリング60、及び回転係合部60bの動作説明の都合上、当該部位が常に上面にある状態を模式的に表した図である。
本例では、駆動変換機構として磁石(磁界発生手段)を用いた点が、上記した例と大きく異なる点である。
図49(必要に応じて図48参照)に示すように、かさ歯ギア61に直方体状の磁石63を設けるとともに、中継部20fの係合突起20hに磁石63に対して一方の磁極が向くように棒状の磁石64が設けられている。直方体状の磁石63は長手方向一端側がN極で他端側がS極となっており、かさ歯ギア61の回転とともにその向きを変える構成となっている。また、棒状の磁石64は容器の外側に位置する長手方向一端側がS極で他端側がN極となっており、回転軸線方向へ移動可能な構成となっている。なお、磁石64は、フランジ部21の外周面に形成された長丸形状のガイド溝により回転できないように構成されている。
この構成では、かさ歯ギア61の回転により磁石63が回転すると、磁石64と向き合う磁極が入れ替わるため、その際の磁石63と磁石64が引き合う作用と反発し合う作用が交互に繰り返される。その結果、中継部20fに固定されたポンプ部20bが回転軸線方向に往復動することになる。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例の構成においても、実施例2〜7と同様に、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力により、搬送部20c(円筒部20k)の回転動作とポンプ部20bの往復動作の両方を行うことが可能となる。
なお、本例では、かさ歯ギア61に磁石を設けた例について説明したが、駆動変換機構として磁力(磁界)を利用する構成であれば、このような構成でなくても構わない。
また、駆動変換の確実性を考慮すると、上記の実施例2〜7の構成の方がより好ましい。また、現像剤補給容器1に収容されている現像剤が磁性現像剤である場合(例えば、1成分磁性トナー、2成分磁性キャリア)、磁石の近傍の容器内壁部分に現像剤が捕捉されてしまう恐れがある。つまり、現像剤補給容器1に残留する現像剤の量が多くなってしまう恐れがあるため、実施例2〜7の構成の方がより好ましい。
次に、実施例9の構成について、図50(a)〜(c)、図51(a)〜(b)を用いて説明する。なお、図50の(a)は現像剤補給容器1の内部を示す断面斜視図、(b)はポンプ部20bが現像剤補給工程において最大限伸張された状態、(c)はポンプ部20bが現像剤補給工程において最大限圧縮された状態を示す現像剤補給容器1の断面図である。図51の(a)は現像剤補給容器1の内部を示す概略図、(b)は円筒部20kの後端側を示す部分斜視図である。なお、本例では、上述した例と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本例では、ポンプ部20bを現像剤補給容器1の先端部に設けた点と、ポンプ部20bに駆動ギア300から受けた回転駆動力を円筒部20kへ伝達する機能/役割を担わせていない点が上述した例と大きく異なる点である。つまり、本例では、駆動変換機構による駆動変換経路外、つまり、駆動ギア300からの回転駆動力を受けるカップリング部20a(図51(b)参照)からカム溝20nへ至る駆動伝達経路外にポンプ部20bを設けている。
これは、実施例2の構成では、駆動ギア300から入力された回転駆動力は、ポンプ部20bを介して円筒部20kに伝達された後に往復動力へ変換されるため、現像剤補給工程中はポンプ部20bに常時回転方向への力が働いてしまうからである。そのため、現像剤補給工程中において、ポンプ部20bが回転方向に捻れてしまいポンプ機能を損ねてしまう恐れがある。以下、詳細に説明する。
図50(a)に示すように、ポンプ部20bは、その一端部(排出部21h側)の開放部がフランジ部21に固定(熱溶着法により固定されている)されており、現像剤補給装置8に装着された状態では、フランジ部21とともに実質回転不可となる。
一方、フランジ部21や円筒部20kの外周面を覆うように、駆動変換機構として機能するカムフランジ部15が設けられている。このカムフランジ部15の内周面には、図50に示すように、2つのカム突起15aが約180°対向するように設けられている。更に、カムフランジ部15は、ポンプ部20bの一端部(排出部21h側の反対側)の閉鎖された側に固定されている。
一方、円筒部20kの外周面には駆動変換機構として機能するカム溝20nが全周に亘り形成されており、このカム溝20nにカム突起15aが嵌り込む構成となっている。
また、本例では、実施例2とは異なり、図51(b)に示すように、円筒部20kの一端面(現像剤搬送方向上流側)に駆動入力部として機能する非円形(本例では四角形)の凸状のカップリング部20aが形成されている。一方、現像剤補給装置8には、凸状のカップリング部20aと駆動連結し、回転駆動力を付与するため、非円形(四角形)の凹状のカップリング部(不図示)が設置されている。この凹状のカップリング部は、実施例2と同様に、駆動モータ500により駆動される構成となっている。
さらに、フランジ部21は、実施例2と同様に、現像剤補給装置8により回転軸線方向及び回転方向への移動を阻止された状態にある。一方、円筒部20kはフランジ部21とシール部27を介して互いに接続関係にあり、また、円筒部20kはフランジ部21に対して相対回転可能となるように設けられている。このシール部27としては、円筒部20kとフランジ部21の間からのエアー(現像剤)の出入りをポンプ部20bを用いた現像剤補給に悪影響を与えない範囲内で防止するとともに円筒部20kの回転を許すように構成された摺動型シールを採用している。
次に、現像剤補給容器1の現像剤補給工程について説明する。
現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着された後、現像剤補給装置8の凹状のカップリング部から回転駆動力を受けて円筒部20kが回転すると、それに伴いカム溝20nが回転する。
従って、このカム溝20nと係合関係にあるカム突起15aにより、現像剤補給装置8により回転軸線方向への移動が阻止されるように保持された円筒部20k及びフランジ部21に対して、カムフランジ部15が回転軸線方向へ往復移動することになる。
そして、カムフランジ部15とポンプ部20bは固定されているため、ポンプ部20bはカムフランジ部15とともに往復運動(ω方向、γ方向)する。その結果、ポンプ部20bは、図50(b)、(c)に示すように、カムフランジ部15の往復動に連動して伸縮することになり、ポンピング動作が行われることになる。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口21aを介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例においても、実施例2〜8と同様に、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力を現像剤補給容器1においてポンプ部20bを動作させる方向の力へ変換する構成を採用したことにより、ポンプ部20bを適切に動作させることが可能となる。
