JP5428296B2 - 二次電池、その製造方法、及びラミネート型二次電池 - Google Patents
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Description
1.第1の集電体上に正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層を乾燥させずに逐次重層又は同時重層で積層塗布させた後、第2の集電体を重ね合わせる二次電池の製造方法であって、
前記固体電解質層が、平均一次粒子径が1nm以上20nm以下で、表面にイオン伝導性化合物を保持する無機酸化物微粒子を含有し、かつ当該無機酸化物微粒子が、コアとシェルを共に無機酸化物で形成したコアシェル型の無機酸化物微粒子であることを特徴とする二次電池の製造方法。
2.前記シェルを形成する無機酸化物がシリカであり、前記イオン伝導性化合物がシランカップリング剤であることを特徴とする1に記載の二次電池の製造方法。
3.前記コアを形成する無機酸化物が、アルミナであることを特徴とする1又は2に記載の二次電池の製造方法。
4.1〜3のいずれか一項に記載の二次電池の製造方法で作製した二次電池を複数枚重ねてからラミネート包装することを特徴とするラミネート型二次電池。
本発明おける集電体とは、正極集電体または負極集電体のことであり、例えばニッケル、アルミニウム、銅、金、銀、アルミニウム合金、ステンレス等の金属箔や金属平板、メッシュ状電極、炭素電極等を用いることができる。このような集電体に触媒効果を持たせたり、活物質と集電体とを化学結合させたりしてもよい。
正極活物質層としては、正極活物質と導電剤と結着剤が混合されていることが好ましく、これらを混合するために溶媒が用いられるが、その他にイオン導電材料や電解質等を混合しても良い。
負極活物質層としては、負極活物質と導電剤と結着剤が混合されていることが好ましく、これらを混合するために溶媒が用いられる。
本発明において、固体電解質層は塗布可能なイオン導電性を有する固体電解質を用いて設けられた層のことであり、固体電解質は、1)非水電解液と、この非水電解液を保持する保持体となるマトリクスポリマーとを含み、いわゆるゲル状となっているゲルポリマー電解質、2)電解質塩とそれを溶解する高分子化合物とからなり、例えばポリエチレンオキサイドや同架橋体等のエーテル系高分子、ポリメタクリレートエステル系、アクリレート系等を単独もしくは分子中に共重合、または混合して用いられる高分子電解質、3)イオン導電性化合物を保持した無機酸化物微粒子を用いたゲル電解質を用いればよく、イオン導電性、塗布性等を考慮すると、ゲル電解質を用いることがより好ましい。
本発明におけるイオン伝導性化合物を保持する無機酸化物微粒子固体電解質(ゲル電解質)とは、負極と正極の両極間の荷電担体輸送を行うものであり、一般には室温で10−5〜10−1S/cmのイオン伝導性を有している。本特許における無機酸化物微粒子は、超微粒子であり高い比表面積を持ち、表面に多くのイオン伝導性化合物を含有することができる。さらに、そのため、イオン伝導性ポリマーなどの高分子を含有することなく、さらに、可燃性有機溶媒を含むことなくゲル状固体に擬固体化する。したがって、取り扱いが簡便でかつ、可燃性液体を含まないため耐熱性が高い電解質が得られる。さらに、ポリマーを含有しないことから低温特性がよい。
本発明に係る粒子である無機酸化物粒子としては、特に制限はなく、プラズマ法、火炎法、湿式法など公知の方法に従って調製された酸化物微粒子を適用することができる。
さらに本特許においては、より好ましい無機酸化物微粒子の形態は、コアシェル粒子が好ましい。本発明に係る無機酸化物微粒子からなるコアシェル粒子について説明する。
本発明に係る無機酸化物微粒子からなるコアシェル粒子の調製方法としては、大別して、(1)コア粒子分散工程、(2)シリカ層形成工程、(3)コアシェル粒子とイオン伝導性化合物の結合工程に分かれている。
コア粒子分散工程は、湿式処理における分散方法及び湿式処理における分散装置を適用する。
シリカ層形成工程では、上記分散工程で得た分散液に対してシリカ前駆体化合物を添加し、その分散液を攪拌する。前駆体を滴下する工程の間、分散粒子は分散性を保っていなければならず、またZ平均粒子径として1nm〜100nmに保たれていなければならない。100nmを越えるZ平均粒子径では、形成されるシリカ層が不均一になり、実用上問題を起こす可能性がある。本発明に係るZ平均粒子径は、例えば、ゼータサイザー1000HSa(シスメックス株式会社)などの粒子径測定機を用いて測定することができる。さらに、前駆体滴下工程の前段階において、任意の有機溶媒と純水を用いて、前工程の分散液を希釈することが望ましい。この希釈によって、粒子濃度を0.3質量%〜5質量%に調整することが好ましく、分散安定性の観点から、0.3質量%〜1質量%であることが望ましい。
