JP2022144122A - 非水系アルカリ金属蓄電素子 - Google Patents

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和照 梅津
Kazuteru Umezu
宣宏 岡田
Nobuhiro Okada
慎一 駒場
Shinichi Komaba
圭 久保田
Kei Kubota
涼一 多々良
Ryoichi Tatara
正義 松崎
Masayoshi Matsuzaki
知宙 保坂
Tomohiro HOSAKA
祐輔 時田
Yusuke Tokita
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Abstract

【課題】炭酸ナトリウムを含む正極活物質層中の活物質の嵩密度を高めてエネルギー密度を高める;正極活物質層中の炭酸ナトリウムの分解効率を高めて負極へのNaイオンのプレドープ量を高める;正極より容量の大きな負極を有するナトリウムイオン電池のエネルギー密度を高める;および充放電サイクル耐久性に優れるナトリウムイオン二次電池を提供すること。【解決手段】正極前駆体と負極とセパレータと、Naイオンを含む非水系電解液とを備えるナトリウムイオン二次電池前駆体が提供され、正極前駆体は正極活物質および炭酸ナトリウムを含む正極活物質層を有し、正極活物質層中の正極活物質の重量比C1(質量%)、炭酸ナトリウムの重量比C2(質量%)、正極活物質の初回充電容量Q1(mAh/g)、正極活物質層の片面当たりの重量A(g)、負極ハーフセル初回充電容量B(mAh)とするとC1/100×Q1×A<B、5.0≦C2≦10.0である。【選択図】図1

Description

本発明は、ナトリウムイオン二次電池前駆体、およびナトリウムイオン二次電池に関する。
近年、地球環境の保全および省資源を目指すエネルギーの有効利用の観点から、風力発電の電力平滑化システムまたは深夜電力貯蔵システム、太陽光発電技術に基づく家庭用分散型蓄電システム、電気自動車用の蓄電システム等が注目を集めている。
これらの蓄電システムに用いられる電池の要求事項は、エネルギー密度が高いことである。このような要求に対応可能な高エネルギー密度電池の有力候補として、リチウムイオン二次電池の開発が精力的に進められている。リチウムイオン二次電池は100Wh/Lを超えるエネルギー密度を有しており、かつサイクル寿命などの耐久性に優れていることから、高容量化と高耐久性が求められる電気自動車またはモバイル機器などに最も適した蓄電素子として、現在広く普及している。
しかしながら、肝心のリチウムは地殻中の濃度が平均20ppm程度しかなく、しかも産出地が偏在しているという問題があり、今後リチウムイオン二次電池をさらに普及していくと、地球上のリチウム資源が枯渇してしまうという問題がある。そのため、これからは、より多く普遍的に存在する元素をリチウムの代替として使用していく必要があり、ナトリウムまたはカリウムといったアルカリ金属を蓄電デバイスに用いる研究が精力的に進められている。
例えば、特許文献1には、正極において、NaMe(ここで、Meは、Fe、MnおよびNiから成る群から選ばれる少なくとも一種である)の一般式で示される組成を有し、前記式において、yが0.95≦y<1.05を満たし、xが0.8<x≦1.0を満たし、かつP2構造から成る複合金属酸化物が、正極活物質として大きな可逆充放電容量に加え、初回の充電容量を高められることが示されている。
特許文献2には、正極活物質層中に含まれる炭酸ナトリウムを酸化分解し、生じたナトリウムイオンを負極で還元することでプレドープする技術が開示されている。そのため、特許文献2には、正極活物質に含まれるナトリウムイオンが不足していてもプレドープによりナトリウムイオンが補填されるため、ナトリウムイオン二次電池として充放電できることが示されている。
特許文献3には、正極と負極の間の電位差を大きくすることでエネルギー密度を高めたナトリウムイオン二次電池が開示されている。
国際公開第2014/091687号 特開2018-26213号公報 特開2010-225525号公報
本発明は、以上の現状に鑑みて為されたものである。従って、本発明が解決しようとする課題は、炭酸ナトリウムが含有された正極活物質層中の活物質嵩密度を高めることでエネルギー密度を高めること、正極活物質層中に含まれる炭酸ナトリウムの分解効率を高めて負極へのナトリウムイオンのプレドープ量を高めること、正極よりも容量の大きな負極を有するナトリウムイオン二次電池のエネルギー密度を高めること、および充放電サイクル耐久性に優れるナトリウムイオン二次電池を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討し、実験を重ねた。その結果、本発明者らは、正極よりも容量の大きな負極を用い、かつ正極に含有した炭酸ナトリウムを分解して負極にナトリウムイオンをプレドープすることで充放電サイクル耐久性を向上できることを見出し、正極活物質層中に含まれる炭酸ナトリウムの含有量を最適化することにより、正極での炭酸ナトリウムの分解促進と負極へのプレドープ量の増大、および炭酸ナトリウムを含む正極活物質層中の活物質嵩密度を高めて高エネルギー密度化することを両立できることを見出した。本発明は、この知見に基づいて為されたものであり、すなわち、以下のとおりのものである:
[1]
正極前駆体と、負極と、セパレータと、ナトリウムイオンを含む非水系電解液とを備えるナトリウムイオン二次電池前駆体であって、
前記正極前駆体は、正極集電体と、前記正極集電体の片面または両面上に設けられた、正極活物質および炭酸ナトリウムを含む正極活物質層とを有し、前記正極活物質は、ナトリウムイオンを吸蔵および放出することが可能な遷移金属酸化物を含み、
前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体の片面または両面上に設けられた、負極活物質を含む負極活物質層とを有し、
前記正極活物質層に含まれる前記正極活物質の重量比をC1(重量%)、炭酸ナトリウムの重量比をC2(重量%)、前記正極活物質の初回充電容量をQ1(mAh/g)、前記正極活物質層の片面当たりの重量をA(g)とし、前記負極から形成した負極ハーフセルの初回充電容量をB(mAh)とするとき、C1/100×Q1×A<Bであり、かつ5.0≦C2≦10.0であるナトリウムイオン二次電池前駆体。
[2]
前記正極活物質が、NaM1M2(ここで、M1およびM2はそれぞれFe、Mn、Co、Ni、Ti、またはCuから選択される1種であり、0.5≦x≦1.0、0.1<y<0.9、0.1<z<0.9、かつ0.95<y+z<1.05を満たす)で表される遷移金属酸化物である、[1]に記載のナトリウムイオン二次電池前駆体。
[3]
前記M1および前記M2は、それぞれ、Fe、Mn、またはCoである、[2]に記載のナトリウムイオン二次電池前駆体。
[4]
[1]~[3]のいずれか一項に記載のナトリウムイオン二次電池前駆体に対し、20℃以上50℃以下の環境温度下において、3.5V以上4.4V以下の電圧を印加し、前記炭酸ナトリウムを分解させることを特徴とするナトリウムイオン二次電池の製造方法。
[5]
