JP4767156B2 - 非水二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、非水二次電池に関し、さらに詳しくは、特に過充電時における信頼性が高く、かつサイクル特性が優れた非水二次電池に関するものである。
リチウムイオン電池に代表される非水二次電池は、容量が大きく、かつ高電圧、高エネルギー密度、高出力であることから、ますます需要が増える傾向にある。
上記非水二次電池では、負極は金属製の集電材の少なくとも一方の面に負極活物質やバインダなどを含む負極合剤の層を形成することによって構成されるが、本発明者がこの非水二次電池についてさらに検討を進めている中で、この非水二次電池は、充放電に伴う負極合剤層の体積変化が大きい場合には、誤って過充電されたときに、負極の集電材に亀裂、切断などが生じ、その後のサイクル特性の劣化が大きくなることが判明した。
本発明は、上記のような事情に鑑み、負極合剤層の充放電に伴う体積変化が大きい場合においても、過充電時に負極集電材に亀裂、切断などが発生するのを防止して、過充電時における信頼性を高め、かつ上記負極集電材の亀裂、切断などの発生に伴うサイクル特性の劣化を防止して、サイクル特性の優れた非水二次電池を提供することを目的とする。
本発明は、正極、負極およびセパレータを巻回した渦巻状電極積層体および電解質を有する非水二次電池であって、上記負極が集電材の面に負極合剤層を形成したものからなり、該負極合剤層の充電後と放電後の最大体積変化率が8%以上の場合に、上記負極の集電材に破断伸び率が5%以上のものを用いることによって、過充電時においても負極の集電材に亀裂、切断などが発生するのを防止し、1Cレートで充電し、4.2Vに達した後に4.2Vの定電圧に保つ条件で2時間半の充電を行い、さらに1Cレートで2.75Vまで放電することを1サイクルとしたとき、50サイクル目の放電容量の、1サイクル目の放電容量に対する容量維持率が85%以上となるようにして、上記課題を解決したものである。また、負極の集電材として、上記特性に加えて、濡れ性が接触角で40度未満のものを用いることによって、サイクル特性の劣化をより効率よく防止することができる。
本発明では、負極合剤層の充放電に伴う最大体積変化率が8%以上という体積変化の大きい負極合剤を用いる場合においても、負極集電材の亀裂、切断などの発生を防止して、過充電時における信頼性を高め、かつ上記負極集電材の亀裂、切断などに伴うサイクル特性の劣化を防止して、サイクル特性の優れた非水二次電池を提供することができる。
本発明において、負極の集電材としては、材質的には、たとえば、銅、ニッケル、ステンレス鋼製で、形態的には、たとえば、箔、網状のものなどが用いられるが、その破断伸び率は5%以上であることが必要である。これは、負極の集電材の破断伸び率が5%以上でなければ充放電に伴う集電材の亀裂、切断などの発生を防止する効果が充分に発現できないからであり、この負極の集電材の破断伸び率としては特に7%以上であることが好ましい。このような破断伸び率を得るには、銅製の集電材を用いることが適している。
本発明において、負極の集電材の破断伸び率とは、電池を20℃、2.75Vまで1Cレートで放電した後、分解し、集電材またはこれを負極合剤層と共に引っ張り試験を行い、集電材が破断するまでの伸び率を言う。集電材の伸びが大きい方が集電材の切断が少ないのは以下の理由による。
負極合剤層の充電後と放電後の最大体積変化率が8%以上である非水二次電池では、負極合剤層の充放電に伴う膨張収縮が大きく、充電するにつれて負極合剤層に引っ張られて集電材も伸びてしまう。このとき、集電材の破断伸び率が小さいと集電材が切断されて一部の負極合剤が利用できなくなり、サイクル特性の劣化が大きくなる。
また、負極合剤層の充電後と放電後の最大体積変化率が11%以上である非水二次電池では、さらにその影響が大きい。負極合剤層の充電後と放電後の最大体積変化率とは、その電池の標準充電電圧まで1Cレートで2時間半充電して分解したときに負極合剤層の厚みを測定し、一方で同様に作製した別の電池を1Cレートで2.75Vまで放電して分解したときに負極合剤層の厚みを測定し、その間で最も体積変化率の大きい部分の値である。
集電材の表面粗度も集電材の切断に影響する。集電材の表面が平滑であれば、充電して負極合剤層が膨張する際に集電材との間で滑りが生じ、切断されにくくなる。負極の集電材の表面粗度は粗な面の平均がRa(IPC−MF−150F)で0.3μm以下が望ましく、さらに0.25μm以下であることが望ましい。
