JP2015002053A - 固体電解質組成物 - Google Patents

固体電解質組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2015002053A
JP2015002053A JP2013125538A JP2013125538A JP2015002053A JP 2015002053 A JP2015002053 A JP 2015002053A JP 2013125538 A JP2013125538 A JP 2013125538A JP 2013125538 A JP2013125538 A JP 2013125538A JP 2015002053 A JP2015002053 A JP 2015002053A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
solid electrolyte
formula
binder
solvent
halogen
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013125538A
Other languages
English (en)
Inventor
美勝 清野
Yoshikatsu Kiyono
美勝 清野
田村 裕之
Hiroyuki Tamura
裕之 田村
正克 木村
Masakatsu Kimura
正克 木村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Kosan Co Ltd filed Critical Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority to JP2013125538A priority Critical patent/JP2015002053A/ja
Publication of JP2015002053A publication Critical patent/JP2015002053A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Conductive Materials (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

【課題】無機固体電解質を用いても充放電量が高く、かつ強度が高い電極層を提供する。
【解決手段】固体電解質が、ハロゲン含有硫化物系固体電解質であり、式(1)及び式(2)で表わされる繰返単位を有すバインダー、及び式(3)で表わされるニトリル溶媒を含む。式(3)中、Rは炭素数1〜13の炭化水素からなる主鎖及び炭素数1〜13の炭化水素からなる側鎖を有する基、又は炭素数3〜7の環状構造を有する基であり、これらは飽和でも不飽和であってもよく、官能基を含んでいてもよい。
Figure 2015002053

m:n=50〜90:50〜10(mは前記バインダー一分子中の式(1)で表わされる繰返単位の数、nは式(2)で表わされる繰返単位の数である。)
【選択図】なし

Description

本発明は、固体電解質組成物及びそれから得られるリチウムイオン電池に関する。
近年、携帯電話、PDA、ノートパソコン等の高機能化に伴い、長時間使用が可能であり、かつ小型・軽量で、安全性の高い二次電池が強く要望されている。
しかし、従来から使用されてきた可燃性の有機溶媒を含むリチウム二次電池は過充電時や濫用時に液漏れや発火の危険性がある。そのため、電池の高エネルギー密度化に伴い、安全性の確保が重要な課題とされてきた。
このような課題を解決する電池として、有機電解液に比べて化学的に安定で、かつ漏液や発火の問題のない無機固体電解質を電解質として用いた全固体リチウムイオン二次電池の研究開発が鋭意行われている。
ここで、固体電解質及び活物質は無機物であるため、固体電解質粒子及び活物質粒子のみを用いて電極層を製造すると電極層が非常に脆くなるという欠点を有している。
この欠点を解消するために、固体電解質粒子と活物質粒子に特定のバインダーを添加し、特定の溶媒を用いたスラリーを塗布・乾燥して電極層を製造する技術が開発された(特許文献1)。
しかし、理論容量に対する充放電量は十分とは言えず、さらなる改善が望まれていた。
特開2012−204114号公報
本発明の目的は、無機固体電解質を用いても充放電量が高く、かつ強度が高い電極層を製造することが可能な組成物を提供することである。
本発明によれば、以下の固体電解質組成物等が提供される。
1.ハロゲン含有硫化物系固体電解質、
下記式(1)で表わされる繰返単位及び下記式(2)で表わされる繰返単位を有し、下記式(A)を満たすバインダー、及び
下記式(3)で表わされるニトリル溶媒を含む
固体電解質組成物。
Figure 2015002053
m:n=50〜90:50〜10・・・(A)
(式(A)中、mは前記バインダー一分子中の式(1)で表わされる繰返単位の数、nは式(2)で表わされる繰返単位の数である。)
Figure 2015002053
(式(3)中、Rは炭素数1〜13の炭化水素からなる主鎖及び炭素数1〜13の炭化水素からなる側鎖を有する基、又は炭素数3〜7の環状構造を有する基であり、これらは飽和でも不飽和であってもよく、官能基を含んでいてもよい。
前記官能基は、エーテル、カルボニル、カルボキシル、ヒドロキシ、チオ、チオール、チオキシ、スルホ、ニトリル、ニトロ、ニトロソ、アゾ、アミド、イミド、アミノ、イミノ又はハロゲンである。)
2.前記ハロゲン含有硫化物系固体電解質がLi、P、S、及びハロゲン元素を含む1に記載の固体電解質組成物。
3.前記ニトリル溶媒が炭素数3もしくは4の炭化水素鎖、又は六員環構造を含む化合物である1又は2に記載の固体電解質組成物。
4.前記ニトリル溶媒がイソブチロニトリル、イソバレロニトリル、又はベンゾニトリルである1〜3のいずれかに記載の固体電解質組成物。
5.1〜4のいずれかに記載の固体電解質組成物を用いて製造した電極、及び
1〜4のいずれかに記載の固体電解質組成物を用いて製造した電解質層のうち少なくとも1つを備えるリチウムイオン電池。
6.電極及び電解質層のうち少なくとも1つがバインダー及びハロゲン含有硫化物系固体電解質粒子を含み、前記バインダーが式(1)で示される繰返単位及び式(2)で示される繰返単位を有し、下記式(A)を満たすリチウムイオン電池。
Figure 2015002053
m:n=50〜90:50〜10・・・(A)
(式(A)中、mは前記バインダー一分子中の式(1)で表わされる繰返単位の数、nは式(2)で表わされる繰返単位の数である。)
本発明によれば、無機固体電解質を用いても充放電量が高く、かつ強度が高い電極層を製造することが可能な組成物を提供できる。
固体電解質の製造装置の一例を示す図である。
本発明の固体電解質組成物は、ハロゲン含有硫化物系固体電解質、バインダー及びニトリル溶媒を含む。
バインダーは下記式(1)で表わされる繰返単位及び下記式(2)で表わされる繰返単位を有し、下記式(A)を満たす。
Figure 2015002053
m:n=50〜90:50〜10・・・(A)
(式(A)中、mは前記バインダー一分子中の式(1)で表わされる繰返単位の数、nは式(2)で表わされる繰返単位の数である。)
また、ニトリル溶媒は下記式(3)で表わされる。
Figure 2015002053
(式(3)中、Rは炭素数1〜13の炭化水素からなる主鎖及び炭素数1〜13の炭化水素からなる側鎖を有する基、又は炭素数3〜7の環状構造を有する基であり、これらは飽和でも不飽和であってもよく、官能基を含んでいてもよい。
前記官能基は、エーテル、カルボニル、カルボキシル、ヒドロキシ、チオ、チオール、チオキシ、スルホ、ニトリル、ニトロ、ニトロソ、アゾ、アミド、イミド、アミノ、イミノ又はハロゲンである。)
本発明の組成物を用いて製造した電池部材は、密着性、耐屈曲性及び耐熱性に優れる。
以下、本発明の固体電解質組成物の各成分について説明する。
[ハロゲン含有硫化物系固体電解質]
1.構成元素及び構成元素比
ハロゲン含有硫化物系固体電解質(固体電解質)とは、S及びハロゲン元素を含む固体電解質である。ハロゲン含有硫化物系固体電解質は、好ましくは、Li、P、S、及びハロゲン元素を含む。また、ハロゲン含有硫化物系固体電解質は、好ましくは下記式(1)に示す組成を有する。
・・・(1)
(式(1)中、Lは、アルカリ金属を示す。Mは、B、Al、Si、Ge、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、Bi、又はこれらの組合せを示す。XはI、Cl、Br、F、又はこれらの組合せを示す。a〜fは、0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1、0<d≦9、0<e≦9、0≦f≦9を満たす。)
