JP4439070B2 - 非水二次電池およびその充電方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水二次電池およびその充電方法に関するものであり、さらに詳しくは、高容量でかつ貯蔵特性が優れた非水二次電池およびそれを用いる際の充電方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
リチウムイオン二次電池に代表される非水二次電池は、容量が大きく、かつ高電圧、高エネルギー密度、高出力であることから、ますます需要が増える傾向にある。しかし、この非水二次電池に対してもさらなる高容量化や高電圧化が要望されており、それに応えるためには電池を充電する際に充電電力量を増加させることが必要になる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、高容量化および高電圧化を進めるべく、電池の充電電力量を増加させていくと、貯蔵特性が劣化してしまうことが判明した。特に電極積層体の単位体積当たり0.59Wh/cm3 以上の充電電力量で利用する電池においては貯蔵特性の確保が非常に難しくなることが判明した。これは、電極積層体の単位体積当たりの充電電力量が大きくなればなるほど正極の温度上昇が大きくなり、正極が高電位に保持されることと相まって、電解液(液状電解質)の一部が分解し、正極表面が劣化するからである。ここで電極積層体の体積とは、電池内で正極、負極、セパレータを積層または巻回したものの嵩体積で、巻き軸の穴などは体積として含まない。要するに、正極、負極、セパレータが占める嵩体積を合計したものである。
【0004】
そのため、本発明者らは、正極の表面に着目し、正極表面での電解液との反応を低減することによって上記のような貯蔵特性の劣化を解消させる方法を検討した。つまり、正極に用いられる4V級の活物質すなわちLiCoO2 、LiNiO2 などの金属酸化物や、5V級の活物質すなわちLiMn2 4 、LiMn1.5 Ni0.5 4 など、おおよそ4.5〜5.5Vの電位を有し得る金属酸化物は一種の触媒でもあり、電解液との反応を抑制するためには、その触媒能を低減させる必要がある。そこで、本発明者らは、正極表面に高耐電圧で安定性の高い保護皮膜を形成し、その保護皮膜によって、正極と電解液との反応を抑制することが貯蔵特性の劣化を抑制するにあたって有効であると考えた。
【0005】
本発明者らは、上記方針に基づいて種々検討を重ねた結果、上記保護皮膜として有機イオウ化物またはフルオロアルキル基または有機窒化物のいずれかを含んだ皮膜を形成することが貯蔵特性の劣化を抑制するのに有効であることを見出した。
【0006】
しかしながら、上記のような保護皮膜は充放電を阻害する要因になるため、その厚みをできるだけ薄くし、かつイオン伝導度を有するようにすれば、充放電時にリチウムイオンの出入りがスムーズになり、充放電反応が阻害されることがなくなって、高容量化と優れた貯蔵特性とが両立できるものと考えられる。
【0007】
したがって、本発明は、上記のような考えに基づき、電極積層体の単位体積当たり0.59Wh/cm3 以上の充電電力量で利用する高容量の非水二次電池においても貯蔵特性を向上させ、高容量でかつ貯蔵特性の優れた非水二次電池を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、リチウム複合酸化物を活物質とする正極、負極および電解質を有し、電極積層体の単位体積あたり0.59Wh/cm3 以上の充電電力量で利用する非水二次電池において、正極表面のXPS分析で、168〜170eVの間にイオウに基づくピーク、291〜295eVの間に炭素に基づくピーク、399〜401eVの間に窒素に基づくピークのいずれかを有し、かつそれぞれのピークより求められる正極表面での各元素の原子比が、イオウは1%以上、炭素は3%以上、窒素は0.3%以上のいずれかの値になるようにして、上記課題を解決したものである。なお、上記XPS分析に基づくイオウ、炭素、窒素の量を示す%は、原子比に基づくものであるから、原子%である。また、本発明は、上記構成の非水二次電池のうちフルオロアルキル基を含むイミド系リチウム塩を電解質中に含有した非水二次電池に対し、正極電位がリチウム基準で4.4V以上になる条件で充電を行うことにより、高容量でかつ貯蔵特性の優れた非水二次電池が容易に得られるようにしたものである。
【0009】
