JP5921492B2 - 負極合材、電極及びリチウムイオン電池 - Google Patents
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Description
本発明によれば、以下の負極合材等が提供される。
1.負極活物質と、ハロゲン含有硫化物固体電解質ガラスセラミックスと、を含む負極合材。
2.前記負極活物質が黒鉛である1に記載の負極合材。
3.前記ハロゲン含有硫化物固体電解質ガラスセラミックスが、少なくとも1種のアルカリ金属、P、S、及び、少なくとも1種のハロゲンの、各元素を含む、1又は2に記載の負極合材。
4.前記ハロゲン含有硫化物固体電解質ガラスセラミックスが下記式(1)で示される1〜3いずれかの負極合材。
LaMbPcSdXeOf…(1)
(式中、Lは、アルカリ金属を示し。
Mは、B、Al、Si、Ge、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、Bi、又はこれらの組合せを示す。
XはI、Cl、Br、F、又はこれらの組合せを示す。
a〜fは、それぞれ0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1、0<d≦9、0<e≦9、0≦f≦9を満たす。)
5.前記ハロゲン含有硫化物固体電解質ガラスセラミックスが、Li2S、P2S5及びLiBr、又は、Li2S、P2S5及びPBr3を原料とする、1〜4のいずれかに記載の負極合材。
6.前記負極活物質と前記ハロゲン含有硫化物固体電解質ガラスセラミックスの混合比が、30重量%:70重量%〜70重量%:30重量%である、1〜5のいずれかに記載の負極合材。
7.上記1〜6のいずれかに記載の負極合材から得られる電極。
8.上記7に記載の電極を含むリチウムイオン電池。
[負極活物質]
負極活物質としては、炭素(カーボン)材料が挙げられる。
炭素材料としては、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、フルフリルアルコール樹脂焼成炭素、ポリアセン、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、天然黒鉛及び難黒鉛化性炭素等、及びこれらの混合物が挙げられる。
炭素材料は、好ましくは人造黒鉛又は天然黒鉛等の黒鉛である。
炭素材料の粒径は、D50の平均粒径は0.1μm以上80μm以下が好ましく、1μm以上80μm以下がより好ましく、3μm以上60μm以下がさらに好ましい。
粒径3μm以下の炭素材料が9体積%以下であることにより、不可逆容量を低減することができ、サイクル性能の向上に寄与する。
また、炭素材料のBET比表面積は、0.1m2/g以上500m2/g以下がより好ましく、さらに好ましくは0.1m2/g以上50m2/g以下であり、さらに好ましくは1m2/g以上20m2/g以下である。
本発明の負極合材では、固体電解質としてハロゲン含有硫化物固体電解質ガラスセラミックスを使用する。該ガラスセラミックスは、好ましくは、少なくとも1種のアルカリ金属元素(例えばリチウム元素)、リン元素、硫黄元素、及び、少なくとも1種のハロゲン元素(例えば臭素元素)を含むものである。該ガラスセラミックスは、好ましくは下記式(1)に示す組成を有するものである。
LaMbPcSdXeOf…(1)
(式中、Lは、アルカリ金属を示し。
Mは、B、Al、Si、Ge、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、Bi、又はこれらの組合せを示す。
XはI、Cl、Br、F、又はこれらの組合せを示す。
a〜fは、それぞれ0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1、0<d≦9、0<e≦9、0≦f≦9を満たす。)
式(1)において、好ましくは、bは0であり、より好ましくは、a、c、d、e及びfの比(a:c:d:e:f)がa:c:d:e:f=1〜9:1:3〜7:0.05〜3:0〜2、さらに好ましくは、a:c:d:e:f=2〜6.5:1:3.5〜5:0.1〜1.5:0〜1である。最も好ましくは、a:c:d:e:f=2〜6.5:1:3.5〜4.95:0.1〜1.5:0〜0.5である。dは4であると好ましい。
