JP6181989B2 - 全固体電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、全固体電池の製造方法に関する。
近年、環境・エネルギー問題の解決へ向けて、種々の電気自動車の普及が期待されている。これら電気自動車の実用化の鍵を握るモータ駆動用電源等の車載電源として、リチウムイオン電池の開発が鋭意行われている。
通常のリチウムイオン電池は電解質が電解液であるため、安全性に問題が有った。安全性を確保するため、電解質を無機固体電解質にした全固体電池の実用化が期待されている。
全固体電池の作製方法として、電極活物質粉末及び/又は固体電解質粉末を金型に入れて圧縮成型することで、正極層、固体電解質層及び負極層をそれぞれ形成し、これらを一体化する方法が知られている。また、特許文献1は、電極層と固体電解質層の間に接合層となる電極合材粉末を入れて、界面を接合する全固体電池の製造方法を方法を開示する。
しかしながら、上記粉末成型において積層体全体の厚みが大きい場合に、プレス機等を用いて圧縮すると面方向への歪みが大きい他、各層の圧密化や層界面の接合が難しい問題があった。特に電極層、固体電解質層、集電体を何十層にも積層するスタックセル(多層化)では、圧密による界面接合が困難であった。
特開2001−273928号公報
本発明の目的は、強い加圧を必要としない全固体電池の製造方法を提供することである。
本発明の一形態によれば、以下の全固体電池の製造方法が提供される。
表面層として正極層を含む第1の部材、及び表面層として負極層を含む第2の部材をそれぞれ製造する工程、固体電解質を溶媒に溶解して固体電解質溶液を調製する工程、前記第1の部材の正極層及び/又は前記第2の部材の負極層に、前記固体電解質溶液を塗布する工程、及び前記第1の部材及び前記第2の部材を、固体電解質溶液の塗布面が接合面となるように貼り合わせる工程を含む全固体電池の製造方法。
本発明の一形態によれば、以下の全固体電池の製造方法が提供される。
第1の固体電解質層及び正極層を含み、前記第1の固体電解質層が表面層である第1の部材、並びに第2の固体電解質層及び負極層を含み、前記第2の固体電解質層が表面層である第2の部材をそれぞれ製造する工程、固体電解質を溶媒に溶解して固体電解質溶液を調製する工程、前記第1の部材の第1の固体電解質層及び/又は前記第2の部材の第2の固体電解質層に、前記固体電解質溶液を塗布する工程、及び前記第1の部材及び前記第2の部材を、固体電解質溶液の塗布面が接合面となるように貼り合わせる工程を含む全固体電池の製造方法。
本発明によれば、強い加圧を必要としない全固体電池の製造方法が提供できる。
本発明の一形態に係る第1の全固体電池の製造方法の一例を示す図である。 本発明の一形態に係る第2の全固体電池の製造方法の一例を示す図である。 固体電解質をスラリー合成法で製造する場合の使用できる製造装置の一例を示す図である。
本発明の一形態に係る第1の全固体電池の製造方法は、下記(1−1)〜(1−4)の工程を含む:
(1−1)表面層として正極層を含む第1の部材、及び表面層として負極層を含む第2の部材をそれぞれ製造する工程、
(1−2)固体電解質を溶媒に溶解して固体電解質溶液を調製する工程、
(1−3)第1の部材の正極層及び/又は第2の部材の負極層に、固体電解質溶液を塗布する工程
(1−4)第1の部材及び第2の部材を、固体電解質溶液の塗布面が接合面となるように貼り合わせる工程
本発明の一形態に係る第1の全固体電池の製造方法(以下、第1の製造方法という場合がある)では、第1の部材と第2の部材をそれぞれ別途に製造し、これらを貼り合わせることで全固体電池を製造するので、強い加圧を必要としない。強い加圧は全固体電池の歪みとなって性能低下の原因となるが、本発明の一形態に係る第1の全固体電池の製造方法では、強い加圧を必要としないために、得られる電池の性能低下を防ぐことができる。
図1は、本発明の一形態に係る第1の全固体電池の製造方法の一例を示す図である。
図1において、第1の部材100は、正極層110及び集電体120をこの順に積層した積層体であり、第2の部材200は、負極層210及び集電体220をこの順に積層した積層体である。
第1の部材100の正極層110及び第2の部材200の負極層210は、それぞれ固体電解質溶液が塗布され、その表面に固体電解質溶液塗布層300が形成される。固体電解質溶液塗布層300をそれぞれ備える第1の部材100及び第2の部材200は、固体電解質溶液塗布層300が接合面となるように貼り合わせられる。
尚、図1では、固体電解質溶液塗布層300は、第1の部材100の正極層110及び第2の部材200の負極層210の両方に形成されているが、正極層110及び負極層210のどちらか一方のみでもよい。
本発明の一形態に係る第2の全固体電池の製造方法は、下記(2−1)〜(2−4)の工程を含む:
(2−1)第1の固体電解質層及び正極層を含み、第1の固体電解質層が表面層である第1の部材、及び第2の固体電解質層及び負極層を含み、第2の固体電解質層が表面層である第2の部材をそれぞれ製造する工程
(2−2)固体電解質を溶媒に溶解して固体電解質溶液を調製する工程
(2−3)第1の部材の第1の固体電解質層及び/又は第2の部材の第2の固体電解質層に、固体電解質溶液を塗布する工程
(2−4)第1の部材及び第2の部材を、固体電解質溶液の塗布面が接合面となるように貼り合わせる工程
本発明の一形態に係る第2の全固体電池の製造方法(以下、第2の製造方法という場合がある)は、第1の部材及び第2の部材の表面層が共に固体電解質層である以外は、第1の方法と同様である。
本発明の一形態に係る第2の全固体電池の製造方法では、第1の部材と第2の部材をそれぞれ別途に製造し、これらを貼り合わせることで全固体電池を製造するので、強い加圧を必要としない。強い加圧は全固体電池の歪みとなって性能低下の原因となるが、本発明の一形態に係る第1の全固体電池の製造方法では、強い加圧を必要としないために、得られる電池の性能低下を防ぐことができる。
図2は、本発明の一形態に係る全固体電池の第2の製造方法の一例を示す図である。
図2は、第1の部材100がさらに第1の固体電解質層130を有し、第2の部材200が第2の固体電解質層230を有し、固体電解質溶液塗布層300が第1の固体電解質層130及び第2の固体電解質層230上にそれぞれ形成されている他は図1と同様である。
尚、図2では、固体電解質溶液塗布層300は、第1の部材100の第1の固体電解質層130及び第2の部材200の第2の固体電解質層230の両方に形成されているが、第1の固体電解質層130及び第2の固体電解質層230のどちらか一方のみでもよい。
以下、本発明の一形態に係る全固体電池の第1及び第2の製造方法の各工程を説明する。
[第1の部材及び第2の部材を製造する工程]
第1の製造方法の場合、第1の部材は、表面層として正極層を含む。同様に、第2の部材は、表面層として負極層を含む。
第2の製造方法の場合は、第1の部材は第1の固体電解質層及び正極層を含み、第1の固体電解質層が表面層である。同様に、第2の部材は、第2の固体電解質層及び負極層を含み、第2の固体電解質層が表面層である。
第1及び第2の製造方法の第1の部材及び第2の部材は、例えばそれぞれさらに集電体を含んでもよい。
以下、各層について説明する。
(1)正極層
正極層は、正極活物質を含む層である。
正極活物質は、リチウムイオンの挿入脱離が可能な物質であり、電池分野において正極活部質として公知のものが使用できる。
正極活物質としては、例えばV、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、Li(NiCoMn)O(ここで、0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi1−YCo、LiCo1−YMn、LiNi1−YMn(ここで、0≦Y<1)、Li(NiCoMn)O(0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2−ZNi、LiMn2−ZCo(ここで、0<Z<2)、LiCoPO、LiFePOが挙げられる。