上記のような168〜170eVの間のイオウ(硫黄)に基づくピークは有機イオウ化物に対応するピークであり、291〜295eVの間の炭素に基づきピークはフルオロアルキル基に対応するピークであり、399〜401eVの間の窒素に基づくピークは有機窒化物に対応するピークである。これらは、いずれか一つが正極表面の皮膜中に含まれることにより前述の効果を奏するが、複数が皮膜中に共存することによって、より優れた効果が奏される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明において、上記皮膜を正極表面に形成するための手段としては、例えば、化学式LiN(Rf1 SO2 )(Rf2 SO2 )と表されるフルオロアルキル基を含むイミド系リチウム塩を電解液に添加する方法が挙げられる。ここでRf1 、Rf2 はフルオロアルキル基を含む置換基であり、その中でも、特にLiN(Rf3 OSO2 )(Rf4 OSO2 )(ここで、Rf3 、Rf4 はフルオロアルキル基)で表されるイミドエステルリチウム塩が好ましい。上記のようなイミド系リチウム塩を含む非水二次電池に対し、正極が高い電位を有するように充電を行うと所望の皮膜が形成される。すなわち、リチウム基準で4.4V以上になるように充電を行うと貯蔵特性の向上にあたって効果を奏する皮膜が形成される。さらに電位が4.5V以上になるとより良好な効果を奏する皮膜が得られ、4.6V以上ではさらに良好な効果を奏する皮膜が得られるようになる。一方、4.3V以下の充電では、正極表面の保護皮膜が形成されてはいるものの、薄すぎたり不均一であったりして、貯蔵特性の向上効果が得られにくい。ここで、負極に黒鉛などの炭素材料を用いた電池に対しては、リチウム基準で正極の電位が4.4V以上になる充電とは、電池に印加される電圧に換算するとおおよそ4.3Vに相当する。
【0011】
また、充電する電力量によっても形成される皮膜の厚さや組成が変化する。電極積層体の単位体積当たり0.59Wh/cm3 以上の充電電力量で充電する場合は良好な皮膜が形成されやすい。さらに0.6Wh/cm3 以上の充電電力量で充電するとより良好な皮膜が形成されやすくなる。
【0012】
本発明では、XPS分析で得られたピークをピーク分割し、正極表面に存在する各元素の原子比を算出したときに、イオウは1%以上、炭素は3%以上、窒素は0.3%以上のいずれかの値となることが必要であり、それぞれ、イオウは2%以上、炭素は5%以上、窒素は1%以上がより好ましい。ただし、それぞれの元素の比率が高くなりすぎるとリチウムイオンの移動を抑制する傾向があるので、イオウは5%以下が好ましく、3%以下がより好ましく、炭素は20%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、窒素は2.5%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。なお、XPS分析にあたっては、電池を0.2C相当で放電した後、不活性雰囲気中で電池を分解して正極を取り出し、メチルエチルカーボネートで洗浄後、真空乾燥を24時間行い、XPS分析用試料とする。そして、XPS分析は、VG社のEsca lab mark2(商品名)で12kV−10mAでMg−kα線を用いて測定し、ピーク分割を行って各ピークの原子比を算出する。また、これに相当する分析機および条件でもかまわない。
【0013】
また、正極表面に形成された皮膜にフルオロアルキル基が含まれている場合は、ピーク分割した後の前記炭素に基づくピーク強度をIaとし、同じく他の炭素(フルオロアルキル基以外のものに基づく炭素)に基づくピーク強度の合計をIcとしたときに、Ia/Ic≧0.2であればより貯蔵特性を向上させることができる。
【0014】
さらに、この皮膜の厚さは充放電を阻害しない程度に薄い方が好ましく、また、正極表面のアルゴンスパッタエッチング(加速電圧3kV、イオン電流30μA)を2分間行い、正極表面から少し内部に入った部分でのXPS分析を行った場合、そのピーク強度が上記エッチング前の正極表面のピーク強度より小さくなることが好ましい。例えば、正極表面でのピーク強度を100とした場合に、上記エッチング後のピーク強度が90以下になることが好ましく、より好ましくは80以下、さらに好ましくは75以下である。ただし、皮膜が薄すぎる場合は、貯蔵特性の向上効果が得られにくくなるため、ピーク強度は20以上であることが好ましく、50以上であることがより好ましい。
【0015】
また、前記したように、正極表面の皮膜がイオン伝導性を有するとさらに好ましい。そのためには、電解質塩として前述のイミド系リチウム塩とともに、LiPF6 が共存していることが好ましい。従来、LiPF6 系電解液はLiFを生成することが報告されていて、正極表面もLiFで覆われているという報告があるが、そのようなLiFではイオン伝導性を向上させることができない。正極表面の皮膜のイオン伝導性を向上させるためには、正極表面の皮膜内にLiPF6 またはそれに近いフッ素化物が存在することが好ましい。すなわち、XPS分析で135〜138eVの間にリンに基づくピークが存在し、かつ685〜689eVの間にフッ素に基づくピークが存在することが好ましい。