また、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力をポンプ部20bを介することなく往復動力への変換を行う構成としたことにより、ポンプ部20bの回転方向への捻れによる破損を防止することも可能となる。従って、ポンプ部20bの強度を過渡に大きくする必要性がなくなることから、ポンプ部20bの厚さをより薄くしたり、その材質としてより安価な材料のものを選ぶことが可能となる。
さらに、本例の構成では、実施例2〜8の構成のようにポンプ部20bを排出部21hと円筒部20kとの間に設置せずに、排出部21hの円筒部20kから離れた側に設置しているので、現像剤補給容器1に残留する現像剤の量を少なくすることが可能となる。
なお、図51(a)に示すように、ポンプ部20bの内部空間を現像剤収容スペースとして使用せずに、フィルタ65によりポンプ部20bと排出部21hとの間を仕切る構成としても構わない。このフィルタは、エアーは容易に通過させるもののトナーは実質通過させない特性を備えたものである。このような構成を採用することにより、ポンプ部20bの「谷折り」部が圧縮された際に「谷折り」部内に存在する現像剤にストレスを与えてしまうことを防止することが可能となる。但し、ポンプ部20bの容積増大時に新たな現像剤収容スペースを形成できる点、つまり、現像剤が移動し得る新たな空間を形成し現像剤がより解れ易くなるという点で、上述した図50(a)〜(c)の構成の方がより好ましい。
次に、実施例10の構成について、図52(a)〜(c)を用いて説明する。図52(a)〜(c)は、現像剤補給容器1の拡大断面図を示している。なお、図52(a)〜(c)において、ポンプ以外の構成は、図50及び51に示す構成とほぼ同様であり、同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本例では、図52に示すような「山折り」部と「谷折り」部が周期的に交互に複数形成された蛇腹状のポンプではなく、図52に示すような、折り目が実質無く、膨張と収縮が可能な膜状のポンプ12を採用している。
本例ではこの膜状のポンプ12としてゴム製のものを用いているが、このような例だけではなく、樹脂フィルムなどの柔軟材料を用いても構わない。
このような構成において、カムフランジ部15が回転軸線方向へ往復移動すると、膜状ポンプ12がカムフランジ部15とともに往復運動する。その結果、膜状ポンプ12は、図52(b)、(c)に示すように、カムフランジ部15の往復動(ω方向、γ方向)に連動して伸縮することになり、ポンピング動作が行われることになる。
以上のように、本例においても、1つのポンプ12で吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口21aを介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例においても、実施例2〜9と同様に、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力を現像剤補給容器1においてポンプ部12を動作させる方向の力へ変換する構成を採用したことにより、ポンプ部12を適切に動作させることが可能となる。
次に、実施例11の構成について図53(a)〜(e)を用いて説明する。図53の(a)は現像剤補給容器1の概略斜視図、(b)は現像剤補給容器1の拡大断面図、(c)〜(e)は駆動変換機構の概略拡大図を示している。本例では、上述した例と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本例では、ポンプ部を回転軸線方向と直交する方向に往復動させる点が、上記例と大きく異なる点である。
(駆動変換機構)
本例では、図53(a)〜(e)に示すように、フランジ部21に、つまり、排出部21hの上部に蛇腹タイプのポンプ部21fが接続されている。更に、ポンプ部21fの上端部には駆動変換部として機能するカム突起21gが接着、固定されている。一方、現像剤収容部20の長手方向一端面には、カム突起21gが嵌り込む関係となる駆動変換部として機能するカム溝20eが形成されている。
また、現像剤収容部20は、図53(b)に示すように、排出部21h側の端部がフランジ部21の内面に設けられたシール部材27を圧縮した状態で、排出部21hに対して相対回転可能に固定されている。
また、本例でも、現像剤補給容器1の装着動作に伴い、排出部21hの両側面部(回転軸線方向Xと直交する方向における両端面)が現像剤補給装置8により保持される構成となっている。従って、現像剤補給時に、排出部21hの部位が実質回転しないように固定された状態となる。
また、現像剤補給容器1の装着動作に伴い、排出部21hの外底面部に設けられた凸部21jが装着部8fに設けられた凹部により係止される構成となっている。従って、現像剤補給時に、排出部21hが回転軸線方向へ実質移動しないように固定された状態となる。
ここで、カム溝20eの形状は、図53(c)〜(e)に示すように楕円形状となっており、このカム溝20eに沿って移動するカム突起21gは、現像剤収容部20の回転軸線からの距離(径方向への最短距離)が変化するように構成されている。
また、図53(b)に示すように、円筒部20kから螺旋状の凸部(搬送部)20cにより搬送されてきた現像剤を、排出部21hへと搬送するための板状の仕切り壁32が設けられている。この仕切り壁32は、現像剤収容部20の一部の領域を略2分割するように設けられており、現像剤収容部20とともに一体的に回転する構成とされている。そして、この仕切り壁32にはその両面に現像剤補給容器1の回転軸線方向に対し傾斜した傾斜突起32aが設けられている。この傾斜突起32aは排出部21hの入口部に接続されている。
従って、搬送部20cにより搬送されてきた現像剤は、円筒部20kの回転に連動してこの仕切り壁32により重力方向下方から上方へと掻き上げられる。その後、円筒部20kの回転が進むに連れて重力によって仕切り壁32表面上を滑り落ち、やがて傾斜突起32aによって排出部21h側へと受け渡される。この傾斜突起32aは、円筒部20kが半周する毎に現像剤が排出部21hへと送り込まれるように、仕切り壁32の両面に設けられている。
(現像剤補給工程)
次に、本例の現像剤補給容器1の現像剤補給工程について説明する。
操作者により現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着されると、フランジ部21(排出部21h)は現像剤補給装置8により回転方向及び回転軸線方向への移動が阻止された状態になる。また、ポンプ部21fとカム突起21gはフランジ部21に固定されているため、同様に、回転方向及び回転軸線方向への移動が阻止された状態となる。
