JP4951879B2 - リチウム二次電池及びリチウム二次電池用正極活物質 - Google Patents
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Description
(1)オリビン構造を有するリン酸リチウム複合化合物の導電性が低い。
(2)オリビン構造を有するリン酸リチウム複合化合物結晶内でのリチウムイオンの拡散速度が遅い。
前記正極が、リチウムイオンを吸蔵・放出し、かつ下記式(1)で表されるオリビン構造のリン酸リチウム複合化合物からなる正極活物質、を含むことを特徴とするリチウム二次電池である。
Li z Me 1−y X y PO 4 (1)
(式(1)中、0<z≦1、0<y≦0.1、元素Meは、Mn、Fe、Co、及びNiからなる群から選択される少なくとも一種の元素を表し、元素Xは、少なくともBiを含み、さらに、La、Ce、Sr、Nd、及びSmから選ばれる少なくとも一種の元素を含んでいても良い元素を表す。)
また、リチウムイオンを吸蔵・放出し、かつ下記式(1)で表されるオリビン構造のリン酸リチウム複合化合物からなるリチウム二次電池用正極活物質である。
Li z Me 1−y X y PO 4 (1)
(式(1)中、0<z≦1、0<y≦0.1、元素Meは、Mn、Fe、Co、及びNiからなる群から選択される少なくとも一種の元素を表し、元素Xは、少なくともBiを含み、さらに、La、Ce、Sr、Nd、及びSmから選ばれる少なくとも一種の元素を含んでいても良い元素を表す。)
正極12が含有する正極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出できる正極活物質として、Biリン酸塩、またはBi元素とリン酸リチウムとの複合化合物、を用いる。また、他の元素として、La、Ce、Sr、Nd、及びSmから選ばれる少なくとも一種の元素をさらに含むことができる。このような正極活物質としては、オリビン構造を有する複合化合物を用いることができ、より好適には、オリビン構造を有するリン酸リチウム複合化合物を用いる。
LizMe1-yXyPO4 (1)
(式(1)中、0<z≦1、0<y≦0.1、元素Meは、Mn、Fe、Co、及びNiからなる群から選択される少なくとも一種の元素を表し、元素Xは、少なくともBiを含み、さらに、La、Ce、Sr、Nd、及びSmから選ばれる少なくとも一種の元素を含んでいても良い元素を表す。)
で表されるオリビン構造を有するリン酸リチウム複合化合物を用いることができる。
負極13が含有する負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵、放出できる材料により構成することができ、例えば、リチウム金属または炭素材料を用いることができる。炭素材料としては、リチウムを吸蔵する黒鉛、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーンなど、あるいはこれらの複合物を用いることができる。
正極集電体11としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、チタンまたはこれらの合金などを用いることができる。負極集電体14としては、銅、ステンレス鋼、ニッケル、チタンまたはこれらの合金を用いることができる。
セパレータ16としては、織布、不織布、多孔膜等を用いることができる。特にポリプロピレン、ポリエチレン系の多孔膜が薄膜でかつ大面積化、膜強度や膜抵抗の面で好ましく用いられる。
電解液15としては、電解質と、非プロトン性溶媒とを少なくとも有する。
環状カーボネート類:プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC);
鎖状カーボネート類:ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC);
脂肪族カルボン酸エステル類:ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル;
γ−ラクトン類:γ−ブチロラクトン;
環状エーテル類:テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン;
鎖状エーテル類:1,2−エトキシエタン(DEE)、エトキシメトキシエタン(EME);
その他:ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、エチルエーテル、1,3−プロパンスルトン、アニソール、N−メチルピロリドン、フッ素化カルボン酸エステル;
を、一種又は二種以上を混合して使用することができる。
本発明に係るリチウム二次電池の形状としては、特に制限はないが、例えば、円筒型、角型、コイン型、ラミネート型などが挙げられる。この中で、ラミネート型とは、合成樹脂と金属箔との積層体からなる可撓性フィルム等よりなる外装体によって封口された形状を有するものである。
本発明に係るリチウム二次電池は、乾燥空気または不活性ガス雰囲気において、負極13および正極12を、セパレータ16を介して積層、あるいは積層したものを捲回した後に、外装体に挿入し、電解液15を含浸させた後、電池外装体を封止することで得られる。
異種元素として、La、Ce、Sr、Nd、Sm、Biから選ばれる少なくとも一種の元素のリン酸塩、またはLa、Ce、Sr、Nd、Sm、Biから選ばれる少なくとも一種の元素とリン酸リチウム複合化合物、の正極活物質への添加の効果を調べるために、La、Ce、Sr、Nd、Sm、Biから選ばれる少なくとも一種の元素のリン酸塩とリン酸リチウム複合化合物を添加したオリビン構造を有するリン酸リチウム複合化合物を合成した。
上記と同様の方法で、異種元素を含有しないオリビン構造を有するリン酸リチウム化合物を合成した。
表1に示す正極活物質および導電性付与剤を乾式混合し、バインダーであるPVDFを溶解させたN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に均一に分散させスラリーを作製した。導電性付与剤としてはカーボンブラックを用いた。そのスラリーを厚さ正極集電体となるアルミ金属箔(コイン型、円筒型の場合には厚さ20μm、ラミネート型の場合には厚さ25μm)上に塗布後、NMPを蒸発させることにより正極シートとした。正極中の固形分比率は正極活物質:導電性付与剤:PVDF=80:10:10(質量%)とした。