無機酸化物微粒子からなるコアシェル粒子表面に、イオン伝導性化合物を結合させる工程は、表面未処理の酸化物微粒子に直接反応させても、また、あらかじめ、他の表面処理剤を反応させておいたコアシェル粒子表面に反応させてもよい。
本発明のイオン伝導性組成物においては、無機酸化物微粒子からなるコアシェル粒子の分散性が、Z平均粒子径で100nm以下であることが好ましい。
LN(G1)=a+bt+ct2+dt3+et4+・・・・・・・・・
の定数bが、二次キュムラントまたは、Z平均拡散係数とよばれる。
本発明の乾燥させずに積層塗布するとは、複数の層を逐次塗布する場合に、第1の層を塗布した後に乾燥工程を経ることなく、第2の層を塗布することであり、いわゆるウェットオンウェット塗布または複数の層を重層塗布装置で同時に塗布する、同時重層塗布のことである。一度乾燥工程を経てから、積層すると第1の層と第2の層の間に明確な界面ができ、この界面部分の接着性が悪くなる。また、本願発明のような無機微粒子を含有した層の場合には、乾燥後は表面に凹凸が出来やすく、より接着性が悪くなるだけでなく、乾燥時に層内に空隙が出来ることで、第2の層を塗布したときにこの空隙内の気泡の影響で接着性や均一性が悪くなる。
本発明の電池の形状および外観については特に限定されるものではなく、従来公知のものを採用することができる。すなわち、このような電池形状としては、例えば、電極積層体または巻回体を、金属ケース、樹脂ケース、もしくはアルミニウム箔などの金属箔と合成樹脂フィルムとからなるラミネートフィルム等によって封止したものが挙げられる。また、電池の外観としては、円筒型、角型、コイン型、シート状ラミネート型等が挙げられる。フレキシブル性を考慮した場合には、シート状ラミネート型が好ましい。
本発明のラミネート型二次電池は、電池容量を稼ぐために巻回したり、複数枚重ね合わせてからラミネートするのが好ましい。特にフレキシブル性を考慮すると、複数枚重ね合わせてラミネートするタイプが好ましい。
コバルト酸リチウム90質量部、導電剤としてケッチェンブラックEC600JD(ライオン(株)製)6質量部、ポリフッ化ビニリデン3質量部をN−メチルピロリドンに分散させて正極活物質層塗布液を作製した。
チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)85質量部、導電剤としてグラファイト粉10質量部、ポリフッ化ビニリデン5質量部をN−メチルピロリドンに加えて、混合し、負極活物質塗布液を作製した。
ポリエチレンオキシド19質量部、電解質塩としてリチウムビス(パーフルオロエチレンスルホニルイミド)10質量部をアセトニトリル71質量部と混合して、固体電解質A(ポリマー電解質)を作製した。
(イオン伝導性化合物作成)
3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン10gに対して、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル12gを加え5時間攪拌して、イオン伝導性化合物1を調製した。
TM−300(大明化学社製 γアルミナ、一次粒子径7nm)23gに対して、純水500g、アンモニア水(関東化学社製、濃度28%)4.8gを加え攪拌した。この溶液をウルトラアペックスミル(寿工業社製)0.05mmビーズを用いて、周速6.8m/secで4時間分散した。この際、該溶液に対してテトラエトキシシラン(信越化学工業社製 LS−2430)11.5gを、分散開始直後より2時間かけて滴下した。
上記アルミナ酸化物微粒子分散液327gに対してエタノール2280g、純水1050g、アンモニア水(関東化学社製、濃度28%)20gを加えて希釈を行った。この酸化物微粒子分散液に対して、テトラエトキシシラン(信越化学工業社製 LS−2430)38gを、液温30℃で8時間かけて滴下した。
上記シリカ被覆無機酸化物微粒子分散液を、限外濾過機(日本ガイシ社製 分画分子量20000)を用いて、体積を20%まで濃縮した後、アセトニトリルを加えて、元の液量に戻すという操作を4回繰り返して、アセトニトリル置換を行い、最後に、液量を20%まで濃縮して、800mlのコアシェル粒子分散液を得た。
