JP6518745B2 - 結晶化固体電解質 - Google Patents

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Description

本発明は、固体電解質に関する。
全固体電池の分野において、従来から、硫化物系固体電解質材料が知られている。例えば、特許文献1には、LiSとPを特定のモル比(68:32〜73:27)で混合し、それをメカニカルミリング処理し、熱処理を施すことで、高いイオン伝導度(〜2×10−3S/cm)を有するガラスセラミクス電解質粒子が得られることが報告されている。しかしながら、本材料は加水分解しやすく(水と接触し、硫化水素を発生する)、高露点環境での使用に制限がある。
この加水分解性を抑制する技術が特許文献2に提案されている。しかしながら、本技術では加水分解性が低減する代わりにイオン伝導度が大きく低下するという問題がある。
特開2005−228570号公報 特開2010−199033号公報
本発明は、加水分解しにくく、高いイオン伝導度を有する固体電解質を提供することを課題とする。
本発明によれば、以下の固体電解質等が提供される。
1.構成成分として、アルカリ金属元素、リン、硫黄及びハロゲンを含む固体電解質。
2.前記アルカリ金属元素がリチウムである1に記載の固体電解質。
3.P−NMRスペクトルにおいて、75.0ppm以上80.0ppm以下であるピーク領域にピークを有する1又は2に記載の固体電解質。
4.31P−NMRスペクトルにおいて、86.0ppm以上92.0ppm以下であるピーク領域にピークを有する1〜3のいずれかに記載の固体電解質。
5.31P−NMRスペクトルにおいて、75.0ppm以上80.0ppm以下である第一ピーク領域に第一ピークを有し、
前記第一ピーク領域、及び86.0ppm以上92.0ppm以下の領域である第二ピーク領域以外の領域にあるピークの強度比が、前記第一ピークに対し0.5以下である1〜4のいずれかに記載の固体電解質。
6.前記第一ピーク領域及び第二ピーク領域に、それぞれピークを有する5に記載の固体電解質。
7.前記第一ピーク(I)に対する、前記第二ピーク領域にある第二ピーク(I)のピーク強度比(I/I)が1〜10である6に記載の固体電解質。8.イオン伝導度が5×10−4S/cm以上である5〜7のいずれかに記載の固体電解質。
9.加水分解試験による硫化水素濃度平均値が200ppm以下である5〜8のいずれかに記載の固体電解質。
10.イオン伝導度が3×10−4S/cm以上である1〜4のいずれかに記載の固体電解質。
11.加水分解試験による硫化水素濃度平均値が200ppm以下である1〜4、10のいずれかに記載の固体電解質。
12.下記式(A’)に示す組成を有する1〜11のいずれかに記載の固体電解質。
…(A’)
(式中、Lはアルカリ金属を示し、MはB,Al,Si,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,PbもしくはBi、又はこれらの組合せを示し、XはI,Cl,BrもしくはF又はこれらの組合せを示す。a〜eは、0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1,0<d≦9、0<e≦9を満たす。)
13.前記bが0である12に記載の固体電解質。
14.前記dが4である12に記載の固体電解質。
15.前記Xが、I、Br又はClである12〜14のいずれかに記載の固体電解質。
16.結晶構造を有する12〜15のいずれかに記載の固体電解質。
17.前記Xが、Br又はClであり、非晶質である12〜14のいずれかに記載の固体電解質。
18.硫化リチウムと硫化リン、硫黄とリン、硫化リンと硫黄、又は硫化リンと硫黄とリンと、
下記式(E’)で表される化合物と、
を原料とする12〜17のいずれかに記載の固体電解質。
…(E’)
(式中、MはLi,B,Al,Si,P,S,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Pb又はBiを示し、XはF,Cl,Br又はIを示す。wは1〜2の整数を示し、xは1〜10の整数を示す。)
19.前記MがPであり、前記XがBr、I又はClである18に記載の固体電解質。
20.前記MがLiであり、前記XがBr、I又はClである18に記載の固体電解質。
21.非晶質であり、示差熱−熱重量測定において、結晶化ピークを2つ有する12〜15、17〜20のいずれかに記載の固体電解質。
22.前記2つの結晶化ピークが150℃以上360℃以下の範囲にある21に記載の固体電解質。
23.前記2つの結晶化ピーク間の幅が20〜100℃である21又は22に記載の固体電解質。
24.非晶質である12〜15、17〜23のいずれかに記載の固体電解質を150℃以上360℃以下で加熱することにより得られる固体電解質。
25.上記21〜23のいずれかに記載の固体電解質を、前記2つの結晶化ピークで示される温度の間の温度で加熱して得られる固体電解質
8.上記1〜4,10〜25のいずれかに記載の固体電解質を含む電解質含有物。
39.上記1〜4,10〜25のいずれかに記載の固体電解質及び38に記載の電解質含有物の少なくとも1つを含む電解質層。
40.上記1〜4,10〜25のいずれかに記載の固体電解質及び38の電解質含有物の少なくとも1つを用いて製造された電解質層。
41.正極層、電解質層及び負極層の少なくとも一つが、1〜4,10〜25のいずれかに記載の固体電解質及び38の電解質含有物の少なくとも1つを含む電池。
42.正極層、電解質層及び負極層の少なくとも一つが、1〜4,10〜25のいずれかに記載の固体電解質及び38の電解質含有物の少なくとも1つを用いて製造された電池。
43.上記5〜9のいずれかに記載の固体電解質を含む電解質含有物。
44.上記5〜9のいずれかに記載の固体電解質及び43に記載の電解質含有物の少なくとも1つを含む電解質層。
45.上記5〜9のいずれかに記載の固体電解質及び43の電解質含有物の少なくとも1つを用いて製造された電解質層。
46.正極層、電解質層及び負極層の少なくとも一つが、5〜9のいずれかに記載の固体電解質及び43の電解質含有物の少なくとも1つを含む電池。
47.正極層、電解質層及び負極層の少なくとも一つが、5〜9のいずれかに記載の固体電解質及び43の電解質含有物の少なくとも1つを用いて製造された電池
本発明によれば、加水分解しにくく、高いイオン伝導度を有する固体電解質を提供できる。
Cole−Coleプロットの一例である。 硫化水素濃度平均値の測定装置の概略構成図である。 ウェットエア流通時間と硫化水素濃度の測定例である。 参考例1で得られた固体電解質及び参考例5で得られた固体電解質の31P−NMRスペクトルである。 実施例10(1)で得られた固体電解質(硫化物系ガラス)及び同(2)で得られた固体電解質(硫化物系ガラスセラミックス)の31P−NMRスペクトルである。
本発明の第1の固体電解質は、構成成分として、アルカリ金属元素、リン、硫黄及びハロゲンを含む。
本発明の第1の固体電解質は、31P−NMRスペクトルにおいて、75.0ppm以上80.0ppm以下であるピーク領域(以下、第一ピーク領域という。)にピーク(以下、第一のピークという。)を有することが好ましい。このピーク条件により特定される固体電解質は、加水分解しにくく、高いイオン伝導度を有する。
ここで、上記第一のピークは、ショルダーピークであってもよい。ショルダーピークとは、大きさの異なる2つ以上のピークが重なる場合、大きいピークの一部となって現れる小さいピークのことである。
明確な極大点がなくピークトップの位置が分からない場合、ショルダーピークのピーク位置は、75.0ppm以上80.0ppm以下のピーク領域における微分値の絶対値が最も小さくなるところとする。
また、本発明の第1の固体電解質は、86.0ppm以上92.0ppm以下であるピーク領域(以下、第二ピーク領域という。)にピーク(以下、第二のピークという。)を有することがより好ましい。上記ピーク条件により特定される固体電解質は、加水分解しにくく、高いイオン伝導度を有する。
第二のピークも同様にショルダーピークであってもよく、明確な極大点がなくピークトップの位置が分からない場合、ショルダーピークのピーク位置は、第二ピーク領域における微分値の絶対値が最も小さくなるところとする。
本発明の第1の固体電解質は、31P−NMRスペクトルにおいて、第一ピーク領域に第一ピーク(第一ピークのピーク強度をIと表す。)を有し、かつ、第一ピーク領域、及び第二ピーク領域以外の領域にあるピーク(ピーク強度をIcと表す。)の、第一ピークに対する強度比(Ic/I)が、0.5以下であるとさらに好ましい。
上記ピーク条件により特定される固体電解質は、加水分解しにくく、高いイオン伝導度を有する。
本願において、31P−NMRスペクトルの測定は、日本電子(株)製JNM−CMXP302NMR装置に、5mmCP/MASプローブを取り付け室温で行う。31P−NMRスペクトルは、シングルパルス法を用い、90°パルス4μs、マジック角回転の回転数8.6kHzで測定する。化学シフトは、リン酸水素アンモニウムを外部標準(1.3ppm)として用いることにより測定する。測定範囲は、0ppm〜150ppmである。
ピーク強度は、ベースラインからピークトップまでの高さとする。
第一ピークは、好ましくは、75.5ppm以上79.5ppm以下の領域に存在し、より好ましくは、76.0ppm以上79.0ppm以下の領域に存在する。
第二ピークは、好ましくは、86.5ppm以上91.5ppm以下の領域に存在する。より好ましくは、87.0ppm以上91.0ppm以下の領域に存在する。
本発明の第1の固体電解質において、好ましくは、第一ピーク領域及び第二ピーク領域に、それぞれピークを有する。
第一ピークに対する第二のピークの強度比(I/I)は1以上10以下であることが好ましく、さらに、1.2以上5以下であることが好ましい。
第一ピーク領域及び第二ピーク領域以外には、ピークは全く存在しなくともよく、また、存在していてもよい。但し、ピークが存在する場合は、第一ピークに対する強度比(Ic/I)は、好ましくは0.5以下である。好ましくは、0.45以下であり、より好ましくは、0.4以下であり、さらに好ましくは、0.3以下であり、最も好ましくは、0.25以下である。
尚、第一ピーク領域にピークが複数ある場合、それらの最大ピークの強度をIとする。第二ピーク領域にピークが複数ある場合、それらの最大ピークの強度をIとする。他のピークが複数ある場合、他のピーク中の最大ピークの強度をIcとする。
