JP2015002052A - 正極合材及びそれを用いた固体リチウム電池 - Google Patents

正極合材及びそれを用いた固体リチウム電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2015002052A
JP2015002052A JP2013125536A JP2013125536A JP2015002052A JP 2015002052 A JP2015002052 A JP 2015002052A JP 2013125536 A JP2013125536 A JP 2013125536A JP 2013125536 A JP2013125536 A JP 2013125536A JP 2015002052 A JP2015002052 A JP 2015002052A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
positive electrode
solid electrolyte
solvent
lithium
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013125536A
Other languages
English (en)
Inventor
美勝 清野
Yoshikatsu Kiyono
美勝 清野
正克 木村
Masakatsu Kimura
正克 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Kosan Co Ltd filed Critical Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority to JP2013125536A priority Critical patent/JP2015002052A/ja
Publication of JP2015002052A publication Critical patent/JP2015002052A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

【課題】サイクル特性に優れる固体リチウム電池が得られる正極合材を提供する。
【解決手段】オリビン型正極活物質、マンガンスピネル型正極活物質及び遷移金属硫化物正極活物質のうち少なくとも1つと、ハロゲン含有硫化物系固体電解質とを含む正極合材。
【選択図】なし

Description

本発明は、正極合材及びそれを用いた固体リチウム電池に関する。
近年、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、モーターを動力源とする自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等に用いられる高性能リチウム電池等二次電池の需要が増加している。
現在、リチウム電池の電解質には液体が用いられているが、オリビン型化合物等の正極活物質は酸化還元電位が5V近くと高いため、オリビン型化合物を用いた場合、電解液が分解して電池が安定して動作しないおそれがあった。
また、特に電気自動車、ハイブリッド電気自動車等は、エネルギー密度の高い電池を必要とするが、電解質が液体のリチウム電池ではこれを満足するエネルギー密度は得られなかった。
上記問題を解決するため、特許文献1では、硫化物系固体電解質を用いる試みがなされているが、サイクル特性等が十分でない場合がある。
特開2010−34006号公報
本発明は、サイクル特性に優れる固体リチウム電池が得られる正極合材を提供することを目的とする。
本発明によれば、以下の正極合材等が提供される。
1.オリビン型正極活物質、マンガンスピネル型正極活物質及び遷移金属硫化物正極活物質のうち少なくとも1つと、ハロゲン含有硫化物系固体電解質とを含む正極合材。
2.前記ハロゲン含有硫化物系固体電解質がLi、P、S及びハロゲン元素を含む1に記載の正極合材。
3.前記ハロゲン含有硫化物系固体電解質が下記式で表される1又は2に記載の正極合材。
Li・・・(1’)
(式中、Mは、B、Al、Si、Ge、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、Bi又はこれらの組合せを表す。Xは、I、Cl、Br、F又はこれらの組合せを表す。a〜fは、0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1、0<d≦9、0<e≦9、0≦f≦9を満たす。)
4.前記オリビン型正極活物質であるLiNiPO又はLiCoPOを含む1〜3のいずれかに記載の正極合材。
5.1〜4のいずれかに記載の正極合材を含む全固体リチウム二次電池。
本発明によれば、サイクル特性に優れる固体リチウム電池が得られる正極合材が提供できる。
固体電解質の製造装置の一例を示す図である。 本発明の全固体リチウム電池の一実施形態を示す概略断面図である。
本発明の正極合材は、オリビン型正極活物質、マンガンスピネル型正極活物質及び遷移金属硫化物正極活物質のうち少なくとも1つと、ハロゲン含有硫化物系固体電解質とを含む。
このような正極活物質及びハロゲン含有硫化物系固体電解質を含むことで、固体リチウム電池に用いた場合にサイクル特性に優れる。
[正極活物質]
オリビン型化合物とは、オリビン構造を有する化合物である。オリビン型化合物は、好ましくはLiMPO(式中、MはFe、Ni又はCoを表す)で表される化合物であり、具体的にはLiNiPO、LiCoPO等が挙げられる。
マンガンスピネル型化合物とは、スピネル構造を有する化合物である。マンガンスピネル型化合物は、好ましくはLiM(式中、MはMn、又はMn及びNiからなる合金を表す)で表される化合物であり、具体的にはLiMn1.6Ni0.4、LiMnCoO等が挙げられる。
遷移金属硫化物の具体例としては、例えばTiSが挙げられる。
上記の正極活物質のうち、オリビン型正極活物質が好ましい。
正極活物質は、好ましくは炭素又は遷移金属含有酸化物で表面修飾する。
遷移金属含有酸化物としては、LiTi12、LiNbO及びLiTaO等が挙げられる。正極活物質を遷移金属含有酸化物で表面修飾することにより、遷移金属含有酸化物の層が電解質−正極材界面間の緩衝層となって、電解質−正極材界面におけるLi移動抵抗を低減することができ、電池性能を向上させることができる。
表面修飾は、例えば、N.Ohta,K.Takada,L.Zhang,R.Ma,M.Osada,T.Sasaki,Adv.Mater.18,2226(2005)に記載の方法を用いて行うことができる。
[ハロゲン含有硫化物系固体電解質]
ハロゲン含有硫化物系固体電解質とは、S及びハロゲン元素を含む固体電解質である。本発明に用いるハロゲン含有硫化物系固体電解質(固体電解質)は、好ましくはガラスセラミックスである。固体電解質は、好ましくはLi、P、S及びハロゲン元素を含む。
また、好ましくは下記式(1)に示す組成を有するものである。
・・・(1)
(式中、Lは、アルカリ金属を表す。Mは、B、Al、Si、Ge、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、Bi又はこれらの組合せを表す。Xは、I、Cl、Br、F又はこれらの組合せを表す。a〜fは、0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1、0<d≦9、0<e≦9、0≦f≦9を満たす。)
式(1)において、好ましくは、bは0であり、より好ましくは、a、c、d、e及びfの比(a:c:d:e:f)がa:c:d:e:f=1〜9:1:3〜7:0.05〜3:0〜2であり、さらに好ましくは、a:c:d:e:f=2〜6.5:1:3.5〜5:0.1〜1.5:0〜1であり、最も好ましくは、a:c:d:e:f=2〜6.5:1:3.5〜4.95:0.1〜1.5:0〜0.5である。dは4であると好ましい。
また、fが0でない場合、d+f=4となるように添加することが望ましい。
各元素の組成比は、固体電解質又は固体電解質前駆体(固体電解質ガラス)を製造する際の原料化合物の配合量を調整することにより制御できる。
また、好ましくは、LはLiである。即ち、固体電解質は下記式(1’)に示す組成を有する。
Li・・・(1’)
(式中、M、X、a〜fは、式(1)と同じである。)
式(1)に示す組成を有する固体電解質は、好ましくは下記式(1'')に示す組成を有する固体電解質である。
・・・(1'')
(式中、Lは、アルカリ金属を示す。Mは、B、Al、Si、Ge、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、Bi又はこれらの組合せを示す。Xは、I、Cl、Br、F又はこれらの組合せを示す。a〜eは、0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1、0<d≦9、0<e≦9を満たす。)
式(1'')において、好ましくは、bは0であり、より好ましくは、a、c、d、eの比(a:c:d:e)がa:c:d:e=1〜9:1:3〜7:0.05〜3であり、さらに好ましくは、a:c:d:e=2〜6.5:1:3.5〜5:0.1〜1.5であり、最も好ましくは、a:c:d:e=2〜6.5:1:3.5〜4.95:0.1〜1.5である。
dは4であると好ましい。
及びLで表わされる固体電解質を構成する各元素は、好ましくは以下の通りである。
Lのアルカリ金属は、Li、Na、K、Rb、Ce及びFrから選択される1つ以上が挙げられ、好ましくはLi及びNaから選択される1つ以上であり、より好ましくはLiである。