各元素の組成比は、固体電解質又は固体電解質前駆体(ガラス状の固体電解質)を製造する際の原料化合物の配合量を調整することにより制御できる。
LaMbPcSdXe…(1’)
(式中、Lは、アルカリ金属を示し。
Mは、B、Al、Si、Ge、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、Bi、又はこれらの組合せを示す。
XはI、Cl、Br、F、又はこれらの組合せを示す。
a〜eは、それぞれ0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1、0<d≦9、0<e≦9を満たす。)
式(1’)において、a〜eはそれぞれ各元素の組成比を示し、0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1、0<d≦9、0<e≦9を満たす。
dは4であると好ましい。
Lのアルカリ金属は、Li、Na、K、Rb、Ce及びFrから選択される1つ以上が挙げられ、好ましくはLi及びNaから選択される1つ以上であり、より好ましくはLiである。
Mは、好ましくはB、Al、Si、又はこれらの組み合わせである。
Xは、好ましくはI、Br又はClであり、より好ましくはBrである。
(1)原料
ハロゲン含有硫化物固体電解質ガラスセラミックスは、例えば下記成分(A)、(B)及び(C)を用いることにより調製できる。
(A)アルカリ金属硫化物
(B)M’mSnで表される化合物
(C)M’’wXxで表わされる化合物
M’’は、Li、Na、B、Al、Si、P、S、Ge、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、Bi、又はこれらの組み合わせを示す。
XはF、Cl、Br、I、又はこれらの組み合わせを示す。
wは1又は2の整数を示す。
m、n及びxは、それぞれ1〜10の整数を示す。)
硫化リチウムは、特に制限なく使用できるが、高純度のものが好ましい。硫化リチウムは、例えば、特開平7−330312号、特開平9−283156号、特開2010−163356、特開2011−84438、特開2011−136899に記載の方法により製造することができる。
一方、特開2010−163356に記載の硫化リチウムの製法で製造した硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩等の含有量が非常に少ないため、精製せずに用いてもよい。
五硫化二リン(P2S5)は、工業的に製造され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。
(C)M’’wXxで表わされる化合物は、好ましくはM’’がリチウム又はリンである化合物である。
式(1)に示す組成を有する固体電解質は、成分(C)が酸素元素を含まない化合物であっても、後述するガラス化促進剤を用いることによって、酸素元素を含む式(1)の組成を有する固体電解質を製造することができる。
成分(A)、(B)及び(C)の配合比は、成分(C)のM’’がリンであるかリン以外であるかで場合分けされる。
上記成分(A)〜(C)及び任意にガラス化促進剤等を用いて、以下の方法によりガラス状の固体電解質を製造することができる。
原料(例えば硫化ナトリウム、五硫化二リン、及びハロゲン化合物)を、上記配合比で混合し、溶融急冷法、メカニカルミリング法(以下、適宜「メカニカルミリング」を「MM」という。)、溶媒中で反応させるスラリー法、固相法等のいずれかにより処理することにより、ガラス状の固体電解質(固体電解質ガラス)を製造することができる。
以下、各製造方法について説明する。
溶融急冷法は、原料を所定量混合し、所定温度で反応させた後、急速に冷却することによりガラス状の固体電解質を得る方法である。
例えば、乳鉢にて原料を混合しペレット状にしたものを、カーボンコートした石英管中に入れ真空封入する。所定の反応温度で反応させた後、氷中に投入し急冷することにより、ガラス状の固体電解質が得られる。
反応時間は、好ましくは0.1時間〜12時間、より好ましくは、1〜12時間である。
上記反応物の急冷温度は、通常10℃以下、好ましくは0℃以下であり、その冷却速度は、通常1〜10000K/sec程度、好ましくは10〜10000K/secである。
MM法は、原料を所定量混合し、機械的なエネルギーを与えることによりガラス状の固体電解質を得る方法である。
