JP2018181758A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池 Download PDF

Info

Publication number
JP2018181758A
JP2018181758A JP2017083645A JP2017083645A JP2018181758A JP 2018181758 A JP2018181758 A JP 2018181758A JP 2017083645 A JP2017083645 A JP 2017083645A JP 2017083645 A JP2017083645 A JP 2017083645A JP 2018181758 A JP2018181758 A JP 2018181758A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
negative electrode
secondary battery
ion secondary
lithium ion
phosphorus
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017083645A
Other languages
English (en)
Inventor
嘉也 牧村
Yoshinari Makimura
嘉也 牧村
康仁 近藤
Yasuhito Kondo
康仁 近藤
鈴木 涼
Ryo Suzuki
涼 鈴木
真知子 阿部
Machiko Abe
真知子 阿部
慎太郎 長野
Shintaro Nagano
慎太郎 長野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp, Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP2017083645A priority Critical patent/JP2018181758A/ja
Publication of JP2018181758A publication Critical patent/JP2018181758A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Secondary Cells (AREA)

Abstract

【課題】高温耐久後の抵抗上昇率を効果的に抑制する。【解決手段】本開示のリチウムイオン二次電池は、リチウムイオン二次電池の充放電後に負極を切り出して炭酸ジメチルで洗浄したのちICP−OESでリンを定量化したときの負極に含まれるリンの総量Aと、リチウムイオン二次電池の充放電後に負極を切り出して炭酸ジメチルで洗浄したのち水中に12時間浸漬させた水溶液をイオンクロマトグラフィでリン系成分を定量化した被膜中のイオン性のリン系成分の含有量Bとのモル割合B/A×100(mol%)が10mol%以上30mol%以下の範囲である。【選択図】図1