Mは、好ましくはB、Al、Si又はこれらの組み合わせである。
Xは、好ましくはI、Br又はClであり、より好ましくはBrである。
[ハロゲン含有硫化物系固体電解質の製造方法]
(1)原料
ハロゲン含有硫化物系固体電解質は、例えば下記成分(A)、(B)及び(C)を用いることにより調製できる。
(A)アルカリ金属硫化物
(B)M'で表される化合物
(C)M''で表わされる化合物
(式中、M'は、Li、Na、B、Al、Si、P、Ge又はこれらの組み合わせを表す。M''は、Li、Na、B、Al、Si、P、S、Ge、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、Bi又はこれらの組み合わせを表す。Xは、F、Cl、Br、I又はこれらの組み合わせを表す。wは1又は2の整数を表す。m、n及びxは、それぞれ1〜10の整数を表す。)
(A)アルカリ金属硫化物としては、LiS(硫化リチウム)、NaS(硫化ナトリウム)が挙げられ、好ましくは硫化リチウムである。
硫化リチウムは、特に制限なく使用できるが、高純度のものが好ましい。硫化リチウムは、例えば、特開平7−330312号公報、特開平9−283156号公報、特開2010−163356号公報、特開2011−84438号公報、特開2011−136899号公報に記載の方法により製造することができる。
具体的に、炭化水素系有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを70℃〜300℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成できる(特開2010−163356号公報)。
また、水溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを10℃〜100℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成できる(特開2011−84438号公報)。
硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下であり、かつN−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下である。硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であると、溶融急冷法やメカニカルミリング法で得られる固体電解質は、ガラス状電解質(完全非晶質)となる。一方、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%を越えると、得られる電解質は、最初から結晶化物となるおそれがある。
また、N−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であると、N−メチルアミノ酪酸リチウムの劣化物がリチウムイオン電池のサイクル性能を低下させることがない。このように不純物が低減された硫化リチウムを用いると、高イオン伝導性電解質が得られる。
上述した特開平7−330312号公報及び特開平9−283156号公報に基づいて硫化リチウムを製造した場合、硫化リチウムが硫黄酸化物のリチウム塩等を含むため、精製することが好ましい。
一方、特開2010−163356号公報に記載の硫化リチウムの製法で製造した硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩等の含有量が非常に少ないため、精製せずに用いてもよい。
好ましい精製法としては、例えば、国際公開第2005/40039号パンフレットに記載された精製法等が挙げられる。具体的には、上記のようにして得られた硫化リチウムを、有機溶媒を用いて100℃以上の温度で洗浄する。
(B)M'で表される化合物としては、P(三硫化二リン)、P(五硫化二リン)、SiS(硫化珪素)、Al(硫化アルミニウム)、GeS(硫化ゲルマニウム)、B(三硫化二砒素)、NaS(硫化ナトリウム)等が挙げられ、好ましくは五硫化二リン(P)である。
五硫化二リン(P)は、工業的に製造され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。
(C)M''で表わされる化合物は、好ましくはM''がリチウム又はリンである化合物である。
(C)M''で表わされる化合物は、具体的には、LiF,LiCl,LiBr,LiI,BCl,BBr,BI,AlF,AlBr,AlI,AlCl,SiF,SiCl,SiCl,SiCl,SiBr,SiBrCl,SiBrCl,SiI,PF,PF,PCl,PCl,PBr,PI,PCl,P,SF,SF,SF,S10,SCl,SCl,SBr,GeF,GeCl,GeBr,GeI,GeF,GeCl,GeBr,GeI,AsF,AsCl,AsBr,AsI,AsF,SeF,SeF,SeCl,SeCl,SeBr,SeBr,SnF,SnCl,SnBr,SnI,SnF,SnCl,SnBr,SnI,SbF,SbCl,SbBr,SbI,SbF,SbCl,PbF,PbCl,PbF,PbCl,PbBr,PbI,BiF,BiCl,BiBr,BiI,TeF,Te10,TeF,TeCl,TeCl,TeBr,TeBr,TeI、NaI,NaF,NaCl,NaBr等が挙げられ、好ましくLiCl,LiBr,LiI,PCl、PCl、PBr及びPBrであり、より好ましくはLiCl,LiBr,LiI及びPBrである。
尚、上記(C)成分に替えて、例えばPOClやPOBrのような(C)成分の化合物の酸化物を用いることもできる。
式(1)に示す組成を有する固体電解質は、成分(C)が酸素元素を含まない化合物であっても、後述するガラス化促進剤を用いることによって、酸素元素を含む固体電解質とすることができる。
成分(A)、(B)及び(C)の配合比は、成分(C)のM''がリンであるかリン以外であるかで異なるため、以下場合分けする。
(i)成分(C)のM''がリン以外の場合
例えば成分(A):(B)のモル比は65:35〜85:15であり、好ましくは(A):(B)=67:33〜83:17(モル比)であり、さらに好ましくは(A):(B)=67:33〜80:20(モル比)であり、最も好ましくは(A):(B)=72:28〜78:22(モル比)である。
また、このとき、成分(A)及び(B)のモル量の合計に対する(C)のモル量の比は、好ましくは50:50〜99:1であり、より好ましくは[(A)+(B)]:(C)=55:45〜97:3(モル比)であり、さらに好ましくは[(A)+(B)]:(C)=60:40〜96:4(モル比)であり、特に好ましくは[(A)+(B)]:(C)=70:30〜96:4(モル比)である。
(ii)成分(C)のM''がリンである場合
例えば成分(A):(B)のモル比は60:40〜90:10であり、好ましくは(A):(B)=70:30〜90:10(モル比)であり、より好ましくは(A):(B)=72:28〜88:12(モル比)であり、さらに好ましくは(A):(B)=74:26〜86:14(モル比)であり、特に好ましくは(A):(B)=75:25〜85:15(モル比)であり、最も好ましくは、成分(A)が硫化リチウムであり、成分(B)五硫化二リンであって、(A):(B)=77:23〜83:17(モル比)である。
また、このとき、成分(A)及び(B)のモル量の合計に対する(C)のモル量の比は、好ましくは50:50〜99:1であり、より好ましくは[(A)+(B)]:(C)=80:20〜98:2(モル比)であり、さらに好ましくは[(A)+(B)]:(C)=85:15〜98:2(モル比)であり、特に好ましくは[(A)+(B)]:(C)=90:10〜98:2である。
尚、上記成分(A)〜(C)の他に、ガラス転移温度を低減する化合物(ガラス化促進剤)を添加してもよい。
ガラス化促進剤としては、LiPO、LiSiO、LiGeO、LiBO、LiAlO、LiCaO、LiInO、NaPO、NaSiO、NaGeO、NaBO、NaAlO、NaCaO、NaInO等の無機化合物が挙げられる。
(2)ガラス状の固体電解質の製造方法
上記成分(A)〜(C)及び任意にガラス化促進剤等を用いて、以下の方法によりガラス状のハロゲン含有硫化物系固体電解質を製造することができる。
原料(例えば硫化ナトリウム、五硫化二リン及びハロゲン化合物)を、上記配合比で混合し、溶融急冷法、メカニカルミリング法(以下、適宜「メカニカルミリング」を「MM」という。)、接触法、溶媒中で反応させるスラリー法、固相法等により処理することにより、ガラス状のハロゲン含有硫化物系固体電解質を製造することができる。
以下、各製造方法について説明する。
(i)溶融急冷法
溶融急冷法は、原料を所定量混合し、所定温度で反応させた後、急速に冷却することによりガラス状の固体電解質を得る方法である。
例えば、乳鉢にて混合しペレット状にしたものを、カーボンコートした石英管中に入れ真空封入する。所定の反応温度で反応させた後、氷中に投入し急冷することにより、ガラス状の固体電解質が得られる。
反応温度は、好ましくは400℃〜1000℃、より好ましくは、800℃〜900℃である。
反応時間は、好ましくは0.1時間〜12時間、より好ましくは、1〜12時間である。
上記反応物の急冷温度は、通常10℃以下、好ましくは0℃以下であり、その冷却速度は、通常1〜10000K/sec程度、好ましくは10〜10000K/secである。
(ii)メカニカルミリング法(MM法)
MM法は、原料を所定量混合し、機械的なエネルギーを与えることによりガラス状の固体電解質を得る方法である。
機械的なエネルギーを与える方法は特に問わないが、例えば、各種ボールミルを例示することができる。
