JP3639462B2 - リチウム二次電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はリチウム含有マンガン複合酸化物を正極活物質としたリチウム二次電池に係わり、詳しくは、正極活物質材料として用いられるリチウム含有マンガン複合酸化物の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、小型ビデオカメラ、携帯電話、ノートパソコン等の携帯用電子・通信機器等に用いられる電池として、リチウム金属、リチウム合金あるいはリチウムイオンの挿入・脱離が可能な炭素材料などを負極活物質とし、リチウム含有コバルト酸化物(LiCoO2)、リチウム含有ニッケル酸化物(LiNiO2)等のリチウム含有遷移金属酸化物を正極活物質材料とするリチウム二次電池が、小型軽量でかつ高容量で充放電可能な電池として実用化されるようになった。
【0003】
ところが、上述したようなリチウム含有遷移金属酸化物は高価であることから、原料コストの点で問題があった。そこで、スピネル型結晶構造を有するリチウム含有マンガン酸化物(LiMn24)を正極活物質材料とするリチウム二次電池が提案されるようになった。このリチウム含有マンガン酸化物(LiMn24)は、原材料たるマンガンが資源的に豊富に存在して、安価であることから、リチウム二次電池用正極活物質材料として有望視されている材料の一つである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述したリチウム含有マンガン酸化物(LiMn24)は、4.3V以上の高電位で充電した際に、結晶構造の変化が大きく、充放電サイクル特性が良くないという問題があった。そこで、リチウム基準で4.7V以上に平坦電位領域(電位プラトー)を有し、かつ4.3V以上の高電位で充電した際でも結晶構造が比較的安定なリチウム含有マンガン複合酸化物が、J.Electrochem.Soc.,Vol.145,No.4,P1238(1998)において提案された。このものは、リチウム含有マンガン酸化物(LiMn24)のマンガン(Mn)の一部が銅(Cu)で置換されたもので、組成式がLi(Mn2-XCuX)O4(0.1≦X≦0.5)で表されるスピネル型結晶構造を有するリチウム含有マンガン複合酸化物である。
【0005】
しかしながら、上述したLi(Mn2-XCuX)O4(0.1≦X≦0.5)で表されるリチウム含有マンガン複合酸化物は、充放電を繰り返すと結晶構造の一部が変化(結晶構造の一部に歪みを生じる)して、充放電サイクル特性が良くないという問題があることが分かった。
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであって、充放電サイクルを繰り返してもリチウム含有マンガン複合酸化物の結晶構造が変化しないように改良して、充放電サイクル特性が良く、かつ高電圧のリチウム二次電池が得られるようにすることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
このため、本発明のリチウム二次電池は、組成式がLiX(Mn2-Y-ZCuYLiZ)O4(但し、0.02≦X≦2.00で、0.20≦Y≦0.60で、0<Z≦0.20である)で表される、スピネル型結晶構造を有するリチウム含有マンガン複合酸化物を備えた正極を用いるようにしている。なお、この組成式で表されるリチウム含有マンガン複合酸化物は、Mnの一部をCuとLiで置換したスピネル型結晶構造を有するリチウム含有マンガン複合酸化物である。
【0007】
ここで、Mnの一部をCuで置換することにより、4.3V以上の高電位においても安定な結晶構造となる。また、Mnの一部をLiで置換することにより、秩序化エネルギーが減少し、充放電の繰り返しにより生じる結晶構造の歪みが減少すると考えられる。このため、このようなスピネル型結晶構造を有するリチウム含有マンガン複合酸化物を正極活物質に用いた電池の充放電サイクル特性が向上する。
【0008】
なお、上記組成式において、Xの値が0.02より小さくなると、スピネル型結晶構造を崩壊させることなく、リチウムイオンを電気化学的に引く抜くことが困難になるため、Xの値は0.02以上に規制する必要がある。そして、Xの値が2.00より大きくなるまで放電した後、再度4V以上で充電すると、結晶構造の変化が大きくなり、充放電サイクル特性が著しく低下するため、Xの値は2.00以下に規制する必要があり、好ましくは1.10以下に規制するのがよい。
【0009】
また、Yの値が0.20より小さくなると、4.3V以上まで充電した際に結晶構造の変化が大きくなって、充放電サイクル特性が著しく低下するため、Yの値は0.20以上にする必要がある。一方、Yの値が0.60より大きくなると、銅(Cu)を含むリチウム含有マンガン複合酸化物以外の化合物が混在するようになって、この化合物がサイクル特性の劣化に影響を及ぼすようになるため、Yの値は0.60以下に規制する必要がある。