定電流充電で所定の電圧に到達した後、該電圧で定電圧充電を継続する、[4]に記載のナトリウムイオン二次電池の製造方法。
[6]
前記定電流充電における電流密度が、0.01mA/cm以上0.50mA/cm以下である、[5]に記載のナトリウムイオン二次電池の製造方法。
[7]
正極と、負極と、セパレータと、ナトリウムイオンを含む非水系電解液とを備えるナトリウムイオン二次電池であって、
前記正極は、正極集電体と、前記正極集電体の片面または両面上に設けられた、正極活物質を含む正極活物質層とを有し、前記正極活物質はNaM1M2(ここで、M1およびM2は、それぞれ、Fe、Mn、Co、Ni、Ti、またはCuから選択される1種であり、0.5≦x≦1.0、0.1<y<0.9、0.1<z<0.9、かつ0.95<y+z<1.05を満たす)で表される遷移金属酸化物を含み、
前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体の片面または両面上に設けられた、負極活物質を含む負極活物質層とを有し、
前記ナトリウムイオン二次電池の電圧が1.0V時における前記正極活物質のXRD(X線回折)測定において、002回折線のピークが15.70°以上16.00°以下にあるナトリウムイオン二次電池。
[8]
前記M1および前記M2は、それぞれ、Fe、Mn、またはCoである、[7]に記載のナトリウムイオン二次電池。
[9]
前記正極活物質層に含まれる前記正極活物質の重量比をC1(重量%)、前記正極活物質の初回充電容量をQ1(mAh/g)、前記正極活物質層の片面当たりの重量をA(g)とし、前記負極から形成した負極ハーフセルの初回充電容量をB(mAh)とするとき、C1/100×Q1×A<Bである、[7]または[8]に記載のナトリウムイオン二次電池。
本発明によれば、エネルギー密度が高く、充放電サイクル特性に優れ、正極活物質層中に含まれる炭酸ナトリウムの分解効率に優れるナトリウムイオン二次電池前駆体、およびそれを用いるナトリウムイオン二次電池を提供することができる。
ナトリウムイオン二次電池に含まれる正極のXRD(X線回折)測定において正極活物質の状態と002回折線のピークの関係を示すチャートである。 プレドープ前のナトリウムイオン二次電池のサイクリックボルタンメトリー測定において温度25℃(実施例7)と45℃(実施例8)の影響を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態に係るナトリウムイオン二次電池とは、充放電により正負極活物質に挿入脱離する金属イオンとして、ナトリウムイオンが選択される。ナトリウムイオン二次電池は、一般に、正極、負極、セパレータ、電解液、および外装体を主な構成要素とする。電解液としては、ナトリウム塩を溶解させた有機溶媒(以下、非水系電解液という。)を用いる。
本明細書において、プレドープ工程前の正極状態のことを「正極前駆体」、プレドープ工程前のナトリウムイオン二次電池状態のことを「ナトリウムイオン二次電池前駆体」と定義する。
<正極>
本実施形態における正極は、正極集電体と、その片面または両面に存在する正極活物質層とを有する。
また、本実施形態における正極は、蓄電素子組み立て前の正極前駆体として、正極活物質と、炭酸ナトリウムとを含むことが好ましい。
後述のように、本実施形態では蓄電素子組み立て工程内で、負極にナトリウムイオンをプレドープすることが好ましいが、そのプレドープ方法としては、上記炭酸ナトリウムを含む正極前駆体、負極、セパレータ、外装体、および非水系電解液を用いて蓄電素子を組み立てた後に、正極前駆体と負極との間に電圧を印加することが好ましい。上記炭酸ナトリウムは、上記正極前駆体の正極集電体上に形成された正極活物質層に含有されることが好ましい。
[正極活物質層]
正極活物質層は、遷移金属酸化物を含む正極活物質を含有することが好ましく、これ以外に、必要に応じて、導電性フィラー、結着剤、分散安定剤等の任意成分を含んでいてもよい。
また、正極前駆体の正極活物質層には、正極活物質並びに炭酸ナトリウムが含有されることが好ましい。
-正極活物質-
正極活物質は、ナトリウムイオンを吸蔵および放出することが可能な遷移金属酸化物を含むことが好ましい。正極活物質として用いられる遷移金属酸化物には、特に制限はない。遷移金属酸化物としては、例えば、コバルト、ニッケル、マンガン、鉄、銅、およびクロムから成る群より選ばれる1種以上の元素を含む酸化物が挙げられる。
正極活物質としては、具体的に例示すると、NaM1M2(ここで、M1およびM2は、それぞれ、Fe、Mn、Co、Ni、Ti、またはCuから選択される1種であり、0.5≦x≦1.0、0.1<y<0.9、0.1<z<0.9、かつ0.95<y+z<1.05を満たす)、NaM3O(ここで、M3は、Fe、Mn、Co、Ni、Ti、またはCuから選択される1種であり、0.5≦x≦1.0を満たす)等が挙げられる。
ナトリウム含有遷移金属酸化物として具体的に例示すると、NaFe0.5Mn0.5、NaFe0.5Co0.5、NaFe0.5Ni0.5、NaNi0.5Mn0.5、およびNaFeO(式中、xは、それぞれ独立に、0≦x≦1を満たす)等が挙げられる。
正極活物質の平均粒子径は、1~20μmであることが好ましい。平均粒子径が1μm以上であると、活物質層の密度が高いために電極体積当たりの容量が高くなる傾向がある。ここで、平均粒子径が小さいと耐久性が低いという欠点を招来する場合があるが、平均粒子径が1μm以上であればそのような欠点が生じ難い。一方で、平均粒子径が20μm以下であると、高速充放電には適合し易くなる傾向がある。上記平均粒子径は、より好ましくは1~15μmであり、更に好ましくは1~10μmである。上記平均粒子径の範囲の上限と下限は、任意に組み合わせることができる。
正極活物質層における正極活物質の含有割合(C1ともいう)は、正極前駆体における正極活物質層の全重量を基準として、80重量%以上95重量%以下であることが好ましい。正極活物質の含有割合の下限としては、83重量%以上であることがより好ましく、85重量%以上であることがさらに好ましい。一方、正極活物質の含有割合の上限としては、95重量%以下であることが好ましい。この範囲の含有割合とすることにより、好適な充放電特性を発揮する。この範囲の上限と下限は、任意に組み合わせることができる。
(炭酸ナトリウム)
炭酸ナトリウムは、後述するプレドープ工程において正極またはその前駆体で分解し、ナトリウムイオンを放出することが可能である。炭酸ナトリウムは、電圧の印加によって分解し、負極へのプレドープのドーパント源として機能するとともに、正極活物質層において空孔を形成するから、電解液の保持性に優れ、かつイオン伝導性に優れる正極を形成することができる。
正極活物質層における炭酸ナトリウムの含有割合C2は、正極前駆体における正極活物質層の全質量を基準として、5.0重量%以上10.0重量%以下であることが好ましく、6.0重量%以上9.0重量%以下であることがより好ましく、6.5重量%以上8.5重量%以下であることがさらに好ましい。この含有割合C2が5.0重量%以上であれば、負極に十分なナトリウムイオンをプレドープすることができるため、好ましい。この含有割合C2が10.0重量%以下であれば、炭酸ナトリウムが反応した後の正極密度を高くすることができ、エネルギー密度を高めることができるため、好ましい。上記含有割合の範囲の上限と下限は、任意に組み合わせることができる。