Description

本明細書は、リチウムイオン二次電池を開示する。
正極と負極との間にリチウムイオン伝導性を有する非水電解液を介在させたリチウムイオン二次電池は、高電圧・高エネルギー密度が得られるだけでなく、小型・軽量化が図れるため、パソコンや携帯電話等の情報通信機器の関連分野ではすでに実用化されている。また、近年では、資源問題や環境問題から電気自動車やハイブリッド電気自動車に搭載される電源としても検討が進められている。特許文献1には、耐久性と信頼性の向上を目的として、LiPO22を含む非水電解液を使用したリチウムイオン二次電池が提案されている。具体的には、電池組立体を構築した後、その電池組立体に対して初回の充電処理を行って電池を構築し、初回充電後の電池をコンディショニングすることにより正極表面にPO22 -イオンを含む被膜を形成している。
特開2003−34536号公報
ところで、リチウムイオン二次電池では、高温で充放電を繰り返した後に内部抵抗が上昇する割合(高温耐久後の抵抗上昇率)をできるだけ抑制することが望まれている。しかしながら、高温耐久後の抵抗上昇率を効果的に抑制できた例は本発明者が知るかぎり報告されていない。
本開示はこのような課題を解決するためになされたものであり、高温耐久後の抵抗上昇率を効果的に抑制することを主目的とする。
本開示のリチウムイオン二次電池は、
リチウム遷移金属酸化物を正極活物質として含有する正極と、炭素質材料を負極活物質として含有する負極と、有機溶媒に支持塩を含有させリン系成分を含む非水電解液とを備えたリチウムイオン二次電池であって、
前記リチウムイオン二次電池の充放電後に前記負極を切り出して炭酸ジメチルで洗浄したのちICP−OESでリンを定量化したときの前記負極に含まれるリンの総量Aと、前記リチウムイオン二次電池の充放電後に前記負極を切り出して炭酸ジメチルで洗浄したのち水中に12時間浸漬させた該水溶液をイオンクロマトグラフィでリン系成分を定量化した被膜中のイオン性のリン系成分の含有量Bとのモル割合B/A×100(mol%)が10mol%以上30mol%以下の範囲であるものである。
このリチウムイオン二次電池によれば、高温耐久後の抵抗上昇率を効果的に抑制することができる。こうした効果が得られる理由は、以下のように推察される。負極の表面には、支持塩及び有機溶媒の分解物によって被膜が形成される。例えば、電解液にリンを含む支持塩や添加剤が含まれる場合、負極被膜中のリンの総量、イオン性のリン系成分は、複雑に変化する。この被膜中のリン系成分は、リチウムイオンを通す部分と被膜の構造を担う部分とがあると考えられる。被膜中のイオン性のリン系成分は、例えば、PO4、PO22及びPO3などが挙げられるが、負極の保護効果が高く、高温耐久中の抵抗性の被膜成長を抑制すると考えられる。このイオン性のリン系成分が10mol%を下回ると、十分な保護効果が得られず、イオン性のリン系成分が30mol%を超えると逆に抵抗成分として働き、高温耐久時の抵抗上昇を促進してしまうものと考えられる。このため、リン成分のモル割合が上記所定範囲内の本開示のリチウムイオン二次電池では、高温耐久後の抵抗上昇率を効果的に抑制することができると推察される。
リチウムイオン二次電池10の構造の一例を示す説明図である。
本開示のリチウムイオン二次電池の好適な実施形態について以下に説明する。本実施形態のリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、リチウムイオン伝導性を有する非水電解液とを備えている。
正極は、正極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極合材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。
正極に含まれる正極活物質は、リチウム遷移金属酸化物が好ましい。具体的には、基本組成式をLi(1-x)MnO2(0<x<1、以下同じ)やLi(1-x)Mn24などとするリチウムマンガン複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)CoO2などとするリチウムコバルト複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)NiO2などとするリチウムニッケル複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)NiaCobMnc2(但し0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1を満たす)などとするリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、基本組成式をLiV23などとするリチウムバナジウム複合酸化物などを用いることができる。これらのうち、リチウムの遷移金属複合酸化物、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiNi1/3Co1/3Mn1/32などが好ましい。なお、「基本組成式」とは、各元素の組成にずれがあってもよいし、他の元素を含んでもよい趣旨である。
正極に含まれる導電材は、正極の電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、導電材としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、カーボンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。
正極に含まれる結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、スルホン化EPDMゴム、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。
正極活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1〜500μmのものが用いられる。
負極は、負極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の負極合材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な材料であれば特に限定するものではないが、炭素質材料が安全性の面から見て好ましい。炭素質材料としては、例えば、コークス類、ガラス状炭素類、グラファイト類、難黒鉛化性炭素類、熱分解炭素類、炭素繊維などが挙げられる。このうち、人造黒鉛、天然黒鉛などのグラファイト類が、金属リチウムに近い作動電位を有し、高い作動電圧での充放電が可能であり電解質塩としてリチウム塩を使用した場合に自己放電を抑え、且つ充電時における不可逆容量を少なくできるため、好ましい。また、負極に用いられる導電材、結着材、溶剤などは、それぞれ正極で例示したものを用いることができる。負極の集電体には、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金などのほか、接着性、導電性及び耐還元性向上の目的で、例えば銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものも用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状は、正極と同様のものを用いることができる。
非水電解液は、支持塩と有機溶媒とを含むものとしてもよい。有機溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、フラン類、スルホラン類及びジオキソラン類などが挙げられ、これらを単独又は混合して用いることができる。具体的には、エチレンカーボネート(EC)や、プロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート(VC)、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類;ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチル−n−ブチルカーボネート、メチル−t−ブチルカーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート、t−ブチル−i−プロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート類;γ−ブチルラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状エステル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酪酸メチルなどの鎖状エステル類;ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタン、ジエトキシエタンなどのエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、などのフラン類;スルホラン、テトラメチルスルホランなどのスルホラン類;1,3−ジオキソラン、メチルジオキソランなどのジオキソラン類などが挙げられる。このうち、ECと鎖状カーボネート類との組み合わせが好ましく、ECとDMCとEMCとの組合せがより好ましい。この組み合わせによると、充放電の繰り返しでの電池特性を表すサイクル特性が優れているばかりでなく、電解液の粘度、得られる電池の電気容量、電池出力などをバランスの取れたものとすることができる。