【0010】
さらに、Zの値が0.20より大きくなると、銅(Cu)を含むリチウム含有マンガン複合酸化物以外の化合物が混在するようになって、この化合物がサイクル特性の劣化に影響を及ぼすようになるため、Zの値は0.20以下に規制する必要があり、好ましくは0.15以下に規制するのがよい。なお、上記組成式がLiX(Mn2-Y-ZCuYLiZ)O4で表されるスピネル型結晶構造を有するリチウム含有マンガン複合酸化物は、後述する原材料を混合した後、焼成することにより作製されるが、焼成温度、焼成時間、焼成雰囲気などにより、LiX(Mn2-Y-ZCuYLiZ)O4の酸素量が変化するため、酸素量は4とは限らず、3.9〜4.1の範囲で変化することとなる。
【0011】
そして、上記組成式で表されるスピネル型結晶構造を有するリチウム含有マンガン複合酸化物としては、Xの値が0.05以上で1.10以下であり、Yの値が0.20以上で0.60以下であり、かつZの値が0.05以上で0.15以下であるものが、充放電サイクルにおける結晶構造の変化が小さく、充放電サイクル特性が良いのでより好ましい。また、上記組成式で表されるスピネル型結晶構造を有するリチウム含有マンガン酸化物の粒子としては一次粒子径(メジアン径)が0.1〜5μmであり、二次粒子径(メジアン径)が1〜100μmであり、粒子形状が実質的に球状であるものが、充放電サイクルにおける結晶構造の変化が小さく、充放電サイクル特性が良いのでより好ましい。
【0012】
また、上記組成式で表されるスピネル型結晶構造を有するリチウム含有マンガン複合酸化物を正極活物質として用いたリチウム二次電池の電解液としては、組成式がLiN(Cm2m+1SO2)(Cn2n+1SO2)(ただし、mおよびnは各々独立した1〜4の整数)で表されるイミド系リチウム塩、あるいは組成式がLiC(Cp2p+1SO2)(Cq2q+1SO2)(Cr2r+1SO2)(ただし、p、qおよびrは各々独立した1〜4の整数)で表されるメチド系リチウム塩から選択した少なくとも1種の電解質塩を含有したものを用いると、高電位であっても銅を含んだリチウム含有マンガン複合酸化物であるLiX(Mn2-Y-ZCuYLiZ)O4を比較的安定にする。このため、このようなリチウム含有マンガン複合酸化物を正極活物質としたリチウム二次電池に、このような電解質塩を含有した電解液を用いると、充放電サイクル特性をさらに向上させるので好ましい。
【0013】
なお、上記組成式で表されるスピネル型結晶構造を有するリチウム含有マンガン複合酸化物を合成するための原材料として、マンガン化合物とリチウム化合物と銅化合物とを用い、これらの混合物を焼成することにより、上記組成式で表されるスピネル型結晶構造を有するリチウム含有マンガン複合酸化物を得ることができる。その際、焼成温度としては、500℃〜900℃が望ましく、好ましくは600℃〜800℃で焼成するのがよく、加熱雰囲気としては空気中または酸素雰囲気が好ましい。
【0014】
そして、原材料としてのマンガン化合物としては、電解二酸化マンガン、化学合成二酸化マンガン、γ−MnOOH、硝酸マンガン、炭酸マンガン、硫酸マンガン、水酸化マンガン、塩化マンガン、臭化マンガン、ヨウ化マンガン、蟻酸マンガン、酢酸マンガン、シュウ酸マンガンなどを用いるのが好ましい。
【0015】
また、リチウム化合物としては、酸化リチウム、硝酸リチウム、炭酸リチウム、硫酸リチウム、リン酸リチウム、水酸化リチウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、蟻酸リチウム、酢酸リチウム、安息香酸リチウム、クエン酸リチウム、シュウ酸リチウムなどを用いるのが好ましい。
さらに、銅化合物としては、酸化銅、硝酸銅、炭酸銅、硫酸銅、リン酸銅、水酸化銅、塩化銅、臭化銅、ヨウ化銅、蟻酸銅、酢酸銅、安息香酸銅、クエン酸銅、シュウ酸銅などを用いるのが好ましい。
【0016】
本発明においては、充放電サイクル特性が良い高電圧型リチウム二次電池を提供するために、特定の正極活物質を用いた点にその特徴が有る。したがって,負極材料、セパレータ材料などについては、従来より公知の材料を用いることができるが、負極材料としては、例えば、金属リチウム、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−鉛合金、リチウム−錫合金等のリチウム合金、黒鉛,コークス、有機物焼成体等の炭素材料、SnO2、SnO、TiO2、Nb23等の電位が正極活物質に比べて卑な金属酸化物を用いるのが好ましい。
【0017】
非水電解液の溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート(VC)、ブチレンカーボネート(BC)等の有機溶媒や、これらとジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(EMC)、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、1,2−ジメトキシ工タン(DME)、エトキシメトキシエタン(EME)などの低沸点溶媒との混合溶媒を用いるのが好ましい。