【0016】
本発明では、上記の正極、負極および電解質(この電解質の中には、液状電解質である電解液も含む)を組み合わせて非水二次電池を構成する。
【0017】
正極の活物質としては、例えば、充電時の開路電圧がLi基準で4V以上を示すLiCoO2 、LiMn2 4 、LiNiO2 などのリチウム複合酸化物が用いられる。これらのリチウム複合酸化物からなる活物質が充電時にLi基準で4.4V以上の電位を少なくとも1回以上有することにより、前記皮膜が形成されて電池の貯蔵特性が向上する。また、前記活物質は、Co、Mn、Niの一部あるいは大部分がそれぞれ別の元素で置換されていてもよく、例えば、Al、Fe、Ge、Ti、Ta、Mg、Nb、Cr、Y、ZrおよびMoよりなる群から選ばれる少なくとも一種の元素を含有させることにより、貯蔵特性の向上に際してより好ましい結果が得られる。そのようなリチウム複合酸化物の例としては、例えば、LiCo0.97Al0.032 などが挙げられる。
【0018】
そして、正極は、例えば、上記リチウム複合酸化物からなる正極活物質に例えば黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラックなどの導電助剤や例えばポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンプロピレンゴムなどのバインダーを適宜添加し、溶剤でペースト状にし、得られた正極合剤含有ペーストを金属箔などからなる正極集電材に塗布し、乾燥して正極合剤層を形成し、必要に応じてプレスして調厚することによって作製される。ただし、正極の作製方法は上記例示のものに限られることはない。
【0019】
上記正極集電材としては、例えばアルミニウムを主成分とする箔が好適に用いられ、その純度は98重量%以上、99.9重量%以下が好ましい。従来のリチウムイオン二次電池では純度が99.9重量%以上のアルミニウム箔が通常用いられているが、本発明においては正極集電材として15μm以下の金属箔を多用するので、ある程度の強度を確保するために純度が99.9重量%未満のものであることが好ましい。特に含有元素として好ましいのは、鉄とシリコンである。鉄の含有量としては0.5重量%以上が好ましく、さらに好ましくは0.7重量%以上であり、また、2重量%以下が好ましく、より好ましくは1.3重量%以下である。シリコンの含有量としては0.1重量%以上が好ましく、より好ましくは0.2重量%以上であり、また、1.0重量%以下が好ましく、より好ましくは0.3重量%以下である。正極集電材の引っ張り強度としては150N/mm2 以上が好ましく、180N/mm2 以上がより好ましい。また、正極集電材の破断伸びとしては2重量%以上が好ましく、3重量%以上がより好ましい。
【0020】
正極集電材の引っ張り強度や破断伸びが大きい方が好ましいのは、電極積層体の単位体積当たりの充電電力量が大きくなるにつれて正極の充電時の膨張が大きくなり、それに伴って正極集電材が切れやすくなる傾向があることに基づきものであり、その切断を抑制するためには正極集電材の引っ張り強度や破断伸びが大きい方が適しているからである。
【0021】
負極の主要材料は、リチウムイオンをドープ、脱ドープできるものであればよく、本発明においては、これを負極活物質と呼ぶが、この負極活物質としては、例えば、天然黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭などの炭素質材料が挙げられる。また、Si、Sn、Inなどの合金またはLiに近い低電圧で充放電できる酸化物や窒化物などの化合物も負極活物質として用いることができる。
【0022】
負極に炭素質材料を用いる場合、下記の特性を持つものが好ましい。すなわち、その(002)面の面間距離(d002 )に関しては、0.35nm以下が好ましく、より好ましくは0.345nm以下、さらに好ましくは0.34nm以下である。また、c軸方向の結晶子の大きさ(Lc)に関しては、3nm以上が好ましく、より好ましくは8nm以上、さらに好ましくは25nm以上である。そして、平均粒径は8〜20μm、特に10〜15μmが好ましく、純度は99.9重量%以上が好ましい。また、前記炭素質材料を用いる場合は、負極密度を1.45g/cm3 以上にするのが高容量化のために好ましく、より好ましくは1.5g/cm3 以上である。
【0023】
通常、負極を高密度にすると高容量化しやすいが、その反面、サイクル特性が劣化する傾向がある。そのような場合には、添加剤としてC=C不飽和結合を有する化合物を電解液に添加することが好ましい。特にフッ素化された化合物は高電圧で安定であることから好ましく、さらにエステル結合を有するものが好ましい。また、2500℃以上で焼成したメソカーボンマイクロビーズは、高密度の負極であっても比較的良好なサイクル特性が得られるので、本発明において特に好適に用いられる。