-任意成分-
本実施形態における正極活物質層は、必要に応じて、正極活物質および炭酸ナトリウムの他に、導電性フィラー、結着剤、分散安定剤等の任意成分を含んでいてもよい。
導電性フィラーとしては、特に制限されるものではないが、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維、黒鉛、カーボンナノチューブ、これらの混合物等を用いることができる。導電性フィラーの使用量は、正極活物質100重量部に対して、好ましくは0重量部以上30重量部以下であり、より好ましくは0.01重量部以上25重量部以下、さらに好ましくは1重量部以上20重量部以下である。導電性フィラーの使用量が30重量部よりも多くなると、正極活物質層における正極活物質の含有割合が少なくなるために、正極活物質層体積当たりのエネルギー密度が低下するので好ましくない。
結着剤としては、特に制限されるものではないが、例えばPVdF(ポリフッ化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミド、ラテックス、スチレン-ブタジエン共重合体、フッ素ゴム、アクリル共重合体等を用いることができる。結着剤の使用量は、正極活物質100重量部に対して、好ましくは1重量部以上30重量部以下、より好ましくは1重量部以上15重量部以下、さらに好ましくは1重量部以上10重量部以下である。結着剤の使用量が1重量%以上であれば、十分な電極強度が発現される。一方で結着剤の使用量が30重量%以下であれば、正極活物質へのイオンの出入りおよび拡散を阻害せず、高い入出力特性が発現される。
分散安定剤としては、特に制限されるものではないが、例えばPVP(ポリビニルピロリドン)、PVA(ポリビニルアルコール)、セルロース誘導体等を用いることができる。分散安定剤の使用量は、正極活物質100重量部に対して、好ましくは、0重量部または0.1重量部以上、10重量部以下である。分散安定剤の使用量が10重量部以下であれば、正極活物質へのイオンの出入りおよび拡散を阻害せず、高い入出力特性が発現される。
[正極集電体]
本実施形態における正極集電体を構成する材料としては、電子伝導性が高く、電解液への溶出および電解質またはイオンとの反応等による劣化が起こらない材料であれば特に制限はないが、金属箔が好ましい。本実施形態に係るナトリウムイオン二次電池またはその前駆体における正極集電体としては、アルミニウム箔が特に好ましい。
金属箔は、凹凸または貫通孔を持たない通常の金属箔でもよいし、エンボス加工、ケミカルエッチング、電解析出法、ブラスト加工等を施した凹凸を有する金属箔でもよいし、エキスパンドメタル、パンチングメタル、エッチング箔等の貫通孔を有する金属箔でもよい。
正極集電体の厚みは、正極の形状および強度を十分に保持できれば特に制限はないが、例えば、1~100μmであることが好ましい。
<負極>
本実施形態の負極は、ファラデー反応または非ファラデー反応に関与する物質を含み、好ましくは、負極集電体と、その片面または両面に存在する負極活物質層と、を有する。
[負極活物質層]
負極活物質層は、ナトリウムイオンを吸蔵および放出することができる負極活物質を含み、これ以外に、必要に応じて、導電性フィラー、結着剤、分散安定剤等の任意成分を含んでいてもよい。
-負極活物質-
負極活物質は、ナトリウムイオンを吸蔵・放出することが可能な物質を用いることができる。具体的には、炭素材料、ナトリウム金属、ナトリウムを含む合金などが好適に用いられる。好ましくは、上記負極活物質の総量に対する炭素材料の含有率が50重量%以上であり、より好ましくは70重量%以上である。該炭素材料の含有率が100重量%であることができるが、他の材料の併用による効果を良好に得る観点から、例えば、98重量%以下であることが好ましく、95重量%以下であってもよい。上記炭素材料の含有率の範囲の上限と下限は、任意に組み合わせることができる。
炭素材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素材料;カーボンブラック;カーボンナノ粒子;ポリアセン系物質等のアモルファス炭素質材料;石油系のピッチ、石炭系のピッチ、メソカーボンマイクロビーズ、コークス、合成樹脂(例えばフェノール樹脂等)等の炭素質材料前駆体を熱処理して得られる炭素質材料;フルフリルアルコール樹脂またはノボラック樹脂の熱分解物;フラーレン;カーボンナノフォーン;およびこれらの複合炭素材料を挙げることができる。ナトリウムイオン二次電池においては、この中でも、良好なドープ状態の達成、または高容量を発現できるという観点で、難黒鉛化性炭素材料が好適に用いられる。
負極活物質の平均粒子径は、1μm以上30μm以下であることが好ましい。その下限については、より好ましくは2μm以上であり、更に好ましくは2.5μm以上である。その上限については、より好ましくは10μm以下であり、更に好ましくは5μm以下である。平均粒子径が1μm以上30μm以下であれば良好な耐久性が保たれる。上記負極活物質の平均粒子径の範囲の上限と下限は、任意に組み合わせることができる。
-任意成分-
本実施形態における負極活物質層は、必要に応じて、負極活物質の他に、導電性フィラー、結着剤、分散安定剤等の任意成分を含んでいてもよい。
導電性フィラーの種類は特に制限されるものではないが、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相成長炭素繊維等が例示される。導電性フィラーの使用量は、負極活物質100重量部に対して、好ましくは0重量部以上30重量部以下、より好ましくは0.01重量部以上20重量部以下、さらに好ましくは0.1重量部以上15重量部以下である。
結着剤としては、特に制限されるものではないが、例えばPVdF(ポリフッ化ビニリデン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ポリイミド、ラテックス、スチレン-ブタジエン共重合体、フッ素ゴム、アクリル共重合体、ポリエチレンオキサイド、カルボキシメチルセルロース等を用いることができる。結着剤の使用量は、負極活物質100重量部に対して、好ましくは1重量部以上30重量部以下、より好ましくは2重量部以上27重量部以下、さらに好ましくは3重量部以上25重量部以下である。結着剤の使用量が1重量%以上であれば、十分な電極強度が発現される。一方で結着剤の使用量が30重量%以下であれば、負極活物質へのナトリウムイオンの出入りを阻害せず、高い入出力特性が発現される。
分散安定剤としては、特に制限されるものではないが、例えばPVP(ポリビニルピロリドン)、PVA(ポリビニルアルコール)、セルロース誘導体等を用いることができる。分散安定剤の使用量は、負極活物質100重量部に対して、好ましくは、0重量部または0.1重量部以上、10重量部以下である。分散安定剤の使用量が10重量部以下であれば、負極活物質へのナトリウムイオンの出入りを阻害せず、高い入出力特性が発現される。
[負極集電体]