非水電解液に用いる支持塩としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiSbF6、LiSiF6、LiAlF4、LiSCN、LiClO4、LiCl、LiF、LiBr、LiI、LiAlCl4などが挙げられる。このうち、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4などの無機塩、及びLiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23などの有機塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上の塩を組み合わせて用いることが電気特性の点から見て好ましい。特に、LiPF6が好ましい。支持塩は、非水電解液中の濃度が0.1mol/L以上5mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上2mol/L以下であることがより好ましい。支持塩の濃度が0.1mol/L以上では十分な電流密度を得ることができ、5mol/L以下では電解液をより安定させることができる。
非水電解液は、フルオロリン酸塩を添加剤として含有していることが好ましい。フルオロリン酸塩としては、例えば、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO22)やモノフルオロリン酸リチウム(Li2PO3F)などが挙げられるが、このうちLiPO22が好ましい。フルオロリン酸塩の添加量は、後述する方法で算出した負極の単位面積当たりのリンの総量が所定範囲に入るように設定するのが好ましい。この非水電解液は、リン成分を含むものであるが、このリン成分は、支持塩に含まれるものとしてもよいし、添加剤に含まれているものとしてもよい。
このリチウムイオン二次電池は、負極に含まれるリンの総量Aと、イオン性のリン系成分の含有量Bとのモル割合B/A×100(mol%)が10mol%以上30mol%以下の範囲である。リンの総量Aは、リチウムイオン二次電池の充放電後に負極を切り出して炭酸ジメチルで洗浄したのちICP−OESでリンを定量化した値とする。また、イオン性のリン系成分の含有量Bは、リチウムイオン二次電池の充放電後に負極を切り出して炭酸ジメチルで洗浄したのち水中に12時間浸漬させた水溶液をイオンクロマトグラフィでリン系成分を定量化した値とする。なお、A値とB値とは、同一指標で比率を求めるものとすればよく、単位面積あたりのモル数や単位体積あたりのモル数などとしてもよい。このモル割合が10mol%以上では、被膜により電極が十分な保護を受けることができる。また、このモル割合が30mol%以下では、イオン性のリン系成分により高温耐久時の抵抗上昇を促進してしまうのをより抑制することができる。このモル割合は、15mol%以上25mol%以下の範囲であることがより好ましい。
ここで、負極を切り出す前に行う充放電は、活性化処理とも呼ばれるものであり、例えば、室温(20〜30℃)条件下で行う充電と放電を1サイクルとし、これを数サイクル(例えば2〜5サイクル)行うようにしてもよい。このときの充電と放電は、例えば、定電流で所定の上限電圧(例えば4.1V)まで充電を行い、その後定電流で所定の下限電圧(3.0V)まで放電を行うようにしてもよい。このとき、上限電圧まで充電を行った後、さらにその上限電圧で数時間(例えば1〜4時間)定電圧充電を行い、その後放電を行うようにしてもよい。また、負極を切り出す前に充放電を行った後更にエージング処理を行ってもよい。エージング処理は、充電状態の電池を室温を超える温度(例えば40〜80℃、好ましくは50〜70℃)で所定時間(例えば10〜100時間、好ましくは10〜50時間)放置するようにしてもよい。
高温耐久後の抵抗上昇率を顕著に抑制するためには、非水電解液に、ホウ素原子又はリン原子を有するオキサラト錯体化合物を添加するのが好ましい。こうしたオキサラト錯体化合物を添加することにより、リンを含む被膜の構造がより最適化されると考えられる。オキサラト錯体化合物としては、LiB(C242,LiBF2(C24),LiPF2(C242,LiPF4(C24)などが挙げられるが、このうちLiB(C242が好ましい。オキサラト錯体化合物は、非水電解液に対して0.1〜5質量%添加することが好ましく、0.4〜2質量%添加することがより好ましい。また、更に高温耐久後の抵抗上昇率を顕著に抑制するためには、非水電解液に、炭酸ビニレンを添加するのがより好ましい。炭酸ビニレンを添加することにより、リンを含む被膜の構造が更に最適化されると考えられる。炭酸ビニレンは、非水電解液に対して0.1〜2質量%添加することが好ましく、0.4〜1.2質量%添加することがより好ましい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、負極と正極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、リチウムイオン二次電池の使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の薄い微多孔膜が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、こうしたリチウムイオン二次電池を複数直列に接続して電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。図1は、本実施形態のリチウムイオン二次電池10の一例を示す模式図である。このリチウムイオン二次電池10は、集電体11に正極合材12を形成した正極シート13と、集電体14の表面に負極合材17を形成した負極シート18と、正極シート13と負極シート18との間に設けられたセパレータ19と、正極シート13と負極シート18との間を満たす非水電解液20と、を備えたものである。このリチウムイオン二次電池10では、正極シート13と負極シート18との間にセパレータ19を挟み、これらを捲回して円筒ケース22に挿入し、正極シート13に接続された正極端子24と負極シート18に接続された負極端子26とを配設して形成されている。
以上詳述した本実施形態のリチウムイオン二次電池では、高温耐久後の抵抗上昇率を効果的に抑制することができる。こうした効果が得られる理由は、以下のように推察される。例えば、電解液にリンを含む支持塩や添加剤が含まれる場合、負極に形成される被膜中のイオン性のリン系成分は、負極の保護効果が高く、高温耐久中の抵抗性の被膜成長を抑制すると考えられる。このイオン性のリン系成分が10mol%以上では、十分な被膜の保護効果が得られ、30mol%以下では、高温耐久時の抵抗上昇を抑制することができるものと推察される。このため、イオン性のリン系成分のモル割合が上記所定範囲内の本開示のリチウムイオン二次電池では、高温耐久後の抵抗上昇率を効果的に抑制することができると推察される。
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
以下に本開示の好適な実施例を実験例として説明するが、本開示は以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、実験例1、8が比較例に相当し、実験例2〜7、9〜14が実施例に相当する。
[実験例1]