例えば、五硫化二燐(P)、硫化リチウム(LiS)及びハロゲン化合物を所定量乳鉢にて混合し、例えば、各種ボールミル等を使用して所定時間反応させることにより、ガラス状の固体電解質が得られる。
上記原料を用いたMM法は、室温で反応させることができる。そのため、原料の熱分解が起らず、仕込み組成のガラス状の固体電解質を得ることができるという利点がある。
また、MM法ではガラス状の固体電解質の製造と同時に、微粉末化できるという利点もある。
MM法には、回転ボールミル、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル等種々の形式を用いることができる。
MM法の条件としては、例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。
また、ボールミルのボールは異なる径のボールを混合して使用してもよい。
また、MM処理の際のミル内の温度を調整してもよい。
MM処理時の原料温度は、室温から200℃まで必要に応じて加熱してもよい。
(iii)固相法
固相法は、原料を混合し所定温度で加熱することによりガラス状の固体電解質を得る方法である。例えば、五硫化二燐(P)と硫化リチウム(LiS)、及びハロゲン化合物を所定量乳鉢にて混合し、100〜900℃の温度で加熱することにより、ガラス状の固体電解質が得られる。
(iv)接触法
接触法は、溶媒中で原料を接触させてガラス状の固体電解質を製造する方法である。
接触法によれば、メカニカルミリング装置のような特殊な設備を使用しなくともガラス状の固体電解質を製造できる。従って、安価に伝導性物質を製造することができる。また、メカニカルミリング処理をしないため、メカニカルミリング装置の壁面等が剥がれることによる不純物の発生を防止することができる。
また、メカニカルミリング装置を使用しないため、ボールとミル容器内に原料や固体電解質が付着するような欠点がない。
上記溶媒は、好ましくは有機溶媒であり、より好ましくは非プロトン性溶媒であり、さらに好ましくは炭化水素系有機溶媒である。
上記非プロトン性溶媒としては、非プロトン性有機溶媒(例えば、炭化水素系有機溶媒)、非プロトン性の極性有機化合物(例えばアミド化合物、ラクタム化合物、尿素化合物、有機イオウ化合物、環式有機リン化合物等)等が挙げられ、これらのうちいずれか1つを単独溶媒として、又はこれらのうちの2以上からなる混合溶媒として使用することができる。
上記炭化水素系溶媒としては、飽和炭化水素、不飽和炭化水素又は芳香族炭化水素が使用できる。
飽和炭化水素としては、ヘキサン、ペンタン、2−エチルヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン等が挙げられる。
不飽和炭化水素としては、ヘキセン、ヘプテン、シクロヘキセン等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、トルエン、キシレン、デカリン、1、2、3、4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、特にトルエン、キシレンが好ましい。
非プロトン性溶媒及び炭化水素系溶媒は、あらかじめ脱水されていることが好ましい。具体的には、水分含有量として100重量ppm以下が好ましく、特に30重量ppm以下であることが好ましい。
必要に応じて使用する溶媒に他の溶媒を添加してもよい。
当該他の溶媒の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エタノール、ブタノール等のアルコール類;酢酸エチル等のエステル類等;ジクロロメタン、クロロベンゼン、フッ化ヘプタン、フッ化ベンゼン、2、3‐ジハイドロパーフルオロペンタン、1、1、2、2、3、3、4‐ヘプタフルオロシクロペンタン等のフッ素系化合物等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。
上述の接触法で使用する溶媒は、後述する製造方法で使用する溶媒にも同様に使用することができる。
溶媒の量は、原料が、溶媒の添加により溶液又はスラリー状になる程度であることが好ましい。通常、溶媒1リットルに対する原料(合計量)の添加量は0.001Kg以上1Kg以下程度となる。好ましくは0.005Kg以上0.5Kg以下、特に好ましくは0.01Kg以上0.3Kg以下である。
原料を溶媒中で接触させる方法は、特に限定されない。例えば、撹拌装置を有する容器内で、原料と溶媒の混合物を撹拌させる方法が挙げられ、接触時に撹拌することが好ましい。
接触(反応)工程時の温度は、通常50℃以上300℃以下であり、好ましくは60℃以上250℃以下であり、より好ましくは70℃以上200℃以下である。
また、接触工程時の時間は、通常5分以上200時間以下、好ましくは10分以上100時間以下である。接触工程時の時間が5分未満であると反応が不十分のおそれがある。接触時間が短すぎると原料が残ってしまうおそれがある。
尚、温度や時間は、いくつかの条件をステップにして組み合わせてもよい。
例えば、接触開始から1時間は100℃で接触させ、1時間後10時間の間は150℃で加熱する等である。
接触工程は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましい。不活性ガスの露点は−20℃以下が好ましく、特に好ましくは−40℃以下である。圧力は、通常、常圧〜100MPaであり、好ましくは常圧〜20MPaである。
接触処理後、生成した固体部分と溶媒を分離してガラス状の固体電解質を回収する。分離は、デカンテーション、ろ過、乾燥等、又はこれら組み合わせ等、公知の方法で実施することができる。
(v)湿式メカニカルミリング法(湿式MM法)
湿式メカニカルミリング法は、原料を溶媒中でメカニカルミリング処理して製造する方法である。
湿式メカニカルミリング法は、溶媒を加えた状態でメカニカルミリング処理を施すことで、処理時の増粒効果を抑制し、合成反応を効率的に促進できる。これにより、均一性に優れ、未反応原料の含有率が低いガラス状の固体電解質を得ることができる。また、原料や反応物の器壁等への固着を防止することができ、製品の歩留を向上できる。
溶媒の量は、原料が、溶媒の添加により溶液又はスラリー状になる程度であることが好ましい。通常、溶媒1リットルに対する原料(合計量)の添加量は0.01Kg以上1Kg以下となる。好ましくは0.1Kg以上1Kg以下、特に好ましくは0.2Kg以上0.8Kg以下である。
湿式メカニカルミリング処理には、種々の形式の粉砕法を用いることができる。特に、遊星型ボールミルを使用するのが好ましい。
遊星型ボールミルは、ポットが自転回転しながら、台盤が公転回転し、非常に高い衝撃エネルギーを効率良く発生させることができる。また、ビーズミルも好ましい。
湿式メカニカルミリング処理の回転速度及び回転時間は特に限定されないが、回転速度が速いほど、ガラス状の固体電解質の生成速度は速くなり、回転時間が長いほどガラス状の固体電解質ヘの原料の転化率は高くなる。但し、メカニカルミリング処理の回転速度が速くすると粉砕機にかかる負担が大きくなるおそれがあり、回転時間を長くするとガラス状の電解質の製造に時間がかかる。
また、ボールミルのボールは異なる径のボールを混合して使用してもよい。
上記の他、MM処理の際のミル内の温度を調整してもよい。MM法の条件としては、例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。
溶媒の存在下でメカニカルミリング処理するため、処理時間を短縮できる。室温から200℃まで必要に応じて加熱してもよい。
メカニカルミリング処理後の結果物を乾燥し、溶媒を除去することにより、ガラス状の固体電解質が得られる。
(vi)スラリー合成法
スラリー合成法は、原料に溶媒中で力学的なエネルギーを与える力学的なエネルギー供与手段と、原料を溶媒中で接触させる接触手段と、力学的なエネルギー供与手段と接触手段を連結する連結手段と、連結手段を通して、原料及び/又は原料の反応物を力学的なエネルギー供与手段と接触手段との間を循環させる循環手段とを備える製造装置を用いてガラス状の固体電解質を製造する方法である。反応生成物を乾燥し、溶媒を除去することにより、ガラス状の固体電解質が得られる。
上記原料及び溶媒は、湿式メカニカルミリング法の原料及び溶媒と同様のものが使用できる。
スラリー合成法では、原料に溶媒を加えた状態で反応させる。溶媒を加えた状態で反応させることで、処理時の造粒効果を抑制し、合成反応を効率的に促進できる。これにより、均一性に優れ、未反応原料の含有率が低いガラス状の固体電解質を得ることができる。また、原料や反応物の器壁等への固着を防止することができ、製品の歩留を向上できる。
図1は、スラリー合成法で使用できる製造装置の一例を示す図である。
製造装置1は、原料を粉砕しつつ反応させてガラス状の固体電解質を合成する粉砕機(粉砕合成手段)10と、原料を反応させてガラス状の固体電解質を合成する反応槽(合成手段)20とを備える。反応槽20は容器22と撹拌翼24からなり、撹拌翼24はモータ(M)により駆動される。
粉砕機10には、粉砕機10内の温度保つために、粉砕機10の周りに温水を通すことのできるヒータ30(第1の温度安定手段)が設けられている。反応槽20は、反応槽20内の温度を保つために、オイルバス40(第2の温度安定手段)に入っている。オイルバス40は容器22内の原料と溶媒を所定温度に加熱する。反応槽20には気化した溶媒を冷却して液化する冷却管26が設けられる。