硫化物系正極活物質では、硫化チタン(TiS)、硫化モリブデン(MoS)、硫化鉄(FeS、FeS)、硫化銅(CuS)及び硫化ニッケル(Ni)等が使用でき、好ましくは、TiSである。
酸化物系正極活物質では、酸化ビスマス(Bi)、鉛酸ビスマス(BiPb)、酸化銅(CuO)、酸化バナジウム(V13)、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMnO)等が使用できる。尚、これらを混合して用いることも可能である。好ましくは、コバルト酸リチウムが使用できる。
また、LiCoO,LiNiO,LiMn,LiFePO,LixCoPO,LiMn1/3Ni1/3Co1/3,LiMn1.5Ni0.5等も使用できる(Xは0.1〜0.9である。)
上記の他、セレン化ニオブ(NbSe)、以下に示す有機ジスルフィド化合物、以下に示すカーボンスルフィド化合物、硫黄、硫化リチウム、金属インジウム等を正極活物質として使用できる。
Figure 0006181989
Figure 0006181989
(式(A)〜(C)において、Xはそれぞれ置換基であり、n及びmはそれぞれ独立に1〜2の整数であり、p及びqはそれぞれ独立に1〜4の整数である。
式(D)において、Zはそれぞれ−S−又は−NH−であり、nは繰返数2〜300の整数である。)
Figure 0006181989
(式中、n、mは、それぞれ1以上の整数である。)
正極層は、さらに固体電解質及び/又は導電助剤を含んでいてもよい。
固体電解質は、後述する固体電解質層が含む固体電解質と同様のものが挙げられる。
導電助剤は、導電性を有していればよく、その電子伝導度は、好ましくは1×10S/cm以上であり、より好ましくは1×10S/cm以上である。導電助剤としては、炭素材料、金属粉末及び金属化合物から選択される物質、及びこれらの混合物が挙げられる。
導電助剤の具体例としては、好ましくは炭素材料、ニッケル、銅、アルミニウム、インジウム、銀、コバルト、マグネシウム、リチウム、クロム、金、ルテニウム、白金、ベリリウム、イリジウム、モリブデン、ニオブ、オスニウム、ロジウム、タングステン及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも1つの元素を含む物質であり、より好ましくは導電性が高い炭素単体、炭素単体以外の炭素材料;ニッケル、銅、銀、コバルト、マグネシウム、リチウム、ルテニウム、金、白金、ニオブ、オスニウム又はロジウムを含む金属単体、混合物又は化合物である。
尚、炭素材料の具体例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、デンカブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック;黒鉛、炭素繊維、活性炭等が挙げられ、これらは単独でも2種以上でも併用可能である。なかでも、電子伝導性が高いアセチレンブラック、デンカブラック、ケッチェンブラックが好適である。
正極層は、上記成分の他にバインダーを含んでもよい。バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂;エチレン−プロピレン−ジエンマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。
また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。
正極の厚さは、0.01mm以上10mm以下であることが好ましい。
(2)負極層
負極層は、負極活物質を含む層である。
負極活物質としては、リチウムイオンの挿入脱離が可能な物質、電池分野において負極活物質として公知のものが使用できる。
例えば、炭素材料、具体的には、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、フルフリルアルコール樹脂焼成炭素、ポリアセン、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、天然黒鉛及び難黒鉛化性炭素等が挙げられる。又はその混合物でもよい。好ましくは、人造黒鉛である。
また、金属リチウム、金属インジウム、金属アルミ、金属ケイ素等の金属自体や他の元素、化合物と組合せた合金を、負極材として用いることができる。
負極層は、他の成分として固体電解質、導電助剤及び/又はバインダーを含んでいてもよい。固体電解質、導電助剤、バインダーとしては上記と同じものが使用できる。
負極層の厚さは、0.01mm以上10mm以下であることが好ましい。
(3)固体電解質層
固体電解質層は、固体電解質を含む層である。
固体電解質層を構成する固体電解質としては、硫化物系固体電解質、ポリマー系固体電解質が挙げられる。
ポリマー系固体電解質としては、例えば特開2010−262860号公報に開示されているように、フッ素樹脂、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、及びこれらの誘導体並びに共重合体等の、ポリマー電解質として用いられる材料が挙げられる。
ポリマー系固体電解質であるフッ素樹脂としては、例えば、フッ化ビニリデン(VdF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)や、これらの誘導体等を構成単位として含むポリマーが挙げられる。具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のホモポリマー;、VdFとHFPの共重合体(以下、この共重合体を「P(VdF−HFP)」と示す場合がある。)等の2元共重合体や3元共重合体が挙げられる。
固体電解質層が含む固体電解質は、好ましくは硫化物系固体電解質であり、より好ましくはLi、P及びSを含むリチウムイオン伝導性無機固体電解質(硫化物系固体電解質)であり、さらに好ましくはLi、P、S及びハロゲン元素を含むリチウムイオン伝導性無機固体電解質(硫化物系固体電解質)である。
Li、P、S及びハロゲン元素を含む硫化物系固体電解質は、好ましくは下記式(1)に示す組成を有する硫化物系固体電解質である。
…(1)
(式中、Lは、アルカリ金属を示し。
Mは、B、Al、Si、Ge、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、Bi、又はこれらの組合せを示す。
XはI、Cl、Br、F、又はこれらの組合せを示す。
a〜fは、それぞれ0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1、0<d≦9、0<e≦9、0≦f≦9を満たす。)
式(1)において、a〜fはそれぞれ各元素の組成比を示し、0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1、0<d≦9、0<e≦9、0≦f≦9を満たす。
式(1)において、好ましくは、bは0であり、より好ましくは、a、c、d、e及びfの比(a:c:d:e:f)がa:c:d:e:f=1〜9:1:3〜7:0.05〜3:0〜2、さらに好ましくは、a:c:d:e:f=2〜6.5:1:3.5〜5:0.1〜1.5:0〜1である。最も好ましくは、a:c:d:e:f=2〜6.5:1:3.5〜4.95:0.1〜1.5:0〜0.5である。dは4であると好ましい。
また、fが0でない場合は、d+f=4となるように添加することが望ましい。
各元素の組成比は、固体電解質又は固体電解質前駆体(固体電解質ガラス)を製造する際の原料化合物の配合量を調整することにより制御できる。