正極シートを以下のように作製した。正極活物質としてLiCo1/3Ni1/3Mn1/32を85質量%、導電材としてカーボンブラックを10質量%、結着材としてポリフッ化ビニリデンを5質量%混合し、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンを適量添加して正極活物質等を分散させることでスラリー状合材とした。このスラリー状合材を15μm厚のアルミニウム箔集電体の両面に均一に塗布し、加熱乾燥させて塗布シートを作製した。その後塗布シートをロールプレスに通して高密度化させ、120mm幅×100mm長の形状に切り出して正極シートとした。
負極シートを以下のように作製した。負極活物質として天然黒鉛を95質量%、結着剤としてポリフッ化ビニリデンを5質量%混合し、正極と同様にスラリー状合材とした。このスラリー状合材を10μm厚の銅箔集電体の両面に均一に塗布し、加熱乾燥させて塗布シートを作製した。その後塗布シートをロールプレスに通して高密度化させ、122mm幅×102mm長の形状に切り出して負極シートとした。
得られた正極シートと負極シートとを20μm厚のポリエチレン製セパレータを挟んで対向させ、積層型電極体を作製した。この電極体をアルミラミネート型袋に封入し、非水電解液を含侵させた後に密閉してリチウムイオン二次電池を作製した。
非水電解液には、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)を30/40/30体積%で混合した混合溶媒に、支持塩としてのLiPF6を1Mの濃度で溶解させたものを用いた。
作製したリチウムイオン二次電池の活性化処理(充放電処理)およびエージング処理を実施した。まず、活性化処理を以下のように実施した。すなわち、25℃の温度下、まず電流密度0.2mA/cm2の定電流で電池電圧4.1Vまで充電を行い、さらにその電池電圧で2時間定電圧充電を行い、次いで電流密度0.2mA/cm2の定電流で電池電圧3.0Vまで放電を行うものを1サイクルとして合計3サイクル行った。続いて、エージング処理を以下のように実施した。すなわち、活性化処理後の電池を電流密度0.2mA/cm2の定電流で3.9Vまで充電し、この充電状態の電池を端子から外して60℃の環境下で40時間、エージングした。エージング処理後、電池を0.2mA/cm2の定電流で電池電圧3.0Vまで放電し、供試電池とした。この電池を複数本作製し、以下の検討を行った。
(リンの総量の定量)
Arガス含有グローブボックス中で電池を解体し、電池から負極を取り出した。取り出した負極を54mm×40mmの長さに切り出し、炭酸ジメチルで洗浄、乾燥を3回繰り返した後、80℃に加熱した6N塩酸中に負極を1時間浸漬させた。溶液をろ過して不純物を取り除いたろ液について、ICP−OES(日立ハイテクサイエンス製PS3520UVDDII)でリンの総量Aを定量化した。
(負極被膜中のリン系成分の定量)
同じく、Arガス含有グローブボックス中で電池を解体し、電池から負極を取り出した。取り出した負極を54mm×40mmの長さに切り出し、炭酸ジメチルで洗浄、乾燥を3回繰り返した後、Arガス含有グローブボックス中で室温(20℃)の水中にこの負極を一晩(12時間)浸漬させた。溶液をろ過して不純物を取り除き、イオンクロマトグラフィ(日本ダイオネクス製ICS−2000)でPO4、PO22及びPO3などイオン性のリン系成分Bを定量化した。定量化したリンの総量Aとイオン性リン系成分Bとにより、モル比率を以下の式から求めた。
モル比率(mol%)= B/A×100
(電池の60℃充放電サイクル試験、内部抵抗上昇率の評価)
供試電池を60℃の温度条件下で、電流密度2mA/cm2の定電流で充電上限電圧4.1Vまで充電を行い、次いで電流密度2mA/cm2の定電流で放電下限電圧3.0Vまで放電を行う充放電を1サイクルとし、このサイクルを合計500サイクル行った。サイクル後の電池を電池容量の60%の充電状態(SOC=60%)に調整した後に、測定温度25℃において0.5A、1A、2A、3A、5Aの電流を流し、10秒後の電池電圧を測定した。流した電流と電圧を直線近似し、その傾きからIV抵抗、すなわち、電池内部抵抗を求めた。内部抵抗上昇率は、{(500サイクル後の抵抗―初期抵抗)/初期抵抗×100%}という式を用いて計算した。
[実験例2]
支持塩であるLiPF6の濃度を1.1Mとし、活性化処理の1サイクル目の定電圧充電を4時間とし、エージング処理を60℃、20時間とした以外は、実験例1と同様にして作製した供試電池を実験例2とした。
[実験例3]
非水電解液として、EC/DMC/EMCを20/45.7/34.3体積%で混合した混合溶媒に、LiPF6を1.1Mの濃度で溶解させ、活性化処理の3サイクル目を30℃で行い、エージング処理を50℃、25時間とした以外は、実験例1と同様にして作製した供試電池を実験例3とした。
[実験例4]
非水電解液として、EC/DMC/EMCを20/45.7/34.3体積%で混合した混合溶媒に、LiPF6を1.2Mの濃度で溶解させ、活性化処理の1サイクル目の定電圧充電を4時間とし、エージング処理を50℃、20時間とした以外は、実験例1と同様にして作製した供試電池を実験例4とした。
[実験例5]
非水電解液として、EC/DMC/EMCを20/45.7/34.3体積%で混合した混合溶媒に、LiPF6を1.2Mの濃度で溶解させ、活性化処理を20℃とし、エージング処理を40℃、20時間とした以外は、実験例1と同様にして作製した供試電池を実験例5とした。
[実験例6]
支持塩であるLiPF6の濃度を1.1Mとし、非水電解液にLiPO22を0.6質量%添加し、エージング処理を50℃、25時間としたこと以外は、実験例1と同様にして作製した供試電池を実験例6とした。
[実験例7]
支持塩であるLiPF6の濃度を1.2Mとし、非水電解液にLiPO22を0.9質量%添加し、エージング処理を50℃、30時間としたこと以外は、実験例1と同様にして作製した供試電池を実験例7とした。
[実験例8]
支持塩であるLiPF6の濃度を1.2Mとし、混合溶媒としてEC/DMC/EMCを10/51.4/38.6体積%で混合したものを用い、活性化処理を20℃とし、1サイクル目の定電圧充電を4時間とし、エージング処理を40℃、20時間とした以外は、実験例1と同様にして作製した供試電池を実験例8とした。
[実験例9]
非水電解液にさらにLiBC48を0.5質量%添加した以外は、実験例3と同様にして作製した供試電池を実験例9とした。
[実験例10]
非水電解液にさらにLiBC48を0.5質量%添加した以外は、実験例6と同様にして作製した供試電池を実験例10とした。
[実験例11]
非水電解液にさらにLiBC48を0.8質量%添加した以外は、実験例6と同様にして作製した供試電池を実験例11とした。
[実験例12]
非水電解液にさらにLiBC48を0.5質量%添加した以外は、実験例7と同様にして作製した供試電池を実験例12とした。
[実験例13]
非水電解液にさらに炭酸ビニレンを0.5質量%添加した以外は、実験例9と同様にして作製した供試電池を実験例13とした。
[実験例14]
非水電解液にさらに炭酸ビニレンを0.5質量%添加した以外は、実験例10と同様にして作製した供試電池を実験例14とした。
表1に、実験例1〜14の結果をまとめて示した。各実験例につき、非水電解液の組成、イオン性リン系成分Bとリン総量Aとのモル割合(mol%)、LiBC48の添加量、単産ビニレンの添加量及び高温耐久後の抵抗上昇率を示した。表1に示した結果より、
イオン性リン系成分Bとリン総量Aとのモル割合が10mol%以上30mol%以下の範囲では、高温耐久試験後の抵抗上昇率が60%以下に抑制されることがわかった。更に、このモル割合が15mol%以上25mol%以下の範囲では、高温耐久試験後の抵抗上昇率が50%以下に更に抑制されることがわかった。実験例3と実験例6、実験例4と実験例7に対比されるように、負極被膜中のイオン性のリン系成分の割合を、電解液組成と活性化処理とエージング処理とで最適化する場合と、LiPO22を用いて最適化する場合とでは、どちらの手法を採用しても高温耐久試験後の抵抗上昇率をより抑制することができることがわかった。特に、LiPO22を用いて負極被膜中のイオン性のリン系成分の割合を調整したものがより好ましいことがわかった。更に、イオン性リン系成分Bとリン総量Aとのモル割合が15mol%以上25mol%以下の範囲とした電池に、添加剤としてLiBC48を所定割合含むことによって、高温耐久試験後の抵抗上昇率を顕著に抑制することができることがわかった。更にまた、LiPO22を用いLiBC48を加えたものにおいて、炭酸ビニレンを更に加えると、高温耐久試験後の抵抗上昇率が更に顕著に抑制されることがわかった。
10 リチウムイオン二次電池、11 集電体、12 正極合材、13 正極シート、14 集電体、17 負極合材、18 負極シート、19 セパレータ、20 非水電解液、22 円筒ケース、24 正極端子、26 負極端子。