機械的なエネルギーを与える方法は特に問わないが、例えば、各種ボールミルを例示することができる。
上記原料を用いたMM法は、室温で反応させることができる。そのため、原料の熱分解が起らず、仕込み組成のガラス状の固体電解質を得ることができるという利点がある。
また、MM法ではガラス状の固体電解質の製造と同時に、微粉末化できるという利点もある。
MM法の条件としては、例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。
また、MM処理の際のミル内の温度を調整してもよい。
MM処理時の原料温度は、室温から200℃まで必要に応じて加熱してもよい。
固相法は、原料を混合し所定温度で加熱することによりガラス状の固体電解質を得る方法である。例えば、五硫化二燐と硫化リチウム、及びハロゲン化合物を所定量乳鉢にて混合し、100〜900℃の温度で加熱することにより、ガラス状の固体電解質が得られる
接触法は、溶媒中で原料を接触させてガラス状の固体電解質を製造する方法である。
接触法によれば、メカニカルミリング装置のような特殊な設備を使用しなくともガラス状の固体電解質を製造できる。従って、安価に伝導性物質を製造することができる。また、メカニカルミリング処理をしないため、メカニカルミリング装置の壁面等が剥がれることによる不純物の発生を防止することができる。
また、メカニカルミリング装置を使用しないため、ボールとミル容器内に原料や固体電解質が付着するような欠点がない。
上記非プロトン性溶媒としては、非プロトン性有機溶媒(例えば、炭化水素系有機溶媒)、非プロトン性の極性有機化合物(例えばアミド化合物、ラクタム化合物、尿素化合物、有機イオウ化合物、環式有機リン化合物等)等が挙げられ、これらのうちいずれか1つを単独溶媒として、又はこれらのうちの2以上からなる混合溶媒として使用することができる。
飽和炭化水素としては、ヘキサン、ペンタン、2−エチルヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、トルエン、キシレン、デカリン、1、2、3、4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、特にトルエン、キシレンが好ましい。
当該他の溶媒の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エタノール、ブタノール等のアルコール類;酢酸エチル等のエステル類等;ジクロロメタン、クロロベンゼン、フッ化ヘプタン、フッ化ベンゼン、2、3‐ジハイドロパーフルオロペンタン、1、1、2、2、3、3、4‐ヘプタフルオロシクロペンタン等のフッ素系化合物等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。
接触(反応)工程時の温度は、通常50℃以上300℃以下であり、好ましくは60℃以上250℃以下であり、より好ましくは70℃以上200℃以下である。
尚、温度や時間は、いくつかの条件をステップにして組み合わせてもよい。例えば、接触開始から1時間は100℃で接触させ、1時間後10時間の間は150℃で加熱する等である。
湿式メカニカルミリング法は、原料を溶媒中でメカニカルミリング処理して製造する方法である。
湿式メカニカルミリング法は、溶媒を加えた状態でメカニカルミリング処理を施すことで、処理時の増粒効果を抑制し、合成反応を効率的に促進できる。これにより、均一性に優れ、未反応原料の含有率が低いガラス状の固体電解質を得ることができる。また、原料や反応物の器壁等への固着を防止することができ、製品の歩留を向上できる。
遊星型ボールミルは、ポットが自転回転しながら、台盤が公転回転し、非常に高い衝撃エネルギーを効率良く発生させることができる。また、ビーズミルも好ましい。
上記の他、MM処理の際のミル内の温度を調整してもよい。MM法の条件としては、例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。
メカニカルミリング処理後の結果物を乾燥し、溶媒を除去することにより、ガラス状の固体電解質が得られる。
スラリー合成法は、原料に溶媒中で力学的なエネルギーを与える力学的なエネルギー供与手段と、原料を溶媒中で接触させる接触手段と、力学的なエネルギー供与手段と接触手段を連結する連結手段と、連結手段を通して、原料及び/又は原料の反応物を力学的なエネルギー供与手段と接触手段との間を循環させる循環手段とを備える製造装置を用いてガラス状の固体電解質を製造する方法である。反応生成物を乾燥し、溶媒を除去することにより、ガラス状の固体電解質が得られる。