式(1)に示す組成を有する固体電解質は、好ましくは下記式(1’)に示す組成を有する固体電解質である。
…(1’)
(式中、Lは、アルカリ金属を示し。
Mは、B、Al、Si、Ge、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、Bi、又はこれらの組合せを示す。
XはI、Cl、Br、F、又はこれらの組合せを示す。
a〜eは、それぞれ0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1、0<d≦9、0<e≦9を満たす。)
式(1’)において、a〜eはそれぞれ各元素の組成比を示し、0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1、0<d≦9、0<e≦9を満たす。
好ましくは、bは0であり、より好ましくは、a、c、d、eの比(a:c:d:e)がa:c:d:e=1〜9:1:3〜7:0.05〜3、さらに好ましくは、a:c:d:e=2〜6.5:1:3.5〜5:0.1〜1.5である。最も好ましくは、a:c:d:e=2〜6.5:1:3.5〜4.95:0.1〜1.5である。
dは4であると好ましい。
及びLで表わされる固体電解質を構成する各元素は、好ましくは以下の通りである:
Lのアルカリ金属は、Li、Na、K、Rb、Ce及びFrから選択される1つ以上が挙げられ、好ましくはLi及びNaから選択される1つ以上であり、より好ましくはLiである。
Mは、好ましくはB、Al、Si、又はこれらの組み合わせである。
Xは、好ましくはI、Br又はClであり、より好ましくはBrである。
固体電解質層を構成する固体電解質は、例えば下記成分(A)、(B)及び(C)を用いることにより調製できる。
(A)アルカリ金属硫化物
(B)M’で表される化合物
(C)M’’で表わされる化合物
(式中、M’は、Li、Na、B、Al、Si、P、Ge、又はこれらの組み合わせを示す。
M’’は、Li、Na、B、Al、Si、P、S、Ge、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、Bi、又はこれらの組み合わせを示す。
XはF、Cl、Br、I、又はこれらの組み合わせを示す。
wは1又は2の整数を示す。
m、n及びxは、それぞれ1〜10の整数を示す。)
(A)アルカリ金属硫化物としては、LiS(硫化リチウム)、NaS(硫化ナトリウム)が挙げられ、好ましくは硫化リチウムである。
硫化リチウムは、特に制限なく使用できるが、高純度のものが好ましい。硫化リチウムは、例えば、特開平7−330312号、特開平9−283156号、特開2010−163356、特開2011−84438、特開2011−136899に記載の方法により製造することができる。
具体的に、炭化水素系有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを70℃〜300℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成できる(特開2010−163356)。
また、水溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを10℃〜100℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成できる(特開2011−84438)。
硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下であり、かつN−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下である。硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であると、溶融急冷法やメカニカルミリング法で得られる固体電解質は、ガラス状電解質(完全非晶質)となる。一方、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%を越えると、得られる電解質は、最初から結晶化物となるおそれがある。
また、N−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であると、N−メチルアミノ酪酸リチウムの劣化物がリチウムイオン電池のサイクル性能を低下させることがない。このように不純物が低減された硫化リチウムを用いると、高イオン伝導性電解質が得られる。
上述した特開平7−330312号及び特開平9−283156号に基づいて硫化リチウムを製造した場合、硫化リチウムが硫黄酸化物のリチウム塩等を含むため、精製することが好ましい。
一方、特開2010−163356に記載の硫化リチウムの製法で製造した硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩等の含有量が非常に少ないため、精製せずに用いてもよい。
好ましい精製法としては、例えば、国際公開WO2005/40039号に記載された精製法等が挙げられる。具体的には、上記のようにして得られた硫化リチウムを、有機溶媒を用い、100℃以上の温度で洗浄する。
(B)M’で表される化合物としては、P(三硫化二リン)、P(五硫化二リン)、SiS(硫化珪素)、Al(硫化アルミニウム)、GeS(硫化ゲルマニウム)、B(三硫化二砒素)、Na2S(硫化ナトリウム)等が挙げられ、好ましくは好ましくはPである。
五硫化二リン(P)は、工業的に製造され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。
(C)M’’で表わされる化合物は、好ましくはM’’がリチウム又はリンである化合物である。
ハロゲン元素を含む化合物である(C)M’’で表わされる化合物は、具体的には、LiF,LiCl,LiBr,LiI,BCl,BBr,BI,AlF,AlBr,AlI,AlCl,SiF,SiCl,SiCl,SiCl,SiBr,SiBrCl,SiBrCl,SiI,PF,PF,PCl,PCl,PBr,PI,PCl,P,SF,SF,SF,S10,SCl,SCl,SBr,GeF,GeCl,GeBr,GeI,GeF,GeCl,GeBr,GeI,AsF,AsCl,AsBr,AsI,AsF,SeF,SeF,SeCl,SeCl,SeBr,SeBr,SnF,SnCl,SnBr,SnI,SnF,SnCl,SnBr,SnI,SbF,SbCl,SbBr,SbI,SbF,SbCl,PbF,PbCl,PbF,PbCl,PbBr,PbI,BiF,BiCl,BiBr,BiI,TeF,Te10,TeF,TeCl,TeCl,TeBr,TeBr,TeI、NaI,NaF,NaCl,NaBr等が挙げられ、好ましくLiCl,LiBr,LiI,PCl、PCl、PBr及びPBrであり、より好ましくはLiCl,LiBr,LiI及びPBrである。
尚、上記(C)成分に替えて、例えばPOClやPOBrのような(C)式で表される化合物の酸化物を用いることもできる。
式(1)に示す組成を有する固体電解質は、成分(C)が酸素元素を含まない化合物であっても、後述するガラス化促進剤を用いることによって、酸素元素を含む式(1)の組成を有する固体電解質を製造することができる。
成分(A)、(B)及び(C)の配合比は、成分(C)のM’’がリンであるかリン以外であるかで場合分けされる。
(i)成分(C)のM’’がリン以外の場合、例えば成分(A):(B)のモル比は65:35〜85:15であり、好ましくは(A):(B)=67:33〜83:17(モル比)であり、さらに好ましくは(A):(B)=67:33〜80:20(モル比)であり、最も好ましくは(A):(B)=72:28〜78:22(モル比)である。
