JP2004095342A - 全固体電池とその製造方法 - Google Patents

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Hiroshi Higuchi
樋口 洋
Masaya Ugaji
宇賀治 正弥
Shuji Ito
伊藤 修二
Kazuyoshi Honda
本田 和義
▲高▼井 より子
Yoriko Takai
Yoshiyuki Okazaki
岡崎 禎之
Hitoshi Sakai
酒井 仁
Junichi Inaba
稲葉 純一
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】全固体電池およびこれを構成する固体電解質層または集電体層の柔軟性を確保する。下地の固体電解質層などを変質させることなく、結晶性の進んだ活物質の層を形成する。元素欠損が抑制された活物質あるいは固体電解質の層を形成する。これらにより、高出力、高容量で、充放電サイクル寿命が長い全固体電池を提供する。
【解決手段】固体電解質層および集電体層のうち、少なくとも一つの層に有機高分子化合物を含有させる。上記の層は、固体電解質あるいは導電性無機材料、および有機高分子化合物のそれぞれのソース材料を同時に蒸発させた気相中で形成する。固体電解質層を形成する場合は、成膜雰囲気中に所定強度のエネルギーを照射する。これら固体電解質層または集電体層の表面への活物質層の形成時には、被成膜面またはその近傍の成膜雰囲気中に所定強度のエネルギーを照射する。
【選択図】    図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電解質としてリチウムイオン伝導性無機固体電解質を用いる積層構造の全固体電池と、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、一般に普及しているリチウム二次電池は、正極活物質と負極活物質の間でのLiイオンの往復移動を繰り返すことによって充放電を行うもので、ロッキングチェア型リチウム電池と呼ばれている。正極活物質にはLiCoO、LiNiO、LiMn、LiVおよびMoOなどの結晶質材料と、LiMnに代表される非晶質材料が使用される。また、負極活物質にはグラファイトやTiSなどの結晶質材料と、不定形カーボンなどの非晶質材料が使用される。これらのリチウム二次電池の電解質には、LiPFなどのリチウム塩を有機溶剤に溶解した有機電解液が用いられている。しかし、有機電解液は可燃性であり、しかも化学的あるいは電気化学的な反応により比較的分解し易い。このことは、リチウム二次電池の製造工法、充放電サイクル数、充電時間、放電電流および用途を制限する主要因の一つになっている。
【0003】
有機電解液を用いるリチウム二次電池の上記問題点を解消するため、近年、不燃性のリチウムイオン伝導性無機固体電解質(以下、単に、固体電解質で表す)を用いた電池(以下、全固体電池で表す)が注目され、各方面で研究開発されている。固体電解質には結晶質のものと非晶質のものがある。結晶質材料は一般的に耐熱性に優れるが、イオン伝導度が低く、しかもイオン伝導方向に異方性があることから、電池用途には不適とされている。代表的な結晶質材料としては、例えばLiPO−LiSiOがあり、そのイオン伝導度は10−6〜10−5Scm−1である。
【0004】
一方、非晶質の固体電解質は耐熱温度は比較的低いが、イオン伝導方向に異方性がなく、しかもイオン伝導度が高い。非晶質の酸素系固体電解質には、Li2.9PO3.30.36やアモルファスLiPO−LiSiOがあり、10−5〜10−4Scm−1のイオン伝導度を示す。さらに、非晶質の硫黄系固体電解質には、LiS−SiS、LiS−P、LiS−Bや、これらのガラスにLiIなどのハロゲン化リチウムや、LiPOなどのリチウム酸素酸塩などを添加したものがある。これら硫黄系固体電解質のイオン伝導度は10−4〜10−3Scm−1とさらに高い。
【0005】
正極活物質としては、主としてLiCoO、LiNiO、LiMn、LiVおよびMnOなどの結晶質材料が検討され、一部ではLiMnなどの非晶質材料が検討されている。負極活物質としては、グラファイト、TiSなどの結晶質材料、不定形カーボンなどの非晶質材料が主として検討されている。
電解質、正極、および負極のすべてが固体で構成される全固体電池では、正極活物質層および負極活物質層と固体電解質層とのそれぞれの接合面において、電気化学的反応を円滑に行わせるための界面を形成することが課題となる。これに対応すべく、半導体分野の薄膜形成プロセスを応用し、両活物質層、固体電解質層および両活物質層の集電を行う集電体層を層状に積層する方法が主に検討されている(例えば、米国特許第5338625号公報)。
【0006】
固体電解質層には、電池の保存特性を確保するために、リーク電流を抑制できる最低限の厚さが必要である。しかし、充放電時にLiイオンが活物質層中を移動できるのは固体電解質層との界面から2〜3μm程度の深さの部分に過ぎないことと、固体電解質層のLiイオン伝導性が高いことが必要なことから、両活物質層および固体電解質層は、できるだけ薄いことが求められる。上記のことから、一般的に、全固体電池の活物質層および固体電解質層には、有機電解液リチウム電池の場合よりも、非常に薄い層が用いられる。そして、電気容量および電流容量の大きな電池を構成するためには、両活物質層および固体電解質層で構成される発電要素の複数対を積層することが有効な手段と考えられている。
【0007】
図1に積層構造の全固体電池の1例を示す。集電極を兼ねる基板1上に正極活物質層2、8、および10、固体電解質層3、7および11、負極活物質層4、6および12、ならびに、集電体層5、9および13が積層して形成されている。正極活物質層8および10は集電体層9を介して、他の正極活物質層2は直接に、それぞれ基板1に電気的に接続されている。負極活物質層4および6は集電体層5によって集電され、他の負極活物質層12は集電体層13によって集電され、さらに集電体層5は集電体層13に接続されている。固体電解質層3、7および11は、正極活物質層2、8および10と、負極活物質層4、6および12のそれぞれの間に介在して形成されている。
【0008】
これによって、三対の発電要素が並列に電気接続された積層型の全固体電池が構成されている。基板および集電体層の材料には、ステンレス鋼、銅、あるいはニッケルなどの金属、SnOなどの導電性酸化物あるいは導電性有機化合物を塗布したプラスチックシートなどが使用できる。図1の構成以外にも、積層型の全固体電池は、正極活物質層と負極活物質層の配置を逆にしたり、積層する発電要素対を増減させて構成することができる。また、複数の発電要素対が直列に電気接続された高電圧の積層型全固体電池を構成することもできる。
【0009】
しかし、次の三つの問題点に関する技術的課題の解決が困難なことから、現在までに満足すべき特性を有する積層型全固体電池が実現していない。
第1の問題点は、電池あるいはこれを構成する各層の柔軟性が不足していることである。電池により多くの活物質を充填するためには、活物質層を厚くする必要があるが、一般的な気相成膜プロセスで10μmを超える厚さの膜を形成すると、熱膨張係数差に起因する膜応力によって剥離する。これは、薄い膜を複数積層して総厚が厚くなった場合も同様である。形成した層が厚くなると、柔軟性不足のために、電池の作製中および作製後に剥離したり、破損し易くなるために、電池の内部抵抗の増大や短絡を引き起こす。このことが、電池全体の厚さを制約し、全固体電池のエネルギー量の増大を阻む大きな要因となっている。