上記原料及び溶媒は、湿式メカニカルミリング法の原料及び溶媒と同様のものが使用できる。
製造装置1は、原料を粉砕しつつ反応させてガラス状の固体電解質を合成する粉砕機(粉砕合成手段)10と、原料を反応させてガラス状の固体電解質を合成する反応槽(合成手段)20とを備える。反応槽20は容器22と撹拌翼24からなり、撹拌翼24はモータ(M)により駆動される。
反応槽20の容量と粉砕機10の容量との比率は任意でよいが、通常反応槽20の容量は、粉砕機10の容量の1〜100倍程度である。
メカニカルミリング法と接触法の交互実施は、原料をメカニカルミリング処理する工程と、原料を溶媒中で接触させる接触工程とを含み、当該メカニカルミリング処理工程及び当該接触工程を交互に繰り返し行う方法である。
メカニカルミリング処理の回転速度及び回転時間は特に限定されないが、回転速度が速いほど、ガラス状の固体電解質の生成速度は速くなり、回転時間が長いほどガラス状の固体電解質ヘの原料の転化率は高くなる。例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を250回転/分以上300回転/分以下とし、5分以上50時間以下処理すればよい。
接触工程の時間は、5分以上200時間以下が好ましい。
まず、装置の分散槽に脱水処理されたトルエン(和光純薬製、製品名:特級)110mlを入れ、さらに分散剤として脱水処理された分散剤を6%添加する。
測定対象の添加量はイオン伝導性物質の種類等により最適量は異なるが、概ね0.01g〜0.05g程度である。
また、2つの結晶化ピークが170℃以上330℃以下の範囲にあることがさらに好ましく、また2つの結晶化ピーク間の幅が30〜140℃であることがさらに好ましい。
例えば、加熱温度は、150℃以上360℃以下であり、好ましくは160℃以上350℃以下であり、より好ましくは180℃以上310℃以下であり、さらに好ましくは180℃以上290℃以下であり、特に好ましくは190℃以上270℃以下である。
昇温方法については特に指定がない。所定温度までゆっくり昇温してもよいし、急速に加熱してもよい。
昇温方法については特に指定がない。所定温度までゆっくり昇温してもよいし、急速に加熱してもよい。
本発明の負極合材において、炭素材料等の負極活物質とハロゲン含有硫化物固体電解質ガラスセラミックスの割合は10重量%:90重量%〜90重量%:10重量%が好ましく、70重量%:30重量%〜30重量%:70重量%がより好ましく、60重量%:40重量%〜40重量%:60重量%がさらに好ましい。
本発明において「実質的」とは、負極合材の90重量%以上100重量%以下(好ましくは95重量%以上100重量%以下)が負極活物質と固体電解質であることを意味する。
本発明の負極合材は、上記の負極活物質と固体電解質を混合することで得られ、他の導電材を添加してもよい。
本発明の負極合材は、上記成分の他に、その他の成分を含んでもよく、当該その他の成分としてバインダーが挙げられる。
バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂;エチレン−プロピレン−ジエンポリマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。
本発明の負極合材を電極(負極)に用いる場合、電極は、負極合材を通常の方法でプレス成形してシート状の電極とする方法等により製造することができる。
また、複合材料及び複合材料を含む電極材料を集電体上に膜状に形成して電極とする方法が挙げられる。製膜方法としては、エアロゾルデポジション法、スクリーン印刷法、コールドスプレー法等が挙げられる。さらに、溶媒に分散又は一部を溶解させてスラリー状にして塗布する方法が挙げられる。必要に応じてバインダーを混合してもよい。
電極の厚みは、電池設計に応じて適宜変更すればよい。
本発明の負極合材又は電極は、リチウムイオン電池の負極に好適に用いることができる。本発明のリチウムイオン電池は、正極層、電解質層及び負極層をこの順に備える全固体電池であり、負極層が本発明の負極合材を含む。
以下、本発明のリチウムイオン電池の各層について説明する。