本実施形態における負極集電体を構成する材料としては、電子伝導性が高く、非水系電解液への溶出および電解質またはイオンとの反応等による劣化が起こらない金属箔であることが好ましい。このような金属箔としては、特に制限はなく、例えば、アルミニウム箔、銅箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔等が挙げられる。本実施形態に係るナトリウムイオン二次電池における負極集電体としては、アルミニウム箔が好ましい。
金属箔は、凹凸または貫通孔を持たない通常の金属箔でもよいし、エンボス加工、ケミカルエッチング、電解析出法、ブラスト加工等を施した凹凸を有する金属箔でもよいし、エキスパンドメタル、パンチングメタル、エッチング箔等の貫通孔を有する金属箔でもよい。
負極集電体の厚みは、負極の形状および強度を十分に保持できれば特に制限はないが、例えば、1~100μmであることが好ましい。
[正極前駆体および負極の製造]
正極前駆体および負極は、正極集電体の片面上または両面上に正極活物質層、負極集電体の片面上または両面上に負極活物質層を有して成る。典型的な態様において、正極活物質層は正極集電体に、負極活物質層は負極集電体に固着している。
正極前駆体および負極は、既知のナトリウムイオン二次電池、電気二重層キャパシタ等における電極の製造技術によって製造することが可能である。例えば、正極活物質または負極活物質を含む各種材料を水または有機溶剤中に分散または溶解してスラリー状の塗工液を調製し、この塗工液を正極集電体または負極集電体上の片面または両面に塗工して塗膜を形成し、これを乾燥することにより、正極前駆体または負極を得ることが出来る。さらに、得られた正極前駆体または負極にプレスを施して、正極活物質層または負極活物質層の膜厚またはかさ密度を調整してもよい。代替的には、溶剤を使用せずに、正極活物質または負極活物質を含む各種材料を乾式で混合し、得られた混合物をプレス成型した後、導電性接着剤を用いて正極集電体または負極集電体に貼り付ける方法も可能である。
塗工液は、正極活物質または負極活物質を含む各種材料粉末の一部若しくは全部をドライブレンドし、次いで水若しくは有機溶媒、および/またはそれらに結着剤若しくは分散安定剤が溶解または分散した液状またはスラリー状の物質を追加して調製してもよい。また、水または有機溶媒に結着剤または分散安定剤が溶解または分散した液状またはスラリー状の物質の中に、正極活物質または負極活物質を含む各種材料粉末を追加して、塗工液を調製してもよい。
正極活物質を含む各種材料粉末の一部若しくは全部をドライブレンドする方法として、例えばボールミル等を使用して正極活物質および炭酸ナトリウム、並びに必要に応じて導電性フィラーを予備混合して、導電性の低い炭酸ナトリウムに導電材をコーティングさせる予備混合をしてもよい。これにより、後述のプレドープ工程において正極前駆体で炭酸ナトリウムが分解し易くなる。上記塗工液の溶媒に水を使用する場合には、炭酸ナトリウムを加えることで塗工液がアルカリ性になることもあるため、必要に応じてpH調整剤を添加してもよい。
上記塗工液の調製には、特に制限されるものではないが、好適にはホモディスパーまたは多軸分散機、プラネタリーミキサー、薄膜旋回型高速ミキサー等の分散機等を用いることが出来る。良好な分散状態の塗工液を得るためには、周速1m/s以上50m/s以下で分散することが好ましい。周速が1m/s以上であれば、各種材料が良好に溶解または分散するため好ましい。また、周速が50m/s以下であれば、分散による熱またはせん断力により各種材料が破壊されることなく、再凝集が生じることがないため好ましい。
上記塗工液の分散度については、粒ゲージで測定した粒度が0.1μm以上100μm以下であることが好ましい。分散度の上限としては、より好ましくは粒度が80μm以下、さらに好ましくは粒度が50μm以下である。粒度が0.1μm未満では、正極活物質を含む各種材料粉末の粒径以下のサイズとなり、塗工液作製時に材料を破砕していることになり、好ましくない。また、粒度が100μm以下であれば、塗工液吐出時の詰まりまたは塗膜のスジ発生等がなく、安定に塗工ができる。
上記塗膜の形成には、特に制限されるものではないが、好適にはダイコーターまたはコンマコーター、ナイフコーター、グラビア塗工機等の塗工機を用いることが出来る。塗膜は、単層塗工で形成してもよいし、多層塗工で形成してもよい。正極前駆体の多層塗工の場合には、塗膜各層内の炭酸ナトリウムの含有量が異なるように塗工液組成を調整してもよい。また、塗工速度は0.1m/分以上100m/分以下であることが好ましく、より好ましくは0.5m/分以上70m/分以下、さらに好ましくは1m/分以上50m/分以下である。塗工速度が0.1m/分以上であれば、安定に塗工出来る。他方、塗工速度が100m/分以下であれば、塗工精度を十分に確保できる。
上記塗膜の乾燥については、特に制限されるものではないが、好適には熱風乾燥または赤外線(IR)乾燥等の乾燥方法を用いることが出来る。塗膜の乾燥は、単一の温度で乾燥させてもよいし、多段的に温度を変えて乾燥させてもよい。また、複数の乾燥方法を組み合わせて塗膜を乾燥させてもよい。乾燥温度は、25℃以上200℃以下であることが好ましく、より好ましくは40℃以上180℃以下、さらに好ましくは50℃以上160℃以下である。乾燥温度が25℃以上であれば、塗膜中の溶媒を十分に揮発させることが出来る。他方、乾燥温度が200℃以下であれば、急激な溶媒の揮発による塗膜のヒビ割れまたはマイグレーションによる結着剤の偏在、正極集電体または負極集電体の酸化、および正極活物質層または負極活物質層の酸化を抑制できる。
上記正極前駆体および負極のプレスには、特に制限されるものではないが、好適には油圧プレス機、真空プレス機等のプレス機を用いることが出来る。正極活物質層および負極活物質層の膜厚、かさ密度および電極強度は、プレス圧力、隙間、およびプレス部の表面温度により調整できる。
上記正極活物質層の厚みは、例えば集電体に対して、片面当たり20μm以上200μm以下であることが好ましい。正極活物質層の厚さは、より好ましくは片面当たり25μm以上100μm以下であり、更に好ましくは30μm以上80μm以下である。この厚さが20μm以上であれば、十分な充放電容量を発現することができる。他方、この厚さが200μm以下であれば、電極内のイオン拡散抵抗を低く維持することができる。そのため、十分な出力特性が得られるとともに、セル体積を縮小することができ、従ってエネルギー密度を高めることができる。上記正極活物質層の厚さの範囲の上限と下限は、任意に組み合わせることができる。なお、集電体が貫通孔および/または凹凸を有する場合における正極活物質層の厚さとは、集電体の貫通孔も凹凸もを有していない部分の片面当たりの厚さの平均値をいう。
負極活物質層の厚みは、例えば集電体に対して、片面当たり、5μm以上100μm以下であることが好ましい。負極活物質層の厚みの下限は、さらに好ましくは7μm以上であり、より好ましくは10μm以上である。負極活物質層の厚みの上限は、より好ましくは80μm以下であり、さらに好ましくは60μm以下である。この厚さが5μm以上であれば、負極活物質層を塗工した際にスジ等が発生せず塗工性に優れる。他方、この厚さが100μm以下であれば、セル体積を縮小することによって高いエネルギー密度を発現できる。上記負極活物質層の厚さの範囲の上限と下限は、任意に組み合わせることができる。なお、集電体が貫通孔および/または凹凸を有する場合における負極活物質層の厚さとは、集電体の貫通孔も凹凸もを有していない部分の片面当たりの厚さの平均値をいう。