また、第一ピークは試料によってはショルダーピークのように見えてもよい。グラフに明確な極大点がなくピークトップの位置が明確に示されない場合には、第一ピーク範囲を微分した値の絶対値が最も小さくなるところを第一ピーク位置とする。
本発明の第1の固体電解質は、アルカリ金属元素、リン元素、硫黄元素及びハロゲン元素を必須の構成成分とする
上記アルカリ金属元素は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム及びフランシウムから選択される1つ以上が挙げられ、好ましくはリチウム及びナトリウムから選択される1つ以上であり、より好ましくはリチウムである。
上記ハロゲンは、F、Cl、Br及びIから選択される1つのハロゲン原子であることが好ましく、Cl、Br又はIであることがより好ましく、特に、Br又はIであることが好ましい。
本発明の固体電解質は、下記式(A)の組成を有することが好ましい。
…(A)
式(A)において、Lは、アルカリ金属であり、リチウムとナトリウムが好ましく、特にリチウムが好ましい。
式(A)において、Mは下記式(B)で表される元素を表す。
ZnSiCuGaGe…(B)
式(B)において、f〜kはそれぞれ各元素の組成比を示す。f、g、h、i、j、kは、それぞれ0以上1以下であり、かつ、f+g+h+i+j+k=1である。式(B)は、B、Zn、Si、Cu、Ga及びGeから選択される1種の元素、又は、これらのうち2種以上の元素の組み合わせを表す。
式(B)において、f、i及びjが0である場合、即ち、ZnSiGe(g、h、kは0以上1以下であり、かつg+h+k=1)が好ましい。
式(A)において、Xは下記式(C)を表す。
ClBr…(C)
式(C)において、l、m、n及びoはそれぞれ各元素の組成比を示す。l、m、n及びoは、それぞれ0以上1以下であり、かつ、l+m+n+o=1である。式(C)は、F、Cl、Br及びIから選択される1種のハロゲン元素、又は、2種以上のハロゲン元素の組み合わせを表す。
好ましくは、lとmが0である場合、即ち、Br(n、oはそれぞれ0以上1以下であり、n+o=1)である。
Xは、F、Cl、Br及びIから選択される1つのハロゲン原子であることが好ましく、特に、Br又はIであることが好ましい。
式(A)において、a〜eはそれぞれ各元素の組成比を示し、a:b:c:d:eは1〜12:0〜0.2:1:0〜9:0〜9を満たす。
好ましくは、bは0であり、より好ましくは、a、c、d及びeの比(a:c:d:e)がa:c:d:e=1〜9:1:3〜7:0.05〜3、さらに好ましくは、a:c:d:e=2〜4.5:1:3.5〜5:0.1〜1.5である。
また、本発明の固体電解質は、化学量論比で下記式(A’)の組成を有することが好ましい。尚、固体電解質は、下記式(A’)の組成を有する2種以上の化合物の複合体でも混合体でもよい。
…(A’)
式(A’)において、Lは、アルカリ金属であり、リチウムとナトリウムが好ましく、特にリチウムが好ましい。
式(A’)において、Mは下記式(B’)で表される元素を表す。
AlSiGeAsSeSnSbTePbBi…(B’)
式(B’)において、f〜pはそれぞれ各元素の組成比を示す。f、g、h、i、j、k、l、m、o,pは、それぞれ0以上1以下であり、かつ、f+g+h+i+j+k+l+m+n+o+p=1である。式(B’)は、B,Al,Si,P,S,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Pb及びBiから選択される1種の元素、又は、2種以上の元素の組み合わせを表す。
式(B’)において、i、j、k、l、m、n、o及びpが0である場合、即ち、BAlSi(f、g、hは0以上1以下であり、かつf+g+h=1)が好ましい。
式(A’)において、Xは下記式(C’)を表す。
ClBr…(C’)
式(C’)において、s、t、u及びvはそれぞれ各元素の組成比を示す。s、t、u及びvは、それぞれ0以上1以下であり、かつ、s+t+u+v=1である。式(C’)は、F、Cl、Br及びIから選択される1種のハロゲン元素、又は、2種以上のハロゲン元素の組み合わせを表す。
好ましくは、sとtが0である場合、即ち、ClBr(u、vはそれぞれ0以上1以下であり、u+v=1)である。より好ましくは、sとtとuが0である場合、即ち、Brである場合である。
Xは、F、Cl、Br及びIから選択される1つのハロゲン原子であることが好ましく、特に、I,Br又はClであることが好ましく、より好ましくはBrである。
式(A’)において、a〜eはそれぞれ各元素の組成比を示し、0<a≦12、0≦b≦0.2、c=1,0<d≦9、0<e≦9を満たす。
好ましくは、bは0であり、より好ましくは、a、c、d及びeの比(a:c:d:e)がa:c:d:e=1〜9:1:3〜7:0.05〜3、さらに好ましくは、a:c:d:e=2〜6.5:1:3.5〜5:0.1〜1.5である。最も好ましくは、a:c:d:e=2〜6.5:1:3.5〜4.95:0.1〜1.5である。
dは4であると好ましい。
各元素の組成比は、本発明の固体電解質又は電解質前駆体を製造する際の原料化合物の配合量を調整することにより制御できる。
本発明の固体電解質のイオン伝導度は、3×10−4S/cm以上であることが好ましく、5×10−4S/cm以上であることがより好ましい。さらに好ましくは、7×10−4S/cm以上であり、最も好ましくは、9×10−4S/cm以上である。
尚、イオン伝導度は高ければ高いほど好ましいが、例えば、上限として5×10−2S/cmを挙げることができる。
本願において、イオン伝導度(σ)は以下のように測定する。
まず、試料を断面10mmφ(断面積S=0.785cm)、高さ(L)0.1〜0.3cmの形状に成形する。その試料片の上下から電極端子を取り、交流インピーダンス法により測定し(周波数範囲:5MHz〜0.5Hz、振幅:10mV)、Cole−Coleプロットを得る。図1にCole−Coleプロットの一例を示す。高周波側領域に観測される円弧の右端付近で、−Z’’(Ω)が最小となる点での実数部Z’(Ω)を電解質のバルク抵抗R(Ω)とし、以下式に従い、イオン伝導度σ(S/cm)を計算する。
R=ρ(L/S)
σ=1/ρ
尚、試料片端面から測定器までのリードの距離が長いと、円弧の右端の一部しか観測されない場合があるが、上記の方法に準じてバルク抵抗R(Ω)を判断する。また、円弧が全く観測されず、−Z’’(Ω)が0Ω付近から単調に増大するプロファイルとなることがある。この場合は、−Z’’(Ω)=0となるときのZ’(Ω)をバルク抵抗R(Ω)とする。
本願ではリードの距離を約60cmとして測定した。
本発明の固体電解質が、硫化物系固体電解質である場合、ウェットエア流通下に60分間放置したときの周囲環境の硫化水素濃度平均値が、200ppm以下であることが好ましい。より好ましくは、150ppm以下であり、さらに好ましくは、100ppm以下である。
一般に硫化物系固体電解質は、加水分解すると硫化水素を発生するが、本発明の固体電解質では、加水分解を抑制できるので、分解時に発生する硫化水素が少なくなる。
本願では、下記の手法で加水分解試験をし、求めた硫化水素濃度平均値を耐加水分解性の指標とする。
図2は、硫化水素濃度平均値の測定装置の概略構成図である。
測定試料11は、露点−80℃の環境の窒素グローボックス内にて乳鉢でよく粉砕したものを用いる。測定試料11を0.1g、100mlのシュレンク瓶12内に封入する。
次に、シュレンク瓶12内に、水槽14を通過させることにより加湿した空気(ウェットエア)を500ml/分で流通させる。尚、ウェットエアの温度は、25℃程度、湿度は、80〜90%とする。また、空気の供給量は流量計13で制御する。
流通開始1分後〜1分45秒後の間にシュレンク瓶12から排出されたガスをガス採集部15から捕集して測定用の第一サンプルガスとする。尚、採集時以外のガスは、トラップ16で水酸化ナトリウム水溶液にて硫化水素を除去する。
三菱化学アナリテック製TS−100を用いて、紫外蛍光法により硫黄分を定量して、サンプルガスの硫化水素濃度を算出する。尚、サンプルガスをアジレント6890(硫黄選択検出器(SIEVERS355)付)を用いてガスクロマトグラフにて定性分析したところ、硫黄分はその99%以上硫化水素ガスになっていることを確認している。
流通開始5分後〜5分45秒後、流通開始10分後〜10分45秒後、流通開始20分後〜20分45秒後、流通開始60分後〜60分45秒後にシュレンク瓶から排出されたガスについても、第一サンプルガスと同様に測定する。
硫化水素濃度と測定時間から硫化水素濃度平均値(ppm)を求める。
図3にウェットエア流通時間と硫化水素濃度の関係の一例を示す。曲線は各測定点をスムージングしたもので、この曲線と縦軸、横軸で囲まれた面積(ppm・分)を時間60分で除することにより、硫化水素濃度平均値(ppm)を求める。
本発明の固体電解質の形状は特に制限はなく、粒子状であってもシート状であってもよい。
粒子状の場合、電解質層を形成する際に、後述するように本発明の固体電解質又は電解質前駆体を含むスラリーを塗布することにより電解質層を製造することができる。電解質前駆体を用いて電解質シートを製造する場合には、電解質前駆体を用いて電解質層を形成後、後述する所定の加熱条件により加熱して本発明の電解質層を製造することもできる。
また、静電法を用いて電解質層を製造することもできる。
本発明の固体電解質が粒子状である場合には、体積基準平均粒径(Mean Volume Diameter、以下「粒径」という。)が0.01μm以上500μm以下であることが好ましい。
本願において、粒径の測定方法は、レーザー回折式粒度分布測定方法により行うことが好ましい。レーザー回折式粒度分布測定方法は、組成物を乾燥せずに粒度分布を測定することができる。レーザー回折式粒度分布測定方法では、組成物中の粒子群にレーザーを照射して、その散乱光を解析することで粒度分布を測定する。
本願では、乾燥した固体電解質又はその前駆体である硫化物系ガラスを用いて粒径を測定する。
測定例として、レーザー回折式粒度分布測定装置(Malvern Instruments Ltd社製マスターサイザー2000)を使用した場合の測定を説明する。
まず、装置の分散槽に脱水処理されたトルエン(和光純薬製、製品名:特級)110mlを入れ、さらに分散剤として脱水処理されたターシャリーブチルアルコール(和光純薬製、特級)を6%添加する。