【0018】
本発明のリチウム二次電池は、正極活物質として上述した特定のスピネル型結晶構造を有するリチウム含有マンガン複合酸化物を用いるので、4.3V以上の高電位でも比較的安定であり、かつ4.3V以上で放電容量が比較的大きく、しかも、充放電サイクル経過に伴う放電容量の減少が小さい。したがって、本発明の正極活物質を用いることにより、充放電サイクル特性の良い高電圧型リチウム二次電池が提供される。
【0019】
【発明の実施の形態】
ついで、本発明の実施の形態を以下に説明する。
1.正極の作製
(1)実施例1
酢酸マンガン(Mn(CH3COO)2)と硝酸銅(Cu(NO32)とを1.58:0.40のモル比で混合した後、この混合物をエチルアルコール水溶液中に入れて撹拌した。ついで、アンモニア水を加えて沈殿物を得た後、この沈殿物と硝酸リチウム(LiNO3)とをMnおよびCuの合計とLiとがモル比で1.98:1.02となるように混合した。ついで、この混合物を酸素気流中で700℃の温度で20時間焼成した。得られた焼成物をジェットミルで粉砕することによって、メジアン径が10μmで、Li(Mn1.58Cu0.40Li0.02)O4で表される複合酸化物a1を得た。得られた複合酸化物alを粉末X線回折測定で解析したところ、単相のスピネル型構造を有することが分かった。
【0020】
ついで、得られた複合酸化物alと、導電剤としてのアセチレンブラックと、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、重量比で90:6:4の比率で混練して正極合剤を作製した。この正極合剤を2t/cm2の圧力で直径20mmの円板状に加圧成型した後、真空中で250℃の温度で2時間熱処理して実施例1の正極A1を作製した。
【0021】
(2)実施例2
酢酸マンガン(Mn(CH3COO)2)と硝酸銅(Cu(NO32)とを1.55:0.40のモル比で混合した後、この混合物をエチルアルコール水溶液中に入れて撹拌した。ついで、アンモニア水を加えて沈殿物を得た後、この沈殿物と硝酸リチウム(LiNO3)とをMnおよびCuの合計とLiとがモル比で1.95:1.05となるように混合した。ついで、この混合物を酸素気流中で700℃の温度で20時間焼成した。得られた焼成物をジェットミルで粉砕することによって、メジアン径が10μmで、Li(Mn1.55Cu0.40Li0.05)O4で表される複合酸化物a2を得た。得られた複合酸化物a2を粉末X線回折測定で解析したところ、単相のスピネル型構造を有することが分かった。ついで、得られた複合酸化物a2を用いて、上述の実施例1と同様にして、実施例2の正極A2を作製した。
【0022】
(3)実施例3
酢酸マンガン(Mn(CH3COO)2)と硝酸銅(Cu(NO32)とを1.50:0.40のモル比で混合した後、この混合物をエチルアルコール水溶液中に入れて撹拌した。ついで、アンモニア水を加えて沈殿物を得た後、この沈殿物と硝酸リチウム(LiNO3)とをMnおよびCuの合計とLiとがモル比で1.90:1.10となるように混合した。ついで、この混合物を酸素気流中で700℃の温度で20時間焼成した。得られた焼成物をジェットミルで粉砕することによって、メジアン径が10μmで、Li(Mn1.50Cu0.40Li0.10)O4で表される複合酸化物a3を得た。得られた複合酸化物a3を粉末X線回折測定で解析したところ、単相のスピネル型構造を有することが分かった。ついで、得られた複合酸化物a3を用いて、上述の実施例1と同様にして、実施例3の正極A3を作製した。
【0023】
(4)実施例4
酢酸マンガン(Mn(CH3COO)2)と硝酸銅(Cu(NO32)とを1.45:0.40のモル比で混合した後、この混合物をエチルアルコール水溶液中に入れて撹拌した。ついで、アンモニア水を加えて沈殿物を得た後、この沈殿物と硝酸リチウム(LiNO3)とをMnおよびCuの合計とLiとがモル比で1.85:1.15となるように混合した。ついで、この混合物を酸素気流中で700℃の温度で20時間焼成した。得られた焼成物をジェットミルで粉砕することによって、メジアン径が10μmで、Li(Mn1.45Cu0.40Li0.15)O4で表される複合酸化物a4を得た。得られた複合酸化物a4を粉末X線回折測定で解析したところ、単相のスピネル型構造を有することが分かった。ついで、得られた複合酸化物a4を用いて、上述の実施例1と同様にして、実施例4の正極A4を作製した。
【0024】
(5)実施例5