【0010】
第2の問題点は、固体電解質など非耐熱性材料が高温での工程中に変質し、性能劣化することである。全固体電池の主材料である活物質と固体電解質とでは、それぞれの層を形成する際の適正な成膜温度に大きな違いがある。前記のLiCoOなどの結晶質の正極活物質、およびグラファイトなどの結晶質の負極活物質は、結晶格子を形成することによって、Liイオンが移動する状態、即ち充放電が可能な状態になる。しかし、スパッタ、蒸着、アブレーション、あるいはイオンプレーティングなどの薄膜形成プロセスで得られる活物質層は、基板温度を400℃以上に加熱しない限りアモルファス状であり、電池用として十分な品質が備わらない。多くの研究報告(例えば、J. Electrochem. Soc. Vol.143、 No.10、 3203−3213)では、アモルファス状LiCoO活物質層を形成した後の基板を、いずれも500〜700℃に加熱して活物質層に結晶化エネルギーを与えて結晶化させている。
【0011】
一方、固体電解質は高いイオン伝導度を得るために非晶質であることが求められる。例えば、Li2.9PO3.30.36、LiSi、LiS−P、およびLiS−GeSなど、非晶質固体電解質の多くは、350℃付近のガラス転移温度を有する。例えば、図1の積層型全固体電池の作製過程において、固体電解質が既に形成された被成膜基板の温度を、前記のような500〜700℃という固体電解質のガラス転移温度を超える高温に加熱すると、固体電解質の結晶化が進行する。結晶化が進むと、固体電解質のイオン伝導度は、非晶質のものの1万分の1以下となり、電池材料として最低限必要なイオン伝導度10−6Scm−1を下回ってしまう。これによって、電池の内部抵抗が増大し、充放電可能な電流が著しく小さくなる。
【0012】
基板温度を過度に上昇させること無く、活物質を結晶化させる試みとして、例えば、アモルファス状LiCoO活物質層へのプラズマ照射が検討されている(J. Electrochem. Soc. Vol.148、 No. 11、 A1254−A1259)。この中では、プラズマの発生方法として2.45GHzのマイクロ波によるものと、13.56MHzのRF波によるものが報告されている。いずれも結晶成長が認められているが、基板温度上昇による活物質層のダメージが生じ、さらに形成した活物質層の結晶性が不充分である。また、100eV以上のエネルギーを持つイオンビームを基板に照射し、これと併用して基板面への酸素供給、および基板面への高周波プラズマや紫外線などの電磁波の照射なども開示されているが、実際には結晶化に有効なエネルギーを照射できない(特開平8−287901号公報)。
【0013】
第3の問題点は、活物質あるいは固体電解質の元素欠損により満足すべき電池性能が得られないことである。窒素、硫黄および酸素などの高蒸気圧元素を含む活物質あるいは固体電解質の層を形成する薄膜形成プロセスの場合、これらの元素が形成された層中で不足状態となりやすい。このような元素欠損が生じると、電池の放電容量、放電電流、充電時間および充放電サイクル数などが減少し、十分な電池性能を得ることができない。これに対する一般的な対策としては、当該元素を含む蒸気中での熱処理やイオンビーム照射などが検討されているが、いずれも反応性を高めるために基板温度を高く保つ必要があるので、固体電解質層が結晶化する問題が解決されない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、リチウムイオン伝導性無機固体電解質を用いる全固体電池における上記の従来の問題点を解決し、大容量、高出力で、さらに充放電サイクル寿命が長い全固体電池、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の全固体電池は、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、および集電体層のそれぞれの複数の層を、基板上に積層してなる全固体電池であって、前記固体電解質層の少なくとも一つの層が、リチウムイオン伝導性無機固体電解質および有機高分子化合物を含むことを特徴とするものである。固体電解質層と正極活物質層の間、および固体電解質層と負極活物質層の間の少なくとも一方には、リチウムイオン伝導性固体電解質からなる層を設けることが好ましい。
【0016】
本発明の第二の全固体電池は、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、および集電体層のそれぞれの複数の層を、基板上に積層してなる全固体電池であって、前記集電体層の少なくとも一つの層が、導電性無機材料および有機高分子化合物を含むことを特徴とするものである。
【0017】
本発明の第一の全固体電池の製造方法は、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、および集電体層のそれぞれの複数の層を、基板上に積層してなる全固体電池の製造方法であって、前記固体電解質層を構成する原子、イオンあるいはクラスターを含む気相中で、前記正極活物質層または負極活物質層の表面に前記固体電解質層を形成する工程を有し、前記固体電解質層の形成工程において、前記固体電解質層に含まれる固体電解質を構成する元素の原子またはその元素を含む化合物、および、前記固体電解質層に含まれる有機高分子化合物そのもの、そのモノマーあるいはその低重合体、をソース材料とし、これらを前記気相中に同時に蒸発させることを特徴とするものである。前記有機高分子化合物はリチウムイオン伝導性を有することが好ましい。
【0018】
本発明の第二の全固体電池の製造方法は、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、および集電体層のそれぞれの複数の層を、基板上に積層してなる全固体電池の製造方法であって、前記集電体層を構成する原子、イオンあるいはクラスターを含む気相中で、前記正極活物質層または負極活物質層の表面に前記集電体層を形成する工程を有し、前記集電体層の形成工程において、前記集電体層に含まれる導電性無機材料を構成する元素の原子あるいはその元素を含む化合物、および、前記集電体層に含まれる有機高分子化合物そのもの、そのモノマーあるいはその低重合体、をソース材料とし、これらを前記気相中に同時に蒸発させることを特徴とするものである。
【0019】
本発明の第三の全固体電池の製造方法は、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、および集電体層のそれぞれの複数の層を、基板上に積層してなる全固体電池の製造方法であって、前記固体電解質層を構成する原子、イオンあるいはクラスターを含む気相中で、前記正極活物質層または負極活物質層の表面に前記固体電解質層を形成する工程を有し、前記固体電解質層の形成工程において、前記気相中の原子、イオンあるいはクラスターに対して、プラズマ照射、電子照射、あるいは光照射により、所定の強度のエネルギーを照射することを特徴とするものである。
【0020】
