JP5898965B2 - 硫化物系固体電解質組成物 - Google Patents

硫化物系固体電解質組成物 Download PDF

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Description

本発明は、硫化物系固体電解質組成物に関する。
現行のリチウムイオン電池は、電解質として有機系電解液が主に用いられている。
有機系電解液は高いイオン伝導度を示すものの、電解液が液体でかつ可燃性であることから、電池として用いた場合に、漏洩、発火等の危険性が懸念されている。従って、次世代リチウムイオン電池用電解質として、より安全性の高い固体電解質の開発が期待されている。
上記の課題を解決するために、硫黄元素、リチウム元素及びリン元素を主成分として含有する硫化物系固体電解質が提案されている(例えば、特許文献1)。この電解質は固体であるため、液系電解質のような漏洩等の問題がない。
しかしながら、硫化物系固体電解質は、水分と接触することで硫化水素を発生させ、電池を劣化させてしまうという問題があった。
特開平11−134937号公報
本発明の目的は、イオン伝導度が高く、硫化物系固体電解質の硫化水素の発生量を低減できる硫化物系固体電解質組成物を提供することである。
本発明によれば、以下の硫化物系固体電解質組成物等が提供される。
1.硫化物系固体電解質と、
アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を含むハロゲン化物、又はアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属と硫黄を含む化合物とを含み、
イオン伝導度が1×10−4S/cm以上である硫化物系固体電解質含有組成物であって、
0.1gを100ccのコック付二口フラスコに秤量し、一旦水中に通した空気を500ml/分で流通させるとともにコック付二口フラスコを通過したガスを捕集し、紫外蛍光法によりイオウ分を定量することにより測定した硫化水素の発生量が1000ppm以下である硫化物系固体電解質含有組成物。
2.前記硫化物系電解質が、下記式(1)を満たす1に記載の硫化物系固体電解質組成物。
Li …(1)
(式中、MはB、Zn、Si、Cu、Ga及びGeから選択される1以上の元素を示す。
a〜dは、各元素の組成比を示し、a:b:c:dは1〜12:0〜0.5:1:2〜9を満たす。)
3.下記式(2)を満たす1又は2に記載の硫化物系固体電解質組成物。
0.001≦x/y≦0.6 …(2)
(式中、xは前記アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を含むハロゲン化物、又はアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属と硫黄を含む化合物の重量[g]を示し、yは前記硫化物系固体電解質の重量[g]を示す。)
4.1〜3のいずれかに記載の硫化物系固体電解質組成物を含む電極材料。
5.1〜3のいずれかに記載の硫化物系固体電解質組成物から製造された電極材料。
6.1〜3のいずれかに記載の硫化物系固体電解質組成物を含む電極及び電解質層の少なくとも1つを備える電池。
7.1〜3のいずれかに記載の硫化物系固体電解質組成物から製造された電極及び電解質層の少なくとも1つを備える電池。
本発明によれば、イオン伝導度が高く、硫化物系固体電解質の硫化水素の発生量を低減できる硫化物系固体電解質組成物が提供できる。
[硫化物系固体電解質組成物]
本発明の硫化物系固体電解質組成物は、硫化物系固体電解質と、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を含むハロゲン化物、又はアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属と硫黄を含む化合物とを含む組成物である。
組成物が、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を含むハロゲン化物、又はアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属と硫黄を含む化合物を含むことで、硫化物系固体電解質からの硫化水素の発生を抑制することができる。
本発明の組成物の硫化水素の発生量は、組成物0.1g当り、1000重量ppm以下であり、好ましくは950重量ppm以下であり、
より好ましくは900重量ppm以下、さらに好ましくは90重量ppm以下であり、最も好ましくは70重量ppm以下である。
尚、硫化水素の発生量の下限は特に限定されないが、例えば0重量ppmである。
上記硫化水素の発生量は、以下の方法により測定する。
窒素雰囲気下、本発明の組成物0.1gをコック付二口フラスコに秤量し、これに、一旦水中に通した空気(湿度80−90%)を500ml/分で流通させるとともにコック付二口フラスコを通過したガスを捕集し、紫外蛍光法によりイオウ分を定量することで、硫化水素ガス濃度を算出する。
本発明の組成物のイオン伝導度は、1×10−4S/cm以上であり、好ましくは1.5×10−4S/cm以上であり、より好ましくは2.0×10−4S/cm以上である。組成物のイオン伝導度が1×10−4S/cm以上であることで、組成物を用いて製造した全固体リチウム電池の電池性能を高めることができる。