式(1)において、好ましくは、bは0であり、より好ましくは、a、c、d、e及びfの比(a:c:d:e:f)がa:c:d:e:f=1〜9:1:3〜7:0.05〜3:0〜2であり、さらに好ましくは、a:c:d:e:f=2〜6.5:1:3.5〜5:0.1〜1.5:0〜1であり、最も好ましくは、a:c:d:e:f=2〜6.5:1:3.5〜4.95:0.1〜1.5:0〜0.5である。
dは4であると好ましい。
また、fが0でない場合、d+f=4となるように添加することが望ましい。
各元素の組成比は、固体電解質又は固体電解質前駆体(固体電解質ガラス)を製造する際の原料化合物の配合量を調整することにより制御できる。
式(1)の組成を有する固体電解質は、より好ましくは下記式(1’)に示す組成を有する固体電解質である。
・・・(1’)
(式(1’)中、Lはアルカリ金属を示す。MはB、Al、Si、Ge、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、Bi、又はこれらの組合せを示す。XはI、Cl、Br、F、又はこれらの組合せを示す。a〜eは0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1、0<d≦9、0<e≦9を満たす。)
好ましくは、bは0であり、より好ましくは、a、c、d、eの比(a:c:d:e)がa:c:d:e=1〜9:1:3〜7:0.05〜3であり、さらに好ましくは、a:c:d:e=2〜6.5:1:3.5〜5:0.1〜1.5であり、最も好ましくは、a:c:d:e=2〜6.5:1:3.5〜4.95:0.1〜1.5である。
dは4であると好ましい。
及びLで表わされる固体電解質を構成する各元素は、好ましくは以下の通りである。
Lのアルカリ金属は、Li、Na、K、Rb、Ce及びFrから選択される1つ以上が挙げられ、好ましくはLi及びNaから選択される1つ以上であり、より好ましくはLiである。
Mは、好ましくはB、Al、Si、又はこれらの組み合わせである。
Xは、好ましくはI、Br又はClであり、より好ましくはBrである。
2.固体電解質の製造方法
(1)原料
固体電解質は、例えば下記成分(A)、(B)及び(C)を用いることにより調製できる。
(A)アルカリ金属硫化物
(B)M'で表される化合物
(C)M''で表わされる化合物
(式中、M'は、Li、Na、B、Al、Si、P、Ge、又はこれらの組み合わせを示す。M''は、Li、Na、B、Al、Si、P、S、Ge、As、Se、Sn、Sb、Te、Pb、Bi、又はこれらの組み合わせを示す。XはF、Cl、Br、I、又はこれらの組み合わせを示す。wは1又は2の整数を示す。m、n及びxは、それぞれ1〜10の整数を示す。)
(A)アルカリ金属硫化物としては、LiS(硫化リチウム)、NaS(硫化ナトリウム)等が挙げられ、好ましくは硫化リチウムである。
硫化リチウムは、特に制限なく使用できるが、高純度のものが好ましい。硫化リチウムは、例えば、特開平7−330312号公報、特開平9−283156号公報、特開2010−163356号公報、特開2011−84438号公報、特開2011−136899号公報に記載の方法により製造することができる。
具体的に、炭化水素系有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを70℃〜300℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成できる(特開2010−163356号公報)。
また、水溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを10℃〜100℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成できる(特開2011−84438号公報)。
硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下であり、かつN−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下である。硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であると、溶融急冷法やメカニカルミリング法で得られる固体電解質は、ガラス状電解質(完全非晶質)となる。一方、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%を越えると、得られる電解質は、最初から結晶化物となるおそれがある。
また、N−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であると、N−メチルアミノ酪酸リチウムの劣化物がリチウムイオン電池のサイクル性能を低下させることがない。このように不純物が低減された硫化リチウムを用いると、高イオン伝導性電解質が得られる。
上述した特開平7−330312号公報及び特開平9−283156号公報に基づいて硫化リチウムを製造した場合、硫化リチウムが硫黄酸化物のリチウム塩等を含むため、精製することが好ましい。
一方、特開2010−163356号公報に記載の硫化リチウムの製法で製造した硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩等の含有量が非常に少ないため、精製せずに用いてもよい。
好ましい精製法としては、例えば、国際公開2005/40039号パンフレットに記載された精製法等が挙げられる。具体的には、上記のようにして得られた硫化リチウムを、有機溶媒を用い、100℃以上の温度で洗浄する。
(B)M'で表される化合物としては、P(三硫化二リン)、P(五硫化二リン)、SiS(硫化珪素)、Al(硫化アルミニウム)、GeS(硫化ゲルマニウム)、B(三硫化二砒素)、NaS(硫化ナトリウム)等が挙げられ、好ましくはPである。
五硫化二リン(P)は、工業的に製造され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。
(C)M''で表わされる化合物は、好ましくはM''がリチウム又はリンである化合物である。
ハロゲン元素を含む化合物である(C)M''で表わされる化合物は、具体的には、LiF,LiCl,LiBr,LiI,BCl,BBr,BI,AlF,AlBr,AlI,AlCl,SiF,SiCl,SiCl,SiCl,SiBr,SiBrCl,SiBrCl,SiI,PF,PF,PCl,PCl,PBr,PI,PCl,P,SF,SF,SF,S10,SCl,SCl,SBr,GeF,GeCl,GeBr,GeI,GeF,GeCl,GeBr,GeI,AsF,AsCl,AsBr,AsI,AsF,SeF,SeF,SeCl,SeCl,SeBr,SeBr,SnF,SnCl,SnBr,SnI,SnF,SnCl,SnBr,SnI,SbF,SbCl,SbBr,SbI,SbF,SbCl,PbF,PbCl,PbF,PbCl,PbBr,PbI,BiF,BiCl,BiBr,BiI,TeF,Te10,TeF,TeCl,TeCl,TeBr,TeBr,TeI、NaI,NaF,NaCl,NaBr等が挙げられ、好ましくLiCl,LiBr,LiI,PCl、PCl、PBr及びPBrであり、より好ましくはLiCl,LiBr,LiI及びPBrである。
尚、上記(C)成分に替えて、例えばPOClやPOBrのような(C)式で表される化合物の酸化物を用いることもできる。
式(1)の組成を有する固体電解質は、成分(C)が酸素元素を含まない化合物であっても、後述するガラス化促進剤を用いることによって、酸素元素を含む固体電解質とすることができる。
成分(A)、(B)及び(C)の配合比は、成分(C)のM''がリンであるかリン以外であるかで場合分けされるため、以下説明する。
(i)成分(C)のM''がリン以外の場合
例えば、成分(A):(B)のモル比は、65:35〜85:15であり、好ましくは(A):(B)=67:33〜83:17(モル比)であり、さらに好ましくは(A):(B)=67:33〜80:20(モル比)であり、最も好ましくは(A):(B)=72:28〜78:22(モル比)である。
また、このとき、成分(A)及び(B)のモル量の合計に対する(C)のモル量の比は、好ましくは50:50〜99:1であり、より好ましくは[(A)+(B)]:(C)=55:45〜97:3(モル比)であり、さらに好ましくは[(A)+(B)]:(C)=60:40〜96:4(モル比)であり、特に好ましくは[(A)+(B)]:(C)=70:30〜96:4(モル比)である。
(ii)成分(C)のM''がリンである場合