上記混合物を十分混合した後、測定対象である「乾燥した固体電解質又はその前駆体」を添加して粒子径を測定する。測定対象の添加量は、マスターサイザー2000で規定されている操作画面で、粒子濃度に対応するレーザー散乱強度が規定の範囲内(10〜20%)に収まるように加減して加える。この範囲を超えると多重散乱が発生し、正確な粒子径分布を求めることができなくなるおそれがある。また、この範囲より少ないとSN比が悪くなり、正確な測定ができないおそれがある。マスターサイザー2000では、測定対象の添加量に基づき、レーザー散乱強度が表示されるので、上記レーザー散乱強度に入る添加量を見つけるとよい。
測定対象の添加量はイオン伝導性物質の種類等により最適量は異なるが、概ね0.01g〜0.05g程度である。
また、本発明の固体電解質は、結晶化していても(ガラスセラミック)、非晶質(ガラス)であってもよい。結晶化していれば、イオン伝導度が高くなるという効果があり、非晶質の場合には、結晶よりも柔らかいため、固体電解質同士の接触状態や活物質や導電助剤との接触状態を良くすることができる。
非晶質の固体電解質(固体電解質(ガラス))である場合、上記式(A)又は(A’)におけるXがBr又はClであると好ましい。
また、固体電解質(ガラス)は、下記測定方法により2つの温度ピーク(結晶化ピーク)が観察されることが好ましく、2つの結晶化ピークが150℃以上360℃以下の範囲にあることがより好ましく、また、2つの結晶化ピーク間の幅が20〜150℃、好ましくは20〜100℃であることが好ましい。
結晶化温度(ピーク)は、示差熱−熱重量測定装置(メトラートレド社製TGA/DSC1)、又は示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製Diamond DSC)を使用し、固体電解質(ガラス)約20mgを10℃/分で測定して特定できる。
また、固体電解質(ガラス)は、2つの結晶化ピークがあり、2つの結晶化ピークが170℃以上330℃以下の範囲にあり、かつ2つの結晶化ピーク間の幅が20〜150℃であることがさらに好ましい。
また、2つの結晶化ピークが170℃以上330℃以下の範囲にあることがさらに好ましく、また2つの結晶化ピーク間の幅が30〜140℃であることがさらに好ましい。
また、固体電解質(ガラス)は、2つの結晶化ピークがあり、2つの結晶化ピークが175℃以上320℃以下の範囲にあり、かつ2つの結晶化ピーク間の幅が30〜140℃であることが特に好ましい。
また、2つの結晶化ピークが175℃以上320℃以下の範囲にあることが特に好ましく、また、2つの結晶化ピーク間の幅が35〜130℃であることが特に好ましい。また、固体電解質(ガラス)は、2つの結晶化ピークがあり、2つの結晶化ピークが180℃以上310℃以下の範囲にあり、かつ2つの結晶化ピーク間の幅が40〜120℃であることが最も好ましい。
本発明の固体電解質の製造方法は特に限定されない。以下、本発明の固体電解質(ガラス)及び結晶化固体電解質の製造方法の例を説明するが、本発明はこれらの製造方法により製造された固体電解質に限定されない。
1.第一の製造方法
固体電解質(ガラス)は、原料aとハロゲン元素を含む化合物とを所定の方法により反応させることにより製造することができる。
(a)原料a
原料aとしては、LiS(硫化リチウム)、P(三硫化二リン)(五硫化二リン)、SiS(硫化珪素)、LiSiO(オルト珪酸リチウム)、Al(硫化アルミニウム)、単体リン(P)、単体の硫黄(S)、シリコン(Si)、GeS(硫化ゲルマニウム)、B(三硫化二砒素)、LiPO(燐酸リチウム)、LiGeO(ゲルマン酸リチウム)、LiBO(メタホウ酸リチウム)、LiAlO(リチウムアルミネート)、NaS(硫化ナトリウム)、NaGeO(ゲルニウム酸ナトリウム)、NaSiO(オルト珪酸ナトリウム)、NaPO(リン酸ナトリウム)、NaBO(メタホウ酸ナトリウム)、NaAlO(アルミン酸ナトリウム)等を用いることができる。これらは2種以上混合して使用してもよい。
好ましい原料aとしては、LiSとP等の硫化リン、単体硫黄と単体リン、硫化リンと単体硫黄、硫化リンと単体硫黄と単体リンが挙げられる。
硫化リチウムは、特に制限なく使用できるが、高純度のものが好ましい。硫化リチウムは、例えば、特開平7−330312号、特開平9−283156号、特開2010−163356、特願2009−238952に記載の方法により製造することができる。
具体的に、炭化水素系有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを70℃〜300℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成できる(特開2010−163356)。
また、水溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを10℃〜100℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成できる(特願2009−238952)。
硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下であり、かつN−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下である。硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であると、溶融急冷法やメカニカルミリング法で得られる固体電解質は、ガラス状電解質(完全非晶質)となる。一方、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%を越えると、得られる電解質は、最初から結晶化物となるおそれがある。
また、N−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であると、N−メチルアミノ酪酸リチウムの劣化物がリチウムイオン電池のサイクル性能を低下させることがない。このように不純物が低減された硫化リチウムを用いると、高イオン伝導性電解質が得られる。
上述した特開平7−330312号及び特開平9−283156号に基づいて硫化リチウムを製造した場合、硫化リチウムが硫黄酸化物のリチウム塩等を含むため、精製することが好ましい。
一方、特開2010−163356に記載の硫化リチウムの製法で製造した硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩等の含有量が非常に少ないため、精製せずに用いてもよい。
好ましい精製法としては、例えば、国際公開WO2005/40039号に記載された精製法等が挙げられる。具体的には、上記のようにして得られた硫化リチウムを、有機溶媒を用い、100℃以上の温度で洗浄する。
五硫化二リン(P)は、工業的に製造され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。
(b)ハロゲン元素を含む化合物
ハロゲン元素を含む化合物としては、下記式(E)に示す化合物を用いることができ、1つの化合物を用いてもよく、複数の化合物を用いてもよい。
Y−X…(E)
式(E)において、Yは、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属類を示す。リチウムとナトリウムが好ましく、特にリチウムが好ましい。
Xは、上記式(A)のXと同様である。
ハロゲン元素を含む化合物としては、NaI,NaF,NaCl,NaBr、LiI、LiF、LiCl又はLiBrが好ましい。
また、ハロゲン元素を含む化合物としては、下記式(E’)に示す化合物を用いることもでき、1つの化合物を用いてもよく、複数の化合物を用いてもよい。
−X…(E’)
式(E’)において、Mは、Li,B,Al,Si,P,S,Ge,As,Se,Sn,Sb,Te,Pb又はBiを示す。特にP又はLiが好ましい。wは1〜2の任意の整数、xは1〜10の範囲の任意の整数である。
Xは、上記式(A)のXと同様である。
ハロゲン元素を含む化合物としては、具体的には、LiF,LiCl,LiBr,LiI,BCl,BBr,BI,AlF,AlBr,AlI,AlCl,SiF,SiCl,SiCl,SiCl,SiBr,SiBrCl,SiBrCl,SiI,PF,PF,PCl,PCl,POCl,PBr,POBr,PI,PCl,P,SF,SF,SF,S10,SCl,SCl,SBr,GeF,GeCl,GeBr,GeI,GeF,GeCl,GeBr,GeI,AsF,AsCl,AsBr,AsI,AsF,SeF,SeF,SeCl,SeCl,SeBr,SeBr,SnF,SnCl,SnBr,SnI,SnF,SnCl,SnBr,SnI,SbF,SbCl,SbBr,SbI,SbF,SbCl,PbF,PbCl,PbF,PbCl,PbBr,PbI,BiF,BiCl,BiBr,BiI,TeF,Te10,TeF,TeCl,TeCl,TeBr,TeBr,TeI4、NaI,NaF,NaCl,NaBr等が挙げられ、好ましくLiCl,LiBr,LiI,PCl、PCl、PBr及びPBrであり、より好ましくはLiCl,LiBr,LiI及びPBrである。
尚、上記原料aやハロゲン元素を含む化合物の他に、ガラス転移温度を低減する化合物(ガラス化促進剤)を添加してもよい。ガラス化促進剤の例としては、LiPO、LiSiO、LiGeO、LiBO、LiAlO、LiCaO、LiInO3、NaPO、NaSiO、NaGeO、NaBO、NaAlO、NaCaO、NaInO等の無機化合物が挙げられる。
(c)固体電解質(ガラス)の製造方法
以下、原料aとして、硫化リチウム及び五硫化二リンを用いた固体電解質(ガラス)の製造方法について説明する。
硫化リチウムと五硫化二リンの割合(モル比)は、60:40〜90:10、好ましくは65:35〜85:15又は70:30〜90:10であり、さらに好ましくは67:33〜83:17又は72:28〜88:12であり、特に好ましくは67:33〜80:20又は74:26〜86:14である。特により好ましくは、70:30〜80:20又は75:25〜85:15である。最も好ましくは、硫化リチウムと五硫化二リンの割合(モル比)は、72:28〜78:22、又は77:23〜83:17である。
また、硫化リチウムのモル量と五硫化二リンのモル量の合計とハロゲン元素を含む化合物の割合(モル比)は、50:50〜99:1、好ましくは55:45〜95:5、特に好ましくは60:40〜90:10である。