組成物のイオン伝導度は、例えば、組成物0.1gを、5MPaで直径1cmの錠剤状に加圧成型し、得られたペレット両面にグラファイト0.01gを電極として貼り付けるようにさらに5MPaで加圧成型してペレット状固体電解質シートとし、当該シートを交流インピーダンス法(測定周波数10Hz〜5MHz)にて測定することで分かる。
以下、本発明の組成物の各成分について説明する。
[硫化物系固体電解質]
硫化物系固体電解質は、硫黄原子(S)を含むイオン伝導性物質であり、好ましくはイオン伝導度が1.0×10−4S/cm以上であり、より好ましくは1.5×10−4S/cm以上である。
硫化物系固体電解質は、好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金属を含み、当該アルカリ金属又はアルカリ土類金属のイオン伝導性を有する硫化物系固体電解質である。
上記アルカリ金属としては例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムを挙げることができる。また、上記アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムを挙げることができる。
上記アルカリ金属又はアルカリ土類金属は、好ましくはリチウム又はナトリウムであり、より好ましくはリチウムである。
硫化物系固体電解質が含むリチウムとしては、例えば、LiBr、LiI、LiCl、LiF、LiSH等が挙げられ、これらリチウム化合物の純度は90%以上が好ましい。
硫化物系固体電解質は、非晶質である硫化物系固体電解質ガラスでも結晶化した硫化物系固体電解質ガラスセラミックスのどちらでもよいが、イオン伝導度を高くする観点からはLi11結晶構造を有するガラスセラミックスが好ましく、硫化水素の発生量を低減する観点からは、LiPS構造を有するガラス又はLiPS構造を有するガラスセラミックスが好ましい。
硫化物系固体電解質であるガラス粒子及び/又はガラスセラミックス粒子は、好ましくは下記式(1)に示す組成を満たすリチウムイオン伝導性無機固体電解質である。
Li (1)
式(1)において、MはB、Zn、Si、Cu、Ga又はGeから選択される元素を示す。
a〜dは各元素の組成比を示し、a:b:c:dは1〜12:0〜0.5:1:2〜9を満たす。
好ましくはbは0であり、より好ましくはa、c及びdの比(a:c:d)がa:c:d=1〜9:1:3〜7、さらに好ましくはa:c:d=1.5〜4:1:3.25〜4.5である。
各元素の組成比は、ガラス粒子及びガラスセラミックス粒子を製造する際の原料化合物の配合量を調整することにより制御できる。
硫化物系固体電解質は、少なくともリチウム(Li)、リン(P)及び硫黄(S)を含み、例えば、硫化リチウムと五硫化二リン、又は硫化リチウムと単体リン及び単体硫黄、さらには硫化リチウム、五硫化二リン、単体リン及び/又は単体の硫黄等の原料から製造できる。
上記硫化物系固体電解質はさらに難燃処理を施したものでもよい。
硫化物系固体電解質は、イオン伝導度を向上させる観点からは、結晶化度が50%以上の硫化物系固体電解質ガラスセラミックスが好ましい。硫化物系固体電解質の結晶化度が50%以上の場合は、結晶化によるイオン伝導度の向上をよりえることができるからである。
また、硫化物系ガラスセラミックス固体電解質と硫化物系ガラス固体電解質の混合物でもよい。
結晶化度は、NMRスペクトル装置を用いることにより測定できる。具体的には、硫化物系固体電解質の固体31P−NMRスペクトルを測定し、得られたスペクトルについて、70−120ppmに観測される共鳴線を、非線形最少二乗法を用いたガウス曲線に分離し、各曲線の面積比を求めることにより測定できる。
硫化物系固体電解質は、硫化リチウム、五硫化二リン、単体リン及び/又は単体の硫黄等の原料から製造することが好ましい。
硫化リチウムは、特に制限なく工業的に入手可能なものが使用できるが、高純度のものが好ましい。
好ましくは、硫化リチウムは、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下であり、かつN−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であると、溶融急冷法やメカニカルミリング法で得られる固体電解質は、ガラス状電解質(完全非晶質)となる。一方、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%を越えると、得られる電解質は、最初から結晶化物となるおそれがあり、この結晶化物のイオン伝導度は低い。さらに、この結晶化物について熱処理を施しても結晶化物には変化がなく、高イオン伝導度の硫化物系固体電解質を得ることができないおそれがある。
また、N−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であると、N−メチルアミノ酪酸リチウムの劣化物がリチウムイオン電池のサイクル性能を低下させることがない。このように不純物が低減された硫化リチウムを用いると、高イオン伝導性電解質が得られる。