例えば、成分(A):(B)のモル比は60:40〜90:10であり、好ましくは(A):(B)=70:30〜90:10(モル比)であり、より好ましくは(A):(B)=72:28〜88:12(モル比)であり、さらに好ましくは(A):(B)=74:26〜86:14(モル比)であり、特に好ましくは(A):(B)=75:25〜85:15(モル比)であり、最も好ましくは、成分(A)が硫化リチウムであり、成分(B)五硫化二リンであって、(A):(B)=77:23〜83:17(モル比)である。
また、このとき、成分(A)及び(B)のモル量の合計に対する(C)のモル量の比は、好ましくは50:50〜99:1であり、より好ましくは[(A)+(B)]:(C)=80:20〜98:2(モル比)であり、さらに好ましくは[(A)+(B)]:(C)=85:15〜98:2(モル比)であり、特に好ましくは[(A)+(B)]:(C)=90:10〜98:2である。
尚、上記成分(A)、成分(B)やハロゲン元素を含む化合物である成分(C)の他に、ガラス転移温度を低減する化合物(ガラス化促進剤)を添加してもよい。
ガラス化促進剤としては、LiPO、LiSiO、LiGeO、LiBO、LiAlO、LiCaO、LiInO、NaPO、NaSiO、NaGeO、NaBO、NaAlO、NaCaO、NaInO等の無機化合物が挙げられる。
(2)ガラス状の固体電解質の製造方法
上記成分(A)〜(C)及び任意にガラス化促進剤等を用いて、以下の方法によりガラス状の固体電解質を製造することができる。
原料(例えば硫化ナトリウム、五硫化二リン、及びハロゲン化合物)を、上記配合比で混合し、溶融急冷法、メカニカルミリング法(以下、適宜「メカニカルミリング」を「MM」という。)、溶媒中で反応させる組成物法、固相法等のいずれかにより処理することにより、ガラス状の固体電解質を製造することができる。
以下、各製造方法について説明する。
(i)溶融急冷法
溶融急冷法は、原料を所定量混合し、所定温度で反応させた後、急速に冷却することによりガラス状の固体電解質を得る方法である。
例えば、乳鉢にて混合しペレット状にしたものを、カーボンコートした石英管中に入れ真空封入する。所定の反応温度で反応させた後、氷中に投入し急冷することにより、ガラス状の固体電解質が得られる。
反応温度は、好ましくは400℃〜1000℃、より好ましくは800℃〜900℃である。反応時間は、好ましくは0.1時間〜12時間、より好ましくは1〜12時間である。
上記反応物の急冷温度は、通常10℃以下、好ましくは0℃以下であり、その冷却速度は、通常1〜10000K/sec程度、好ましくは10〜10000K/secである。
(ii)メカニカルミリング法(MM法)
MM法は、原料を所定量混合し、機械的なエネルギーを与えることによりガラス状の固体電解質を得る方法である。機械的なエネルギーを与える方法は特に問わないが、例えば、各種ボールミルを例示することができる。
例えば、五硫化二燐(P)、硫化リチウム(LiS)及びハロゲン化合物を所定量乳鉢にて混合し、例えば、各種ボールミル等を使用して所定時間反応させることにより、ガラス状の固体電解質が得られる。
上記原料を用いたMM法は、室温で反応させることができる。そのため、原料の熱分解が起らず、仕込み組成のガラス状の固体電解質を得ることができるという利点がある。
また、MM法ではガラス状の固体電解質の製造と同時に、微粉末化できるという利点もある。
MM法には、回転ボールミル、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル等種々の形式を用いることができる。
MM法の条件としては、例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。
また、ボールミルのボールは異なる径のボールを混合して使用してもよい。
また、MM処理の際のミル内の温度を調整してもよい。
MM処理時の原料温度は、室温から200℃まで必要に応じて加熱してもよい。
(iii)固相法
固相法は、原料を混合し所定温度で加熱することによりガラス状の固体電解質を得る方法である。例えば、五硫化二燐(P)と硫化リチウム(LiS)、及びハロゲン化合物を所定量乳鉢にて混合し、100〜900℃の温度で加熱することにより、ガラス状の固体電解質が得られる。
(iv)接触法
接触法は、溶媒中で原料を接触させてガラス状の固体電解質を製造する方法である。
接触法によれば、メカニカルミリング装置のような特殊な設備を使用しなくともガラス状の固体電解質を製造できる。従って、安価に伝導性物質を製造することができる。また、メカニカルミリング処理をしないため、メカニカルミリング装置の壁面等が剥がれることによる不純物の発生を防止することができる。
また、メカニカルミリング装置を使用しないため、ボールとミル容器内に原料や固体電解質が付着するような欠点がない。
上記溶媒は、好ましくは有機溶媒であり、より好ましくは非プロトン性溶媒であり、さらに好ましくは炭化水素系有機溶媒である。
上記非プロトン性溶媒としては、非プロトン性有機溶媒(例えば、炭化水素系有機溶媒)、非プロトン性の極性有機化合物(例えばアミド化合物、ラクタム化合物、尿素化合物、有機イオウ化合物、環式有機リン化合物等)等が挙げられ、これらのうちいずれか1つを単独溶媒として、又はこれらのうちの2以上からなる混合溶媒として使用することができる。
上記炭化水素系溶媒としては、飽和炭化水素、不飽和炭化水素又は芳香族炭化水素が使用できる。
飽和炭化水素としては、ヘキサン、ペンタン、2−エチルヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン等が挙げられる。
不飽和炭化水素としては、ヘキセン、ヘプテン、シクロヘキセン等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、トルエン、キシレン、デカリン、1、2、3、4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。
炭化水素系溶媒としては、特にトルエン、キシレンが好ましい。
非プロトン性溶媒及び炭化水素系溶媒は、あらかじめ脱水されていることが好ましい。具体的には、水分含有量として100重量ppm以下が好ましく、特に30重量ppm以下であることが好ましい。
必要に応じて使用する溶媒に他の溶媒を添加してもよい。
当該他の溶媒の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エタノール、ブタノール等のアルコール類;酢酸エチル等のエステル類等;ジクロロメタン、クロロベンゼン、フッ化ヘプタン、フッ化ベンゼン、2、3−ジハイドロパーフルオロペンタン、1、1、2、2、3、3、4−ヘプタフルオロシクロペンタン等のフッ素系化合物等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。
上述の接触法で使用する溶媒は、後述する製造方法で使用する溶媒にも同様に使用することができる。
溶媒の量は、原料が、溶媒の添加により溶液又はスラリー状になる程度であることが好ましい。通常、溶媒1リットルに対する原料(合計量)の添加量は0.001Kg以上1Kg以下である。好ましくは0.005Kg以上0.5Kg以下、特に好ましくは0.01Kg以上0.3Kg以下である。
原料を溶媒中で接触させる方法は、特に限定されない。例えば、撹拌装置を有する容器内で原料と溶媒の混合物を撹拌させる方法が挙げられ、接触時に撹拌することが好ましい。
接触(反応)工程時の温度は、通常50℃以上300℃以下であり、好ましくは60℃以上250℃以下であり、より好ましくは70℃以上200℃以下である。
また、接触工程時の時間は、通常5分以上200時間以下、好ましくは10分以上100時間以下である。接触工程時の時間が5分未満であると反応が不十分のおそれがある。接触時間が短すぎると原料が残ってしまうおそれがある。
尚、温度や時間は、いくつかの条件をステップにして組み合わせてもよい。例えば、接触開始から1時間は100℃で接触させ、1時間後10時間までの間は150℃で加熱する等である。
接触工程は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましい。不活性ガスの露点は−20℃以下が好ましく、特に好ましくは−40℃以下である。圧力は、通常、常圧〜100MPaであり、好ましくは常圧〜20MPaである。
接触処理後、生成した固体部分と溶媒を分離してガラス状の固体電解質を回収する。分離は、デカンテーション、ろ過、乾燥等、又はこれら組み合わせ等、公知の方法で実施することができる。
(v)湿式メカニカルミリング法(湿式MM法)
湿式MM法は、原料を溶媒中でメカニカルミリング処理して製造する方法である。
