JP6077740B2 - 固体電解質 - Google Patents

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Description

本発明は、固体電解質、並びにそれを用いて製造された電解質層、電極及び電池に関する。
全固体電池の分野において、従来から、硫化物系固体電解質材料が知られている。例えば、特許文献1には、LiSとPを特定のモル比(68:32〜73:27)で混合し、それをメカニカルミリング処理し、熱処理を施すことで、高いイオン伝導度(〜2×10−3S/cm)を有するガラスセラミックス電解質粒子が得られることが報告されている。
しかしながら、特許文献1の材料は水と接触し、硫化水素を発生(加水分解)しやすく、高露点環境での使用に制限がある。
LiSとPを75:25のモル比で混合し、それをメカニカルミリング処理したガラス電解質粒子は加水分解しにくいことが知られている(例えば、特許文献2)。しかしながら、特許文献2の技術では、加水分解性が低減する代わりにイオン伝導度が大きく低下してしまう。
特開2005−228570号公報 特開2010−199033号公報
本発明の目的は、加水分解しにくく、高いイオン伝導度を有する固体電解質を提供することである。
本発明によれば、以下の固体電解質等が提供される。
1.構成成分として、リチウム、リン及び硫黄を含み、
31P−NMRにおいて81.0ppm以上88.0ppm以下の領域にピーク(第1ピーク)を有し、
前記81.0ppm以上88.0ppm以下の領域以外にピークを有さないか、又は有していても前記第1ピークに対するピーク強度比が0.5以下であり、
イオン伝導度が5×10−4S/cm以上である固体電解質。
2.構成成分として、リチウム又はナトリウム、リン並びに硫黄を含み、
イオン伝導度が5×10−4S/cm以上であり、
100mlの容器に0.1gの固体電解質を入れて、この容器に湿度80〜90%の空気を500ml/分で60分間通じたときの前記空気中の硫化水素濃度平均値が200ppm以下である固体電解質。
3.構成成分として、リチウム又はナトリウム、リン並びに硫黄を含むガラスを平均20℃/分以上で昇温して、前記ガラスのガラス転移温度〜結晶化温度+120℃で0.005分〜10時間加熱して得られた2に記載の固体電解質。
4.100mlの容器に0.1gの固体電解質を入れて、この容器に湿度80〜90%の空気を500ml/分で60分間通じたときの前記空気中の硫化水素濃度平均値が200ppm以下である1に記載の固体電解質。
5.構成成分として、さらにハロゲンを含む1〜4のいずれかに記載の固体電解質。
6.1〜5のいずれかに記載の固体電解質を含む電解質層。
7.1〜5のいずれかに記載の固体電解質を用いて製造された電解質層。
8.1〜5のいずれかに記載の固体電解質を含む電極。
9.1〜5のいずれかに記載の固体電解質を用いて製造された電極。
10.6及び7に記載の電解質層、並びに8及び9に記載の電極のうち少なくとも1つを含む電池。
11.正極層、電解質層及び負極層の少なくとも1つが、1〜5のいずれかに記載の固体電解質を用いて製造された電池。
本発明によれば、加水分解しにくく、高いイオン伝導度を有する固体電解質が提供できる。
製造例3で硫化物系ガラスセラミックスを製造した装置を示す図である。 実施例1及び比較例1で加熱した固体電解質ガラスの温度と加熱時間の関係を示す図である。 実施例1におけるイオン伝導度の測定方法を示す図である。 実施例及び比較例における硫化水素濃度平均値の測定装置を示す図である。 硫化水素濃度平均値の測定における、ウェットエア流通時間と硫化水素濃度の関係の一例を示す図である。
1.本発明の固体電解質
本発明の第1の固体電解質は、構成成分として、リン、リチウム及び硫黄を含み、31P−NMRにおいて81.0ppm以上88.0ppm以下の領域にピークを有し(第1ピークと称する)、81.0ppm以上88.0ppm以下の領域以外にピークを有さないか、又は81.0ppm以上88.0ppm以下の領域以外にピークを有していても、第1ピークに対するピーク強度比が0.5以下ある。
81.0ppm以上88.0ppm以下の領域に複数ピークがある場合は、その中で最大のものを第1ピークとする。ピーク強度は、ベースラインからピークトップまでの高さで定義する。
第1ピークの領域は、好ましくは81.0ppm以上87.0ppm以下であり、より好ましくは81.5ppm以上86.5ppm以下である。
81.0ppm以上88.0ppm以下の領域以外にピークを有する場合、第1ピークに対するピーク強度比は、好ましくは0.45以下であり、より好ましくは0.4以下である。
第1の固体電解質は、イオン伝導度が5×10−4S/cm以上であり、6×10−4S/cm以上であることが好ましく、7×10−4S/cm以上であることがさらに好ましい。
尚、イオン伝導度は高ければ高いほど好ましいが、例えば、上限として5×10−2S/cmを挙げることができる。
上記の固体電解質は、リチウム、リン及び硫黄の他、ハロゲンを含んでもよい。
固体電解質は、下記式(A)を満たすことが好ましい。
Li・・・(A)
式(A)において、a〜eは各元素の組成比を示し、a:b:c:d:eは1〜12:0〜0.2:1:0.1〜9:0〜9を満たす。
好ましくは、bは0である。
また、好ましくはa、c及びdの比はa:c:d=1〜9:1:3〜7であり、さらに好ましくはa:c:d=2〜4.5:1:3.5〜5である。
各元素の組成比は、後述するように、固体電解質を製造する際の原料化合物の配合量を調整することにより制御できる。
Mは下記式(B)で表される。
ZnSiCuGaGe・・・(B)
f〜kは、各元素の組成比を示し、それぞれ0以上1以下であり、f+g+h+i+j+k=1である。好ましくは、f、i及びjは0であり、g及びhはそれぞれ0以上1以下であり、g+h+k=1である。
Xは、下記式(C)で表される。
ClBr・・・(C)
l〜oは、各元素の組成比を示し、それぞれ0以上1以下であり、l+m+n+o=1である。好ましくは、l及びmは0であり、n及びoはそれぞれ0以上1以下であり、n+o=1である。より好ましくは、l及びmは0であり、n及びoはそれぞれ0又は1であり、n+o=1である。
また、好ましくは、l〜oのうち、1つが1であり、他は0である。
本発明の第2の固体電解質は、構成成分として、リチウム又はナトリウム、リン並びに硫黄を含み、イオン伝導度が5×10−4S/cm以上である。また、100mlの容器に0.1gの固体電解質を入れて、この容器に湿度80〜90%の空気を500ml/分で60分間通じたときの上記空気中の硫化水素濃度平均値が200ppm以下である。
第2の固体電解質は、リチウム又はナトリウム、リン並びに硫黄の他、ハロゲンを含んでもよい。第2の固体電解質が、リチウム、リン及び硫黄を含む場合、これら構成成分は上記第1の固体電解質と同様である。
第2の固体電解質が、ナトリウム、リン及び硫黄を含む場合、固体電解質は下記式(A’)を満たすことが好ましい。
Na・・・(A’)
式(A’)において、a〜e、M及びXは上記式(A)と同様である。
