JP5559989B2 - 全固体二次電池及びそれを備えてなる装置 - Google Patents
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Description
1.正極、固体電解質層及び負極をこの順に積層して含み、
常時積層方向に0.01MPa〜10MPaの圧力が印加されている全固体二次電池であって、
少なくとも1回以上、積層方向に5MPa以上、かつ前記常時積層方向に印加されている圧力より高い圧力を印加しながら充電及び/又は放電することにより得られる全固体二次電池。
2.前記固体電解質層が、硫黄、リン及びリチウムを少なくとも含むリチウムイオン伝導性固体電解質からなる1に記載の全固体二次電池。
3.1又は2に記載の全固体二次電池によって作動する装置。
尚、全固体二次電池の積層方向に常時印加されている圧力を、以下、パッケージ圧という場合がある。
圧力を印加する方法としては、例えば一軸加圧により行うことができる。具体的には正極、固体電解質層及び負極がこの順に積層した積層体の正極及び負極の両側から加圧板を押し付けることにより行うことができる。一軸加圧のほか、静水圧プレス等の等方向的加圧手段によっても行うことができる。
上記加圧しながらの充電及び/又は放電は、加熱しながら行ってもよい。
上記充放電の回数は少なくとも1回以上であり、好ましくは1回〜3回の範囲である。
図1は本発明に係る全固体二次電池の一実施形態を示す概略断面図である。
全固体二次電池1は、正極10及び負極30からなる一対の電極間に固体電解質層20が挟持されており、正極10及び負極30にはそれぞれ集電体40及び42が設けられている。
硫化リチウムは、少なくとも硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下、好ましくは0.1質量%以下であり、かつN−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下、好ましくは0.1質量%以下である。硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であると、後記する溶融急冷法やメカニカルミリング法で得られる固体電解質は、ガラス状電解質(完全非晶質)である。即ち、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%を越えると、得られる電解質は、最初から結晶化物であり、この結晶化物のイオン伝導度は低い。さらに、この結晶化物について下記の熱処理を施しても結晶化物には変化がなく、高イオン伝導度のリチウムイオン伝導性無機固体電解質を得ることはできない。
例えば、次の方法で製造された硫化リチウムを精製することにより得ることもできる。
以下の製造法の中では、特にa又はbの方法が好ましい。
a.非プロトン性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを0〜150℃で反応させて水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を150〜200℃で脱硫化水素化する方法(特開平7−330312号公報)。
b.非プロトン性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを150〜200℃で反応させ、直接硫化リチウムを生成する方法(特開平7−330312号公報)。
c.水酸化リチウムとガス状硫黄源を130〜445℃の温度で反応させる方法(特開平9−283156号公報)。
特に好ましくは、Li2S:P2S5=68:32〜74:26(モル比)程度である。
さらに、固体電解質と溶媒やバインダー(結着材や高分子化合物等)を混合した溶液を塗布、塗工した後、溶媒を除去し成膜化する方法もある。また、固体電解質自体や固体電解質とバインダー(結着材や高分子化合物等)や支持体(固体電解質層の強度を補強させたり、固体電解質自体の短絡を防ぐための材料や化合物等)を混合・組合した電解質を加圧プレスすることで成膜することも可能である。
非水系溶媒としては、例えば、乾燥ヘプタン、トルエン、ヘキサン、テトラヒドロフラン(THF)、Nメチルピロリドン、アセトニトリル、及びジメトキシエタン、ジメチルカーボネート等の電解液に用いられる溶媒が挙げられ、好ましくは水分含有量が100ppm以下、より好ましくは50ppm以下の溶媒である。