また、この時、成分(A)及び(B)のモル量の合計に対する(C)のモル量の比は、好ましくは50:50〜99:1であり、より好ましくは[(A)+(B)]:(C)=55:45〜97:3(モル比)であり、さらに好ましくは[(A)+(B)]:(C)=60:40〜96:4(モル比)であり、特に好ましくは[(A)+(B)]:(C)=70:30〜96:4(モル比)である。
(ii)成分(C)のM’’がリンである場合、例えば成分(A):(B)のモル比は60:40〜90:10であり、好ましくは(A):(B)=70:30〜90:10(モル比)であり、より好ましくは(A):(B)=72:28〜88:12(モル比)であり、さらに好ましくは(A):(B)=74:26〜86:14(モル比)であり、特に好ましくは(A):(B)=75:25〜85:15(モル比)であり、最も好ましくは、成分(A)が硫化リチウムであり、成分(B)五硫化二リンであって、(A):(B)=77:23〜83:17(モル比)である。
また、この時、成分(A)及び(B)のモル量の合計に対する(C)のモル量の比は、好ましくは50:50〜99:1であり、より好ましくは[(A)+(B)]:(C)=80:20〜98:2(モル比)であり、さらに好ましくは[(A)+(B)]:(C)=85:15〜98:2(モル比)であり、特に好ましくは[(A)+(B)]:(C)=90:10〜98:2である。
尚、上記成分(A)、成分(B)やハロゲン元素を含む化合物である成分(C)の他に、ガラス転移温度を低減する化合物(ガラス化促進剤)を添加してもよい。ガラス化促進剤の例としては、LiPO、LiSiO、LiGeO、LiBO、LiAlO、LiCaO、LiInO、NaPO、NaSiO、NaGeO、NaBO、NaAlO、NaCaO、NaInO等の無機化合物が挙げられる。
上記成分(A)〜(C)及び任意にガラス化促進剤等を用いて、以下の方法によりガラス状の固体電解質を製造することができる。
原料(例えば硫化ナトリウム、五硫化二リン、及びハロゲン化合物)を、上記配合比で混合し、溶融急冷法、メカニカルミリング法(以下、適宜「メカニカルミリング」を「MM」という。)、溶媒中で反応させるスラリー法、固相法等のいずれかにより処理することにより、ガラス状の固体電解質を製造することができる。
以下、各製造方法について説明する。
(i)溶融急冷法
溶融急冷法は、原料を所定量混合し、所定温度で反応させた後、急速に冷却することによりガラス状の固体電解質を得る方法である。
例えば、乳鉢にて混合しペレット状にしたものを、カーボンコートした石英管中に入れ真空封入する。所定の反応温度で反応させた後、氷中に投入し急冷することにより、ガラス状の固体電解質が得られる。
反応温度は、好ましくは400℃〜1000℃、より好ましくは、800℃〜900℃である。
反応時間は、好ましくは0.1時間〜12時間、より好ましくは、1〜12時間である。
上記反応物の急冷温度は、通常10℃以下、好ましくは0℃以下であり、その冷却速度は、通常1〜10000K/sec程度、好ましくは10〜10000K/secである。
(ii)メカニカルミリング法(MM法)
MM法は、原料を所定量混合し、機械的なエネルギーを与えることによりガラス状の固体電解質を得る方法である。
機械的なエネルギーを与える方法は特に問わないが、例えば、各種ボールミルを例示することができる。
例えば、五硫化二燐(P2S5)、硫化リチウム(Li2S)及びハロゲン化合物を所定量乳鉢にて混合し、例えば、各種ボールミル等を使用して所定時間反応させることにより、ガラス状の固体電解質が得られる。
上記原料を用いたMM法は、室温で反応させることができる。そのため、原料の熱分解が起らず、仕込み組成のガラス状の固体電解質を得ることができるという利点がある。
また、MM法ではガラス状の固体電解質の製造と同時に、微粉末化できるという利点もある。
MM法には、回転ボールミル、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル等種々の形式を用いることができる。
MM法の条件としては、例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。
また、ボールミルのボールは異なる径のボールを混合して使用してもよい。
また、MM処理の際のミル内の温度を調整してもよい。
MM処理時の原料温度は、室温から200℃まで必要に応じて加熱してもよい。
(iii)固相法
固相法は、原料を混合し所定温度で加熱することによりガラス状の固体電解質を得る方法である。例えば、五硫化二燐(P)と硫化リチウム(LiS)、及びハロゲン化合物を所定量乳鉢にて混合し、100〜900℃の温度で加熱することにより、ガラス状の固体電解質が得られる。
(iv)接触法
接触法は、溶媒中で原料を接触させてガラス状の固体電解質を製造する方法である。
接触法によれば、メカニカルミリング装置のような特殊な設備を使用しなくともガラス状の固体電解質を製造できる。従って、安価に伝導性物質を製造することができる。また、メカニカルミリング処理をしないため、メカニカルミリング装置の壁面等が剥がれることによる不純物の発生を防止することができる。
また、メカニカルミリング装置を使用しないため、ボールとミル容器内に原料や固体電解質が付着するような欠点がない。
上記溶媒は、好ましくは有機溶媒であり、より好ましくは非プロトン性溶媒であり、さらに好ましくは炭化水素系有機溶媒である。
上記非プロトン性溶媒としては、非プロトン性有機溶媒(例えば、炭化水素系有機溶媒)、非プロトン性の極性有機化合物(例えばアミド化合物、ラクタム化合物、尿素化合物、有機イオウ化合物、環式有機リン化合物等)等が挙げられ、これらのうちいずれか1つを単独溶媒として、又はこれらのうちの2以上からなる混合溶媒として使用することができる。
上記炭化水素系溶媒としては、飽和炭化水素、不飽和炭化水素又は芳香族炭化水素が使用できる。
飽和炭化水素としては、ヘキサン、ペンタン、2−エチルヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン等が挙げられる。
不飽和炭化水素としては、ヘキセン、ヘプテン、シクロヘキセン等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、トルエン、キシレン、デカリン、1、2、3、4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、特にトルエン、キシレンが好ましい。
非プロトン性溶媒及び炭化水素系溶媒は、あらかじめ脱水されていることが好ましい。具体的には、水分含有量として100重量ppm以下が好ましく、特に30重量ppm以下であることが好ましい。
必要に応じて使用する溶媒に他の溶媒を添加してもよい。
当該他の溶媒の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エタノール、ブタノール等のアルコール類;酢酸エチル等のエステル類等;ジクロロメタン、クロロベンゼン、フッ化ヘプタン、フッ化ベンゼン、2、3‐ジハイドロパーフルオロペンタン、1、1、2、2、3、3、4‐ヘプタフルオロシクロペンタン等のフッ素系化合物等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。
上記アルコール類としては、例えば下記式の1価のアルコール溶媒が挙げられる。
−OH
(Rは直鎖状脂肪族炭化水素基、分岐状脂肪族炭化水素基、又は環状脂肪族炭化水素基であり、直鎖状脂肪族炭化水素基が好ましい。
直鎖状脂肪族炭化水素基の炭素数は1以上20未満が好ましく、1以上8以下がより好ましい。分岐状脂肪族炭化水素基の炭素数は3以上20未満が好ましく、3以上8以下がより好ましい。環状脂肪族炭化水素基の炭素数は3以上20未満が好ましく、5以上8以下がより好ましい。)
上述の接触法で使用する溶媒は、用いる固体電解質の一部又は全部を溶解できる溶媒であれば、後述する製造方法で使用する溶媒にも同様に使用することができる。