また、第2の固体電解質のイオン伝導度は、第1の固体電解質と同様である。
第2の固体電解質は、上記の方法で測定した硫化水素濃度平均値が200ppm以下であり、耐加水分解性が高い。硫化水素濃度平均値は150ppm以下であることが好ましく、130ppm以下であることがより好ましい。
一般に、硫化物系固体電解質は加水分解すると硫化水素を発生する。従って、同条件で加水分解したとき、硫化水素の発生量が少ないほど耐加水分解性が高い。本発明において、上記の方法で求めた硫化水素濃度平均値を、耐加水分解性の指標とする。硫化水素濃度平均値は、実施例に記載の方法で測定できる。
また、第1の固体電解質も、好ましくは、上記の方法で測定した硫化水素濃度平均値は第2の固体電解質と同様である。
本発明の第2の固体電解質は、好ましくは、構成成分としてリチウム又はナトリウム、リン並びに硫黄を含むガラスを、平均20℃/分以上で昇温して、このガラスのガラス転移温度(Tg)〜結晶化温度(Tc)+120℃で0.005分〜10時間加熱して得られた固体電解質である。
ガラスの昇温、加熱方法は後述する通りである。
第1及び2の固体電解質(以下、本発明の固体電解質ともいう)の形状は特に制限はなく、粒子状であってもシート状であってもよい。本発明の電解質は25℃で固体である。
粒子状であれば、電解質層を形成する際に、後述するように本発明の固体電解質又は電解質前駆体を含むスラリーを塗布することにより電解質層を製造することができる。尚、本発明の固体電解質は、電解質前駆体であるガラスを加熱して製造できる。
電解質前駆体を用いて電解質シートを製造する場合には、電解質前駆体を用いて電解質層を形成後、後述する所定の加熱条件により加熱して本発明の電解質層を製造することもできる。
また、静電法を用いて電解質層を製造することもできる。
本発明の固体電解質が粒子状である場合には、体積基準平均粒径が0.01μm以上500μm以下であることが好ましい。
体積基準平均粒径(Mean Volume Diameter、以下「粒径」という。)の測定方法は、レーザー回折式粒度分布測定方法により行うことが好ましい。
レーザー回折式粒度分布測定方法は、組成物を乾燥せずに粒度分布を測定することができ、組成物中の粒子群にレーザーを照射してその散乱光を解析することで粒度分布を測定することができる。
本発明では、乾燥した固体電解質又はその前駆体である硫化物系ガラスを用いて平均粒径を測定する。
レーザー回折式粒度分布測定装置がMalvern Instruments Ltd社製マスターサイザー2000である場合の測定例は以下の通りである。
まず、装置の分散槽に脱水処理されたトルエン(和光純薬製、製品名:特級)110mlを入れ、さらに分散剤として脱水処理されたターシャリーブチルアルコール(和光純薬製、特級)を6%添加する。
上記混合物を十分混合した後、「乾燥した固体電解質又はその前駆体である硫化物系ガラス」を添加して粒子径を測定する。「乾燥した固体電解質又はその前駆体である硫化物系ガラス」の添加量は、マスターサイザー2000で規定されている操作画面で、粒子濃度に対応するレーザー散乱強度が規定の範囲内(10〜20%)に収まるように加減して加える。この範囲を超えると多重散乱が発生し、正確な粒子径分布を求めることができなくなるおそれがある。また、この範囲より少ないとSN比が悪くなり、正確な測定ができないおそれがある。
マスターサイザー2000では、「乾燥した固体電解質又はその前駆体である硫化物系ガラス」の添加量に基き、レーザー散乱強度が表示されるので、上記レーザー散乱強度に入る添加量を見つけるとよい。
「乾燥した固体電解質又はその前駆体である硫化物系ガラス」の添加量はイオン伝導性物質の種類等により最適量は異なるが、概ね0.01g〜0.05g程度である。
次に、本発明の固体電解質の製造方法を説明するが、本発明の固体電解質は下記の製造方法により製造された電解質に限定されないことはいうまでもない。
本発明の固体電解質は、電解質前駆体(ガラス)、又は電解質前駆体とハロゲン元素を含む化合物の混合物を所定の方法により加熱することにより製造することができる。
電解質前駆体は通常、第1の電解質と同様に、31P−NMRにおいて81.0ppm以上88.0ppm以下の領域にピークを有し(第1ピークと称する)、81.0ppm以上88.0ppm以下の領域以外にピークを有さないか、又は81.0ppm以上88.0ppm以下の領域以外にピークを有していても、第1ピークに対するピーク強度比が0.5以下あり、かつ上記式(A)又は(A’)を満たす化合物である。
電解質前駆体は、下記原料aと、必要に応じてハロゲン元素を含む化合物とを所定の方法により反応させて製造することができる。
尚、電解質前駆体にハロゲン元素が含まれていても含まれていなくてもよく、また、電解質前駆体に後述するハロゲン元素を含む化合物を添加しても添加しなくてもよい。
電解質前駆体とハロゲン元素を含む化合物の混合方法は特に制限はなく、乳鉢で混合する方法、メカニカルミリング処理する方法等を例示できる。
原料aとしては、LiS(硫化リチウム)、P(三硫化二リン)(五硫化二リン)、SiS(硫化珪素)、LiSiO(オルト珪酸リチウム)、Al(硫化アルミニウム)、単体リン(P)、単体の硫黄(S)、シリコン(Si)、GeS(硫化ゲルマニウム)、B(三硫化二砒素)、LiPO(燐酸リチウム)、LiGeO(ゲルマン酸リチウム)、LiBO(メタホウ酸リチウム)、LiAlO(リチウムアルミネート)等を用いることができる。
好ましい原料aは、LiS(硫化リチウム)及びP(五硫化二リン)である。
また、ナトリウム、リン及び硫黄を含む固体電解質を製造する場合、原料aとしては、上記Li含有化合物の代わりに、これに対応するNa含有化合物を用いることができる。
原料aとして、LiS(硫化リチウム)及びP(五硫化二リン)を用いた場合の電解質前駆体の製造方法について説明する。
硫化リチウムは、特に制限なく工業的に入手可能なものが使用できるが、高純度のものが好ましい。
硫化リチウムは、例えば、特開平7−330312号、特開平9−283156号、特開2010−163356、特願2009−238952に記載の方法により製造することができる。
特開2010−163356に記載の硫化リチウムの製法は、炭化水素系有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを70℃〜300℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成する。
特願2009−238952に記載の硫化リチウムの製法は、水溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを10℃〜100℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成する。
硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下であり、かつN−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下である。
硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であると、溶融急冷法やメカニカルミリング法で得られる固体電解質は、ガラス状電解質(完全非晶質)となる。一方、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%を越えると、得られる電解質は、最初から結晶化物となるおそれがある。
また、N−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であると、N−メチルアミノ酪酸リチウムの劣化物がリチウムイオン電池のサイクル性能を低下させることがない。このように不純物が低減された硫化リチウムを用いると、高イオン伝導性電解質が得られる。
特開平7−330312号及び特開平9−283156号に記載の硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩等を含むため、精製することが好ましい。
一方、特開2010−163356に記載の硫化リチウムの製法で製造した硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩等の含有量が非常に少ないため、精製せずに硫化物系ガラスの製造に用いてもよい。
好ましい精製法としては、例えば、国際公開2005/40039号パンフレットに記載された精製法等が挙げられる。具体的には、上記のようにして得られた硫化リチウムを、有機溶媒を用いて100℃以上の温度で洗浄する。
五硫化二リン(P)は、工業的に製造され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。
ハロゲン元素を含む化合物は、下記式(E)に示す化合物であり、1種の化合物を用いてもよく、複数の化合物を用いてもよい。
Y−X・・・(E)
式中、Yは、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属類が挙げられ、特にリチウムが好ましい。Xは、上記式(C)と同様である。
ハロゲン元素を含む化合物は、例えばLiX’を挙げることができる。X’はハロゲン元素であり、好ましくは、Br、Iである。ハロゲン元素を含む化合物としては、LiF、LiCl、LiBr、LiI等が挙げられる。
硫化リチウムと五硫化二リンの割合(モル比)は、好ましくは60:40〜90:10、より好ましくは65:35〜85:15であり、特に好ましくは67:33〜80:20である。
また、硫化リチウムと五硫化二リンの合計とハロゲン元素の割合(モル比)は、好ましくは50:50〜100:0、より好ましくは60:40〜100:0、特に好ましくは70:30〜100:0である。
硫化物系ガラス(電解質前駆体)の製造方法としては、溶融急冷法、メカニカルミリング法(MM法)、有機溶媒中で原料を反応させるスラリー法、固相法等がある。
(ア)溶融急冷法
溶融急冷法は、例えば、特開平6−279049号公報、国際公開第2005/119706号パンフレットに記載されている。
具体的には、PとLiSとハロゲンを含む化合物とを所定量乳鉢にて混合しペレット状にしたものを、カーボンコートした石英管中に入れ真空封入する。所定の反応温度で反応させた後、氷中に投入し急冷することにより、硫化物系ガラスである電解質前駆体が得られる。
反応温度は、好ましくは400℃〜1000℃、より好ましくは、800℃〜900℃である。反応時間は、好ましくは0.1時間〜12時間、より好ましくは、1〜12時間である。
上記反応物の急冷温度は、通常10℃以下、好ましくは0℃以下であり、その冷却速度は、通常1〜10000K/秒程度、好ましくは10〜10000K/秒である。
(イ)メカニカルミリング法
メカニカルミリング法(以下、「MM法」という。)は、例えば、特開平11−134937、特開2004−348972、特開2004−348973に記載されている。
具体的には、PとLiSとハロゲンを含む化合物とを所定量乳鉢にて混合し、例えば、各種ボールミル等を使用して所定時間反応させることにより、硫化物系ガラスである電解質前駆体が得られる。
上記原料を用いたMM法は、室温で反応を行うことができる。MM法によれば、室温でガラス固体電解質を製造できるため、原料の熱分解が起らず、仕込み組成の硫化物系ガラスである電解質前駆体を得ることができるという利点がある。
また、MM法では、硫化物系ガラスである電解質前駆体の製造と同時に、微粉末化できるという利点もある。MM法は回転ボールミル、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル等種々の形式を用いることができる。MM法の条件としては、例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。
また、特開2010−90003に記載されているように、ボールミルのボールは異なる径のボールを混合して使用してもよい。また、特開2009−110920や特開2009−211950に記載されているように、原料に有機溶媒を添加してスラリー状にし、このスラリーをメカニカルミリング処理してもよい。また、特開2010−30889に記載のようにメカニカルミリング処理の際のミル内の温度を調整してもよい。
メカニカルミリングの際に原料が60℃以上160℃以下になるようにすることが好ましい。
(ウ)スラリー法
スラリー法は、国際公開第2004/093099号パンフレット、国際公開第2009/047977号パンフレットに記載されている。
具体的には、所定量のP粒子とLiS粒子とハロゲンを含む化合物とを有機溶媒中で所定時間反応させることにより、硫化物系ガラスである電解質前駆体が得られる。
ハロゲンを含む化合物は、有機溶媒に溶解するか、又は粒子であることが好ましい。
ここで、特開2010−140893号公報に記載されているように、反応を進行させるため、原料を含むスラリーをビーズミルと反応容器との間で循環させながら反応させてもよい。
また、国際公開第2009/047977号パンフレットに記載されているように、原料の硫化リチウムを予め粉砕しておくと効率的に反応を進行させることができる。
また、特願2010−270191号公報に記載されているように、原料の硫化リチウムの比表面積を大きくするために溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒(例えば、メタノール、ジエチルカーボネート、アセトニトリル等)に所定時間浸漬してもよい。
反応温度は、好ましくは20℃以上80℃以下、より好ましくは20℃以上60℃以下である。反応時間は、好ましくは1時間以上16時間以下、より好ましくは、2時間以上14時間以下である。
原料である硫化リチウム、五硫化二りん及びハロゲンを含む化合物とが、有機溶媒の添加により溶液又はスラリー状になる程度であることが好ましい。通常、有機溶媒1リットルに対する原料(合計量)の添加量は0.001kg以上1kg以下程度となる。好ましくは0.005kg以上0.5kg以下、特に好ましくは0.01kg以上0.3kg以下である。