硫化リチウムの製造法としては、少なくとも上記不純物を低減できる方法であれば特に制限はない。例えば、以下の方法a〜cで製造された硫化リチウムを精製することにより得ることができる。以下の製造法の中では、特にa又はbの方法が好ましい。
a.非プロトン性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを0〜150℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を150〜200℃で脱硫化水素化する方法(特開平7−330312号公報参照)。
b.非プロトン性有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを150〜200℃で反応させ、直接硫化リチウムを生成する方法(特開平7−330312号公報参照)。
c.水酸化リチウムとガス状硫黄源を130〜445℃の温度で反応させる方法(特開平9−283156号公報参照)。
上記のようにして得られた硫化リチウムの精製方法としては、特に制限はない。好ましい精製法としては、例えば、国際公開WO2005/40039号に記載された精製法等が挙げられる。具体的には、上記のようにして得られた硫化リチウムを、有機溶媒を用い、100℃以上の温度で洗浄する。
洗浄に用いる有機溶媒は、非プロトン性極性溶媒であることが好ましく、さらに、硫化リチウム製造に使用する非プロトン性有機溶媒と洗浄に用いる非プロトン性極性有機溶媒とが同一であることがより好ましい。
洗浄に好ましく用いられる非プロトン性極性有機溶媒としては、例えば、アミド化合物、ラクタム化合物、尿素化合物、有機硫黄化合物、環式有機リン化合物等の非プロトン性の極性有機化合物が挙げられ、単独溶媒、又は混合溶媒として好適に使用することができる。特に、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)は、良好な溶媒に選択される。
洗浄に使用する有機溶媒の量は特に限定されず、また、洗浄の回数も特に限定されないが、2回以上であることが好ましい。洗浄は、窒素、アルゴン等の不活性ガス下で行うことが好ましい。
洗浄された硫化リチウムを、洗浄に使用した有機溶媒の沸点以上の温度で、窒素等の不活性ガス気流下、常圧又は減圧下で、5分以上、好ましくは約2〜3時間以上乾燥することにより、本発明で用いられる硫化リチウムを得ることができる。
五硫化二リン(P)は、工業的に製造され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。尚、Pに代えて、相当するモル比の単体リン(P)及び単体硫黄(S)を用いることもできる。単体リン(P)及び単体硫黄(S)は、工業的に生産され、販売されているものであれば、特に限定なく使用することができる。
硫化リチウムと、五硫化二リン又は単体リン及び単体硫黄の混合モル比は、通常50:50〜80:20、好ましくは60:40〜75:25である。
特に好ましくは、LiS:P=68:32〜74:26(モル比)程度である。
硫化物系ガラス固体電解質の製造方法としては、溶融急冷法やメカニカルミリング法(MM法)がある。
溶融急冷法による場合、PとLiSを所定量乳鉢にて混合しペレット状にしたものを、カーボンコートした石英管中に入れ真空封入する。所定の反応温度で反応させた後、氷中に投入し急冷することにより、硫化物系ガラス固体電解質が得られる。
この際の反応温度は、好ましくは400℃〜1000℃、より好ましくは、800℃〜900℃である。
また、反応時間は、好ましくは0.1時間〜12時間、より好ましくは1〜12時間である。
上記反応物の急冷温度は、通常10℃以下、好ましくは0℃以下であり、その冷却速度は、通常1〜10000K/sec程度、好ましくは10〜10000K/secである。
MM法による場合、PとLiSを所定量乳鉢にて混合し、例えば、各種ボールミル等を使用して所定時間反応させることにより、硫化物系ガラス固体電解質が得られる。
上記原料を用いたMM法は、室温で反応を行うことができる。MM法によれば、室温でガラス固体電解質を製造できるため、原料の熱分解が起らず、仕込み組成のガラス固体電解質を得ることができるという利点がある。
また、MM法では、ガラス固体電解質の製造と同時に、ガラス固体電解質を微粉末化できるという利点もある。
MM法は回転ボールミル、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル等種々の形式を用いることができる。
MM法の条件としては、例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。
以上、溶融急冷法及びMM法による硫化物系ガラス固体電解質の具体例を説明したが、温度条件や処理時間等の製造条件は、使用設備等に合わせて適宜調整することができる。
その後、得られた硫化物系ガラス固体電解質を所定の温度で熱処理し、硫化物系結晶化ガラス(ガラスセラミックス)固体電解質を生成させる。
硫化物系結晶化ガラス固体電解質を生成させる熱処理温度は、好ましくは180℃〜330℃、より好ましくは、200℃〜320℃、特に好ましくは、210℃〜310℃である。180℃より低いと結晶化度の高い結晶化ガラスが得られにくい場合があり、330℃より高いと結晶化度の低い結晶化ガラスが生じるおそれがある。