【0024】
負極は、例えば、上記負極活物質にバインダーを添加し、溶剤を用いてペースト状にし、得られた負極活物質含有ペーストを負極集電材に塗布し、乾燥して負極合剤層を形成し、必要に応じプレスして調厚することによって作製される。ただし、負極の作製方法は上記例示のものに限られることはない。
【0025】
上記バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、エチレンプロピレンジエンゴム、フッ素ゴム、スチレンブタジエンゴム、セルロース系樹脂、ポリアクリル酸などを単独または2種以上の混合物として用いることができる。また、負極集電材としては、一般に銅箔が用いられ、特に表面を粗面化した電解銅箔が好適に用いられる。
【0026】
電解質としては、液状電解質、ゲル状電解質、固体電解質のいずれも用いることができるが、本発明においては、通常、電解液と呼ばれる液状電解質が用いられる。電解液は、有機溶剤を主材とする非水溶媒に電解質塩を溶解させることによって調製されるが、その溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピオン酸メチルなどの鎖状のCOO−結合を有する有機溶媒、リン酸トリメチルなどの鎖状リン酸トリエステル、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチル−テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどを用いることができる。そのほか、アミンイミド系有機溶媒やスルホランなどのイオウ系有機溶媒なども用いることができる。また、ゲル状電解質にするにあたっては、ポリエチレンオキサイドやポリメタクリル酸メチルなどのポリマーを含んでもよい。
【0027】
さらにその他の溶媒成分としてエステルが多用される。このエステルとしては誘電率が高いエステル(誘電率30以上)が好ましく、その具体例としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ガンマーブチロラクトンなどが挙げられ、また、エチレングリコールサルファイトなどのイオウ系エステルも用いることができる。さらに、環状構造のエステルが好ましく、特にエチレンカーボネートのような環状カーボネートが好ましい。
【0028】
上記高誘電率エステルは安全性の点から電解液の全溶媒成分中の20体積%未満が好ましく、より好ましくは10体積%以下、さらに好ましくは5体積%以下で、放電特性の点からは1体積%以上が好ましい。
【0029】
電解液の調製にあたっては上記溶媒に溶解させる電解質塩としては、例えば、LiClO4 、LiPF6 、LiBF4 、LiAsF6 、LiSbF6 、LiCF3 SO3 、LiC4 9 SO3 、LiCF3 CO2 、Li2 2 4 (SO3 2 、LiN(Rf1 SO2 )(Rf2 SO2 )〔ここで、Rf1 、Rf2 はフルオロアルキル基を含む置換基である〕、LiN(Rf3 OSO2 )(Rf4 OSO2 )〔ここで、Rf3 、Rf4 はフルオロアルキル基である〕、LiCn 2n+1SO3 (n≧2)、LiC(Rf5 SO2 3 、LiN(Rf6 OSO2 2 〔ここで、Rf5 、Rf6 はフルオロアルキル基である〕、ポリマータイプイミドリチウム塩などが単独でまたは2種以上混合して用いられる。これらが正極表面の皮膜中に取り込まれると、皮膜にイオン伝導性を付与することができ、特にLiPF6 はその効果が大きいので好ましい。電解液中における電解質塩の濃度は、特に限定されるものではないが、濃度を1mol/l以上、特に1.2mol/l以上にするのが好ましく、また、1.7mol/l以下、特に1.5mol/l以下にするのが好ましい。
【0030】
セパレータとしては、通常、ポリエチレン製、ポリプロピレン製、またはエチレンとプロピレンとのコポリマー製の微孔性フィルムが用いられる。このセパレータの厚みとしては、30μm以下が好ましく、特に20μm以下が好ましい。薄いセパレータは、エネルギー密度向上に寄与するものの、高電圧では電解液の分解に伴って劣化を起こしやすいという事情があるが、本発明では、正極表面に皮膜が形成されるので、電解液の分解が生じにくく、薄いセパレータを用いても劣化が起こりにくく、また、それに伴う電解液不足も生じにくい。
【0031】
電池は、例えば、上記のような正極と負極との間にセパレータを介在させて渦巻状に巻回して作製した渦巻状電極体などの巻回構造の電極積層体を、ニッケルメッキを施した鉄やステンレス鋼製の電池ケース内に挿入し、封口する工程を経て作製される。また、上記電池には、通常、電池内部に発生したガスをある一定圧力まで上昇した段階で電池外部に排出して、電池の高圧下での破裂を防止するための防爆機構が設けられる。