有機溶媒としては特に制限はないが、非プロトン性有機溶媒が特に好ましい。
非プロトン性有機溶媒としては、非プロトン性有機溶媒(例えば、炭化水素系有機溶媒)、非プロトン性の極性有機化合物(例えば、アミド化合物,ラクタム化合物,尿素化合物,有機イオウ化合物,環式有機リン化合物等)を単独溶媒として、又は混合溶媒として、好適に使用することができる。
炭化水素系有機溶媒としては、飽和炭化水素、不飽和炭化水素又は芳香族炭化水素が使用できる。
飽和炭化水素としては、ヘキサン、ペンタン、2−エチルヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン等が挙げられる。不飽和炭化水素しては、ヘキセン、ヘプテン、シクロヘキセン等が挙げられる。芳香族炭化水素としては、トルエン、キシレン、デカリン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。
これらのうち、特にトルエン、キシレンが好ましい。
炭化水素系溶媒は、あらかじめ脱水されていることが好ましい。具体的には、水分含有量として100重量ppm以下が好ましく、特に30重量ppm以下であることが好ましい。
尚、必要に応じて炭化水素系溶媒に他の溶媒を添加してもよい。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エタノール、ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類等、ジクロロメタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
(エ)固相法
固相法は例えば、非特許文献「H−J.Deiseroth,et.al.,Angew.Chem.Int.Ed.2008,47,755−758」に記載されている。具体的には、PとLiSとハロゲンを含む化合物を所定量乳鉢にて混合し、100〜900℃の温度で加熱することにより、硫化物系ガラスである本発明の電解質の前駆体が得られる。
上記溶融急冷法、MM法、スラリー法及び固相法の温度条件、処理時間、仕込み料等の製造条件は、使用設備等に合わせて適宜調整することができる。
硫化物ガラスの製造法としては、MM法、スラリー法又は固相法がより好ましい。低コストで製造可能であることから、MM法、スラリー法がより好ましく、特にスラリー法が好ましい。
固体電解質は、上記硫化物ガラスを加熱処理することにより得られる。加熱処理は、露点−40℃以下の環境下で行うことが好ましく、より好ましくは露点−60℃以下の環境下で行うことが好ましい。
加熱時の圧力は、常圧であってもよく、減圧下であってもよい。雰囲気は、空気であってもよく、不活性雰囲気下であってもよい。また、特開2010−186744号公報に記載されているような溶媒中(例えば、炭化水素系有機溶媒)で加熱してもよい。
熱処理温度は、好ましくは、電解質前駆体のTg以上、電解質前駆体の(Tc+120℃)以下である(Tg:ガラス転移温度、Tc:結晶化温度)。Tg未満だと固体電解質の製造時間が非常に長くなるおそれがある。
例えば、Tgが170℃、Tcが230℃の場合、熱処理温度は170℃以上350℃以下であり、好ましくは175℃以上330℃以下である。
(Tc+120℃)を超えると、熱処理後の固体電解質に不純物等が含まれ、イオン伝導度が低下する恐れがある。より好ましくは(Tg+5℃)以上(Tc+110℃)以下、さらに好ましくは(Tg+10℃)以上(Tc+100℃)以下である。
熱処理時間は、0.005分以上10時間以下が好ましい。さらに好ましくは0.005分以上5時間以下であり、特に好ましくは0.01分以上3時間以下である。
0.005分未満であると、熱処理後の固体電解質に電解質前駆体が多く含まれ、イオン伝導度が低くなるおそれがある。10時間を越えると、熱処理後の固体電解質に不純物等が含まれ、イオン伝導度が低下する恐れがある。
昇温方法は、好ましくは、上記の熱処理温度まで急速に加熱する。
例えば、平均昇温速度は20℃/分以上である。20℃/分未満だと、イオン伝導度が十分高くならない恐れがある。さらに好ましくは50℃/分以上であり、特に好ましくは100℃/分以上である。
平均昇温速度の上限は特にないが、例えば、20000℃/分以下である。
2.電解質含有物
本発明の電解質含有物は、上記固体電解質を含む。
本発明の電解質含有物は、上記固体電解質を含んでいればよく、ハロゲン元素を含む化合物をさらに含んでいてもよく、有機溶媒を含んでいてもよい。また、下記バインダー(結着剤)、正極活物質、負極活物質及び導電助剤のいずれか1つ以上を含んでいてもよい。
3.電解質層
本発明の電解質層は、電池を構成する電解質層であってもよく、シート状であってもよい。
(1)第1の電解質層
第1の電解質層は、上記固体電解質を含む電解質層である。上記電解質以外に他の電解質を含んでいてもよく、下記バインダーを含んでいてもよい。
(2)第2の電解質層
第2の電解質層は、上記固体電解質を用いて製造された電解質層である。
上記固体電解質を用いて製造されていればよく、例えば、上記固体電解質、下記バインダー及び溶媒を含むスラリーを塗布して製造してもよく、粒状の上記固体電解質を用いて静電塗布法により製造してもよい。
4.電極
本発明の電極は、電池を構成する電極層であってもよく、シート状であってもよい。
(1)第1の電極
第1の電極は、上記固体電解質と通常活物質を含む電極である。上記固体電解質以外に他の電解質を含んでいてもよく、後述するバインダーを含んでいてもよい。活物質としては、後述する正極活物質、負極活物質が挙げられる。
(2)第2の電極
第2の電極は、上記固体電解質を用いて製造され、通常活物質を含む電極である。上記固体電解質以外に他の電解質を含んでいてもよく、後述するバインダーを含んでいてもよい。活物質としては、後述する正極活物質、負極活物質が挙げられる。
第2の電極は、上記固体電解質を用いて製造されていればよく、例えば、上記固体電解質、後述する活物質、バインダー及び溶媒を含むスラリーを塗布して製造してもよく、固体電解質と活物質のうち、粒状のものを用いて静電塗布法により製造してもよい。
5.電池
(1)第1の電池
本発明の第1の電池は、正極層、電解質層、負極層の少なくとも1つが、上記本発明の電解質を含む電池である。各層は、公知の方法により製造することができる。
電解質前駆体を用いて正極層、負極層及び/又は電解質層を製造する場合には、電解質前駆体を用いて正極層等を形成後、上記所定の加熱条件により加熱して本発明の第1の電池を製造することもできる。
以下に、上記電池の各層について説明する。
(A)正極層
正極層は、正極活物質と電解質と導電助剤を含むことが好ましい。また、必要に応じバインダーを含んでもよい。
(i)正極活物質
正極活物質としては、リチウムイオンの挿入脱離が可能な物質、電池分野において正極活物質として公知のものが使用できる。