熱処理時間は、180℃以上210℃以下の温度の場合は、3〜240時間が好ましく、特に4〜230時間が好ましい。また、210℃より高く330℃以下の温度の場合は、0.1〜240時間が好ましく、特に0.2〜235時間が好ましく、さらに、0.3〜230時間が好ましい。
熱処理時間が0.1時間より短いと、結晶化度の高い結晶化ガラスが得られにくい場合があり、240時間より長いと、結晶化度の低い結晶化ガラスが生じるおそれがある。
硫化物系結晶化ガラス固体電解質は、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)において、2θ=17.8±0.3deg,18.2±0.3deg,19.8±0.3deg,21.8±0.3deg,23.8±0.3deg,25.9±0.3deg,29.5±0.3deg,30.0±0.3degに回折ピークを有することが好ましい。
このような結晶構造を有する固体電解質が、極めて高いリチウムイオン伝導性を有する。
[添加ハロゲン・硫黄金属塩]
本発明の組成物が含むアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を含むハロゲン化物、又はアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属と硫黄を含む化合物(以下、これらを添加ハロゲン・硫黄金属塩と総称する場合がある)は、硫化物系固体電解質が反応して他の物質に変化していないことが必要である。反応することにより添加ハロゲン・硫黄金属塩が別の物質になってしまうと硫化水素の発生量の低減を図れなくなるからである。一方、例えば添加ハロゲン・硫黄金属塩ではなく、水酸化リチウム(LiOH)等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の水酸化物の場合、それ自身が活性なプロトンを有するため、酸化還元安定性に問題が生じるおそれがある。
尚、添加ハロゲン・硫黄金属塩の粒子と硫化物系固体電解質の粒子とを混合して本発明の組成物を製造する場合には、添加ハロゲン・硫黄金属塩の粒子と硫化物系固体電解質の粒子とは複合化されていてもよく、別々の粒子として存在していてもよい。
添加ハロゲン・硫黄金属塩を構成するアルカリ金属としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムを挙げることができる。また、アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ラジウムを挙げることができる。
添加ハロゲン・硫黄金属塩を構成するアルカリ金属又はアルカリ土類金属は、好ましくはリチウム又はナトリウムであり、より好ましくはリチウムである。
また、上述の硫化物系固体電解質が含むアルカリ金属又はアルカリ土類金属と、添加ハロゲン・硫黄金属塩を構成するアルカリ金属又はアルカリ土類金属が同じであると好ましい。
添加ハロゲン金属塩を構成するハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、アスタチン又はウンウンセプチウムであり、好ましくはフッ素、塩素、臭素、ヨウ素であり、より好ましくは塩素、臭素、ヨウ素である。
添加ハロゲン金属塩である、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を含むハロゲン化物の具体例としては、LiCl、LiBr、LiI、NaCl、NaBr、NaIが挙げられる。
添加硫黄金属塩である、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属と硫黄を含む化合物の具体例としては、NaSH、KSH、RbSH、CsSHが挙げられる。
本発明の組成物中の添加ハロゲン・硫黄金属塩の含有量は、好ましくは下記式(2)を満たし、より好ましくは下記式(3)を満たす。
0.001≦x/y≦0.6 …(2)
0.2≦x/y≦0.5 …(3)
(式中、xはアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を含むハロゲン化物、又はアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属と硫黄を含む化合物の重量[g]を示し、yは硫化物系固体電解質の重量[g]を示す。)
[硫化物系固体電解質組成物の製造方法]
本発明の硫化物系固体電解質組成物は、硫化水素を発生させる硫化物系固体電解質と添加ハロゲン・硫黄金属塩を混合することにより製造できる。
混合方法は特に制限されないが、例えば乳鉢等による混合や、遊星ボールミル、振動ミル等による混合法が挙げられる。
例えば硫化物系固体電解質と添加ハロゲン・硫黄金属塩の混合に遊星ボールミルを用いる場合、45ml容量のアルミナ製のポットに、アルミナ製の10mmφのボールを1ポットあたり10個入れて、100rpm〜500rpmの回転数で、1〜1200分間混合を行うとよい。
