JP6750196B2 - 非水系リチウム電池及びその使用方法 - Google Patents

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Description

本発明は、非水系リチウム電池及びその使用方法に関する。
近年、この種の電池において、LiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)を用いることが提案されている。例えば、特許文献1には、LiPF6とLiFSIとを、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合溶媒に溶解させた非水電解液を用いた電池が記載されている。この電池では、正極としてコバルト酸リチウム、負極として黒鉛を用いている。
特開2015−62154号公報
しかしながら、特許文献1の電池では、150℃程度での加熱試験において電池内圧が20気圧以上にまで上昇することがあるなど、熱安定性が低いことがあった。このため、熱安定性を高めることが望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、熱安定性をより高めることのできる電池を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために、本発明者らは、鋭意研究した。そして、LiNi0.8Co0.15Al0.052などの正極と、LiPF6及びLiFSIを含み両者の合計のうち10モル%以上90モル%以下がLiFSIである非水電解液と、を備えた電池では、熱安定性がより高いことを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の非水系リチウム電池は、
一般式LiNi1-xx2(式中、MはCo、Al、Mg、Fe、Tiからなる群より選ばれる1以上であり、xは0.1≦x≦0.5を満たす)で表されるリチウムニッケル複合酸化物を含む正極と、
負極と、
前記正極と前記負極との間に介在し、LiPF6及びLiFSIを含み、前記LiPF6及び前記LiFSIの合計のうち10モル%以上90モル%以下がLiFSIである非水電解液と、
を備えたものである。
本発明の使用方法は、
上述した非水系リチウム電池の使用方法であって、
正極活物質のリチウム基準の電位が4.2Vを超えない範囲で充放電を行うものである。
この非水系リチウム電池では、熱安定性をより高めることができる。このような効果が得られる理由は、例えば、以下のように推測される。すなわち、ニッケル含有酸化物正極活物質の表面において、活物質表面に露出するニッケル元素と電解液中のLiFSIとが強い相互作用をすることで、熱安定性を高める保護膜の役割をし、活物質と電解液との反応による発熱を抑制するためであると推測される。
非水系リチウム電池10の一例を示す模式図。
本発明の非水系リチウム電池は、リチウムを吸蔵及び放出可能な正極活物質を含む正極と、リチウムを吸蔵及び放出可能な負極活物質を含む負極と、正極と負極との間に介在しリチウムイオンを伝導する非水電解液と、を備えている。
正極は、一般式LiNi1-xx2で表されるリチウムニッケル複合酸化物を、正極活物質として含んでいる。式中、MはCo、Al、Mg、Fe、Tiからなる群より選ばれる1以上であり、xは0.1≦x≦0.5を満たす。リチウムニッケル複合酸化物は、Mとして少なくともCoを含むことが好ましく、Co及びAlを含むことがより好ましく、Co、Al及びMgを含むことがさらに好ましい。こうしたものでは、熱安定性をより高めることができる。リチウムニッケル複合酸化物において、xの値は、0.1以上0.5以下の範囲内であれば特に限定されないが、0.15以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、また、0.45以下が好ましく、0.4以下がより好ましい。xが0.1以上であれば、リチウムニッケル複合酸化物が劣化しにくく、電池の基本性能である耐久性が高いと考えられる。xが0.5以下であれば、活物質表面にニッケル元素が十分に露出し、電池の熱安定性を高めることができると考えられる。正極は、リチウムニッケル複合酸化物として、LiNi0.8Co0.15Al0.052及びLiNi0.75Co0.15Al0.05Mg0.052の少なくとも一方を含んでいてもよい。リチウムニッケル複合酸化物は、層状酸化物としてもよい。なお、一般式や化学式で示した化合物は、一般式や化学式に示した構成元素の一部が欠損していたり、過剰であったり、他の元素で置換されていたりしてもよい(以下同じ)。
正極は、例えば上記正極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極合材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。導電材は、正極の電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、導電材としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、カーボンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。