例えば、V、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、Li(NiCoMn)O(0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi1−YCo、LiCo1−YMn、LiNi1−YMn(0≦Y<1)、Li(NiCoMn)O(0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2−ZNi、LiMn2−ZCo(0<Z<2)、LiCoPO、LiFePO、酸化ビスマス(Bi)、鉛酸ビスマス(BiPb)、酸化銅(CuO)、酸化バナジウム(V13)、LiCoO,LiNiO,LiMn,LiFePO,LiCoPO,LiMn1/3Ni1/3Co1/3,LiMn1.5Ni0.5等の酸化物が挙げられる。
上記以外の正極活物質としては、例えば、硫化物系では、単体硫黄(S)、硫化チタン(TiS)、硫化モリブデン(MoS)、硫化鉄(FeS、FeS)、硫化銅(CuS)及び硫化ニッケル(Ni)、硫化リチウム(LiS)、セレン化ニオブ(NbSe)、有機ジスルフィド化合物、カーボンスルフィド化合物、硫黄、金属インジウム等が使用できる。好ましくは、高い理論容量を有するS、LiSが使用できる。
有機ジスルフィド化合物及びカーボンスルフィド化合物を以下に例示する。
Figure 0006077740
式(A)〜(C)において、Xはそれぞれ置換基であり、n及びmはそれぞれ独立に1〜2の整数であり、p及びqはそれぞれ独立に1〜4の整数である。
式(D)において、Zはそれぞれ−S−又は−NH−であり、nは繰返数2〜300の整数である。
Figure 0006077740
(ii)電解質
電解質は、ポリマー系固体電解質、酸化物系固体電解質、本発明の固体電解質又はその電解質前駆体の少なくとも1つである。
(a)ポリマー系固体電解質
ポリマー系固体電解質は、特に制限はない。例えば、特開2010−262860号公報に開示されているように、フッ素樹脂、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレートやこれらの誘導体、共重合体等のポリマー電解質として用いられる材料が挙げられる。
フッ素樹脂としては、例えば、フッ化ビニリデン(VdF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)や、これらの誘導体等を構成単位として含むものが挙げられる。具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のホモポリマーや、VdFとHFPとの共重合体(以下、この共重合体を「P(VdF−HFP)」と示す場合がある。)等の2元共重合体や3元共重合体等が挙げられる。
(b)酸化物系固体電解質
酸化物系固体電解質としては、LiN、LISICON類、Thio−LISICON類、La0.55Li0.35TiO等のペロブスカイト構造を有する結晶や、NASICON型構造を有するLiTi12、さらにこれら結晶化させた電解質等を用いることができる。
(iii)導電助剤
導電助剤は、導電性を有していればよい。導電助剤の導電率は、1×10S/cm以上が好ましく、より好ましくは1×10S/cm以上である。
導電助剤としては、炭素材料、金属粉末及び金属化合物から選択される物質や、これらの混合物が挙げられる。
導電助剤の具体例としては、炭素、ニッケル、銅、アルミニウム、インジウム、銀、コバルト、マグネシウム、リチウム、クロム、金、ルテニウム、白金、ベリリウム、イリジウム、モリブデン、ニオブ、オスニウム、ロジウム、タングステン及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも1つの元素を含む物質が好ましい。
より好ましくは、導電性が高い炭素単体、炭素、ニッケル、銅、銀、コバルト、マグネシウム、リチウム、ルテニウム、金、白金、ニオブ、オスニウム又はロジウムを含む金属単体、混合物又は化合物である。
炭素材料の具体例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、デンカブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、活性炭等が挙げられる。これらは単独でも2種以上でも併用可能である。
中でも、電子伝導性が高いアセチレンブラック、デンカブラック、ケッチェンブラックが好適である。
(iv)バインダー
正極層は、バインダーを含んでもよい。
バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、又は2種以上の混合物として用いることができる。
また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。
正極活物質、電解質及び導電助剤等の割合は特に制限は無く、例えば、公知の割合を用いることができる。
正極層の厚さは、0.01mm以上10mm以下であることが好ましい。正極層は、公知の方法により製造することができる。例えば、塗布法、静電法(静電スプレー法、静電スクリーン法等)により製造することができる。
(B)負極層
負極層は、負極活物質と電解質と導電助剤を含むことが好ましい。
正極層と負極層は、電極活物質が正極活物質であるか負極活物質であるかの違いのみであるため、ここでは負極活物質についてのみ説明し、正極層と同様の事項はその説明を省略する。
(i)負極活物質
負極活物質としては、リチウムイオンの挿入脱離が可能な物質、電池分野において負極活物質として公知のものが使用できる。
例えば、炭素材料、具体的には、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、フルフリルアルコール樹脂焼成炭素、ポリアセン、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、天然黒鉛及び難黒鉛化性炭素等が挙げられる。又はその混合物でもよい。好ましくは、人造黒鉛である。
また、金属リチウム、金属インジウム、金属アルミ、金属ケイ素等の金属自体や他の元素、化合物と組合わせた合金を、負極材として用いることができる。中でも、高い理論容量を有するケイ素、スズ、リチウム金属が好ましい。
(C)電解質層
電解質層は、固体電解質を含み、バインダーも含んでいてもよい。
電解質層の固体電解質は、融着していていることが好ましい。融着とは、固体電解質粒子の一部が溶解し、溶解した部分が他の固体電解質粒子と一体化することを意味する。
また、電解質層は、固体電解質の板状体であってもよい。尚、板状体とは、固体電解質粒子の一部又は全部が溶解し、板状体になっている場合も含む。
電解質層の厚さは、0.001mm以上1mm以下であることが好ましい。
尚、電解質及びバインダーは正極層と同様であるので、その説明を省略する。
(D)集電体
集電体は、公知の集電体を用いることができる。例えば、Au、Pt、Al、Tiや、Cu等のように硫化物系固体電解質と反応するものをAu等で被覆した層が使用できる。
(2)第2の電池
本発明の第2の電池は、正極層、電解質層及び負極層の少なくとも1つが、上記本発明の電解質を用いて製造された電池である。
