JP2011222258A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】集電体と電極活物質膜との密着性が優れ、内部抵抗が小さく、高い電池容量と優れたサイクル特性を有するリチウムイオン二次電池の提供を目的とする。
【解決手段】電極活物質を含有する電極活物質膜が電極集電体上に積層した電極を有するリチウムイオン二次電池であって、前記電極集電体の前記電極活物質膜側の表面の十点平均表面粗さRzが、1.5μm≦Rz≦t×4/5μm(ただし、tは電極集電体の厚みである。)であり、かつ、その表面に対する水の接触角αが60°以下であるリチウムイオン二次電池。
【選択図】なし

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に関する。
近年、環境保護のため二酸化炭素排出量の低減が切に望まれている。特にエネルギー関連においては、化石燃料に頼らないクリーンエネルギーが注目され、発展している。なかでも、発電・蓄電の分野では、その開発が盛んに行われており、太陽電池やリチウムイオン電池、燃料電池などを用いた発電、さらに次世代に向けた商品などが多数開発されている。
特に、リチウムイオン二次電池は、蓄電にも応用されており、発電と蓄電の両方の要素をもった有効な装置であり、自動車に搭載されるなど、その発展が著しい。また、コジェネレーターとして、種々の方法で発電された電気を蓄電させ、非常用や日常用の電源として、家庭用、産業用としても展開されてきている。特に自動車分野における電池に要求される性能としては、高容量化、高出力化、サイクル特性の向上、コストの低下などが挙げられる。
リチウムイオン二次電池の高容量化、高出力化、およびサイクル特性の向上には、電池部材の一つである電極の影響が非常に大きい。
電極は、通常、金属箔などからなる電極集電体(以下、単に「集電体」という。)と、該集電体上に形成された、電極活物質(以下、単に「活物質」という。)を含有する電極活物質膜とを有する。該電極活物質膜は、活物質をバインダーに分散した組成物により形成され、該組成物には導電剤などの添加剤も含有される。電極においては、電極活物質膜内に電解液が染み込むことで、膜内にリチウムイオンが入り込んで活物質と反応する。該反応によって活物質で電子の供受が行われ、さらに電子が活物質間や導電剤を伝わって集電体に到達して電子が流れ、電池として機能する。
リチウムイオン二次電池を高容量化するには、電極活物質膜の膜厚を厚くしたり、活物質の比率を高めたり、その膜密度を高めて活物質の絶対量を多くすることが考えられる。しかし、電極活物質膜の膜厚を厚くすると、膜表面に近い活物質と集電体との距離が長くなり、集電体まで電子を伝えるまでに活物質間で電子を供受する回数が増えるため、損失が大きくなる。また、前述の距離を短くしようと極度の圧縮を行うと、膜の歪みや金属箔と膜の収縮差により、集電体と電極活物質膜の密着性が低下して、密着不良を起こすことがある。集電体と電極活物質膜が密着不良を起こすと、その部分は電子が伝わるのを妨げるため内部抵抗となるので、高い電流や電圧が得られなかったり、サイクル特性が低下したりする。また、最悪の場合には電池としての機能がなくなるおそれもある。そのため、高い電池容量と優れたサイクル特性を両立するには、集電体と電極活物質膜との密着性を高めて密着不良を抑制し、内部抵抗を小さくすることが重要である。
そこで、電極活物質膜と集電体の密着性を高めた電極を有する電池として、例えば、以下の電池が示されている。
(1)金属箔からなる集電体表面にコロナ放電処理を施し、その表面の濡れ性を高めた後に電極活物質膜を設けた電極を備えた電池(特許文献1)。
(2)集電体表面にアルミナ粒子を噴射して該表面を粗面化し、その表面粗さRaを0.3〜1.5μmとした集電体と、該集電体上に設けられた電極活物質膜とを有する電極を備えた電池(特許文献2)。
特開平7−135023号公報 特許第3444769号公報
しかし、電池(1)および(2)は、集電体と電極活物質膜との密着性は向上しているものの、その内部抵抗、電池容量、サイクル特性などの性能は、電気自動車などの特に高い性能を求められる用途では充分であるとは言い難い。
本発明は、集電体と電極活物質膜との密着性が優れ、内部抵抗が小さく、高い電池容量と優れたサイクル特性を有するリチウムイオン二次電池の提供を目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
[1]活物質を含有する電極活物質膜が集電体上に積層した電極を有するリチウムイオン二次電池であって、前記集電体の前記電極活物質膜側の表面の十点平均表面粗さRzが、1.5μm≦Rz≦t×4/5μm(ただし、tは集電体の厚みである。)であり、かつ、その表面に対する水の接触角αが60°以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
本発明のリチウムイオン二次電池は、集電体と電極活物質膜との密着性が優れており、内部抵抗が小さく、高い電池容量と優れたサイクル特性を有している。
本発明のリチウムイオン二次電池の実施形態の一例を示した断面図である。 本発明のリチウムイオン二次電池における正極の一実施形態例を示した断面図である。 図2の正極を拡大した断面図である。