湿式MM法は、溶媒を加えた状態でメカニカルミリング処理を施すことで、処理時の増粒効果を抑制し、合成反応を効率的に促進できる。これにより、均一性に優れ、未反応原料の含有率が低いガラス状の固体電解質を得ることができる。また、原料や反応物の器壁等への固着を防止することができ、製品の歩留を向上できる。
溶媒の量は、原料が、溶媒の添加により溶液又はスラリー状になる程度であることが好ましい。通常、溶媒1リットルに対する原料(合計量)の添加量は0.01Kg以上1Kg以下であり、好ましくは0.1Kg以上1Kg以下、特に好ましくは0.2Kg以上0.8Kg以下である。
湿式メカニカルミリング処理には、種々の形式の粉砕法を用いることができる。特に、遊星型ボールミルを使用するのが好ましい。
遊星型ボールミルは、ポットが自転回転しながら、台盤が公転回転し、非常に高い衝撃エネルギーを効率良く発生させることができる。また、ビーズミルも好ましい。
湿式メカニカルミリング処理の回転速度及び回転時間は特に限定されないが、回転速度が速いほど、ガラス状の固体電解質の生成速度は速くなり、回転時間が長いほどガラス状の固体電解質ヘの原料の転化率は高くなる。但し、メカニカルミリング処理の回転速度が速くすると粉砕機にかかる負担が大きくなるおそれがあり、回転時間を長くするとガラス状の電解質の製造に時間がかかる。
また、ボールミルのボールは異なる径のボールを混合して使用してもよい。
上記の他、MM処理の際のミル内の温度を調整してもよい。MM法の条件としては、例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。
溶媒の存在下でメカニカルミリング処理するため、処理時間を短縮できる。室温から200℃まで必要に応じて加熱してもよい。
メカニカルミリング処理後の結果物を乾燥し、溶媒を除去することにより、ガラス状の固体電解質が得られる。
(vi)スラリー合成法
スラリー合成法は、原料に溶媒中で力学的なエネルギーを与える力学的なエネルギー供与手段と、原料を溶媒中で接触させる接触手段と、力学的なエネルギー供与手段と接触手段を連結する連結手段と、連結手段を通して、原料及び/又は原料の反応物を力学的なエネルギー供与手段と接触手段との間を循環させる循環手段とを備える製造装置を用いてガラス状の固体電解質を製造する方法である。反応生成物を乾燥し、溶媒を除去することにより、ガラス状の固体電解質が得られる。
上記原料及び溶媒は、湿式メカニカルミリング法の原料及び溶媒と同様のものが使用できる。
スラリー合成法では、原料に溶媒を加えた状態で反応させる。溶媒を加えた状態で反応させることで、処理時の造粒効果を抑制し、合成反応を効率的に促進できる。これにより、均一性に優れ、未反応原料の含有率が低いガラス状の固体電解質を得ることができる。また、原料や反応物の器壁等への固着を防止することができ、製品の歩留を向上できる。
図1は、スラリー合成法で使用できる製造装置の一例を示す図である。
製造装置1は、原料を粉砕しつつ反応させてガラス状の固体電解質を合成する粉砕機(粉砕合成手段)10と、原料を反応させてガラス状の固体電解質を合成する反応槽(合成手段)20とを備える。反応槽20は容器22と撹拌翼24からなり、撹拌翼24はモータ(M)により駆動される。
粉砕機10には、粉砕機10内の温度保つために、粉砕機10の周りに温水を通すことのできるヒータ30(第1の温度安定手段)が設けられている。反応槽20は、反応槽20内の温度を保つために、オイルバス40(第2の温度安定手段)に入っている。オイルバス40は容器22内の原料と溶媒を所定温度に加熱する。反応槽20には気化した溶媒を冷却して液化する冷却管26が設けられる。
粉砕機10と反応槽20は、第1の連結管50と第2の連結管52(連結手段)で連結されている。第1の連結管50は、粉砕機10内の原料と溶媒を反応槽20に移動させ、第2の連結部52は、反応槽20内の原料及び溶媒を粉砕機10内に移動させる。原料等を連結管50、52を通して循環するために、ポンプ54(例えばダイアフラムポンプ)(循環手段)が、第2の連結管52に設けられている。
この装置1を用いて、ガラス状の固体電解質を製造するときは、溶媒と原料を、粉砕機10と反応槽20にそれぞれ供給する。ヒータ30には温水(HW)が入り排出される(RHW)。ヒータ30により粉砕機10内の温度を保ちながら、原料を溶媒中で粉砕しつつ反応させてガラス状の固体電解質を合成する。オイルバス40により反応槽20内の温度を保ちながら、原料を溶媒中で反応させてガラス状の固体電解質を合成する。反応槽20内の温度は温度計(Th)で測定する。このとき、撹拌翼24をモータ(M)により回転させて反応系を撹拌し、原料と溶媒からなるスラリーが沈殿しないようにする。冷却管26には冷却水(CW)が入り排出される(RCW)。冷却管26は、容器22内の気化した溶媒を冷却して液化し、容器22内に戻す。粉砕機10と反応槽20でガラス状の固体電解質を合成する間、ポンプ54により、反応中の原料は連結管50、52を通って、粉砕機10と反応槽20の間を循環する。粉砕機10に送り込まれる原料と溶媒の温度は、粉砕機10前の第2の連結管に設けられた温度計(Th)で測定する。
容器22内の反応温度は、例えば60℃以上300℃以下であり、好ましくは80℃以上200℃以下である。容器内の反応温度が60℃未満の場合、ガラス状の固体電解質の製造に時間がかかり生産効率が十分ではないおそれがある。一方、容器内の反応温度が300℃を超える場合、好ましくない結晶が析出する場合がある。
反応は温度が高い領域が速いので高温にすることが好ましいが、粉砕機を80℃を超える温度にすると磨耗等の機械的な問題が発生するおそれがある。従って、反応槽は反応温度を高めに設定し、粉砕機は比較的低温に保つとよい。
反応槽20の容量と粉砕機10の容量との比率は任意でよいが、通常反応槽20の容量は、粉砕機10の容量の1〜100倍程度である。
炭化系水素溶媒の量は、原料が、溶媒の添加により溶液又はスラリー状になる程度であることが好ましい。通常、溶媒1kgに対する原料(合計量)の添加量は0.03Kg以上1Kg以下程度となる。好ましくは0.05Kg以上、より好ましくは0.5Kg以下、特に好ましくは0.1Kg以上0.3Kg以下である。
(vii)メカニカルミリング法と接触法の交互実施
メカニカルミリング法と接触法の交互実施は、原料をメカニカルミリング処理する工程と、原料を溶媒中で接触させる接触工程とを含み、当該メカニカルミリング処理工程及び当該接触工程を交互に繰り返し行う方法である。
メカニカルミリング処理工程は、MM法で例示した種々の形式の粉砕法を用いることができる。また、メカニカルミリング処理工程の温度は、改良スラリー法の力学的なエネルギー供与手段(粉砕機10)の温度と同様である。
メカニカルミリング処理の回転速度及び回転時間は特に限定されないが、回転速度が速いほど、ガラス状の固体電解質の生成速度は速くなり、回転時間が長いほどガラス状の固体電解質ヘの原料の転化率は高くなる。例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を250回転/分以上300回転/分以下とし、5分以上50時間以下処理すればよい。
上記処理時間は、遊星型ボールミル機に原料及びガラス状の固体電解質が留まっている時間を示す。従って、原料及びガラス状の固体電解質が遊星型ボールミル機と反応槽を循環するが、反応開始から終了までに原料及びガラス状の固体電解質が遊星型ボールミル機に留まっている時間の合計になる。
上記時間が短いと未反応の原料が残るおそれがあると共に上記時間が長いと粉砕機の容量を大きくし、一度に収納できる原料及びガラス状の固体電解質の量を多くするか、下記する反応終了までの時間が長くなるという問題が発生するおそれがある。
接触工程については、スラリー合成法で例示した接触手段を用いることができる。また、接触工程の温度は、スラリー合成法の接触手段(容器22)における反応温度と同じである。
接触工程の時間は、5分以上200時間以下が好ましい。
ここで、上記接触工程の時間は、反応槽に原料及びガラス状の固体電解質が留まっている時間を示す。従って、原料及びガラス状の固体電解質が遊星型ボールミル機と反応槽を循環するが、反応開始から終了までに原料及びガラス状の固体電解質が反応槽に留まっている時間の合計になる。
上述したメカニカルミリング処理工程と接触工程を、交互に繰り返して行う。繰り返し回数は、2回以上100回以下が好ましい。より好ましくは繰り返し回数が5回以上100回以下であり、さらに好ましくは、10回以上100回以下である。
以上、ガラス状の固体電解質の製造方法を説明したが、上述の製造方法のいずれの場合であっても、原料を混ぜる順番(接触させる順番)は特に限定されず、最終的なガラス状の固体電解質の組成が上記式(1)を満たす範囲にあればよい。