溶媒の量は、原料が、溶媒の添加により溶液又はスラリー状になる程度であることが好ましい。通常、溶媒1リットルに対する原料(合計量)の添加量は0.001Kg以上1Kg以下程度となる。好ましくは0.005Kg以上0.5Kg以下、特に好ましくは0.01Kg以上0.3Kg以下である。
原料を溶媒中で接触させる方法は、特に限定されない。例えば、撹拌装置を有する容器内で、原料と溶媒の混合物を撹拌させる方法が挙げられ、接触時に撹拌することが好ましい。
接触(反応)工程時の温度は、通常50℃以上300℃以下であり、好ましくは60℃以上250℃以下であり、より好ましくは70℃以上200℃以下である。
また、接触工程時の時間は、通常5分以上200時間以下、好ましくは10分以上100時間以下である。接触工程時の時間が5分未満であると反応が不十分のおそれがある。接触時間が短すぎると原料が残ってしまうおそれがある。
尚、温度や時間は、いくつかの条件をステップにして組み合わせてもよい。例えば、接触開始から1時間は100℃で接触させ、1時間後10時間の間は150℃で加熱する等
である。
接触工程は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましい。不活性ガスの露点は−20℃以下が好ましく、特に好ましくは−40℃以下である。圧力は、通常、常圧〜100MPaであり、好ましくは常圧〜20MPaである。
接触処理後、生成した固体部分と溶媒を分離してガラス状の固体電解質を回収する。分離は、デカンテーション、ろ過、乾燥等、又はこれら組み合わせ等、公知の方法で実施することができる。
(v)湿式メカニカルミリング法(湿式MM法)
湿式メカニカルミリング法は、原料を溶媒中でメカニカルミリング処理して製造する方法である。
湿式メカニカルミリング法は、溶媒を加えた状態でメカニカルミリング処理を施すことで、処理時の増粒効果を抑制し、合成反応を効率的に促進できる。これにより、均一性に優れ、未反応原料の含有率が低いガラス状の固体電解質を得ることができる。また、原料や反応物の器壁等への固着を防止することができ、製品の歩留を向上できる。
溶媒の量は、原料が、溶媒の添加により溶液又はスラリー状になる程度であることが好ましい。通常、溶媒1リットルに対する原料(合計量)の添加量は0.01Kg以上1Kg以下となる。好ましくは0.1Kg以上1Kg以下、特に好ましくは0.2Kg以上0.8Kg以下である。
湿式メカニカルミリング処理には、種々の形式の粉砕法を用いることができる。特に、遊星型ボールミルを使用するのが好ましい。
遊星型ボールミルは、ポットが自転回転しながら、台盤が公転回転し、非常に高い衝撃エネルギーを効率良く発生させることができる。また、ビーズミルも好ましい。
湿式メカニカルミリング処理の回転速度及び回転時間は特に限定されないが、回転速度が速いほど、ガラス状の固体電解質の生成速度は速くなり、回転時間が長いほどガラス状の固体電解質ヘの原料の転化率は高くなる。但し、メカニカルミリング処理の回転速度が速くすると粉砕機にかかる負担が大きくなるおそれがあり、回転時間を長くするとガラス状の電解質の製造に時間がかかる。
また、ボールミルのボールは異なる径のボールを混合して使用してもよい。
上記の他、MM処理の際のミル内の温度を調整してもよい。MM法の条件としては、例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。
溶媒の存在下でメカニカルミリング処理するため、処理時間を短縮できる。室温から200℃まで必要に応じて加熱してもよい。
メカニカルミリング処理後の結果物を乾燥し、溶媒を除去することにより、ガラス状の固体電解質が得られる。
(vi)スラリー合成法
スラリー合成法は、原料に溶媒中で力学的なエネルギーを与える力学的なエネルギー供与手段と、原料を溶媒中で接触させる接触手段と、力学的なエネルギー供与手段と接触手段を連結する連結手段と、連結手段を通して、原料及び/又は原料の反応物を力学的なエネルギー供与手段と接触手段との間を循環させる循環手段とを備える製造装置を用いてガラス状の固体電解質を製造する方法である。反応生成物を乾燥し、溶媒を除去することにより、ガラス状の固体電解質が得られる。
上記原料及び溶媒は、湿式メカニカルミリング法の原料及び溶媒と同様のものが使用できる。
スラリー合成法では、原料に溶媒を加えた状態で反応させる。溶媒を加えた状態で反応させることで、処理時の造粒効果を抑制し、合成反応を効率的に促進できる。これにより、均一性に優れ、未反応原料の含有率が低いガラス状の固体電解質を得ることができる。また、原料や反応物の器壁等への固着を防止することができ、製品の歩留を向上できる。
図3は、スラリー合成法で使用できる製造装置の一例を示す図である。
製造装置1は、原料を粉砕しつつ反応させてガラス状の固体電解質を合成する粉砕機(粉砕合成手段)10と、原料を反応させてガラス状の固体電解質を合成する反応槽(合成手段)20とを備える。反応槽20は容器22と撹拌翼24からなり、撹拌翼24はモータ(M)により駆動される。
この装置1を用いて、ガラス状の固体電解質を製造するときは、溶媒と原料を、粉砕機10と反応槽20にそれぞれ供給する。ヒータ30には温水(HW)が入り排出される(RHW)。ヒータ30により粉砕機10内の温度を保ちながら、原料を溶媒中で粉砕しつつ反応させてガラス状の固体電解質を合成する。オイルバス40により反応槽20内の温度を保ちながら、原料を溶媒中で反応させてガラス状の固体電解質を合成する。反応槽20内の温度は温度計(Th)で測定する。このとき、撹拌翼24をモータ(M)により回転させて反応系を撹拌し、原料と溶媒からなるスラリーが沈殿しないようにする。冷却管26には冷却水(CW)が入り排出される(RCW)。冷却管26は、容器22内の気化した溶媒を冷却して液化し、容器22内に戻す。粉砕機10と反応槽20でガラス状の固体電解質を合成する間、ポンプ54により、反応中の原料は連結管50、52を通って、粉砕機10と反応槽20の間を循環する。粉砕機10に送り込まれる原料と溶媒の温度は、粉砕機10前の第2の連結管に設けられた温度計(Th)で測定する。
粉砕機10には、粉砕機10内の温度保つために、粉砕機10の周りに温水を通すことのできるヒータ30(第1の温度安定手段)が設けられている。反応槽20は、反応槽20内の温度を保つために、オイルバス40(第2の温度安定手段)に入っている。オイルバス40は容器22内の原料と溶媒を所定温度に加熱する。反応槽20には気化した溶媒を冷却して液化する冷却管26が設けられる。
粉砕機10と反応槽20は、第1の連結管50と第2の連結管52(連結手段)で連結されている。第1の連結管50は、粉砕機10内の原料と溶媒を反応槽20に移動させ、第2の連結部52は、反応槽20内の原料及び溶媒を粉砕機10内に移動させる。原料等を連結管50、52を通して循環するために、ポンプ54(例えばダイアフラムポンプ)(循環手段)が、第2の連結管52に設けられている。
容器22内の反応温度は、例えば60℃以上300℃以下であり、好ましくは80℃以上200℃以下である。容器内の反応温度が60℃未満の場合、ガラス状の固体電解質の製造に時間がかかり生産効率が十分ではないおそれがある。一方、容器内の反応温度が300℃を超える場合、好ましくない結晶が析出する場合がある。
反応は温度が高い領域が速いので高温にすることが好ましいが、粉砕機を80℃を超える温度にすると磨耗等の機械的な問題が発生するおそれがある。従って、反応槽は反応温度を高めに設定し、粉砕機は比較的低温に保つとよい。
反応槽20の容量と粉砕機10の容量との比率は任意でよいが、通常反応槽20の容量は、粉砕機10の容量の1〜100倍程度である。
炭化系水素溶媒の量は、原料が、溶媒の添加により溶液又はスラリー状になる程度であることが好ましい。通常、溶媒1kgに対する原料(合計量)の添加量は0.03Kg以上1Kg以下程度となる。好ましくは0.05Kg以上、より好ましくは0.5Kg以下、特に好ましくは0.1Kg以上0.3Kg以下である。