正極活物質としては市販されているものを特に限定なく使用することができ、リチウムと遷移金属の複合酸化物等を好適に用いることができる。具体的には、以下に示す各材料及び各元素の組成比が異なる類似の材料が使用でき、LiCoO2,LiNiCoO2,LiNiO2,LiNiMnCoO2,LiFeMnO2,Li2PtO3,LiMnNiO4,LiMn2O4,LiNiMnO2,LiNiVO4,LiCrMnO4,LiFePO4,LiFe(SO4)3,LiCoVO4,LiCoPO4,S等が挙げられる。粒径に関しても特に制限はないが、平均粒径が数μm〜10μmのものを好適に用いることができる。
これら溶媒のうち、塗布後の乾燥工程を考慮すると、低沸点溶媒であるヘキサン、トルエン、キシレンが好ましいが、混合液の維持を考慮すると、蒸発速度の速い低沸点溶媒を用いることは困難であり、トルエン、キシレン等が好ましい。
上記バインダーは、正極合材との反応性が低ければ特に限定されないが、好ましくは熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂であり、より好ましくはポリシロキサン、ポリアルキレングリコール、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンブタジエンゴム/カルボキシメチルセルロース(SBR/CMC)、ポリエチレンオキシド(PEO)、分岐PEO、ポリフェニレンオキサイド(PPO)、PEO−PPO共重合体、分岐PEO−PPO共重合体、アルキルボラン含有ポリエーテルである。
尚、バインダーは、シート化容易性、界面抵抗の増加を防ぎ且つ充放電容量の低下を防ぐ観点から特に好ましくはSBR、ポリアルキレングリコールである。
負極活物質としては、市販されているものを特に限定なく使用することができ、炭素材料やSn金属、In金属等を好適に用いることができる。具体的には、天然黒鉛や各種グラファイト、Sn,Si,Al,Sb,Zn,Bi等の金属粉、Sn5Cu6,Sn2Co,Sn2Fe、Ti−Sn、Ti−Si等の金属合金粉、酸化物(Li4/3Ti5/3O)、窒化物(LiCoN)、その他アモルファス合金やメッキ合金が挙げられる。粒径に関しても特に制限はないが、平均粒径が数μm〜80μmのものを好適に用いることができる。
集電体40,42は、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。
また、接合面にイオン伝導性を有する活物質や、イオン伝導性を阻害しない接着物質を介して接合してもよい。
接合においては、固体電解質の結晶構造が変化しない範囲で加熱融着してもよい。
[硫化リチウムの調製]
硫化リチウムは、特開平7−330312号公報における第1の態様(2工程法)の方法に従って製造した。以下、具体的に説明する。
まず、撹拌翼のついた10リットルオートクレーブに、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)、及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpm、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。
調製した500mLのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。そのままの温度でNMPをデカンテーションした。さらにNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、そのままの温度でNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。
その結果、精製硫化リチウムの硫黄酸化物の総含有量は0.13質量%であり、LMABは0.07質量%であった。
調製した平均粒径30μm程度の精製硫化リチウム(Li2S)32.54gと、平均粒径50μm程度のP2S5(アルドリッチ社製)67.46gを、10mmφアルミナボール175個が入った500mlアルミナ製容器に入れ密閉した。尚、上記計量及び密閉作業はすべてグローブボックス内で実施し、使用する器具類はすべて乾燥機で事前に水分除去した。
上記固体電解質ガラス粒子を、グローブボックス内Ar雰囲気下で、SUS製チューブに密閉し、300℃、2時間の加熱処理を施して固体電解質ガラスセラミック粒子(平均粒径14.52μm)を得た。得られた固体電解質ガラスセラミック粒子のX線回折測定では、2θ=17.8、18.2、19.8、21.8、23.8、25.9、29.5、30.0degにピークが観測された。