負極活物質層の嵩密度は、好ましくは0.30g/cm以上1.8g/cm以下であり、より好ましくは0.40g/cm以上1.5g/cm以下、さらに好ましくは0.45g/cm以上1.3g/cm以下である。嵩密度が0.30g/cm以上であれば、十分な強度を保つことができるとともに、負極活物質間の十分な導電性を発現することができる。また、嵩密度が1.8g/cm以下であれば、負極活物質層内でイオンが十分に拡散できる空孔が確保できる。
[セパレータ]
正極前駆体および負極は、セパレータを介して積層または捲回され、正極前駆体、負極およびセパレータを有する電極積層体または電極捲回体が形成される。
前記セパレータとしては、ナトリウムイオン二次電池に用いられるポリエチレン製の微多孔膜若しくはポリプロピレン製の微多孔膜、または電気二重層キャパシタで用いられるセルロース製の不織紙等を用いることができる。これらのセパレータの片面または両面に、有機または無機の微粒子から成る膜が積層されていてもよい。また、セパレータの内部に有機または無機の微粒子が含まれていてもよい。
セパレータの厚みは5μm以上35μm以下が好ましい。5μm以上の厚みとすることにより、内部のマイクロショートによる自己放電が小さくなる傾向があるため好ましい。他方、35μm以下の厚みとすることにより、電池の出力特性が高くなる傾向があるため好ましい。
また、有機または無機の微粒子から成る膜の厚みは、1μm以上10μm以下が好ましい。1μm以上の厚みとすることにより、内部のマイクロショートによる自己放電が小さくなる傾向があるため好ましい。他方、10μm以下の厚みとすることにより、電池の出力特性が高くなる傾向があるため好ましい。
[組立]
セル組み立て工程で得られる電極積層体は、枚葉の形状にカットした正極前駆体および負極を、セパレータを介して積層して成る積層体に、正極端子および負極端子を接続したものである。また電極捲回体は、正極前駆体および負極を、セパレータを介して捲回して成る捲回体に正極端子および負極端子を接続したものである。電極捲回体の形状は円筒型であっても、扁平型であってもよい。
正極端子および負極端子の接続の方法は特に限定はしないが、抵抗溶接や超音波溶接などの方法で行うことができる。
[外装体]
外装体としては、金属缶、ラミネート包材等を使用できる。金属缶としては、アルミニウム製のものが好ましい。ラミネート包材としては、金属箔と樹脂フィルムとを積層したフィルムが好ましく、外層樹脂フィルム/金属箔/内層樹脂フィルムから成る3層構成のものが例示される。外層樹脂フィルムは、接触等により金属箔が損傷を受けることを防止するためのものであり、ナイロンまたはポリエステル等の樹脂が好適に使用できる。金属箔は水分およびガスの透過を防ぐためのものであり、銅、アルミニウム、ステンレス等の箔が好適に使用できる。また、内層樹脂フィルムは、内部に収納する電解液から金属箔を保護するとともに、外装体のヒートシール時に溶融封口させるためのものであり、ポリオレフィン、酸変成ポリオレフィン等が好適に使用できる。
[外装体への収納]
乾燥した電極積層体または電極捲回体は、金属缶またはラミネート包材に代表される外装体の中に収納し、開口部を1方だけ残した状態で封止することが好ましい。外装体の封止方法は特に限定しないが、ラミネート包材を用いる場合は、ヒートシール、インパルスシールなどの方法を用いる。
[乾燥]
外装体へ収納した電極積層体または電極捲回体は、乾燥することで残存溶媒を除去することが好ましい。乾燥方法に限定はないが、真空乾燥などにより乾燥することができる。残存溶媒は、正極活物質層または負極活物質層の重量を基準として、1.5重量%以下が好ましい。残存溶媒が1.5重量%より多いと、系内に溶媒が残存し、自己放電特性またはサイクル特性を悪化させるため、好ましくない。
上記の電極積層体または電極捲回体は、ナトリウムイオン二次電池前駆体として、後述する電解液の注液、プレドープ工程を経てナトリウムイオン二次電池を作製することができる。ナトリウムイオン二次電池前駆体に含まれる正極前駆体について、正極活物質層に含まれる正極活物質の重量比をC1(重量%)、炭酸ナトリウムの重量比をC2(重量%)、上記正極活物質の初回充電容量をQ1(mAh/g)、上記正極活物質層の(例えば集電体に対する)片面当たりの重量をA(g)とし、上記ナトリウムイオン二次電池前駆体に含まれる負極について、後述のとおり、その負極から形成される負極ハーフセルの初回充電容量をB(mAh)とするとき、C1/100×Q1×A<Bであることが好ましく、かつ/または5.0≦C2≦10.0であることが好ましい。
ナトリウムイオン二次電池の充放電サイクル耐久性については、ナトリウムイオンが副反応により失活し、充放電に使用できるナトリウムイオン量が減少することで容量の低下を引き起こしてしまう。そのため、予め過剰量のナトリウムイオンを電池内または電池前駆体内に含有させることで充放電サイクル特性を向上させることが可能だが、過剰に存在するナトリウムイオンを吸蔵するための負極として、その容量を正極よりも大きく設計する必要がある。つまり、C1/100×Q1×A<Bとすることで充放電サイクル耐久性を向上させることができ、(C1/100×Q1×A)/Bが0.40以上0.95以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.45以上0.90以下であり、特に好ましくは0.50以上0.85以下である。しかしながら、負極の容量を正極の容量よりも大きくするだけでは充放電に使用できるナトリウムイオンが不足してしまい、エネルギー密度が低下してしまう。そのため、プレドープによりナトリウムイオンを予めナトリウムイオン二次電池内に補填することでその効果を発揮することができる。ナトリウムイオンのプレドープ方法は特に限定されないが、空気中でも安定に取り扱いができる炭酸ナトリウムをドープ源として用いる手法が好ましい。炭酸ナトリウムは絶縁物であり、これを分解させるためには正極活物質または導電材との電子伝導パスの形成が必要となる。そのため、C2>10.0の場合には、炭酸ナトリウムの分解効率が低下するため、充放電サイクル耐久性の向上効果が低下してしまい、さらに、正極活物質層中の正極活物質密度が低下してしまうため、ナトリウムイオン二次電池のエネルギー密度が低下してしまう。一方、C2<5.0の場合には負極へプレドープされるナトリウムイオンの量が不足し、充放電サイクル耐久性の向上効果は小さくなってしまう。
[電解液]
本実施形態における電解液は、非水系電解液である。すなわち、この電解液は、後述する非水溶媒を含む。非水系電解液は、非水系電解液の総量を基準として、0.5mol/L以上のナトリウム塩を含有する。すなわち、非水系電解液は、ナトリウムイオンを電解質として含む。