本発明の第一から第三の全固体電池の製造方法においては、さらに、正極活物質層または負極活物質層を構成する原子、イオンあるいはクラスターを含む気相中で、固体電解質層あるいは集電体層の表面に正極活物質層または負極活物質層を形成する工程を有し、活物質層の形成工程において、被成膜面、もしくはその近傍の気相中の原子、イオンあるいはクラスターに対して、プラズマ照射、電子照射あるいは光照射により、所定強度のエネルギーを照射することが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明による全固体電池の構造上の特徴は、固体電解質層および集電体層のうちの少なくとも一つの層に、有機高分子化合物を含有させることである。このように、少なくとも一つの柔軟性を有する層が電池内に積層されることにより、積層型全固体電池を作製する過程での、その層自体とそれに接する層に加わる応力が吸収緩和され、電池全体の柔軟性が確保される。その結果、製造時に電池に加わる応力による膜の剥離、折り曲げ破断などが起こりにくくなり、製造時の工程不良や短絡不良率の低減、微小な内部短絡による電池のサイクル寿命低下を抑制できる。さらに、使用時の電池の取り扱いが容易になる。
【0022】
図3は本発明の第一の全固体電池における、固体電解質および有機高分子化合物を含む固体電解質層の一例を図示したものである。固体電解質層18は、固体電解質15の中に有機高分子化合物17が分散した形で形成されている。有機高分子化合物17が非イオン伝導性である場合には、その含有比率は、重量比で固体電解質層18の2〜10%が好ましく、2〜8%がさらに好ましい。有機高分子化合物17がLiイオン伝導性を有する場合には上記の含有比率を越えた比率で含有させてもよい。これにより、固体電解質層18のLiイオン伝導度を大きく低下させることなく、適度の弾力性と柔軟性を確保することができる。その結果、固体電解質層18自体の膜応力とそれに接する活物質層14および16の膜応力を吸収緩和することができ、各層の剥離や破損が阻止される。
【0023】
この固体電解質層18と、正極活物質層14あるいは負極活物質層16との界面に非イオン伝導性の有機高分子化合物17が多く存在すると、電池を充放電する際に、反応しにくい部分が生じ、その部分での正極活物質層14あるいは負極活物質層16の変形や剥離が起こりやすい。この心配をなくすために、上記の固体電解質層18の外側に、図2に示すような、固体電解質のみからなる薄い固体電解質層15−1および15−3を設けることが好ましい。これにより、固体電解質層と両活物質層の界面にはイオン伝導性が低い個所が存在しなくなる。その結果、充放電サイクルに伴う正極活物質層や負極活物質層の変形、あるいは部分的な剥離を防止することができ、サイクル寿命を一層高めることができる。
【0024】
本発明の全固体電池における正極活物質層を構成する活物質としては、LiCoO、LiNiO、LiFeO2 、LiTiO、LiMn、LiV、V、MoOおよびTiSなどの結晶質の材料を使用することが好ましい。このうちV、MoOおよびTiSなど、Liを含有しない活物質を用いる場合には、充放電に必要なLiを負極に含有させる。負極活物質層を構成する活物質としては、Li3−xCoNやグラファイトなどの結晶性材料および金属LiやLi合金などを使用することが好ましい。
【0025】
固体電解質層を構成する固体電解質材料としては、Li2.9PO3.30.36など、通常LiP2.52.93.5で表される窒化リン酸リチウム(LiPON)やアモルファスLiPO−LiSiOなどの非晶質酸化物、LiS−SiS、LiS−P、LiS−Bや、これらのガラスにLiIなどのハロゲン化リチウム、あるいはLiPOなどのリチウム酸素酸塩などを添加したものなど、非晶質の材料を使用することが好ましい。
【0026】
図4は本発明の第二の全固体電池における、導電性無機材料および有機高分子化合物を含む集電体層の一例を図示したものである。集電体層5は、電子伝導性無機材料5−1の中に有機高分子化合物19が分散した形で構成されている。有機高分子化合物19の含有比率は、重量比で集電体層5の2〜20%が好ましく、2〜10%がさらに好ましい。これにより、集電体層5の電子伝導性を大きく低下させることなく、適度の柔軟性と弾力性を確保することができる。その結果、集電体層5自体の膜応力とそれに接する活物質層4および6の膜応力を吸収緩和することができ、各層の剥離や破損が阻止される。
【0027】
本発明における集電体層を構成する導電性無機材料としては、Ni、Co、Fe、Pt、およびステンレス鋼などの金属、ならびに導電性酸化物などの電子伝導性を有する材料を使用できる。
本発明における固体電解質層あるいは集電体層に含有させる有機高分子化合物としては、プラストマーあるいはエラストマーを問わず、柔軟な材料を選択して用いることができる。好ましい材料としては、プラストマーに分類されるものでは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルケトンなどがあり、エラストマーに分類されるものでは、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、およびブタジエンアクリロニトリルゴムなどがある。Liイオン伝導性の有機高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンオキシドに代表されるポリエーテルに、スルホンイミドなどの各種の塩を付加したものを用いることができる。
【0028】
本発明の第一の全固体電池の製造方法は、前記本発明の第一の全固体電池を製造するために有効な手段であって、固体電解質層を構成する原子、イオンあるいはクラスターを含む気相中で、被成膜面(基板上に予め形成された活物質層の表面)に固体電解質層を形成する工程に関わるものである。本発明の特徴は、この工程において、固体電解質層に含まれる固体電解質を構成する元素の原子またはその元素を含む化合物、および固体電解質層に含まれる有機高分子化合物そのもの、そのモノマーあるいはその低重合体、をソース材料とし、これらを同時に上記の気相中に蒸発させることにある。これによって、固体電解質15と有機高分子化合物17が複合された図3に示すような固体電解質層18が形成される。
【0029】
本発明により形成される固体電解質層の構成物質は、先に例示した固体電解質および有機高分子化合物と同様のものである。固体電解質のソース材料としては、例えばLiPOを含む固体電解質層を形成する場合には、それ自体が蒸発するのでLiPOを使用できる。これに他の元素を結合させた固体電解質を含む層を形成する場合には、LiPOの他に別のソース材料を用意すればよい。例えば、LiPONを形成する場合には、雰囲気ガス中にNを含有させる。他にSi、Li、SおよびBなどの原子もしくはそれらの化合物をソース材料として蒸発させるか、あるいは雰囲気ガス中にNや硫黄を含ませるなどの方法でLiPOをベースとした各種の固体電解質を含む層を形成することができる。
【0030】