この固体電解質ガラスセラミック粒子の伝導度は、1.3×10−3S/cmであった。
得られた固体電解質ガラスセラミック粒子と正極活物質であるLiNi0.8Co0.15Al0.05O2を重量比で30wt%:70wt%で混合して正極合材とした。
また、得られた固体電解質ガラスセラミック粒子と負極活物質である黒鉛粉末を重量比で40wt%:60wt%で混合して負極合材とした。
作製例の電池を加圧板で挟み、ロードセルにより圧力をモニターしながら調整ねじにより調整して、25MPaの圧力を印加した。この圧力を保ったまま0.2mA/cm2の電流密度で4.2Vまで充電し、0.2mA/cm2の電流密度で1.5Vまで放電した(1回目の充放電)。
尚、電池の充放電は8CHANNEL POTENTIOSTAT / GALVANOSTAT MODEL PS-08(東方技研株式会社製)を用いて行った。
図2に、電池の1回目〜10回目の充放電と放電容量の関係を示す。
作製例の電池をロードセルにより圧力をモニターしながら調整ねじにより調整して、電池にかかる圧力(パッケージ圧)を2.5MPaに調整した。この圧力を保ったまま0.2mA/cm2の電流密度で4.2Vまで充電し、0.2mA/cm2の電流密度で1.5Vまで放電した。この充放電を10回繰り返した(1回目〜10回目の充放電)。
図3に、電池の1回目〜10回目の充放電と放電容量の関係を示す。
1〜3回目の充放電時の圧力を22MPaとし、パッケージ圧を2.2MPaとした他は実施例1と同様にして充放電を6回繰り返した。
図4に、電池の1回目〜6回目の充放電と放電容量の関係を示す。
1〜3回目の充放電時の圧力を13MPaとした他は実施例2と同様にして充放電を6回繰り返した。
図4に、電池の1回目〜6回目の充放電と放電容量の関係を示す。
1〜3回目の充放電時の圧力を10MPaとした他は実施例2と同様にして充放電を6回繰り返した。
図4に、電池の1回目〜6回目の充放電と放電容量の関係を示す。
10 正極
20 固体電解質層
30 負極
40,42 集電体
Claims (11)
- 正極、固体電解質層及び負極をこの順に積層して含み、
常時積層方向に0.01MPa〜10MPaの圧力が印加されている全固体二次電池であって、
1回目の充放電を含む1回以上、積層方向に5MPa以上、かつ前記常時積層方向に印加されている圧力より高い圧力を印加しながら充電及び/又は放電することにより得られる全固体二次電池。 - 前記固体電解質層が、硫黄、リン及びリチウムを少なくとも含むリチウムイオン伝導性固体電解質からなる請求項1に記載の全固体二次電池。
- 前記リチウムイオン伝導性固体電解質が、
Li2S及びP2S5から生成する固体電解質、
Li2S、P2S5及びLi3PO4から生成する固体電解質、又は
Li2S、P2S5及びハロゲン化合物から生成する固体電解質である請求項2に記載の全固体二次電池。 - 前記リチウムイオン伝導性固体電解質が、
硫化リチウムと五硫化二燐から生成する固体電解質、
硫化リチウムと単体燐及び単体硫黄から生成する固体電解質、又は
硫化リチウム、五硫化二燐、単体燐及び/又は単体硫黄から生成する固体電解質である請求項2に記載の全固体二次電池。 - 前記リチウムイオン伝導性固体電解質が硫化リチウムと五硫化二燐から生成する固体電解質であり、前記硫化リチウムと五硫化二燐の混合モル比が50:50〜80:20である請求項2〜4のいずれかに記載の全固体二次電池。
- 前記混合モル比が60:40〜75:25である請求項5に記載の全固体二次電池。
- 前記正極が、リチウムと遷移金属の複合酸化物からなる正極活物質を含む請求項1〜6のいずれかに記載の全固体二次電池。
- 前記負極が、炭素材料からなる負極活物質を含む請求項1〜7のいずれかに記載の全固体二次電池。
- 前記負極活物質が黒鉛である請求項8に記載の全固体二次電池。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の全固体二次電池を搭載する装置。
- 正極、固体電解質層及び負極をこの順に積層して含み、
常時積層方向に0.01MPa〜10MPaの圧力が印加されている全固体二次電池の製造方法であって、
1回目の充放電を含む1回以上、積層方向に5MPa以上、かつ前記常時積層方向に印加されている圧力より高い圧力を印加しながら充電及び/又は放電する工程を含む、
全固体二次電池の製造方法。
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