硫化リチウムのモル量と五硫化二リンのモル量の合計とハロゲン元素を含む化合物の割合(モル比)は、50:50〜99:1が好ましく、より好ましくは55:45〜97:3又は70:30〜98:2であり、さらに好ましくは60:40〜96:4又は80:10〜98:2であり、特に好ましくは70:30〜96:4又は80:20〜98:2である。尚、硫化リチウムのモル量と五硫化二リンのモル量の合計とハロゲン元素を含む化合物は、MM処理等により混合してから加熱処理することが好ましい。
硫化リチウム、五硫化二リン及びハロゲン元素を含む化合物を、上記配合比で混合した材料を、溶融急冷法、メカニカルミリング法(以下、適宜「メカニカルミリング」を「MM」という。)、有機溶媒中で原料を反応させるスラリー法又は固相法等により処理することにより、固体電解質(ガラス)を製造する。
(ア)溶融急冷法
溶融急冷法は、例えば、特開平6−279049、WO2005/119706に記載されている。具体的には、PとLiSとハロゲンを含む化合物とを所定量乳鉢にて混合しペレット状にしたものを、カーボンコートした石英管中に入れ真空封入する。所定の反応温度で反応させた後、氷中に投入し急冷することにより、固体電解質(ガラス)が得られる。
反応温度は、好ましくは400℃〜1000℃、より好ましくは、800℃〜900℃である。
反応時間は、好ましくは0.1時間〜12時間、より好ましくは、1〜12時間である。
上記反応物の急冷温度は、通常10℃以下、好ましくは0℃以下であり、その冷却速度は、通常1〜10000K/sec程度、好ましくは10〜10000K/secである。
(イ)メカニカルミリング法(MM法)
MM法は、例えば、特開平11−134937、特開2004−348972、特開2004−348973に記載されている。
具体的には、PとLiSとハロゲンを含む化合物とを所定量乳鉢にて混合し、例えば、各種ボールミル等を使用して所定時間反応させることにより、固体電解質(ガラス)が得られる。
上記原料を用いたMM法は、室温で反応させることができる。そのため、原料の熱分解が起らず、仕込み組成の固体電解質(ガラス)を得ることができるという利点がある。
また、MM法では固体電解質(ガラス)の製造と同時に、微粉末化できるという利点もある。
MM法には、回転ボールミル、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル等種々の形式を用いることができる。
MM法の条件としては、例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。
また、特開2010−90003に記載されているように、ボールミルのボールは異なる径のボールを混合して使用してもよい。
また、特開2009−110920や特開2009−211950に記載されているように、原料に有機溶媒を添加してスラリー状にし、このスラリーをMM処理してもよい。
また、特開2010−30889に記載のようにMM処理の際のミル内の温度を調整してもよい。
MM処理時の原料温度が、60℃以上160℃以下になるようにすることが好ましい。
(ウ)スラリー法
スラリー法は、WO2004/093099、WO2009/047977に記載されている。
具体的には、所定量のP粒子とLiS粒子とハロゲンを含む化合物とを有機溶媒中で所定時間反応させることにより、固体電解質(ガラス)が得られる。
ハロゲンを含む化合物は、有機溶媒に溶解するか、又は粒子であることが好ましい。
ここで、特開2010−140893に記載されているように、反応を進行させるため、原料を含むスラリーをビーズミルと反応容器との間で循環させながら反応させてもよい。
また、WO2009/047977に記載されているように、原料の硫化リチウムを予め粉砕しておくと効率的に反応を進行させることができる。
また、特願2010−270191に記載されているように、原料の硫化リチウムの比表面積を大きくするために溶解パラメーターが9.0以上の極性溶媒(例えば、メタノール、ジエチルカーネート、アセトニトリル)に所定時間浸漬してもよい。
反応温度は、好ましくは20℃以上80℃以下、より好ましくは、20℃以上60℃以下である。
反応時間は、好ましくは1時間以上16時間以下、より好ましくは、2時間以上14時間以下である。
有機溶媒の量は、原料である硫化リチウムと五硫化二リンとハロゲンを含む化合物とが、有機溶媒の添加により溶液又はスラリー状になる程度であることが好ましい。通常、有機溶媒1リットルに対する原料(合計量)の添加量は0.001kg以上1kg以下程度となる。好ましくは0.005kg以上0.5kg以下、特に好ましくは0.01kg以上0.3kg以下である。
有機溶媒としては特に制限はないが、非プロトン性有機溶媒が特に好ましい。
非プロトン性有機溶媒としては、非プロトン性の非極性有機溶媒(例えば、炭化水素系有機溶媒)、非プロトン性の極性有機化合物(例えば、アミド化合物,ラクタム化合物,尿素化合物,有機イオウ化合物,環式有機リン化合物等)を、単独溶媒として、又は、混合溶媒として、好適に使用することができる。
炭化水素系有機溶媒としては、飽和炭化水素、不飽和炭化水素又は芳香族炭化水素が使用できる。
飽和炭化水素としては、ヘキサン、ペンタン、2−エチルヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン等が挙げられる。
不飽和炭化水素しては、ヘキセン、ヘプテン、シクロヘキセン等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、トルエン、キシレン、デカリン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。
これらのうち、特にトルエン、キシレンが好ましい。
本発明の固体電解質の原料には、三臭化リン等、上記有機溶媒に可溶であるものがあり、スラリー法を用いて製造することに適している。
例えば、硫化リチウムは有機溶媒に溶解しないが、三臭化リンは有機溶媒に溶解するため、硫化リチウム、五硫化二リン及び臭化リンを原料に用いる場合には、全ての原料が有機溶媒に溶解しない場合よりも反応性が高くなるため、反応時間を短くでき、未反応残留物の少ない高純度の固体電解質(ガラス)を得ることができる。
炭化水素系溶媒は、あらかじめ脱水されていることが好ましい。具体的には、水分含有量として100重量ppm以下が好ましく、特に30重量ppm以下であることが好ましい。
尚、必要に応じて炭化水素系溶媒に他の溶媒を添加してもよい。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エタノール、ブタノール等のアルコール類、酢酸エチル等のエステル類等、ジクロロメタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
(エ)固相法
固相法は、例えば、「H−J.Deiseroth,et.al.,Angew.Chem.Int.Ed.2008,47,755−758」に記載されている。具体的には、PとLiSとハロゲンを含む化合物を所定量乳鉢にて混合し、100〜900℃の温度で加熱することにより、固体電解質(ガラス)が得られる。
上記溶融急冷法、MM法、スラリー法及び固相法の温度条件、処理時間、仕込み料等の製造条件は、使用設備等に合わせて適宜調整することができる。
固体電解質(ガラス)の製造法としては、MM法、スラリー法又は固相法が好ましい。低コストで製造可能であることから、MM法、スラリー法がより好ましく、特にスラリー法が好ましい。
溶融急冷法、MM法、スラリー法及び固相法のいずれの場合であっても、混合する順番は、最終的な前駆体の組成が上記記載の範囲にあればよい。例えばメカニカルミリング法であれば、原料のLiS、P及びLiBrとを全て混合した上でミリングしてもよく;LiSとPとをミリングした後、LiBrを加えさらにミリングしてもよく;LiBrとPをミリング後、LiSを加えさらにミリングしてもよく;LiSとLiBrとをミリング後、Pを加えてさらにミリングしてもよい。また、LiSとLiBrを混合しミリング処理した混合物と、LiBrとPを混合しミリングした混合物を混ぜ合わせた上でさらにミリング処理を行ってもよい。
上記の他、2回以上混合処理を行う場合、2種以上の異なる方法を組み合わせてもよい。例えばLiSとPをメカニカルミリングで処理した上でLiBrを混合し固相法で処理を行ってもよく、LiSとLiBrを固相法で処理を行ったものとPとLiBrとを溶融急冷処理を行ったものを混合し、スラリー法を行うことで固体電解質(ガラス)を製造してもよい。
第1の固体電解質が31P−NMRにおける第一ピーク領域にピークを有する場合、固体電解質(ガラス)は、31P−NMRにおいて第一ピーク領域にピークを有さず、後述する加熱処理により、該ピークが現れることが好ましい。
(2)結晶化固体電解質(ガラスセラミックス)の製造
結晶化固体電解質(ガラスセラミックス)は、上記固体電解質(ガラス)(硫化物ガラス)を加熱処理することにより得られる。加熱は、露点−40℃以下の環境下で行うことが好ましく、より好ましくは露点−60℃以下の環境下で行うことが好ましい。
加熱時の圧力は、常圧であってもよく、減圧下であってもよい。
雰囲気は、空気中であってもよく、不活性雰囲気下であってもよい。
さらに、特開2010−186744に記載されているように溶媒中で加熱してもよい。
加熱温度は、好ましくは、固体電解質(ガラス)のガラス転移温度(Tg)以上、固体電解質(ガラス)の結晶化温度(Tc)+100℃以下であることが好ましい。加熱温度が固体電解質(ガラス)のTg未満の場合、製造時間が非常に長くなるおそれがある。一方、(Tc+100℃)を超えると、得られる固体電解質(ガラスセラミックス)中に不純物等が含まれる場合があり、イオン伝導度が低下するおそれがある。
加熱温度は、より好ましくは、(Tg+5℃)以上、(Tc+90℃)以下、さらに好ましくは、(Tg+10℃)以上、(Tc+80℃)以下である。
例えば、加熱温度は、150℃以上360℃以下であり、好ましくは160℃以上350℃以下であり、より好ましくは180℃以上310℃以下であり、さらに好ましくは180℃以上290℃以下であり、特に好ましくは190℃以上270℃以下である。
また、熱物性の測定により2つのピークがある場合は、低温側のピーク温度をTcとし、低温側のTcと高温側の第2結晶化ピーク(Tc2)との間で熱処理することが好ましい。
結晶化温度(ピーク)は、上述したように示差熱−熱重量測定等で特定することができる。
尚、結晶化温度等は昇温速度等により変化することがあるため、熱処理する昇温速度に近い速度で測定したTcを基準とする必要がある。従って、実施例以外の昇温速度で処理する場合は、最適な熱処理温度は変化するが、熱処理する昇温速度で測定されたTcを基準として上記条件にて熱処理することが望ましい。