固体電解質層に含有させる有機高分子化合物のソース材料には、先に例示した各種のプラストマーあるいはエラストマーそのもの、そのモノマーあるいはその低重合体を用いることができる。ポリマーを用いる場合には、分子量2000を超えない程度の低分子量のものが好ましい。これら有機高分子化合物のソース材料は、物質の構造分解を抑制する必要性から、比較的低沸点な物の蒸着に適した抵抗加熱法により蒸発させるのが有効である。固体電解質と有機高分子化合物の蒸着速度をそれぞれ調整することにより、両者の含有比率を適宜調整することができる。これにより、十分なイオン伝導度と柔軟性を兼ね備えた固体電解質層を形成することができる。
【0031】
図2のような複層の固体電解質層を形成する場合には、まず、固体電解質用ソース材料のみを蒸発させ、薄い固体電解質層15−1を形成し、ついで、固体電解質用ソース材料と有機高分子化合物用ソース材料を同時に蒸発させ、固体電解質層18を形成した後、再び固体電解質単独の薄い固体電解質層15−3を15−1と同様にして形成する。
【0032】
本発明の第二の全固体電池の製造方法は、前記本発明の第二の全固体電池を製造するために有効な手段であって、集電体層を構成する原子、イオンあるいはクラスターを含む気相中で、被成膜面(基板上に予め形成された活物質層の表面)に集電体層を形成する工程に関わるものである。本発明の特徴は、この工程において集電体層に含まれる導電性無機材料を構成する元素の原子、またはその元素を含む化合物、および集電体層に含まれる有機高分子化合物そのもの、そのモノマーあるいはその低重合体、をソース材料とし、これらを同時に上記の気相中に蒸発させることにある。これによって、導電性無機材料5−1と有機高分子化合物19とで構成された図4に示すような集電体層5を形成することができる。
【0033】
本発明により形成される集電体層の構成物質は、先に例示した導電性無機材料および有機高分子化合物と同様のものである。導電性無機材料のソース材料としては、多くの場合、前記の金属あるいは導電性酸化物などのそれ自体と同じ物質をソース材料として用いることができる。導電性無機材料と有機高分子化合物の蒸着速度をそれぞれ調整することにより、両者の含有比率を適宜調整することができる。これにより、十分な導電性と柔軟性を兼ね備えた集電体層を形成することができる。
【0034】
さらに、本発明の全固体電池の第三の製造方法は、固体電解質層を構成する原子、イオンあるいはクラスターを含む気相中で、活物質層の表面に固体電解質層を成膜する工程において、前記気相中の原子、イオンあるいはクラスターに、プラズマ照射、電子照射、あるいは光照射により所定の強度のエネルギーを照射することを特徴とするものである。照射するプラズマあるいは電子の加速電圧を20〜100Vとするか、照射する光を紫外線から軟X線にわたる波長12〜62nm程度の光とし、その光子のエネルギーを20〜100eVとすることが好ましい。
【0035】
成膜雰囲気中にイオン化エネルギー(20eV)以上のエネルギーを照射することで、ソース材料の蒸気中の元素や、外部から導入したガス中の窒素、硫黄および酸素などの高蒸気圧元素をイオン化し、さらにそれらイオンに結合エネルギーが付加される。これによって上記の元素が固体電解質の層に取り込まれ、元素欠損が抑制された良質な固体電解質層を形成することができる。また、固体電解質の結晶化を抑制するためには、照射するエネルギーの上限は100eVに設定することが好ましい。固体電解質層の元素欠損および結晶化を一層効果的に抑制するためには、照射するエネルギーの強度を40〜80eVとすることが、さらに好ましい。上記の高蒸気圧元素は、活物質中に欠損を生じやすい元素であり、高蒸気圧元素を含む活物質の層を形成する場合には、高蒸気圧元素を上記のように外部から導入する不活性ガス中に含ませる以外に、高蒸気圧元素を含むソース材料を用いても良い。
【0036】
さらに、本発明の全固体電池の第一または第三の製造方法において形成された固体電解質層の表面に、正極活物質あるいは負極活物質を構成する元素の原子、イオン、あるいはクラスターを含む気相中で、正極活物質あるいは負極活物質を形成する工程では、被成膜面、もしくは被成膜面近傍の気相中の原子、イオン、あるいはクラスターに、所定の強度のエネルギーを照射することが好ましい。
【0037】
これらのプラズマ、電子あるいは光子を被成膜面に向けて照射することによって、被成膜面の固体電解質を結晶化させることなく、元素欠損が抑制され、かつ結晶化が進んだ活物質層を形成することができる。すなわち、前記のプラズマ、電子、あるいは光子を照射し、被成膜面近傍の気相中の原子、イオン、あるいはクラスターに衝突させてエネルギーを印加すると、これらの原子、イオン、あるいはクラスターが被成膜面に到達したとき、印加されたエネルギーが再配列エネルギーとして作用する。さらに、被成膜面の最表面に堆積しつつある活物質に上記エネルギーを印加することにより、活物質の結晶化がさらに促進される。結晶化に必要な照射エネルギーの強度は100eV以下で十分であり、この場合、照射されたエネルギーの大半は気相中の原子、イオンあるいはクラスター、および被成膜面の最表面で吸収され、基板にまで拡散することは殆どないので、基板温度を高めることもない。これによって、被成膜面の固体電解質が結晶化してイオン伝導度が低下したり、固体電解質層中の有機高分子化合物が分解あるいは変質する懸念がなくなる。
【0038】
固体電解質層を形成する場合と同様に、成膜雰囲気中に20eV以上のエネルギーを照射することで、ソース材料の蒸気中の元素や、外部から導入したガス中の酸素などの高蒸気圧元素をイオン化し、成膜雰囲気中の元素のイオン化が促進される。さらにそれらイオンに結合エネルギーが付加されるので、元来化合しにくい原子との反応が促進されて、元素欠損が抑制された良質な活物質層を形成することができる。欠損を生じやすい上記元素あるいは原子の電離のしやすさの程度は、衝突するプラズマ、電子、あるいは光子のエネルギー強度に強く依存し、50〜100eVの範囲で極大値をとる場合が多く、この範囲のエネルギーを照射することにより、元素欠損の抑制および結晶化が一層促進される。
【0039】
これらのことから、照射するエネルギーの強度は、20〜100eVが好ましく、50〜100eVがさらに好ましい。酸素などの高蒸気圧元素は、活物質中に欠損を生じやすい元素であり、高蒸気圧元素を含む活物質の層を形成する場合には、高蒸気圧元素を上記のように外部から導入する不活性ガス中に含ませる以外に、高蒸気圧元素を含むソース材料を用いても良い。
【0040】
上記の活物質層の形成方法は、本発明の第一および第三の製造方法により形成された固体電解質層の表面に活物質層を形成する場合の他に、本発明による第二の製造方法により形成された集電体層の表面に活物質層を形成する工程においても同様の効果が得られる。すなわち、活物質層を形成するに際して、基板が過熱されることがないので、集電体層中の有機高分子化合物が分解あるいは変質する懸念がなくなる。
【0041】
正極活物質のソース材料は、例えばMの組成式で示される正極活物質の層を形成する場合は、金属Mあるいはその酸化物を使用する。LiMの組成式で示される活物質で活物質層を構成する場合は、金属Mあるいはその酸化物をM供給用のソース材料とし、Li供給用のソース材料としては、Liの蒸気圧が高く、金属Mとの間で蒸気圧差が発生するため、金属Liと、Li酸化物あるいはLi炭酸塩などを併用しても良い。これらの正極活物質層の形成においては、酸素欠損を抑制するため、不活性ガスに酸素を混合したガスを反応容器内に導入するのが好ましい。負極活物質のソース材料は、例えばLi3−xCoNの組成式で示される負極活物質の層を形成する場合には、金属Coと金属Liをソース材料とし、窒素ガスを反応容器内に導入するのが好ましい。これら、正極活物質および負極活物質のソース材料や形成方法は、後に実施例で具体的に説明する。