以下、本発明のリチウムイオン二次電池の実施形態の一例を示して詳細に説明する。
本実施形態のリチウムイオン二次電池1は、図1に示すように、正極2と、負極3と、セパレータ4と、電解質5と、外装材6とを有している。外装材6内に、正極2、負極3、セパレータ4および電解質5が封入されており、正極2と負極3の間にセパレータ4が設けられている。
(正極)
正極2は、図2に示すように、集電体21と、集電体21上に設けられた、正極活物質を含有する正極活物質膜22と、タブ23とを有する。
集電体21としては、電気的抵抗ができるだけ低い金属からなる金属箔が好ましく、貴金属からなる金属箔が好ましい。ただし、コストを考慮して貴金属以外の金属からなる金属箔を用いてもよい。
集電体22の具体例としては、アルミニウム、金、銀、銅、ニッケル、ステンレス、チタン、白金などの金属箔、またはそれらの金属の合金からなる金属箔が挙げられ、白金などの貴金属からなる金属箔が好ましい。
また、集電体21は、正極活物質膜22との密着性も考慮しつつ、金属や合金の粉末と、バインダーとを混合したものを、スプレーコートしたり、成型したりして、集電体化したものであっても構わない。この場合、集電体21と正極活物質膜22とを優れた電子伝導性で結合する主成分として、ケイ素材料(シリコン微粒子、シリコンマイクロファイバー、シリコンナノコイル、シリコンマイクロコイルなど。)を、バインダーと混合して用いてもよい。
集電体21に用いるバインダーとしては、例えば、フッ素系の樹脂が挙げられる。具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−塩化3フッ化エチレン(CTFE)共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンフッ素ゴム、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンフッ素ゴム、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテルフッ素ゴムなどのフッ素系ポリマーなどが挙げられる。また、前記フッ素系の樹脂の他にも、ポリアクリル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、エポキシ樹脂、ベークライトなどを使用してもよい。具体的には、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、プロピレン−ブタジエンゴム、多硫化ゴム、ニトロセルロース、シアノエチルセルロース、各種ラテックスなどが挙げられる。これらのバインダーは1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
集電体21に用いるバインダーの量は、集電体21と正極活物質膜22の密着性、内部抵抗に悪影響を及ぼさない程度であればよく、適宜決定すればよい。
集電体21の電極活物質膜22側の表面21aの十点平均表面粗さRz(以下、「表面粗さRz」ということもある。)は、1.5μm≦Rz≦t×4/5μm(ただし、tは集電体21の厚みである。)であり、2.0μm≦Rz≦10.0μmが好ましい。
集電体21の表面21aの表面粗さRzが1.5μm以上であれば、集電体21の表面21aが粗面化されて形成された凹状の部分に、正極活物質膜22が入り込んだ形態となることで、集電体21と正極活物質膜22との接触面積が大きくなり、集電体21と正極活物質膜22の間で電子を供受する反応領域が増えるため、電池容量が大きくなる。また、集電体21の表面21aの凹状の部分に正極活物質膜22が入り込んだ形態となることで、平面状の集電体上に正極活物質膜が形成される場合に比べて、正極活物質膜22内の各正極活物質と集電体21との距離が全体的に近くなるため、内部抵抗が小さくなり、さらに接触面積も増え、大きな電池容量と優れたサイクル特性が得られる。さらには、電極活物質膜の絶対量も増え、それに伴い、活物質絶対量も増えるため、反応野も多くなり、容量的にも優位に働く。
一方、図3に示すように、集電体21の表面21a側の凹状の部分に正極活物質膜22が入り込んでいる凹凸部分の領域Aでは、電子が集電体21の金属箔内だけでなく、正極活物質膜22内にも流れている。正極活物質膜22内では、各々の正極活物質間および導電剤との間で電子の供受が繰り返されるため、金属箔内を電子が流れるのに比べてエネルギー損失が大きい。つまり、領域Aは、集電体21における正極活物質膜22が入り込んでいない領域Bに比べて電子が移動する際のエネルギー損失が大きい。そのため、集電体21における領域Aの割合が大きくなりすぎると、正極2全体としての電子の流れが悪くなる。本発明では、集電体21の表面21aの表面粗さRzがt×4/5μm以下であることで、正極2において集電体21における領域Aの割合が大きくなりすぎて電気の流れが悪くなることを防止できる。また、集電体21の表面21aの表面粗さRzが小さいほど、投錨効果による集電体21と正極活物質膜22の密着性の向上効果は得られやすい。
集電体21の表面21aの表面粗さRzは、例えば、接触式表面粗さ計(デックタック)により測定される。