粉砕機10と反応槽20は、第1の連結管50と第2の連結管52(連結手段)で連結されている。第1の連結管50は、粉砕機10内の原料と溶媒を反応槽20に移動させ、第2の連結部52は、反応槽20内の原料及び溶媒を粉砕機10内に移動させる。原料等を連結管50、52を通して循環するために、ポンプ54(例えばダイアフラムポンプ)(循環手段)が、第2の連結管52に設けられている。
この装置1を用いて、ガラス状の固体電解質を製造するときは、溶媒と原料を、粉砕機10と反応槽20にそれぞれ供給する。ヒータ30には温水(HW)が入り排出される(RHW)。ヒータ30により粉砕機10内の温度を保ちながら、原料を溶媒中で粉砕しつつ反応させてガラス状の固体電解質を合成する。オイルバス40により反応槽20内の温度を保ちながら、原料を溶媒中で反応させてガラス状の固体電解質を合成する。反応槽20内の温度は温度計(Th)で測定する。このとき、撹拌翼24をモータ(M)により回転させて反応系を撹拌し、原料と溶媒からなるスラリーが沈殿しないようにする。冷却管26には冷却水(CW)が入り排出される(RCW)。冷却管26は、容器22内の気化した溶媒を冷却して液化し、容器22内に戻す。粉砕機10と反応槽20でガラス状の固体電解質を合成する間、ポンプ54により、反応中の原料は連結管50、52を通って、粉砕機10と反応槽20の間を循環する。粉砕機10に送り込まれる原料と溶媒の温度は、粉砕機10前の第2の連結管に設けられた温度計(Th)で測定する。
容器22内の反応温度は、例えば60℃以上300℃以下であり、好ましくは80℃以上200℃以下である。容器内の反応温度が60℃未満の場合、ガラス状の固体電解質の製造に時間がかかり生産効率が十分ではないおそれがある。一方、容器内の反応温度が300℃を超える場合、好ましくない結晶が析出する場合がある。
反応は温度が高い領域が速いので高温にすることが好ましいが、粉砕機を80℃を超える温度にすると磨耗等の機械的な問題が発生するおそれがある。従って、反応槽は反応温度を高めに設定し、粉砕機は比較的低温に保つとよい。
反応槽20の容量と粉砕機10の容量との比率は任意でよいが、通常反応槽20の容量は、粉砕機10の容量の1〜100倍程度である。
炭化系水素溶媒の量は、原料が、溶媒の添加により溶液又はスラリー状になる程度であることが好ましい。通常、溶媒1kgに対する原料(合計量)の添加量は0.03Kg以上1Kg以下程度となる。好ましくは0.05Kg以上、より好ましくは0.5Kg以下、特に好ましくは0.1Kg以上0.3Kg以下である。
(vii)メカニカルミリング法と接触法の交互実施
メカニカルミリング法と接触法の交互実施は、原料をメカニカルミリング処理する工程と、原料を溶媒中で接触させる接触工程とを含み、当該メカニカルミリング処理工程及び当該接触工程を交互に繰り返し行う方法である。
メカニカルミリング処理工程は、MM法で例示した種々の形式の粉砕法を用いることができる。また、メカニカルミリング処理工程の温度は、改良スラリー法の力学的なエネルギー供与手段(粉砕機10)の温度と同様である。
メカニカルミリング処理の回転速度及び回転時間は特に限定されないが、回転速度が速いほど、ガラス状の固体電解質の生成速度は速くなり、回転時間が長いほどガラス状の固体電解質ヘの原料の転化率は高くなる。例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を250回転/分以上300回転/分以下とし、5分以上50時間以下処理すればよい。
上記処理時間は、遊星型ボールミル機に原料及びガラス状の固体電解質が留まっている時間を示す。従って、原料及びガラス状の固体電解質が遊星型ボールミル機と反応槽を循環するが、反応開始から終了までに原料及びガラス状の固体電解質が遊星型ボールミル機に留まっている時間の合計になる。
上記時間が短いと未反応の原料が残るおそれがあると共に上記時間が長いと粉砕機の容量を大きくし、一度に収納できる原料及びガラス状の固体電解質の量を多くするか、下記する反応終了までの時間が長くなるという問題が発生するおそれがある。
接触工程については、スラリー合成法で例示した接触手段を用いることができる。また、接触工程の温度は、スラリー合成法の接触手段(容器22)における反応温度と同じである。
接触工程の時間は、5分以上200時間以下が好ましい。
ここで、上記接触工程の時間は、反応槽に原料及びガラス状の固体電解質が留まっている時間を示す。従って、原料及びガラス状の固体電解質が遊星型ボールミル機と反応槽を循環するが、反応開始から終了までに原料及びガラス状の固体電解質が反応槽に留まっている時間の合計になる。
上述したメカニカルミリング処理工程と接触工程を、交互に繰り返して行う。繰り返し回数は、2回以上100回以下が好ましい。より好ましくは繰り返し回数が5回以上100回以下であり、さらに好ましくは、10回以上100回以下である。
以上、ガラス状の固体電解質の製造方法を説明したが、上述の製造方法のいずれの場合であっても、原料を混ぜる順番(接触させる順番)は特に限定されず、最終的なガラス状の固体電解質の組成が上記式(1)を満たす範囲にあればよい。
得られる固体電解質(ガラス)の体積基準平均粒径(Mean Volume Diameter、以下「粒径」という。)は、好ましくは0.01μm以上500μm以下である。
粒径の測定方法は、レーザー回折式粒度分布測定方法により行うことが好ましい。レーザー回折式粒度分布測定方法は、組成物を乾燥せずに粒度分布を測定することができる。レーザー回折式粒度分布測定方法では、組成物中の粒子群にレーザーを照射して、その散乱光を解析することで粒度分布を測定する。
測定例として、レーザー回折式粒度分布測定装置(Malvern Instruments Ltd社製マスターサイザー2000)を使用した場合の測定を説明する。
まず、装置の分散槽に脱水処理されたトルエン(和光純薬製、製品名:特級)110mlを入れ、さらに分散剤として脱水処理された分散剤を6%添加する。
上記混合物を十分混合した後、測定対象である「乾燥した固体電解質又はその前駆体」を添加して粒子径を測定する。測定対象の添加量は、マスターサイザー2000で規定されている操作画面で、粒子濃度に対応するレーザー散乱強度が規定の範囲内(10〜20%)に収まるように加減して加える。この範囲を超えると多重散乱が発生し、正確な粒子径分布を求めることができなくなるおそれがある。また、この範囲より少ないとSN比が悪くなり、正確な測定ができないおそれがある。マスターサイザー2000では、測定対象の添加量に基づき、レーザー散乱強度が表示されるので、上記レーザー散乱強度に入る添加量を見つけるとよい。
測定対象の添加量はイオン伝導性物質の種類等により最適量は異なるが、概ね0.01g〜0.05g程度である。
固体電解質(ガラス)は、下記測定方法により2つの発熱ピーク(結晶化ピーク)が観察されることが好ましく、2つの結晶化ピークが150℃以上360℃以下の範囲にあることがより好ましく、また、2つの結晶化ピーク間の幅が20〜150℃、好ましくは20〜100℃であることが好ましい。
結晶化温度(ピーク)は、示差熱−熱重量測定装置(メトラートレド社製TGA/DSC1)又は示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製Diamond DSC)を使用し、固体電解質約20mgを10℃/分で測定することで特定できる。
また、固体電解質(ガラス)は、2つの結晶化ピークがあり、2つの結晶化ピークが170℃以上330℃以下の範囲にあり、かつ2つの結晶化ピーク間の幅が20〜150℃であることがさらに好ましい。
また、2つの結晶化ピークが170℃以上330℃以下の範囲にあることがさらに好ましく、また2つの結晶化ピーク間の幅が30〜140℃であることがさらに好ましい。
また、固体電解質(ガラス)は、2つの結晶化ピークがあり、2つの結晶化ピークが175℃以上320℃以下の範囲にあり、かつ2つの結晶化ピーク間の幅が30〜140℃であることが特に好ましい。
また、2つの結晶化ピークが175℃以上320℃以下の範囲にあることが特に好ましく、また、2つの結晶化ピーク間の幅が35〜130℃であることが特に好ましい。また、固体電解質は、2つの結晶化ピークがあり、2つの結晶化ピークが180℃以上310℃以下の範囲にあり、かつ2つの結晶化ピーク間の幅が40〜120℃であることが最も好ましい。
本発明の固体電解質粉体ガラスの結晶化は、上記ガラス状の固体電解質を加熱処理することにより得られる。
加熱温度は、好ましくは、固体電解質(ガラス)のガラス転移温度(Tg)以上、固体電解質(ガラス)の結晶化温度(Tc)+100℃以下であることが好ましい。加熱温度が固体電解質(ガラス)のTg未満の場合、製造時間が非常に長くなるおそれがある。一方、(Tc+100℃)を超えると、得られる固体電解質(ガラスセラミックス)中に不純物等が含まれる場合があり、イオン伝導度が低下するおそれがある。
加熱温度は、より好ましくは、(Tg+5℃)以上、(Tc+90℃)以下、さらに好ましくは、(Tg+10℃)以上、(Tc+80℃)以下である。
例えば、加熱温度は、150℃以上360℃以下であり、好ましくは160℃以上350℃以下であり、より好ましくは180℃以上310℃以下であり、さらに好ましくは180℃以上290℃以下であり、特に好ましくは190℃以上270℃以下である。
また、熱物性の測定により2つのピークがある場合は、低温側の第1結晶化ピークの温度をTc1とし、低温側のTc1と高温側の第2結晶化ピークの温度(Tc2)として、第1結晶化温度以上、第2結晶化温度以下で加熱すると好ましい。
昇温方法については特に指定がない。所定温度までゆっくり昇温してもよいし、急速に加熱してもよい。