【0032】
【実施例】
つぎに、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。本発明においてXPS分析にあたって用いた測定機器はVG社製のESCA lab mark2(商品名)であり、X線出力は12kV−10mAで、Mg−Kα線を用いて測定を行った。
【0033】
実施例1
エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートとを体積比33:67で混合し、この混合溶媒にLiPF6 を1.2mol/lと〔(CF3 2 CHOSO2 2 NLiを0.1mol/l溶解させて、組成が1.2mol/l LiPF6 +0.1mol/l〔(CF3 2 CHOSO2 2 NLi/EC:MEC(33:67体積比)で示される電解液を調製した。上記電解液におけるECはエチレンカーボネートの略称であり、MECはメチルエチルカーボネートの略称である。
【0034】
これとは別に、正極活物質としてのLiCo0.97Al0.032 に導電助剤として鱗状黒鉛を重量比100:6で加えて混合し、この混合物とポリフッ化ビニリデンをあらかじめN−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液とを混合して正極合剤含有ペーストを調製した。この正極合剤含有ペーストを70メッシュの網を通過させて大きなものを取り除いた後、厚さ15μmのアルミニウム箔からなる正極集電材の両面に塗布量が24.6mg/cm2 (乾燥後の正極合剤重量)となるように一部を除いて均一に塗布し乾燥して正極合剤層を形成後、ローラープレス機によりプレスした後、切断し、リード体を正極集電材の露出部分に溶接して、帯状の正極を作製した。ここで用いたアルミニウム箔からなる正極集電材は鉄を1%、シリコンが0.15%含んでおり、純度は98%以上であった。また、この正極集電材の引っ張り強度は185N/mm2 であり、ぬれ性は38dyne/cm、破断伸びは3%であった。
【0035】
つぎに、メソカーボンマイクロビーズの黒鉛系炭素質材料〔ただし、(002)面の面間距離d002 =0.337nm、c軸方向の結晶子の大きさLc=95nm、平均粒径15μm、純度99.9重量%以上という特性を持つ炭素質材料〕を、ポリフッ化ビニリデンをあらかじめN−メチル−2−ピロリドンに溶解させておいた溶液と混合して負極合剤含有ペーストを調製した。この負極合剤含有ペーストを70メッシュの網を通過させて大きなものを取り除いた後、厚さ10μmの帯状の銅箔からなる負極集電材の両面に塗布量が12.0mg/cm2 (乾燥後の負極合剤重量)となるように一部を除いて均一に塗布し、乾燥して負極合剤層を形成した後、ローラープレス機によりプレスし、切断後、リード体を負極集電材の露出部分に溶接して、帯状の負極を作製した。なお、この負極の負極合剤部分の密度は1.5g/cm3 であった。
【0036】
前記帯状正極を厚さ20μmの微孔性ポリエチレンフィルムを介して上記帯状負極に重ね、渦巻状に巻回して渦巻状巻回構造の電極積層体とした。この電極積層体の体積は11.4cm3 であった。その後、この電極積層体を外径18mmの有底円筒状の電池ケース内に充填し、正極および負極のリード体の溶接を行った。
【0037】
つぎに電解液を電池ケース内に注入し、電解液がセパレータなどに充分に浸透した後、封口し、予備充電、エイジングを行い、図1の模式図に示すような構造の筒形の非水二次電池を作製した。
【0038】
ここで、図1に示す電池について説明すると、1は前記の正極で、2は前記の負極である。ただし、図1では、繁雑化を避けるため、正極1や負極2の作製にあたって使用した集電材などは図示していない。そして、これらの正極1と負極2はセパレータ3を介して渦巻状に巻回され、渦巻状巻回構造の電極積層体として上記の電解液4と共に電池ケース5内に収容されている。
【0039】
電池ケース5はステンレス鋼製で、その底部には上記電極積層体の挿入に先立って、ポリプロピレンからなる絶縁体6が配置されている。封口板7は、アルミニウム製で円板状をしていて、その中央部に薄肉部7aを設け、かつ上記薄肉部7aの周囲に電池内圧を防爆弁9に作用させるための圧力導入口7bとしての孔が設けられている。そして、この薄肉部7aの上面に防爆弁9の突出部9aが溶接され、溶接部分11を構成している。なお、上記の封口板7に設けた薄肉部7aや防爆弁9の突出部9aなどは、図面上での理解がしやすいように、切断面のみを図示しており、切断面後方の輪郭は図示を省略している。また、封口板7の薄肉部7aと防爆弁9の突出部9aの溶接部分11も、図面上での理解が容易なように、実際よりは誇張した状態に図示している。
【0040】