そして、駆動ギア300(図32、図33参照)からギア部20aに入力された回転駆動力により現像剤収容部20が回転し、カム溝20eも回転する。一方、回転しないように固定されているカム突起21gはカム溝20eからカム作用を受けることから、ギア部20aに入力された回転駆動力がポンプ部21fを上下方向に往復移動させる力へと変換される。ここで、図53(d)は、カム突起21gがカム溝20eにおける楕円とその長軸Laの交点(図53(c)のY点)に位置することでポンプ部21fが最も伸張された状態を示している。一方、図53(e)は、カム突起21gがカム溝20eにおける楕円とその短軸Lbの交点(同じくZ点)に位置することでポンプ部21fが最も圧縮された状態を示している。
このような、図53(d)と図53(e)の状態を交互に所定の周期で繰り返すことで、ポンプ部21fによる吸排気動作が行われる。つまり、現像剤の排出動作が円滑に行われる。
このように、円筒部20kが回転するに連れて搬送部20c及び傾斜突起32aにより現像剤が排出部21hへと搬送され、排出部21h内にある現像剤は最終的にポンプ部21fによる吸排気動作により排出口21aから排出される。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例においても、実施例2〜10と同様に、現像剤補給装置8からギア部20aが回転駆動力を受けることにより、搬送部20c(円筒部20k)の回転動作とポンプ部21fの往復動作の両方を行うことが可能となる。
また、本例のように、ポンプ部21fを排出部21hの重力方向上部(現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着された状態のとき)に設けたことで、実施例2に比して、ポンプ部21f内に残留してしまう現像剤の量を可及的に少なくすることが可能となる。
なお、本例では、ポンプ部21fとして蛇腹状のポンプを採用しているが、実施例10で説明した膜状ポンプをポンプ部21fとして採用しても構わない。
また、本例では駆動伝達部としてのカム突起21gをポンプ部21fの上面に接着剤にて固定しているが、カム突起21gをポンプ部21fに固定しなくても良い。例えば、従来公知のパッチン止めや、カム突起3gを丸棒状に、ポンプ部3fに丸棒状のカム突起3gが嵌入可能な丸穴形状を設ける、と言った構成でも構わない。このような例であっても同様の効果を奏することが可能である。
次に、実施例12の構成について、図54〜図56を用いて説明する。図54の(a)は現像剤補給容器1の概略斜視図、(b)はフランジ部21の概略斜視図、(c)は円筒部20kの概略斜視図、図55(a)、(b)は現像剤補給容器1の拡大断面図、図56はポンプ部21fの概略図を示している。本例では、上述した例と同様な構成に関しては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本例では、ポンプ部を復動作させる方向の力へ変換することなく往動作させる方向の力へ回転駆動力を変換する点が、上記例と大きく異なる点である。
本例では、図54〜図56に示すように、フランジ部21の円筒部20k側の側面に、蛇腹タイプのポンプ部21fが設けられている。また、この円筒部20kの外周面にはギア部20aが全周に亘って設けられている。さらに、円筒部20kの排出部21h側の端部には、円筒部20kの回転によりポンプ部21fと当接することでポンプ部21fを圧縮させる圧縮突起20lが約180°対向する位置に2つ設けられている。これらの圧縮突起20lの回転方向下流側の形状は、ポンプ部21fへの当接時のショックを軽減させるため、ポンプ部21fを徐々に圧縮させるようにテーパ状とされている。一方、圧縮突起20lの回転方向上流側の形状は、ポンプ部21fを自らの弾性復帰力により瞬時に伸張させるため、円筒部20kの回転軸線方向と実質平行となるように円筒部20kの端面から垂直な面形状とされている。
また、実施例7と同様に、円筒部20k内には、螺旋状の凸部20cにより搬送されてきた現像剤を排出部21hへ搬送するための板状の仕切り壁32が設けられている。
次に、本例の現像剤補給容器1の現像剤補給工程について説明する。
現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着された後、現像剤補給装置8の駆動ギア300からギア部20aに入力された回転駆動力により現像剤収容部20である円筒部20kが回転し、圧縮突起20lも回転する。その際、圧縮突起20lがポンプ部21fと当接すると、図55(a)に示すように、ポンプ部21fは矢印γの方向に圧縮され、それにより排気動作が行われる。
一方、更に円筒部20kの回転が進行し、圧縮突起20lとポンプ部21fの当接が解除されると、図55(b)に示すように、ポンプ部21fは自己復元力により矢印ω方向に伸張されて元の形状に復帰し、それにより吸気動作が行われる。
このような、図55(a)と(b)の状態を交互に所定の周期で繰り返すことで、ポンプ部21fによる吸排気動作が行われる。つまり、現像剤の排出動作が円滑に行われる。
このように、円筒部20kが回転するに連れて螺旋状の凸部(搬送部)20c及び傾斜突起(搬送部)32a(図53参照)により現像剤が排出部21hへと搬送される。そして、排出部21h内にある現像剤は最終的にポンプ部21fによる排気動作により排出口21aから排出される。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例においても、実施例2〜11と同様に、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力により、現像剤補給容器1の回転動作とポンプ部21fの往復動作の両方を行うことができる。
なお、本例では、ポンプ部21fは圧縮突起20lとの当接により圧縮され、当接が解除されることでポンプ部21fの自己復元力により伸張する構成とされているが、逆の構成としても構わない。
具体的には、ポンプ部21fが圧縮突起20lに当接した際に両方が係止するように構成し、円筒部20kの回転が進行するに連れてポンプ部21fが強制的に伸張される。そして、更に円筒部20kの回転が進行して係止が解除されると、ポンプ部21fが自己復元力(弾性復帰力)により元の形状に復帰する。これにより吸気動作と排気動作が交互に行われる構成である。
また、本例の場合、ポンプ部21fが長期間に亘り複数回伸縮動作を繰り返すことでポンプ部21fの自己復元力が低下してしまう恐れがあるので、上記した実施例2〜11の構成の方がより好ましい。または、図56に示す構成を採用することにより、このような問題に対処することが可能である。
図56に示すように、ポンプ部21fの円筒部20k側の端面に圧縮板20qが固定されている。また、フランジ部21の外面と圧縮板20qとの間に、付勢部材として機能するバネ20rがポンプ部21fを覆うように設けられている。このバネ20rは、ポンプ部21fに常時伸張方向への付勢をかけるように構成されている。