ガラス状の固体電解質の結晶化温度は、示差熱−熱重量測定等で特定することができ、例えば熱重量測定装置(メトラートレド社製TGA/DSC1)を使用し、ガラス状の固体電解質約20mgを、昇温速度10℃/分で加熱することにより測定することで特定できる。
尚、結晶化温度等は昇温速度等により変化することあり、熱処理する昇温速度に近い速度での測定でのTcを基準に選ぶ必要がある。従って、実施例以外の昇温速度で処理する場合は、最適な熱処理温度は変化するが、熱処理する昇温速度で測定されたTcを基準として上記条件にて熱処理することが望ましい。
加熱時間は、0.005分以上、10時間以下が好ましい。さらに好ましくは、0.005分以上、5時間以下であり、特に好ましくは、0.01分以上、3時間以下である。
昇温方法については特に指定がない。所定温度までゆっくり昇温してもよいし、急速に加熱してもよい。
加熱は、露点−40℃以下の環境下で行うことが好ましく、より好ましくは露点−60℃以下の環境下で行うことが好ましい。加熱時の気圧は、常圧であってもよく、減圧下であってもよい。雰囲気は、空気中であってもよく、不活性雰囲気下であってもよい。
[正極合材]
上記の正極活物質とハロゲン含有硫化物系固体電解質を混合することにより正極合材とすることができる。
正極活物質とハロゲン含有硫化物系固体電解質の合計に対する、正極活物質の混合割合は、固体重量%(wt%)として、通常20wt%〜95wt%であり、より好ましくは50wt%〜90wt%であり、さらに好ましくは60wt%〜80wt%である。
混合する方法としては、乾燥紛体をメノウ乳鉢等で混ぜる方法の他、有機溶媒に直接加えて混合する方法等を用いることができる。
また、本発明の正極合材は、後述するように、正極活物質とハロゲン含有硫化物系固体電解質以外に他の成分を含んでもよいし、実質的に正極活物質とハロゲン含有硫化物系固体電解質のみからなっていてもよい。
本発明において「実質的」とは、正極合材の90重量%以上100重量%以下(好ましくは95重量%以上100重量%以下)が正極活物質とハロゲン含有硫化物系固体電解質であることを意味する。
上記のように、正極合材は、実質的に正極活物質とハロゲン含有硫化物系固体電解質からなり、本発明の効果を損なわない範囲で他に不可避不純物を含んでいてもよい。
[全固体リチウム二次電池]
本発明の正極合材は、全固体リチウム二次電池(全固体二次電池)に用いることができる。
全固体二次電池は、通常、正極、負極、及びこれらの間に挟持された固体電解質層で構成され、正極が本発明の正極合材からなる。
本発明の正極合材を含むことで、高電位(例えば4.5V以上)や高温下(例えば100℃以上)でも安定して稼動し、かつ、高出力でサイクル特性の良好な全固体二次電池とすることができる。
全固体二次電池の一実施形態を示す概略断面図を図2に示す。
全固体二次電池101は、正極110及び負極130からなる一対の電極間に固体電解質層120が挟持されている。正極110及び負極130にはそれぞれ集電体140及び142が設けられている。
正極110は本発明の正極合材からなる。
正極の成膜方法としては、正極合材及び溶媒からなる混合液を塗布して形成する方法の他、例えば、ブラスト法、エアロゾルデポジション法、コールドスプレー法、スパッタリング法、気相成長法、加圧プレス法又は溶射法等を用いることができる。このような方法によって成膜することで、正極の空隙率をより小さくすることができ、電子伝導、電子授受及びイオン伝導を改善することができる。
上記の混合液による形成方法において、通常、正極合材の比重は溶媒より大きいため、正極合材は溶媒に溶解しているのではなく、混合液中に沈殿している。そのため、正極形成の際には撹拌等により正極合材を均一に分散させた混合液を用いると好ましい。
混合液に用いる溶媒としては、正極合材との反応性が低い溶媒が好ましいが、正極合材表面をコートする等して正極合材が溶媒と反応しないように処置することにより、正極合材との反応性が高い溶媒も用いることができる。
上記溶媒は、好ましくは有機溶媒であり、より好ましくは炭化水素系有機溶媒であり、例えばヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、デカリン等が挙げられる。
これら溶媒のうち、塗布後の乾燥工程を考慮すると、低沸点溶媒であるヘキサン、トルエン、キシレンが好ましいが、混合液の維持を考慮すると、蒸発速度の速い低沸点溶媒を用いることは困難であり、トルエン、キシレン等が好ましい。
上記溶媒は、脱水処理して水分含有量を低くすると好ましい。溶媒の水分含有量は、通常30ppm以下、好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは1.0ppm以下である。
正極合材及び溶媒からなる混合液にさらにバインダーを添加してもよい。
バインダーは、正極合材との反応性が低ければ特に限定されないが、好ましくは熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂であり、より好ましくはポリシロキサン、ポリアルキレングリコール、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンブタジエンゴム/カルボキシメチルセルロース(SBR/CMC)、ポリエチレンオキシド(PEO)、分岐PEO、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、PEO−PPO共重合体、分岐PEO−PPO共重合体、アルキルボラン含有ポリエーテルである。
尚、バインダーは、シート化容易性や、界面抵抗の増加を防ぎ、かつ充放電容量の低下を防ぐ観点から、特に好ましくはSBR、ポリアルキレングリコールである。
負極130は負極活物質を含み、負極活物質としては、グラファイト、チタンスピネル化合物、リチウム金属、リチウム合金及び遷移金属硫化物が好ましい。
グラファイトは、好ましくはハロゲン化リチウムで予め処理する。処理方法としては、ハロゲン化リチウムをグラファイトに挿入する方法が挙げられる。
ハロゲン化リチウムをグラファイトに挿入する方法としては、例えばLiIのテトラヒドロフラン(THF)溶液にグラファイトを浸漬し、アルゴン、窒素等の不活性ガス雰囲気下で1週間程度放置する湿式法や、グラファイトとハロゲン化リチウムとの混合物を100〜200℃で2時間程度処理する乾式法が挙げられる。
チタンスピネル化合物の具体例としては、LiTi12が挙げられる。また、遷移金属硫化物の具体例としてはTiSが挙げられる。
負極130は、好ましくは充放電時に金属リチウムの析出、溶解反応が生じる電子伝導性を有する第1の電極と、イオン伝導経路に異方性を有する電子−イオン混合伝導体を含む第2の電極を有する。
負極を上記構成とすることにより、イオン流束の集中を解消することができる。具体的には、金属リチウムの析出溶解反応の生じる第1の電極上に、電子−イオン混合伝導性を有する第2の電極を設けると、第2の電極内では電場の作用により電子が移動し、移動した電子が電場を打ち消す働きを示す。その結果、第1の電極表面で生じる電場の不均一性が小さくなり、イオン流束の集中を抑え、均一な金属リチウムの析出を生じさせることができる。
第1の電極の材料としては、金属リチウム及びリチウム合金等が挙げられる。リチウム合金のリチウムと組み合わせる金属としては、金属インジウム、金属アルミニウム、金属銅、金属ニッケル、金属タングステン、鉄、ステンレス鋼等が挙げられる。
第2の電極の材料としては金属窒化物が挙げられ、好ましくはリチウムニトリド遷移金属化合物等のリチウム含有複合窒化物である。
負極130は、正極110と同様に作製できる。正極活物質は好ましくは表面修飾された正極活物質であるが、負極活物質については表面修飾の有無は特に限定されない。
固体電解質層120としては、上記のハロゲン含有硫化物系固体電解質(固体電解質)が好ましい。
固体電解質層は、固体電解質をブラスト法やエアロゾルデポジション法等によって成膜することで製造できる。また、コールドスプレー法、スパッタリング法、気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD)又は溶射法等でも固体電解質層の成膜が可能である。
さらに、固体電解質と溶媒やバインダー(結着材や高分子化合物等)を混合した溶液を塗布、塗工した後、溶媒を除去して成膜化する方法も挙げられる。
また、固体電解質自体や固体電解質とバインダーや支持体を混合・組合した電解質を加圧プレスすることで成膜することも可能である。支持体としては、固体電解質層の強度を補強するための材料や化合物、固体電解質自体の短絡を防ぐための材料や化合物等が挙げられる。
簡便な装置で行うことができ、室温条件下、固体電解質の状態を変化させない温度範囲で成膜できることから、好ましくはブラスト法又はエアロゾルデポジション法を用いる。
固体電解質層の成膜に用いる溶媒は、固体電解質の性能に悪影響を与えないものであれば特に限定されないが、例えば非水系溶媒が挙げられる。
非水系溶媒としては、例えば、乾燥ヘプタン、トルエン、ヘキサン、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート等の電解液に用いられる溶媒が挙げられる。好ましくは水分含有量が100ppm以下、より好ましくは50ppm以下の溶媒でを用いる。