端子板8は、圧延鋼製で表面にニッケルメッキが施され、周縁部が鍔状になった帽子状をしており、この端子板8にはガス排出口8aが設けられている。防爆弁9は、アルミニウム製で円板状をしており、その中央部には発電要素側(図1では、下側)に先端部を有する突出部9aが設けられ、かつ薄肉部9bが設けられ、上記突出部9aの下面が、前記したように、封口板7の薄肉部7aの上面に溶接され、溶接部分11を構成している。絶縁パッキング10は、ポリプロピレン製で環状をしており、封口板7の周縁部の上部に配置され、その上部に防爆弁9が配置していて、封口板7と防爆弁9とを絶縁するとともに、両者の間から電解液が漏れないように両者の間隙を封止している。環状ガスケット12はポリプロピレン製で、リード体13はアルミニウム製で、前記封口板7と正極1とを接続し、電極積層体の上部には絶縁体14が配置され、負極2と電池ケース5の底部とはニッケル製のリード体15で接続されている。
【0041】
この電池においては、封口板7の薄肉部7aと防爆弁9の突出部9aとが溶接部分11で接触し、防爆弁9の周縁部と端子板8の周縁部とが接触し、正極1と封口板7とは正極側のリード体13で接続されているので、通常の状態では、正極1と端子板8とはリード体13、封口板7、防爆弁9およびそれらの溶接部分11によって電気的接続が得られ、電路として正常に機能する。
【0042】
そして、電池が高温にさらされるなど、電池に異常事態が起こり、電池内部にガスが発生して電池の内圧が上昇した場合には、その内圧上昇により、防爆弁9の中央部が内圧方向(図1では、上側の方向)に変形し、それに伴って溶接部分11で一体化されている薄肉部7aに剪断力が働いて該薄肉部7aが破断するか、または防爆弁9の突出部9aと封口板7の薄肉部7aとの溶接部分11が剥離した後、この防爆弁9に設けられている薄肉部9bが開裂してガスを端子板8のガス排出口8aから電池外部に排出させて電池の破裂を防止することができるように設計されている。
【0043】
この電池を0.2Cの電流値で電池電圧が4.4Vに達するまで定電流充電し、さらに4.4Vの定電圧充電を行って充電開始から5時間経過した時点で充電を終了した。ついで0.2Cで3Vまで放電し、放電後の電池の正極の表面状態について、前記の条件でXPS分析を行ったところ、168〜170eVの間にイオウに基づくピーク、291〜295eVの間に炭素に基づくピークおよび399〜401eVの間に窒素に基づくピークが検出され、ピーク分割によって求められたイオウの原子比は2.2%、炭素の原子比は5.1%で、窒素の原子比は1.1%であった。さらに、前記のアルゴンスパッタエッチングを行ったところ、イオウのピーク強度はアルゴンスパッタエッチング前の69%に低下し、炭素のピーク強度はアルゴンスパッタエッチング前の72%に低下し、窒素のピーク強度はアルゴンスパッタエッチング前の70%に低下した。また、XPS分析でリンに基づく137eVのピークおよびフッ素に基づく688eVのピークも検出され、ピーク分割によって求められたリンの原子比は2.0%で、フッ素の原子比は34%であった。また、充電時の正極電位はリチウム基準でおおよそ4.5Vであった。さらに、ピーク分割した後の炭素に基づくピーク強度をIaとし、同じく他の炭素(フルオロアルキル基以外のものに基づく炭素)に基づくピーク強度の合計をIcとしたときに、Ia/Ic=0.23であった。
【0044】
実施例2
〔(CF3 2 CHOSO2 2 NLiを(CF3 CF2 SO2 2 NLiに変更した以外は、実施例1と同様に非水二次電池を作製した。
【0045】
この電池を0.2Cの電流値で電池電圧が4.4Vに達するまで定電流充電し、さらに4.4Vの定電圧充電を行って充電開始から5時間経過した時点で充電を終了した。ついで0.2Cで3Vまで放電し、放電後の電池の正極の表面状態について、前記の条件でXPS分析を行ったところ、168〜170eVの間にイオウに基づくピーク、291〜295eVの間に炭素に基づくピークおよび399〜401eVの間に窒素に基づくピークが検出され、ピーク分割によって求められたイオウの原子比は1.2%、炭素の原子比は3.0%で、窒素の原子比は0.7%であった。さらに、前記のアルゴンスパッタエッチングを行ったところ、イオウのピーク強度はアルゴンスパッタエッチング前の71%に低下し、炭素のピーク強度はアルゴンスパッタエッチング前の75%に低下し、窒素のピーク強度はアルゴンスパッタエッチング前の73%に低下した。また、XPS分析でリンに基づく137eVのピークおよびフッ素に基づく688eVのピークも検出され、ピーク分割によって求められたリンの原子比は2.0%で、フッ素の原子比は31%であった。また、充電時の正極電位はリチウム基準でおおよそ4.5Vであった。
【0046】
実施例3