このような構成とすることにより、圧縮突起20lとポンプ部21fの当接が解除された際のポンプ部21fの自己復元を補助することができるため、ポンプ部21fの伸縮動作を長期間に亘り複数回行った場合でも確実に吸気動作を実行させることができる。
なお、本例では、駆動変換機構として機能する圧縮突起20lを約180°対向するように2つ設けているが、設置個数についてはこのような例に限らず、1つ設ける場合や3つ設ける場合などとしても構わない。また。圧縮突起を1つ設ける代わりに、駆動変換機構として次のような構成を採用しても構わない。例えば、円筒部20kのポンプ部21fと対向する端面の形状を、本例のように円筒部20kの回転軸線に垂直な面とはせずに回転軸線に対し傾斜した面とする場合である。この場合、この傾斜面がポンプ部21fに作用するように設けられることから、圧縮突起と同等な作用を施すことが可能である。また、例えば、円筒部20kのポンプ部21fと対向する端面の回転中心からポンプ部21fに向けて回転軸線方向へ軸部を延出させ、この軸部に回転軸線に対し傾斜した斜板(円盤状の部材)を設けた場合である。この場合、この斜板がポンプ部21fに作用するように設けられることから、圧縮突起と同等な作用を施すことが可能である。
次に、実施例13の構成について、図57(a)〜(b)を用いて説明する。図57の(a)〜(b)は現像剤補給容器の1を模式的に表す断面図を示している。
本例では、ポンプ部21fを円筒部20kに設け、このポンプ部21fが円筒部20kとともに回転する構成となっている。さらに、本例では、ポンプ部21fに設けた錘20vにより、ポンプ部21fが回転に伴い往復動を行う構成となっている。本例のその他の構成は、実施例11(図53)と同様であり、同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
図57(a)に示すように、現像剤補給容器1の現像剤収容スペースとして、円筒部20k、フランジ部21、ポンプ部21fが機能する。また、ポンプ部21fは円筒部20kの外周部に接続されており、ポンプ部21fによる作用が円筒部20k及び排出部21hに生じるように構成されている。
次に、本例の駆動変換機構について説明する。
円筒部20kの回転軸線方向一端面に駆動入力部として機能するカップリング部(四角形状の凸部)20aが設けられており、このカップリング部20aが現像剤補給装置8より回転駆動力を受ける。また、ポンプ部21fの往復動方向一端の上面には錘20vが固定されている。本例では、この錘20vが駆動変換機構として機能する。
つまり、円筒部20kとともにポンプ部21fが一体的に回転するのに伴い、ポンプ部21fが錘20vの重力作用により上下方向に伸縮を行う。
具体的には、図57(a)は、錘がポンプ部21fよりも重力方向上側に位置しており、錘20vの重力作用(白抜き矢印)によりポンプ部21fが収縮している状態を示している。このとき、排出口21aから排気、つまり、現像剤の排出が行われる(黒塗り矢印)。
一方、図57(b)は、錘20vがポンプ部21fよりも重力方向下側に位置しており、錘20vの重力作用(白抜き矢印)によりポンプ部21fが伸張している状態を示している。このとき、排出口21aから吸気が行われ(黒塗り矢印)、現像剤が解される。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口を介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例においても、実施例2〜12と同様に、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力により、現像剤補給容器1の回転動作とポンプ部21fの往復動作の両方を行うことができる。
なお、本例の場合、ポンプ部21fが円筒部20kを中心に回転する構成とされているので、現像剤補給装置8の装着部8fのスペースが大きくなり、装置が大型化してしまうことから、実施例2〜12の構成の方がより好ましい。
次に、実施例14の構成について、図58〜60を用いて説明する。ここで図58の(a)は円筒部20kの斜視図、(b)はフランジ部21の斜視図を示している。図59の(a)〜(b)は現像剤補給容器1の部分断面斜視図であり、特に、(a)は回転シャッタが開いた状態、(b)は回転シャッタが閉まった状態を示している。図60はポンプ部21fの動作タイミングと回転シャッタの開閉タイミングの関係を示すタイミングチャートである。なお、図60において、「収縮」はポンプ部21fによる排気工程を表し、「伸張」はポンプ部21fによる吸気工程を表している。
本例は、ポンプ部21fの伸縮動作中において排出室21hと円筒部20kとの間を仕切る機構を設けた点が、上述の例と大きく異なる点である。つまり、本例では、円筒部20kと排出部21hのうちポンプ部21fの容積変化に伴う圧力変動が排出部21hに選択的に生じるように円筒部20kと排出部21hとの間を仕切るように構成している。
なお、排出部21h内は後述するように円筒部20k内から搬送されてきた現像剤を受入れる現像剤収容部としての機能を持つ。本例の上記の点以外の構成は、実施例11(図53)とほぼ同様であり、同様な構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
図58(a)に示すように、円筒部20kの長手方向一端面は、回転シャッタとしての機能を有している。つまり、円筒部20kの長手方向一端面には、フランジ部21へ現像剤を排出するための連通開口20uと閉止部20hが設けられている。この連通開口20uは扇形形状となっている。
一方、フランジ部21には、図58(b)に示すように、円筒部20kからの現像剤を受入れるための連通開口21kが設けられている。この連通開口21kは連通開口20uと同様に扇形形状となっており、連通開口21kと同一面上におけるそれ以外の部分は閉じられた閉止部21mとなっている。
図59(a)〜(b)は、上述の図58(a)に示す円筒部20kと図58(b)に示すフランジ部21を組み立てた状態のものである。連通開口20u、連通開口21kの外周面はシール部材27を圧縮するよう接続されており、円筒部20kが固定されたフランジ部21に対して相対回転可能となるように接続されている。
このような構成において、ギア部20aが受けた回転駆動力により円筒部20kが相対回転すると、円筒部20kとフランジ部21との間の関係が連通状態と非通連状態とに交互に切り替わる。
つまり、円筒部20kの回転に伴い、円筒部20kの連通開口20uがフランジ部21の連通開口21kと位置が合致し連通した状態(図59(a))となる。そして、円筒部20kの更なる回転に伴い、円筒部20kの連通開口20uの位置がフランジ部21の連通開口21kの位置と合わずに、フランジ部21が仕切られてフランジ部21を実質密閉空間にする非連通な状態(図59(b))に切り替わる。