本実施形態における非水系電解液は、電解質としてナトリウム塩を用いる。例えば、Na(SOCF、NaN(SOF)、NaN(CSO、NaCFSO、NaC(CFSO、NaPF、NaBF、NaClO、NaAsF、NaAlCl等を単独で用いることができ、2種以上を混合して用いてもよい。例えば、高い伝導度を発現できることから、NaClO、NaPFおよび/またはNaN(SOCFを含むことが好ましい。
非水系電解液中のナトリウム塩濃度は、0.5mol/L以上であることが好ましく、0.5~2.0mol/Lの範囲がより好ましい。ナトリウム塩濃度が0.5mol/L以上であれば、陰イオンが十分に存在するので電池の容量を十分高くできる。また、ナトリウム塩濃度が2.0mol/L以下である場合、未溶解のナトリウム塩が非水系電解液中に析出すること、および電解液の粘度が高くなり過ぎることを防止でき、伝導度が低下せず、出力特性も低下しないため好ましい。
本実施形態における非水系電解液は、非水溶媒として、好ましくは、環状カーボネートおよび鎖状カーボネートを含有する。非水系電解液が環状カーボネートおよび鎖状カーボネートを含有することは、所望の濃度のナトリウム塩を溶解させる観点、および高いイオン伝導度を発現する観点で有利である。環状カーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等に代表されるアルキレンカーボネート化合物が挙げられる。アルキレンカーボネート化合物は、典型的には非置換である。鎖状カーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート等に代表されるジアルキルカーボネート化合物が挙げられる。ジアルキルカーボネート化合物は典型的には非置換である。
環状カーボネートおよび鎖状カーボネートの合計含有量は、非水系電解液の総量基準で、好ましくは50重量%以上、より好ましくは65重量%以上であり、好ましくは95重量%以下、より好ましくは90重量%以下である。上記合計含有量が50重量%以上であれば、所望の濃度のナトリウム塩を溶解させることが可能であり、高いイオン伝導度を発現することができる。上記合計濃度が95重量%以下であれば、電解液が、後述する添加剤をさらに含有することができる。上記合計濃度の範囲の上限と下限は、任意に組み合わせることができる。
[注液、含浸、封止工程]
組立工程の終了後に、外装体の中に収納された電極積層体に、非水系電解液を注液する。注液工程の終了後に、更に、含浸を行い、正極、負極、およびセパレータを非水系電解液で十分に浸すことが望ましい。正極、負極、およびセパレータのうちの少なくとも一部に電解液が浸っていない状態では、後述するプレドープ工程において、ナトリウムイオンのドープが不均一に進むため、得られるナトリウムイオン二次電池の抵抗が上昇したり、耐久性が低下したりする。上記含浸の方法としては、特に制限されないが、例えば、注液後に外装体が開口した状態で、減圧チャンバーに設置し、真空ポンプを用いてチャンバー内を減圧状態にし、再度大気圧に戻す方法等を用いることができる。含浸工程終了後には、外装体が開口した状態で減圧しながら封止することで密閉する。
[プレドープ工程]
本実施形態では、ナトリウムイオンを含む正極活物質と、炭酸ナトリウムとが、負極活物質へのナトリウムイオンのドーパント源として機能する。プレドープ工程として、好ましくは、上記正極前駆体と負極との間に3.5V以上4.4V以下の電圧を印加して上記炭酸ナトリウムを分解することにより、正極前駆体中の炭酸ナトリウムを分解してナトリウムイオンを放出し、負極でナトリウムイオンを還元することにより負極活物質層にナトリウムイオンがプレドープされる。印加する電圧が3.5V以上の場合には炭酸ナトリウムの分解が促進し、短時間でプレドープ工程を行うことができる。印加する電圧が4.4V以下の場合、正極活物質の劣化を抑え、高エネルギー密度化できる。
電圧の印加の方法については特に限定されないが、定電流充電で所定の電圧に到達した後、該電圧で定電圧充電を継続する方法が好ましい。一定電圧を保持して充電を継続することにより、正極前駆体中の炭酸ナトリウムの分解が均一に進行し、ナトリウムイオン二次電池内に炭酸ナトリウムが残存することに起因するガス発生を抑制することができる。さらには、高い電流密度で充電した際には反応過電圧により炭酸ナトリウムが完全に分解する前に設定した電圧値に到達してしまうが、定電圧充電を継続することにより炭酸ナトリウムの分解反応を継続することができるため、炭酸ナトリウムの残存を抑制することができる。電圧印加は、ナトリウムイオン二次電池の周囲環境下で行われることができ、好ましくは20℃以上50℃以下の環境温度で行われる。
定電流充電時の電流密度については、0.01mA/cm以上0.50mA/cm以下であることが好ましい。電流密度が0.01mA/cm以上であればプレドープを短時間で行うことができる。電流密度が0.50mA/cm以下であれば炭酸ナトリウムの分解に起因する発熱を抑制でき、正極活物質の劣化を抑制することができる。
このプレドープ工程において、正極前駆体中の炭酸ナトリウムの酸化分解に伴い、CO等のガスが発生することがある。そのため、電圧を印加する際には、発生したガスを外装体の外部に放出する手段を講ずることが好ましい。この手段としては、例えば、
外装体の一部を開口させた状態で電圧を印加する方法;
前記外装体の一部に予めガス抜き弁、ガス透過フィルム等の適宜のガス放出手段を設置した状態で電圧を印加する方法;
等を挙げることができる。
[エージング工程]
プレドープ工程の終了後に、ナトリウムイオン二次電池にエージングを行うことが好ましい。エージング工程において電解液中の溶媒が負極で分解し、負極表面にナトリウムイオン透過性の固体高分子被膜が形成される。上記エージングの方法としては、特に制限されないが、例えば、30℃超、または50℃超などの高温環境下で電解液中の溶媒を反応させる方法等を用いることができる。
[ガス抜き工程]
エージング工程の終了後に、更にガス抜きを行い、電解液、正極、および負極中に残存しているガスを確実に除去することが好ましい。電解液、正極、および負極の少なくとも一部にガスが残存している状態では、イオン伝導が阻害されるため、得られるナトリウムイオン二次電池の抵抗が上昇してしまう。上記ガス抜きの方法としては、特に制限されないが、例えば、前記外装体を開口した状態でナトリウムイオン二次電池を減圧チャンバーに設置し、真空ポンプを用いてチャンバー内を減圧状態にする方法等を用いることができる。
<ナトリウムイオン二次電池>
以上の方法により、蓄電素子として、ナトリウムイオン二次電池を製造することができる。この蓄電素子は:
正極前駆体に含有されていた炭酸ナトリウムが分解されて散逸した跡である空孔を有する多孔性の正極活物質層を有する正極と、
上記炭酸ナトリウムをドーパント源としてドープされた負極活物質層を有する負極と、
を具備する。
本実施形態に係るナトリウムイオン二次電池の電圧が1.0V時における正極活物質のXRD(X線回折)測定において、002回折線のピークが15.7°以上16.0°以下にあることが好ましい。002回折線のピークが15.7°以上16.0°以下に存在する場合、ナトリウムイオン二次電池内に余剰量のナトリウムイオンが存在することを示唆し、充放電サイクル耐久性に優れる。002回折線のピークが16.0°超に存在する場合、ナトリウムイオン二次電池内に大過剰のナトリウムイオンが存在することを示唆し、負極上で金属ナトリウムが析出し易くなるため、充放電サイクル特性が低下する。また、ナトリウムイオン二次電池を用いて上記で説明された方法により得られるナトリウムイオン二次電池もC1/100×Q1×A<Bを満たすことが好ましい。