(vii)メカニカルミリング法と接触法の交互実施
メカニカルミリング法と接触法の交互実施は、原料をメカニカルミリング処理する工程と、原料を溶媒中で接触させる接触工程とを含み、当該メカニカルミリング処理工程及び当該接触工程を交互に繰り返し行う方法である。
メカニカルミリング処理工程は、MM法で例示した種々の形式の粉砕法を用いることができる。また、メカニカルミリング処理工程の温度は、改良スラリー法の力学的なエネルギー供与手段(粉砕機10)の温度と同様である。
メカニカルミリング処理の回転速度及び回転時間は特に限定されないが、回転速度が速いほど、ガラス状の固体電解質の生成速度は速くなり、回転時間が長いほどガラス状の固体電解質ヘの原料の転化率は高くなる。例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を250回転/分以上300回転/分以下とし、5分以上50時間以下処理すればよい。
上記処理時間は、遊星型ボールミル機に原料及びガラス状の固体電解質が留まっている時間を示す。従って、原料及びガラス状の固体電解質が遊星型ボールミル機と反応槽を循環するが、反応開始から終了までに原料及びガラス状の固体電解質が遊星型ボールミル機に留まっている時間の合計になる。
上記時間が短いと未反応の原料が残るおそれがあると共に上記時間が長いと粉砕機の容量を大きくし、一度に収納できる原料及びガラス状の固体電解質の量を多くするか、下記する反応終了までの時間が長くなるという問題が発生するおそれがある。
接触工程については、スラリー合成法で例示した接触手段を用いることができる。また、接触工程の温度は、スラリー合成法の接触手段(容器22)における反応温度と同じである。
接触工程の時間は、5分以上200時間以下が好ましい。
ここで、上記接触工程の時間は、反応槽に原料及びガラス状の固体電解質が留まっている時間を示す。従って、原料及びガラス状の固体電解質が遊星型ボールミル機と反応槽を循環するが、反応開始から終了までに原料及びガラス状の固体電解質が反応槽に留まっている時間の合計になる。
上述したメカニカルミリング処理工程と接触工程を、交互に繰り返して行う。繰り返し回数は、2回以上100回以下が好ましい。より好ましくは繰り返し回数が5回以上100回以下であり、さらに好ましくは、10回以上100回以下である。
以上、ガラス状の固体電解質の製造方法を説明したが、上述の製造方法のいずれの場合であっても、原料を混ぜる順番(接触させる順番)は特に限定されず、最終的なガラス状の固体電解質の組成が上記式(1)を満たす範囲にあればよい。
得られる固体電解質(ガラス)の体積基準平均粒径(Mean Volume Diameter、以下「粒径」という。)は、好ましくは0.01μm以上500μm以下である。
粒径の測定方法は、レーザー回折式粒度分布測定方法により行うことが好ましい。レーザー回折式粒度分布測定方法は、組成物を乾燥せずに粒度分布を測定することができる。レーザー回折式粒度分布測定方法では、組成物中の粒子群にレーザーを照射して、その散乱光を解析することで粒度分布を測定する。
測定例として、レーザー回折式粒度分布測定装置(Malvern Instruments Ltd社製マスターサイザー2000)を使用した場合の測定を説明する。
まず、装置の分散槽に脱水処理されたトルエン(和光純薬製、製品名:特級)110mlを入れ、さらに分散剤として脱水処理された分散剤を6%添加する。
上記混合物を十分混合した後、測定対象である「乾燥した固体電解質又はその前駆体」を添加して粒子径を測定する。測定対象の添加量は、マスターサイザー2000で規定されている操作画面で、粒子濃度に対応するレーザー散乱強度が規定の範囲内(10〜20%)に収まるように加減して加える。この範囲を超えると多重散乱が発生し、正確な粒子径分布を求めることができなくなるおそれがある。また、この範囲より少ないとSN比が悪くなり、正確な測定ができないおそれがある。マスターサイザー2000では、測定対象の添加量に基づき、レーザー散乱強度が表示されるので、上記レーザー散乱強度に入る添加量を見つけるとよい。
測定対象の添加量はイオン伝導性物質の種類等により最適量は異なるが、概ね0.01g〜0.05g程度である。
固体電解質(ガラス)は、下記測定方法により2つの発熱ピーク(結晶化ピーク)が観察されることが好ましく、2つの結晶化ピークが150℃以上360℃以下の範囲にあることがより好ましく、また、2つの結晶化ピーク間の幅が20〜150℃、好ましくは20〜100℃であることが好ましい。
結晶化温度(ピーク)は、示差熱−熱重量測定装置(メトラートレド社製TGA/DSC1)又は示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製Diamond DSC)を使用し、固体電解質約20mgを10℃/分で測定することで特定できる。
また、固体電解質(ガラス)は、2つの結晶化ピークがあり、2つの結晶化ピークが170℃以上330℃以下の範囲にあり、かつ2つの結晶化ピーク間の幅が20〜150℃であることがさらに好ましい。
また、2つの結晶化ピークが170℃以上330℃以下の範囲にあることがさらに好ましく、また2つの結晶化ピーク間の幅が30〜140℃であることがさらに好ましい。
また、固体電解質(ガラス)は、2つの結晶化ピークがあり、2つの結晶化ピークが175℃以上320℃以下の範囲にあり、かつ2つの結晶化ピーク間の幅が30〜140℃であることが特に好ましい。
また、2つの結晶化ピークが175℃以上320℃以下の範囲にあることが特に好ましく、また、2つの結晶化ピーク間の幅が35〜130℃であることが特に好ましい。また、固体電解質は、2つの結晶化ピークがあり、2つの結晶化ピークが180℃以上310℃以下の範囲にあり、かつ2つの結晶化ピーク間の幅が40〜120℃であることが最も好ましい。
本発明の固体電解質粉体ガラスの結晶化は、上記ガラス状の固体電解質を加熱処理することにより得られる。
加熱温度は、好ましくは、固体電解質(ガラス)のガラス転移温度(Tg)以上、固体電解質(ガラス)の結晶化温度(Tc)+100℃以下であることが好ましい。加熱温度が固体電解質(ガラス)のTg未満の場合、製造時間が非常に長くなるおそれがある。一方、(Tc+100℃)を超えると、得られる固体電解質(ガラスセラミックス)中に不純物等が含まれる場合があり、イオン伝導度が低下するおそれがある。
加熱温度は、より好ましくは、(Tg+5℃)以上、(Tc+90℃)以下、さらに好ましくは、(Tg+10℃)以上、(Tc+80℃)以下である。
例えば、加熱温度は、150℃以上360℃以下であり、好ましくは160℃以上350℃以下であり、より好ましくは180℃以上310℃以下であり、さらに好ましくは180℃以上290℃以下であり、特に好ましくは190℃以上270℃以下である。
また、熱物性の測定により2つのピークがある場合は、低温側の第1結晶化ピークの温度をTc1とし、低温側のTc1と高温側の第2結晶化ピークの温度(Tc2)として、第1結晶化温度以上、第2結晶化温度以下で加熱すると好ましい。
昇温方法については特に指定がない。所定温度までゆっくり昇温してもよいし、急速に加熱してもよい。
ガラス状の固体電解質の結晶化温度は、示差熱−熱重量測定等で特定することができ、例えば熱重量測定装置(メトラートレド社製TGA/DSC1)を使用し、ガラス状の固体電解質約20mgを、昇温速度10℃/分で加熱することにより測定することで特定できる。
尚、結晶化温度等は昇温速度等により変化することあり、熱処理する昇温速度に近い速度での測定でのTcを基準に選ぶ必要がある。従って、実施例以外の昇温速度で処理する場合は、最適な熱処理温度は変化するが、熱処理する昇温速度で測定されたTcを基準として上記条件にて熱処理することが望ましい。