また、負極の集電材の破断伸び率が大きい場合は通常濡れ性が悪く、電池を充放電させた場合のサイクル特性の劣化が大きい傾向にある。そのような場合には接触角で50度未満にするとサイクル特性の劣化が少なくなる。また、接触角を40度未満にするとさらに効果が大きくなり、より望ましい。この濡れ性を改善する方法としては、たとえば、集電材にクロメート処理する際にそのクロメート処理をアルカリクロメート処理で行ったり、集電材にクロメート処理する際のクロメート量を低減することが挙げられ、いずれも効果がある。そして、そのクロメート量は0.15mg/m以下が望ましく、0.1mg/m以下がより望ましい。
なお、本発明における濡れ性は接触角で評価するが、その接触角は、スライドガラス上に長さ4cm、幅3cmの試料をテープで固定し、これに液滴量1μlの水を滴下して、この画像をコンピュータに取り込み、その画像解析により測定した値の3回の平均値をいい、解析手法は、「コンピュータ画像解析システムによる新しい接触角測定法」〔第45回コロイドおよび界面化学討論会講演要旨集,p99(1992)〕によるものである。
また、本発明の効果は、電池内部の電極積層体単位体積当たり通常充電での容量が130mAh/cm以上の場合に顕著に発現し、上記容量が140mAh/cm以上の場合により顕著に発現するので、本発明はそのような高容量の電池に適用するのが適している。なお、電極積層体単位体積とは、電池内における正極、負極およびセパレータを積層したものまたは巻回したもののかさ(嵩)体積で、巻軸の体積を含まない正極、負極およびセパレータのかさ体積の合計体積である。
電解質として液状電解質(電解液)を用いる場合、その溶媒成分としてはエステルがよく用いられる。特によく用いられる鎖状エステルは、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピオン酸メチルなどの鎖状のCOO−結合を有する鎖状エステルである。
また、上記鎖状エステルに下記の誘電率の高いエステル(誘電率30以上)を混合して用いるとさらに望ましい。このような誘電率の高いエステルとしては、たとえばプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ガンマーブチロラクトン(γ−BL)、エチレングリコールサルファイト(EGS)などが挙げられる。特に環状構造のものが望ましく、とりわけ環状のカーボネートが望ましく、エチレンカーボネート(EC)が最も望ましい。
上記高誘電率エステルは液状電解質の全溶媒中の40体積%未満が望ましく、より望ましくは30体積%以下、さらに望ましくは25体積%以下である。そして、これらの誘電率の高いエステルによる安全性の向上は、上記エステルが液状電解質の全溶媒中で10体積%以上になると電池特性が良くなり、20体積%に達するとさらに向上が見られるようになる。
上記エステル以外に併用可能な溶媒としては、たとえば1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,3−ジオキソラン(DO)、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチル−テトラヒドロフラン(2Me−THF)、ジエチルエーテル(DEE)などが挙げられる。そのほか、アミンイミド系有機溶媒や、含イオウまたは含フッ素系有機溶媒なども用いることができる。
液状電解質の溶質としては、たとえばLiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiC2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO〔ここでRfはフルオロアルキル基〕などが単独でまたは2種以上混合して用いられるが、特にLiPFやLiCSOなどが望ましい。液状電解質中の溶質の濃度は、特に限定されるものではないが、濃度を1mol/l以上の多めにすると安全性がさらに良くなるので望ましく、1.2mol/l以上がさらに望ましい。また、1.7mol/lより少ないと電気特性が良くなるので望ましく、1.5mol/lより少ないとさらに望ましい。
正極活物質としては、たとえばLiCoOなどのリチウムコバルト酸化物、LiMnなどのリチウムマンガン酸化物、LiNiOなどのリチウムニッケル酸化物、二酸化マンガン、五酸化バナジウム、クロム酸化物などの金属酸化物または二硫化チタン、二硫化モリブデンなどの金属硫化物などが用いられ、正極は、たとえば、それらの正極活物質に必要に応じて導電助剤やポリフッ化ビニリデンなどの結着剤などを適宜添加した正極合剤を、アルミニウム箔などの集電材を芯材として成形体に仕上げたものが用いられる。