〔(CF3 2 CHOSO2 2 NLiを(C4 9 SO2 )(CF3 SO2 )NLiに変更した以外は、実施例1と同様に非水二次電池を作製した。
【0047】
この電池を0.2Cの電流値で電池電圧が4.4Vに達するまで定電流充電し、さらに4.4Vの定電圧充電を行って充電開始から5時間経過した時点で充電を終了した。ついで0.2Cで3Vまで放電し、放電後の電池の正極の表面状態について、前記の条件でXPS分析を行ったところ、168〜170eVの間にイオウに基づくピーク、291〜295eVの間に炭素に基づくピークおよび399〜401eVの間に窒素に基づくピークが検出され、ピーク分割によって求められたイオウの原子比は2.8%、炭素の原子比は5.0%で、窒素の原子比は1.4%であった。さらに、前記のアルゴンスパッタエッチングを行ったところ、イオウのピーク強度はアルゴンスパッタエッチング前の70%に低下し、炭素のピーク強度はアルゴンスパッタエッチング前の73%に低下し、窒素のピーク強度はアルゴンスパッタエッチング前の71%に低下した。また、XPS分析でリンに基づく137eVのピークおよびフッ素に基づく688eVのピークも検出され、ピーク分割によって求められたリンの原子比は2.0%で、フッ素の原子比は33%であった。また、充電時の正極電位はリチウム基準でおおよそ4.5Vであった。
【0048】
実施例4
〔(CF3 2 CHOSO2 2 NLiを〔SO2 N(Li)SO2 OCH2 (CF2 4 CH2 O〕n (n=5)に変更し、その添加量を0.13mol/lにした以外は、実施例1と同様に非水二次電池を作製した。
【0049】
この電池を0.2Cの電流値で電池電圧が4.4Vに達するまで定電流充電し、さらに4.4Vの定電圧充電を行って充電開始から5時間経過した時点で充電を終了した。ついで0.2Cで3Vまで放電し、放電後の電池の正極の表面状態について、前記の条件でXPS分析を行ったところ、168〜170eVの間にイオウに基づくピーク、291〜295eVの間に炭素に基づくピークおよび399〜401eVの間に窒素に基づくピークが検出され、ピーク分割によって求められたイオウの原子比は2.0%、炭素の原子比は5.0%で、窒素の原子比は1.2%であった。さらに、前記のアルゴンスパッタエッチングを行ったところ、イオウのピーク強度はアルゴンスパッタエッチング前の68%に低下し、炭素のピーク強度はアルゴンスパッタエッチング前の70%に低下し、窒素のピーク強度はアルゴンスパッタエッチング前の69%に低下した。また、XPS分析でリンに基づく137eVのピークおよびフッ素に基づく688eVのピークも検出され、ピーク分割によって求められたリンの原子比は0.5%で、フッ素の原子比は10%であった。また、充電時の正極電位はリチウム基準でおおよそ4.5Vであった。
【0050】
実施例5
正極活物質のLiCo0.97Al0.032 をLiCoO2 に変更した以外は、実施例1と同様に非水二次電池を作製した。
【0051】
この電池を0.2Cの電流値で電池電圧が4.4Vに達するまで定電流充電し、さらに4.4Vの定電圧充電を行って充電開始から5時間経過した時点で充電を終了した。ついで0.2Cで3Vまで放電し、放電後の電池の正極の表面状態について、前記の条件でXPS分析を行ったところ、168〜170eVの間にイオウに基づくピーク、291〜295eVの間に炭素に基づくピークおよび399〜401eVの間に窒素に基づくピークが検出され、ピーク分割によって求められたイオウの原子比は2.3%、炭素の原子比は5.2%で、窒素の原子比は1.1%であった。さらに、前記のアルゴンスパッタエッチングを行ったところ、イオウのピーク強度はアルゴンスパッタエッチング前の70%に低下し、炭素のピーク強度はアルゴンスパッタエッチング前の72%に低下し、窒素のピーク強度はアルゴンスパッタエッチング前の68%に低下した。また、XPS分析でリンに基づく137eVのピークおよびフッ素に基づく688eVのピークも検出され、ピーク分割によって求められたリンの原子比は2.0%で、フッ素の原子比は33%であった。また、充電時の正極電位はリチウム基準でおおよそ4.5Vであった。
【0052】
比較例1
〔(CF3 2 CHOSO2 2 NLiを添加しなかった以外は、実施例1と同様に非水二次電池を作製した。
【0053】
この電池を0.2Cの電流値で電池電圧が4.4Vに達するまで定電流充電し、さらに4.4Vの定電圧充電を行って充電開始から5時間経過した時点で充電を終了した。ついで0.2Cで3Vまで放電し、放電後の電池の正極の表面状態について、前記の条件でXPS分析を行ったところ、リンに基づく137eVのピーク(ピーク分割の結果、リンの原子比は2%)および688eVのピーク(ピーク分割の結果、フッ素の原子比は30%)が検出された。しかし、168〜170eVの間のイオウのピークや399〜401eVの間の窒素に基づくピークは検出されなかった。また、291〜295eVの間の炭素に基づくピークは1.5%しか検出されなかった。なお、充電時の正極電位がリチウム基準で4.5Vであった。さらに、ピーク分割した後の炭素に基づくピーク強度をIaとし、同じく他の炭素(フルオロアルキル基以外のものに基づく炭素)に基づくピーク強度の合計をIcとしたときのIa/Icは0.05にすぎなかった。