加熱時間は、0.005分以上、10時間以下が好ましい。さらに好ましくは、0.005分以上、5時間以下であり、特に好ましくは、0.01分以上、3時間以下である。
昇温方法については特に指定がない。所定温度までゆっくり昇温してもよいし、急速に加熱してもよい。
加熱は、露点−40℃以下の環境下で行うことが好ましく、より好ましくは露点−60℃以下の環境下で行うことが好ましい。加熱時の気圧は、常圧であってもよく、減圧下であってもよい。雰囲気は、空気中であってもよく、不活性雰囲気下であってもよい。
固体電解質層は、固体電解質のみからなってもよく、さらにバインダーを含んでもよい。バインダーとしては、上記のバインダーと同じものが使用できる。
固体電解質層の厚さは、0.001mm以上1mm以下であることが好ましい。
固体電解質層の固体電解質は、融着していていることが好ましい。融着とは、固体電解質粒子の一部が溶解し、溶解した部分が他の固体電解質粒子と一体化することを意味する。また、電解質層は、固体電解質の板状体であってもよく、当該板状体は、固体電解質粒子の一部又は全部が溶解し、板状体になっている場合も含む。
(4)集電体
第1の部材及び第2の部材は、それぞれ集電体をさらに備えてもよく、当該集電体は、公知の集電体を用いることができる。
集電体は、例えばAu、Pt、Al、Cu等のように硫化物系固体電解質と反応する金属からなる層を、さらにAu,導電性カーボン等で被覆した層である。
全固体電池の第1の部材及び第2の部材の形成方法は、上述の材料を用いて公知の方法により製造することができ、例えば、塗布法、静電法エアロゾルデポジション法、スクリーン印刷法、コールドスプレー法等により製造することができる。
第1の部材及び第2の部材は、互いを貼り付ける前に、それぞれ予め圧密化するとよい。圧密化は、例えばロールプレスや面プレスを用いることができ、その際に加熱をしてもよい。
[固体電解質を溶媒に溶解して固体電解質溶液を調製する工程]
固体電解質溶液の調製に用いる固体電解質は、上述した固体電解質層に使用できる固体電解質と同じものが使用できる。
尚、第2の製造方法の第1の部材及び第2の部材が固体電解質層を有する場合、第1の部材、第2の部材及び固体電解質溶液の固体電解質は、互いに同じでも異なってもよく、好ましくは互いに同じ固体電解質である。
固体電解質溶液は、固体電解質の一部又は全部が溶解していればよい。従って、固体電解質溶液に用いる溶媒は、溶解する固体電解質の一部又は全部を溶解できる溶媒であれば特に限定されない。例えば溶解する固体電解質が、上述した硫化物系固体電解質である場合、使用する溶媒は、好ましくは水酸基を有する化合物の溶媒であり、より好ましくは1価のアルコール溶媒であり、さらに好ましくは下記式で表わされる溶媒である。
−OH
(式中、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基である。エステル基、エーテル基、水酸基、ニトリル基や、フッ素、臭素、塩素等のハロゲン基等の他の置換基を有していてもよく、芳香族環等の環状基であってもよく、分岐していても分岐していなくてもよい)
は、好ましくは、炭素数2〜20のアルキル基であり、より好ましくは、炭素数2〜12のアルキル基であり、他の置換基を有していてもよく、脂環状であってもよく、分岐していても分岐していなくてもよい。
上記1価のアルコール溶媒は、好ましくはRが炭素数2〜10のアルキル基であり、他の置換基を有さず、脂環状であってもよく、分岐していても分岐していなくてもよい。1級又は2級アルコールであることが好ましい。具体的には、例えば、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2エチルヘキサノール、及び1−オクタノールから選択される1以上のアルコール溶媒が好ましい。
上述の溶媒を用いることにより、溶媒の使用量を少なくでき、製膜する際の乾燥工程の効率が高まるとともに液粘度の調整も容易になる。
溶媒中の水分は50ppm以下に脱水されていることが好ましい。より好ましくは、水分は20ppm以下である。
溶媒は、アルコール類の混合物でもよく、アルコール類と他の有機溶媒との混合物でもよい。
[第1の部材及び/又は第2の部材に、固体電解質溶液を塗布する工程]
固体電解質溶液を塗布する方法は、例えばドクターブレード、刷毛塗り、スプレー塗布、スリットダイコーター等の公知の湿式塗布法が採用できる。
固体電解質溶液の塗布量は、例えば得られる固体電解質層の厚み(固体電解質溶液の塗布により形成される固体電解質層の厚み、及び電極層に形成されている固体電解質層の厚みの合計)が0.001mm〜1mmとなる量である。
塗布時の環境は、例えば露点−40℃以下の環境下で行うことができる。
[第1の部材及び第2の部材を、固体電解質溶液の塗布面が接合面となるように貼り合わせる工程]
第1の部材及び第2の部材の貼り合わせは、プレス機を用いて圧力を印加してもよく、圧力を印加せずにそのまま貼り合わせてもよい。
使用できるプレス機は、冷間・熱プレス、冷間・熱ロールプレス機等であり、特に制限されない。
第1の部材と第2の部材を貼り合わせた後の溶媒の除去は、風乾でも真空加熱乾燥器を用いてもよい。また、上述の熱プレスと同時の除去でもよい。
尚、溶媒除去の条件は、例えば構成材料の熱分解温度以下の加熱により実施でき、当該加熱温度は、好ましくは使用する溶媒の沸点以上である。溶媒の除去効率の面では、減圧下で加熱した方がさらによい。
製造例1
[硫化リチウム(LiS)の製造]
硫化リチウムの製造及び精製は、国際公開第2005/040039号パンフレットの実施例と同様に行った。具体的には下記の通りである。
(1)硫化リチウムの製造
撹拌翼のついた10リットルオートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpm、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。
続いて、この反応液を窒素気流下(200cc/分)昇温し、反応した硫化水素の一部を脱硫化水素化した。昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。脱硫化水素反応が終了後(約80分)反応を終了し、硫化リチウムを得た。
(2)硫化リチウムの精製
上記(1)で得られた500mLのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。さらにNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、その温度のままNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。得られた硫化リチウム中の不純物含有量を測定した。
尚、亜硫酸リチウム(LiSO)、硫酸リチウム(LiSO)並びにチオ硫酸リチウム(Li)の各硫黄酸化物、及びN−メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)の含有量は、イオンクロマトグラフ法により定量した。その結果、硫黄酸化物の総含有量は0.13質量%であり、LMABは0.07質量%であった。
製造例2
[固体電解質1の製造]
製造例1で調製した硫化リチウム(LiS)と、五硫化二リン(P)(アルドリッチ製)を出発原料に用いた。これらを75:25のモル比に調製した混合物10g、φ10mmのジルコニア製ボール600gを500mLのアルミナ製容器に入れ、遊星型ボールミル(伊藤製作所社製LP−4)にて、220rpm、20時間メカニカルミリング処理することで、白黄色の粉末である硫化物系ガラス固体電解質(固体電解質1)を得た。
製造例3
[固体電解質2の製造]