【0042】
本発明の第一、第二、および第三の全固体電池の製造方法では、比較的低沸点のソース材料、例えば、有機高分子化合物などには抵抗加熱により、比較的高沸点のソース材料、例えばLiPOなどには電子ビーム、レーザーなどによりエネルギーを加えて、原子、イオンあるいはクラスターを含む蒸気を発生させる。また、全固体電池に用いる固体電解質や活物質、およびそれらのソース材料には、水と反応しやすい材料が多いので、このような材料を扱う工程では、ドライプロセスでの層形成が必要である。また、積層型全固体電池の製造過程では、メタルマスクを使用するなどのパターニング方法によって各層の電子絶縁状態を確保できるようにパターン合わせを行うことが好ましい。
【0043】
図5は、本発明の製造方法により、全固体電池を作製する設備の一例を示す模式図である。真空容器31は排気管48とメインバルブ49を介して真空ポンプと接続されている。真空容器31の内部には、基板ホルダー30に支持された被成膜基板21、高沸点のソース材料22および23を収容する電子ビーム蒸着用ルツボ24、対ソース用の電子銃25、有機高分子化合物ソース材料61を収容する抵抗加熱用ルツボ62、および雰囲気ガスの導入管27が設けられている。
【0044】
被成膜面、もしくはその近傍の気相中への電子照射により成膜を行う場合には、対基板用の電子源41および対基板用電子源用のガス導入管43が設置され、気相中への電子照射により成膜を行う場合には、対クラスターおよび対ガス用の電子源42および対クラスターおよび対ガス用電子源用のガス導入管44が設置される。被成膜面、もしくはその近傍の気相中へのプラズマ照射により成膜を行う場合には、対基板用のプラズマ源51および対基板用プラズマ源用のガス導入管53が設置され、気相中へのプラズマ照射により成膜を行う場合には、対クラスターおよび対ガス用のプラズマ源52および対ガス用プラズマ源用のガス導入管54が設置される。被成膜面、もしくはその近傍の気相中への光照射により成膜を行う場合には、対基板用の光源26が設置され、気相中への光照射により成膜を行う場合には、対クラスターおよび対ガス用の光源28が設置される。
【0045】
本発明におけるエネルギー照射は、プラズマ照射、電子照射、あるいは光照射のうちのいずれかを主体にして行うが、例えば、電子照射を主体に、補足的にプラズマ照射を同時に行う方法が効果的な場合もある。また、例えば、活物質層を形成する場合には、被成膜面に向けてエネルギー照射すると同時に気相中に向けてエネルギー照射する方法が効果的な場合もある。これらの場合には、上記の図5の説明に拘らず、複数のエネルギー照射手段を設置して使用すればよい。なお、ソース材料の種類やこれを蒸発させるための電子銃は、図5に拘ることなく、必要に応じて増減すればよい。
【0046】
ガス導入管43、44、53、および54からは、Ar、He、Ne、XeおよびNなどの不活性ガスを導入し、雰囲気ガスの導入管27からは、O、Nおよび硫黄などのガスを、気体ソース材料あるいは元素欠損を抑制するためのガスとして、必要に応じて前記不活性ガス中に混入して導入する。光源26および28としては、発光波長の短波長端が12〜62nmにあるものを使用する。一般的には上記のガスは、上記の波長域の光を吸収するため、真空スパーク光源(ウラン陽極:15〜40nm)やレーザー誘起プラズマ光源など、ガス放電現象を利用しない光源を使用するのが好ましい。例えば、特開平8−287901号公報で開示されている重水素ランプは、重水素ガスの放電スペクトルを利用したものであり、発光波長が90nm以上(電子ボルト換算で13eV以下)である。また、ガス封入の必要性から窓材が必要となるが、100nm以下の短波長域で透明な材料がないという問題があるため、本発明では使用できない。
【0047】
【実施例】
本発明を、実施例によりさらに詳細に説明する。各実施例において、図1に示す積層型全固体電池を図5に示す装置を用いて作製した。それらの電池の作製手順を以下に示す。
【0048】
1)正極活物質層の形成。
まず、図7に示すメタルマスク71をアラインメントした厚さ10μmのステンレス鋼箔製の被成膜基板21を基板ホルダー30に装着した。メタルマスク71は、実線71aの内側部分が刳り抜かれている。ソース材料22および23として、金属M(M:Co、Ni、あるいはMn)と金属Liを電子ビーム蒸着用ルツボ24にそれぞれ適量入れた。次いで、真空容器31内にArと酸素の混合ガス(混合比1:1)を雰囲気ガス導入管27から導入し、1×10−3〜1×10−1Paに保った。その後、被成膜基板21の被成膜面に対して、各試料毎に定めた所定の加速電圧および照射電流で、対基板用電子源41から電子を放出することにより、被成膜面に向けてエネルギーを照射した。同時にソース材料22および23に対しては、電子銃25から10kV、100〜180mAの電子ビームを照射して蒸発させた。
【0049】
ソース材料の蒸発開始より20分間経過後にすべての電子の照射を停止した。以上の手順で、各種製膜条件でのLiCoO、LiNiO、およびLiMnの正極活物質層を形成した。正極活物質層の厚さは、特に断りのない限り、いずれも2μmとした。Vを活物質とする正極活物質層は、ソース材料にLiを用いず、金属MとしてVを用いた以外は、上記のLiCoOなどの層と同様にして形成した。
【0050】
2)固体電解質層の形成。
まず、図8に示すメタルマスク72をアラインメントした被成膜基板21を基板ホルダー30を装着した。最下層の固体電解質層3の成膜のときにはメタルマスク72を用い、他の固体電解質層7および11の成膜には図9に示すメタルマスク73を用いた。メタルマスク72あるいは73は、実線72aあるいは73aの内側部分が刳り抜かれており、破線71aの内側は正極活物質層を形成する際に用いたメタルマスク71の開口部に相当する。
【0051】
ソース材料22および有機高分子化合物ソース材料61としてのLiPOおよびポリエチレン(分子量約2000)をそれぞれ電子ビーム蒸着用ルツボ24および抵抗加熱用ルツボ62に適量入れた。真空の容器31内に窒素と酸素の混合ガス(混合比1:1)を雰囲気ガス導入管27から導入し、1×10−3〜1×10−1Paに保った。その後、各試料毎に定めた所定の加速電圧および照射電流で、対クラスターおよび対ガス用の電子源42から成膜雰囲気の気相中に向けて電子を放出することにより、気相中の原子、イオン、あるいはクラスターにエネルギーを照射した。
【0052】
同時にソース材料22のLiPOには、10kV、100〜180mAの電子ビームを電子銃25から照射し、有機高分子化合物ソース材料61のポリエチレンは、抵抗加熱により200〜370℃に加熱してこれを蒸発させた。抵抗加熱用ルツボ62をクヌーセンセル状とすることで、ポリエチレンを蒸発させた際の内部圧力を1〜10Pa程度とした。ソース材料の蒸発開始より20分間経過後にすべての電子の照射と抵抗加熱を停止した。以上の手順で、固体電解質としてLiPON、有機高分子化合物としてポリエチレンを含む固体電解質層を各種の成膜条件で形成した。固体電解質層の厚さは、特に断りのない限り、いずれも2μmとした。