得られる固体電解質(ガラス)の体積基準平均粒径(Mean Volume Diameter、以下「粒径」という。)は、好ましくは0.01μm以上500μm以下である。
粒径の測定方法は、レーザー回折式粒度分布測定方法により行うことが好ましい。レーザー回折式粒度分布測定方法は、組成物を乾燥せずに粒度分布を測定することができる。レーザー回折式粒度分布測定方法では、組成物中の粒子群にレーザーを照射して、その散乱光を解析することで粒度分布を測定する。
測定例として、レーザー回折式粒度分布測定装置(Malvern Instruments Ltd社製マスターサイザー2000)を使用した場合の測定を説明する。
まず、装置の分散槽に脱水処理されたトルエン(和光純薬製、製品名:特級)110mlを入れ、さらに分散剤として脱水処理された分散剤を6%添加する。
上記混合物を十分混合した後、測定対象である「乾燥した固体電解質又はその前駆体」を添加して粒子径を測定する。測定対象の添加量は、マスターサイザー2000で規定されている操作画面で、粒子濃度に対応するレーザー散乱強度が規定の範囲内(10〜20%)に収まるように加減して加える。この範囲を超えると多重散乱が発生し、正確な粒子径分布を求めることができなくなるおそれがある。また、この範囲より少ないとSN比が悪くなり、正確な測定ができないおそれがある。マスターサイザー2000では、測定対象の添加量に基づき、レーザー散乱強度が表示されるので、上記レーザー散乱強度に入る添加量を見つけるとよい。
測定対象の添加量はイオン伝導性物質の種類等により最適量は異なるが、概ね0.01g〜0.05g程度である。
固体電解質(ガラス)は、下記測定方法により2つの発熱ピーク(結晶化ピーク)が観察されることが好ましく、2つの結晶化ピークが150℃以上360℃以下の範囲にあることがより好ましく、また、2つの結晶化ピーク間の幅が20〜150℃、好ましくは20〜100℃であることが好ましい。
結晶化温度(ピーク)は、示差熱−熱重量測定装置(メトラートレド社製TGA/DSC1)又は示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製Diamond DSC)を使用し、固体電解質約20mgを10℃/分で測定することで特定できる。
また、固体電解質(ガラス)は、2つの結晶化ピークがあり、2つの結晶化ピークが170℃以上330℃以下の範囲にあり、かつ2つの結晶化ピーク間の幅が20〜150℃であることがさらに好ましい。
また、2つの結晶化ピークが170℃以上330℃以下の範囲にあることがさらに好ましく、また2つの結晶化ピーク間の幅が30〜140℃であることがさらに好ましい。
また、固体電解質(ガラス)は、2つの結晶化ピークがあり、2つの結晶化ピークが175℃以上320℃以下の範囲にあり、かつ2つの結晶化ピーク間の幅が30〜140℃であることが特に好ましい。
また、2つの結晶化ピークが175℃以上320℃以下の範囲にあることが特に好ましく、また、2つの結晶化ピーク間の幅が35〜130℃であることが特に好ましい。また、固体電解質は、2つの結晶化ピークがあり、2つの結晶化ピークが180℃以上310℃以下の範囲にあり、かつ2つの結晶化ピーク間の幅が40〜120℃であることが最も好ましい。
本発明の固体電解質粉体ガラスの結晶化は、上記ガラス状の固体電解質を加熱処理することにより得られる。
加熱温度は、好ましくは、固体電解質(ガラス)のガラス転移温度(Tg)以上、固体電解質(ガラス)の結晶化温度(Tc)+100℃以下であることが好ましい。加熱温度が固体電解質(ガラス)のTg未満の場合、製造時間が非常に長くなるおそれがある。一方、(Tc+100℃)を超えると、得られる固体電解質(ガラスセラミックス)中に不純物等が含まれる場合があり、イオン伝導度が低下するおそれがある。
加熱温度は、より好ましくは、(Tg+5℃)以上、(Tc+90℃)以下、さらに好ましくは、(Tg+10℃)以上、(Tc+80℃)以下である。
例えば、加熱温度は、150℃以上360℃以下であり、好ましくは160℃以上350℃以下であり、より好ましくは180℃以上310℃以下であり、さらに好ましくは180℃以上290℃以下であり、特に好ましくは190℃以上270℃以下である。
また、熱物性の測定により2つのピークがある場合は、低温側の第1結晶化ピークの温度をTc1とし、低温側のTc1と高温側の第2結晶化ピークの温度(Tc2)として、第1結晶化温度以上、第2結晶化温度以下で加熱すると好ましい。
昇温方法については特に指定がない。所定温度までゆっくり昇温してもよいし、急速に加熱してもよい。
ガラス状の固体電解質の結晶化温度は、示差熱−熱重量測定等で特定することができ、例えば熱重量測定装置(メトラートレド社製TGA/DSC1)を使用し、ガラス状の固体電解質約20mgを、昇温速度10℃/分で加熱することにより測定することで特定できる。
尚、結晶化温度等は昇温速度等により変化することあり、熱処理する昇温速度に近い速度での測定でのTcを基準に選ぶ必要がある。従って、実施例以外の昇温速度で処理する場合は、最適な熱処理温度は変化するが、熱処理する昇温速度で測定されたTcを基準として上記条件にて熱処理することが望ましい。
加熱時間は、0.005分以上、10時間以下が好ましい。さらに好ましくは、0.005分以上、5時間以下であり、特に好ましくは、0.01分以上、3時間以下である。
昇温方法については特に指定がない。所定温度までゆっくり昇温してもよいし、急速に加熱してもよい。
加熱は、露点−40℃以下の環境下で行うことが好ましく、より好ましくは露点−60℃以下の環境下で行うことが好ましい。加熱時の気圧は、常圧であってもよく、減圧下であってもよい。雰囲気は、空気中であってもよく、不活性雰囲気下であってもよい。
[バインダー]
本発明で用いるバインダーは、式(1)で示される繰返単位及び式(2)で示される繰返単位を有する。式(1)で示される繰返単位はフッ化ビニリデンに基づく重合単位(VDF)であり、式(2)で示される繰返単位はヘキサフルオロプロピレンに基づく重合単位(HFP)である。
Figure 2015002053
mは、一分子中の式(1)で示される繰返単位の数、nは一分子中の式(2)で示される繰返単位の数を示す。m、nは下記式(A)を満たす。
m:n=50〜90:50〜10・・・(A)
nが10%未満であるとニトリル溶媒に溶解することができないおそれがある。nが50%より大きいとVDFの特性が発揮されず、密着性が乏しくなるおそれがある。
より好ましくは、m:n=80〜90:20〜10である。
バインダー分子の数平均分子量は、1,000〜100,000であることが好ましい。
[ニトリル溶媒]
ニトリル溶媒は下記式(3)で示される。
Figure 2015002053
式(3)中、Rは炭素数1〜13の炭化水素からなる主鎖及び炭素数1〜13の炭化水素からなる側鎖を有する基、又は炭素数3〜7の環状構造を有する基であり、これらは飽和でも不飽和であってもよく、官能基を含んでいてもよい。
上記炭素数3〜7の環状構造を有する基の環状構造は、好ましくは芳香環構造であり、環状構造の炭素数は好ましくは5又は6である。炭素数3〜7の環状構造を有する基は、より好ましくはフェニル基である。
官能基は、エーテル、カルボニル、カルボキシル、ヒドロキシ、チオ、チオール、チオキシ、スルホ、ニトリル、ニトロ、ニトロソ、アゾ、アミド、イミド、アミノ、イミノ又はハロゲンであり、好ましくは、チオ、チオール、ニトリルである。
上記ニトリル溶媒は上記固体電解質を劣化させず、また、上記バインダーの溶解性や固体物分散性が良好である。
式(3)で示されるニトリル溶媒は、好ましくは分岐構造を有する炭素数3もしくは4の炭化水素鎖、又は六員環構造を含む化合物であり、具体的には、イソブチロニトリル、イソバレロニトリル及びベンゾニトリル等が挙げられる。
[各成分の割合]
本発明の組成物は、下記式を満たすことが好ましい。
0.5≦100×x/y≦50
x:組成物中のバインダーの重量
y:組成物中のバインダーの重量+組成物中のバインダー以外の固形分の重量
100×x/yが0.5未満であると、製造した電極層の強度が低くなるおそれがある。
100×x/yが50より大きいと、電子伝導及びイオン伝導度が無いバインダーが、製造した電極中の活物質、硫化物系電解質、又はその両方の表面を覆ってしまい電気化学反応を疎外し電池性能を低下させるおそれがある。
本発明の組成物は、より好ましくは下記式を満たす。
1≦100×x/y≦10
また、本発明の組成物は、活物質を含む場合、組成物中の活物質粒子の重量をA、同硫化物系固体電解質粒子の重量をBとしたときに、Bに対するAの比率(A/B)は1〜9であることが好ましく、特に、5〜8であることが好ましい。