尚、混合に遊星ボールミル等を用いると、硫化物系固体電解質と添加ハロゲン・硫黄金属塩とが反応してしまう場合がある。本発明では、硫化物系固体電解質と「アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含むハロゲン化物」が反応せずに「アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含むハロゲン化物」自体が存在することにより、硫化水素の発生量を少なくするため、硫化物系固体電解質と「アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含むハロゲン化物」が反応しない条件の下で混合する必要がある。
混合後の状態は、硫化物系固体電解質と添加ハロゲン・硫黄金属塩が一体化して複合体を形成していてもよく、別々の粒子として存在していてもよい。
[電池]
本発明の硫化物系固体電解質組成物は、硫化水素の発生量が少ないために、電池の劣化を抑制することができ、電池材料として好適である。
本発明の電池は、本発明の硫化物系固体電解質組成物を含み、例えば電極層、電解質層、及び集電体を備える電池であり、電解質層が本発明の組成物を含んでもよく、電極層が本発明の組成物を含んでもよく、電解質層及び電極層の両方が本発明の組成物を含んでもよい。
同様に、本発明の電池は、本発明の硫化物系固体電解質組成物を用いた電池であり、当該電池は、例えば電極層、電解質層、及び集電体を備え、電解質層に本発明の組成物を用いてもよく、電極層に本発明の組成物を用いてもよく、電解質層及び電極層の両方に本発明の組成物を用いてもよい。
本発明の固体電解質組成物は、さらにバインダー(結着剤)、正極活物質、負極活物質、導電助剤、有機溶媒等を添加してもよく、正極、電解質層、負極等、電池の構成材料として、及び電池を構成する部材(層)を形成するための材料として使用できる。
以下、他の構成材料の例について説明する。
バインダーとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、又は2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。
正極活物質としては、リチウムイオンの挿入脱離が可能な物質、電池分野において正極活物質として公知のものが使用できる。
例えば、V、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiMn、Li(NiCoMn)O(ここで、0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi1−YCo、LiCo1−YMn、LiNi1−YMn(ここで、0≦Y<1)、Li(NiCoMn)O(0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2−ZNi、LiMn2−ZCo(ここで、0<Z<2)、LiCoPO、LiFePO、酸化ビスマス(Bi)、鉛酸ビスマス(BiPb)、酸化銅(CuO)、酸化バナジウム(V13)、LiCoO,LiNiO,LiMn,LiFePO,LiCoPO,LiMn1/3Ni1/3Co1/3,LiMn1.5Ni0.5等の酸化物が挙げられる。それ以外の正極活物質としては、例えば、硫化物系では、単体硫黄(S)、硫化チタン(TiS)、硫化モリブデン(MoS)、硫化鉄(FeS、FeS)、硫化銅(CuS)及び硫化ニッケル(Ni)、硫化リチウム(LiS)、セレン化ニオブ(NbSe)、有機ジスルフィド化合物、カーボンスルフィド化合物、硫黄、金属インジウム等が使用できる。好ましくは、高い理論容量を有するS、LiSが使用できる。
有機ジスルフィド化合物及びカーボンスルフィド化合物を以下に例示する。
Figure 0005898965
式(A)〜(C)において、Xはそれぞれ置換基であり、n及びmはそれぞれ独立に1〜2の整数であり、p及びqはそれぞれ独立に1〜4の整数である。
式(D)において、Zはそれぞれ−S−又は−NH−であり、nは繰返数2〜300の整数である。
Figure 0005898965
負極活物質としては、リチウムイオンの挿入脱離が可能な物質、電池分野において負極活物質として公知のものが使用できる。
例えば、炭素材料、具体的には、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、フルフリルアルコール樹脂焼成炭素、ポリアセン、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、天然黒鉛及び難黒鉛化性炭素等が挙げられる。又はその混合物でもよい。好ましくは、人造黒鉛である。
また、金属リチウム、金属インジウム、金属アルミ、金属ケイ素等の金属自体や他の元素、化合物と組合わせた合金を、負極材として用いることができる。中でも、高い理論容量を有するケイ素、スズ、リチウム金属が好ましい。
導電助剤は、導電性を有していればよく、例えば、導電率は、1×10S/cm以上が好ましく、より好ましくは1×10S/cm以上である。
導電助剤としては、炭素材料、金属粉末及び金属化合物から選択される物質や、これらの混合物が挙げられる。
導電助剤の具体例としては、炭素、ニッケル、銅、アルミニウム、インジウム、銀、コバルト、マグネシウム、リチウム、クロム、金、ルテニウム、白金、ベリリウム、イリジウム、モリブデン、ニオブ、オスニウム、ロジウム、タングステン及び亜鉛からなる群より選択される少なくとも1つの元素を含む物質が好ましい。より好ましくは、導電性が高い炭素単体、炭素、ニッケル、銅、銀、コバルト、マグネシウム、リチウム、ルテニウム、金、白金、ニオブ、オスニウム又はロジウムを含む金属単体、混合物又は化合物である。