また、集電体21の表面21aの水の接触角αは、60°以下であり、5°〜60°が好ましく、10°〜40°がより好ましい。集電体21の表面21aの前記接触角αが60°以下であれば、集電体21の表面21aの濡れ性が良好になることで、集電体21と正極活物質膜22との密着性が高くなり、内部抵抗が小さくなって電池容量が増大する。また、集電体21の表面21aの前記接触角αが5°以上であれば、コロナ放電処理などの接触角αを小さくするための処理が容易になり、また場合によっては処理自体が不要になることから、生産性が向上する。
集電体21の表面21aは、コロナ放電処理、プラズマ処理などにより濡れ性を高めることが好ましい。該方法によれば集電体21の表面21aに水酸基、アミノ基などの官能基が付与されることで、集電体21と正極活物質膜22との密着性がさらに高まり、場合によっては、金属表面に存在する防錆剤などの添加剤を除去でき、密着に寄与する可能性もある。
集電体21の表面21aの接触角αは、例えば、接触角測定器(協和界面科学製)により測定される。接触角αの測定の環境条件としては、温度25℃、湿度60%Rhとする。
集電体21の厚みtは、5.0〜15.0μmが好ましい。集電体21の厚みtが15.0μm超であると、電気的抵抗が低く集電体としての機能を果たすが、積層や巻回しする場合に集電体厚みが影響して、一定空間に収容する正極活物質膜22の量が少なくなってしまい、電気的容量が低下するおそれがある。また、集電体21の厚みtが5.0μm未満であると、一定空間に収容する正極活物質膜22の量が増えるメリットもあるが、集電体自体にも抵抗があるため、集電体を薄くしすぎると、集電体自体の抵抗が大きく影響し、内部抵抗となってしまう。また、薄い金属箔は、製造しにくくコスト的にも高くなる。さらには、表面粗さRzを前記範囲に設定する上で、集電体厚みと表面粗さの凹部との関係を考慮すると、集電体に薄くなりすぎる部分が生じるので、前述の抵抗とともに取り扱いも難しくなることから、生産性が低下するためデメリットが大きい。
集電体21の厚みtは、表面粗さが小さい平滑な表面を有する金属箔の表面を粗面化して前記表面粗さRzの表面を有する集電体を得る場合、粗面化する処理を、金属箔の厚みが全体的に薄くなるほど行わない限り、粗面化する前の金属箔の厚みを採用できる。
正極活物質膜22は、正極活物質を含有する膜である。正極活物質膜22の表面あるいは電解液が浸透した正極活物質膜22の内部で、正極活物質がリチウムイオンと電子の供受を行い、電流が生じる。正極活物質膜22を形成する正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な化合物が採用でき、例えば、リチウム含有遷移金属酸化物などの無機化合物、有機物系の化合物が挙げられる。
前記無機化合物としては、例えば、組成式LiMOまたはLi(ただし、Mは遷移金属、0≦a≦1、1≦b≦2)で表される複合酸化物、トンネル状の空孔を有する酸化物、層状構造の金属カルコゲン化物、リチウムイオン含有のカルコゲン化合物などが挙げられる。
具体例としては、LiCoO、NiO、Ni、Mn、LiMn、MnO、Fe、Fe、FeO、V、V13、VO、Nb、Bi、SbなどのV族金属化合物、CrO、Cr、MoO、MoS、WO、SeOなどのVI族金属化合物、TiO、TiS、SiO、SnO、CuO、CuO、AgO、CuS、CuSOなどが挙げられる。
また、前記無機化合物は、前記化合物を2種以上混合したもの、あるいは2種以上の遷移金属を含有する化合物など、いわゆる2元系、3元系であっても構わない。
有機物系の化合物としては、ポリピロール、ポリアニリン、ポリパラフェニレン、ポリアセチレン、ポリアセン系材料などの導電性高分子化合物などが挙げられる。
正極活物質膜22は、少なくとも前記正極活物質とバインダーが混合された合剤が集電体21上に塗工、乾燥されることで形成される。
正極活物質膜22に含有されるバインダーとしては、集電体21に用いるバインダーとして挙げたものと同じバインダーが挙げられる。
正極活物質膜22には、正極活物質で生じた電子を集電体22まで伝導させる際の損失を抑制するために、導電剤が含有されることが好ましい。
導電剤としては、カーボン系材料が好ましく、いかに少量で効率良く電子を伝導させることができるか、また正極活物質やバインダーとの馴染み具合を考慮して適宜選択すればよい。
導電剤の具体例としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンウィスカー、炭素繊維、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンナノ粒子およびナノチューブ、酸化チタン、酸化ルテニウム、アルミニウム、ニッケルなどの金属粉またはファイバーなどが挙げられる。これら導電剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、導電剤は、必要に応じて分散媒が添加されていてもよい。分散媒としては、有機溶剤や水が挙げられ、具体的には、水、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホアミドなどの溶媒が挙げられる。