酢酸マンガン(Mn(CH3COO)2)と硝酸銅(Cu(NO32)とを1.40:0.40のモル比で混合した後、この混合物をエチルアルコール水溶液中に入れて撹拌した。ついで、アンモニア水を加えて沈殿物を得た後、この沈殿物と硝酸リチウム(LiNO3)とをMnおよびCuの合計とLiとがモル比で1.80:1.20となるように混合した。ついで、この混合物を酸素気流中で700℃の温度で20時間焼成した。得られた焼成物をジェットミルで粉砕することによって、メジアン径が10μmで、Li(Mn1.40Cu0.40Li0.20)O4で表される複合酸化物a5を得た。得られた複合酸化物a5を粉末X線回折測定で解析したところ、単相のスピネル型構造を有することが分かった。ついで、得られた複合酸化物a5を用いて、上述の実施例1と同様にして、実施例5の正極A5を作製した。
【0025】
(6)実施例6
酢酸マンガン(Mn(CH3COO)2)と硝酸銅(Cu(NO32)とを1.70:0.20のモル比で混合した後、この混合物をエチルアルコール水溶液中に入れて撹拌した。ついで、アンモニア水を加えて沈殿物を得た後、この沈殿物と硝酸リチウム(LiNO3)とをMnおよびCuの合計とLiとがモル比で1.90:1.10となるように混合した。ついで、この混合物を酸素気流中で700℃の温度で20時間焼成した。得られた焼成物をジェットミルで粉砕することによって、メジアン径が10μmで、Li(Mn1.70Cu0.20Li0.10)O4で表される複合酸化物a6を得た。得られた複合酸化物a6を粉末X線回折測定で解析したところ、単相のスピネル型構造を有することが分かった。ついで、得られた複合酸化物a6を用いて、上述の実施例1と同様にして、実施例6の正極A6を作製した。
【0026】
(7)実施例7
酢酸マンガン(Mn(CH3COO)2)と硝酸銅(Cu(NO32)とを1.30:0.60のモル比で混合した後、この混合物をエチルアルコール水溶液中に入れて撹拌した。ついで、アンモニア水を加えて沈殿物を得た後、この沈殿物と硝酸リチウム(LiNO3)とをMnおよびCuの合計とLiとがモル比で1.90:1.10となるように混合した。ついで、この混合物を酸素気流中で700℃の温度で20時間焼成した。得られた焼成物をジェットミルで粉砕することによって、メジアン径が10μmで、Li(Mn1.30Cu0.60Li0.10)O4で表される複合酸化物a7を得た。得られた複合酸化物a7を粉末X線回折測定で解析したところ、単相のスピネル型構造を有することが分かった。ついで、得られた複合酸化物a7を用いて、上述の実施例1と同様にして、実施例7の正極A7を作製した。
【0027】
(8)比較例1
酢酸マンガン(Mn(CH3COO)2)と硝酸銅(Cu(NO32)とを1.60:0.40のモル比で混合した後、この混合物をエチルアルコール水溶液中に入れて撹拌した。ついで、アンモニア水を加えて沈殿物を得た後、この沈殿物と硝酸リチウム(LiNO3)とをMnおよびCuの合計とLiとがモル比で2.00:1.00となるように混合した。ついで、この混合物を酸素気流中で700℃の温度で20時間焼成した。得られた焼成物をジェットミルで粉砕することによって、メジアン径が10μmで、Li(Mn1.60Cu0.40)O4で表される複合酸化物x1を得た。得られた複合酸化物x1を粉末X線回折測定で解析したところ、単相のスピネル型構造を有することが分かった。ついで、得られた複合酸化物x1を用いて、上述の実施例1と同様にして、比較例1の正極X1を作製した。
【0028】
(9)比較例2
酢酸マンガン(Mn(CH3COO)2)と硝酸銅(Cu(NO32)とを1.35:0.40のモル比で混合した後、この混合物をエチルアルコール水溶液中に入れて撹拌した。ついで、アンモニア水を加えて沈殿物を得た後、この沈殿物と硝酸リチウム(LiNO3)とをMnおよびCuの合計とLiとがモル比で1.75:1.25となるように混合した。ついで、この混合物を酸素気流中で700℃の温度で20時間焼成した。得られた焼成物をジェットミルで粉砕することによって、メジアン径が10μmで、Li(Mn1.35Cu0.40Li0.25)O4で表される複合酸化物x2を得た。得られた複合酸化物x2を粉末X線回折測定で解析したところ、スピネル型構造の他にLi2MnO3が混在していることが分かった。ついで、得られた複合酸化物x2を用いて、上述の実施例1と同様にして、比較例2の正極X2を作製した。
【0029】
(10)比較例3
酢酸マンガン(Mn(CH3COO)2)と硝酸銅(Cu(NO32)とを1.75:0.15のモル比で混合した後、この混合物をエチルアルコール水溶液中に入れて撹拌した。ついで、アンモニア水を加えて沈殿物を得た後、この沈殿物と硝酸リチウム(LiNO3)とをMnおよびCuの合計とLiとがモル比で1.90:1.10となるように混合した。ついで、この混合物を酸素気流中で700℃の温度で20時間焼成した。得られた焼成物をジェットミルで粉砕することによって、メジアン径が10μmで、Li(Mn1.75Cu0.15Li0.10)O4で表される複合酸化物x3を得た。得られた複合酸化物x3を粉末X線回折測定で解析したところ、単相のスピネル型構造を有することが分かった。ついで、得られた複合酸化物x3を用いて、上述の実施例1と同様にして、比較例3の正極X3を作製した。