炭素材料の具体例としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、デンカブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、活性炭等が挙げられる。これらは単独でも2種以上でも併用可能である。
なかでも、電子伝導性が高いアセチレンブラック、デンカブラック、ケッチェンブラックが好適である。
電解質層(シート)は、上述した本発明の組成物を含むとよい。本発明の組成物の他に、使用目的に応じて、上述したバインダー等を含有していてもよく、他の電解質を含んでいてもよい。
他の電解質は、ポリマー系固体電解質、酸化物系固体電解質、又は上述した電解質前駆体1もしくは2の少なくとも1つである。
ポリマー系固体電解質は、特に制限はない。例えば、特開2010−262860に開示されているように、フッ素樹脂、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレートやこれらの誘導体、共重合体等の、ポリマー電解質として用いられる材料が挙げられる。
フッ素樹脂としては、例えば、フッ化ビニリデン(VdF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)や、これらの誘導体等を構成単位として含むものが挙げられる。具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のホモポリマーや、VdFとHFPとの共重合体(以下、この共重合体を「P(VdF−HFP)」と示す場合がある。)等の2元共重合体や3元共重合体、等が挙げられる。
酸化物系固体電解質には、LiN、LISICON類、La0.55Li0.35TiO等のペロブスカイト構造を有する結晶や、NASICON型構造を有するLiTi12、さらにこれら結晶化させた電解質等を用いることができる。
他の態様の電解質層は、上記本発明の組成物を用いて製造した電解質層である。
電解質層は、例えば、本発明の組成物、バインダー及び溶媒を含むスラリーを塗布して製造してもよく、また、粒状の固体電解質を用いて静電スクリーン印刷法により製造してもよい。
正極層は、正極活物質と電解質と導電助剤を含むことが好ましい。また、バインダーを含んでいてもよい。これらの具体例については、上述したものと同様である。
正極層において、正極活物質、電解質、導電助剤等の割合は、特に制限は無く公知の割合を用いることができる。
正極層の厚さは、0.01mm以上10mm以下であることが好ましい。
正極層は、公知の方法により製造することができる。例えば、塗布法、静電法(静電スプレー法、静電スクリーン法等)により製造することができる。
負極層は、負極活物質、電解質、及び導電助剤を含むことが好ましい。また、バインダーを含んでいてもよい。これらの具体例については、上述したものと同様である。形成法や厚さは正極の場合と同様である。
電解質層は、電解質を含み、バインダーも含んでいてもよい。これらの具体例については、上述したものと同様である。
電解質層の固体電解質は、融着していていることが好ましい。ここで、融着とは、固体電解質粒子の一部が溶解し、溶解した部分が他の個体電解質粒子と一体化することを意味する。
また、電解質層は、固体電解質の板状体であってもよい。尚、固体電解質粒子の一部又は全部が溶解し、板状体になっている場合も含む。
電解質層の厚さは、0.001mm以上1mm以下であることが好ましい。
尚、電解質及びバインダーは正極層と同様であることからその説明を省略する。
本発明の電池は、正極層、電解質層及び負極層の他に集電体を使用することが好ましい。集電体は公知のものを用いることができる。例えば、Au、Pt、Al、Ti、又は、Cu等のように、硫化物系固体電解質と反応するものをAu等で被覆した層が使用できる。
尚、本発明の電池について、主にリチウム系電解質を用いた例について説明したが、本発明は、リチウムイオン電池に限定されない。例えば、ナトリウム系等のアルカリ金属系電解質、マグネシウム系等の二価カチオン系電解質等を使用してもよい。これらの場合も、本発明の効果が得られる。
製造例1[硫化リチウムの製造]
(1)硫化リチウム(LiS)の製造
硫化リチウムは、特開平7−330312号公報の第1の態様(2工程法)の方法に従って製造した。具体的には、撹拌翼のついた10リットルオートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpm、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。
続いて、この反応液を窒素気流下(200cc/分)昇温し、反応した硫化水素の一部を脱硫化水素化した。昇温するにつれ、上記硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。脱硫化水素反応が終了後(約80分)反応を終了し、硫化リチウムを得た。
(2)硫化リチウムの精製
