JP7021853B2 - リチウム二次電池 - Google Patents

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Description

本明細書で開示する発明である本開示は、リチウム二次電池に関する。
従来、リチウム二次電池としては、フッ素の置換数が3以上であるフッ素含有フェノール化合物を電解液へ添加することにより、高温でのガス発生抑制や高温でのサイクル特性を向上するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、リチウム二次電池としては、フェノール化合物及びフェノール系ではないフッ素含有芳香族化合物を電解液に添加することにより、過充電などの安全性向上と自己放電の抑制を図るものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、リチウム二次電池としては、アルキル置換基を有するフェノール化合物を電解液に添加することにより、酸化防止剤による高温環境下での電池特性の劣化を抑制するものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。また、リチウム二次電池としては、アルキル置換基を有するフェノール化合物を電解液に添加することによって、常温及び高温での保存特性を向上するものが提案されている(例えば、特許文献4)。
特許第5545219号 特開2004-31164号公報 特開2011-154987号公報 特開2015-154987号公報
ところで、リチウム二次電池では、高い電池特性と共に高エネルギー密度を有するものの開発が所望されている。このようなリチウム二次電池としては、満充電状態の正極電位が金属リチウム基準で4.5V以上であるもの(以下、高電位電池とも称する)が開発されている。このような高電位電池は、電池の高エネルギー密度化を達成できるが、正極電位が高いため、電解液の分解などが起きやすく、充放電サイクルでの容量低下などが問題となっていた。しかしながら、上述の特許文献1~4のリチウム二次電池では、このような高電位な正極についての検討はまだ十分でなく、充放電特性をより向上する新たな添加剤が求められていた。
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、高電位な正極活物質を用いたものにおいて、充放電特性をより向上する新規なリチウム二次電池を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、リチウム基準電位で4.5V以上と高電位な正極活物質を用いたリチウム二次電池において、フッ素含有フェノール化合物を非水系電解液へ添加すると、充放電特性をより向上する新規なリチウム二次電池を提供することができることを見いだし、本明細書で開示する発明を完成するに至った。
即ち、本明細書で開示するリチウム二次電池は、
負極活物質を含む負極と、
リチウム基準電位で4.5V以上である正極活物質を含む正極と、
リチウムイオンを伝導し、フッ素の置換数が2以下のフッ素含有フェノール化合物を含む非水系電解液と、
を備えたものである。
このリチウム二次電池では、リチウム基準電位で4.5V以上である正極活物質を用いたものにおいて非水電解液の分解をより抑制することができるリチウム二次電池を提供することができる。このような効果が得られる理由は、例えば、フッ素含有フェノール化合物が正極上で酸化重合することによって電子伝導性の低い被膜を正極上に形成し、非水系電解液の分解をより抑制するものと推察される。
リチウム二次電池20の構成の一例を示す模式図。
本実施形態で説明するリチウム二次電池は、正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、正極と負極との間に介在しリチウムイオンを伝導する非水系電解液とを備えている。
この正極は、リチウム基準電位で4.5V以上であり、リチウムイオンを吸蔵放出しうる正極活物質を含む。この正極活物質は、リチウム基準電位で5V以上であるものとしてもよい。電位が高いほど、フッ素含有フェノール化合物を非水系電解液へ添加する意義が高い。この正極は、例えば正極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。正極活物質としては、遷移金属元素を含む硫化物や、リチウムと遷移金属元素とを含む酸化物などを用いることができる。正極活物質は、リチウム基準電位で4.5V以上であればよく、例えば、スピネル型のリチウムマンガン複合酸化物のマンガンの一部を他の遷移金属で置換したものとしてもよく、Liと、少なくともNi及びMnとを含む複合酸化物としてもよいし、更に添加元素(例えば、MgやAlなど)を含む複合酸化物としてもよい。具体的には、基本組成式をLi(1-x)NiaMnb4(a+b=2)とするスピネル型のリチウムニッケルマンガン複合酸化物などが挙げられる。この複合酸化物としては、基本組成式をLiNi0.5Mn1.54とするものなどが挙げられる。なお、「基本組成式」とは、他の元素を含んでもよい趣旨である。導電材は、正極の電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、導電材としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、カーボンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、スルホン化EPDMゴム、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。正極活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばN-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチレントリアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1~500μmのものが用いられる。