加熱時間は、0.005分以上、10時間以下が好ましい。さらに好ましくは、0.005分以上、5時間以下であり、特に好ましくは、0.01分以上、3時間以下である。0.005分未満だと本発明の電解質に固体電解質(ガラス)が多く含まれることになり、イオン伝導度が低くなるおそれがある。10時間を越えると、本発明の結晶化固体電解質中に不純物等が発生する場合があり、イオン伝導度が低下するおそれがある。
昇温方法については特に指定がない。所定温度までゆっくり昇温してもよいし、急速に加熱してもよい。
2.第二の製造方法
第二の製造方法は、上述した第一の製造方法の固体電解質(ガラス)に、さらに、ハロゲン化合物を添加して、所定温度及び所定時間加熱する方法である。
固体電解質(ガラス)とハロゲン化合物は、MM処理等により混合しておくことが好ましい。固体電解質(ガラス)の製造方法や、固体電解質(ガラス)にハロゲン化合物を添加した材料の加熱時間、加熱温度等は、第一の製造方法と同様であるので、その説明は省略する。
ハロゲン化合物としては、上述した第一の製造方法と同じハロゲン元素を含む化合物が使用できる。
尚、第二の製造方法において、固体電解質(ガラス)の原料として使用するハロゲン元素を含む化合物の量と、固体電解質(ガラス)に混合するハロゲン化合物の量の合計は、第一の製造方法における固体電解質(ガラス)の原料として使用するハロゲン元素を含む化合物の量と同様である。固体電解質(ガラス)の原料であるハロゲン元素を含む化合物と、固体電解質(ガラス)に混合するハロゲン化合物との割合は特に限定しない。
3.第三の製造方法
第三の製造方法では、電解質前駆体1とハロゲン元素を含む化合物を所定温度及び所定時間加熱することにより固体電解質を製造する。
電解質前駆体1は、31P−NMRにおいて75.0ppm以上80.0ppm以下(第一ピーク領域)にピークを有さず、かつ下記式(F)を満たす化合物であることが好ましい。
Li…(F)
(式(F)において、M,a,b,c及びdは上記式(A)と同様である。)
電解質前駆体1は、好ましくは、31P−NMRにおいて81.0ppm以上85.0ppm以下の領域にピークを有することが好ましい。
第三の製造方法が、第一の製造方法と異なる点は、固体電解質(ガラス)の原料にハロゲン元素を含む化合物を添加せずに電解質前駆体1を製造する点、及び電解質前駆体1とハロゲン元素を含む化合物とを混合して、所定温度及び所定時間加熱することにより製造する点である。
即ち、原料aのみにより電解質前駆体1[固体電解質(ガラス)]を製造し、電解質前駆体1とハロゲン元素を含む化合物との混合物を所定温度及び所定時間加熱している他は、第一の製造方法と同様である。従って、原料a、ハロゲン元素を含む化合物、電解質前駆体1の製造方法、及び固体電解質の製造条件は、上記第一の製造方法と同様であるので、その説明を省略する。
電解質前駆体1の原料aが硫化リチウムと五硫化二リンである場合、硫化リチウムと五硫化二リンの割合(モル比)は、60:40〜90:10、好ましくは65:35〜85:15又は70:30〜90:10であり、さらに好ましくは67:33〜83:17又は72:28〜88:12であり、特に好ましくは67:33〜80:20又は74:26〜86:14である。特により好ましくは、70:30〜80:20又は75:25〜85:15である。最も好ましくは、72:28〜78:22、又は77:23〜83:17である。
電解質前駆体1とハロゲン元素を含む化合物の割合(モル比)は、50:50〜99:1、好ましくは55:45〜95:5、特に好ましくは60:40〜90:10である。尚、電解質前駆体1とハロゲン元素を含む化合物は、MM処理等により混合してから加熱処理することが好ましい。
電解質前駆体1とハロゲン元素を含む化合物の割合(モル比)は、50:50〜99:1が好ましく、より好ましくは55:45〜97:3又は70:30〜98:2であり、さらに好ましくは60:40〜96:4又は80:10〜98:2であり、特に好ましくは70:30〜96:4又は80:20〜98:2である。尚、電解質前駆体1とハロゲン元素を含む化合物は、MM処理等により混合してから加熱処理することが好ましい。
本発明の固体電解質は、加水分解しにくく、高いイオン伝導度を有するため、固体電解質層等、電池の構成材料として好適である。
本発明の固体電解質は、バインダー(結着剤)、正極活物質、負極活物質、導電助剤、又は、上述した製造方法と同様のハロゲン元素を含む化合物や有機溶媒等と混合して、電解質含有物として使用してもよい。電解質含有物は、正極、電解質層、負極等、電池の構成材料として、及び電池を構成する部材(層)を形成するための材料として使用できる。
本発明の電解質含有物は、上記本発明の固体電解質を含んでいればよい。以下、他の構成材料の例について説明する。
バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、又は2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。
正極活物質としては、リチウムイオンの挿入脱離が可能な物質、電池分野において正極活物質として公知のものが使用できる。
例えば、V、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、Li(NiCoMn)O(ここで、0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi1−YCo、LiCo1−YMn、LiNi1−YMn(ここで、0≦Y<1)、Li(NiCoMn)O(0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2−ZNi、LiMn2−ZCo(ここで、0<Z<2)、LiCoPO、LiFePO、酸化ビスマス(Bi)、鉛酸ビスマス(BiPb)、酸化銅(CuO)、酸化バナジウム(V13)、LiCoO,LiNiO,LiMn,LiFePO,LiCoPO,LiMn1/3Ni1/3Co1/3,LiMn1.5Ni0.5等の酸化物が挙げられる。それ以外の正極活物質としては、例えば、硫化物系では、単体硫黄(S)、硫化チタン(TiS)、硫化モリブデン(MoS)、硫化鉄(FeS、FeS)、硫化銅(CuS)及び硫化ニッケル(Ni)、硫化リチウム(LiS)、有機ジスルフィド化合物、カーボンスルフィド化合物、硫黄等が使用できる。好ましくは、高い理論容量を有するS、LiSが使用できる。
有機ジスルフィド化合物及びカーボンスルフィド化合物を以下に例示する。
式(A)〜(C)において、Xはそれぞれ置換基であり、n及びmはそれぞれ独立に1〜2の整数であり、p及びqはそれぞれ独立に1〜4の整数である。
式(D)において、Zはそれぞれ−S−又は−NH−であり、nは繰返数2〜300の整数である。
負極活物質としては、リチウムイオンの挿入脱離が可能な物質、電池分野において負極活物質として公知のものが使用できる。
例えば、炭素材料、具体的には、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、フルフリルアルコール樹脂焼成炭素、ポリアセン、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、天然黒鉛及び難黒鉛化性炭素等が挙げられる。又はその混合物でもよい。好ましくは、人造黒鉛である。
また、金属リチウム、金属インジウム、金属アルミ、金属ケイ素等の金属自体や他の元素、化合物と組合わせた合金を、負極材として用いることができる。中でも、高い理論容量を有するケイ素、スズ、リチウム金属が好ましい。
導電助剤は、導電性を有していればよく、例えば、導電率は、1×10S/cm以上が好ましく、より好ましくは1×10S/cm以上である。
導電助剤としては、炭素材料、金属粉末及び金属化合物から選択される物質や、これらの混合物が挙げられる。
導電助剤の具体例としては、炭素、ニッケル、銅、アルミニウム、インジウム、銀、コバルト、マグネシウム、リチウム、クロム、金、ルテニウム、白金、ベリリウム、イリジウム、モリブデン、ニオブ、オスニウム、ロジウム、タングステン及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも1つの元素を含む物質が好ましい。より好ましくは、導電性が高い炭素単体、炭素、ニッケル、銅、銀、コバルト、マグネシウム、リチウム、ルテニウム、金、白金、ニオブ、オスニウム又はロジウムを含む金属単体、混合物又は化合物である。
炭素材料の具体例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、デンカブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、活性炭等が挙げられる。これらは単独でも2種以上でも併用可能である。
なかでも、電子伝導性が高いアセチレンブラック、デンカブラック、ケッチェンブラックが好適である。
本発明の電解質層(シート)は、上述した本発明の固体電解質及びこれを含む電解質含有物の少なくとも一方を含む。本発明の固体電解質の他に、使用目的に応じて、上述したバインダー等を含有していてもよく、他の電解質を含んでいてもよい。
他の電解質は、ポリマー系固体電解質、酸化物系固体電解質、又は上述した電解質前駆体1である。
ポリマー系固体電解質は、特に制限はない。例えば、特開2010−262860に開示されているように、フッ素樹脂、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレートやこれらの誘導体、共重合体等の、ポリマー電解質として用いられる材料が挙げられる。
フッ素樹脂としては、例えば、フッ化ビニリデン(VdF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)や、これらの誘導体等を構成単位として含むものが挙げられる。具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のホモポリマーや、VdFとHFPとの共重合体(以下、この共重合体を「P(VdF−HFP)」と示す場合がある。)等の2元共重合体や3元共重合体、等が挙げられる。
酸化物系固体電解質には、LiN、LISICON類、Thio−LISICON類、La0.55Li0.35TiO等のペロブスカイト構造を有する結晶や、NASICON型構造を有するLiTi12、さらにこれら結晶化させた電解質等を用いることができる。