第1の電池と第2の電池の違いは、第2の電池が正極層、電解質層及び負極層の少なくとも1つが、本発明の電解質を用いて製造された固体電解質を用いて製造されたことのみであるので、同様の事項は説明を省略する。
以上、リチウム系電解質について詳述したが、ナトリウム系等のアルカリ金属系電解質、マグネシウム系等の二価カチオン系電解質等においても、上述と同様の効果を示す。
製造例1[硫化リチウム(LiS)の製造、精製]
硫化リチウムの製造及び精製は、国際公開第2005/040039号パンフレットの実施例に記載の方法と同様に行った。
具体的には、下記のように行った。
(1)硫化リチウム(LiS)の製造
硫化リチウムは、特開平7−330312号公報の第1の態様(2工程法)の方法に従って製造した。具体的には、撹拌翼のついた10リットルオートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpm、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。
続いて、この反応液を窒素気流下(200cc/分)昇温し、反応した硫化水素の一部を脱硫化水素化した。昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。脱硫化水素反応が終了後(約80分)反応を終了し、硫化リチウムを得た。
(2)硫化リチウムの精製
上記(1)で得られた500mLのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。さらにNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、その温度のままNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。得られた硫化リチウム中の不純物含有量を測定した。
尚、亜硫酸リチウム(LiSO)、硫酸リチウム(LiSO)並びにチオ硫酸リチウム(Li)の各硫黄酸化物、及びN−メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)の含有量は、イオンクロマトグラフ法により定量した。その結果、硫黄酸化物の総含有量は0.13質量%であり、LMABは0.07質量%であった。
製造例2[硫化物系固体電解質ガラス(LiS/P(モル比)=75/25)の製造−メカニカルミリング法−]
製造例1で製造した硫化リチウムを用いて、国際公開第07/066539号パンフレットの実施例1に準拠した方法で硫化物系ガラスの製造を行った。
具体的には、下記のように行った。
製造例1で製造した硫化リチウム0.383g(0.00833mol)と五硫化二燐(アルドリッチ社製)0.618g(0.00278mol)をよく混合した。そして、この混合した粉末と直径10mmのジルコニア製ボール10個と遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−7)アルミナ製ポットに投入し完全密閉するとともにこのアルミナ製ポット内に窒素を充填し、窒素雰囲気にした。
そして、はじめの数分間は、遊星型ボールミルの回転を低速回転(85rpm)にして硫化リチウムと五硫化二燐を十分混合した。その後、徐々に遊星型ボールミルの回転数を上げ370rpmまで回転数を上げ、回転数370rpmで20時間メカニカルミリングを行った。
このメカニカルミリング処理をして得られた白黄色の粉体をX線測定により評価した結果、ガラス化(硫化物ガラス)していることが確認できた。
このガラスの熱物性をDSCにて調べたところ、ガラス転移点(Tg)は172℃、結晶化温度(Tc)は231℃であった。
また、下記のように31P−NMR測定を行ったところ、85.0ppmに第1ピークを示し、他のピークの第1ピークに対する強度比(I他/I第1)のうちで最大のものは0.21であった。
31P−NMRの測定は、日本電子株式会社製JNM−CMXP302NMR装置に5mmCP/MASプローブを取り付けて室温で行った。31P−NMRスペクトルはシングルパルス法を用い、90°パルス4μs、マジック角回転の回転数8.6kHzで測定した。化学シフトは、リン酸水素アンモニウムを外部標準(1.3ppm)として用いることにより得た。尚、測定範囲は0〜150rpmとした。
製造例3[硫化物系固体電解質ガラス(LiS/P(モル比)=75/25)の製造−スラリー法−]
製造例1で製造した硫化リチウムを用いて、特開2010−140893号公報の実施例1と同様の方法で硫化物系ガラスの製造を行った。
具体的には、下記のように行った。
図1に示す装置1を用いて硫化物系ガラスセラミックスを製造した。撹拌機10として、アシザワ・ファインテック社製スターミルミニツェア(0.15L)(ビーズミル)を用い、0.5mmφジルコニアボール450gを仕込んだ。反応槽20として、攪拌機付の1.5Lガラス製反応器を使用した。
製造例1で製造した硫化リチウム45.90g(75mol%)とアルドリッチ社製五硫化二燐74.10g(25mol%)に、広島和光純薬製社製脱水トルエン1080g(水分量8ppm)を加えた混合物を反応槽20及び撹拌機10に充填した。
ポンプ54により内容物を400mL/分の流量で反応槽20と撹拌機10内とを循環させ、反応槽20を80℃になるまで昇温した。
撹拌機10本体は、液温が70℃に保持できるよう外部循環により温水を通水し、周速8m/sの条件で運転した。2時間ごとにスラリを採取し、150℃にて乾燥して白色粉末を得た。12時間反応後得られた粉末についてX線回析測定を行ったところ、原料である硫化リチウムは僅かに残存しているが、ほとんど消失しており、実質的にガラスとなっていることが分かった。
このガラスの熱物性をDSCにて調べたところ、ガラス転移点(Tg)は170℃、結晶化温度(Tc)は230℃であった。
また、製造例2と同様に31P−NMR測定を行ったところ、84.9ppmに第1ピークを示し、他のピークの第1ピークに対する強度比のうちで最大のものは0.19であった。
製造例4[硫化物系固体電解質ガラス(LiS/P/LiI(モル比)=63/21/16)の製造−メカニカルミリング法−]
原料として、製造例2で得られた硫化物系固体電解質0.781g及びよう化リチウム0.221gを用いた以外は、製造例2と同様にして硫化物系固体電解質ガラスを得た。
このガラスの熱物性をDSCにて調べたところ、ガラス転移点(Tg)は155℃、結晶化温度(Tc)は192℃であった。
また、製造例2と同様に31P−NMR測定を行ったところ、83.0ppmに第1ピークを示し、他のピークの第1ピークに対する強度比のうちで最大のものは0.08であった。
製造例5[硫化物系固体電解質ガラス(LiS/P/LiI(モル比)=52/17/31)の製造−メカニカルミリング法−]
原料として、製造例2で得られた硫化物系固体電解質0.600g及びよう化リチウム0.400gを用いた以外は、製造例2と同様にして硫化物系固体電解質ガラスを得た。
このガラスの熱物性をDSCにて調べたところ、ガラス転移点(Tg)は130℃、結晶化温度(Tc)は162℃であった。