【0030】
(11)比較例4
酢酸マンガン(Mn(CH3COO)2)と硝酸銅(Cu(NO32)とを1.25:0.65のモル比で混合した後、この混合物をエチルアルコール水溶液中に入れて撹拌した。ついで、アンモニア水を加えて沈殿物を得た後、この沈殿物と硝酸リチウム(LiNO3)とをMnおよびCuの合計とLiとがモル比で1.90:1.10となるように混合した。ついで、この混合物を酸素気流中で700℃の温度で20時間焼成した。得られた焼成物をジェットミルで粉砕することによって、メジアン径が10μmで、Li(Mn1.25Cu0.65Li0.10)O4で表される複合酸化物x4を得た。得られた複合酸化物x4を粉末X線回折測定で解析したところ、スピネル型構造の他にCuOとCu2Oが混在していることが分かった。ついで、得られた複合酸化物x4を用いて、上述の実施例1と同様にして、比較例4の正極X4を作製した。
【0031】
2.負極の作製
厚みが1.0mmのリチウム金属の圧延板を直径20mmの円板状に打ち抜いて負極を作製した。なお、リチウム金属板に代えて、リチウム合金板あるいはリチウムイオンを挿入・脱離し得るカーボン系材料、例えば、グラファイト、カーボンブラック、コークス、ガラス状炭素、炭素繊維、またはこれらの焼成体等を用いてもよい。また、酸化錫、酸化チタン等のリチウムイオンを挿入・脱離し得る酸化物を用いてもよい。
【0032】
3.リチウム二次電池の作製
ついで、リチウム二次電池の作製例を図1に基づいて説明する。上述のようにして作製した負極2を、周端縁に絶縁パッキング6を配設した断面形状がコの字状の負極缶(例えば、フェライト系ステンレス鋼よりなる)4の内底面に負極集電体が密着するように固定した。一方、上述のようにして作製した正極1を、断面形状が逆コの字状の正極缶(例えば、ステンレス鋼よりなる)5の内底面に正極集電体が密着するように固定した。これらの負極2と正極1との間に、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)との体積比1:2の混合溶媒に、LiPF6を1モル/リットル溶解した非水電解液を含浸したポリオレフィン系樹脂からなる微多孔膜、好適にはポリプロピレン製微多孔膜を介在させて重ね合わせた。
【0033】
この後、正極缶5の周端縁を絶縁パッキング6の方にカシメて液密に封口し、定格容量が10mAhのリチウム二次電池A1〜A7およびX1〜X4を作製した。
なお、電池A1は実施例1の正極A1を用いたものであり、電池A2は実施例2の正極A2を用いたものであり、電池A3は実施例3の正極A3を用いたものであり、電池A4は実施例4の正極A4を用いたものであり、電池A5は実施例5の正極A5を用いたものであり、電池A6は実施例6の正極A6を用いたものであり、電池A7は実施例7の正極A7を用いたものである。
また、電池X1は比較例の正極X1を用いたものであり、電池X2は比較例2の正極X2を用いたものであり、電池X3は比較例3の正極X3を用いたものであり、電池X4は比較例4の正極X4を用いたものである。
【0034】
なお、混合溶媒としては、上述したエチレンカーボネート(EC)にジメチルカーボネート(DMC)を混合したもの以外に、水素イオンを供給する能力のない非プロトン性溶媒を使用し、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート(VC)、ブチレンカーボネート(BC)等の有機溶媒や、これらとジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(EMC)、1,2−ジエトキシエタン(DEE)、1,2−ジメトキシ工タン(DME)、エトキシメトキシエタン(EME)などの低沸点溶媒との混合溶媒を用いてもよい。
【0035】
4.充放電サイクル試験
上述のように作製した各電池A1〜A7およびX1〜X4を室温(25℃)にて、0.15mA/cm2の充電々流で充電終止電圧が5.0Vになるまで定電流充電した後、0.15mA/cm2の放電々流で放電終止電圧が3.6Vになるまで定電流放電して、初期放電容量(W1mAh)を求めた。ついで、このような充放電を1サイクルとする充放電を繰り返して行い、20サイクル後の放電容量(W20mAh)を求めた。ついで、下記の(1)式に基づいて、20サイクル後の容量維持率を求めると、下記の表1に示すような結果となった。
20サイクル後の容量維持率=(W20/W1)×100(%)・・・(1)
なお、各電池A1〜A7およびX1〜X4の初期放電容量(W1mAh)は121〜124(mAh/g)であった。
【0036】
【表1】
Figure 0003639462
【0037】
上記表1より明らかなように、比較例の各電池X1〜X4の20サイクル後の放電容量維持率は80%〜82%と低いのに対し、実施例の各電池Al〜A7の20サイクル後の放電容量維持率は全て89%以上であり、容量維持率が良好であることが分かる。特に、Cuの置換量が0.40で、Liの置換量が0.05〜0.15である電池A2〜A4は、容量維持率が92%〜93%で良好であることが分かる。
