JP5376158B2 - 硫化物固体電解質の製造方法、および複合体 - Google Patents

硫化物固体電解質の製造方法、および複合体 Download PDF

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Description

本発明は、非水電解質電池の電解質層などに利用される硫化物固体電解質の製造方法、およびこの製造方法により作製される、電極層と固体電解質層とが一体になった複合体に関するものである。
携帯機器といった比較的小型の電気機器の電源に、正極層と、負極層と、これら電極層の間に配される電解質層とを備える非水電解質電池が利用されている。非水電解質電池のなかでも特に、正・負極層間のLiイオンの移動により充放電を行うLiイオン電池は、小型でありながら高い放電容量を備える。
近年、このLiイオン電池として、正・負極間のLiの伝導に有機電解液を用いない全固体型Liイオン電池が提案されている。全固体型Liイオン電池は、電解質層として固体電解質層を使用しており、有機溶媒系の電解液を用いることに伴う不都合、例えば、電解液の漏れによる安全性の問題、高温時に有機電解液がその沸点を超えて揮発することによる耐熱性の問題などを解消することができる。この固体電解質層には、Liイオン伝導性が高く、絶縁性に優れる硫化物系の物質が広く利用されている。
硫化物からなる固体電解質層を形成する方法として、例えば特許文献1には気相法を用いることが提案されている。しかし、気相法は、生産性の面で良好とは言えず、近年の携帯機器の発達に伴うLiイオン電池の需要の増大に即応できないという問題があった。
上記の問題を受けて、特許文献2では、溶液法により硫化物固体電解質からなる電解質層を形成する方法が提案されている。この特許文献2の溶液法は、2つ以上の前駆物質を有機溶媒に溶解させ、有機溶媒中で硫化物固体電解質を合成する方法である。
特開2000−173588号公報 国際公開WO2004/093099号パンフレット
ところで、硫化物固体電解質層の構成元素に酸素が含まれていない場合、当該電解質層は、電気化学的に不安定であるため、正極層との界面では酸化分解し易く、負極層との界面では還元分解し易い。そのため、電池の充放電を繰り返すうちに硫化物固体電解質層が劣化して、当該電解質層に高抵抗層が形成され、電池の放電容量が低下する虞がある。このような電池の放電容量の低下を抑制するために、構成元素として硫化物固体電解質層に酸素を含有させて、当該電解質層を電気化学的に安定化したいというニーズがあるが、特許文献2の溶液法では、構成元素として硫化物固体電解質層に酸素を含有させることができなかった。
溶液法で硫化物固体電解質層に酸素を含有させることを考えた場合、硫化物固体電解質の前駆物質として、作製する硫化物固体電解質層の構成元素と酸素との化合物を用いることになる。作製する硫化物固体電解質層の構成元素と異なる元素を含む前駆物質を用いれば、硫化物固体電解質層に不純物が含まれて当該電解質層のLiイオン伝導性が低下するからである。例えば、硫化物固体電解質層がLiS−Pから形成されるのであれば、前駆物質として好適と考えられる化合物として、PやLiPOなどが挙げられる。ところが、これらの化合物は有機溶媒に溶解しないため、溶液法による硫化物固体電解質層の合成には使用できない。因みに、気相法であれば、構成元素として酸素を含有させた硫化物固体電解質層を形成できるが、既に述べたように、気相法による硫化物固体電解質層の生産性は芳しくない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、構成元素として酸素を含有する硫化物固体電解質を、気相法を用いることなく製造することができる硫化物固体電解質の製造方法を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、本発明硫化物固体電解質の製造方法を用いて、非水電解質電池に使用される電極層と硫化物固体電解質層とが一体になった複合体を提供することにある。
(1)本発明硫化物固体電解質の製造方法は、Liイオン伝導性を有する硫化物固体電解質の製造方法であって、以下の工程を備えることを特徴とする。
Li、P、S、及びOを含有する非晶質の固体電解質粉末を作製する準備工程。
有機溶媒に前記固体電解質粉末を溶解させる溶解工程。
前記溶解工程で作製した溶解液を基板上に塗工する塗工工程。
前記基板上に塗工した溶解液を乾燥させ、Li、P、S及びOを含有する非晶質の固体電解質を前記基板の上に析出させる析出工程。