また、製造例2と同様に31P−NMR測定を行ったところ、83.1ppmに第1ピークを示し、他のピークの第1ピークに対する強度比のうちで最大のものは0.12であった。
製造例6[硫化物系固体電解質ガラス(LiS/P(モル比)=80/20)の製造−メカニカルミリング法−]
硫化リチウムの量を0.453g(0.00985mol)、五硫化二燐の量を0.548g(0.00246mol)とした以外は製造例2と同様の操作を行った。X線回析測定を行ったところ、原料である硫化リチウムは僅かに残存しているが、ほとんど消失しており、実質的にガラスとなっていることが分かった。
このガラスの熱物性をDSCにて調べたところ、ガラス転移点(Tg)は184℃、結晶化温度(Tc)は226℃であった。
また、製造例2と同様に31P−NMR測定を行ったところ、85.2ppmに第1ピークを示し、他のピークの第1ピークに対する強度比のうちで最大のものは0.11であった。
製造例7[硫化物系固体電解質ガラス(LiS/P(モル比)=70/30)の製造−メカニカルミリング法−]
硫化リチウムの量を0.326g(0.00709mol)、五硫化二燐の量を0.674g(0.00303mol)とした以外は製造例2と同様にして硫化物系固体電解質ガラスを得た。
このガラスの熱物性をDSCにて調べたところ、ガラス転移点(Tg)は205℃、結晶化温度(Tc)は236℃であった。
また、製造例2と同様に31P−NMR測定を行ったところ、89.4ppmにメインピークを示した。このピークより小さなピークはいくつか見られたが、81.0ppm〜88.0ppmの領域にはピーク(第1ピーク)は見られなかった。
実施例1[硫化物系固体電解質ガラスの加熱処理]
製造例2で得られた硫化物系固体電解質ガラス300mgを直径10mmの円筒形状に圧粉成形した。この圧粉体を300℃に加熱した2枚のステンレス板の間に挟んだ。このとき、圧粉体は約2分でほぼ300℃まで昇温された。従って、平均昇温速度は約140℃/分であった。圧粉体の温度と加熱時間の関係を図2に示す。
製造例2と同様に31P−NMR測定を行ったところ、85.2ppmに第1ピークを示し、他のピークの第1ピークに対する強度比のうちで最大のものは0.07であった。
その後、その状態で圧粉体を10分間加熱した。加熱後の圧粉体のイオン伝導度を測定したところ、9.9×10−4S/cmであった。
イオン伝導度(σ)の測定法は次の通りである。
まず、電解質材料200mg〜300mgを直径10mmの円筒形状に圧粉成形したものを測定用試料とした(試料断面積S=0.785cm)。ノギスで円筒状試料の高さを測定し、それをL(cm)とした。その圧粉体試料片の上下から電極端子を取り、交流インピーダンス法により測定し(周波数範囲:5MHz〜0.5Hz)、Cole−Coleプロットを得た。結果を図3に示す。
高周波側領域に観測される円弧の右端付近で、−Z’’(Ω)が最小となる点での実数部Z’(Ω)を電解質のバルク抵抗R(Ω)とし、以下式に従い、イオン伝導度σを計算した。
R=ρ(L/S)、σ=1/ρ
尚、試料片端面から測定器までのリードの距離が長いと、円弧がはっきりと観測されない場合がある。本実施例ではリードの距離を約60cmとして測定した。
次に、加熱した圧粉体を乳鉢で粉砕し、その試料の耐加水分解性を評価した。耐加水分解性は、下記方法により硫化水素濃度平均値を測定した評価した。硫化水素濃度平均値は20.2ppmであった。結果を表1に示す。
硫化水素濃度平均値は、図4に示す装置を用いて硫化水素の発生量を測定して求めた。
まず、露点−80℃の環境の窒素グローボックス内で試料を乳鉢でよく粉砕した。この粉砕した試料0.1gを100mlシュレンク瓶内に封じて、図4に示した位置にセットした。
次に、一旦水中に通した空気を500ml/分でシュレンク瓶内を流通させた。流通開始直後にシュレンク瓶内の空気中の湿度は、80〜90%となっていた。流通開始1分後〜1分45秒後にシュレンク瓶から排出されたガスを捕集して測定用のサンプルガスとした。
サンプルガスは、三菱化学アナリテック製TS−100を用いて紫外蛍光法により硫黄分を定量して、硫化水素濃度を算出した。尚、ガスサンプルをアジレント6890(硫黄選択検出器(SIEVERS355)付)を用いてガスクロマトグラフにて定性分析したところ、硫黄分は99%以上硫化水素ガスになっていることを確認できた。
流通開始5分後〜5分45秒後、流通開始10分後〜10分45秒後、流通開始20分後〜20分45秒後、流通開始60分後〜60分45秒後にシュレンク瓶から排出されたガスについても同様に測定した。
図5にウェットエア流通時間と硫化水素濃度の関係の一例を示す。曲線は各測定点をスムージングしたもので、この曲線と縦軸、横軸で囲まれた面積(ppm・分)を時間60分で除することにより、硫化水素濃度平均値(ppm)を求めた。
また、乳鉢で粉砕した試料について、再度、圧粉体を作製しイオン伝導度を測定したが、その値は上記の値とほぼ同じであった。このことから本実施例で得られた高いイオン伝導度は、非特許文献1で見られたような融着効果によるものでないことが確認された。
実施例2[硫化物系固体電解質ガラスの加熱処理]
ステンレス板の温度を250℃とした以外は、実施例1と同様に熱処理を行い、イオン伝導度σ及び硫化水素濃度平均値を測定した。結果を表1に示す。尚、平均昇温速度は、約110℃/分であった。
製造例2と同様に31P−NMR測定を行ったところ、84.9ppmに第1ピークを示し、他のピークの第1ピークに対する強度比のうちで最大のものは0.07であった。
また、乳鉢で粉砕した試料について、再度、圧粉体を作製しイオン伝導度を測定したが、その値は上記の値とほぼ同じであった。このことから本実施例で得られた高いイオン伝導度は、非特許文献1で見られたような融着効果によるものでないことが確認された。
実施例3[硫化物系固体電解質ガラスの加熱処理]
熱処理時間を1分とした以外は、実施例1と同様に熱処理を行い、イオン伝導度σ及び硫化水素濃度平均値を測定した。結果を表1に示す。尚、平均昇温速度は、約140℃/分であった。
製造例2と同様に31P−NMR測定を行ったところ、85.2ppmに第1ピークを示し、他のピークの第1ピークに対する強度比のうちで最大のものは0.08であった。
また、乳鉢で粉砕した試料について、再度、圧粉体を作製しイオン伝導度を測定したが、その値は上記の値とほぼ同じであった。このことから本実施例で得られた高いイオン伝導度は、非特許文献1で見られたような融着効果によるものでないことが確認された。
実施例4[硫化物系固体電解質ガラスの加熱処理]
製造例3で得られた硫化物系固体電解質ガラスを用いた以外は、実施例1と同様に熱処理を行い、イオン伝導度σ及び硫化水素濃度平均値を測定した。結果を表1に示す。尚、平均昇温速度は、約140℃/分であった。
製造例2と同様に31P−NMR測定を行ったところ、85.2ppmに第1ピークを示し、他のピークの第1ピークに対する強度比のうちで最大のものは0.08であった。
また、乳鉢で粉砕した試料について、再度、圧粉体を作製しイオン伝導度を測定したが、その値は上記の値とほぼ同じであった。このことから本実施例で得られた高いイオン伝導度は、非特許文献1で見られたような融着効果によるものでないことが確認された。