<炭酸ナトリウムの定量方法>
正極前駆体中に含まれる炭酸ナトリウムの定量方法を以下に記載する。正極前駆体を蒸留水で洗浄し、蒸留水での洗浄前後の正極または正極前駆体の重量変化から炭酸ナトリウムを定量することができる。測定する正極前駆体の面積は特に制限されないが、測定のばらつきを軽減するという観点から1cm以上100cm以下であることが好ましく、更に好ましくは2cm以上50cm以下である。面積が1cm以上あれば測定の再現性が確保される。面積が100cm以下であればサンプルの取扱い性に優れる。この面積の範囲の上限と下限は、任意に組み合わせることができる。
切り出した正極前駆体の重量をM(g)とし、正極前駆体の重量の100倍(100M(g))の蒸留水に正極前駆体を1時間以上十分に浸漬させる。その後、蒸留水から正極前駆体を取り出し真空乾燥する。この時の正極前駆体の重量をM(g)とし、続いて、集電体の重量を測定するため、スパチュラ、ブラシ、刷毛等を用いて集電体上の正極活物質層を取り除く。得られた正極集電体の重量をM(g)とすると、正極前駆体中に含まれる炭酸ナトリウムの重量比C2(重量%)、および正極活物質層の片面当たりの重量A(g)は、それぞれ下記式(I)、式(II)にて算出できる。
C2=100×[1-(M-M)/(M-M)] 式(I)
A=M-M 式(II)
以下、実施例および比較例を示し、本発明の特徴を更に明確にする。しかしながら、本発明は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
<実施例1>
[正極活物質の製造]
空気中でMnCOを昇温1℃/minで加熱し、700℃で5時間焼成して、Mnを合成した。続いてMnとFeとNaのモル比が1:1:0.67となるように、Mn、Fe23、NaCOを秤量し、ボールミルで600rpm、24時間混合した後にペレット化した。得られたペレットを5℃/minの条件で加熱し、900℃、12時間焼成した後、粉砕することにより正極活物質であるP2型Na0.67Fe0.5Mn0.5を得た。
[正極容量Q1の測定]
得られたNa0.67Fe0.5Mn0.5粉体を80.0重量部、アセチレンブラックを10.0重量部、およびPVdF(ポリフッ化ビニリデン)10.0重量部、並びにNMP(N-メチルピロリドン)を混合し、正極用スラリーを得た。厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に正極用スラリーを塗布し、乾燥後にプレスして正極1を得た。
正極1を温度80℃の条件で12時間真空乾燥し、直径10mmの円形に打ち抜き作用極とした。金属ナトリウムを対極、ガラスフィルターをセパレータとし、作用極、セパレータ、対極の順に積層して電極積層体を得た。続いて非水系電解液としてNaPFを1.0mol/Lの濃度でエチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の体積比1:1の混合溶媒に溶解して得た非水系電解液1を用い、コインセルを作製した。
作製したコインセルに対し、25℃環境下、電流密度を0.02mA/cmとして4.3Vまで定電流充電を行った。この時の初回充電容量Q1は139mAh/gであった。
[正極前駆体の製造]
得られたNa0.67Fe0.5Mn0.5粉体を70.0重量部、炭酸ナトリウムを10.0重量部、アセチレンブラック(AB)を10.0重量部、およびPVdF(ポリフッ化ビニリデン)10.0重量部、並びにNMP(N-メチルピロリドン)を混合し、正極用スラリーを得た。厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に正極用スラリーを塗布し、乾燥後に正極前駆体1を得た。正極前駆体1の正極活物質層の片面当たりの厚みは28.0μmであり、目付量は60.0g/mであった。
[負極の作製]
市販のハードカーボン(株式会社クレハ製)を85.0重量部、アセチレンブラックを10.0重量部、およびポリアクリル酸ナトリウム(PANa)を5.0重量部、並びにイオン交換水を混合して負極用スラリーを得た。得られた負極用スラリーを、負極集電体となる厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、乾燥して負極1を得た。得られた負極1における負極活物質層の片面当たりの厚みは40μmであり、目付量は35.0g/mであった。
[負極ハーフセルの初回充電容量Bの測定]
負極1を温度80℃の条件で12時間真空乾燥し、直径10mmの円形に打ち抜き作用極とした。金属ナトリウムを対極、ガラスフィルターをセパレータとし、作用極、セパレータ、対極の順に積層して電極積層体を得た。続いて非水系電解液として非水系電解液1を用い、コインセルを作製した。
作製したコインセルに対し、25℃環境下、電流密度を0.02mA/cmとして0.002Vまで定電流放電を行った。この時の放電容量、つまり負極へのナトリウムイオンの初回充電容量は、320mAh/gであり、初回充電容量Bは、0.75mAhであった。
[ナトリウムイオン二次電池前駆体の組立]
得られた正極前駆体1および負極1を直径10mmの円形に打ち抜き、セパレータとして厚み200μmのガラスフィルターを用い、正極前駆体1、セパレータ、負極1の順に積層して電極積層体であるナトリウムイオン二次電池前駆体を得た。
[注液、含浸、封止工程]
ナトリウムイオン二次電池前駆体をR2032型コインセルに挿入し、非水系電解液1を注入した後、外装体を封止してプレドープ前のナトリウムイオン二次電池(前駆体)を形成した。
[プレドープ工程]
得られたナトリウムイオン二次電池(前駆体)に対して、東洋システム社製の充放電装置(TOSCAT-3100U)を用いて、25℃環境下、電流密度0.02mA/cmで電圧4.3Vに到達するまで定電流充電を行った後、続けて4.3V定電圧充電を3時間継続することで初期充電を行い、負極にナトリウムイオンをプレドープすることでナトリウムイオン二次電池を2個作製した。
[放電容量の測定]
得られたナトリウムイオン二次電池の1個について、25℃に設定した恒温槽内で、0.02mA/cmの電流値で1.0Vに到達するまで定電流放電を行った際の放電容量Qを、表2にまとめた。また、得られた放電容量およびナトリウムイオン二次電池前駆体の体積より、ナトリウムイオン二次電池のエネルギー密度を算出した結果を表2にまとめた。
[充放電サイクル耐久性]
上記工程で得られたナトリウムイオン二次電池について、25℃に設定した恒温槽内で、0.02mA/cmの電流値で4.3Vに到達するまで定電流充電し、続いて0.02mA/cmの電流値で1.0Vまで定電流放電を行う充放電試験を50回繰り返した。50サイクル後の放電容量、および1サイクル目に対する50サイクル目の放電容量維持率を表2にまとめた。