また、yと使用溶媒の重量の合計をzとしたときに、zに対する上記yの比率(y/z)が0.1〜0.9であることが好ましく、特に、0.4〜0.7であることが好ましい。
本発明の組成物は、上記の各成分を混合し粉砕することにより製造することができる。
この際、予め上記バインダーをニトリル溶媒の一部に溶解させて、これと上記組成物の残りの成分を混合してもよい。
また、本発明の組成物は、ハロゲン含有硫化物系固体電解質、バインダー及びニトリル溶媒以外に他の成分を含んでもよいし、実質的にハロゲン含有硫化物系固体電解質、バインダー及びニトリル溶媒のみからなっていてもよい。
本発明において「実質的」とは、組成物の90重量%以上100重量%以下(好ましくは95重量%以上100重量%以下)がハロゲン含有硫化物系固体電解質、バインダー及びニトリル溶媒であることを意味する。
上記のように、組成物は、実質的にハロゲン含有硫化物系固体電解質、バインダー及びニトリル溶媒からなり、本発明の効果を損なわない範囲で他に不可避不純物を含んでいてもよい。
[リチウムイオン電池]
本発明のリチウムイオン電池は、正極、固体電解質層及び負極を含む。
本発明の第1のリチウムイオン電池は、本発明の固体電解質組成物を用いて製造した電極、及び本発明の固体電解質組成物を用いて製造した電解質層のうち少なくとも1つを備える。
電極、電解質層は、本発明の固体電解質組成物を用いて、例えば塗布法により製造できる。この場合、層を別々に形成し、貼り合せ、接合してもよいし、積層構造を連続的に形成してもよい。
本発明の固体電解質組成物を用いて電極を製造する場合、通常、固体電解質組成物に活物質粒子を加える。
正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵、放出可能な公知の物質が使用できる。正極活物質は、1種類又は2種類以上の混合物で使用してもよい。
具体的には、LiMO(M=Co,Ni,Mn)、LiNiMnCo(0≦a<1、0≦b<1、0≦c<1、a+b+c=1)、LiMPO(M=Fe,Mn,Co,Ni)、LiNiMn(0≦a<2、0<b≦2、a+b=2)、LiNiCoAl(0≦a<1、0≦b<1、0≦c<1、a+b+c=1)、LiMnO等である、Liとの複合酸化物;V、MnO等のような酸化物;ビスムチオール、2−アミノ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール等の有機スルフィド化合物;S、TiS、CuS、MoS、FeS、LiS等のような硫黄単体又は硫化物が挙げられる。
上記の正極活物質には、炭素材料を混合してもよい。
負極活物質としては、リチウムイオンの挿入脱離が可能な物質、電池分野において負極活物質として公知のものが使用できる。
例えば、炭素材料、具体的には、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、フルフリルアルコール樹脂焼成炭素、ポリアセン、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、天然黒鉛及び難黒鉛化性炭素等が挙げられ、その混合物でもよい。好ましくは、人造黒鉛である。
また、金属リチウム、金属インジウム、金属アルミ、金属ケイ素等の金属自体や他の元素、化合物と組み合わせた合金を、負極材として用いることができる。
活物質の粒径は、0.01μm以上50μm以下であることが好ましい。0.01μm未満であるとハンドリングが困難になるおそれがある。50μmより大きいと硫化物系固体電解質との接触面積が小さくなり、イオン伝導性が低くなるおそれがある。より好ましくは、活物質の粒径は1μm以上30μm以下である。
本発明の第2のリチウムイオン電池は、電極及び電解質層のうち少なくとも1つがバインダー及びハロゲン含有硫化物系固体電解質粒子を含む。
バインダー及びハロゲン含有硫化物系固体電解質粒子は、上記と同じものを用いることができる。
本発明の第2のリチウムイオン電池は、本発明の固体電解質組成物を用いて第1のリチウムイオン電池と同様に製造することができる。
製造例1
[硫化リチウムの製造]
硫化リチウムは、特開平7−330312号公報における第1の態様(2工程法)の方法に従って製造した。具体的には、撹拌翼のついた10リットルオートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpm、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。
続いてこの反応液を窒素気流下(200cc/分)昇温し、反応した水硫化リチウムを脱硫化水素化し硫化リチウムを得た。昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。水硫化リチウムの脱硫化水素反応が終了後(約80分)に反応を終了し、硫化リチウムを得た。
[硫化リチウムの精製]
上記で得られた500mLのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。さらにNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、その温度のままNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。得られた硫化リチウム中の不純物含有量を測定した。
亜硫酸リチウム(LiSO)、硫酸リチウム(LiSO)、チオ硫酸リチウム(Li)の各硫黄酸化物、及びN−メチルアミノ酪酸リチウム(NMAB)の含有量は、イオンクロマトグラフ法により定量した。その結果、硫黄酸化物の総含有量は0.13質量%であり、LMABは0.07質量%であった。このようにして精製したLiSを、以下の実施例で使用した。
製造例2
[固体電解質ガラスセラミックスの製造]
製造例1で製造した平均粒径30μm程度のLiS 32.54gと平均粒径50μm程度のP(アルドリッチ社製)67.46gを10mmφアルミナボール175個が入った500mlアルミナ製容器に入れ密閉した。上記計量、密閉作業は全てグローブボックス内で実施し、使用する器具類は全て乾燥機で事前に水分除去したものを用いた。
この密閉したアルミナ容器を、遊星ボールミル(レッチェ社製PM400)にて室温下、36時間メカニカルミリング処理することで白黄色の固体電解質ガラス粒子を得た。このときの回収率は78%であった。
得られた固体電解質ガラス粒子のX線回折測定(CuKα:λ=1.5418Å)を行なった結果、原料LiSのピークは観測されず、固体電解質ガラスに起因するハローパターンであった。
上記固体電解質ガラス粒子をグローブボックス内Ar雰囲気下でSUS製チューブに密閉し、300℃、2時間の加熱処理を施し電解質ガラスセラミックス(硫化物系固体電解質:平均粒径14.52μm)を得た。このガラスセラミックス粒子のX線回折測定では、2θ=17.8、18.2、19.8、21.8、23.8、25.9、29.5、30.0degにピークが観測された。
このガラスセラミック粒子の伝導度は、1.3×10−3S/cmであった。上述したレーザー回折式粒度分布測定により測定した。
製造例3
[ハロゲン含有硫化物系固体電解質ガラスセラミックスの製造]
製造例2において、原料を、製造例1で製造した平均粒径30μm程度のLiS 33.3g、P(アルドリッチ社製)53.2g及び臭化リチウム(アルドリッチ社製)14.0gとした以外は、製造例2と同様にして固体電解質ガラス粒子を得た。このときの回収率は80%であった。
得られた固体電解質ガラス粒子のX線回折測定(CuKα:λ=1.5418Å)を行なった結果、原料LiSのピークは観測されず、固体電解質ガラスに起因するハローパターンであった。
得られた固体電解質ガラス粒子をグローブボックス内Ar雰囲気下でSUS製チューブに密閉し、230℃、2時間の加熱処理を施し電解質ガラスセラミックス(硫化物系固体電解質:平均粒径50μm)を得た。このガラスセラミックス粒子の伝導度は、1.7×10−3S/cmであった。
実施例1
(1)電極の作製
PVDF−HFP(バインダー:アルケマ製、KYNAR2750−01,HFP配合率(モル比)15%)2.0gをイソブチロニトリル(東京化成工業(株)製)18.0gに80℃で加熱溶解させたものをPVDF−HFPバインダー溶液として用いた。
遊星ボールミルのポットに、製造例3で製造したハロゲン含有硫化物系固体電解質ガラスセラミックス6.15g、上記のPVDF−HFPバインダー溶液5.25g、イソブチロニトリル9.27gを投入し、370rpmで2.0時間ミリングを行なった。さらに正極活物質であるLiNi0.8Co0.15Al0.05(戸田工業株式会社製)を14.35g添加し、150rpmで5分間ミリングを行なった。