結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)、スルホン化EPDMゴム、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。
正極活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。
塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。
集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1〜500μmのものが用いられる
負極は、負極活物質と集電体とを密着させて形成してもよいし、例えば負極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の負極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。負極活物質としては、リチウム金属、リチウム合金、スズ化合物などの無機化合物、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素質材料、複数の元素を含む複合酸化物、導電性ポリマーなどが挙げられる。炭素質材料は、例えば、コークス類、ガラス状炭素類、グラファイト類、難黒鉛化性炭素類、熱分解炭素類、炭素繊維などが挙げられる。このうち、人造黒鉛、天然黒鉛などのグラファイト類が、金属リチウムに近い作動電位を有し、高い作動電圧での充放電が可能であり支持塩としてリチウム塩を使用した場合に自己放電を抑え、且つ充電時おける不可逆容量を少なくできるため、好ましい。複合酸化物としては、例えば、リチウムチタン複合酸化物やリチウムバナジウム複合酸化物などが挙げられる。負極活物質としては、このうち、炭素質材料が安全性の面からみて好ましく、黒鉛がより好ましい。また、負極に用いられる導電材、結着材、溶剤などは、それぞれ正極で例示したものを用いることができる。負極の集電体には、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金などのほか、接着性、導電性及び耐還元性向上の目的で、例えば銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものも用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状は、正極と同様のものを用いることができる。
非水電解液は、リチウム塩と非水系溶媒とを含む。非水電解液は、リチウム塩として、LiPF6及びLiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)の混合物を含み、LiPF6及びLiFSIの合計のうち10モル%以上90モル%以下がLiFSIである。10モル%以上がLiFSIであれば、LiFSIによる熱安定性向上の効果が得られる。また、90モル%以下がLiFSIであれば、正極、負極の発熱開始温度を高めることができ、熱安定性を高めることができる。LiFSIは、LiPF6及びLiFSIの合計のうち20モル%以上が好ましく、30モル%以上がより好ましく、70モル%以上がさらに好ましい。LiFSIの割合が多いほど、熱安定性が高いからである。LiFSIは、LiPF6及びLiFSIの合計のうち85%以下としてもよいし、80%以下としてもよい。このリチウム塩は、非水電解液中の濃度が0.1mol/L以上5mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上2mol/L以下であることがより好ましい。リチウム塩を溶解する濃度が0.1mol/L以上では、十分な電流密度を得ることができ、5mol/L以下では、電解液をより安定させることができる。
非水系溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、フラン類、スルホラン類及びジオキソラン類などが挙げられ、これらを単独又は混合して用いることができる。具体的には、カーボネート類としてエチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類や、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチル−n−ブチルカーボネート、メチル−t−ブチルカーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート、t−ブチル−i−プロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート類、γ−ブチルラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状エステル類、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酪酸メチルなどの鎖状エステル類、ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタン、ジエトキシエタンなどのエーテル類、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフランなどのフラン類、スルホラン、テトラメチルスルホランなどのスルホラン類、1,3−ジオキソラン、メチルジオキソランなどのジオキソラン類などが挙げられる。このうち、非水系溶媒は、ECを含むことが好ましい。