特にLiNiO、LiCoO、LiMnなどの充電時の開路電圧がLi基準で4V以上を示すリチウム複合酸化物を正極活物質として用いる場合には、高エネルギー密度が得られるので望ましい。
負極に用いる活物質はリチウムイオンをドープ、脱ドープできるものであればよく、そのような負極活物質としては、たとえば黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭などの炭素化合物などを用い得るが、特に2000℃以上で焼成した炭素化合物は、充放電に伴う体積変化が大きく、本発明はこのような体積変化の大きい活物質を用いる場合に適用すると、特にその効果が顕著に発現する。また、本発明においては、Si、Sn、Inなどの合金またはLiに近い低電位で充放電できるSi、Sn、Inなどの酸化物などの化合物も負極活物質として用い得るが、これらを負極活物質として用いた場合、充放電に伴い負極合剤層の最大体積変化率が10%を超える場合があり、本発明はこのような負極活物質を用いる場合に適用すると、特にその効果が顕著に発現する。
負極活物質として炭素材料を用いる場合、該炭素材料は下記の特性を持つものが望ましい。すなわち、その(002)面の層間距離d002に関しては、望ましくは3.4Å以下である。また、c軸方向の結晶子の大きさLcは、30Å以上が望ましく、より望ましくは80Å以上、さらに望ましくは250Å以上である。そして、その平均粒径は8〜15μm、特に10〜13μmが望ましく、純度は99.9%以上が望ましい。
負極は、たとえば、上記のような負極活物質に、必要に応じ、ポリフッ化ビニリデン、ラテックスゴムなどの結着剤や人造黒鉛などの導電助剤を加えた負極合剤を溶剤に溶解または分散させて調製した負極合剤スラリーを前記の集電材に塗付し、乾燥してスラリー中の溶剤を揮発させて除去し、集電材の少なくとも一方の面に負極合剤層を形成することによって作製される。
つぎに、実施例をあげて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
メチルエチルカーボネートとエチレンカーボネートとを体積比75:25で混合し、この混合溶媒にLiPFを1.4mol/l溶解させて、組成が1.4mol/l LiPF/EC:MEC(25:75体積比)で示される液状電解質を調製した。
上記液状電解質におけるECはエチレンカーボネートの略称であり、MECはメチルエチルカーボネートの略称である。従って、上記液状電解質を示す1.4mol/l LiPF6 /EC:MEC(25:75体積比)は、メチルエチルカーボネート75体積%とエチレンカーボネート25体積%との混合溶媒にLiPFを1.4mol/lを溶解させたものであることを示している。
上記とは別に、LiCoOに導電助剤として鱗片状黒鉛を重量比100:7で加えて混合し、この混合物と、ポリフッ化ビニリデンをN−メチルピロリドンに溶解させた溶液とを混合してスラリーにした。この正極合剤スラリーを70メッシュの網を通過させて大きなものを取り除いた後、厚さ20μmのアルミニウム箔からなる正極集電材の両面に均一に塗付し、乾燥してスラリー中の溶剤を揮発させて除去し、正極集電材の両面に正極合剤層を形成し、その後、ローラプレス機により圧縮成形し、切断し、リード体を溶接して、帯状の正極を作製した。
また、黒鉛系炭素材料〔ただし、(002)面の層間距離d002=3.37Å、c軸方向の結晶子の大きさLc=950Å、平均粒径10μm、純度99.9%という特性を持つ炭素材料〕を、ポリフッ化ビニリデンをN−メチルピロリドンに溶解させた溶液と混合してスラリーにした。この負極合剤スラリーを70メッシュの網を通過させて大きなものを取り除いた後、厚さ10μmの帯状の銅箔からなる負極集電材の両面に均一に塗付し、乾燥してスラリー中の溶剤を揮発させて除去し、負極集電材の両面に負極合剤層を形成し、その後、ローラプレス機により圧縮成形し、切断した後、リード体を溶接して、帯状の負極を作製した。ここで、用いた負極集電材の破断伸び率は8%であり、表面の粗度Raは0.2μmであった。また、用いた負極集電材の表面の濡れ性を表す接触角は35度であり、表面のクロメート量は0.01mg/mであった。