このような、少なくともポンプ部21fの伸縮動作時において排出部21hを隔離させる仕切り機構(回転シャッタ)を設けるのは以下の理由によるものである。
現像剤補給容器1からの現像剤の排出は、ポンプ部21fを収縮させることにより現像剤補給容器1の内圧を大気圧よりも高めることで行っている。従って、上述した実施例2〜12のように仕切り機構がない場合、その内圧変化の対象となる空間がフランジ部21の内部空間だけでなく円筒部20kの内部空間も含まれ、ポンプ部21fの容積変化量を大きくせざるを得なくなるからである。
これは、ポンプ部21fが収縮する直前における現像剤補給容器1の内部空間の容積に対する、ポンプ部21fが収縮し切った直後における現像剤補給容器1の内部空間の容積の割合に、内圧が依存しているからである。
それに対し、仕切り機構を設けた場合、フランジ部21から円筒部20kへの空気の移動がないため、フランジ部21の内部空間のみを対象にすればよくなる。つまり、同じ内圧値にするのであれば、元の内部空間の容積量が小さい方がポンプ部21fの容積変化量を小さくすることができるからである。
本例では、具体的には、回転シャッタにて仕切られた排出部3hの容積を40cm3とすることで、ポンプ部3fの容積変化量(往復移動量)を2cm3(実施例2の構成では15cm3)としている。このような少ない容積変化量であっても、実施例2と同様に、充分な吸排気効果による現像剤補給を行うことが可能である。
このように、本例では、上述の実施例2〜13の構成に比して、ポンプ部21fの容積変化量を可及的に小さくすることが可能となるのである。その結果、ポンプ部21fの小型化が可能となる。また、ポンプ部21fを往復動させる距離(容積変化量)を短く(小さく)することが可能となる。特に、現像剤補給容器1への現像剤の充填量を多くするため円筒部20kの容量を大きくする構成の場合、このような仕切り機構を設けることは効果的である。
次に、本例の現像剤補給工程について説明する。
現像剤補給容器1が現像剤補給装置8に装着され、フランジ部21が固定された状態で駆動ギア300からギア部20aに駆動が入力されることで円筒部20kが回転し、カム溝20eも回転する。一方、フランジ部21とともに現像剤補給装置8に回転不可に保持されているポンプ部21fに固定されたカム突起21gはカム溝20eからカム作用を受ける。従って、円筒部20kの回転に伴い、ポンプ部21fが上下方向へ往復動する。
このような構成において、ポンプ部21fのポンピング動作(吸気動作、排気動作)のタイミングと回転シャッタの開閉タイミングについて、図60を用いて説明する。図60は円筒部20kが1回転する際のタイミングチャートである。なお、図60において、「収縮」はポンプ部21fの収縮動作(ポンプ部21fによる排気動作)が行われているとき、「伸張」はポンプ部21fの伸張動作(ポンプ部21fによる吸気動作)が行われているときを示している。また、「停止」はポンプ部21fが動作を停止しているときを示している。また、「連通」は回転シャッタが開いているとき、「非連通」は回転シャッタが閉じているときを示している。
まず、図60に示すように、駆動変換機構は、連通開口21kと連通開口20uの位置が合致し連通状態となっているとき、ポンプ部21fによるポンピング動作が停止するように、ギア部20aに入力された回転駆動力を変換する。具体的には、本例では、連通開口21kと連通開口20uが連通している状態のとき、円筒部20kが回転してもポンプ部21fが動作しないように、円筒部20kの回転中心からカム溝20eまでの半径距離を同一とするように設定されている。
このとき、回転シャッタが開位置に位置しているので、円筒部20kからフランジ部21への現像剤の搬送が行われる。具体的には、円筒部20kの回転に伴い、現像剤が仕切り壁32によって掻き上げられ、その後、重力によって傾斜突起32a上を滑り落ちることで、現像剤が連通開口20uと連通開口21kを通ってフランジ部21へと移動する。
次に、図60に示すように、駆動変換機構は、連通開口21kと連通開口20uの位置がずれて非連通状態となっているとき、ポンプ部21fによるポンピング動作が行われるように、ギア部20aに入力された回転駆動力を変換する。
つまり、円筒部20kの更なる回転に伴い、連通開口21kと連通開口20uの回転位相がずれることで、閉止部20hにより連通開口21kが閉止され、フランジ部21の内部空間が隔離された非連通状態となる。
そして、このとき、円筒部20kの回転に伴い、非連通状態を維持させたままで(回転シャッタが閉位置に位置している)、ポンプ部21fを往復動させる。具体的には、円筒部20kの回転によりカム溝20eも回転し、その回転に対して円筒部20kの回転中心からカム溝20eまでの半径距離が変化する。それにより、カム作用を受けてポンプ部21fがポンピング動作を行う。
その後、更に円筒部20kが回転すると、再び連通開口21kと連通開口20uの回転位相が重なり、円筒部20kとフランジ部21が連通した状態となる。
以上の流れを繰り返しながら、現像剤補給容器1からの現像剤補給工程が行われる。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口21aを介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例においても、現像剤補給装置8からギア部20aが回転駆動力を受けることにより、円筒部20kの回転動作とポンプ部21fによる吸排気動作の両方を行うことができる。
さらに、本例の構成によれば、ポンプ部21fの小型化が可能となる。また、ポンプ部21fの容積変化量(往復移動量)を小さくすることが可能となり、その結果、ポンプ部21fを往復動させるのに要する負荷を小さくすることが可能となる。
また、本例では、回転シャッタを回転動作させる駆動力を現像剤補給装置8から別途受ける構成とせずに、搬送部(円筒部20k、螺旋状の凸部20c)のために受ける回転駆動力を利用していることから、仕切り機構の簡易化も図ることが可能である。
また、ポンプ部21fの容積変化量が、円筒部20kを含めた現像剤補給容器1の全容積に依存することなく、フランジ部21の内部容積により設定可能であることは上述した通りである。従って、例えば、現像剤充填量が異なる複数種類の現像剤補給容器を製造するにあたりこれに対応するべく円筒部20kの容量(径)を変えた場合には、コストダウン効果をも見込むことができる。つまり、ポンプ部21fを含めたフランジ部21を共通のユニットとして構成し、このユニットを複数種類の円筒部20kに対して共通に組み付ける構成とすることにより、製造コストを削減することが可能となる。つまり、共通化をしない場合に比べて、金型の種類を増やす必要が無いなど、製造コストを削減することが可能となる。なお、本例では、円筒部20kとフランジ部21とが非連通状態の間に、ポンプ部21fを1周期分往復動させる例としたが、実施例2と同様に、この間に複数周期分ポンプ部21fを往復動させても構わない。