また、非水系溶媒は、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組み合わせが好ましく、例えば、環状カーボネートであるECと鎖状カーボネート類との組み合わせがより好ましく、環状カーボネートであるECと、鎖状カーボネートであるDMC、EMC及びDECからなる群より選ばれる1種以上との組合せがさらに好ましい。環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組み合わせによると、充放電の繰り返しでの電池特性を表すサイクル特性が優れているばかりでなく、電解液の粘度、得られる電池の電気容量、電池出力などをバランスの取れたものとすることができる。なお、環状カーボネート類は、比誘電率が比較的高く、電解液の誘電率を高めていると考えられ、鎖状カーボネート類は、電解液の粘度を抑えていると考えられる。
非水電解液は、上述したリチウム塩以外の支持塩を含んでいてもよい。支持塩としては、例えば、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiSbF6、LiSiF6、LiAlF4、LiSCN、LiClO4、LiCl、LiF、LiBr、LiI、LiAlCl4などが挙げられる。なお、こうした支持塩を含む場合、リチウム塩及び支持塩の合計で、非水電解液中の濃度が0.1mol/L以上5mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上2mol/L以下であることがより好ましい。また、非水電解液は、リン系、ハロゲン系などの難燃剤を添加したものでもよい。また、非水電解液は、ポリフッ化ビニリデンやポリエチレングリコール、ポリアクリロニトリルなどの高分子、アミノ酸誘導体、ソルビトール誘導体などの糖類に、上記非水電解液を含ませた、ゲル電解質でもよい。
本発明の非水系リチウム電池は、正極と負極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、非水系リチウム電池の使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の薄い微多孔膜が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
本発明の非水系リチウム電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。図1は、本発明の非水系リチウム電池10の一例を示す模式図である。この非水系リチウム電池10は、集電体11に正極合材12を形成した正極シート13と、集電体14の表面に負極合材17を形成した負極シート18と、正極シート13と負極シート18との間に設けられたセパレータ19と、正極シート13と負極シート18の間を満たす非水電解液20と、を備えたものである。この非水系リチウム電池10では、正極シート13と負極シート18との間にセパレータ19を挟み、これらを捲回して円筒ケース22に挿入し、正極シート13に接続された正極端子24と負極シート18に接続された負極端子26とを配設して形成されている。ここでは、正極合材12は、一般式LiNi1-xx2(式中、MはCo、Al、Mg、Fe、Tiからなる群より選ばれる1以上であり、xは0.1≦x≦0.5を満たす)で表されるリチウムニッケル複合酸化物を含んでいる。また、非水電解液20は、LiPF6及びLiFSIを含み、LiPF6及びLiFSIの合計のうち10モル%以上90モル%以下がLiFSIである。電池ケース(円筒ケース22など)としては、例えば、ニッケルメッキした鉄やニッケル、チタンなどを用いることができる。
以上詳述した非水系リチウム電池では、熱安定性をより高めることができる。また、LiFSIを用いない場合と同等以上の電池性能(例えば初期抵抗)を有している。
本発明の使用方法は、上述した非水系リチウム電池の使用方法であって、正極活物質のリチウム基準の電位が4.2V(vs.Li+/Li)を超えない範囲で充放電を行うものである。上述した特許文献1では、少なくとも初回の充電を電池電圧が4.3V以上となるまで充電することで、電極表面の被膜を好適化しているが、本発明では、電池電圧が4.3Vを超えない範囲(例えば、正極活物質のリチウム基準の電位が4.2Vを超えない範囲)の充放電でも、熱安定性をより高めることができる。本発明の使用方法は、正極活物質のリチウム基準の電位が4.15Vを超えない範囲で充放電を行うものとしてもよい。なお、上述した本発明の非水系リチウム電池は、こうした電位範囲以外の電位範囲で充放電してもよい。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
以下には、本発明の非水系リチウム電池を具体的に作製した例について、実験例として説明する。なお、実験例1〜6が実施例に相当し、実験例7〜12が比較例に相当する。
[実験例1]
(電解液の調整)
リチウム塩としてLiPF6:LiFSIのモル比が80:20の混合物を用い、リチウム塩の合計が1mol/Lとなるように非水系溶媒に溶解して、電解液を調整した。非水系溶媒としては、ECとEMCとが3:7の体積比となるように混合した混合溶媒を用いた。
(試験用電池作製)