第1の集電体(正極集電体)として厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に前記正極活物質層塗布液を押出しコーターで膜厚120μmで塗布し、次いで乾燥させることなく同様な押出しコーターを用いて固体電解質A、負極活物質層塗布液の順でそれぞれ膜厚45μm、65μmで逐次重層塗布を行い、乾燥した後に片側に第2の集電体(負極集電体)として厚さ20μmの銅箔を貼り合わせて両面シート電池を作製した。別途アルミニウム箔正極集電体の片側のみに逐次積層塗布した片面シート電池を作製した。前記片面シート電池、両面シート電池をA5サイズに裁断し、片面シート電池の上に両面シート電池を3枚重ね、正極集電体と負極集電体を別々の側にそれぞれリード線をつなぎ、全体を厚さ40μmのアルミニウム箔とアルミニウム箔の両面に形成されたポリプロピレン層から構成された厚さが0.1mmのラミネートフィルムからなるバッグに収納し、80℃で24時間真空乾燥を施した。その後、80℃に保ったまま、ヒートシールを行い完全密封し二次電池101を作成した。
実施例1で固体電解質Aを固体電解質Bに変更した以外は同様にして、二次電池102を作製した。
実施例2で正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層を同時重層した以外は同様にして、二次電池103を作製した。
実施例3で同時重層塗布を行った後に乾燥することなく第2の集電体(負極集電体)銅箔を貼り合せた以外は同様にして二次電池104を作製した。
第1の集電体(正極集電体)として厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に前記正極活物質層塗布液を押出しコーターで膜厚120μmで塗布、乾燥して、両面正極シートを作製した。次いで第2の集電体(負極集電体)として厚さ20μmの銅箔の両面に前記負極活物質層塗布液を押出しコーターで膜厚65μmで塗布、乾燥して、両面負極シートを作製した。さらにガラス支持体上に前記固体電解質Aを膜厚45μmで塗布、乾燥した後、ガラス基板からはがして固体電解質膜Aを作製した。別途片面のみに塗布乾燥した片面正極シート、片面負極シートを作製し、片面正極シート上に前記固体電解質膜Aをそれぞれ挟んで両面負極シート、両面正極シート2組を重ね、最後に片面負極シートを、外側に銅箔集電体が出るように重ねた後、実施例1と同様にリード線をつなぎ、ラミネートして二次電池105を作製した。
第1の集電体(正極集電体)として厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に前記正極活物質層塗布液を押出しコーターで膜厚120μmで塗布、乾燥して、両面正極シートを作製した。次いでこの上に、前記固体電解質Aを膜厚45μmで塗布乾燥し、さらに前記負極活物質層塗布液を膜厚65μmで塗布乾燥し、最後に第2の集電体(負極集電体)として厚さ20μmの銅箔を載置して電極シートを作製した。この電極シート上に今度は負極活物質層塗布液、固体電解質1、正極活物質層塗布液の順次塗布乾燥を4回繰り返した後、実施例1と同様にリード線をつなぎ、ラミネートして二次電池106を作製した。
比較例2で各層の塗布乾燥後に次の層を塗布する前に、N−メチルピロリドンを少量滴下した以外は同様にして、二次電池107を作製した。
前記の電池101〜103、及び比較1〜4をそれぞれ各10個作製した。それぞれの電池について、25℃環境下において、上限電圧4.2VまでC/2の定電流で充電した後、下限電圧2.5VまでC/2の定電流放電を行った。なお、ここで1Cとは、作製した電池の正極活物質量より算出した容量を1時間で充電するのに必要な電流量とする。この充放電サイクルを10回、100回繰り返し、1回目の放電量との比率を求めた。
12 正極活物質
13 アルミ箔
14 ドライヤー
15 銅箔
16 負極活物質
17 固体電解質
18 正極
19 負極
Claims (4)
- 第1の集電体上に正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層を乾燥させずに逐次重層又は同時重層で積層塗布させた後、第2の集電体を重ね合わせる二次電池の製造方法であって、
前記固体電解質層が、平均一次粒子径が1nm以上20nm以下で、表面にイオン伝導性化合物を保持する無機酸化物微粒子を含有し、かつ当該無機酸化物微粒子が、コアとシェルを共に無機酸化物で形成したコアシェル型の無機酸化物微粒子であることを特徴とする二次電池の製造方法。 - 前記シェルを形成する無機酸化物がシリカであり、前記イオン伝導性化合物がシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1に記載の二次電池の製造方法。
- 前記コアを形成する無機酸化物が、アルミナであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の二次電池の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の二次電池の製造方法で作製した二次電池を複数枚重ねてからラミネート包装することを特徴とするラミネート型二次電池。
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