得られたナトリウムイオン二次電池の残りの1個について、25℃に設定した恒温槽内で、0.02mA/cmの電流値で1.0Vに到達するまで定電流放電を行った。その後セルを解体し、正極を取り出した。得られた正極をジエチルカーボネートに浸漬し、正極に付着した電解液を洗い流した。その後、正極に付着したジエチルカーボネートを25℃環境下で真空乾燥し、以下に示す条件でXRD(X線回折)を測定した。測定結果を図1に示す。
X線回折の線源:Cu-Kα1線(λ1=1.54059Å)
管電圧:40kV
管電流:45mA
走査範囲(2θ):10°~70°
走査条件:ステップ走査
ステップ幅:0.02°
走査速度:2°/分
<実施例2~4、比較例1~5>
表1および表2に示す正極前駆体、および負極を用いたこと以外は、実施例1と同様の条件でナトリウムイオン二次電池を作製し、評価した。
Figure 2022144122000002
Figure 2022144122000003
Figure 2022144122000004
[プレドープ時の電流密度]
<実施例5~6、比較例6>
実施例1と同様の方法でプレドープ前のナトリウムイオン二次電池を作製し、表3に示す条件でプレドープを行った。
Figure 2022144122000005
プレドープ時の電流密度を高めると定電流充電時の充電容量が減少してしまうが、定電流充電後に定電圧充電を継続することで充電容量を高めることができ、ナトリウムイオン二次電池としての放電容量を高めることができた。
[プレドープ時の印加電圧]
<実施例7~8>
得られたCo粉体を70.0重量部、炭酸ナトリウムを10.0重量部、アセチレンブラックを10.0質量部、およびPVdF(ポリフッ化ビニリデン)10.0重量部、並びにNMP(N-メチルピロリドン)を混合し、正極用スラリーを得た。厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に正極用スラリーを塗布し、乾燥後にプレスして正極前駆体8を得た。
[ナトリウムイオン二次電池前駆体の組立]
得られた正極前駆体8を直径10mmの円形に打ち抜き作用極、金属ナトリウムを対極および参照極とし、セパレータとしてガラスフィルターを用い、作用極、セパレータ、対極の順に積層し、ナトリウムイオン二次電池前駆体を作製した。
[注液、含浸、封止工程]
ナトリウムイオン二次電池前駆体を二極式コインセルに挿入し、非水系電解液1を注入した後、外装体を封止してプレドープ前のナトリウムイオン二次電池を形成した。
[炭酸ナトリウムの分解電圧]
作製したプレドープ前のナトリウムイオン二次電池について、温度25℃(実施例7)または45℃(実施例8)、電圧範囲1.5~4.5V(vs.Na/Na)の範囲でサイクリックボルタンメトリーを測定した。測定結果を図2に示す。
図2より、25℃環境下では3.8V以上の電圧で炭酸ナトリウムの酸化反応に起因する電流が増大し、4.3Vにおけるピーク電流値は0.217mAh/cmを示した。45℃環境下では3.5V以上の電圧で炭酸ナトリウムの酸化反応に起因する電流が増大し、4.1Vにおけるピーク電流値は0.316mAh/cmを示した。
本発明のナトリウムイオン二次電池およびその前駆体は、例えば、自動車のハイブリット駆動システム用途、瞬間電力ピークのアシスト用途等における蓄電素子として、好適に利用できる。

Claims (9)

  1. 正極前駆体と、負極と、セパレータと、ナトリウムイオンを含む非水系電解液とを備えるナトリウムイオン二次電池前駆体であって、
    前記正極前駆体は、正極集電体と、前記正極集電体の片面または両面上に設けられた、正極活物質および炭酸ナトリウムを含む正極活物質層とを有し、前記正極活物質は、ナトリウムイオンを吸蔵および放出することが可能な遷移金属酸化物を含み、
    前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体の片面または両面上に設けられた、負極活物質を含む負極活物質層とを有し、
    前記正極活物質層に含まれる前記正極活物質の重量比をC1(重量%)、前記炭酸ナトリウムの重量比をC2(重量%)、前記正極活物質の初回充電容量をQ1(mAh/g)、前記正極活物質層の片面当たりの重量をA(g)とし、前記負極から形成した負極ハーフセルの初回充電容量をB(mAh)とするとき、C1/100×Q1×A<Bであり、かつ5.0≦C2≦10.0であるナトリウムイオン二次電池前駆体。
  2. 前記正極活物質が、NaM1M2(ここで、M1およびM2は、それぞれ、Fe、Mn、Co、Ni、Ti、またはCuから選択される1種であり、0.5≦x≦1.0、0.1<y<0.9、0.1<z<0.9、かつ0.95<y+z<1.05を満たす)で表される遷移金属酸化物である、請求項1に記載のナトリウムイオン二次電池前駆体。
  3. 前記M1および前記M2は、それぞれ、Fe、Mn、またはCoである、請求項2に記載のナトリウムイオン二次電池前駆体。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載のナトリウムイオン二次電池前駆体に対し、20℃以上50℃以下の環境温度下において、3.5V以上4.4V以下の電圧を印加し、前記炭酸ナトリウムを分解させることを特徴とするナトリウムイオン二次電池の製造方法。
  5. 定電流充電で所定の電圧に到達した後、該電圧で定電圧充電を継続する、請求項4に記載のナトリウムイオン二次電池の製造方法。
  6. 前記定電流充電における電流密度が、0.01mA/cm以上0.50mA/cm以下である、請求項5に記載のナトリウムイオン二次電池の製造方法。
  7. 正極と、負極と、セパレータと、ナトリウムイオンを含む非水系電解液とを備えるナトリウムイオン二次電池であって、
    前記正極は、正極集電体と、前記正極集電体の片面または両面上に設けられた、正極活物質を含む正極活物質層とを有し、前記正極活物質は、NaM1M2(ここで、M1およびM2は、それぞれ、Fe、Mn、Co、Ni、Ti、またはCuから選択される1種であり、0.5≦x≦1.0、0.1<y<0.9、0.1<z<0.9、かつ0.95<y+z<1.05を満たす)で表される遷移金属酸化物を含み、
    前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体の片面または両面上に設けられた、負極活物質を含む負極活物質層とを有し、
    前記ナトリウムイオン二次電池の電圧が1.0V時における前記正極活物質のXRD(X線回折)測定において、002回折線のピークが、15.70°以上16.00°以下にあるナトリウムイオン二次電池。
  8. 前記M1および前記M2は、それぞれ、Fe、Mn、またはCoである、請求項7に記載のナトリウムイオン二次電池。
  9. 前記正極活物質層に含まれる前記正極活物質の重量比をC1(重量%)、前記正極活物質の初回充電容量をQ1(mAh/g)、前記正極活物質層の片面当たりの重量をA(g)とし、前記負極から形成した負極ハーフセルの初回充電容量をB(mAh)とするとき、C1/100×Q1×A<Bである、請求項7または8に記載のナトリウムイオン二次電池。
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