【0054】
上記実施例1〜5および比較例1の電池を、室温で0.2C(380mA)で3.0Vまで放電させ、0.2Cで4.4VCCCV(0.2Cの定電流で4.4Vまで充電し、その後、4.4Vで定電圧充電を行う定電流定電圧充電)で7時間充電後、0.2C(380mA)で3.0Vまで放電させて放電容量を測定した。このときの放電容量を貯蔵前放電容量とする。その後、60℃で5日貯蔵し、貯蔵後、0.2Cで4.4VCCCVで7時間充電を行い、続いて0.2Cで3.0Vまで放電させて放電容量を測定した。このときの放電容量を貯蔵後放電容量とする。
【0055】
上記のようにして得られた貯蔵前放電容量と貯蔵後放電容量とから下記の式により劣化率を求めた。その結果を電極積層体の単位体積当りの充電電力量と共に表1に示す。なお、充電電力量は、上記0.2Cで4.4VCCCVしたときの充電カーブの面積から求めている。
劣化率(%)=〔1−(貯蔵後放電容量)/(貯蔵前放電容量〕)×100
【0056】
【表1】
Figure 0004439070
【0057】
表1に示すように、実施例1〜5の電池は、比較例1の電池に比べて、貯蔵による劣化率が小さかった。すなわち、60℃という高温で5日間貯蔵した場合、比較例1の電池は上記貯蔵による劣化率が32%であったのに対し、実施例1〜5の電池は正極表面に有機イオウ化物またはフルオロアルキル基または有機窒化物のいずれかを含む皮膜が形成されたことにより、貯蔵による劣化率が16〜23%と抑制されていた。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、電極積層体の単位体積当たり0.59Wh/cm3 以上の充電電力量で利用する高容量の非水二次電池において、貯蔵特性が向上させることができ、高容量でかつ貯蔵特性が優れた非水二次電池を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る非水二次電池の一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 正極
2 負極
3 セパレータ

Claims (6)

  1. リチウム複合酸化物を活物質とする正極、負極およびLiPF とフルオロアルキル基を含むイミド系リチウム塩とを少なくとも含む電解質塩を1.2mol/l以上の濃度で含有し、かつ溶媒として全溶媒中に1体積%以上33体積%以下でエチレンカーボネートを含有する電解質を用い、電極積層体の単位体積あたり0.59Wh/cm以上の充電電力量で利用する非水二次電池において、正極電位がリチウム基準で4.4V以上の電圧で充電を行うことで、正極表面のXPS分析で、168〜170eVの間にイオウに基づくピーク、291〜295eVの間に炭素に基づくピーク、399〜401eVの間に窒素に基づくピークのいずれかを有し、かつそれぞれのピークより求められる正極表面での各元素の原子比が、イオウは1%以上、炭素は3%以上、窒素は0.3%以上のいずれかの値になることを特徴とする非水二次電池。
  2. ピーク分割した後の前記炭素に基づくピーク強度をIaとし、同じく他の炭素に基づくピーク強度の合計をIcとしたときに、Ia/Ic≧0.2になることを特徴とする請求項1記載の非水二次電池。
  3. 前記イオウまたは炭素または窒素に基づくピークは、正極内部での強度が正極表面での強度より小さくなることを特徴とする請求項1または2記載の非水二次電池。
  4. 正極表面のXPS分析で、135〜138eVの間にリンに基づくピークを有し、かつ685〜689eVの間にフッ素に基づくピークを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非水二次電池。
  5. 前記291〜295eVの間にピークを有する炭素の原子比が3%以上であり、かつ正極内部でのピーク強度が正極表面のピーク強度に対して80%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の非水二次電池。
  6. フルオロアルキル基を含むイミド系リチウム塩を電解質中に含有した請求項1記載の非水二次電池に対し、正極電位がリチウム基準で4.4V以上になる条件で充電を行うことを特徴とする非水二次電池の充電方法。
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