JP5381199B2 - リチウム二次電池 - Google Patents
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Description
リチウムを吸蔵・放出可能な鉄リン酸リチウム化合物を含む正極活物質を有する正極と、
リチウムを吸蔵・放出可能である非晶質炭素を含む負極活物質を有し該負極活物質のうち該非晶質炭素の占める割合が50重量%以上であり、該負極活物質を含む層の空隙率が25体積%以上50体積%以下である負極と、
前記正極と前記負極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、
を備えたものである。
本発明を実証する実施例として、オリビン型構造を基本骨格とした鉄リン酸リチウム化合物(LiFePO4)を含有した正極、易黒鉛化炭素を含有した負極、カーボネート系の溶媒とLiPF6とを含有した電解液とを用いたリチウム二次電池について検討した。正極活物質として、オリビン型構造を基本骨格とした鉄リン酸リチウム化合物(LiFePO4)、導電材に炭素、結着材にポリフッ化ビニリデン(クレハ製KFポリマ)を用い、正極活物質/導電材/結着材をそれぞれ、78.5/13.8/7.7重量%で混合した正極合材を作製した。この正極合材をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)で分散させてペーストとし、この正極合材ペーストを厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に塗工乾燥させ、ロールプレスして、正極シート電極として用いた。なお、正極シート電極は54mm×450mmとした。次に、負極活物質に易黒鉛化炭素、結着材にポリフッ化ビニリデン(クレハ製KFポリマ)を用い、負極活物質とバインダとをそれぞれ、95/5重量%で混合し、NMPで分散させた負極合材のペーストを作製した。この負極合材ペーストを厚さ10μm銅箔の両面に塗工乾燥させ、ロールプレスして、負極合材層の空隙率を36体積%に調節したものを負極シート電極として用いた。この空隙率は、上述した式(1)を用いて計算した。この負極合材層の体積(面積×厚さ)とその活物質重量とにより求めた負極合材層の活物質密度は、1.0g/cm3であった。また、正極合材層の体積(面積×厚さ)とその活物質重量とにより求めた正極合材層の活物質密度は、1.3g/cm3であった。なお、負極シート電極は56mm×500mmとした。電解液としては、1M濃度のLiPF6/EC+EMC(EC:EMCの体積比が3:7)を用いた。作製した正・負極シート電極をセパレータ(東燃タピルス製、PE25μm厚、幅58mm品)を介してロール状に捲回し、18650電池缶に挿入し、上記の電解液を注入したあと、トップキャップをかしめて密閉することにより作製したリチウム二次電池を実施例1とした。
負極合材層の空隙率を47体積%となるように調整した以外は実施例1と同様の工程を経て得られたリチウム二次電池を実施例2とした。また、負極合材層の空隙率を42体積%となるように調整した以外は実施例1と同様の工程を経て得られたリチウム二次電池を実施例3とした。また、負極合材層の空隙率を31体積%となるように調整した以外は実施例1と同様の工程を経て得られたリチウム二次電池を実施例4とした。また、負極合材層の空隙率を26体積%となるように調整した以外は実施例1と同様の工程を経て得られたリチウム二次電池を実施例5とした。また、負極活物質として易黒鉛化炭素と黒鉛とを70重量%:30重量%の混合比で混合した材料を用い負極合材層の空隙率を36体積%となるように調整した以外は実施例1と同様の工程を経て得られたリチウム二次電池を実施例6とした。また、負極活物質として易黒鉛化炭素と黒鉛とを50重量%:50重量%の混合比で混合した材料を用い負極合材層の空隙率を36体積%となるように調整した以外は実施例1と同様の工程を経て得られたリチウム二次電池を実施例7とした。なお、実施例2〜7の負極合材層の活物質密度は、それぞれ1.1g/cm3,1.2g/cm3,1.3g/cm3,1.4g/cm3,1.2g/cm3,1.2g/cm3であった。また、実施例2〜7の正極合材層の活物質密度は、すべて1.3g/cm3であった。