正極活物質にはLiNi0.8Co0.15Al0.052を用いた。上記正極活物質を85質量% 、導電材としてカーボンブラックを10質量%、結着材としてPVdFを5質量%混合し、分散材としてNMPを適量添加、分散してスラリー状正極合材とした。スラリー状正極合材を15μm厚のアルミニウム箔集電体の両面に塗布、乾燥させた後、ロールプレスで高密度化し、正極シートとした。なお、正極活物質の付着量は、片面当り7.0mg/cm2程度とした。
負極活物質として非晶質コート黒鉛を用いた。上記負極活物質を95質量%、結着材としてPVdF5質量%を混合し、分散材としてNMPを適量添加、分散してスラリー状負極合材とした。スラリー状負極合材を10μm厚の銅箔集電体の両面に塗布、乾燥させた後、ロールプレスで高密度化し、負極シートとした。なお、負極活物質の付着量は、片面当り5.0mg/cm2程度とした。
シート状の正極及び負極にそれぞれ正極集電タブリード及び負極集電タブリードを熔接した。これらの正極及び負極の間に、厚さ20μmのポリエチレン製の微多孔膜セパレータを挟み、正極、負極、及びセパレータを捲回してロール電極体を作製した。
続いて、このロール電極体を、外装缶及びキャップよりなる18650型の円筒形状の電池ケースに挿入した。円筒型電池ケースはニッケルメッキした鉄で構成されており、缶底にラプチャー(破裂板)を設けており、電池内圧が上昇し、20気圧を超えると、開弁する仕様にしてある。電池ケースのキャップ側に配置した正極集電タブに、正極集電リードを熔接により接続すると共に、外装缶の底に配置した負極集電タブに負極集電リードを熔接により接続した。
次に、上述のように調整した電解液を電池ケース内に含浸させ、続いてキャップにかしめ加工を施すことにより電池ケースを密閉し、円筒型の非水系リチウム二次電池を作製した。
(コンディショニング)
上記の方法で作製した円筒型の非水系リチウム二次電池を用いて、20℃の環境温度で初期充放電試験を行った。1サイクル目は定電流方式で電流密度0.2mA/cm2(0.2C相当)の定電流で上限電圧4.1Vまで充電し、定電流方式で電流密度0.2mA/cm2で下限電圧3.0Vまで放電した。2サイクル目は定電流−定電圧方式で、充電時0.2mA/cm2で定電流充電した後、4.1Vに達した後に定電圧充電(4.1V)を1時間行った。放電は0.1mA/cm2(0.1C相当)で定電流放電した後、3.0Vに達した後に定電圧放電(3.0V)して、試験電池を作製した。
(加熱試験)
加熱試験は、まず、20℃の環境温度で定電流定電圧方式で、コンディショニング済の試験電池を充電した。電流密度は0.2mA/cm2で定電圧充電(4.1V)を1時間行い、SOC100%(電池電圧4.1V)の電池を準備した。SOC100%の状態の電池を環境試験機中で室温から所定の温度まで5℃/minで昇温し、所定の温度で60分間保持した。加熱試験の結果は、「イベントなし」「開弁」で判断した。「イベントなし」は電池に何も起こらないことであり、「開弁」は電池の内圧が上昇し電池の缶底に設けたラプチャーの部分が開くことを示している。加熱試験の温度(所定の温度)は150℃、170℃、190℃の3点で測定した。表1に加熱試験結果を示す。表中の「○」は「イベントなし」を示し、「×」は「開弁」を示す。
Figure 0006750196
[実験例2,3]
電解液のリチウム塩としてLiPF6:LiFSIのモル比が50:50の混合物を用いた以外は実験例1と同様に実験例2の電池を作製し、加熱試験を行った。電解液のリチウム塩としてLiPF6:LiFSIのモル比が20:80の混合物を用いた以外は実験例1と同様に実験例3の電池を作製し、加熱試験を行った。
[実験例4〜6]
正極活物質としてLiNi0.75Co0.15Al0.05Mg0.052を用いた以外は実験例1と同様に実験例4の電池を作製し、加熱試験を行った。正極活物質としてLiNi0.75Co0.15Al0.05Mg0.052を用い、電解液のリチウム塩としてLiPF6:LiFSIのモル比が50:50の混合物を用いた以外は実験例1と同様に実験例5の電池を作製し、加熱試験を行った。正極活物質としてLiNi0.75Co0.15Al0.05Mg0.052を用い、電解液のリチウム塩としてLiPF6:LiFSIのモル比が20:80の混合物を用いた以外は実験例1と同様に実験例6の電池を作製し、加熱試験を行った。
[実験例7,8]
電解液のリチウム塩としてLiPF6:LiFSIのモル比が100:0のものを用いた以外は実験例1と同様に実験例7の電池を作製し、加熱試験を行った。電解液のリチウム塩としてLiPF6:LiFSIのモル比が0:100のものを用いた以外は実験例1と同様に実験例8の電池を作製し、加熱試験を行った。
[実験例9,10]
正極活物質としてLiNi0.75Co0.15Al0.05Mg0.052を用い、電解液のリチウム塩としてLiPF6:LiFSIのモル比が100:0のものを用いた以外は実験例1と同様に実験例9の電池を作製し、加熱試験を行った。正極活物質としてLiNi0.75Co0.15Al0.05Mg0.052を用い、電解液のリチウム塩としてLiPF6:LiFSIのモル比が0:100のものを用いた以外は実験例1と同様に実験例10の電池を作製し、加熱試験を行った。
[実験例11,12]
正極活物質としてLiCoO2を用い、電解液のリチウム塩としてLiPF6:LiFSIのモル比が100:0のものを用いた以外は実験例1と同様に実験例11の電池を作製し、加熱試験を行った。正極活物質としてLiCoO2を用い、電解液のリチウム塩としてLiPF6:LiFSIのモル比が20:80の混合物を用いた以外は実験例1と同様に実験例12の電池を作製し、加熱試験を行った。