また、正極活物質膜22には、膜厚制御や加工性、膜の機械的強度を高めたり、膜形状を安定化させるために、膜の厚み以下の粒子径のアルミナ粒子、シリカ粒子、ラテックス粒子などの電子伝導性物質や、その他、イオン伝導性を妨げない、正極活物質膜22中で安定な非電子伝導性微粒子を充填しても構わない。また、同様の理由で、多孔質の非電子伝導性高分子マトリックス材料(各種不織布など。)が充填されていても構わない。前記充填成分のなかでも、電子伝導性物質がより好ましい。
正極活物質膜22の形成には、結着剤を用いることが好ましい。正極活物質膜22に用いる結着剤としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよく、スチレン−ブタジエンゴムなどのラテックス系樹脂や熱可塑性樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体が好ましく、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンがより好ましい。
結着剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、正極活物質膜22の形成には、膜厚制御、塗工性、加工性、密着性等の膜物性の観点から、増粘剤を用いてもよい。増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリエチレングリコール(PEG)などが挙げられる。
増粘剤は、必要に応じて使用することとし、使用する場合は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
正極活物質膜22の厚みは、ドライ膜厚で、20〜300μmが好ましい。正極活物質膜22の厚みが300μm超であると、膜内への電解液の染み込みおよび電気化学反応が律速になったり、反応部分から集電体への電子の移動距離が長くなることによりロス(抵抗)が多くなりやすい。正極活物質膜22の厚みが20μm未満であると、厚い場合のデメリットは解消されるものの、圧縮しにくいために活物質膜の膜密度が上がりにくく、電気化学的容量に悪影響を及ぼすおそれがある。また、表面粗さの大きい部分では、膜厚が著しく薄い状態になりかねず、極端に金属が突起した状態となってしまうと、電池を組んだ際に集電体がセパレータを突き抜け、ショートする可能性も考えられる。
前記正極活物質膜22の厚みとは、正極活物質膜22の平均の厚みであり、膜厚測定器(テスター産業製)により測定できる。
また、集電体21の表面粗さRzの範囲は規定したが、正極活物質膜22の表面は集電体21の粗さに影響されることなく、平滑であることが好ましい。正極活物質膜22の表面が平滑であれば、正極2を積層あるいは巻回した場合に、塗面の粗さ(凹凸)に影響されずに、電池内の限られたスペースを有効に利用しやすい。また、正極活物質膜22の表面の一部が突起状になることに起因する、電池内におけるショートなどの不具合も回避しやすい。
タブ23の材質としては、リチウムイオン二次電池のタブに用いられているものであれば特に制限されず、公知の高導電性材料を採用できる。例えば、アルミニウム、銅、チタン、ニッケル、ステンレス鋼(SUS)などが挙げられる。タブ23としては、前記高導電性材料の単体あるいは合金材料であることが好ましく、軽量で優れた耐食性、高伝導性であるものがより好ましい。
タブ23は、生産性の点からは、集電体21と同じ金属箔からなり、集電体21と一体化していることが好ましい。
ただし、電解液を入れるため、タブ23を出す部分のシールは、耐電解液性と、耐酸性、耐湿熱性およびシール強度を発現させることができる材料を適宜選択するとよい。
(負極)
負極3は、正極活物質の代わりに負極活物質を含有する負極活物質膜が形成される以外は、正極2と同様の形態の電極が採用できる。
負極活物質としては、金属リチウム、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な材料が好ましい。具体的には、金属リチウム;熱分解炭素;ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークスなどのコークス;グラファイト系炭素;ガラス状炭素;フェノール樹脂、フラン樹脂などを焼成し、炭素化した有機高分子焼成体;ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアセンなどのポリマーなどが挙げられる。また、特殊なものとして、無機系粒子(シリコン系粒子やチタン系粒子など。)を使用することも可能である。また、負極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物、または遷移金属硫化物やアルカリ金属と合金化できる金属、また、アルカリ金属を格子間に脱挿入できる立方晶系金属化合物、リチウム窒化化合物なども好適である。これら負極活物質は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵および放出できる金属リチウムや炭素材料、シリコン系、チタン系無機粒子がより好ましい。
負極3の形成に用いる物質については、負極活物質以外には正極2と大きく異なる点はないが、一部水系のラテックス系バインダーなどを使用して、粘度が低い場合、集電体金属への密着性が低い場合、負極活物質の分散性が低い場合などには、結着剤を用いることが好ましい。