Claims (4)

  1. リチウム遷移金属酸化物を正極活物質として含有する正極と、炭素質材料を負極活物質として含有する負極と、有機溶媒に支持塩を含有させリン系成分を含む非水電解液とを備えたリチウムイオン二次電池であって、
    前記リチウムイオン二次電池の充放電後に前記負極を切り出して炭酸ジメチルで洗浄したのちICP−OESでリンを定量化したときの前記負極に含まれるリンの総量Aと、前記リチウムイオン二次電池の充放電後に前記負極を切り出して炭酸ジメチルで洗浄したのち水中に12時間浸漬させた該水溶液をイオンクロマトグラフィでリン系成分を定量化した被膜中のイオン性のリン系成分の含有量Bとのモル割合B/A×100(mol%)が10mol%以上30mol%以下の範囲である、
    リチウムイオン二次電池。
  2. 前記モル割合が15mol%以上25mol%以下の範囲である、請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  3. 前記非水電解液は、LiBC48を0.4質量%以上2質量%以下の範囲で含む、請求項1又は2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記非水電解液は、炭酸ビニレンを0.4質量%以上1.2質量%以下の範囲で含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
JP2017083645A 2017-04-20 2017-04-20 リチウムイオン二次電池 Pending JP2018181758A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017083645A JP2018181758A (ja) 2017-04-20 2017-04-20 リチウムイオン二次電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017083645A JP2018181758A (ja) 2017-04-20 2017-04-20 リチウムイオン二次電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018181758A true JP2018181758A (ja) 2018-11-15