また、本例では、ポンプ部の収縮動作及び伸張動作の間中、ずっと排出部21hを隔離する構成としているが、以下のような構成としても構わない。つまり、ポンプ部21fの小型化やポンプ部21fの容積変化量(往復移動量)を小さくできるのであれば、ポンプ部の収縮動作及び伸張動作の間に、僅かに排出部21hを開放させても構わない。
次に、実施例15の構成について、図61〜63を用いて説明する。ここで図61は現像剤補給容器1の部分断面斜視図。図62の(a)〜(c)は仕切り機構(仕切り弁35)の動作状況を示す部分断面である。図63は、ポンプ部21fのポンピング動作(収縮動作、伸張動作)のタイミングと後述する仕切り弁35の開閉タイミングを示すタイミングチャートである。なお、図63において、「収縮」はポンプ部21fの収縮動作(ポンプ部21fによる排気動作)が行われているとき、「伸張」はポンプ部21fの伸張動作(ポンプ部21fによる吸気動作)が行われているときを示している。また、「停止」はポンプ部21fが動作を停止しているときを示している。また、「開放」は仕切り弁35が開いているとき、「閉鎖」は仕切り弁35が閉じているときを示している。
本例は、ポンプ部21fの伸縮時において排出部21hと円筒部20kとの間を仕切る機構として仕切り弁35を設けた点が、上述の例と大きく異なる点である。本例の上記の点以外の構成は、実施例9(図50及び51)とほぼ同様であり、同様な構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。なお、本例では、図50及び51に示す実施例9の構成に対し、実施例11に係る図53に示す板状の仕切り壁32が設けられている。
上述した実施例14では円筒部20kの回転を利用した仕切り機構(回転シャッタ)を採用しているが、本例ではポンプ部21fの往復動を利用した仕切り機構(仕切り弁)を採用している。以下、詳細に説明する。
図61に示すように、排出部3hが円筒部20kとポンプ部21fの間に設けられている。そして、排出部3hの円筒部20k側には壁部33が設けられ、更に壁部33から図中左側の下方に排出口21aが設けられている。そして、この壁部33に形成された連通口33a(図62参照)を開閉する仕切り機構として機能する仕切り弁35と弾性体(以下、シール)34が設けられている。仕切り弁35は、ポンプ部21fの内部の一端側(排出部21hとは反対側)に固定されており、ポンプ部21fの伸縮動作に伴って現像剤補給容器1の回転軸線方向に往復移動する。また、シール34は、仕切り弁35に固定されており、仕切り弁35の移動に伴って一体的に移動する。
次に、現像剤補給工程における仕切り弁35の動作について、図62(a)〜(c)を用いて詳細を説明する(必要に応じて図63参照)。
図62(a)はポンプ部21fが最大限伸張した状態を示しており、仕切り弁35は排出部21hと円筒部20kとの間に設けられた壁部33から離間している。このとき、円筒部20k内の現像剤は、円筒部20kの回転に伴い、傾斜突起32aにより連通口33aを介して排出部21h内へと受け渡される(搬送される)。
その後、ポンプ部21fが収縮すると、図62(b)に示す状態となる。このとき、シール34は壁部33に当接し、連通口33aを閉鎖した状態となる。つまり、排出部21hが円筒部20kから隔離された状態となる。
そこから、更に、ポンプ部21fが収縮すると、図62(c)に示すポンプ部21fが最大限収縮した状態になる。
図62(b)に示す状態から図62(c)に示す状態までの間は、シール34が壁部33に当接したままであるので、排出部21hの内圧が加圧されて大気圧よりも高い正圧状態となり、排出口21aから現像剤が排出される。
その後、ポンプ部21fの伸張動作に伴い、図62(c)に示す状態から図62(b)に示す状態までの間は、シール34が壁部33に当接したままであるので、排出部21hの内圧が減圧されて大気圧よりも低い負圧状態となる。つまり、排出口21aを介して吸気動作が行われる。
ポンプ部21fが更に伸張すると、図62(a)に示す状態に戻る。本例では、以上の動作を繰り返すことで、現像剤補給工程が行われる。このように、本例では、ポンプ部の往復動作を利用して仕切り弁35を移動させているため、ポンプ部21fの収縮動作(排気動作)の初期と伸張動作(吸気動作)の後期の期間は仕切り弁が開いた状態となっている。
ここで、シール34について詳述する。このシール34は、壁部33に当接することにより排出部21hの密閉性を確保しつつ、ポンプ部21fの収縮動作に伴い圧縮されるものであることから、シール性と柔軟性を兼ね備えた材質のものを用いるのが好ましい。本例においては、そのような特性を備えた発泡ポリウレタン(株式会社イノアックコーポレーション社製、商品名:モルトプレンSM−55:厚さ5mm)を使用しており、ポンプ部21fの最大収縮時の厚さが2mm(圧縮量3mm)となるように設定されている。
このように、ポンプ部21fによる排出部21hに対する容積変動(ポンプ作用)については、実質、シール34が壁部33に当接後3mm圧縮されるまでの間に限られるが、仕切り弁35により限られた範囲に限定してポンプ部21fを作用させることができる。そのため、このような仕切り弁35を用いたとしても、現像剤の安定した排出が可能となる。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口21aを介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例においても、実施例2〜14と同様に、現像剤補給装置8からギア部20aが回転駆動力を受けることにより、円筒部20kの回転動作とポンプ部21fによる吸排気動作の両方を行うことができる。
さらに、実施例14と同様に、ポンプ部21fの小型化やポンプ部21fの容積変化量を小さくすることが可能となる。また、ポンプ部の共通化によるコストダウンメリットも見込まれる。
また、本例では、現像剤補給装置8から仕切り弁35を動作させる駆動力を別途受ける構成とせずに、ポンプ部21fの往復動力を利用していることから、仕切り機構の簡易化を図ることが可能である。
次に、実施例16の構成について、図64(a)〜(c)を用いて説明する。ここで、図64の(a)は現像剤補給容器1の部分断面斜視図、(b)はフランジ部21の斜視図、(c)は現像剤補給容器の断面図を示している。
本例は、排出室21hと円筒部20kとの間を仕切る機構としてバッファ部23を設けた点が、上述の例と大きく異なる点である。本例の上記の点以外の構成は、実施例11(図53)とほぼ同様であり、同様な構成については同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