結着剤の種類や量は、負極活物質膜の性能によって適宜決定すればよい。結着剤によっては、二次あるいは三次凝集を引き起こす場合があったり、また分散効果や密着効果があるが故に、添加しすぎると負極活物質膜内での抵抗になるおそれもある。
負極3に用いる結着剤としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよく、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系樹脂、スチレンブタジエンゴムなどのラテックス系樹脂、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素系共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体などの酸重合体、ポリアミド、ポリウレタン、ポリイミド、ポリビニルピロリドンやその共重合体が好ましい。
負極3における集電体の厚みt、および負極活物質膜の厚みの好ましい範囲は、正極2における集電体21の厚みt、および正極活物質膜22の厚みの好ましい範囲と同じである。
また、本発明においては、負極3における集電体の表面粗さの範囲は正極2と同様に規定するが、負極活物質膜の表面は、正極活物質膜22と同様の理由で、集電体の粗さに影響されることなく、平滑であることが好ましい。
(セパレータ)
セパレータ4としては、例えば、電解質5を吸収保持するポリマーからなる多孔性シート、不織布が挙げられる。
多孔性シートを用いたセパレータとしては、例えば、微多孔質セパレータが挙げられる。微多孔質セパレータを形成するシートとしては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのオレフィン系のシート、PP/PE/PPの3層が積層された積層シート、ポリイミド、アラミドなどのシートが挙げられる。
セパレータ4が前記微多孔質セパレータである場合の厚みは、用途によっても異なるが、自動車などの大型産業用であれば20〜60μmが好ましい。また、微多孔質セパレータは、微細孔径が1μm以下が好ましく、空隙率が20〜80%であることが好ましい。前記厚みは、積層シートの場合は、積層されたもの全体の厚みである。
もちろん、評価の際に使用する電池形状や大きさによってセパレータ4の厚みを変更してもよい。例えば、コイン型電池で評価する場合は、10〜40μm厚のセパレータを使用することも可能である。
不織布としては、綿、レーヨン、アセテート、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン系樹脂、ポリイミド、アラミドなどの従来公知のものが挙げられる。これら不織布は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
不織布のかさ密度は特に制限されない。不織布の空隙率は30〜90%が好ましい。また、不織布の厚みは、電解質5が充填される層と同じ程度あればよく5〜200μmが好ましい。不織布の厚みが5μm以上であれば、電解液の保持性がより良好になる。不織布の厚みが200μm以下であれば、内部抵抗がより小さくなる。
(電解質)
電解質5としては、例えば、溶媒(モノマー、ポリマー成分)とリチウム塩から構成される電解液が挙げられる。
リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiAlCl、Li10Cl10などの無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、Li(CSONなどの有機酸イオン塩が挙げられる。これらリチウム塩は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ―ブチロラクトン、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、またはそれらの混合物が好ましい。溶媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、電解質5としては、高分子ゲル(ゲルポリマー)単体や全固体高分子、電解液を含浸させた不織布などであってもよい。
高分子ゲルは、ポリマーマトリックス中に電解液を保持させたものをいい、ゲル化することで集電体21への電解液の流出を抑えることができる。
高分子ゲルを形成するポリマーとしては、ポリエチレンオキシドを主鎖または側鎖にもつポリマー(PEO)、ポリプロピレンオキシドを主鎖または側鎖にもつポリマー(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル、(PAN)、ポリメタクリル酸エステル、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリメチルメタクリレート、またはそれらの共重合体が好ましい。
全固体高分子の電解質としては、上記のPEO、PPO、ポリメチルメタクリレート(PMM)などを用いた共重合体などの公知の固体高分子電解質、セラミックなどに、イオン伝導性を確保するためにリチウム塩が含まれたものが挙げられる。
(外装材)
外装材6としては、リチウムイオン二次電池に用いられる外装材であれば特に限定されず、例えば、公知の積層フィルムを、袋状、筒状、缶状、箱状など必要物性に応じて成形したものを適宜選択することができる。