上記本発明硫化物固体電解質の製造方法では、Li、P、S及びOを含有する非晶質の固体電解質粉末を予め作製しておき、その粉末を一旦有機溶媒に溶解させた後、基板上に析出させるため、基板上に形成される硫化物固体電解質にOを構成元素として含ませることができる。そのため、作製した硫化物固体電解質を非水電解質電池の電解質層として利用した場合、電池の充放電に伴う電解質層の劣化を抑制することができ、電池の放電容量を長期に亘って維持することができる。
(2)本発明硫化物固体電解質の製造方法の一形態として、準備工程における固体電解質粉末は、Li化合物、S化合物、P化合物、およびO化合物をメカニカルミリングすることで作製できる。
上記各化合物の具体例としては、例えば、LiS(Li化合物)、P(S化合物、P化合物)、PやLiPOなど(O化合物)を挙げることができる。この場合、例示したO化合物は有機溶媒に溶解しないが、メカニカルミリングで得られたLi−P−S−O化合物は有機溶媒に溶解する。なお、Li化合物とS化合物とP化合物とO化合物の4者は別個である必要はなく、例えば、Li化合物でもあるしS化合物でもある化合物Aと、S化合物でもあるしP化合物でもある化合物Bと、Li化合物でもあるしO化合物でもある化合物CとでLi−P−S−O化合物を作製しても良い。例えば、上記LiSは、Li化合物でもあるしS化合物でもある化合物Aの代表例であり、上記Pは、S化合物でもあるしP化合物でもある化合物Bの代表例であり、上記LiPOは、Li化合物でもあるしO化合物でも化合物Cの代表例である。
(3)本発明硫化物固体電解質の製造方法の一形態として、準備工程における固体電解質粉末は、Li化合物、S化合物、P化合物、およびO化合物を溶融急冷法によりLi、S、P及びOを含有する非晶質の固体電解質とし、その固体電解質を粉砕することで作製できる。
上記(2)のメカニカルミリングの他に、上記(3)のように溶融急冷法によりLi−S−P−O化合物を作製することもできる。この場合、メカニカルミリングよりも短時間で有機溶媒に溶解するLi−P−S−O化合物を作製できる。
(4)本発明硫化物固体電解質の製造方法の一形態として、準備工程で用意する化合物は、LiS、P、およびPであることが好ましい。
上記のLiS、P、およびPを使用すれば、作製する硫化物固体電解質に含まれるLi、P、S、Oの比率の調節を容易にできる。これは、LiS、P、およびPの分子量が小さいため、各化合物の使用量を調節することで、各元素の割合を調節し易いからである。
(5)本発明硫化物固体電解質の製造方法の一形態として、溶解工程で使用する有機溶媒は、アルコール、若しくは二硫化炭素であることが好ましい。
上記有機溶媒は、析出工程において揮発させ易く、作製する硫化物固体電解質中に残存し難い。その結果、残存した有機溶剤に起因する当該固体電解質のLiイオン伝導性の低下を防止できる。
(6)本発明硫化物固体電解質の製造方法の一形態として、溶解工程で使用する有機溶媒中の水分は、100ppm以下であることが好ましい。
作製する硫化物固体電解質は加水分解するため、溶解工程における有機溶媒中の水分は少ない方が好ましい。もちろん、溶解工程に限らず、準備工程、析出工程においても硫化物と水とが反応しないようにすることが好ましい。例えば、本発明製造方法の全工程をドライな雰囲気のグローブボックス内で行うことが挙げられる。
(7)本発明硫化物固体電解質の製造方法の一形態として、塗工工程で用意する基板は、非水電解質電池の電極層とすることが好ましい。
上記構成のように、塗工する基板を電極層とすれば、基板と硫化物固体電解質との複合体をそのまま非水電解質電池における電極層と固体電解質層にすることができる。なお、基板とする電極層は、正極層であっても良いし、負極層であっても良い。
(8)本発明複合体は、非水電解質電池に用いられる電極層と硫化物固体電解質層とが一体となった複合体であって、電極層は、空隙部を有する焼結体、もしくは成形体であり、硫化物固体電解質層の一部は、前記空隙部に入り込んでいることを特徴とする。
近年では、電極層として粉末状の活物質を焼結して得られた焼結体を用いることが提案されているが、この焼結体からなる電極層には空隙部が形成されてしまう。空隙部は電極層のLiイオン伝導性を下げる要因になるので、Liイオン伝導性を有する物質で埋めることが好ましい。ここで、本発明製造方法は、基板上に溶解液を塗工する工程を備えるため、基板に空隙部があればその空隙部に溶解液が染み込み、空隙部を埋めるように硫化物固体電解質が形成される。つまり、本発明製造方法で作製された複合体は、空隙部に起因するLiイオンの低下を抑制されているため、電池に用いたときに電池の放電容量を向上させることができる。また、この複合体における固体電解質層は、電極層の空隙部に根を張るように入り込んでいるので、電極層と固体電解質層との間で剥離が生じ難い。