【0053】
固体電解質としてLiO−V−SiOを含む固体電解質層を形成する場合には、ソース材料としてLi、SiおよびVを用い、膜形成時間をソースの蒸発開始より25分間とした以外は、上記LiPONを含む固体電解質層と同様にして成膜した。また、固体電解質がLiS−SiS−LiPOの場合には、Li、Si、S、およびLiPOをソース材料として用い、導入ガスをArとし、膜形成時間を17分間とした以外は、上記LiPONを含む固体電解質層と同様にして成膜した。
【0054】
有機高分子化合物が、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルケトン、あるいはメチルペンテンポリマーの場合には、それぞれ240〜390℃、350〜395℃、380〜405℃、あるいは350〜390℃に加熱して蒸発させた以外は、ポリエチレンを用いた場合と同様にして成膜した。Liイオン伝導性の有機高分子化合物として、ポリエチレンオキシドとトリフルオロスルホンイミドのハイブリッド化合物を用いる場合には、ソース材料としてポリエチレンオキシドとトリフルオロ硫酸ジメチルを準備し、両者を抵抗加熱によって、それぞれ200〜370℃に加熱して蒸発させた。
【0055】
3)負極活物質層の形成。
まず、図10に示すメタルマスク74をアラインメントした被成膜基板21を基板ホルダー30に装着した。メタルマスク74は、実線74aの内側部分が刳り抜かれている。破線72aの内側は最下層の固体電解質層3を形成する際に用いたメタルマスク72の開口部に相当する。
【0056】
ソース材料としての金属Co22と金属Li23を電子ビーム蒸着用ルツボ24に適量入れた。真空容器31内に窒素を導入し、1×10−3〜1×10−1Paに保った。その後、被成膜基板21の被成膜面に向けて、各試料毎に定めた所定の加速電圧および照射電流で、対基板用電子源41から電子を放出することにより、被成膜面およびその近傍の気相中にエネルギーを照射した。同時にソース材料に対して10kV、100〜180mAの電子ビームを照射してこれを蒸発させた。ソースの蒸発開始より5分間経過後にすべての電子の照射を停止した。
【0057】
以上の手順で、被成膜面上にLi3−xCoNからなる厚さ0.5μmの負極活物質層を形成した。さらに、グラファイトからなる負極活物質層は、ソース材料22をカーボン、導入ガスをAr、形成時間を20分間とした以外は、Li3−xCoN活物質層の場合と同様にして、厚さ3ミクロンの層を形成した。さらに、Li(Li1/3Ti5/3)Oからなる負極活物質層は、ソース材料に金属Li、およびTiを使用し、導入ガスは酸素を混入したArとし、形成時間を12分間とした以外は、Li3−xCoN活物質層の場合と同様にして、厚さ1.5μmの層を形成した。また、金属Liの負極活物質層は、被成膜面に向けてのエネルギー照射を行わず、ソース材料に金属Liを使用し、導入ガスをArとし、形成時間を5分間として、厚さ0.5ミクロンのLi層を形成した。
【0058】
4)集電体層の形成。
まず、図11に示すメタルマスク75をアラインメントした被成膜基板21を基板ホルダー30に装着した。ただし、負極集電体層の形成時はメタルマスク75を用い、正極集電体層の形成時は図12のメタルマスク76を用いた。メタルマスク75は、実線75aの内側部分が刳り抜かれている。破線72aの内側は、最下層の固体電解質層3を形成する際に用いたメタルマスク72の開口部、破線74aの内側は負極活物質を形成する際に用いたメタルマスク72の開口部に、それぞれ相当する。メタルマスク76は、実線76aの内側部分が刳り抜かれている。破線72aの内側は、最下層の固体電解質層3を形成する際に用いたメタルマスク72の開口部、破線71aの内側は正極活物質層形成時に用いたメタルマスク74の開口部に、それぞれ相当する。
【0059】
ソース材料22としての金属(Ni、あるいはSUS304H)および有機高分子化合物のソース材料61であるポリプロピレンをそれぞれ電子ビーム蒸着用ルツボ24および抵抗加熱用ルツボ62に適量入れた。真空の容器31内にArを導入して1×10−3〜1×10−1Paに保った。ソース材料22に対して10kV、100〜180mAの電子ビームを電子銃25から照射し、有機高分子化合物ソース材料61は250〜420℃に加熱して、これらを蒸発させた。蒸発開始より5分経過後に電子照射と加熱を停止した。以上の手順により、特に断りのない限り、厚さ0.5μmのNiあるいはSUS304Hおよびポリプロピレンからなる集電体層を形成した。
【0060】
上記の工程を1)→2)→3)→4)→3)→2)→1)→4)→1)→2)→3)→4)の順序で実施することによって図1の構造の積層型全固体電池を作製した。
【0061】
《実施例1》
図1に示す積層型全固体電池を次のようにして作製した。表1および表2に示すように、正極および負極の活物質層を構成する活物質の種類、固体電解質層を構成する固体電解質の種類、および集電体層を構成する電子伝導性材料の種類を変化させ、さらに、電子照射によるエネルギー照射の際の加速電圧を変化させて、合計32種類の電池を10個ずつ作製した。
【0062】
すべての電池について、固体電解質層あるいは集電体層に含まれる有機高分子化合物およびそのソース材料には、ポリエチレンを用い、それらの含有比率をいずれも重量比で4%とした。また、電子照射の際の照射電流は、正極活物質層および負極活物質層の形成時には25Aとし、固体電解質層の形成時には10Aとした。但し、金属Li層の形成時には、被成膜面へのエネルギー照射を行わなかった。
【0063】
上記32種類の電池を各々10個ずつ作製し、それらの充放電特性を測定した。20℃の環境温度下で、0.2Cで4.2Vまで充電を行った後、1Cレートで3.0Vまで放電する充放電サイクルを5サイクル行った。さらに6サイクル目には25Cで放電を行った。5サイクル目の放電容量が正極活物質の理論容量の80%以下のものを不良品とし、その発生率を不良率とした。それぞれの電池の5サイクル目(1C放電)の不良率を表1および表2に示した。
【0064】
【表1】
Figure 2004095342
【表2】
Figure 2004095342
【0065】
表1および表2からわかるように、照射した電子の加速電圧が20V以上100V以下の場合に、不良率が抑制されている傾向がみられた。加速電圧が100Vを超える場合には、基板温度が約160℃を超えており、これによってLi金属や有機高分子化合物の融解が起き、その結果、内部短絡や電解質層のイオン伝導度が低下したものと思われる。さらに、金属Li以外の活物質層、あるいは固体電解質層の成膜時に電子照射を行わなかった場合(試料4−8、5−8、6−8、および7−8)には、著しく大きな不良率を示した。これは、活物質の結晶化が進まず、あるいは、活物質および固体電解質に元素欠損が生じたためと推察される。
【0066】
《実施例2》
図1に示す積層型全固体電池を次のようにして作製した。ソース材料としてLiPOおよびポリエチレンを用い、電子照射によるエネルギー照射時の加速電圧を表2のように変化させ、照射電流を10Aとして、LiPONおよびポリエチレンからなる固体電解質層を形成した。固体電解質層中のポリエチレンの含有比率は、いずれも重量比で4%とした。
【0067】