バインダーとしては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が使用できる。例えば、ポリシロキサン、ポリアルキレングリコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体又は前記材料の(Na)イオン架橋体、エチレン−メタクリル酸共重合体又は前記材料の(Na)イオン架橋体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体又は前記材料の(Na)イオン架橋体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体又は前記材料の(Na)イオン架橋体を挙げることができる。
この中で、好ましいのはポリシロキサン、ポリアルキレングリコール、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
集電体140,142としては、銅、マグネシウム、ステンレス鋼、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、ゲルマニウム、インジウム、リチウム、又は、これらの合金等からなる板状体や箔状体等が使用できる。
集電体140,142は同一でも異なっていてもよい。例えば、集電体140には銅箔を使用し、集電体142にはアルミニウム箔を使用してもよい。
全固体二次電池は、上述した電池用部材を貼り合せ、接合することで製造できる。接合する方法としては、各部材を積層し、加圧・圧着する方法や、2つのロール間を通して加圧する方法(roll to roll)等がある。
また、接合面にイオン伝導性を有する活物質や、イオン伝導性を阻害しない接着物質を介して接合してもよい。
接合においては、固体電解質の結晶構造が変化しない範囲で加熱融着してもよい。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されない。
製造例1(硫化物系固体電解質の製造)
[硫化リチウムの製造]
硫化リチウムは、特開平7−330312号公報における第1の態様(2工程法)の方法に従って製造した。具体的には、撹拌翼のついた10リットルオートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpm、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。続いてこの反応液を窒素気流下(200cc/分)昇温し、反応した水硫化リチウムを脱硫化水素化し硫化リチウムを得た。昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。水硫化リチウムの脱硫化水素反応が終了後(約80分)に反応を終了し、硫化リチウムを得た。
[硫化リチウムの精製]
上記で得られた500mLのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。さらにNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、その温度のままNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。
得られた硫化リチウム中の不純物含有量を測定した。亜硫酸リチウム(LiSO)、硫酸リチウム(LiSO)、チオ硫酸リチウム(Li)の各硫黄酸化物、及びN−メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)の含有量は、イオンクロマトグラフ法により定量した。その結果、硫黄酸化物の総含有量は0.13質量%であり、LMABは0.07質量%であった。このようにして精製したLiSを、以下の実施例・比較例で使用した。
[固体電解質の製造]
上記で製造した平均粒径30μm程度の精製LiS 2.54gと平均粒径50μm程度のP(アルドリッチ社製)67.46gを10mmφアルミナボール175個が入った500mlアルミナ製容器に入れ密閉した。上記計量、密閉作業は全てグローブボックス内で実施し、使用する器具類は全て乾燥機で事前に水分除去して使用した。
この密閉したアルミナ容器を、遊星ボールミル(レッチェ社製PM400)にて室温下、36時間メカニカルミリング処理することで白黄色の固体電解質ガラス粒子を得た。回収率は78%であった。
得られた固体電解質ガラス粒子のX線回折測定(CuKα:λ=1.5418Å)を行なった結果、原料LiSのピークは観測されず、固体電解質ガラスに起因するハローパターンであった。
得られた固体電解質ガラス粒子をグローブボックス内Ar雰囲気下でSUS製チューブに密閉し、300℃2時間の加熱処理を施し、電解質ガラスセラミック粒子(平均粒径14.52μm)を得た。
得られた固体電解質ガラスセラミック粒子について、X線回折測定を実施したところ、2θ=17.8、18.2、19.8、21.8、23.8、25.9、29.5、30.0degにピークが観測された。このことから、得られた固体電解質ガラスセラミック粒子は、Li11結晶ができていることが分かる。
また、この固体電解質ガラスセラミック粒子の伝導度を評価したところ、伝導度は1.3mS/cmであった。
製造例2(ハロゲン含有硫化物系固体電解質の製造)
製造例1で製造し、精製した硫化リチウム0.337g(0.00717mol)、五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.532g(0.00239mol)及び臭化リチウム(アルドリッチ社製)0.140g(0.00161mol)をよく混合した。この混合した粉末と直径10mmのジルコニウム製ボール10ケを遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−7)アルミナ製ポットに投入して完全密閉するとともに、このアルミナ製ポット内に窒素を充填し、窒素雰囲気にした。
はじめの数分間は、遊星型ボールミルの回転を低速回転(100rpm)にして原料を十分に混合した。その後、徐々に遊星型ボールミルの回転数を上げ、370rpmまで回転数を上げた。遊星型ボールミルの回転数を370rpmで20時間メカニカルミリングを行った。
第一結晶化温度(Tc1)が210℃、第二結晶化温度(Tc2)が267℃を示す固体電解質が得られた。
210℃で2時間加熱し、ガラスセラミックスとした。
イオン伝導度は、1.8mS/cmであった。
実施例1(全固体二次電池の作製)
[正極合材、負極合材の製造]
N.Ohta,K.Takada,L.Zhang,R.Ma,M.Osada,T.Sasaki,Adv.Mater.18,2226(2005).に記載の方法を用いて、LiNiPOをLi4/3Ti5/3で表面修飾し、正極活物質とした。この正極活物質に、製造例2で得られたハロゲン含有硫化物系固体電解質を加え、ハロゲン含有硫化物系固体電解質が30wt%である正極合材を調製した。
また、負極活物質であるグラファイト(Timcal社製 SFG75)に、製造例2で得られたハロゲン含有硫化物系固体電解質を加え、ハロゲン含有硫化物系固体電解質が50wt%である負極合材を調製した。
[全固体二次電池の製造]
製造例2で得られたハロゲン含有硫化物系固体電解質50mgを直径10mmのプラスティック製の円筒に投入して加圧成型し、上記の正極合材14mgを投入し、再び加圧成型した。正極合材とは反対側から、上記の負極合材8.8mgを投入して正極、固体電解質層及び負極の三層構造とし、全固体電池を作製した。
[全固体二次電池の評価]
作製した全固体電池を、1cmあたり0.05mAで5.5Vまで充電し、その後、0.05mA/cmの放電電流密度にて1.5Vになるまで放電した。
1回目の充放電効率は77%であり、30回目は85%であった。良好なサイクル特性を示すことが分かった。
実施例2
[全固体二次電池の製造・評価]
LiNiPOの替わりにLiCoPOを用いて正極活物質を調製した他は実施例1と同様にして全固体電池を作製し、評価した。
得られた全固体電池の1回目の充放電効率は78%であり、30回目は83%であった。良好なサイクル特性を示すことが分かった。
実施例3
[全固体二次電池の製造・評価]
LiNiPOの替わりにLiMn1.6Ni0.4を用いて正極活物質を調製した他は実施例1と同様にして全固体電池を作製し、評価した。
得られた全固体電池の1回目の充放電効率は82%であり、30回目は80%であった。良好なサイクル特性を示すことが分かった。
実施例4
[全固体二次電池の製造・評価]
グラファイトの替わりにLiTi12を用いて負極活物質を調製した他は実施例1と同様にして全固体電池を作製し、評価した。
得られた全固体電池は1回目の充放電効率は80%であり、30回目は80%であった。良好なサイクル特性を示すことが分かった。
比較例1
[全固体二次電池の製造・評価]
製造例2のハロゲン含有硫化物系固体電解質を製造例1の硫化物系固体電解質に変更した以外は、実施例1と同様にして全固体電池を作製し、評価した。
得られた全固体電池の1回目の充放電効率は80%であり、30回目は65%であった。サイクル特性が実施例1に比べて劣ることが分かった。
本発明の全固体二次電池は、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、モーターを電力源とする自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等の電池として用いることができる。
1 固体電解質製造装置
10 撹拌機
20 反応槽
22 容器
24 撹拌翼
26 冷却管
30 ヒータ(第1の温度安定手段)
40 オイルバス(第2の温度安定手段)
50 第1の連結管(連結手段)
52 第2の連結管(連結手段)
54 ポンプ(循環手段)
101 全固体二次電池
110 正極
120 固体電解質層
130 負極
140,142 集電体