このリチウム二次電池の負極は、負極活物質と集電体とを密着させて形成したものとしてもよいし、例えば負極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の負極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。負極活物質としては、リチウム金属、リチウム合金、スズ化合物などの無機化合物、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素質材料、複数の元素を含む複合酸化物、導電性ポリマーなどが挙げられる。炭素質材料は、例えば、コークス類、ガラス状炭素類、グラファイト類、難黒鉛化性炭素類、熱分解炭素類、炭素繊維などが挙げられる。このうち、人造黒鉛、天然黒鉛などのグラファイト類が、金属リチウムに近い作動電位を有し、高い作動電圧での充放電が可能であり支持塩としてリチウム塩を使用した場合に自己放電を抑え、且つ充電時における不可逆容量を少なくできるため、好ましい。複合酸化物としては、例えば、リチウムチタン複合酸化物やリチウムバナジウム複合酸化物などが挙げられる。負極活物質としては、このうち、炭素質材料が安全性の面からみて好ましい。また、負極に用いられる導電材、結着材、溶剤などは、それぞれ正極で例示したものを用いることができる。負極の集電体には、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al-Cd合金などのほか、接着性、導電性及び耐還元性向上の目的で、例えば銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものも用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状は正極と同様のものを用いることができる。
このリチウム二次電池の非水系電解液としては、有機溶媒に支持塩を含むものなどを用いることができる。有機溶媒としては、炭酸エステルや、フッ素含有炭酸エステルなどが挙げられる。炭酸エステルとしては、例えば、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類や、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート、エチル-n-ブチルカーボネート、メチル-t-ブチルカーボネート、ジ-i-プロピルカーボネート、t-ブチル-i-プロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート類などが挙げられる。フッ素含有炭酸エステルとしては、例えば、フッ素化環状カーボネートやフッ素化鎖状カーボネートなど、上述した炭酸エステルの1以上の水素をフッ素に置換したものとしてもよい。具体的には、モノフルオロエチレンカーボネートや、ジフルオロエチレンカーボネート、フルオロメチルメチルカーボネート、ジフルオロメチルメチルカーボネート、トリフルオロメチルメチルカーボネート、フルオロメチルジフルオロメチルカーボネートなどが挙げられる。なお、この非水系電解液には、炭酸エステルのほかに、エステル類、エーテル類、ニトリル類、フラン類、スルホラン類及びジオキソラン類などのうち1以上の他の溶媒が添加されてもよい。この他の溶媒は、電解液に含まれないものとしてもよく、電解液の性状が変更されない程度、少ない量(例えば、10体積%以下)で添加されるものとしてもよい。
この非水系電解液に含まれている支持塩は、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiSbF6、LiSiF6、LiAlF4、LiSCN、LiClO4、LiCl、LiF、LiBr、LiI、LiAlCl4などが挙げられる。このうち、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4などの無機塩、及びLiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23などの有機塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上の塩を組み合わせて用いることが電気特性の点から見て好ましい。この支持塩は、非水系電解液中の濃度が0.1mol/L以上5mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上2mol/L以下であることがより好ましい。支持塩を溶解する濃度が0.1mol/L以上では、十分な電流密度を得ることができ、5mol/L以下では、電解液をより安定させることができる。
この非水系電解液は、フッ素の置換数が2以下のフッ素含有フェノール化合物(以下、単にフッ素含有フェノール化合物とも称する)を含む。このフッ素含有フェノール化合物は、例えば、式(1)に示す化合物であるものとしてもよい。但し、式(1)中のR1~R5は、それぞれ独立して水素又はフッ素であり、且つそのうち2以下がフッ素であるものとする。このフッ素含有フェノール化合物は、具体的には、2-フルオロフェノール、3-フルオロフェノール、2,3-ジフルオロフェノール、2,4-ジフルオロフェノール、2,5-ジフルオロフェノール、2,6-ジフルオロフェノール、3,4-ジフルオロフェノール及び3,5-ジフルオロフェノールのうち1以上であるものとしてもよい。このフッ素含有フェノール化合物は、フッ素の置換数が1であるものとしてもよい。あるいは、このフッ素含有フェノール化合物は、フッ素の置換数が2であるものとしてもよい。なお、フッ素の置換数が3以上であるフッ素含有フェノール化合物では、高電位の正極活物質を用いたリチウム二次電池において、電解液の分解を抑制する効果などが低いものとなる。このフッ素含有フェノール化合物は、例えば、非水系電解液の全体に対して0.1質量%以上10質量%以下の範囲で添加されていることが好ましく、0.5質量%以上5質量%以下の範囲で添加されていることがより好ましく、0.5質量%以上2質量%以下の範囲で添加されていることが更に好ましい。この添加量が0.1質量%以上10質量%以下の範囲では、添加効果を顕著に発揮することができ好ましい。