正極活物質層はいずれも実施例1の試料4−3と同じ条件でLiCoOの層を形成した。負極活物質層はいずれも加速電圧100V、および照射電流25Aの条件で被成膜面に電子照射してLi(Li1/3Ti5/3)Oの層を形成した。集電体層はいずれも実施例1と同じ条件でSUS304Hとポリプロピレンからなる層を形成した。
このようにして8種類の電池を10個ずつ作製し、各電池について、実施例1と同様の方法で充放電特性を測定した。6サイクル目(25C放電)の放電容量が正極活物質の理論容量の80%以下のものを不良品とし、各種類の電池の不良率を求めた。その結果を表3に示す。
【0068】
【表3】
Figure 2004095342
【0069】
表3から、照射した電子の加速電圧が20Vあるいは100Vでも不良品が発生しており、100V以上の高電圧あるいは20V以下の低電圧になるほど、不良率が増大していることがわかる。このことから、加速電圧が80Vよりも高くなると、固体電解質層中のLiPONの一部が結晶化し始めるものと推察される。また、加速電圧が20Vより低くなると、LiPONの一部に窒素原子の欠損が生じ始めるものと推察される。加速電圧が40V以上80V以下の場合には、不良品の発生はなかった。これは、成膜雰囲気中の窒素が効率的に取り込まれた非晶質のLiPONが固体電解質層中に生成した結果、25Cという極めて大きな放電電流においても大容量が得られたものと推察される。
【0070】
《実施例3》
図1に示す積層型全固体電池を次のようにして作製した。正極活物質層はLiCoOを活物質とする厚さ2μmの層、固体電解質層の厚さは2μm、負極活物質層は厚さ0.5μmのリチウム層とした。集電体層は有機高分子化合物を含まず、集電体層5および9は厚さ0.2μmのニッケル層、集電体層13は厚さ1μmのニッケル層とした。
【0071】
固体電解質層は、図2に示すような、有機高分子化合物17と固体電解質15からなる固体電解質層18の両側に、固体電解質単独の薄い層15−1、および15−3をそれぞれ結合させた複合層の固体電解質層を用いた。固体電解質層15−1、18、および15−3の厚さをそれぞれ200nm、1600nm、200nmとした。
【0072】
正極活物質層は、加速電圧100V、照射電流25Aの条件下で、固体電解質層は、加速電圧100V、照射電流10Aの条件下で、それぞれ電子照射によるエネルギー照射を行うことにより形成した。固体電解質、および高分子有機化合物のそれぞれの材質を、表4に示すように変化させた16種類の電池を上記の条件で10個ずつ作製した。各電池を実施例1と同じ条件で充放電特性を測定した。5サイクル目(1C放電)、および6サイクル目(25C放電)の不良率を表4に示す。
【0073】
【表4】
Figure 2004095342
【0074】
まず、5サイクル目(1C放電)および6サイクル目(25C放電)ともに、固体電解質層中に有機高分子化合物を含有しない試料1−1では、40%という高い不良率を示した。充放電特性測定後の電池の正負極間の抵抗値を測定したところ、試料1−2〜1−7では無限大の抵抗値を示したが、試料1−1の不良品では約150Ωと小さな値を示した。試料1−1は柔軟性を全く持たない層が密着して形成された電池なので、工程中あるいは取り扱い中に加わるストレスによって損傷し、特に固体電解質層自体の破断による内部短絡が発生したことが不良原因と推定される。
【0075】
一方、有機高分子化合物としてのポリエチレンを固体電解質層中に比較的多く含有させた試料1−6、および1−7においても不良品が多く発生した。特に25C放電において、その傾向が顕著であった。これらのことから、固体電解質層中の有機高分子化合物の含有率は、重量比で2〜10%が好ましく、2〜8%がさらに好ましいことが確認された。試料1−1〜1−7で用いたポリエチレンの代わりに他の有機高分子化合物を用いた試料1−8〜1−11および1−15、ならびに試料1−1〜1−7で用いたLiPONの代わりに他の固体電解質材料を用いた試料1−12〜1−14は、有機高分子化合物の含有率4%の条件下で、いずれも不良品の発生は認められなかった。特に、有機高分子化合物としてLiイオン伝導性を有するポリエチレンオキシドとトリスルホンイミドのハイブリッド化合物を用いた場合には、重量比で20%含有させた試料1−16においても不良品の発生が認められなかった。
【0076】
《実施例4》
図2における固体電解質層15−1、18、および15−3の各層の厚さを表4に示すように変化させた以外は、実施例3の試料1−3と同様にして積層型全固体電池を作製した。
【0077】
上記のように固体電解質層を変化させて、8種類の各電池を10個ずつ作製し、これらの電池について充放電特性を測定した。20℃の環境温度下で、0.2Cで4.2Vまで充電し、1Cレートで3.0Vまで放電する充放電サイクルを100回行った。100サイクル目の放電容量が、正極活物質の理論容量の80%以下のものを不良品としてその発生率を不良率とした。上記の測定による不良率を表5に示す。
【0078】
【表5】
Figure 2004095342
【0079】
固体電解質単独の層15−1および15−3を形成していない試料2−1では、不良率が最も高く、これらの層が極く薄い試料2−2でも若干の不良品が発生した。また、試料2−1の不良品を分解し、電子顕微鏡にてその断面構造を観察したところ、図6に示すように、負極活物質層16(Li層)が固体電解質層18の面から離れている部分が多数見られた。さらに、剥離部分の固体電解質層の表面部には有機高分子化合物17の粒子が観測された。この表面部の粒子が、充電時のその近傍でのLi析出を妨害しているものと推察される。
【0080】
一方、試料2−2〜2−8ではこのような剥離は見られなかった。固体電解質のみで形成された固体電解質層を用いた試料2−8の場合には、試料1−1と同様に多くの不良品が発生した。以上のことから、固体電解質単独の層15−1および15−3を、固体電解質と有機高分子化合物からなる固体電解質層18の両面に設けることにより、電池の充放電サイクル寿命を長くする効果があることが確認された。
【0081】
《実施例5》
固体電解質層3、7、および11中には有機高分子化合物を含有させず、固体電解質LiPON単独の層を用い、実施例3のニッケル単独の層の代わりに有機高分子化合物粒子を含有させた集電体層を用いた以外は、実施例3と同様にして積層型全固体電池を作製した。集電体層中の導電性無機材料の種類、有機高分子化合物の種類およびその含有比率を表6に示すように変化させた15種類の電池を10個ずつ作製した。固体電解質層の成膜は、加速電圧100V、照射電流10Aの条件で被成膜面に電子照射して行った。集電体層の成膜は、被成膜面に電子照射を行わず、電子ビーム蒸着法(10kV、180mA)でNiを、抵抗加熱法(350℃)でポリプロピレンを、それぞれ5分間蒸発させて行った。
【0082】
作製した各電池について充放電特性を実施例1と同様の方法で測定した。それらの測定による5サイクル目(1C放電)および6サイクル目(25C放電)における不良率を表6に示す。
【0083】
【表6】
Figure 2004095342
【0084】