(製造方法)
本発明のリチウムイオン二次電池は、前述した正極および負極を用いる以外は、公知の方法で製造できる。
以下、本発明のリチウムイオン二次電池における正極および負極の作製方法の一例として、前記正極2および負極3の作製方法について説明する。ただし、本発明のリチウムイオン二次電池における正極および負極の作製方法は、以下に示す方法には限定されない。
正極2の作製においては、集電体21を形成する金属箔を表面処理することにより、その表面を粗くして、表面粗さRzを調整する。金属箔の表面を粗面化する表面処理としては、例えば、ブラスト処理、酸処理などが挙げられる。
ブラスト処理としては、アルミナ粉末を用いた処理などが挙げられる。
酸処理としては、金属箔の表面に5%シュウ酸を1分間吹き付けた後に水洗する処理などが挙げられる。また、場合によっては、塩化第二鉄溶液と塩酸の混合溶液でエッチング液を調製し、金属箔上に直径40μm程度の水玉状の円をパターニングし、その円部分をエッチングすることで、表面に大きな凹凸形状を形成してもよい。
表面粗さRzを調整した後、金属箔の表面をさらに表面処理することにより、水の接触角αを調整して濡れ性を向上させる。
濡れ性を向上させる表面処理としては、コロナ放電処理、紫外線照射、プラズマ処理などが挙げられる。これらの表面処理により、表面に微細な細孔を構築でき、さらにその表面に親水性の官能基を付与することができ、その上に形成される電極活物質膜との密着性が向上する。
コロナ放電処理としては、例えば、コロナ処理装置(春日電機製)を用いて、電極間距離を2mm、電圧170V、電流値4Aで、速度10m/分の条件でコロナ放電する処理が挙げられる。
集電体21の金属箔表面の表面粗さRzおよび接触角αを調整した後、その処理後の表面に、正極活物質、導電剤、バインダー、溶剤などを含有する合剤を塗工し、乾燥して正極活物質膜22を形成する。集電体21とタブ23が同じ金属箔からなり、一体化したものであれば、該金属箔におけるタブ23となる部分以外に前記合剤を塗工し、乾燥する。
タブ23は、塗工時の金属箔をそのまま打ち抜いて用いてもよく、別途、溶接などをして集電体21に取り付けてもよい。また、外装材6の封止は、ラミネートタイプの場合は前述したような熱可塑性樹脂からなるタブシールなどを用いてヒートシールなどで封止してもよく、缶などの場合は金属を溶接、融着させたり、上記シール材を用いた手法を用いてもよい。
合剤の塗工方法としては、一般的なウェット塗料の塗工方法が採用でき、塗工する合剤の粘度や塗工量に合わせて適宜選択するとよい。例えば、グラビアコート、マイクログラビアコート、ダイコート、スリットコート、コンマコート、リップコート、またはそれらでのオフセットコートやリバースコート、スピンコート、スプレー、ディッピングなどが挙げられる。また、必要に応じて、パターン塗工や間欠塗工など、塗工形状に合わせた塗工方法も選択できる。合剤供給法についても、その塗工方法に合わせた方法を適宜選択すればよい。塗工方法によっては、予備タンク内などに合剤が貯蔵される場合に、必要に応じて攪拌するなどして、常に均一な合剤系を維持することが重要である。
また、塗工部への液供給についても、ポンプ、バルブ、フィルターなど、塗工膜の必要物性に合わせて選択できる。
乾燥方法としては、塗工膜の必要物性に合わせた乾燥方法を適宜選択できる。
乾燥方法としては、熱風乾燥、IR乾燥(赤外線乾燥)、真空乾燥、紫外線、電子線乾燥などが挙げられる。これら乾燥方法は、1種を単独で行ってもよく、2種以上を組み合わせて行ってもよい。
熱風乾燥においては、風量、風あたり角度、吹き出し口からの距離などが乾燥効率に影響するため、それらの条件を適宜選択する。
さらに、ロール・トゥ・ロール方式により塗工と乾燥を連続的に行う場合は、ロールサポート、フローティングなどにより乾燥を行ってもよく、これらを組み合わせてもよい。
また、乾燥により正極活物質膜22を形成した正極2は、必要に応じて、小型化するために圧縮してもよい。
正極2の圧縮においては、過度な荷重を加えると、正極2における塗工部(正極活物質膜22を形成した部分)と非塗工部(例えばタブ23に相当する部分)の間に反りの差が生じるおそれがあるため、あまり強く圧縮しないことが好ましい。また、合剤の塗工、乾燥によって、充放電特性に優れた結晶構造を有する正極活物質膜22が得られたとしても、過度な荷重を加えると、該結晶構造が破壊され、電池容量の低下およびサイクル特性の低下を招くおそれもあるため、この点からもあまり強く圧縮しないことが好ましい。
正極2の圧縮は、圧縮後の厚みが圧縮前の厚みの30〜95%となるように行うことが好ましい。
負極3は、その形成に適した金属箔、および負極活物質膜を形成する合剤を用いて、前述した正極2と同じ方法で作製できる。
負極3も、合剤の塗工、乾燥後に、必要に応じて、小型化するために圧縮してもよい。
負極3の圧縮は、圧縮後の厚みが圧縮前の厚みの30〜95%となるように行うことが好ましい。