製造例1で調製した硫化リチウム(LiS)と、五硫化二リン(P)(アルドリッチ製)及び臭化リチウム(LiBr)(アルドリッチ製)を出発原料に用いた。これらを77:23:17.3(65.6/19.6/14.8)のモル比に調製した混合物10g、φ10mmのジルコニア製ボール600gを500mLのアルミナ製容器に入れ、遊星型ボールミル(伊藤製作所社製LP−4)にて、220rpm、20時間メカニカルミリング処理することで、白黄色の粉末である硫化物系ガラス固体電解質(固体電解質2)を得た。
得られた固体電解質2を1−ブタノールに投入した結果、溶解したことを確認した。
製造例4
[正極塗料の調製]
旋回型高速分散装置フィルミクス(30−25型)の容器に、正極活物質としてLiNi0.8Co0.15Al0.05(戸田工業製、NAT5050、平均粒径:5μm)を70質量部、固体電解質1を30質量部、PVDF−HFP共重合体(Kaynar製、2500)をイソブチロニトリルに溶解させたポリマー溶液(樹脂濃度:3.38wt%)を45質量部投入し、周速20m/sで30秒間分散させ、正極塗料を得た。
製造例5
[負極塗料の調製]
旋回型高速分散装置フィルミクス(30−25型)の容器に、負極活物質としてグラファイト(日本黒鉛社製、CGB20、平均粒径:20μm)を60質量部、固体電解質1を40質量部、PVDF−HFP共重合体(Kaynar製、2500)をイソブチロニトリルに溶解させたポリマー溶液(樹脂濃度:1.48wt%)を68.4質量部投入し、周速20m/sで30秒間分散させ、負極塗料を得た。
製造例6
[固体電解質スラリーの調製]
遊星ボールミル装置(フリッチュ、P−7)の容器に、固体電解質2を40質量部、トルエンを60質量部投入し、直径10mmのジルコニアボールを入れて、350rpmで1時間分散処理を行い、固体電解質スラリーを調製した。
製造例7
[導電性コート集電体の製造]
ドクターブレード(塗布幅:150mm、塗布厚:50μm)を用いて、アルミ箔(幅:200mm、厚み:30μm)に導電性塗料(日本黒鉛社製、商品名:バニーハイトUCC−2)を塗布し、150℃、2時間、減圧乾燥して、厚み5μmのコート層を形成し、集電体である導電性コートアルミ箔を得た。
また、アルミ箔の代わりに銅箔(幅:200mm、厚み:30μm)を用いた他は上記と同様にして集電体である導電性コート銅箔を得た。
製造例8
[集電体、正極シート及び固体電解質層からなる積層体の形成]
ドクターブレードを用いて、導電性コートアルミ箔上に、調製した正極塗料を塗布し、150℃で2時間乾燥して、厚さ95μmの正極合材シートを得た。
製造した正極合材シートの上に、20×20mmの開口部を設けたPETシート(厚み:200μm)を載せ、調製した固体電解質スラリーを流し込んで、スキージヘラでならし、風乾した。その後、PETシートを除去し、100℃で2時間減圧乾燥して、正極シート及び固体電解質層からなる2層シートを作製した。
固体電解質層を形成した箇所(20×20mmの大きさ)を切り出し後、油圧プレス機を用いて、500MPaの圧力で2層シートを圧密して、正極シート及び固体電解質層からなる積層体を形成した。
製造例9
[集電体、負極シート及び固体電解質層からなる積層体の形成]
ドクターブレードを用いて、導電性コート銅箔シート上に、調製した負極塗料を塗布し、150℃で2時間乾燥して、厚さ90μmの負極塗料を塗布したシートを得た。
製造した負極合材シートの上に、20×20mmの開口部を設けたPETシート(厚み:200μm)を載せ、調製した固体電解質スラリーを流し込んで、スキージヘラでならし、風乾した。その後、PETシートを除去し、100℃で2時間減圧乾燥後、負極層及び固体電解質層からなる2層シートを作製した。
固体電解質層を形成した箇所(20×20mmの大きさ)を切り出し後、油圧プレス機を用いて、500MPaの圧力で2層シートを圧密して、負極シート及び固体電解質層からなる積層体を形成した。
製造例10
[固体電解質溶液の調製]
固体電解質2をガラス容器に1.5g取り、1−ブタノール(水分含有量11ppm)を10ml加えて2時間撹拌することで、固体電解質2が均一に溶解した固体電解質溶液が得られた。
実施例1
製造例8で製造した集電体、正極シート及び固体電解質層からなる積層体、並びに製造例9で製造した集電体、負極シート及び固体電解質層からなる積層体の、それぞれ固体電解質層の表面に刷毛を用いて、製造例10の固体電解質溶液を塗布した。塗布後、これら積層体をプレス機を用いて10MPaの圧力で塗布面同士を貼り合せ、減圧下250℃で乾燥させた。得られた積層体の各集電体に電極タブを取り付け、アルミラミネートフィルムで封止し、電池セルを形成した。
この電池セルについて、25℃、電流密度100μA/cmで充放電を行い、電池特性(初期充放電効率)を調べた結果、得られた電池セルに内部短絡はなく、初期充放電効率は75%であった。ここで初期充放電効率は、正極活物質1g当たりの充電された容量(mAh/g)を100%とし、その後に放電された容量の割合より算出したものである。
比較例1
製造例10の固体電解質溶液を塗布しなかった他は実施例1と同様にして電池セルを製造し、評価した。その結果、電池セルは作動せず、充放電特性を評価することはできなかった。
10 粉砕機
20 反応槽
22 容器
24 撹拌翼
26 冷却管
30 ヒータ
40 オイルバス
50 連結管
52 連結管
54 ポンプ
60 熱交換器
100 第1の部材
110 正極層
120 集電体
130 第1の固体電解質層
200 第2の部材
210 負極層
220 集電体
230 第2の固体電解質層

Claims (9)

  1. 表面層として正極層を含む第1の部材、及び表面層として負極層を含む第2の部材をそれぞれ製造する工程、
    固体電解質を溶媒に溶解して固体電解質溶液を調製する工程、
    前記第1の部材の正極層及び/又は前記第2の部材の負極層に、前記固体電解質溶液を塗布する工程、及び
    前記第1の部材及び前記第2の部材を、固体電解質溶液の塗布面が接合面となるように貼り合わせた後、前記溶媒を除去する工程を含む全固体電池の製造方法。
  2. 第1の固体電解質層及び正極層を含み、前記第1の固体電解質層が表面層である第1の部材、並びに第2の固体電解質層及び負極層を含み、前記第2の固体電解質層が表面層である第2の部材をそれぞれ製造する工程、
    固体電解質を溶媒に溶解して固体電解質溶液を調製する工程、
    前記第1の部材の第1の固体電解質層及び/又は前記第2の部材の第2の固体電解質層に、前記固体電解質溶液を塗布する工程、及び
    前記第1の部材及び前記第2の部材を、固体電解質溶液の塗布面が接合面となるように貼り合わせた後、前記溶媒を除去する工程を含む全固体電池の製造方法。
  3. 前記固体電解質溶液を、前記第1の部材及び前記第2の部材の両方に塗布する請求項1又は2に記載の全固体電池の製造方法。
  4. 前記固体電解質が硫化物系固体電解質である請求項1〜3のいずれかに記載の全固体電池の製造方法。
  5. 前記硫化物系固体電解質が、Li、P及びSを含むリチウムイオン伝導性無機固体電解質である請求項4に記載の全固体電池の製造方法。
  6. 前記硫化物系固体電解質が、Li、P、S及びハロゲン元素を含むリチウムイオン伝導性無機固体電解質である請求項4又は5に記載の全固体電池の製造方法。
  7. 前記溶媒が、非プロトン性溶媒である請求項4〜6のいずれかに記載の全固体電池の製造方法。
  8. 前記溶媒が、1価のアルコールである請求項4〜7のいずれかに記載の全固体電池の製造方法。
  9. 前記1価のアルコールが下記式で表わされるアルコールである請求項8に記載の全固体電池の製造方法
    −OH
    (式中、Rは、置換もしくは無置換の炭素数1〜20の炭化水素基である。)
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