Claims (5)

  1. オリビン型正極活物質、マンガンスピネル型正極活物質及び遷移金属硫化物正極活物質のうち少なくとも1つと、ハロゲン含有硫化物系固体電解質とを含む正極合材。
  2. 前記ハロゲン含有硫化物系固体電解質がLi、P、S及びハロゲン元素を含む請求項1に記載の正極合材。
  3. 前記ハロゲン含有硫化物系固体電解質が下記式で表される請求項1又は2に記載の正極合材。
    Li・・・(1’)
    (式中、Mは、B、Al、Si、Ge、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、Bi又はこれらの組合せを表す。Xは、I、Cl、Br、F又はこれらの組合せを表す。a〜fは、0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1、0<d≦9、0<e≦9、0≦f≦9を満たす。)
  4. 前記オリビン型正極活物質であるLiNiPO又はLiCoPOを含む請求項1〜3のいずれかに記載の正極合材。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の正極合材を含む全固体リチウム二次電池。
JP2013125536A 2013-06-14 2013-06-14 正極合材及びそれを用いた固体リチウム電池 Pending JP2015002052A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013125536A JP2015002052A (ja) 2013-06-14 2013-06-14 正極合材及びそれを用いた固体リチウム電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013125536A JP2015002052A (ja) 2013-06-14 2013-06-14 正極合材及びそれを用いた固体リチウム電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015002052A true JP2015002052A (ja) 2015-01-05