以上説明した本発明のリチウムイオン二次電池は、集電体の表面の表面粗さRzをある程度粗い条件とすることにより、集電体の表面に粗面化によって形成される凹部内に、電極活物質膜が入り込んだ形態となっている。そのため、集電体と電極活物質膜との接触面積が大きく、それら間で電子の供受反応が起こる領域が広くなっていることや、凹部にも電極活物質膜の材料が入り込むことで活物質の絶対量が増えることにより、高い電池容量が得られる。さらに、集電体表面の凹部内に電極活物質膜の成分が入り込んでいることで、投錨効果によって集電体と電極活物質膜の密着性が向上しており、また電極活物質膜内の各々の活物質と集電体との距離が近くなっているので内部抵抗も低くなっている。加えて、本発明のリチウムイオン二次電池における電極における集電体表面の表面粗さは、前述のように電極活物質膜を入り込ませるために比較的粗いため、投錨効果は特別大きなものではないが、集電体表面の濡れ性を向上させているので、電解液が電極活物質膜内に浸透している状態でも集電体と電極活物質膜の密着性が高く、サイクル特性が優れている。
なお、本発明のリチウムイオン二次電池は、前述したリチウムイオン二次電池1には限定されない。例えば、本発明のリチウムイオン二次電池は、集電体の両面に電極活物質膜が設けられた電極を有する二次電池であってもよい。また、正極および負極の一方の電極が前記表面粗さRzおよび接触角αの条件を両方満たす電極であり、他方の電極が前記表面粗さRzおよび接触角αの条件の少なくとも一方を満たしていない二次電池であってもよい。これらの場合も前記表面粗さRzおよび接触角αの条件を満たす電極による前記効果が得られる。また、電池の形状も特に限定されず、例えば、円筒型、ラミネート型、角缶型の二次電池であってもよい。
以下、実施例および比較例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[実施例1]
正極の作製:
正極活物質としてLiMnの90質量部、導電剤としてアセチレンブラックの5質量部、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)の5質量部、および溶剤としてN―メチルー2−ピロリドン(NMP)を混合し、固形分50質量%とした正極用合剤を調製した。また、タブと集電体を形成する金属箔として、アルミニウム箔(厚みt:15μm)を用い、該アルミニウム箔の表面に、アルミナ粉体を使用したブラスト処理を施し、その表面粗さRzを7.5μmとした後、さらに印加電圧180V、印加電流4A、電極間距離2mm、速度10m/分でコロナ放電処理を実施した。コロナ放電処理後のアルミニウム箔の表面の水の接触角αは30°であった。
次いで、前記アルミニウム箔のウェットブラスト処理およびコロナ放電処理を施した表面上に、前記正極用合剤を乾燥厚み100μm厚になるように塗工、乾燥し、正極活物質膜を形成することにより、図2に例示したような正極を作製した。塗工は、ダイコート方式により行った。また、乾燥は、ボックス内温度が80℃〜150℃の温度勾配となるように温風を流し、ロールサポートおよびフローティング方式で搬送することにより行った。
負極の作製:
負極活物質として天然黒鉛の90質量部、導電剤としてアセチレンブラックの4質量部、バインダーとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)(日本ゼオン製)の4質量部(固形分換算)、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)の2質量部、および希釈溶剤として水を混合し、固形分50質量%とした合剤を調製した。また、タブと集電体を形成する金属箔として、銅箔(厚みt:15μm)を用い、該銅箔の表面に、アルミナ粉体を使用したウェットブラスト処理を施して表面粗さRzを7.5μmとした後、さらに印加電圧180V、印加電流4A、電極間距離2mm、速度10m/分でコロナ放電処理を実施した。コロナ放電処理後の銅箔の表面の水の接触角αは30°であった。
次いで、前記銅箔のウェットブラスト処理およびコロナ放電処理を施した表面上に、前記負極用合剤を乾燥厚みが100μmになるように塗工、乾燥し、負極活物質膜を形成することにより、前記正極と同様の形態の負極を作製した。塗工は、ダイコート方式により行った。また、乾燥は、ボックス内温度が80℃〜150℃の温度勾配となるように温風を流し、ロールサポートおよびフローティング方式で搬送することにより行った。
リチウムイオン二次電池の作製:
次いで、外装材としてラミネート用積層シート(一例として:PET/ナイロン/AL/変性PP/CPPの順に接着剤あるいは熱ラミネートにより積層したシート)を用い、該外装材内に、前記正極、負極、電解質およびセパレータを封入し、図1に例示したようなリチウムイオン二次電池を作製した。電解質としては、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)が50:50(質量部)で混合された溶媒に、リチウム塩であるLiPFを1mol/Lとなるように溶解させたものを用いた。セパレータとしては、ポリプロピレン(PP)製のセパレータ(厚み25μm、セルガード(株)製)を用いた。
[実施例2および3]
正極の作製に用いたアルミニウム箔表面、および負極の作製に用いた銅箔表面における、ウェットブラスト処理とコロナ放電処理を、表面粗さRzと接触角αが表1に示す値となるように調節した以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
[比較例1および2]