【0038】
これは、次のように考えることができる。即ち、銅(Cu)の置換量(Y)が0.2より小さくなると、4.3V以上まで充電した際に結晶構造の変化が大きくなり、充放電サイクル特性が著しく低下するため、銅(Cu)の置換量(Y)は0.2以上(Y≧0.20)に規制する必要がある。一方、銅(Cu)の置換量(Y)が0.6より大きくなると、スピネル型化合物の他にCuOやCu2Oなどの銅酸化物が混在してしまい、銅酸化物がサイクル劣化に影響を及ぼすと考えられることから、銅(Cu)の置換量(Y)は0.6以下(Y≦0.60)に規制する必要がある。
【0039】
また、リチウム(Li)の置換量(Z)が0.2より大きくなると、スピネル型化合物の他に不純物(LiMnO3)が混在してしまい、不純物がサイクル劣化に影響を及ぼすことや、リチウム混合比を上げ過ぎたために反応に使われないリチウム化合物が正極活物質に混在して、アルカリ度が上がってサイクル劣化が大きくなってしまうと考えられることから、リチウム(Li)の置換量(Z)は0.20以下(Z≦0.20)に規制する必要があり、好ましくは0.05以上で0.15以下に規制するのがよい。
【0040】
5.電解質塩についての検討(実施例8〜24)
上述した実施の形態においては、ECとDMCとの混合溶媒に電解質塩としてLiPF6を添加した電解液を用いたリチウム二次電池について検討したが、本発明の正極活物質と電解液、特にその電解液に添加される電解質塩との関係についても検討した。なお、電解液に添加される電解質塩として、LiN(Cm2m+1SO2)(Cn2n+1SO2)(ただし、mおよびnは各々独立した1〜4の整数)で表されるイミド系リチウム塩およびLiC(Cp2p+1SO2)(Cq2q+1SO2)(Cr2r+1SO2)(ただし、p、qおよびrは各々独立した1〜4の整数)で表されるメチド系リチウム塩についての検討を行った。
【0041】
(1)実施例8
ECとDMCとの体積比1:2の混合溶媒に、LiN(Cm2m+1SO2)(Cn2n+1SO2)で表されるイミド系リチウム塩のうち、m=n=1のLiN(CF3SO22を1モル/リットル添加した電解液を用い、上述した実施例4の正極活物質a4を備えた正極A4を用いて、上述と同様にリチウム二次電池を作製した。得られたリチウム二次電池を実施例8の電池B1とした。
【0042】
(2)実施例9
ECとDMCとの体積比1:2の混合溶媒に、LiN(Cm2m+1SO2)(Cn2n+1SO2)で表されるイミド系リチウム塩のうち、m=1、n=2のLiN(CF3SO2)(C25SO2)を1モル/リットル添加した電解液を用い、上述した実施例4の正極活物質a4を備えた正極A4を用いて、上述と同様にリチウム二次電池を作製した。得られたリチウム二次電池を実施例9の電池B2とした。
【0043】
(3)実施例10
ECとDMCとの体積比1:2の混合溶媒に、LiN(Cm2m+1SO2)(Cn2n+1SO2)で表されるイミド系リチウム塩のうち、m=1、n=3のLiN(CF3SO2)(C37SO2)を1モル/リットル添加した電解液を用い、上述した実施例4の正極活物質a4を備えた正極A4を用いて、上述と同様にリチウム二次電池を作製した。得られたリチウム二次電池を実施例10の電池B3とした。
【0044】
(4)実施例11
ECとDMCとの体積比1:2の混合溶媒に、LiN(Cm2m+1SO2)(Cn2n+1SO2)で表されるイミド系リチウム塩のうち、m=1、n=4のLiN(CF3SO2)(C49SO2)を1モル/リットル添加した電解液を用い、上述した実施例4の正極活物質a4を備えた正極A4を用いて、上述と同様にリチウム二次電池を作製した。得られたリチウム二次電池を実施例11の電池B4とした。
【0045】
(5)実施例12
ECとDMCとの体積比1:2の混合溶媒に、LiN(Cm2m+1SO2)(Cn2n+1SO2)で表されるイミド系リチウム塩のうち、m=n=2のLiN(C25SO22を1モル/リットル添加した電解液を用い、上述した実施例4の正極活物質a4を備えた正極A4を用いて、上述と同様にリチウム二次電池を作製した。得られたリチウム二次電池を実施例12の電池B5とした。
【0046】
(6)実施例13
ECとDMCとの体積比1:2の混合溶媒に、LiN(Cm2m+1SO2)(Cn2n+1SO2)で表されるイミド系リチウム塩のうち、m=2、n=4のLiN(C25SO2)(C49SO2)を1モル/リットル添加した電解液を用い、上述した実施例4の正極活物質a4を備えた正極A4を用いて、上述と同様にリチウム二次電池を作製した。得られたリチウム二次電池を実施例13の電池B6とした。
【0047】
(7)実施例14