以下の条件で充放電試験を行った。負極活物質として金属リチウムを使った場合(実施例1並びに比較例1及び2)は、温度20℃において、充電レート0.1C、放電レート0.1C、充電終止電圧3.8V、放電終止電圧2.0Vとした。また、負極活物質として金属リチウム以外を用いた場合(実施例2〜15及び20〜23、参考例1〜4並びに比較例3〜13)は、充電レート0.1C、放電レート0.1Cで、充電終止電圧4.0V、放電終止電圧2.5Vとした。ただし、正極活物質がMnを含む場合(実施例20及び22並びに比較例10及び12)においては、充電終止電圧4.2V、放電終止電圧2.5Vとし、正極活物質がCoを含む場合(実施例21及び23並びに比較例11及び13)においては、充電終止電圧4.9V、放電終止電圧3.0Vとした。
以下の条件で充放電サイクル試験を行った。負極活物質として金属リチウムを使った場合(実施例1並びに比較例1及び2)、温度20℃において、充電レート1.0C、放電レート1.0C、充電終止電圧3.8V、放電終止電圧2.0V、とした。容量維持率(%)は100サイクル後の放電容量(mAh)を、10サイクル目の放電容量(mAh)で割った値とした。また、負極活物質として金属リチウム以外を用いた場合(実施例2〜15及び20〜23、参考例1〜4並びに比較例3〜13)は、充電レート1C、放電レート1Cで、充電終止電圧4.0V、放電終止電圧2.5Vとした。容量維持率(%)は300サイクル後の放電容量(mAh)を、10サイクル目の放電容量(mAh)で割った値とした。ただし、正極活物質がMnを含む場合(実施例20及び22並びに比較例10及び12)においては、充電終止電圧4.2V、放電終止電圧2.5Vとし、正極活物質がCoを含む場合(実施例21及び23並びに比較例11及び13)においては、充電終止電圧4.9V、放電終止電圧3.0Vとし、これらの場合、容量維持率(%)は500サイクル後の放電容量(mAh)を、10サイクル目の放電容量(mAh)で割った値とした。
Li金属を負極活物質として用い、異種元素としてBiを含有する実施例1で作製したセルにおける初回放電容量および容量維持率は、比較例1および2よりも上回っている。これは、添加した異種元素が、充放電に伴うリチウムイオンの拡散経路の拡張を促し、またその閉塞を抑制し、高いイオン伝導性を維持したためなどと考えられ、さらに異種元素としてBiを用いた場合にその効果が高いことが分かる。
実施例4における初回放電容量および容量維持率を比較例5〜9と比較すると、実施例4において充放電特性の改善が確認された。この結果より、異種元素としてBiを用いた場合にその効果が最も高いことが分かる。
実施例5〜15及び参考例1〜4においては、Biリン酸塩添加によるBi元素の正極活物質中に占める割合を変化させ、実施例4と同様の円筒型二次電池を作製し、評価を行った。初回放電容量は、Bi元素の含有量が0.5%以上8.0%以下(0.005≦y≦0.08)の範囲で、Bi元素を含有しない比較例9よりも大きな放電容量が得られた。さらに、Bi元素の含有量が1.0%以上5.0%以下(0.01≦y≦0.05)の範囲でより大きな放電容量が得られた。300サイクル後の容量維持率は、Bi元素を少なくとも含有すれば(0<y)良好な特性が得られ、Bi元素の含有量が0.1%を越える(0.001<y)場合に良好な特性が得られた。この結果より、Bi元素の含有量は0.5%以上8.0%以下(0.005≦y≦0.08)が好ましく、特に好ましい含有量の範囲は1.0%以上5.0%以下(0.01≦y≦0.05)であることが確認された。
実施例20〜23で作製したセルは、比較例10〜13とそれぞれ比較して、初回放電容量およびサイクル試験後の容量維持率が向上している。これらの結果は、本発明で添加したBi元素が、Feを他の遷移金属元素で置換したオリビン構造を有するリン酸化合物含む正極活物質においても、充放電に伴うリチウムイオンの拡散経路の拡張を促し、またその閉塞を抑制し、高いイオン伝導性を維持したためなどと考えられる。これらの結果は、Feを他の遷移金属で置換した場合においても、実施例4と同様の効果があることが確認された。
12 正極活物質を含有する層(正極)
13 負極活物質を含有する層(負極)
14 負極集電体
15 電解液
Claims (4)
- 正極と、負極と、少なくとも電解質が溶解された非プロトン性溶媒を含む電解液とを備えた二次電池において、
前記正極が、リチウムイオンを吸蔵・放出し、かつ下記式(1)で表されるオリビン構造のリン酸リチウム複合化合物からなる正極活物質、を含むことを特徴とするリチウム二次電池。
Li z Me 1−y X y PO 4 (1)
(式(1)中、0<z≦1、0<y≦0.1、元素Meは、Mn、Fe、Co、及びNiからなる群から選択される少なくとも一種の元素を表し、元素Xは、少なくともBiを含み、さらに、La、Ce、Sr、Nd、及びSmから選ばれる少なくとも一種の元素を含んでいても良い元素を表す。) - 前記負極が、リチウムイオンを吸蔵・放出できる負極活物質として、炭素材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のリチウム二次電池。
- 前記炭素材料が、黒鉛又は非晶質炭素であることを特徴とする請求項2に記載のリチウム二次電池。
- リチウムイオンを吸蔵・放出し、かつ下記式(1)で表されるオリビン構造のリン酸リチウム複合化合物からなるリチウム二次電池用正極活物質。
Li z Me 1−y X y PO 4 (1)
(式(1)中、0<z≦1、0<y≦0.1、元素Meは、Mn、Fe、Co、及びNiからなる群から選択される少なくとも一種の元素を表し、元素Xは、少なくともBiを含み、さらに、La、Ce、Sr、Nd、及びSmから選ばれる少なくとも一種の元素を含んでいても良い元素を表す。)
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