前記帯状の正極を厚さ25μmの微孔性ポリエチレンフィルムを介して上記帯状の負極に重ね、渦巻状に巻回して渦巻状電極積層体とした後、外径18mmの有底円筒状の電池ケース内に充填し、正極および負極のリード体の溶接を行った。
つぎに液状電解質を電池ケース内に注入し、液状電解質がセパレータなどに充分に浸透した後、封口し、予備充電、エイジングを行い、図1に示す構造の筒形の非水二次電池を作製した。
図1に示す電池について説明すると、1は前記の正極で、2は前記の負極である。ただし、図1では、繁雑化を避けるため、正極1や負極2の作製にあたって使用された集電材などは図示していない。そして、これらの正極1と負極2はセパレータ3を介して渦巻状に巻回され、渦巻状電極積層体として上記の液状電解質4と共に電池ケース5内に収容されている。
電池ケース5は前記のようにステンレス鋼製で、その底部には上記渦巻状電極積層体の挿入に先立って、ポリプロピレンからなる絶縁体6が配置されている。封口板7はアルミニウム製で、円板状をしていて、中央部に薄肉部7aを厚み方向の両端面より内部側に設け、かつ上記薄肉部7aの周囲に電池内圧を防爆弁9に作用させるための圧力導入口7bとしての孔が設けられている。そして、この薄肉部7aの上面に防爆弁9の突出部9aが溶接され、溶接部分11を構成している。なお、上記の封口板7に設けた薄肉部7aや防爆弁9の突出部9aなどは、図面上での理解がしやすいように、切断面のみを図示しており、切断面後方の輪郭線は図示を省略している。また、封口板7の薄肉部7aと防爆弁9の突出部9aとの溶接部分11も、図面上での理解が容易なように、実際よりは誇張した状態に図示している。
端子板8は、圧延鋼製で表面にニッケルメッキが施され、周縁部が鍔状になった帽子状をしており、この端子板8にはガス排出孔8aが設けられている。防爆弁9は、アルミニウム製で、円板状をしており、その中央部には発電要素側(図1では、下側)に先端部を有する突出部9aが設けられ、かつ薄肉部9bが設けられ、上記突出部9aの下面が、前記したように、封口板7の薄肉部7aの上面に溶接され、溶接部分11を構成している。絶縁パッキング10は、ポリプロピレン製で、環状をしており、封口板7の周縁部の上部に配置され、その上部に防爆弁9が配置していて、封口板7と防爆弁9とを絶縁するとともに、両者の間から液状電解質が漏れないように両者の間隙を封止している。環状ガスケット12はポリプロピレン製で、リード体13はアルミニウム製で、前記封口板7と正極1とを接続し、渦巻状電極積層体の上部には絶縁体14が配置され、負極2と電池ケース5の底部とはニッケル製のリード体15で接続されている。
実施例2
負極集電材として、破断伸び率が7%、表面の粗度Raが0.3μm、表面の濡れ性を表す接触角が65度で、表面のクロメート量が0.02mg/mのものを用いた以外は、実施例1と同様にして筒形の非水二次電池を作製した。
比較例1
負極集電材として、破断伸び率が4%、表面の粗度Raが0.3μm、表面の濡れ性を表す接触角が79度のものを用いた以外は、実施例1と同様にして筒形の非水二次電池を作製した。
比較例2
実施例1の黒鉛系炭素材料の代わりに(002)面の層間距離d002が3.44Å、c軸方向の結晶子の大きさLcが32Å、平均粒径が10μmで純度が99.9%のコークス系炭素材料を用いたほかは、実施例1と同様に負極合剤層を形成した。ただし、この比較例2の炭素材料は、充放電に伴う体積変化は少ないものの、負極の利用率が約3割低下し、かつ電極密度も低下するため、正極活物質を約20%少なくしなければならず、そのため、約20%の容量減となってしまった。また、負極集電材としては、破断伸び率が4%、表面の粗度Raが0.3μm、表面の濡れ性を表す接触角が79度のものを用いた。そして、それら以外は、実施例1と同様にして筒形の非水二次電池を作製した。
上記実施例1〜2および比較例1〜2の電池を、1550mA(1C)で2.75Vまで放電した後、1550mAで充電し、4.3Vに達した後は、4.3Vの定電圧に保つ条件で3時間半の過充電を行った。その後、電池を1550mAで2.75Vまで放電した後、一部の電池を分解し、負極集電材の銅箔にヒビや亀裂、切断などの異常が発生しているかどうかを調べた。その結果を表1に示す。また、表1には、4.2V充電時と2.75Vまで放電した時の負極合剤層の最大体積変化率も併せて示す。