負極活物質として黒鉛のみを使用し負極合材層の空隙率を36%となるように調整した以外は実施例1と同様の工程を経て得られたリチウム二次電池を比較例1とした。また、負極合材層の空隙率を58%に調整した以外は実施例1と同様の工程を経て得られたリチウム二次電池を比較例2とした。また、負極合材層の空隙率を21%に調整した以外は実施例1と同様の工程を経て得られたリチウム二次電池を比較例3とした。また、負極活物質として易黒鉛化炭素と黒鉛とを60重量%:40重量%の混合比で混合した材料を用い負極合材層の空隙率を36%となるように調整した以外は実施例1と同様の工程を経て得られたリチウム二次電池を比較例4とした。なお、比較例1〜4の負極合材層の活物質密度は、それぞれ1.3g/cm3,0.8g/cm3,1.6g/cm3,1.2g/cm3であった。また、比較例1〜4の正極合材層の活物質密度は、すべて1.3g/cm3であった。
負極合材に用いた黒鉛及び易黒鉛化炭素のX線回折測定をX線回折装置(リガク製,RINT−2200)を用いて行った。測定条件は、Cu−Kα線により40kV−30mAで10°〜70°までスキャンとした。図2は、負極に用いた黒鉛及び易黒鉛化炭素のX線回折測定結果である。図2に示すように、易黒鉛化炭素では、黒鉛のピークがある2θ=26°領域にブロードなピークがみられた。2θ=26°領域での半値幅は、黒鉛が0.49°であり、易黒鉛化炭素が3.28°であった。
負極合材に用いた黒鉛及び易黒鉛化炭素のラマン分光測定をレーザラマン分光システム(日本分光(株)製、NRS−3300)を用いて行った。Ar+イオンレーザーを用い波長532nmの励起光でラマン分光測定を行い、炭素の積層構造を表す1580cm-1近傍領域のピークと炭素の乱層構造を表す1360cm-1近傍領域のピーク強度比I1360/I1580をラマンR値として算出した。図3は、負極に用いた黒鉛及び易黒鉛化炭素のラマン分光測定結果である。このラマンR値は、黒鉛が0.12であり、易黒鉛化炭素が0.99であった。
実施例1〜7及び比較例1〜4のリチウム二次電池をそれぞれ2つずつ作製し、1つについては0℃における低温充放電サイクル試験を行い、もう1つについては60℃における高温充放電サイクル試験を行った。低温充放電サイクル試験では、雰囲気温度0℃とし、5Cレート(約2.5A)で4.2Vまでの定電流充電を行い、5Cレートで2.0Vまでの定電流放電を行う充放電を1サイクルとし、このサイクルを合計200サイクル行った。高温充放電サイクル試験では、雰囲気温度60℃とし、2Cレート(約1.0A)で4.1Vまでの定電流充電を行い、2Cレートで2.0Vまでの定電流放電を行う充放電を1サイクルとし、このサイクルを合計500サイクル行った。それぞれの試験結果を用い、1サイクル目の放電容量をC1とし、500サイクル目の放電容量をC500として、次式(2)により容量維持率Ck(%)を求めた。容量維持率Ck(%)=C500/C1×100 …式(2)
実施例1〜7及び比較例1〜4のリチウム二次電池の負極活物質の重量割合、負極合材層の空隙率(体積%)、低温充放電サイクル試験の容量維持率(%)、高温充放電サイクル試験の容量維持率(%)をまとめて表1に示した。表1に示すように、黒鉛を負極に用いた比較例1では、低温サイクル、高温サイクルともに容量維持率が低いことが判った。また実施例1〜5及び比較例2〜3の測定結果から判るように、易黒鉛化炭素を負極に用い、かつ負極合材層の空隙率を25%以上50%以下に調節することで、低温サイクル、高温サイクルともに、優れた容量維持率を有するものとすることができることがわかった。さらに実施例1,6,7及び比較例1,4の測定結果から判るように、易黒鉛化炭素の含有量を50%以上にすることで、低温サイクル、高温サイクルともに、優れた容量維持率を有する電池を作製できることが判った。本実施例では、易黒鉛化炭素と黒鉛をブレンドしたが、黒鉛以外にもや珪素やスズなどの高容量放電可能な負極とブレンドすることで、高エネルギー密度の電池にすることが可能となると推察される。本発明のように、負極に易黒鉛化炭素を50%以上含有させ、かつその合材層の空隙率を25%〜50%に調節することで、高温サイクル特性と低温サイクル特性とを両立させた電池を作製することができることが明らかとなった。
Claims (2)
- リチウムを吸蔵・放出可能な鉄リン酸リチウム化合物を含む正極活物質を有する正極と、
リチウムを吸蔵・放出可能であり易黒鉛化炭素である非晶質炭素を含む負極活物質を有し該負極活物質のうち該非晶質炭素の占める割合が50重量%以上であり、該負極活物質を含む負極合材層の空隙率が25体積%以上50体積%以下である負極と、
前記正極と前記負極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、
を備えたリチウム二次電池。 - 前記負極は、前記負極活物質として黒鉛を含み、該負極活物質のうち該黒鉛の占める割合が50重量%以下であり、前記非晶質炭素と該黒鉛とを含む層の空隙率が25体積%以上50体積%以下である、請求項1に記載のリチウム二次電池。
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