[実験結果]
正極活物質としてLiNi0.8Co0.15Al0.052を用い、電解液のリチウム塩としてLiPF6が100%のものを用いた実験例7では、150℃加熱試験で開弁した。電解液のリチウム塩としてLiFSIを添加したものを用いた実験例1〜3では、LIFSIの添加量が増加すると、開弁温度が上昇した、すなわち、電池としての熱安定性が向上した。しかし、電解液のリチウム塩としてLiFSIが100%のものを用いた実験例8では、熱安定性が低下し、150℃で開弁した。こうした傾向は、正極活物質としてLiNi0.75Co0.15Al0.05Mg0.052を用いた実験例4〜6,9,10でも同様に確認された。
別途、充電状態の正極と電解液の示差走査熱量測定(DSC測定)及び充電状態の負極と電解液のDSC測定を行ったところ、LiFSIの添加量を増やすほどに正極の発熱ピークの発熱開始温度が上昇した。このことから、LiFSIの存在により発熱が抑制されたことがわかった。一方、LiFSIを100%にしたとき、負極の発熱開始温度が急激に低下し、発熱速度も上昇した。この理由は、例えば、LiPF6がほとんど含まれない電解液を用いた場合に負極上に形成されるSEI被膜は、LiPF6を含む場合に負極上に形成されるSEI被膜よりも熱安定性が低いためと推察された。また、LiFSIを100%にしたとき、正極の発熱開始温度も急激に低下した(具体的にはLiPF6が100%のときとほぼ同等にまで低下した)。この理由は、例えば、充電された正極とLiFSIとの相互作用が非常に強いためと推察された。こうした理由から、電解液のリチウム塩としてLiFSIが100%のものを用いた実験例8,10では、150℃で開弁に至ったと考えられた。
一方、正極活物質としてLiCoO2を用いた実験例11,12では、LiFSIを添加しても、開弁温度の上昇が確認されなかった。
LiNi0.8Co0.15Al0.052やLiNi0.75Co0.15Al0.05Mg0.052を正極活物質とした場合には、LiFSIの添加により開弁温度が上昇したのに対して、LiCoO2を正極活物質とした場合には開弁温度が上昇しなかった理由は、以下のように推察される。例えば、メタン改質触媒としてのニッケルとコバルトの触媒能の違い(M. Hatano and K. Otsuka, Inorg. Chim. Acta., 146, 243(1988).)と同様に、電解液共存下での正極の発熱に、活物質表面のニッケル元素とコバルト元素との触媒作用の違いが影響しているのではないかと考えられる。すなわち、活物質表面に露出したニッケル元素やコバルト元素は正極での発熱反応を触媒し、反応を進めると考えられる。ここで、活物質表面は高酸化状態であるためFSIアニオンが吸着している。そして、おそらく、活物質表面のニッケル元素はFSIアニオンとの相互作用が強く、電解液との反応を抑制して熱安定性を向上させたのに対して、コバルト元素はFSIアニオンとの相互作用がそれほど強くなく、熱安定性を向上させることができなかったためと推測できる。
以上より、LiNi1-xx2(MはCo、Al、Mg、Fe、Tiからなる群より選ばれる1以上、0.1≦x≦0.5)正極と、LiPF6とLiFSIとの混合物を含む電解液とを用いることで加熱試験耐性をより向上させられることが明らかとなった。
なお、本発明は、上述した実験例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
本発明は、電池産業の分野に利用可能である。
10 非水系リチウム電池、11 集電体、12 正極合材、13 正極シート、14 集電体、17 負極合材、18 負極シート、19 セパレータ、20 非水電解液、22 円筒ケース、24 正極端子、26 負極端子。

Claims (5)

  1. 一般式LiNi1-xx2(式中、MはCo、Al、Mg、Fe、Tiからなる群より選ばれる1以上であり、xは0.1≦x≦0.5を満たす)で表されるリチウムニッケル複合酸化物を含む正極と、
    負極と、
    前記正極と前記負極との間に介在し、LiPF6及びLiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)を含み、前記LiPF6及び前記LiFSIの合計のうち50モル%以上80モル%以下が前記LiFSIである非水電解液と、
    を備えた非水系リチウム電池。
  2. 前記負極において、負極活物質は、0.78V(vs.Li/Li+)未満の電位でリ チウムの吸蔵及び放出が可能なものである、請求項1に記載の非水系リチウム電池。
  3. 前記正極は、前記MとしてCoを有するリチウムニッケル複合酸化物を含む、請求項1又は2に記載の非水系リチウム電池。
  4. 前記正極は、前記MがCo、Al及びMgであるリチウムニッケル複合酸化物を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水系リチウム電池。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水系リチウム電池の使用方法であって、
    正極活物質のリチウム基準の電位が4.2Vを超えない範囲で充放電を行う、
    使用方法。
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