また、残りの電池を1550mAで充電し、4.2Vに達した後は4.2Vの定電圧に保つ条件で2時間半の充電を行い、さらに1550mAで2.75Vまで放電する充放電サイクルを繰り返し行った。そして、50サイクル時の1サイクル目に対する容量保持率〔(50サイクル目の放電容量)/(1サクイル目の放電容量)×100〕を測定した。その結果を表2に示す。また、初度サイクルにおいて、4.2Vまで充電した後、2.75Vまで放電して放電容量を測定し、それに基づいて電極積層体単位体積当たりの容量を求めた。その結果も表2に示す。
Figure 0004767156
Figure 0004767156
表1に示すように、実施例1〜2は、負極合剤層の最大体積変化率が11%あるにもかかわらず、負極集電材にヒビ、亀裂、切断などの異常発生がまったくなかった。これを詳しく説明すると、実施例1や実施例2では、負極集電材として破断伸び率が5%以上のものを用いている関係で、負極合剤層の最大体積変化率が11%と非常に大きいにもかかわらず、負極集電材にヒビ、亀裂、切断などの異常発生がまったくなかった。
これに対して、負極集電材として破断伸び率が4%と伸びの小さいものを用いた比較例1では、充放電に伴って集電材に亀裂が発生した。従って、この比較例1ではサイクル特性の劣化が大きくなることが予測される。なお、比較例2は負極合剤層の最大体積変化率が1%以下と小さいため、充放電に伴う負極集電材のヒビ、亀裂、切断などの異常発生はなかったが、この比較例2では、負極の密度が低くなり、電池容量が実施例1〜2に比べて約80%になっていて、容量が低いという問題を有していた。
また、表2に示すように、比較例1では50サイクル時に容量保持率が50%以下にまで低下したのに対し、実施例1〜2では85〜91%と高い容量保持率を有していた。特に集電材の表面の濡れ性を表す接触角が35度という濡れ性の高い負極集電材を用いた実施例1の電池では、容量保持率が91%と最も優れていた。上記のように、比較例1の50サイクル時の容量保持率が50%以下と低くなったのは、充放電に伴って負極集電体に亀裂、切断などが発生したことによるものと考えられる。
本発明に係る非水二次電池の一例を示す縦断面図である。
符号の説明
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 液状電解質

Claims (6)

  1. 正極、負極およびセパレータを巻回した渦巻状電極積層体および電解質を有する非水二次電池であって、
    1Cレートで充電し、4.2Vに達した後に4.2Vの定電圧に保つ条件で2時間半の充電を行い、さらに1Cレートで2.75Vまで放電したときの、上記電極積層体単位体積当たりの容量が130mAh/cm以上であり、
    上記負極が集電材の面に負極合剤層を形成したものからなり、
    上記非水二次電池を4.3Vまで1Cレートで充電し、4.3Vに達した後は定電圧に保つ条件で2時間半充電した後、分解した時の負極合剤層の厚みと、上記非水二次電池と同じ構成の別の非水二次電池を4.3Vまで1Cレートで充電し、4.3Vに達した後は定電圧に保つ条件で2時間半充電した後、2.75Vまで放電してから分解した時の負極合剤層の厚みとから、下記式により求められる負極合剤層の充電後と放電後の体積変化率のうちの最大値である最大体積変化率が8%以上であり、
    上記負極の集電材の破断伸び率が5%以上であり、
    1Cレートで充電し、4.2Vに達した後に4.2Vの定電圧に保つ条件で2時間半の充電を行い、さらに1Cレートで2.75Vまで放電することを1サイクルとしたとき、50サイクル目の放電容量の、1サイクル目の放電容量に対する容量維持率が85%以上であることを特徴とする非水二次電池。
    体積変化率=(充電後の負極合剤層の厚み−放電後の負極合剤層の厚み)
    ÷(放電後の負極合剤層の厚み)
  2. 上記負極の集電材の濡れ性が接触角で40度未満である請求項1に記載の非水二次電池。
  3. 液状電解質中に鎖状エステルと誘電率が30以上の環状構造エステルとが含まれており、液状電解質の全溶媒中の前記環状構造エステルの量が40体積%である請求項1または2に記載の非水二次電池。
  4. 負極活物質として(002)面の層間距離d002が3.4Å以下である炭素材料を用いた請求項1〜3のいずれかに記載の非水二次電池。
  5. 負極合剤層の充電後と放電後の体積変化率のうちの最大値である上記最大体積変化率が、8%以上11%以下である請求項1〜4のいずれかに記載の非水二次電池。
  6. 上記負極の集電材の破断伸び率が5%以上8%以下である請求項1〜5のいずれかに記載の非水二次電池。
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