得られた電極スラリーを集電板であるアルミ箔上にドクターブレードを用いて塗布し、風乾、加熱減圧乾燥を行い、電極シートを得た。
尚、表1に記載した電極スラリーのバインダー量(wt%)は、100×x/yに従う。xは電極スラリー中のバインダーの重量、yは電極スラリー中のバインダーの重量と電極スラリー中のバインダー以外の固形分の重量を足した値である。
バインダー以外の固形分とは、電解質ガラスセラミックス(電解質ガラスセラミックスでなく電解質ガラスを使用している場合には電解質ガラス)と正極活物質を意味する。
尚、上記正極活物質LiNi0.8Co0.15Al0.05の体積基準平均粒径は、5μmであった。
この電極を所定の大きさに切り出し、180°に折り曲げたところ、電極が集電体から剥がれず集電体との密着性が良好であることが分かった。また、電極上の合剤部分の厚みは50μmであった。
(2)固体電解質シートの作製
遊星ボールミルのポットに、製造例3で製造したハロゲン含有硫化物系固体電解質ガラスセラミックス粒子7.76g、上記のPVDF−HFPバインダー溶液2.40g、及びイソブチロニトリル9.84gを仕込み、370rpmで2.0時間ミリングを行なった。得られた固体電解質スラリーを、上記正極合材シート上へドクターブレードを用いて塗布し、正極・固体電解質2層シートを得た。
表1に記載した固体電解質スラリーのバインダー量(wt%)は、上記(1)と同様に100×x/yである。
この電極・固体電解質2層シートを所定の大きさに切り出し、180°に折り曲げたところ、合剤が集電体から剥がれず集電体との密着性が良好であり、かつ電解質層が電極から剥離せず電解質層と電極との密着性が良好であることが分かった。固体電解質層の厚みは100μmであった。
また、上記で製造した固体電解質スラリーを集電体上へドクターブレードを用いて塗布、風乾、加熱減圧乾燥を行い、固体電解質シートを得た。
この固体電解質シートを所定の大きさに切り出し、180°に折り曲げたところ、電解質層が集電体から剥離せず電解質層と集電体との密着性が良好であることが分かった。固体電解質層の厚みは100μmであった。
(3)電池の作製
作製した電極・固体電解質層2層シートを直径16mmで打抜き、ダイス鋼SKD11製の直径16.5mm円筒金型に投入し、68MPa加圧してペレットを作製した。さらに作用極の反対側の電解質層に接するように対極及び参照極として直径16mmで打ち抜いた0.2mm厚のIn箔(レアメタリック社製)と0.2mm厚のLi箔(本荘ケミカル製)とを貼り合わせ、2032サイズのコインセルに収容し電池とした。
(4)充放電試験
電流密度を0.1mA/cmとしたときの初期の充電量及び放電量を測定した。結果を表1に示す。
比較例1
電極シート及び固体電解質シートの作製において、製造例3のハロゲン含有硫化物系固体電解質ガラスセラミックスの替わりに、製造例2の固体電解質ガラスセラミックスを用いた以外は、実施例1と同様に電極等を作製し、評価した。結果を表1に示す。
実施例2
活物質粒子をLiNi1/3Mn1/3Co1/3(田中化学研究所製:粒径は50%Dが5μm)とし、電極スラリーにおけるバインダーの添加量が表1に示す量になるようにPVDF−HFPバインダー溶液の添加量を変更した他は、実施例1と同様にして電極等を作製し、評価した。結果を表1に示す。
尚、電極上の合剤部分の厚みは48μmであった。
比較例2
電極シート及び固体電解質シートの作製に用いた製造例3のハロゲン含有硫化物系固体電解質ガラスセラミックスの替わりに、製造例2の固体電解質ガラスセラミックスを用いた以外は、実施例2と同様に電極等を作製し、評価した。結果を表1に示す。
実施例3
活物質粒子として、単体硫黄S(出光興産(株)製:粒径は50%Dが3μm)とAB(アセチレンブラック:電気化学工業製デンカブラック)を50:50(重量比)で混合したものとし、電極スラリーにおけるバインダーの添加量が表1に示す量になるようにPVDF−HFPバインダー溶液の添加量を変更した他は、実施例1と同様にして電極等を作製し、評価した。結果を表1に示す。
尚、電極上の合剤部分の厚みは60μmであった。
比較例3
電極シート及び固体電解質シートの作製に用いた製造例3のハロゲン含有硫化物系固体電解質ガラスセラミックスの替わりに、製造例2の固体電解質ガラスセラミックスを用いた以外は、実施例3と同様に電極等を作製し、評価した。結果を表1に示す。
実施例4
活物質粒子として、ケイ素(高純度化学製:粒径は50%Dが5μm)、AB(電気化学工業製デンカブラック)を95:5(重量比)で混合したものとし、電極スラリーにおけるバインダーの添加量が表1に示す量となるようにPVDF−HFPバインダー溶液の添加量を変更した他は、実施例1と同様にして電極等を作製し、評価した。結果を表1に示す。
尚、電極上の合剤部分の厚みは30μmであった。
比較例4
電極シート及び固体電解質シートの作製に用いた製造例3のハロゲン含有硫化物系固体電解質ガラスセラミックスの替わりに、製造例2の固体電解質ガラスセラミックスを用いた以外は、実施例4と同様に電極等を作製し、評価した。結果を表1に示す。
尚、表1の「電極層密着性」において「○」は、180°の折り曲げで集電体から剥がれず、破損がなく、密着性に優れることを示す。また、「固体電解質層密着性」において「○」は、180°の折り曲げで集電体及び電極から剥離せず破損がなく、電極層との密着性及び集電体との密着性の両方に優れることを示す。
Figure 2015002053
本発明の組成物は、リチウムイオン電池の作製に用いることができる。本発明のリチウムイオン電池は、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭用小型電力貯蔵装置、モーターを電力源とする自動二輪車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車等の電池として用いることができる。
1 固体電解質製造装置
10 撹拌機
20 反応槽
22 容器
24 撹拌翼
26 冷却管
30 ヒータ(第1の温度安定手段)
40 オイルバス(第2の温度安定手段)
50 第1の連結管(連結手段)
52 第2の連結管(連結手段)
54 ポンプ(循環手段)

Claims (6)

  1. ハロゲン含有硫化物系固体電解質、
    下記式(1)で表わされる繰返単位及び下記式(2)で表わされる繰返単位を有し、下記式(A)を満たすバインダー、及び
    下記式(3)で表わされるニトリル溶媒を含む
    固体電解質組成物。
    Figure 2015002053
    m:n=50〜90:50〜10・・・(A)
    (式(A)中、mは前記バインダー一分子中の式(1)で表わされる繰返単位の数、nは式(2)で表わされる繰返単位の数である。)
    Figure 2015002053
    (式(3)中、Rは炭素数1〜13の炭化水素からなる主鎖及び炭素数1〜13の炭化水素からなる側鎖を有する基、又は炭素数3〜7の環状構造を有する基であり、これらは飽和でも不飽和であってもよく、官能基を含んでいてもよい。
    前記官能基は、エーテル、カルボニル、カルボキシル、ヒドロキシ、チオ、チオール、チオキシ、スルホ、ニトリル、ニトロ、ニトロソ、アゾ、アミド、イミド、アミノ、イミノ又はハロゲンである。)
  2. 前記ハロゲン含有硫化物系固体電解質がLi、P、S、及びハロゲン元素を含む請求項1に記載の固体電解質組成物。
  3. 前記ニトリル溶媒が炭素数3もしくは4の炭化水素鎖、又は六員環構造を含む化合物である請求項1又は2に記載の固体電解質組成物。
  4. 前記ニトリル溶媒がイソブチロニトリル、イソバレロニトリル、又はベンゾニトリルである請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解質組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解質組成物を用いて製造した電極、及び
    請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解質組成物を用いて製造した電解質層のうち少なくとも1つを備えるリチウムイオン電池。
  6. 電極及び電解質層のうち少なくとも1つがバインダー及びハロゲン含有硫化物系固体電解質粒子を含み、前記バインダーが式(1)で示される繰返単位及び式(2)で示される繰返単位を有し、下記式(A)を満たすリチウムイオン電池。
    Figure 2015002053
    m:n=50〜90:50〜10・・・(A)
    (式(A)中、mは前記バインダー一分子中の式(1)で表わされる繰返単位の数、nは式(2)で表わされる繰返単位の数である。)