本発明硫化物固体電解質の製造方法によれば、気相法を用いることなく、構成元素としてOを含有する硫化物固体電解質を製造することができる。構成元素としてOを含有する硫化物固体電解質層は電気化学的に安定であるため、この硫化物固体電解質を非水電解質電池の電解質層として利用した場合、充放電に伴う電池の容量低下を抑制できる。
実施形態に係る非水電解質電池の概略構成図である。
以下、本発明硫化物固体電解質の製造方法に係る実施形態を説明する。
[全体構成]
本発明硫化物固体電解質の製造方法は、準備工程、溶解工程、塗工工程、および析出工程を備え、気相法により作製される硫化物固体電解質に匹敵するLiイオン伝導性を有する硫化物固体電解質を作製することができる。以下、本発明作製方法に備わる各工程を詳細に説明する。
<準備工程>
準備工程は、Li、P、S及びOを含有する非晶質の固体電解質粉末を作製する工程である。作製する固体電解質粉末は、準備工程の次工程である溶解工程において、有機溶媒に溶解するものである必要がある。但し、粉末を作製する原料となるLi化合物、P化合物、S化合物、およびO化合物は有機溶媒に溶解するものである必要はなく、これらの化合物から得られたLi−P−S−O化合物が有機溶媒に溶解すれば良い。Li化合物の具体例としては、LiSやLiPOなど、S化合物やP化合物の具体例としては、Pなど、O化合物の具体例としては、PやLiPOなどを挙げることができる。例示した原料のうち、O化合物は有機溶媒に溶解しない。ここで、上記例示した原料の好ましい組み合わせは、LiS、P、Pであり、これら原料から得られるLi−P−S−O化合物からなる硫化物固体電解質粉末は有機溶媒に溶解する。
上記原料からLi−P−S−O化合物からなる硫化物固体電解質粉末を作製する手段として代表的には、メカニカルミリング法や溶融急冷法などを挙げることができる。
メカニカルミリング法は、室温付近の温度域で、原料に大きな機械的な加工力を加えることにより、各原料の微細化と各原料間の化学反応を促進させ、熱力学的に準安定な非晶質の化合物を得るための方法であり、例えば、ボールミルを用いる方法が代表的である。メカニカルミリング法を実施するための好適な条件は、原料に何を使用するかによって変化するが、概ね300〜400rpmで10〜20hとすると良い。
一方、溶融急冷法は、原料を一旦溶解させ急冷することで、原料元素を全て含む非晶質の化合物を得るための方法である。溶融温度の好適範囲は原料に何を使用するかによって変化するが、概ね900〜1000℃とすると良い。また、冷却の速度は10〜10℃/sとすることが好ましい。
<溶解工程>
溶解工程は、準備工程で作製した硫化物固体電解質粉末を有機溶媒に溶解させる工程である。有機溶媒としては、硫化物固体電解質粉末を良く溶かし、次工程の析出工程で揮発させ易いものであることが好ましい。例えば、無水エチルアルコールなどのアルコール類や、二硫化炭素などは、本工程における有機溶媒として好適である。また、有機溶媒は、その水分含有量をできるだけ低く抑えたものであることが好ましい。その理由は、硫化物固体電解質粉末に含まれるLiが水と激しく反応するからである。具体的な有機溶媒中の水分含有量は100ppm以下とすることが好ましい。
<塗工工程と析出工程>
塗工工程は、溶解工程で作製した溶解液(硫化物固体電解質を溶解させた有機溶媒)を基板上に塗工する工程である。塗工の方法は特に限定されず、例えばスキージ法などを利用することができる。また、析出工程は、基板上に塗工した溶解液を乾燥させ、Li、P、S及びOを含有する非晶質の固体電解質を基板の上に析出させる工程である。なお、これら塗工工程と析出工程を1単位として、複数回繰り返して行っても良い。塗工と析出を複数回繰り返すことで、任意の厚さの硫化物固体電解質を形成することができる。
析出工程で溶解液に含まれる固体電解質を析出させるには、有機溶媒を揮発させる乾燥処理を行えば良い。例えば、基板上に塗工した溶解液に熱処理を施すことが挙げられる。熱処理の好ましい条件は、50〜150℃×5〜60minである。
また、塗工工程で用意する基板は、特に限定されないが、作製する硫化物固体電解質の用途に応じて適宜選択することが好ましい。例えば、硫化物固体電解質を非水電解質電池の電解質層として利用するのであれば、基板として電極層(正極層または負極層)を利用すると良い。この場合、本発明硫化物固体電解質の製造方法により、電極層と硫化物固体電解質層とが一体となった複合体を作製することができる。特に、電極層として活物質粉末を焼結して得られた焼結体を用いた場合、本発明製造方法であれば、焼結体の空隙部に溶解液を染み込ませ、電極層の空隙部に硫化物固体電解質を配置することができる。空隙部を硫化物固体電解質で埋めることができれば、空隙部に起因する電池の内部抵抗の増大を抑えることができる。