Figure 0007021853000001
このリチウム二次電池は、負極と正極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、リチウム二次電池の使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の薄い微多孔膜が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
このリチウム二次電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。図1は、コイン型のリチウム二次電池20の構成の概略を表す断面図である。このリチウム二次電池20は、カップ形状のケース21と、正極活物質を有しこのケース21の下部に設けられた正極22と、負極活物質を有し正極22に対してセパレータ24を介して対向する位置に設けられた負極23と、絶縁材により形成されたガスケット25と、ケース21の開口部に配設されガスケット25を介してケース21を密封する封口板26と、を備えている。このリチウム二次電池20は、正極22と負極23との間の空間に非水系電解液27を備えている。このリチウム二次電池20において、正極22は、リチウム基準電位で4.5V以上である正極活物質を含んでいる。また、非水系電解液27には、フッ素の置換数が2以下のフッ素含有フェノール化合物を含んでいる。
以上詳述したリチウム二次電池では、高電位な正極活物質を用いたものにおいて、充放電特性をより向上する新規なものを提供することができる。このような効果が得られる理由は、例えば、フッ素の置換数が2以下のフッ素含有フェノール化合物を非水系電解液へ添加すると、正極上で電子伝導性の低い被膜を形成し、非水系電解液の分解をより抑制するためであると推察される。
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば上述した実施形態では、負極は、リチウムイオンを吸蔵放出するリチウム二次電池を主として説明したが、正極がリチウムイオンを吸蔵放出するものとすれば、負極は特にこれに限られない。非水系電解液に含まれる上記フッ素含有フェノール化合物は、負極に影響せず、正極に作用するためである。したがって、このリチウム二次電池は、リチウムイオン二次電池のほか、電気二重層キャパシタ、電気化学キャパシタなど、各種蓄電デバイスなどとすることができる。
以下には、リチウム二次電池を具体的に作製した例を実験例として説明する。なお、実験例1~4が実施例に相当し、実験例5~8が比較例に相当する。
[実験例1]
フッ素化環状カーボネート(フッ素化エチレンカーボネート)とフッ素化鎖状カーボネート(フッ素化エチルメチルカーボネート)とを体積比で30/70で含むものを溶媒とした。この溶媒に、支持塩としてLiPF6を1.1mol/L、フッ素含有フェノール化合物として3,5-ジフルオロフェノールを電解液全体に対して1質量%となるように溶解させた。得られたものを実験例1の電解液とした。
[実験例2~4]
フッ素含有フェノール化合物として、2-フルオロフェノールを溶解させた以外は実験例1と同様の工程を経て得られたものを実験例2の電解液とした。フッ素含有フェノール化合物として、3-フルオロフェノールを溶解させた以外は実験例1と同様の工程を経て得られたものを実験例3の電解液とした。フッ素含有フェノール化合物として、2,4-ジフルオロフェノールを溶解させた以外は実験例1と同様の工程を経て得られたものを実験例4の電解液とした。
[実験例5~8]
フッ素含有フェノール化合物を添加しない以外は実験例1と同様の工程を経て得られたものを実験例5の電解液とした。添加剤としてフェノールを溶解させた以外は実験例1と同様の工程を経て得られたものを実験例6の電解液とした。添加剤として2,3,4-トリフルオロフェノールを溶解させた以外は実験例1と同様の工程を経て得られたものを実験例7の電解液とした。添加剤として2,3,5,6-テトラフルオロフェノールを溶解させた以外は実験例1と同様の工程を経て得られたものを実験例8の電解液とした。
(サイクリックボルタンメトリー測定)
上記作製した非水系電解液のサイクリックボルタンメトリーを充放電特性の評価として以下の方法で測定した。測定は、高電位の正極活物質を含む作用極と、金属リチウムの対極と、作用極及び対極の間に介在した非水系電解液とを備える二極式セルにて行った。作用極は、ニッケルマンガンスピネルを正極活物質とする正極合材ペーストを作製し、アルミ基板上に塗布したのち、加熱乾燥して作製された。非水系電解液として、実験例1を用いた。この二極式セルに対して、電位走査範囲をリチウム基準電位で、3.0~5.2Vとし、3.0Vから高電位方向に走査し、5.2Vで低電位側へ折り返す処理を行った。走査速度は、0.05mV/sとした。
実験例1のサイクリックボルタンメトリーの測定結果によれば、カソード走査時に4.8V付近からフッ素含有フェノール化合物の分解に対応するとみられるカソード電流が観測された。その後、ニッケルマンガンスピネルの金属価数変化に相当する可逆電流が観測された。また、この測定結果では、リチウム二次電池の高電位正極上でのフッ素含有フェノール化合物の分解後は、電解液等の分解による電流は観測されなかった。このため、フッ素置換数が2以下であるフッ素含有フェノール化合物が添加されたセルでは、サイクル特性が良好であり、リチウム二次電池の電解液として有効に作用することが推察された。
(電極振動子による質量変化△m、電気量変化△Qによる評価)