Family

ID=64275941

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017083645A Pending JP2018181758A (ja) 2017-04-20 2017-04-20 リチウムイオン二次電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018181758A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111721674A (zh) * 2020-06-18 2020-09-29 湖北亿纬动力有限公司 一种极片浸润状态的测试方法以及测试装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111721674A (zh) * 2020-06-18 2020-09-29 湖北亿纬动力有限公司 一种极片浸润状态的测试方法以及测试装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102362887B1 (ko) 리튬이차전지용 음극의 전리튬화 방법 및 이에 사용되는 리튬 메탈 적층체
JP5357517B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP5381199B2 (ja) リチウム二次電池
JP2012209161A (ja) リチウム二次電池
JP6750196B2 (ja) 非水系リチウム電池及びその使用方法
JP2017152259A (ja) リチウムイオン二次電池及びその回復方法
JP2017174648A (ja) 蓄電デバイス
JP6205889B2 (ja) リチウム二次電池
JP5749882B2 (ja) リチウム二次電池
JP5487598B2 (ja) リチウム二次電池及びその使用方法
JP2016100278A (ja) 電極構造体及びリチウム二次電池
JP5271751B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP2012216500A (ja) リチウム二次電池
JP6658182B2 (ja) 電極構造体及びリチウム二次電池
JP6763810B2 (ja) リチウムイオン二次電池
JP2016009532A (ja) リチウムイオン電池
JP5286870B2 (ja) リチウムイオン二次電池の製造方法及びリチウムイオン二次電池
JP2018181758A (ja) リチウムイオン二次電池
JP2018085213A (ja) リチウム二次電池
JP7182198B2 (ja) 非水電解質二次電池、電解液及び非水電解質二次電池の製造方法
JP2018113174A (ja) リチウム二次電池
JP2012226963A (ja) リチウム二次電池
JP2017134974A (ja) リチウム二次電池
JP5504853B2 (ja) リチウム二次電池の使用方法
JP2016143577A (ja) リチウムイオン二次電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190711

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200212

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200218

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200417

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200915

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20210330