Family

ID=52296479

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013125536A Pending JP2015002052A (ja) 2013-06-14 2013-06-14 正極合材及びそれを用いた固体リチウム電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015002052A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017103060A (ja) * 2015-11-30 2017-06-08 トヨタ自動車株式会社 正極活物質、全固体電池及び全固体電池の製造方法
JP2017103065A (ja) * 2015-11-30 2017-06-08 トヨタ自動車株式会社 全固体電池システム
WO2017141735A1 (ja) * 2016-02-19 2017-08-24 富士フイルム株式会社 固体電解質組成物、全固体二次電池用電極シートおよび全固体二次電池、並びに、全固体二次電池用電極シートおよび全固体二次電池の製造方法
US10283812B2 (en) 2015-09-08 2019-05-07 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Sulfide solid-state cell
KR20210073688A (ko) * 2019-12-10 2021-06-21 한국전자기술연구원 리튬황 탄소 복합체와, 그를 이용한 황화물계 탄소 복합 고체전해질, 양극 및 전고체전지
KR20210141012A (ko) * 2020-05-15 2021-11-23 한국과학기술연구원 게르마늄 도핑량이 증가된 황화물계 고체전해질 및 이의 제조방법
WO2023286614A1 (ja) * 2021-07-16 2023-01-19 パナソニックIpマネジメント株式会社 正極材料および電池

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11219722A (ja) * 1998-02-03 1999-08-10 Matsushita Electric Ind Co Ltd リチウム二次電池
JP2010282948A (ja) * 2009-05-01 2010-12-16 Toyota Motor Corp 固体電解質材料
JP2012048971A (ja) * 2010-08-26 2012-03-08 Toyota Motor Corp 硫化物固体電解質材料、正極体およびリチウム固体電池
JP2013118092A (ja) * 2011-12-02 2013-06-13 Idemitsu Kosan Co Ltd 固体電解質

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11219722A (ja) * 1998-02-03 1999-08-10 Matsushita Electric Ind Co Ltd リチウム二次電池
JP2010282948A (ja) * 2009-05-01 2010-12-16 Toyota Motor Corp 固体電解質材料
JP2012048971A (ja) * 2010-08-26 2012-03-08 Toyota Motor Corp 硫化物固体電解質材料、正極体およびリチウム固体電池
JP2013118092A (ja) * 2011-12-02 2013-06-13 Idemitsu Kosan Co Ltd 固体電解質

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10283812B2 (en) 2015-09-08 2019-05-07 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Sulfide solid-state cell
US10141762B2 (en) 2015-11-30 2018-11-27 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha All-solid-state battery system
JP2017103065A (ja) * 2015-11-30 2017-06-08 トヨタ自動車株式会社 全固体電池システム
JP2017103060A (ja) * 2015-11-30 2017-06-08 トヨタ自動車株式会社 正極活物質、全固体電池及び全固体電池の製造方法
US10818967B2 (en) 2016-02-19 2020-10-27 Fujifilm Corporation Solid electrolyte composition, electrode sheet for all-solid state secondary battery, all-solid state secondary battery, and methods for manufacturing electrode sheet for all-solid state secondary battery and all-solid state secondary battery
CN108475817A (zh) * 2016-02-19 2018-08-31 富士胶片株式会社 固体电解质组合物、全固态二次电池用电极片及全固态二次电池以及全固态二次电池用电极片及全固态二次电池的制造方法
WO2017141735A1 (ja) * 2016-02-19 2017-08-24 富士フイルム株式会社 固体電解質組成物、全固体二次電池用電極シートおよび全固体二次電池、並びに、全固体二次電池用電極シートおよび全固体二次電池の製造方法
CN108475817B (zh) * 2016-02-19 2021-01-29 富士胶片株式会社 固体电解质组合物及全固态二次电池的制造方法
KR20210073688A (ko) * 2019-12-10 2021-06-21 한국전자기술연구원 리튬황 탄소 복합체와, 그를 이용한 황화물계 탄소 복합 고체전해질, 양극 및 전고체전지
KR102399077B1 (ko) * 2019-12-10 2022-05-18 한국전자기술연구원 리튬황 탄소 복합체와, 그를 이용한 황화물계 탄소 복합 고체전해질, 양극 및 전고체전지
KR20210141012A (ko) * 2020-05-15 2021-11-23 한국과학기술연구원 게르마늄 도핑량이 증가된 황화물계 고체전해질 및 이의 제조방법
KR102367567B1 (ko) * 2020-05-15 2022-02-28 한국과학기술연구원 게르마늄 도핑량이 증가된 황화물계 고체전해질 및 이의 제조방법
WO2023286614A1 (ja) * 2021-07-16 2023-01-19 パナソニックIpマネジメント株式会社 正極材料および電池

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5559989B2 (ja) 全固体二次電池及びそれを備えてなる装置
JP6181989B2 (ja) 全固体電池の製造方法
JP6139864B2 (ja) 固体電解質成形体及びその製造方法、並びに全固体電池
JP5841384B2 (ja) 負極合材及びそれを用いた全固体リチウムイオン電池
WO2014073197A1 (ja) 固体電解質
JP2015002052A (ja) 正極合材及びそれを用いた固体リチウム電池
JP2016134316A (ja) 固体電解質
JP5485716B2 (ja) リチウムイオン伝導性固体電解質の製造方法
JP6071171B2 (ja) 電極材料及びそれを用いたリチウムイオン電池
JP2010033732A (ja) リチウム電池用被コーティング固体電解質、及びそれを用いた全固体二次電池
JP2008103204A (ja) 正極活物質及びそれを用いた二次電池
JP2014086222A (ja) 二次電池の製造方法
JP6073107B2 (ja) 固体電解質
JP2017199631A (ja) 硫化物固体電解質、電極合材及びリチウムイオン電池
JP2008103203A (ja) 固体電解質及びそれを用いた全固体二次電池
JP5864993B2 (ja) 複合電極材料及びその製造方法、並びに該複合電極材料を用いたリチウム電池
JP6118521B2 (ja) 硫化物系固体電解質を含む電極層、硫化物系固体電解質を含む電解質層及びそれらを用いた全固体電池
JP2014192093A (ja) 負極合材
JP6088797B2 (ja) 固体電解質
JP5921492B2 (ja) 負極合材、電極及びリチウムイオン電池
JP2013080669A (ja) リチウムイオン電池
JP2010033875A (ja) 有機硫黄化合物を含んでなる正極合材、及びそれを用いた全固体二次電池
JP2010034006A (ja) 固体リチウム電池
JP6181988B2 (ja) 全固体電池の製造方法
JP6719202B2 (ja) 硫化物固体電解質、硫化物ガラス、電極合材及びリチウムイオン電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160527

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170228

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20171003