本発明硫化物固体電解質の製造方法により作製した電解質層を備える非水電解質電池を作製した。また、その比較として、気相法により作製した電解質層を備える非水電解質電池を作製した。そして、実施例の電池と比較例の電池の特性を比較した。
[実施例]
図1に示すように、本実施例で作製した本発明非水電解質電池(Liイオン電池)100は、正極層1上に、緩衝層4、固体電解質層(SE層)3、負極層2の順に積層された構造を備え、正極層1と負極層2との間でLiイオンの遣り取りをすることで電池として機能する。この電池100は、正極層1と緩衝層4とSE層3とが一体となった複合体を作製し、この複合体に負極層2を形成することで得られたものである。以下に、電池100の作製手順を説明する。
<正極層の形成>
まず、電極層である正極層1を作製する。正極層1は、集電機能を有する正極集電体11と、その一面側に形成される正極活物質層12とを備える。本実施例では、正極集電体11としてSUSを、正極活物質12に含有される正極活物質としてLiCoOを使用した。このような正極層1は、金型内に配置したSUS板の上にLiCoO粉末を載せ、圧縮・熱処理することで得ても良いし、LiCoOの焼結体を作製した後、その一面側にSUSを蒸着することで得ても良い。なお、本実施例では前者を採用した。
<緩衝層の形成>
作製した正極層1の正極活物質層12側の面に、エキシマレーザーアブレーション法によりLiNbOからなる緩衝層4を形成した。この緩衝層4は、正極活物質層12と後述する硫化物系のSE層3との境界近傍における反応を緩衝するためのものである。緩衝層4の材料としては、LiNbOの他に、LiTaOなどのLiイオン伝導性が高く、電子伝導性が低いものを使用することができる。なお、この緩衝層4の厚さは、10nm〜100nm程度あれば十分であり、厚すぎると逆に電池100の性能を低下させる虞がある。
<SE層の形成>
次に、本発明硫化物固体電解質の製造方法を用いて、緩衝層4の上にSE層3を形成した。具体的な形成手順は次の通りである。
まず、LiS粉末とP粉末とP粉末を、質量比で34:44:7の割合で用意した。そして、これらの粉末をボールミル装置に投入し、400rpmで15hのメカニカルミリング処理を施した。これにより、Li−P−S−O化合物の粉末が得られた。
次に、上記作製した粉末5gを、25mlの無水エチルアルコール(水分含量は10ppm)中に溶解させた溶解液を作製した。そして、作製した溶解液を、緩衝層4の上に塗工する工程と、塗工した溶解液を75℃×30minで乾燥させ、Li−P−S−O化合物を層状に析出させる工程とを数回繰り返し、正極層1と緩衝層4とSE層3とが一体になった複合体を完成した。
≪複合体の物理的特性≫
上記複合体のSE層3の組成をX線回折により解析したところ、非晶質であった。また、SE層をXPSにより解析したところ、O原子が構成元素として含有されていた。このSE層3について複素インピーダンス法により電気特性を測定して、Liイオン伝導性を算出したところ、3×10−4S/cmであった。この数値は、Pulsed Laser Deposition(PLD)法で形成した固体電解質と同程度のLiイオン伝導性である。そのため、本実施例のSE層3は、電池100の電解質層として優れた特性を発揮することが期待される。さらに、複合体の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、複合体の正極活物質層12の空隙部にSE層3の一部が根を張るように入り込んでいた。ここで、正極活物質層12とSE層3との間には緩衝層4が設けられているが、この緩衝層4は非常に薄い(10nm〜100nm程度)ので、正極活物質層12の表面の空隙が完全に塞がることがない。そのため、正極活物質層12とSE層3との間に緩衝層4があっても、SE層3が正極活物質層12の空隙部に入り込むことができる。
<負極層の形成>
正極層1と緩衝層4とSE層3とを一体化した複合体の形成が終了した後、その複合体のSE層3の上にLi金属からなる負極層2を真空蒸着法により形成した。真空蒸着による負極層2の形成は、SE層3の中心部分が露出するようにSE層3の上にマスクを施して行い、負極層2の縁部が正極層1と短絡しないようにした。なお、本実施例の負極層2は、負極集電体を兼ねる。
<電池の完成>
最後に、負極層2の形成が終了した積層体をアルミラミネートパックに封止し、正極集電体11と負極層2(集電体を兼ねる)からタブリードを引き出して電池100を完成した。
[比較例]