本発明の他の態様の電解質層は、上記本発明の固体電解質又は電解質含有物を用いて製造した電解質層である。
本発明の電解質層は、例えば、本発明の固体電解質、バインダー及び溶媒を含むスラリーを塗布して製造してもよく、また、粒状の固体電解質を用いて静電スクリーン印刷法により製造してもよい。
本発明の電解質層は、電池の構成層に好適である。
本発明の電池の第一の態様は、正極層、電解質層及び負極層の少なくとも一つが、本発明の固体電解質を含む。各層の製造は、公知の方法により製造することができる。
尚、上述した電解質前駆体を用いて正極層、負極層又は電解質層を製造する場合には、電解質前駆体を用いて層を形成後、上記所定の加熱条件により加熱して本発明の電池を製造することもできる。
正極層は、正極活物質と電解質と導電助剤を含むことが好ましい。また、バインダーを含んでいてもよい。これらの具体例については、上述した電解質含有物の例と同様である。
正極層において、正極活物質、電解質、導電助剤等の割合は、特に制限は無く公知の割合を用いることができる。
正極層の厚さは、0.01mm以上10mm以下であることが好ましい。
正極層は、公知の方法により製造することができる。例えば、塗布法、静電法(静電スプレー法、静電スクリーン法等)により製造することができる。
負極層は、負極活物質、電解質、及び導電助剤を含むことが好ましい。また、バインダーを含んでいてもよい。これらの具体例については、上述した電解質含有物の例と同様である。形成法や厚さは正極の場合と同様である。
電解質層は、電解質を含み、バインダーも含んでいてもよい。これらの具体例については、上述した電解質含有物の例と同様である。
電解質層の固体電解質は、融着していていることが好ましい。ここで、融着とは、固体電解質粒子の一部が溶解し、溶解した部分が他の個体電解質粒子と一体化することを意味する。
また、電解質層は、固体電解質の板状体であってもよい。尚、固体電解質粒子の一部又は全部が溶解し、板状体になっている場合も含む。
電解質層の厚さは、0.001mm以上1mm以下であることが好ましい。
尚、電解質及びバインダーは正極層と同様であることからその説明を省略する。
本発明の電池は、正極層、電解質層及び負極層の他に集電体を使用することが好ましい。集電体は公知のものを用いることができる。例えば、Au、Pt、Al、Ti、又は、Cu等のように、硫化物系固体電解質と反応するものをAu等で被覆した層が使用できる。
本発明の電池の第二の態様は、正極層、電解質層及び負極層の少なくとも一つが、上記本発明の固体電解質及び電解質含有物の少なくとも1つを用いて製造された電池である。
本態様では、正極層、電解質層及び負極層の少なくとも一つが本発明の固体電解質又は電解質含有物を用いて製造されておればよく、その他については、上述した第一の態様と同様である。
尚、本発明の電池について、主にリチウム系電解質を用いた例について説明したが、本発明は、リチウムイオン電池に限定されない。例えば、ナトリウム系等のアルカリ金属系電解質、マグネシウム系等の二価カチオン系電解質等を使用してもよい。これらの場合も、本発明の効果が得られる。
以下、本発明を実施例により、さらに詳細に説明する。尚、試料の測定方法は以下のとおりである。
(1)31P−NMRスペクトルの測定
日本電子(株)製JNM−CMXP302NMR装置に、5mmCP/MASプローブを取り付け室温で行った。31P−NMRスペクトルは、シングルパルス法を用い、90°パルス4μs、マジック角回転の回転数8.6kHzで測定した。
化学シフトは、リン酸水素アンモニウムを外部標準(1.3ppm)として用いることにより測定した。測定範囲は、0ppm〜150ppmである。
(2)イオン伝導度(σ)
試料を断面10mmφ(断面積S=0.785cm)、高さ(L)0.1〜0.3cmの形状に成形し、その試料片の上下から電極端子を取り、交流インピーダンス法により測定し(周波数範囲:5MHz〜0.5Hz、振幅:10mV)、Cole−Coleプロットを得た。高周波側領域に観測される円弧の右端付近で、−Z’’(Ω)が最小となる点での実数部Z’(Ω)を電解質のバルク抵抗R(Ω)とし、以下式に従い、イオン伝導度σ(S/cm)を計算した。
R=ρ(L/S)
σ=1/ρ
本願ではリードの距離を約60cmとして測定した。
(3)硫化水素濃度平均値(ppm)
図2に示す測定装置を使用した。
測定試料を、露点−80℃の環境の窒素グローボックス内にて乳鉢でよく粉砕した。測定試料0.1gを100mlシュレンク瓶内に封入した。
次に、シュレンク瓶内に一旦水中に通した空気(ウェットエア)を500ml/分で流通させた。ウェットエアの温度は25℃、湿度は80〜90%であった。
流通開始1分後〜1分45秒後の間にシュレンク瓶から排出されたガスを捕集して第一サンプルガスとし、三菱化学アナリテック製TS−100を用いて、紫外蛍光法により硫黄分を定量して、サンプルガスの硫化水素濃度を算出した。尚、サンプルガスをアジレント6890(硫黄選択検出器(SIEVERS355)付)を用いてガスクロマトグラフにて定性分析したところ、硫黄分はその99%以上硫化水素ガスになっていることを確認した。
流通開始5分後〜5分45秒後、流通開始10分後〜10分45秒後、流通開始20分後〜20分45秒後、流通開始60分後〜60分45秒後にシュレンク瓶から排出されたガスについても、第一サンプルガスと同様に測定した。
硫化水素濃度と測定時間から硫化水素濃度平均値(ppm)を求めた。
製造例1[硫化リチウム(LiS)の製造]
硫化リチウムの製造及び精製は、国際公開公報WO2005/040039A1の実施例と同様に行った。具体的には、下記のとおりである。
(1)硫化リチウムの製造
撹拌翼のついた10リットルオートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpm、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。
続いて、この反応液を窒素気流下(200cc/分)昇温し、反応した硫化水素の一部を脱硫化水素化した。昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。脱硫化水素反応が終了後(約80分)反応を終了し、硫化リチウムを得た。
(2)硫化リチウムの精製
上記(1)で得られた500mLのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。さらにNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、その温度のままNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。得られた硫化リチウム中の不純物含有量を測定した。
尚、亜硫酸リチウム(LiSO)、硫酸リチウム(LiSO)並びにチオ硫酸リチウム(Li)の各硫黄酸化物、及びN−メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)の含有量は、イオンクロマトグラフ法により定量した。その結果、硫黄酸化物の総含有量は0.13質量%であり、LMABは0.07質量%であった。
製造例2[電解質前駆体(硫化物系ガラス:LiS/P=75/25):MM法]
製造例1で製造した硫化リチウムを用いて、国際公開公報WO07/066539の実施例1に準拠した方法で電解質前駆体(硫化物系ガラス)を製造した。
具体的に、製造例1で製造した硫化リチウム0.383g(0.00833mol)と五硫化二リン(アルドリッチ社製)を0.618g(0.00278mol)をよく混合した。そして、この混合した粉末と直径10mmのジルコニア製ボール10ケと遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−7)アルミナ製ポットに投入し完全密閉するとともにこのアルミナ製ポット内に窒素を充填し、窒素雰囲気にした。
はじめの数分間は、遊星型ボールミルの回転を低速回転(100rpm)にして硫化リチウムと五硫化二リンを十分混合した。その後、徐々に遊星型ボールミルの回転数を上げ370rpmまで回転数を上げた。遊星型ボールミルの回転数を370rpmで20時間メカニカルミリングを行った。このメカニカルミリング処理をした白黄色の粉体をX線測定により評価した結果、ガラス化(硫化物ガラス)していることが確認できた。31P−NMR測定を行ったところ、83.0ppmにメインピークを示した。
イオン伝導度は、1.3×10−4S/cmであった。また、硫化水素濃度平均値は、20.2ppmであった。
得られた試料の31P−NMR測定結果、イオン伝導度σ、硫化水素濃度平均値を表1に示す。また、ガラス転移温度(Tg)及び結晶化温度(Tc)を表2に示す。
尚、ガラス転移温度(Tg)及び結晶化温度(Tc)の測定は、示差走査熱量測定装置(パーキンエルマー社製Diamond DSC)により10℃/分で測定した。
製造例3[電解質前駆体(硫化物系ガラス:LiS/P=70/30)MM法]
硫化リチウムの量を0.325g(0.00707mol)、五硫化二リンの量を0.675g(0.00303mol)とした以外は製造例2と同様にして硫化物系ガラスを得た。得られた試料の31P−NMR測定結果、イオン伝導度σ、硫化水素濃度平均値を表1に、Tg及びTcを表2に示す。
参考例1[固体電解質(硫化物系ガラス:LiS/P/LiI=63/21/16)MM法]
原料として、製造例2で得られた硫化物系ガラス0.781g、よう化リチウム(アルドリッチ社製)0.221gを用いた以外は、製造例2と同様にして硫化物系ガラス(固体電解質)を得た。得られた試料の31P−NMR測定結果、イオン伝導度σ、硫化水素濃度平均値を表1に、Tg及びTcを表2に示す。
参考例2[固体電解質(硫化物系ガラス:LiS/P/LiI=63/21/16)MM法]
原料として、硫化リチウム0.299g(0.0065mol)、五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.482g(0.00217mol)、よう化リチウム(アルドリッチ社製)0.221g(0.00165mol)を用いた以外は、製造例2と同様にして硫化物系ガラス(固体電解質)を得た。得られた試料の31P−NMR測定結果、イオン伝導度σ、硫化水素濃度平均値を表1に、Tg、Tc及びTc2を表2に示す。
参考例3[固体電解質(硫化物系ガラス:LiS/P/LiI=52/17/31)MM法]