上記作製した非水系電解液の質量変化及び電気量変化について検討した。測定装置として、水晶振動子電気化学測定システム(EQCM、セイコー・イージーアンドジー社製QCA922)、電気化学測定システム(プリンストンアプライドリサーチ社製Model263A)を用いた。この測定では、試験極と、参照極と、対極と、試験極と対極と参照極との間に介在した非水系電解液と、を備える三極式セルを用いた。試験極は、スパッタリングにより作製した炭素電極を使用した。対極と参照極とには、ステンレス金属にリチウム金属箔を貼り付けたものを使用した。この三極式セルに対して、電位走査範囲をリチウム基準電位で、3.0~7.5Vとし、3.0Vから高電位方向に走査し、7.5Vで低電位側へ折り返す処理を行い、サイクリックボルタモグラムと電位変化に伴う振動子の共振周波数変化とを記録した。この電位走査を10サイクル行った。走査速度は、10.0mV/sとした。この測定において、電極振動子は、表面に物質が付着すると周波数変化が起き、この周波数変化から、Sauerbrey式により質量変化(△m)を求めるものである。1サイクル目の質量変化を△m1、電気量を△Q1とし、nサイクル目の質量増加量を△mn、nサイクル目の電気量増加量を△Qnとする。この質量変化は、1サイクル目の測定値△m1によって規格化した値(△mn/△m1)として評価した。同様に、電気量変化は、1サイクル目の測定値△Q1によって規格化した値(△Qn/△Q1)として評価した。この質量変化量△mn/△m1は、サイクルごとに減少すると電極上の堆積物の生成が抑制されていくことを示す。電気量変化△Qn/△Q1は、サイクルごとに減少すると電極上での不要な電気化学反応が抑制されていくことを示す。
(結果と考察)
実験例1~8の質量変化量△mn/△m1及び電気量変化△Qn/△Q1をそれぞれ表1,2に示す。表1,2に示すように、サイクリックボルタンメトリー及びEQCMの電流変化より、フッ素含有フェノール化合物を添加していない実験例5では、2サイクル目以降の質量変化が1サイクル目に比して大きく、更に電気量変化も十分に小さくなっていないことから、電極上で起きる副反応は抑制されていないことがわかった。一方、実験例1~4においては、初回サイクルで添加剤由来と推測される何らかの被膜用物質の速やかな形成が確認された。また、実験例1~4では、フッ素含有フェノール化合物を添加することにより、2サイクル目以降の質量増加及び電気量増加をより抑制することができることがわかった。また、フッ素を含有しないフェノールを添加した実験例6では、添加剤の構造は類似しているにも関わらず、5サイクル目以降は質量増加量が大きくなりすぎて測定不能となった。このため、実験例6においても、電極上で起きる副反応は抑制されていないことがわかった。また、フッ素の含有量が3個以上である実験例7,8においては、1サイクル目から質量増加が認められず、電極上に被膜様物質が形成していないものと推察された。更に、電気量変化も大きくは抑制されていないため、電極上での副反応を抑制する効果も低いことがわかった。
したがって、フッ素の置換数が2以下であるフッ素含有フェノール化合物を非水系電解液へ添加することにより、高電位の正極上で起きる副反応を抑制する高い効果が得られることがわかった。また、このフッ素含有フェノール化合物は、0.1質量%以上10質量%以下の範囲、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下の範囲、更に好ましくは0.5質量%以上2質量%以下の範囲で有効であるものと推察された。
Figure 0007021853000002
Figure 0007021853000003
なお、本明細書で開示するリチウム二次電池は上述した実施例に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
本明細書で開示したリチウム二次電池は、二次電池の技術分野に利用可能である。
20 リチウム二次電池、21 ケース、22 正極、23 負極、24 セパレータ、25 ガスケット、26 封口板、27 非水系電解液。

Claims (5)

  1. 負極活物質を含む負極と、
    リチウム基準電位で4.5V以上である正極活物質を含む正極と、
    リチウムイオンを伝導し、フッ素の置換数が2以下のフッ素含有フェノール化合物を含む非水系電解液と、
    を備えたリチウム二次電池。
  2. 前記非水系電解液は、2-フルオロフェノール、3-フルオロフェノール、2,3-ジフルオロフェノール、2,4-ジフルオロフェノール、2,5-ジフルオロフェノール、2,6-ジフルオロフェノール、3,4-ジフルオロフェノール及び3,5-ジフルオロフェノールのうち1以上である前記フッ素含有フェノール化合物を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3. 前記非水系電解液は、2-フルオロフェノール、3-フルオロフェノール、2,3-ジフルオロフェノール、2,5-ジフルオロフェノール、2,6-ジフルオロフェノール、3,4-ジフルオロフェノール及び3,5-ジフルオロフェノールのうち1以上である前記フッ素含有フェノール化合物を含む、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  4. 前記非水系電解液は、前記フッ素含有フェノール化合物を0.1質量%以上10質量%以下の範囲で含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
  5. 前記正極は、Liと、少なくともNi及びMnとを含む複合酸化物の前記正極活物質を含む、請求項1~のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
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