比較例の非水電解質電池として、焼結させたLiCoOの正極層1上にSE層3をPLD法で形成した電池を作製した。PLD法によるSE層3の作製は、LiS、P、Pを実施例と同じ質量比で混合したターゲット(蒸発源)を作製し、当該ターゲットにパルスレーザを照射することで行った。
[充放電試験とその結果]
上述実施例の電池と比較例の電池について、0.05mAの定電流で4.2Vまで充電し、3Vまで放電する操作を1サイクルとする充放電を100サイクル繰り返し、100サイクル目の放電容量を測定した。そして、測定した100サイクル目の放電容量を1サイクル目の放電容量で除し、100をかけることで容量維持率(%)を求めた。容量維持率が高いほど、充放電を開始する当初の放電容量を維持できる非水電解質電池、即ち、サイクル特性に優れた電池と言える。また、比較例として、SE層をPLD法で形成した以外は実施例の電池と同じ構成を備える非水電解質電池を作製し、その電池についても上記条件の充放電試験を実施した。
上記条件の充放電試験で実施例の非水電解質電池と比較例の非水電解質電池の特性を測定した結果、以下に示すような結果が得られた。
実施例の電池…初期容量3mAh/cm、容量維持率95%
比較例の電池…初期容量0.5mAh/cm、容量維持率80%
上記のように、実施例の電池の初期容量が、比較例の電池よりも大きかったのは、実施例の電池における正極活物質層12の空隙部にLiイオン伝導性の固体電解質が形成されていたからではないかと推察される。また、実施例の電池の容量維持率が、比較例の電池よりも大きかったのは、実施例の電池におけるSE層3の一部が正極活物質層12の空隙部に根を張るように入り込んでいるため、SE層3が正極活物質層12(緩衝層4が介在される)から剥離し難かったからではないかと推察される。
なお、本発明の実施形態は、上述した実施形態に限定されるわけではなく、本発明の容易を逸脱しない範囲で上述した実施形態を適宜変更することができる。
本発明硫化物固体電解質の製造方法は、例えば携帯電話やモバイルパソコンなどの携帯機器の電源として利用される非水電解質電池の電解質層の製造に好適に利用可能である。
100 非水電解質電池
1 正極層
11 正極集電体 12 正極活物質層
2 負極層
3 固体電解質層
4 緩衝層

Claims (8)

  1. Liイオン伝導性を有する硫化物固体電解質の製造方法であって、
    Li、P、S、及びOを含有する非晶質の固体電解質粉末を作製する準備工程と、
    有機溶媒に前記固体電解質粉末を溶解させる溶解工程と、
    前記溶解工程で作製した溶解液を基板上に塗工する塗工工程と、
    前記基板上に塗工した溶解液を乾燥させ、Li、P、S、及びOを含有する非晶質の固体電解質を前記基板の上に析出させる析出工程と、
    を備えることを特徴とする硫化物固体電解質の製造方法。
  2. 前記準備工程において、
    Li化合物、P化合物、S化合物、およびO化合物をメカニカルミリングすることで、前記固体電解質粉末を作製することを特徴とする請求項1に記載の硫化物固体電解質の製造方法。
  3. 前記準備工程において、
    Li化合物、P化合物、S化合物、およびO化合物を溶融急冷法によりLi、P、S、及びOを含有する非晶質の固体電解質とし、その固体電解質を粉砕することで、前記固体電解質粉末を作製することを特徴とする請求項1に記載の硫化物固体電解質の製造方法。
  4. 前記準備工程で用意する化合物は、LiS、P、およびPであることを特徴とする請求項2または3に記載の硫化物固体電解質の製造方法。
  5. 前記有機溶媒は、アルコール、若しくは二硫化炭素であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の硫化物固体電解質の製造方法。
  6. 前記有機溶媒中の水分は、100ppm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の硫化物固体電解質の製造方法。
  7. 前記塗工工程において、
    前記基板は、非水電解質電池の電極層であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の硫化物固体電解質の製造方法。
  8. 非水電解質電池に用いられる電極層と硫化物固体電解質層とが一体となった複合体であって、
    前記電極層は、空隙部を有する焼結体、もしくは成形体であり、
    前記硫化物固体電解質層は、Li、P、S、及びOを含有する非晶質の固体電解質であり、
    前記硫化物固体電解質層の一部は、前記空隙部に根を張るように入り込み、前記空隙部を埋めていることを特徴とする複合体。
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