表6において、有機高分子化合物を含有しない試料3−1では、特に高い不良率を示した。これは、集電体層に柔軟性がないために固体電解質層にストレスが波及して、固体電解質層の微小な破断が発生し、短絡現象を起こしたためと思われる。また、有機高分子化合物の含有量が過多になると、集電体層の抵抗が増大し、特に25Cの高率放電での不良率が高くなる傾向を示した。このことから、集電体層中の有機高分子化合物の好ましい含有率は、重量比で2〜20%であり、2〜10%がさらに好ましいことが確認された。また、試料3−1〜3−7で用いたポリエチレンに代わり、他の有機高分子化合物を用いた試料3−8〜3−11、および、試料3−1〜3−7で用いたNiに代わり、他の導電性無機材料を用いた試料3−12〜3−15は、有機高分子化合物の含有率4%の条件下で、いずれも不良品の発生は認められなかった。
【0085】
【発明の効果】
本発明により、固体電解質層あるいは集電体層、およびこれらを構成要素とする積層型全固体電池の柔軟性が確保される。これにより、製造工程中の各電池構成要素の破損、あるいは使用中の電池の破損が防止できる。その結果、工程および製品の不良率が低減でき、さらに、電池の内部短絡を阻止することができる。また、固体電解質層など下地の非耐熱材料を変質させることなく、結晶化の進んだ活物質層を形成することができる。さらに、元素欠損が抑制された良質な活物質あるいは固体電解質の層を形成することができる。これらの効果により、高容量、高出力で、充放電サイクル寿命が長い全固体電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】積層型の全固体電池の縦断面図である。
【図2】本発明の実施例における固体電解質層が活物質層と結合した状態を示す縦断面図である。
【図3】本発明の他の実施例における固体電解質層が活物質層と結合した状態を示す縦断面図である。
【図4】本発明の集電体層が活物質層と結合した状態を示す縦断面図である。
【図5】本発明の全固体電池を構成する各層を成膜する装置の模式図である。
【図6】固体電解質層から活物質層の一部が剥離した状態を示す縦断面図である。
【図7】正極活物質層形成用のメタルマスクの正面図である。
【図8】固体電解質層形成用のメタルマスクの正面図である。
【図9】他の固体電解質層形成用のメタルマスクの正面図である。
【図10】負極活物質層形成用のメタルマスクの正面図である。
【図11】負極集電体層形成用のメタルマスクの正面図である。
【図12】正極集電体層形成用のメタルマスクの正面図である。
【符号の説明】
1 基板
2、8、10、14 正極活物質層
3、7、11、18、 固体電解質層
4、6、12、16 負極活物質層
5、9、13 集電体層
15 固体電解質
17、19 有機高分子化合物
21 被成膜基板
22、23 ソース材料
24 電子ビーム蒸着用ルツボ
25 対ソース用電子銃
26 対基板用光源
27 雰囲気ガス導入管
28 対クラスターおよび対ガス用光源
30 基板ホルダー
31 真空容器
41 対基板用電子源
42 対クラスターおよび対ガス用電子源
43 対基板用電子源用ガス導入管
44 対クラスターおよび対ガス用電子源用ガス導入管
48 排気管
49 メインバルブ
51 対基板用プラズマ源
52 対クラスターおよび対ガス用プラズマ源
53 対基板用プラズマ源用ガス導入管
54 対クラスターおよび対ガス用プラズマ源用ガス導入管
61 有機高分子化合物ソース材料
62 抵抗加熱用ルツボ
71 正極活物質層形成用メタルマスク
72、73 固体電解質層形成用メタルマスク
74 負極活物質層形成用メタルマスク
75 負極集電体層形成用メタルマスク
76 正極集電体層形成用メタルマスク

Claims (8)

  1. 正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、および集電体層のそれぞれの複数の層を、基板上に積層してなる全固体電池であって、前記固体電解質層の少なくとも一つの層が、リチウムイオン伝導性無機固体電解質および有機高分子化合物を含むことを特徴とする全固体電池。
  2. 前記固体電解質層と前記正極活物質層の間、および前記固体電解質層と前記負極活物質層の間の少なくとも一方に、リチウムイオン伝導性固体電解質からなる層を設けた請求項1に記載の全固体電池。
  3. 正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、および集電体層のそれぞれの複数の層を、基板上に積層してなる全固体電池であって、前記集電体層の少なくとも一つの層が、導電性無機材料および有機高分子化合物を含むことを特徴とする全固体電池。
  4. 正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、および集電体層のそれぞれの複数の層を、基板上に積層してなる全固体電池の製造方法であって、前記固体電解質層を構成する原子、イオンあるいはクラスターを含む気相中で、前記正極活物質層または負極活物質層の表面に前記固体電解質層を形成する工程を有し、前記固体電解質層の形成工程において、前記固体電解質層に含まれる固体電解質を構成する元素の原子またはその元素を含む化合物、および、前記固体電解質層に含まれる有機高分子化合物そのもの、そのモノマーあるいはその低重合体、をソース材料とし、これらを前記気相中に同時に蒸発させることを特徴とする全固体電池の製造方法。
  5. 正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、および集電体層のそれぞれの複数の層を、基板上に積層してなる全固体電池の製造方法であって、前記集電体層を構成する原子、イオンあるいはクラスターを含む気相中で、前記正極活物質層または負極活物質層の表面に前記集電体層を形成する工程を有し、前記集電体層の形成工程において、前記集電体層に含まれる導電性無機材料を構成する元素の原子あるいはその元素を含む化合物、および、前記集電体層に含まれる有機高分子化合物そのもの、そのモノマーあるいはその低重合体、をソース材料とし、これらを前記気相中に同時に蒸発させることを特徴とする全固体電池の製造方法。
  6. 正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、および集電体層のそれぞれの複数の層を、基板上に積層してなる全固体電池の製造方法であって、前記固体電解質層を構成する原子、イオンあるいはクラスターを含む気相中で、前記正極活物質層または負極活物質層の表面に前記固体電解質層を形成する工程を有し、前記固体電解質層の形成工程において、前記気相中の原子、イオンあるいはクラスターに対して、プラズマ照射、電子照射、あるいは光照射により、所定の強度のエネルギーを照射することを特徴とする全固体電池の製造方法。
  7. さらに、前記正極活物質層または負極活物質層を構成する原子、イオンあるいはクラスターを含む気相中で、前記固体電解質層あるいは前記集電体層の表面に前記正極活物質層または負極活物質層を形成する工程を有し、前記活物質層の形成工程において、被成膜面、もしくはその近傍の前記気相中の原子、イオンあるいはクラスターに対して、プラズマ照射、電子照射、あるいは光照射により、所定の強度のエネルギーを照射する請求項4〜6のいずれかに記載の全固体電池の製造方法。
  8. 請求項4〜7のいずれかに記載の製造方法により製造された全固体電池。
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