原料として、製造例2で得られた硫化物系ガラス0.600g、よう化リチウム0.400gを用いた以外は、製造例2と同様にして硫化物系ガラス(固体電解質)を得た。得られた試料の31P−NMR測定結果、イオン伝導度σ、硫化水素濃度平均値を表1に、Tg、Tc及びTc2を表2に示す。
参考例
参考例1で得られた固体電解質(硫化物系ガラス)0.5gをSUS製容器に投入し、予め温度210℃に制御したオーブンにセットした。そのまま2時間放置後、空冷し、硫化物系固体電解質を得た。31P−NMR測定を行ったところ、90ppmと77ppmにピークを示し、その強度比(I/I)は2.5であった。105ppm付近、45ppm付近にもピークが見られたが、77ppmのピークの4分の1以下と非常に小さいものであった。得られた固体電解質のイオン伝導度σ、硫化水素濃度平均値を表3に示す。
参考例
参考例1で得られた硫化物系ガラス0.5gを、温度210℃に制御されたオーブン内で、予め210℃に加熱された2枚のステンレス板の間にすばやく挟み、10分間放置した。加熱した金属板に挟むことにより、試料は約2分で210℃に達する。尚、参考例4では試料が所定温度に達するまでに数十分かかる。本操作により得られた固体電解質の31P−NMRの測定結果、イオン伝導度σ、硫化水素濃度平均値を表3に示す。
図4に参考例1で得られた固体電解質及び参考例5で得られた固体電解質の31P−NMRスペクトルを示す。
参考例
熱処理条件を250℃、10分とした以外は、参考例5と同様にして固体電解質を製造した。得られた試料の31P−NMRの測定結果、イオン伝導度σ、硫化水素濃度平均値を表3に示す。
参考例
参考例2で得られた硫化物系ガラスを用いた以外は、参考例4と同様にして固体電解質を製造した。得られた試料の31P−NMRの測定結果、イオン伝導度σ、硫化水素濃度平均値を表3に示す。
参考例
実施例2で得られた硫化物系ガラスを用いた以外は、参考例5と同様にして固体電解質を製造した。得られた試料の31P−NMRの測定結果、イオン伝導度σ、硫化水素濃度平均値を表3に示す。
参考例
参考例3で得られた硫化物系ガラスを用いた以外は、参考例5と同様にして固体電解質を製造した。得られた試料の31P−NMRの測定結果、イオン伝導度σ、硫化水素濃度平均値を表3に示す。
比較例1
製造例2で得られた硫化物系ガラスを用い、熱処理温度を300℃とした以外は、参考例4と同様に操作を行った。得られた試料の31P−NMRの測定結果、イオン伝導度σ、硫化水素濃度平均値を表3に示す。
比較例2
製造例3で得られた硫化物系ガラスを用い、熱処理温度を300℃とした以外は、参考例4と同様に操作を行った。得られた試料の31P−NMRの測定結果、イオン伝導度σ、硫化水素濃度平均値を表3に示す。
参考例1〜9の硫化物系固体電解質は、いずれも、イオン伝導度σが2×10−4S/cm以上と非常に高いものであった。
また、参考例1〜9の硫化物系固体電解質は、いずれも、耐加水分解性に優れているため、従来よりも高い露点環境で使用できる可能性がある。このように、耐加水分解性に優れた硫化物系固体電解質は、これまで知られていない。比較例1の硫化物系固体電解質は、耐加水分解性に優れるが、イオン伝導度が低く、電池用途に適さない。
比較例2の硫化物系固体電解質は、高いイオン伝導度を示すが、耐加水分解性が悪く、作業環境を低露点に保つ必要がある。
実施例10
(1)固体電解質(硫化物系ガラス:LiS/P/LiBr=64/21/14、MM法)の製造
製造例1で製造した硫化リチウムを用いて、国際公開公報WO07/066539の実施例1に準拠した方法で固体電解質(硫化物系ガラス)を製造した。
原料として、硫化リチウム0.333g(0.00725mol)、五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.532g(0.00239mol)、臭化リチウム(アルドリッチ社製)0.140g(0.00161mol)をよく混合した。そして、この混合した粉末と直径10mmのジルコニア製ボール10ケと遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−7)アルミナ製ポットに投入し完全密閉するとともにこのアルミナ製ポット内にアルゴンを充填し、アルゴン雰囲気にした。
はじめの数分間は、遊星型ボールミルの回転を低速回転(100rpm)にして硫化リチウムと五硫化二リンを十分混合した。その後、徐々に遊星型ボールミルの回転数を上げ370rpmまで回転数を上げた。遊星型ボールミルの回転数を370rpmで20時間メカニカルミリングを行い、固体電解質である白黄色の粉体を得た。
得られた固体電解質について、イオン伝導度(熱処理前)及びTG−DTA(熱重量測定装置)により結晶化温度(Tc)を測定した。結果を表4に示す。結晶化温度はメトラートレド社製TGA−DSC1を用いて測定した。
(2)固体電解質(硫化物系ガラスセラミックス)の製造
得られた硫化物系ガラス0.5gを、温度230℃に制御したオーブン内で、予め230℃に加熱された2枚のステンレス板の間にすばやく挟み、10分間放置することで硫化物系固体電解質を得た。加熱した金属板に挟むことにより、試料は約2分で230℃に達する。
得られた固体電解質のイオン伝導度(熱処理後)を評価した。結果を表4に示す。得られた試料の31P−NMR結果を図5に示す。第一ピークの位置(ショルダーピークとして現れた)は77.7ppm、第二ピーク位置は88.0ppm、他のピークの位置は107.7ppm、I2/I1は2.57、Ic/I1は0.27であった。
比較例3
(1)固体電解質(硫化物系ガラス:LiS/P=75/25):MM法)の製造
原料として硫化リチウム0.383g(0.00833mol)と五硫化二リン(アルドリッチ社製)を0.618g(0.00278mol)を用いた以外は実施例10と同様にして硫化物系ガラスを製造した。
得られた硫化物系ガラスについて、TG−DTAにより、結晶化温度(Tc)を測定した。結果を表4に示す。尚、得られた硫化物系ガラスのイオン伝導度は、1.3×10−4S/cmであった。
(2)固体電解質(硫化物系ガラスセラミックス)の製造
得られた硫化物系ガラスの粉末を、公開特許公報2005−228570Aに従い260℃まで10℃/minで昇温後、室温まで冷却することで硫化物系固体電解質を得た。
得られた固体電解質のイオン伝導度を評価した。結果を表4に示す
実施例11
(1)固体電解質(硫化物系ガラス:LiS/P/LiBr=64/21/14、MM法)の製造
実施例10と同様にして硫化物系ガラスを製造した。
得られた硫化物系ガラスについて、イオン伝導度σ、及びTG−DTAにより結晶化温度(Tc)を測定した。結果を表4に示す。
(2)固体電解質(硫化物系ガラスセラミックス)の製造
得られた硫化物系ガラス0.5gをSUS製容器に投入し、予め温度230℃に制御したオーブンにセットした。そのまま2時間放置後、空冷し、硫化物系固体電解質を製造した。尚、試料が所定温度に達するまでに数十分かかる。
得られた固体電解質のイオン伝導度σを評価した。結果を表4に示す
実施例12
(1)固体電解質(硫化物系ガラス:LiS/P/LiBr=64/21/14、MM法)の製造
原料として、比較例3で得られた硫化物系ガラス0.864g、臭化リチウム(アルドリッチ社製)0.140gを用いた以外は、実施例10と同様にして硫化物系ガラスを製造した。
得られた硫化物系ガラスについて、イオン伝導度σ、及びTG−DTAにより結晶化温度(Tc)を測定した。結果を表4に示す。
(2)固体電解質(硫化物系ガラスセラミックス)の製造
得られた硫化物系ガラスを実施例10と同様の加熱処理を実施して硫化物系固体電解質を製造した。
得られた固体電解質のイオン伝導度を評価した。結果を表4に示す
比較例4
(1)電解質前駆体(硫化物系ガラス:LiS/P=70/30、MM法)の製造
硫化リチウムの量を0.325g(0.00707mol)、五硫化二リンの量を0.675g(0.00303mol)とした以外は実施例10と同様にして硫化物系ガラスを製造した。
得られた硫化物系ガラスについて、イオン伝導度σ、及びTG−DTAにより結晶化温度(Tc)を測定した。結果を表4に示す。
(2)固体電解質(硫化物系ガラスセラミックス)の製造
得られた硫化物系ガラスの粉末を、公開特許公報2005−228570Aに従い260℃まで10℃/minで昇温後、室温まで冷却することで硫化物系固体電解質を製造した。
得られた固体電解質のイオン伝導度を評価した。結果を表4に示す
実施例13
(1)固体電解質(硫化物系ガラス:LiS/P/LiBr=69/23/7.5、MM法)の製造
原料として、硫化リチウム0.358g(0.00779mol)、五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.573g(0.00258mol)、臭化リチウム(アルドリッチ社製)0.073g(0.00084mol)を用いた以外は、実施例10と同様にして硫化物系ガラスを製造した。
得られた硫化物系ガラスについて、イオン伝導度σ、及びTG−DTAにより結晶化温度(Tc)を測定した。結果を表4に示す。
(2)固体電解質(硫化物系ガラスセラミックス)の製造
得られた硫化物系ガラスを、加熱温度を240℃とした他は実施例10と同様の加熱処理を実施して硫化物系固体電解質を製造した。
得られた固体電解質のイオン伝導度σを評価した。結果を表4に示す
実施例14
(1)固体電解質(硫化物系ガラス:LiS/P/LiBr=58/19/23、MM法)の製造
原料として、硫化リチウム0.302g(0.00657mol)、五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.482g(0.00217mol)、臭化リチウム(アルドリッチ社製)0.220g(0.00253mol)を用いた以外は、実施例10と同様にして硫化物系ガラスを製造した。
得られた硫化物系ガラスについて、イオン伝導度、及びTG−DTAにより結晶化温度(Tc)を測定した。結果を表4に示す。
(2)固体電解質(硫化物系ガラスセラミックス)の製造
得られた硫化物系ガラスを、加熱温度を220℃とした他は実施例10と同様の加熱処理を実施して硫化物系固体電解質を製造した。
得られた固体電解質のイオン伝導度σを評価した。結果を表4に示す
参考例15
(1)固体電解質(硫化物系ガラス:LiS/P/LiBr=52/17/31、MM法)の製造
原料として、硫化リチウム0.270g(0.00588mol)、五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.431g(0.00194mol)、臭化リチウム(アルドリッチ社製)0.302g(0.00348mol)を用いた以外は、実施例10と同様にして硫化物系ガラスを製造した。