上記(1)で得られた500mLのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。さらにNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、その温度のままNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥した。得られた硫化リチウム中の不純物含有量を測定した。
尚、亜硫酸リチウム(LiSO)、硫酸リチウム(LiSO)並びにチオ硫酸リチウム(Li)の各硫黄酸化物、及びN−メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)の含有量は、イオンクロマトグラフ法により定量した。その結果、硫黄酸化物の総含有量は0.13質量%であり、LMABは0.07質量%であった。
製造例2
[LiS:P(モル比)=70:30の硫化物系固体電解質ガラスセラミックス]
製造例1で製造したLiSとP(アルドリッチ製)を出発原料に用いた。これらをモル比70:30に調整した混合物約1gと、直径10mmのアルミナ製ボール10ケとを45mLのアルミナ製容器に入れ、遊星型ボールミル(フリッチュ社製:型番P−7)にて、窒素中、室温(25℃)にて、回転速度を370rpmとし、20時間メカニカルミリング処理することで、白黄色の粉末であるリチウム・リン系硫化物固体電解質ガラスを得た。
得られた硫化物系固体電解質ガラスのガラス転移温度をDSC(示差走査熱量測定)により測定したところ、220℃であった。
得られた固体電解質ガラス粒子をグローブボックス内Ar雰囲気下でSUS製チューブに密閉し、300℃、2時間の加熱処理を施し硫化物系固体電解質ガラスセラミックス(硫化物系固体電解質:平均粒径14.52μm)を得た。得られたガラスセラミックス粒子について、X線回折測定では2θ=17.8、18.2、19.8、21.8、23.8、25.9、29.5、30.0degにピークが観測された。
このガラスセラミックス粒子のイオン伝導度を、交流インピーダンス法により測定したところ3.0×10−3S/cmであった。
製造例3
[LiS:P(モル比)=75:25の硫化物系固体電解質ガラス]
製造例1で得られた平均粒径30μm程度のLiSを0.766g、P(アルドリッチ社製)を1.22gとした以外は、製造例2と同様にして硫化物系固体電解質ガラス粒子(硫化物系固体電解質:平均粒径50μm)を得た。このときの回収率は82%であった。
得られた硫化物系固体電解質ガラスについてX線回折測定(CuKα:λ=1.5418Å)を行なった結果、原料LiSのピークは観測されず、固体電解質ガラスに起因するハローパターンであった。
この固体電解質ガラス粒子のイオン伝導度は、0.3×10−3S/cmであった。
製造例4
[LiS:P(モル比)=80:20の硫化物系固体電解質ガラスセラミックス]
製造例1で得られた平均粒径30μm程度のLiSを0.906g、P(アルドリッチ社製)を1.092gとした以外は、製造例2と同様にして固体電解質ガラス粒子を得た。このときの回収率は85%であった。得られた固体電解質ガラス粒子のX線回折測定(CuKα:λ=1.5418Å)を行なった結果、原料LiSのピークは観測されず、固体電解質ガラスに起因するハローパターンであった。
得られた固体電解質ガラス粒子をグローブボックス内Ar雰囲気下でSUS製チューブに密閉し、280℃、2時間の加熱処理を施し、硫化物系固体電解質ガラスセラミックス(硫化物系固体電解質:平均粒径50μm)を得た。
このガラスセラミックス粒子のイオン伝導度は、0.7×10−3S/cmであった。
実施例1
製造例2で調製した硫化物系固体電解質ガラスセラミックス(LiS:P(モル比)=70:30)を1.9g、及びLiBrを0.1gを乳鉢で混合し、得られた混合物を45ml遊星ボールミルに投入した。当該ミルを150rpmで2時間混合を実施し、硫化物系固体電解質含有組成物を製造した。
得られた組成物のイオン伝導度は3.0×10−3S/cmであった。また、組成物の発生した硫化水素濃度の最大値を算出したところ800ppmであった。
上記組成物の硫化水素濃度(発生量)は、下記方法で評価した。
組成物を窒素雰囲気下、コック付二口フラスコに0.1g秤量し、これに、一旦水中に通した空気を500ml/分で流通させた。空気中の湿度は、80−90%となっていた。このコック付二口フラスコを通過したガスを捕集し、紫外蛍光法によりイオウ分を定量して、硫化水素ガス濃度を算出した。
尚、捕集したガスサンプルのガスクロマトグラフィ−による定性分析を行ったところ、イオウ分は、全て硫化水素ガスとなっていることを確認した。
実施例2
ガラスセラミックスを1.8g及びLiBrを0.2g使用した他は実施例1と同様にして硫化物系固体電解質含有組成物を製造し、評価した。
得られた組成物のイオン伝導度は2.5×10−3S/cmであった。また、組成物の発生した硫化水素濃度の最大値を算出したところ400ppmであった。
実施例3
LiBrの代わりにLiIを使用した他は実施例1と同様にして硫化物系固体電解質含有組成物を製造し、評価した。
得られた組成物のイオン伝導度は2.4×10−3S/cmであった。また、組成物の発生した硫化水素濃度の最大値を算出したところ400ppmであった。
実施例4
LiBrの代わりにLiIを使用した他は実施例2と同様にして硫化物系固体電解質含有組成物を製造し、評価した。