実施例5[硫化物系固体電解質ガラスの加熱処理]
製造例4で得られた硫化物系固体電解質ガラスを用い、ステンレス板の温度を210℃、熱処理時間を1分とした以外は、実施例1と同様に熱処理を行い、イオン伝導度σ及び硫化水素濃度平均値を測定した。結果を表1に示す。尚、平均昇温速度は、約120℃/分であった。
製造例2と同様に31P−NMR測定を行ったところ、83.1ppmに第1ピークを示し、他のピークの第1ピークに対する強度比のうちで最大のものは0.06であった。
また、乳鉢で粉砕した試料について、再度、圧粉体を作製しイオン伝導度を測定したが、その値は上記の値とほぼ同じであった。このことから本実施例で得られた高いイオン伝導度は、非特許文献1で見られたような融着効果によるものでないことが確認された。
実施例6[硫化物系固体電解質ガラスの加熱処理]
製造例5で得られた硫化物系固体電解質ガラスを用い、熱処理温度を210℃とした以外は、実施例1と同様に熱処理を行い、イオン伝導度σ及び硫化水素濃度平均値を測定した。結果を表1に示す。尚、平均昇温速度は、約120℃/分であった。
製造例2と同様に31P−NMR測定を行ったところ、83.0ppmに第1ピークを示し、他のピークの第1ピークに対する強度比のうちで最大のものは0.07であった。
また、乳鉢で粉砕した試料について、再度、圧粉体を作製しイオン伝導度を測定したが、その値は上記の値とほぼ同じであった。このことから本実施例で得られた高いイオン伝導度は、非特許文献1で見られたような融着効果によるものでないことが確認された。
実施例7[硫化物系固体電解質ガラスの加熱処理]
製造例6で得られた硫化物系固体電解質ガラスを用いた以外は、実施例1と同様に熱処理を行い、イオン伝導度σ及び硫化水素濃度平均値を測定した。結果を表1に示す。尚、平均昇温速度は、約140℃/分であった。
製造例2と同様に31P−NMR測定を行ったところ、85.0ppmに第1ピークを示し、他のピークの第1ピークに対する強度比のうちで最大のものは0.12であった。
また、乳鉢で粉砕した試料について、再度、圧粉体を作製しイオン伝導度を測定したが、その値は上記の値とほぼ同じであった。このことから本実施例で得られた高いイオン伝導度は、非特許文献1で見られたような融着効果によるものでないことが確認された。
比較例1[硫化物系固体電解質ガラスの加熱処理]
製造例2で得られた硫化物系固体電解質ガラス粉体をステンレス管に投入し、予め300℃に加熱したオーブンにセットし、2時間放置した。上記粉体300mgを直径10mmの円筒形状に圧粉成形し、実施例1と同様にしてその圧粉体のイオン伝導度σを測定した。尚、平均昇温速度は、約5℃/分であった。
製造例2と同様に31P−NMR測定を行ったところ、85.1ppmに第1ピークを示し、他のピークの第1ピークに対する強度比のうちで最大のものは0.10未満であった。
また、圧粉体を乳鉢で粉砕し、その試料について実施例1と同様にして硫化水素濃度平均値を測定した。結果を表1に示す。
さらに、乳鉢で粉砕した試料について、再度、圧粉体を作製しイオン伝導度を測定したが、その値は上記の値とほぼ同じであった。
尚、オーブンにて加熱したため、硫化物系固体電解質ガラス粉体が300℃になるには約60分の時間を有した。即ち、この加熱過程での平均の昇温速度は約5℃/分であった。ガラス粉体の温度と加熱時間の関係を図2に示す。
比較例2[硫化物系固体電解質ガラスの加熱処理]
製造例7で得られた硫化物系固体電解質ガラスを用いた以外は、実施例1と同様に熱処理を行い、イオン伝導度σ及び硫化水素濃度平均値を測定した。結果を表1に示す。尚、平均昇温速度は、約140℃/分であった。
製造例2と同様に31P−NMR測定を行ったところ、86.1ppm(第1ピーク)と91.2ppmにピークを示した。前者(第1ピーク)に対する後者のピーク強度は1.17であった。
さらに、乳鉢で粉砕した試料について、再度、圧粉体を作製しイオン伝導度を測定したが、その値は上記の値とほぼ同じであった。
実施例1〜7の硫化物系ガラスセラミックスはいずれも、イオン伝導度が高く、また、耐加水分解性にも優れており比較的高い露点環境で使用できる。このような材料はこれまで知られていなかった。
比較例1の硫化物系ガラスセラミックスは、耐加水分解性には優れるが、イオン伝導度が低く電池用途に適さない。比較例2の硫化物系ガラスセラミックスは、高いイオン伝導度を示すが、耐加水分解性に劣っていた。本材料では作業環境の露点を上げることは難しい。
Figure 0006077740
本発明の固体電解質は、リチウムイオン電池の部材に用いることができる。
1 固体電解質製造装置
10 攪拌機
20 反応槽
22 容器
24 撹拌翼
26 冷却管
30 ヒータ(第1の温度安定手段)
40 オイルバス(第2の温度安定手段)
50 第1の連結管(連結手段)
52 第2の連結管(連結手段)
54 ポンプ(循環手段)

Claims (8)

  1. 構成成分として、リチウム、リン及び硫黄を含み、下記式(A)を満たし、
    31P−NMRにおいて83.0ppm以上88.0ppm以下の領域にピーク(第1ピーク)を有し、
    前記83.0ppm以上88.0ppm以下の領域以外にピークを有さないか、又は有していても前記第1ピークに対するピーク強度比が0.5以下であり、
    イオン伝導度が5×10−4S/cm以上であり、
    100mlの容器に0.1gの固体電解質を入れて、この容器に湿度80〜90%の空気を500ml/分で60分間通じたときの前記空気中の硫化水素濃度平均値が200ppm以下である固体電解質。
    Li・・・(A)
    [(式(A)において、a〜eは各元素の組成比を示し、a:c:d:eは1〜9:1:3〜7:0〜9を満たす。
    はIである。]
  2. 前記式(A)のeが0である、請求項1に記載の固体電解質。
  3. 請求項1又は2に記載の固体電解質を含む電解質層。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の固体電解質を含む電極。
  5. 請求項に記載の電解質層及び請求項に記載の電極のうち少なくとも1つを含む電池。
  6. 請求項1に記載の固体電解質の製造方法であって、
    下記式(A)を満たす電解質前駆体(ガラス)を、平均昇温速度20℃/分以上で熱処理する、固体電解質の製造方法。
    Li ・・・(A)
    [(式(A)において、a〜eは各元素の組成比を示し、a:c:d:eは1〜9:1:3〜7:0〜9を満たす。
    XはIである。]
  7. 前記熱処理の温度が、前記電解質前駆体のガラス転移温度(Tg)以上、電解質前駆体の結晶化温度(Tc)+120℃以下である、請求項に記載の固体電解質の製造方法。
  8. 前記熱処理の時間が、0.005分以上10時間以下である、請求項6又は7に記載の固体電解質の製造方法。
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