負極層は、本発明の負極合材を含む層である。
負極層は、本発明の負極合材を含めばよく、本発明の負極合材のみからなってもよい。
負極層の厚さは、100nm以上5mm以下が好ましく、1μm以上3mm以下がより好ましく、5μm以上1mm以下がさらに好ましい。
負極層は公知の方法により製造することができ、例えば、塗布法、静電法、エアロゾルデポジション法、スクリーン印刷法、コールドスプレー法等により製造することができる。
電解質層は、固体電解質を含む層である。電解質層を構成する固体電解質としては、酸化物系固体電解質及び硫化物系固体電解質の他に、ポリマー系固体電解質が挙げられる。電解質層を構成する固体電解質は、硫化物系固体電解質が好ましい。尚、この硫化物固体電解質としては、前述した硫化物固体電解質が挙げられる。
電解質層の厚さは、0.001mm以上1mm以下であることが好ましい。
正極層は、正極活物質を含む層である。
正極活物質は、リチウムイオンの挿入脱離が可能な物質であり、電池分野において正極活部質として公知のものが使用できる。
式(D)において、Zはそれぞれ−S−又は−NH−であり、nは繰返数2〜300の整数である。)
正極層が含む固体電解質は、負極層及び電解質層の固体電解質と同様のものが挙げられる。
正極層は、公知の方法により製造することができ、例えば、塗布法、静電法、エアロゾルデポジション法、スクリーン印刷法、コールドスプレー法等により製造することができる。
本発明のリチウムイオン電池は集電体をさらに備えてもよく、当該集電体は、公知の集電体を用いることができる。
集電体は、例えばAu、Pt、Al、Cu等のように硫化物系固体電解質と反応する金属からなる層を、さらにAu、導電性カーボン等で被覆した層がある。
(1)硫化リチウムの製造
硫化リチウムは、特開平7−330312号公報における第1の態様(2工程法)の方法に従って製造した。具体的には、撹拌翼のついた10リットルオートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpm、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。続いてこの反応液を窒素気流下(200cc/分)昇温し、反応した水硫化リチウムを脱硫化水素化し硫化リチウムを得た。昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。水硫化リチウムの脱硫化水素反応が終了後(約80分)に反応を終了し、硫化リチウムのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)を得た。
上記で得た500mLのスラリー反応溶液中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。さらにNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、その温度のままNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。
上記で製造した平均粒径30μm程度の精製Li2S 2.54gと平均粒径50μm程度のP2S5(アルドリッチ社製)67.46gを10mmφアルミナボール175個が入った500mlアルミナ製容器に入れ密閉した。上記計量、密閉作業は全てグローブボックス内で実施し、使用する器具類は全て乾燥機で事前に水分除去して使用した。
得られた固体電解質ガラス粒子のX線回折測定(CuKα:λ=1.5418Å)を行なった結果、原料Li2Sのピークは観測されず、固体電解質ガラスに起因するハローパターンであった。
また、この固体電解質ガラスセラミックス粒子の伝導度を評価したところ、伝導度は1.3×10−3S/cmであった。
製造例1(2)で精製した硫化リチウム0.337g(0.00717mol)と五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.532g(0.00239mol)と臭化リチウム(アルドリッチ社製)0.140g(0.00161mol)をよく混合した。そして、この混合した粉末と直径10mmのジルコニウム製ボール10ケを遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−7)アルミナ製ポットに投入し、完全密閉するとともにこのアルミナ製ポット内に窒素を充填し、窒素雰囲気にした。