図64(b)に示すように、バッファ部23が、フランジ部21に、回転不可となるように固定された状態で設けられている。このバッファ部23には、上方に開口した受入れ口23aと、排出部21hと連通した供給口23bが設けられている。
このようなフランジ部21が、図64(a)、(c)に示すように、バッファ部23が円筒部20k内に位置するように、円筒部20kに組み付けられる。また、円筒部20kは、現像剤補給装置8に移動不可に保持されたフランジ部21に対して、相対回転可能となるようにフランジ部21に接続されている。この接続部には、リング状のシールが組み込まれており、エアーや現像剤の漏れを防止する構成となっている。
また、本例では、図64(a)に示すように、バッファ部23の受入れ口23aに向けて現像剤を搬送するため、傾斜突起32aが仕切り壁32に設置されている。
本実施形態では、現像剤補給容器1の現像剤補給動作が終了するまで、現像剤収容部20内の現像剤は現像剤補給容器1の回転に合わせて仕切り壁32及び傾斜突起32aにより開口部23aからバッファ部23内に受け渡される。
従って、図64(c)に示すように、バッファ部23の内部空間が現像剤で満たされた状態を維持することができる。
その結果、バッファ部23の内部空間を満たすように存在する現像剤が、円筒部20kから排出部21hへの空気の移動を実質遮ることになり、バッファ部23は仕切り機構としての役割を果たすことになる。
従って、ポンプ部21fが往復動作する際には、少なくとも、排出部21hを円筒部20kから隔離させた状態とすることが可能となり、ポンプ部の小型化やポンプ部の容積変化量を少なくすることが可能となる。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口21aを介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例においても、実施例2〜15と同様に、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力により、搬送部20c(円筒部20k)の回転動作とポンプ部21fの往復動作の両方を行うことができる。
さらに、実施例14〜15と同様に、ポンプ部の小型化やポンプ部の容積変化量を小さくすることが可能となる。また、ポンプ部の共通化によるコストダウンメリットも見込まれる。
また、本例では、仕切り機構として現像剤を利用していることから、仕切り機構の簡易化を図ることが可能である。
次に、実施例17の構成について、図65〜66を用いて説明する。ここで、図65の(a)は現像剤補給容器1の斜視図であり、(b)は現像剤補給容器1の断面図、図66はノズル部47を示す断面斜視図を示している。
本例では、ポンプ部20bにノズル部47を接続しこのノズル部47に一旦吸入した現像剤を排出口21aから排出させており、この構成が上述した実施例と大きく異なるところである。本例のその他の構成については、前述した実施例11とほぼ同様であり、同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
図65(a)に示すように、現像剤補給容器1は、フランジ部21と現像剤収容部20より構成されている。この現像剤収容部20は円筒部20kより構成されている。
円筒部20k内には、図65(b)に示すように、搬送部として機能する仕切り壁32が、回転軸線方向の全域に亘って設けられている。この仕切り壁32の一端面には、傾斜突起32aが回転軸線方向の異なる位置に複数設けられており、回転軸線方向一端側から他端側(フランジ部21に近い側)に向けて現像剤を搬送する構成となっている。また、傾斜突起32aは、仕切り壁32の他端面にも、同様に、複数設けられている。さらに、隣り合う傾斜突起32a間には現像剤の通過を許す貫通口32bが設けられている。この貫通口32bは現像剤を攪拌するためのものである。なお、搬送部の構成としては他の例で示したような、円筒部2k内にらせん状の突起2cとフランジ部3に現像剤を送り込むための仕切り壁6を組み合わせたものであっても構わない。次に、ポンプ部20bを含むフランジ部21について詳述する。
フランジ部21は、円筒部20kに対して小径部49、及びシール部材48を介して相対回転可能に接続されている。フランジ部21は現像剤補給装置8に装着された状態においては、現像剤補給装置8に移動不可となるように(回転動作及び往復動作ができないように)保持される。
更に、フランジ部21内には、図66に示すように、円筒部20kから搬送された現像剤を受入れる、補給量調整部(以下流量調整部とも言う)52が設けられている。更に、補給量調整部52内にはポンプ部20bから排出口21a方向に向けて延在するノズル部47が設けられている。また、ギア部20aが受けた回転駆動を往復動力に変換する駆動変換機構によりポンプ部20bが上下方向に駆動される。従って、ノズル部47は、ポンプ部20bの容積変化に伴い、補給量調整部52内の現像剤を吸入するとともにこれを排出口21aから排出させる構成となっている。
次に、本例におけるポンプ部20bへの駆動伝達の構成について説明する。
前述の通り、駆動ギア300からの回転駆動を、円筒部20kに設けられたギア部20aで受ける事で、円筒部20kが回転する。更に、円筒部20kの小径部49に設けられたギア部42を介してギア部43に回転駆動が伝達される。ここで、ギア部43には、ギア部43と一体で回転するシャフト部44が設けられている。
シャフト部44の一端はハウジング46に回転可能に軸支されている。また、シャフト部44のポンプ部20bに相対する位置には偏心カム45が設けられ、伝達された回転力により偏心カム45が回転中心(シャフト44の回転中心)からの距離を異にする軌跡で回転することで、ポンプ部20bを押し下げる(容積を縮める)。この押し下げにより、ノズル部47内の現像剤が排出口21aを通して排出される。
また、偏心カム45による押し下げ力が無くなると、ポンプ部20bの復元力によりポンプ部20bは元の位置に戻る(容積が広がる)。このポンプ部の復元(容積増加)により、排出口21aを介して吸気動作が行われ、排出口21a近傍に位置する現像剤に対して解し作用を施すことが可能となる。
以上の動作を繰り返すことで、ポンプ部20bの容積変化により、現像剤を効率的に排出する構成となっている。なお、前述した通り、ポンプ部20bにバネ等の付勢部材を設け、復元時(若しくは押し下げ時)のサポートをする構成とすることも可能である。
次に、中空の円錐状のノズル部47について更に詳しく述べる。ノズル部47には、外周部に開口53が設けられており、また、ノズル部47には、その先端側に排出口21aに向けて現像剤を吐出する吐出口54を有する構成となっている。
現像剤補給工程の際に、ノズル部47の少なくとも開口53が補給量調整部52内の現像剤層中に侵入した状態を作り出すことで、ポンプ部20bにより生じる圧力を補給量調整部52内の現像剤に効率的に作用させる効果を発揮する。