JP2013125538A 2013-06-14 2013-06-14 固体電解質組成物 Pending JP2015002053A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013125538A JP2015002053A (ja) 2013-06-14 2013-06-14 固体電解質組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013125538A JP2015002053A (ja) 2013-06-14 2013-06-14 固体電解質組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015002053A true JP2015002053A (ja) 2015-01-05

Family

ID=52296480

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013125538A Pending JP2015002053A (ja) 2013-06-14 2013-06-14 固体電解質組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015002053A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016139512A (ja) * 2015-01-27 2016-08-04 富士フイルム株式会社 全固体二次電池、これに用いる固体電解質組成物および電池用電極シートならびに電池用電極シートおよび全固体二次電池の製造方法
CN110098408A (zh) * 2018-01-31 2019-08-06 松下知识产权经营株式会社 电极合剂、电池、以及电极的制造方法
CN112424974A (zh) * 2019-06-21 2021-02-26 Imec非营利协会 固体电解质、电极、蓄电元件及固体电解质的制造方法
CN112424974B (zh) * 2019-06-21 2024-05-31 Imec非营利协会 固体电解质、电极、蓄电元件及固体电解质的制造方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012048971A (ja) * 2010-08-26 2012-03-08 Toyota Motor Corp 硫化物固体電解質材料、正極体およびリチウム固体電池
JP2012151096A (ja) * 2010-12-09 2012-08-09 Idemitsu Kosan Co Ltd リチウム二次電池電極用スラリー組成物及びそれを用いた電池
JP2012204114A (ja) * 2011-03-25 2012-10-22 Idemitsu Kosan Co Ltd リチウム二次電池電極用スラリー組成物及びそれを用いた電池
JP2013016423A (ja) * 2011-07-06 2013-01-24 Toyota Motor Corp 硫化物固体電解質材料、リチウム固体電池、および、硫化物固体電解質材料の製造方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012048971A (ja) * 2010-08-26 2012-03-08 Toyota Motor Corp 硫化物固体電解質材料、正極体およびリチウム固体電池
JP2012151096A (ja) * 2010-12-09 2012-08-09 Idemitsu Kosan Co Ltd リチウム二次電池電極用スラリー組成物及びそれを用いた電池
JP2012204114A (ja) * 2011-03-25 2012-10-22 Idemitsu Kosan Co Ltd リチウム二次電池電極用スラリー組成物及びそれを用いた電池
JP2013016423A (ja) * 2011-07-06 2013-01-24 Toyota Motor Corp 硫化物固体電解質材料、リチウム固体電池、および、硫化物固体電解質材料の製造方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016139512A (ja) * 2015-01-27 2016-08-04 富士フイルム株式会社 全固体二次電池、これに用いる固体電解質組成物および電池用電極シートならびに電池用電極シートおよび全固体二次電池の製造方法
CN110098408A (zh) * 2018-01-31 2019-08-06 松下知识产权经营株式会社 电极合剂、电池、以及电极的制造方法
EP3522265A1 (en) * 2018-01-31 2019-08-07 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Electrode mixture, battery, and method for producing electrode
JP2019133923A (ja) * 2018-01-31 2019-08-08 パナソニックIpマネジメント株式会社 電極合剤、電池及び電極の製造方法
JP7117568B2 (ja) 2018-01-31 2022-08-15 パナソニックIpマネジメント株式会社 電極合剤、電池及び電極の製造方法
US11876216B2 (en) 2018-01-31 2024-01-16 Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. Electrode mixture, battery, and method for producing electrode
CN112424974A (zh) * 2019-06-21 2021-02-26 Imec非营利协会 固体电解质、电极、蓄电元件及固体电解质的制造方法
CN112424974B (zh) * 2019-06-21 2024-05-31 Imec非营利协会 固体电解质、电极、蓄电元件及固体电解质的制造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6139864B2 (ja) 固体電解質成形体及びその製造方法、並びに全固体電池
JP5841384B2 (ja) 負極合材及びそれを用いた全固体リチウムイオン電池
JP5721494B2 (ja) リチウム二次電池電極用スラリー組成物及びそれを用いた電池
JP6145091B2 (ja) イオン伝導性物質の製造方法、イオン伝導性物質、結晶化イオン伝導性物質及び電池
JP6259617B2 (ja) 固体電解質の製造方法
JP6181989B2 (ja) 全固体電池の製造方法
JP5485716B2 (ja) リチウムイオン伝導性固体電解質の製造方法
JP2016134316A (ja) 固体電解質
WO2014073197A1 (ja) 固体電解質
JP2008004459A (ja) 固体電解質微粒子及びその製造方法
JP2010033732A (ja) リチウム電池用被コーティング固体電解質、及びそれを用いた全固体二次電池
JP2015002052A (ja) 正極合材及びそれを用いた固体リチウム電池
JP6073107B2 (ja) 固体電解質
JP2014086222A (ja) 二次電池の製造方法
JP2017199631A (ja) 硫化物固体電解質、電極合材及びリチウムイオン電池
JP5864993B2 (ja) 複合電極材料及びその製造方法、並びに該複合電極材料を用いたリチウム電池
JP6118521B2 (ja) 硫化物系固体電解質を含む電極層、硫化物系固体電解質を含む電解質層及びそれらを用いた全固体電池
JP2014192093A (ja) 負極合材
JP5921492B2 (ja) 負極合材、電極及びリチウムイオン電池
JP2014028717A (ja) 固体電解質
JP6181988B2 (ja) 全固体電池の製造方法
JP2013069415A (ja) 負極合材及びそれを用いた全固体リチウムイオン電池
JP6212592B2 (ja) 負極合材、電極及びリチウムイオン電池
JP6373417B2 (ja) 固体電解質
JP2015002053A (ja) 固体電解質組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160527

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170221

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20171003