210℃で2時間加熱し、ガラスセラミックスとした。
イオン伝導度は、2.0×10−3S/cmであった。
原料を硫化リチウム0.397g(0.00844mol)と五硫化二リン0.467g00212mol)と三臭化リン0.147g(0.00058mol)に変更した以外は、製造例2と同様にして固体電解質を製造した。
220℃で2時間加熱し、ガラスセラミックスとした。
イオン伝導度は、8×10−4S/cmであった。
(1)負極合材の調整
製造例2で作製した固体電解質セラミック1.000g、黒鉛粒子(CGB20、日本黒鉛製)1.000gを、乳鉢に入れ、これをよく混合し、負極合材とした。
製造例1で調整した固体電解質ガラスセラミックス粉末50mgを直径10mmのセラミックス製円筒に投入し、加圧成型して電解質層とした。
次に調製した負極合材6.0mgを電解質層に接触するように加圧成型することで、作用極とした。作用極の反対側から、参照極かつ対極として、LiIn合金箔を貼付し加圧成型した。最後にセルの周囲を90度おきに4か所ネジ締めして、積層方向に加圧した。このようにして、3層構造の2極式ハーフセルを作製した。
作製したハーフセルを、0.2mA/cm2で、電位が0.02Vvs.Li/Li+になるまでLiイオンを挿入し、0.2mA/cm2で電位1.0Vvs.Li/Li+までLiイオンを脱離させた。この条件で充放電サイクルを繰り返し、30サイクル後のLiイオン脱離容量維持率%(30サイクル目のLiイオン脱離容量/1サイクル目のLiイオン脱離容量×100)を算出した。
容量維持率(%)は、92%であった。
製造例3の固体電解質セラミックに変更した以外は、実施例1と同様にした。
容量維持率(%)は、90%であった。
製造例1の固体電解質セラミックに変更した以外は、実施例1と同様にした。
容量維持率は(%)は、85%であった。
10 粉砕機
20 反応槽
22 容器
24 撹拌翼
26 冷却管
30 ヒータ
40 オイルバス
50 第1の連結管
52 第2の連結管
54 ポンプ
Claims (11)
- 負極活物質と、ハロゲン含有硫化物固体電解質ガラスセラミックスと、を含み、
前記ハロゲン含有硫化物固体電解質ガラスセラミックスが下記式(1)で示され、
前記ハロゲン含有硫化物固体電解質ガラスセラミックスが、Li2S、P2S5及びLiBr、又は、Li2S、P2S5及びPBr3を必須の原料とする、全固体リチウムイオン電池の負極合材。
Li a P cSdXeOf…(1)
(式中、XはI、Cl、Br、F、又はこれらの組合せを示し、少なくともBrを含む。
a:c:d:e:f=2〜6.5:1:3.5〜4.95:0.1〜1.5:0〜0.5である。) - fが0である請求項1に記載の全固体リチウムイオン電池の負極合材。
- 前記ハロゲン含有硫化物固体電解質ガラスセラミックスが、Li2S、P2S5及びLiBrを原料とする、請求項1又は2に記載の全固体リチウムイオン電池の負極合材。
- 前記Li2Sと前記P2S5のモル比が、65:35〜85:15である請求項3に記載の全固体リチウムイオン電池の負極合材。
- 前記Li2Sと前記P2S5のモル比が、72:28〜78:22である請求項3に記載の全固体リチウムイオン電池の負極合材。
- 前記Li2Sと前記P2S5のモル量の合計に対する前記LiBrのモル量の比が、50:50〜99:1である請求項3に記載の全固体リチウムイオン電池の負極合材。
- 前記Li2Sと前記P2S5のモル量の合計に対する前記LiBrのモル量の比が、70:30〜96:4である請求項3に記載の全固体リチウムイオン電池の負極合材。
- 前記負極活物質が黒鉛である請求項1〜7のいずれかに記載の全固体リチウムイオン電池の負極合材。
- 前記負極活物質と前記ハロゲン含有硫化物固体電解質ガラスセラミックスの混合比が、30重量%:70重量%〜70重量%:30重量%である、請求項1〜8のいずれかに記載の全固体リチウムイオン電池の負極合材。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の負極合材から得られる全固体リチウムイオン電池の負極。
- 請求項10に記載の負極を含む全固体リチウムイオン電池。
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