つまり、補給量調整部52内(ノズル47周囲の)の現像剤が、円筒部20kとの仕切り機構の役割を果たすため、ポンプ部20bの容積変化の効果を補給量調整部52内と言う限定された範囲において発揮させることが可能となる。
このような構成とすることで、実施例14〜16の仕切り機構と同様に、ノズル部47が同様な効果を奏することが可能となる。
以上のように、本例においても、1つのポンプで吸気動作と排気動作を行うことができるので、現像剤排出機構の構成を簡易にすることができる。さらに、排出口21aを介した吸気動作により現像剤補給容器内を減圧状態(負圧状態)にできることから、現像剤を効率良く解すことが可能となる。
また、本例においても、実施例2〜16と同様に、現像剤補給装置8から受けた回転駆動力により、現像剤収容部20(円筒部20k)の回転動作とポンプ部20bの往復動作の両方を行うことができる。また、実施例14〜16と同様に、ポンプ部20bやノズル部47を含むフランジ部21の共通化によるコストメリットも見込める。
なお、本例では、実施例14〜15の構成のように現像剤と仕切り機構とが互いに摺擦する関係とならず、現像剤へのダメージを回避することが可能となる。
〔比較例〕
次に、比較例について、図67を用いて説明する。図67(a)は現像剤補給容器150にエアーを送り込んでいる状態を示す断面図、図67(b)は現像補給容器150からエアー(現像剤)を排出させている状態を示す断面図である。また、図67(c)は貯留部123からホッパ8gへ現像剤を搬送している状態を示す断面図、図67(d)はホッパ8gから貯留部123へエアーを取り込んでいる状態を示す断面図である。また、本比較例では、上述した参考例、実施例と同様な機能を奏するものについては同符号を付すことで詳細な説明を省略する。
本比較例では、現像剤補給容器150側ではなく、現像剤補給装置180側に吸排気を行うポンプ、具体的には、容積可変型のポンプ122が設けられている。
本比較例の現像剤補給容器150は、参考例1で説明した図9に示す現像剤補給容器1からポンプ2、係止部3を省き、その代わりに、ポンプ2との接続部である容器本体1aの上面が塞がれた構成となっている。つまり、現像剤補給容器150は、容器本体1a、排出口1c、フランジ部1g、シール部材4、シャッタ5を備えている。(図67では省略)
また、本比較例の現像剤補給装置180は、参考例1で説明した図3、5に示す現像剤補給装置8から係止部材9やこの係止部材9を駆動するための機構を省き、その代わりに、後述するポンプ、貯留部、弁機構等が追加された構成となっている。
具体的には、現像剤補給装置180には、吸排気を行う容積可変型の蛇腹状のポンプ122、現像剤補給容器150とホッパ8gとの間に位置し現像剤補給容器150から排出されてきた現像剤を一時的に貯留する貯留部123が設けられている。
この貯留部123には、現像剤補給容器150との接続を行うための補給パイプ部126と、ホッパ8gとの接続を行うための補給パイプ部127が連結されている。また、ポンプ122は、現像剤補給装置180に設けられたポンプ駆動機構により往復動作(伸縮動作)が行われる。
さらに、現像剤補給装置180は、貯留部123と現像剤補給容器150側の補給パイプ部126との連結部に設けられた弁125と、貯留部123とホッパ8g側の補給パイプ部127との連結部に設けられた弁124を有している。これらの弁124、125は、電磁弁とされ、現像剤補給装置180に設けられた弁駆動機構により開閉動作が行われる。
このように、現像剤補給装置180側にポンプ122を設けた本比較例の構成における現像剤排出工程について説明する。
まず、図67(a)に示すように、弁駆動機構を作動させて弁124を閉める一方、弁125を開ける。この状態で、ポンプ駆動機構によりポンプ122を縮ませる。このときポンプ122の収縮動作により貯留部123の内圧が上昇し、貯留部123から現像剤補給容器150内へとエアーが送り込まれる。その結果、現像剤補給容器150内の排出口1c近傍の現像剤が解される。
次に、図67(b)に示すように、弁124が閉められ、且つ弁125が開けられた状態を維持したまま、ポンプ駆動機構によりポンプ122を伸張させる。このとき、ポンプ122の伸張動作により貯留部123の内圧が低下し、現像剤補給容器150内のエアー層の圧力が相対的に高まる。そして、貯留部123と現像剤補給容器150の圧力差により現像剤補給容器150内のエアーが貯留部123に排出される。これに伴い、現像剤補給容器150の排出口1cからエアーとともに現像剤が排出され、貯留部123に一時的に溜められる。
次に、図67(c)に示すように、弁駆動機構を作動させて弁124を開ける一方、弁125を閉める。この状態で、ポンプ駆動機構によりポンプ122を縮ませる。このとき、ポンプ122の収縮動作により貯留部123の内圧が上昇し、貯留部123内の現像剤がホッパ8g内へと搬送、排出される。
次に、図67(d)に示すように、弁124が開けられ、且つ弁125が閉められた状態を維持したまま、ポンプ駆動機構によりポンプ122を伸張させる。このとき、ポンプ122の伸張動作により貯留部123の内圧が低下し、ホッパ8gから貯留部123内にエアーが取り込まれる。
以上説明した図67(a)〜(d)の工程を繰り返すことで、現像剤補給容器150内の現像剤を流動化させつつ、現像剤補給容器150の排出口1cから現像剤を排出させることができる。
しかしながら、この比較例の構成の場合、図67(a)〜(d)に示すような、弁124、125とこれらの弁の開閉を制御する弁駆動機構が必要となってしまう。つまり、この比較例の構成の場合、弁の開閉制御が複雑化してしまう。また、弁とこの弁が突き当たる壁部との間に現像剤が噛み込まれてしまい、現像剤へストレスを与えて凝集塊を生じてしまう可能性が高い。このような状態になると、弁の開閉動作を適切に行うことができなくなり、その結果、現像剤の排出を長期に亘り安定して行うことができなくなってしまう。
また、この比較例では現像剤補給容器150の外部からエアーを供給することに伴い現像剤補給容器150の内圧が加圧状態となり現像剤が凝集してしまうため、前述した検証実験で示した通り(図20と図21の比較)、現像剤を解す効果は極めて小さい。つまり、現像剤を充分に解した上で現像剤補給容器から排出させることができる上述した参考例1〜3、実施例1〜17の方が好ましい。
また、図68に示すように、ポンプ122の代わりに、一軸偏芯ポンプ400を用いて、ローター401の正逆回転により吸排気を行う方法も考えられる。しかし、この場合、現像剤補給容器150から排出された現像剤に対し、ローター401とステーター402の摺擦によりストレスを与えて凝集塊を生じてしまい、画質に影響を及ぼす懸念がある。
以上のように、吸排気を行うポンプを現像剤補給容器1に設ける上述した参考例や実施例の構成の方が、上述の比較例に比して、エアーを利用した現像剤排出機構を簡易化することができる。また、上述した参考例や実施例の構成の方が、図68に示す比較例に比して、現像剤に掛かるストレスを小さくすることができる。