得られた硫化物系ガラスについて、イオン伝導度σ、及びTG−DTAにより結晶化温度(Tc)を測定した。結果を表4に示す。
(2)固体電解質(硫化物系ガラスセラミックス)の製造
得られた硫化物系ガラスを、加熱温度を200℃とした他は実施例10と同様の加熱処理を実施して硫化物系固体電解質を製造した。
得られた固体電解質のイオン伝導度σを評価した。結果を表4に示す
(3)硫化水素濃度平均値の評価
実施例10及び13並びに比較例3及び4について前述の方法で硫化水素濃度平均値を評価した。結果を表5に示す。
実施例10〜15の硫化物系固体電解質は、いずれも、イオン伝導度σが1x10−4S/cm以上と非常に高いものであった。また、耐加水分解性に優れているため、従来よりも高い露点環境で使用できる可能性がある。このように、耐加水分解性に優れた硫化物系固体電解質は、これまで知られていない
一方、比較例3の硫化物系固体電解質は、耐加水分解性に優れるが、イオン伝導度が低く、電池用途に適さず、比較例4の硫化物系固体電解質は、高いイオン伝導度を示すが、耐加水分解性が悪く、作業環境を低露点に保つ必要がある。
参考例16
(1)固体電解質(硫化物系ガラス:LiS/P/LiCl=64/21/14、MM法)の製造
原料として、硫化リチウム0.359g(0.00773mol)、五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.574g(0.00258mol)、塩化リチウム(アルドリッチ社製)0.072g(0.00175mol)を用いた以外は、実施例10と同様にして硫化物系ガラスを製造した。
得られた硫化物系ガラスについて、TG−DTAにより結晶化温度(Tc)を測定した。結果を表6に示す。
(2)固体電解質(硫化物系ガラスセラミックス)の製造
得られた硫化物系ガラスを実施例10と同様の加熱処理を実施して硫化物系固体電解質を製造した。
得られた固体電解質のイオン伝導度σを評価した。結果を表6に示す
(3)硫化水素濃度平均値の評価
実施例16について前述の方法で硫化水素濃度平均値を評価した。結果は7.4ppmであった。
参考例17
(1)固体電解質(硫化物系ガラス:LiS/P/LiCl=69/23/7.5、MM法)の製造
原料として、硫化リチウム0.373g(0.00804mol)、五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.596g(0.00268mol)、塩化リチウム(アルドリッチ社製)0.036g(0.00086mol)を用いた以外は、実施例10と同様にして硫化物系ガラスを製造した。
得られた硫化物系ガラスについて、TG−DTAにより結晶化温度(Tc)を測定した。結果を表6に示す。
(2)固体電解質(硫化物系ガラスセラミックス)の製造
得られた硫化物系ガラスを、加熱温度を230℃とした他は実施例10と同様の加熱処理を実施して硫化物系固体電解質を製造した。
得られた固体電解質のイオン伝導度を評価した。結果を表6に示す。
参考例18
(1)固体電解質(硫化物系ガラス:LiS/P/LiCl=58/19/23、MM法)の製造
原料として、硫化リチウム0.341g(0.00735mol)、五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.546g(0.00245mol)、塩化リチウム(アルドリッチ社製)0.119g(0.00286mol)を用いた以外は、実施例10と同様にして硫化物系ガラスを製造した。
得られた硫化物系ガラスについて、TG−DTAにより結晶化温度(Tc)を測定した。結果を表6に示す。
(2)固体電解質(硫化物系ガラスセラミックス)の製造
得られた硫化物系ガラスを、加熱温度を230度とした他は実施例10と同様の加熱処理を実施して硫化物系固体電解質を製造した。
得られた固体電解質のイオン伝導度を評価した。結果を表6に示す
参考例19
(1)固体電解質(硫化物系ガラス:LiS/P/LiCl=52/17/31、MM法)の製造
原料として、硫化リチウム0.321g(0.00691mol)、五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.513g(0.00230mol)、臭化リチウム(アルドリッチ社製)0.171g(0.00413mol)を用いた以外は、実施例10と同様にして硫化物系ガラスを製造した。
得られた硫化物系ガラスについて、TG−DTAにより結晶化温度(Tc)を測定した。結果を表6に示す。
(2)固体電解質(硫化物系ガラスセラミックス)の製造
得られた硫化物系ガラスを、加熱温度を230度とした他は実施例10と同様の加熱処理を実施して硫化物系固体電解質を製造した。
得られた固体電解質のイオン伝導度σを評価した。結果を表6に示す
実施例20
(1)固体電解質(硫化物系ガラス:LiS/P/PBr=76/19/5、MM法)の製造
アルゴン雰囲気下において、製造例1で製造した硫化リチウム0.388g(0.00844mol)と五硫化二リン(アルドリッチ社製)0.471g(0.00212mol)を、LiS/P=80/20(mol/mol)となるように混合し、さらに三臭化リン0.160g(0.00058mol)を滴下し、よく混合した。そして、この混合した粉末と直径10mmのアルミナ製ボール10コと遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−7)をアルミナ製ポットに投入しアルゴン雰囲気のまま完全密閉した。
はじめの数分間は、遊星型ボールミルの回転を低速回転(100rpm)にして硫化リチウムと五硫化二リンと三臭化リンとを十分混合した。その後、徐々に遊星型ボールミルの回転数を上げ370rpmまで回転数を上げた。遊星型ボールミルの回転数を370rpmで20時間メカニカルミリングを行い、粉体を得た。得られた固体電解質について、熱重量測定装置(メトラートレド社製TGA/DSC1)により10℃/分で測定したところ、結晶化ピークは220℃であった。また、第二結晶化ピークは287℃付近に現れた。
(2)固体電解質(硫化物系ガラスセラミックス)の製造
得られた硫化物系ガラス0.5gを、温度240℃に制御したオーブン内で、予め240℃に加熱された2枚のステンレス板の間にすばやく挟み、10分間放置することで硫化物系固体電解質を得た。加熱した金属板に挟むことにより、試料は約2分で240℃に達する。
得られた固体電解質のイオン伝導度σを評価したところ8x10−4S/cmであった。
得られた試料の31P−NMR測定では、第一ピークの位置(ショルダーピークとして現れた)は78.3ppm、第二ピーク位置は88.0ppm、他のピークの位置は107.9ppm、I2/I1は2.40、Ic/I1は0.42であった。
た、この化合物の組成はLi3.56PS3.95Br0.36である。
(3)硫化水素濃度平均値の評価
前述の方法で硫化水素濃度平均値を評価した。硫化水素平均発生濃度は38.3ppmであり比較例3と同等であり比較的少ない発生量であった。
本発明の固体電解質及び電解質含有物は、正極層、電解質層、負極等、電池の構成材料として好適である。
11 測定試料
12 シュレンク瓶
13 流量計
14 水槽
15 ガス採集部
16 トラップ

Claims (15)

  1. 構成成分として、リチウムと、リンと、硫黄と、臭素と、を含み、
    前記構成成分を、LiS、P及びLiBrで換算したときのLiBrの含有率が7.5〜23モル%であり、かつ、
    下記式(A’)に示す組成を有する、結晶化固体電解質。
    LaPcSdXe…(A’)
    (式中、Lはリチウムを示し、XはI,Cl,Br及びFから選択される1以上であって、かつ少なくともBrを含むハロゲン元素を示す。a、c〜eは、0<a≦12、c=1、0<d≦9、0<e≦9を満たす。)
  2. イオン伝導度が3×10−4S/cm以上である請求項に記載の結晶化固体電解質。
  3. 加水分解試験による硫化水素濃度平均値が200ppm以下である請求項1又は2に記載の結晶化固体電解質。
  4. 前記a、c〜eが、a:c:d:e=2〜6.5:1:3.5〜4.95:0.1〜1.5を満たす、請求項1〜のいずれかに記載の結晶化固体電解質。
  5. 前記dが4である請求項1〜のいずれかに記載の結晶化固体電解質。
  6. 前記XがBrである請求項1〜のいずれかに記載の結晶化固体電解質。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の結晶化固体電解質を含む電解質層。
  8. 正極層、電解質層及び負極層の少なくとも一つが、請求項1〜のいずれかに記載の結晶化固体電解質を含む電池。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の結晶化固体電解質の製造方法であって、
    構成成分として、リチウムと、リンと、硫黄と、臭素と、を含み、
    前記構成成分を、LiS、P及びLiBrで換算したときのLiBrの含有率が7.5〜23モル%であり、かつ、下記式(A’)に示す組成を有する固体電解質を、
    190℃以上240℃以下で加熱する、結晶化固体電解質の製造方法。
    LaPcSdXe…(A’)
    (式中、Lはリチウムを示し、XはI,Cl,Br及びFから選択される1以上であって、かつ少なくともBrを含むハロゲン元素を示す。a、c〜eは、0<a≦12、c=1、0<d≦9、0<e≦9を満たす。)
  10. 前記固体電解質を200℃以上240℃以下で加熱する、請求項9に記載の結晶化固体電解質の製造方法。
  11. 硫化リチウムと、硫化リンと、Brを含む化合物と、を反応させて前記固体電解質を製造する、請求項9又は10に記載の結晶化固体電解質の製造方法。
  12. 前記Brを含む化合物がLiBrである、請求項11に記載の結晶化固体電解質の製造方法。
  13. 前記硫化リンが五硫化二リンである、請求項11又は12に記載の結晶化固体電解質の製造方法。
  14. 前記硫化リチウムと前記五硫化二リンのモル比が60:40〜90:10である請求項13に記載の結晶化固体電解質の製造方法。
  15. 前記硫化リチウムと前記五硫化二リンのモル比が72:28〜78:22である請求項13に記載の結晶化固体電解質の製造方法。
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