ECとDMCとの体積比1:2の混合溶媒に、LiN(Cm2m+1SO2)(Cn2n+1SO2)で表されるイミド系リチウム塩のうち、m=n=3のLiN(C37SO22を1モル/リットル添加した電解液を用い、上述した実施例4の正極活物質a4を備えた正極A4を用いて、上述と同様にリチウム二次電池を作製した。得られたリチウム二次電池を実施例14の電池B7とした。
【0048】
(8)実施例15
ECとDMCとの体積比1:2の混合溶媒に、LiN(Cm2m+1SO2)(Cn2n+1SO2)で表されるイミド系リチウム塩のうち、m=n=1のLiN(CF3SO22とLiPF6とのモル比1:1の混合溶質を1モル/リットル添加した電解液を用い、上述した実施例4の正極活物質a4を備えた正極A4を用いて、上述と同様にリチウム二次電池を作製した。得られたリチウム二次電池を実施例15の電池B8とした。
【0049】
(9)実施例16
ECとDMCとの体積比1:2の混合溶媒に、LiN(Cm2m+1SO2)(Cn2n+1SO2)で表されるイミド系リチウム塩のうち、m=n=2のLiN(C25SO22とLiPF6とのモル比1:1の混合溶質を1モル/リットル添加した電解液を用い、上述した実施例4の正極活物質a4を備えた正極A4を用いて、上述と同様にリチウム二次電池を作製した。得られたリチウム二次電池を実施例16の電池B9とした。
【0050】
(10)実施例17
ECとDMCとの体積比1:2の混合溶媒に、LiBF4を1モル/リットル添加した電解液を用い、上述した実施例4の正極活物質a4を備えた正極A4を用いて、上述と同様にリチウム二次電池を作製した。得られたリチウム二次電池を実施例17の電池B10とした。
【0051】
(11)実施例18
ECとDMCとの体積比1:2の混合溶媒に、LiC(Cp2p+1SO2)(Cq2q+1SO2)(Cr2r+1SO2)で表されるメチド系リチウム塩のうち、p=q=r=1のLiC(CF3SO23を1モル/リットル添加した電解液を用い、上述した実施例4の正極活物質a4を備えた正極A4を用いて、上述と同様にリチウム二次電池を作製した。得られたリチウム二次電池を実施例18の電池C1とした。
【0052】
(12)実施例19
ECとDMCとの体積比1:2の混合溶媒に、LiC(Cp2p+1SO2)(Cq2q+1SO2)(Cr2r+1SO2)で表されるメチド系リチウム塩のうち、p=q=1、r=2のLiC(CF3SO22(C25SO2)を1モル/リットル添加した電解液を用い、上述した実施例4の正極活物質a4を備えた正極A4を用いて、上述と同様にリチウム二次電池を作製した。得られたリチウム二次電池を実施例19の電池C2とした。
【0053】
(13)実施例20
ECとDMCとの体積比1:2の混合溶媒に、LiC(Cp2p+1SO2)(Cq2q+1SO2)(Cr2r+1SO2)で表されるメチド系リチウム塩のうち、p=q=1、r=4のLiC(CF3SO22(C49SO2)を1モル/リットル添加した電解液を用い、上述した実施例4の正極活物質a4を備えた正極A4を用いて、上述と同様にリチウム二次電池を作製した。得られたリチウム二次電池を実施例20の電池C3とした。
【0054】
(14)実施例21
ECとDMCとの体積比1:2の混合溶媒に、LiC(Cp2p+1SO2)(Cq2q+1SO2)(Cr2r+1SO2)で表されるメチド系リチウム塩のうち、p=q=r=2のLiC(C25SO23を1モル/リットル添加した電解液を用い、上述した実施例4の正極活物質a4を備えた正極A4を用いて、上述と同様にリチウム二次電池を作製した。得られたリチウム二次電池を実施例21の電池C4とした。
【0055】
(15)実施例22
ECとDMCとの体積比1:2の混合溶媒に、LiC(Cp2p+1SO2)(Cq2q+1SO2)(Cr2r+1SO2)で表されるメチド系リチウム塩のうち、p=1、q=2、r=4のLiC(CF3SO2)(C25SO2)(C49SO2)を1モル/リットル添加した電解液を用い、上述した実施例4の正極活物質a4を備えた正極A4を用いて、上述と同様にリチウム二次電池を作製した。得られたリチウム二次電池を実施例22の電池C5とした。
【0056】
(16)実施例23
ECとDMCとの体積比1:2の混合溶媒に、LiC(Cp2p+1SO2)(Cq2q+1SO2)(Cr2r+1SO2)で表されるメチド系リチウム塩のうち、p=q=r=1のLiC(CF3SO23とLiPF6とのモル比1:1の混合溶質を1モル/リットル添加した電解液を用い、上述した実施例4の正極活物質a4を備えた正極A4を用いて、上述と同様にリチウム二次電池を作製した。得られたリチウム二次電池を実施例23の電池C6とした。
【0057】
(17)実施例24
ECとDMCとの体積比1:2の混合溶媒に、LiC(Cp2p+1SO2)(Cq2q+1SO2)(Cr2r+1SO2)で表されるメチド系リチウム塩のうち、p=q=1、r=2のLiC(CF3SO22(C25SO2)とLiPF6とのモル比1:1の混合溶質を1モル/リットル添加した電解液を用い、上述した実施例4の正極活物質a4を備えた正極A4を用いて、上述と同様にリチウム二次電池を作製した。得られたリチウム二次電池を実施例24の電池C7とした。