正極の作製に用いたアルミニウム箔表面、および負極の作製に用いた銅箔表面におけるウェットブラスト処理を、表面粗さRzが表1に示す値となるように調節し、コロナ放電処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
[評価方法]
(表面粗さRz)
正極および負極の作製に用いたアルミニウム箔と銅箔の表面の表面粗さRzは、接触式表面粗さ計(デックタック)により測定した。
(接触角α)
正極および負極の作製に用いたアルミニウム箔と銅箔の表面の水の接触角αは、接触角測定器(協和界面科学製)により測定した。測定の環境条件は、温度25℃、湿度60%Rhとした。
(密着性)
各例で作製したリチウムイオン二次電池の負極における集電体と負極活物質膜との密着性について、負極の負極活物質膜表面にセロテープ(登録商標、ニチバン製、24mm幅)をハンドゴムローラーを用いて貼り、該テープを180°方向に手で剥離し、その時の剥離面を下記基準に従って評価した。
(a)金属箔(集電体)と負極活物質膜間の界面で剥離した。
(b)負極活物質膜において凝集破壊した。
(c)負極活物質膜とテープ間の界面で剥離した。
(放電容量およびサイクル特性)
各例で作製したリチウムイオン二次電池について、室温25℃の環境下において4.2V定電圧、電流値0.5Aで10時間充電した後、電流値0.5A、カットオフ電圧3.0Vまで放電した際の初期放電容量(単位:mAh/g)を測定した。次いで、環境温度25℃において、電流値30mAで4.2Vまで充電して10分間置き、電流値30mAで3.0Vまで放電して10分間置くサイクルを500回繰り返した後に再び放電容量を測定して、初期放電容量に対する容量の維持率(単位:%)を測定した。
(内部抵抗)
各例におけるリチウムイオン二次電池における負極を、該負極の面に対して垂直な方向に沿って設置した測定電極により挟み、その状態で負極の内部抵抗(単位:Ω/cm)を測定した。
各例の金属箔の表面粗さRzおよび接触角α、ならびに密着性、放電容量、サイクル特性および内部抵抗の評価結果を表1に示す。なお、表1における容量維持率の「×」は、サイクル特性試験において放充電のサイクルを500回繰り返すことができなかったことを意味する。
Figure 2011222258
表1に示すように、表面の表面粗さRzが7.5μmで、かつ水の接触角αが30°の集電体を有する電極により作製した実施例1のリチウムイオン二次電池は、密着性が優れており、内部抵抗も小さかった。また、初期放電容量が大きく、またその維持率も高くサイクル特性が優れていた。同様に、表面の表面粗さRzが3.0μmで、かつ水の接触角αが25°の集電体、または表面の表面粗さRzが1.5μmで、かつ水の接触角αが25°の集電体を有する電極により作製した実施例2、3のリチウムイオン二次電池も、密着性が優れており、内部抵抗が小さく、初期放電容量が大きく、またその維持率も高くサイクル特性が優れていた。
また、実施例1〜3を比較すると、表面粗さRzがより粗く、接触角αがより小さい方が、電極活物質膜とテープ間の界面で剥離が見られ、密着性が高かった。加えて、表面粗さRzがより粗く、接触角αがより小さい方が、内部抵抗が小さく、初期放電容量が大きく、その維持率も高くサイクル特性がより優れていた。
一方、集電体表面の接触角αが60°を超える金属箔を用いた電極により作製した比較例1のリチウムイオン二次電池は、密着性試験において、金属箔(集電体)と電極活物質膜間の界面で剥離が見られていることから密着性が低かった。さらに、実施例のリチウムイオン二次電池に比べて内部抵抗が大きく、初期放電容量が小さく、その維持率も低くサイクル特性が劣っていた。
表面の表面粗さRzが1.5μm未満で、かつ接触角αが60°を超える金属箔を用いた電極により作製した比較例2のリチウムイオン二次電池は、密着性試験において金属箔(集電体)と正極活物質膜間の界面だけで剥離しており、比較例1のリチウムイオン二次電池よりもさらに密着性が低かった。また、比較例2のリチウムイオン二次電池は、実施例に比べて内部抵抗が大きかった。さらに、比較例2のリチウムイオン二次電池は、初期放電容量が小さく、サイクル特性試験では放充電のサイクルを500回繰り返すことができないほど、サイクル特性が低かった。
本発明のリチウムイオン二次電池は、例えば、電気自動車、燃料電池車、ハイブリッド電気自動車、家庭用蓄電設備、電動工具、電車、小型ポータブル機器などに使用される蓄電池、二次電池(キャパシタを含む)に好適に利用できる。
1 リチウムイオン二次電池 2 正極 3 負極 4 セパレータ 5 電解質 6 外装材 21 集電体 22 正極活物質膜 23 タブ

Claims (1)

  1. 電極活物質を含有する電極活物質膜が電極集電体上に積層した電極を有するリチウムイオン二次電池であって、
    前記電極集電体の前記電極活物質膜側の表面の十点平均表面粗さRzが、1.5μm≦Rz≦t×4/5μm(ただし、tは電極集電体の厚みである。)であり、かつ、その表面に対する水の接触角αが60°以下であることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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