得られた組成物のイオン伝導度は2.6×10−3S/cmであった。また、組成物の発生した硫化水素濃度の最大値を算出したところ400ppmであった。
実施例5
製造例2のガラスセラミックスの代わりに製造例4のガラスセラミックス(LiS:P(モル比)=80:20)を使用した他は実施例1と同様にして硫化物系固体電解質含有組成物を製造し、評価した。
得られた組成物のイオン伝導度は7.0×10−4S/cmであった。また、組成物の発生した硫化水素濃度の最大値を算出したところ100ppmであった。
実施例6
製造例2のガラスセラミックスの代わりに製造例4のガラスセラミックス(LiS:P(モル比)=80:20)を使用した他は実施例2と同様にして硫化物系固体電解質含有組成物を製造し、評価した。
得られた組成物のイオン伝導度は6.0×10−4S/cmであった。また、組成物の発生した硫化水素濃度の最大値を算出したところ80ppmであった。
実施例7
製造例2のガラスセラミックスの代わりに製造例3のガラス(LiS:P(モル比)=75:25)を使用した他は実施例1と同様にして硫化物系固体電解質含有組成物を製造し、評価した。
得られた組成物のイオン伝導度は2.0×10−4S/cmであった。また、組成物の発生した硫化水素濃度の最大値を算出したところ30ppmであった。
比較例1
LiBrを使用せず、製造例2の硫化物系固体電解質ガラスセラミックス(LiS:P(モル比)=70:30)のみを評価した。
ミリング後のガラスセラミックスはイオン伝導度が3.0×10−3S/cmであった。またガラスセラミックスの硫化水素濃度の最大値を算出したところ1200ppmであった。
比較例2
LiBrを使用せず、製造例4のガラスセラミックス(LiS:P(モル比)=80:20)のみを、実施例5と同様にしてミリング処理をし、評価した。
ミリング後のガラスセラミックスはイオン伝導度が7.0×10−4S/cmであった。またガラスセラミックスの硫化水素濃度の最大値を算出したところ200ppmであった。
比較例3
LiBrを使用せず、製造例3のガラス(LiS:P(モル比)=75:25)のみを、実施例7と同様にしてミリング処理をし、評価した。
ミリング後のガラスセラミックスはイオン伝導度が3.0×10−4S/cmであった。またガラスセラミックスの硫化水素濃度の最大値を算出したところ70ppmであった。
本発明の硫化物系固体電解質組成物は、正極層、電解質層、負極等、電池の構成材料として好適である。

Claims (8)

  1. 硫化物系固体電解質と、
    アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を含むハロゲン化物、又はアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属と硫黄を含む化合物とを含み、
    イオン伝導度が1×10−4S/cm以上である硫化物系固体電解質含有組成物であって、
    0.1gを100ccのコック付二口フラスコに秤量し、一旦水中に通した空気を500ml/分で流通させるとともにコック付二口フラスコを通過したガスを捕集し、紫外蛍光法によりイオウ分を定量することにより測定した硫化水素の発生量が1000ppm以下である硫化物系固体電解質含有組成物。
  2. 前記硫化物系固体電解質が、少なくともリチウム(Li)、リン(P)及び硫黄(S)を含む請求項1に記載の硫化物系固体電解質含有組成物。
  3. 前記硫化物系固体電解質が、硫化物系固体電解質ガラスセラミックスである請求項1又は2に記載の硫化物系固体電解質含有組成物。
  4. 前記アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を含むハロゲン化物を構成するハロゲンが、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の少なくとも1つを含む請求項1〜3のいずれかに記載の硫化物系固体電解質含有組成物。
  5. 前記アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を含むハロゲン化物が、LiCl、LiBr及びLiIから選択される1以上である請求項1〜4のいずれかに記載の硫化物系固体電解質含有組成物。
  6. 下記式(2)を満たす請求項1〜5のいずれかに記載の硫化物系固体電解質含有組成物。
    0.001≦x/y≦0.6 …(2)
    (式中、xは前記アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属を含むハロゲン化物、又はアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属と硫黄を含む化合物の重量[g]を示し、yは前記硫化物系固体電解質の重量[g]を示す。)
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の硫化物系固体電解質含有組成物を含む電極材料。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載の硫化物系固体電解質含有組成物を含む電極及び電解質層の少なくとも1つを備える電池。
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