【0058】
上述のようにして作製した実施例8〜17の各電池B1〜B10および実施例18〜24の各電池C1〜C7を用いて、上述と同様に充放電サイクル試験を行って容量維持率を求めると、下記の表2に示すような結果となった。なお、下記の表2には、上述した実施例4の正極活物質a4を備えた正極A4を用い電池A4(電解質塩としてLiPF6を用いたもの)の容量維持率も併せて示している。
【0059】
【表2】
Figure 0003639462
【0060】
上記表2から明らかなように、電解質塩としてLiPF6を用いた電池A4あるいは電解質塩としてLiBF4を用いた電池B10よりも、LiN(CF3SO2)2、LiN(CF3SO2)(C25SO2)、LiN(CF3SO2)(C37SO2)、LiN(CF3SO2)(C49SO2)、LiN(C25SO2)2、LiN(C25SO2)(C49SO2)、LiN(C37SO2)2などのイミド系リチウム塩を用いた電池B1〜B7、あるいはこれとLiPF6との混合溶質を用いた電池B8〜B9、もしくは、LiC(CF3SO2)3、LiC(CF3SO2)2(C25SO2)、LiC(CF3SO2)2(C49SO2)、LiC(C25SO2)3、LiC(CF3SO2)(C25SO2)(C49SO2)などのメチド系リチウム塩を用いた電池C1〜C5、あるいはこれとLiPF6との混合溶質を用いた電池C6〜C7の方が容量維持率が向上していることが分かる。
【0061】
なお、上述した各実施例においては、正極活物質としてLi(Mn1.45Cu0.40Li0.15)O4で表される実施例4の複合酸化物a4を用いた例について説明したが、実施例4の複合酸化物a4以外の他の実施例の複合酸化物a1〜a3,およびa5〜a7を用いてもほぼ同様な結果が得られた。
【0062】
このことから、LiN(Cm2m+1SO2)(Cn2n+1SO2)(ただし、mおよびnは各々独立した1〜4の整数)で表されるイミド系リチウム塩、あるいはLiC(Cp2p+1SO2)(Cq2q+1SO2)(Cr2r+1SO2)(ただし、p、qおよびrは各々独立した1〜4の整数)で表されるメチド系リチウム塩を電解質塩として添加された電解液を用いた電池の正極活物質として、組成式がLiX(Mn2-Y-ZCuYLiZ)O4(但し、0.02≦X≦2.00で、0.20≦Y≦0.60で、0<Z≦0.20である)で表される、スピネル型結晶構造を有するリチウム含有マンガン複合酸化物を備えるようにすると、容量維持率が向上し、充放電サイクル特性が向上したリチウム二次電池が得られるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態のリチウム二次電池の概略を示す断面図である。

Claims (4)

  1. 正極と、リチウム金属、リチウム合金あるいはリチウムイオンの挿入・脱離が可能な炭素材料よりなる負極と、非水系電解液とを備えたリチウム二次電池であって、
    前記正極は、組成式がLiX(Mn2-Y-ZCuYLiZ)O4(但し、0.02≦X≦2.00で、0.20≦Y≦0.60で、0<Z≦0.20である)で表される、スピネル型結晶構造を有するリチウム含有マンガン複合酸化物を備えたことを特徴とするリチウム二次電池。
  2. 正極と、リチウム金属、リチウム合金あるいはリチウムイオンの挿入・脱離が可能な炭素材料よりなる負極と、非水系電解液とを備えたリチウム二次電池であって、
    前記正極は、組成式がLiX(Mn2-Y-ZCuYLiZ)O4(但し、0.02≦X≦2.00で、0.20≦Y≦0.60で、0.05≦Z≦0.15である)で表される、スピネル型結晶構造を有するリチウム含有マンガン複合酸化物を備えたことを特徴とするリチウム二次電池。
  3. 正極と、リチウム金属、リチウム合金あるいはリチウムイオンの挿入・脱離が可能な炭素材料よりなる負極と、非水系電解液とを備えたリチウム二次電池であって、
    前記正極は、組成式がLiX(Mn2-Y-ZCuYLiZ)O4(但し、0.05≦X≦1.10で、0.20≦Y≦0.60で、0.05≦Z≦0.15である)で表される、スピネル型結晶構造を有するリチウム含有マンガン複合酸化物を備えたことを特徴とするリチウム二次電池。
  4. 前記非水系電解液は、組成式がLiN(Cm2m+1SO2)(Cn2n+1SO2)(ただし、mおよびnは各々独立した1〜4の整数)で表されるイミド系リチウム塩、あるいは組成式がLiC(Cp2p+1SO2)(Cq2q+1SO2)(Cr2r+1SO2)(ただし、p、qおよびrは各々独立した1〜4の整数)で表されるメチド系リチウム塩から選択した少なくとも1種の電解質塩を備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
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