JP2004095386A - リチウムイオン電池用正極材料の製造方法およびリチウムイオン電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】高容量で充放電特性に優れたリチウムイオン電池用の正極材料を容易にかつ安価に提供する。
【解決手段】本発明のリチウムイオン電池用正極材料の製造方法は、一般式LixAyPO4(0.8<x<2、0<Y<1.5、ただし、AはCo,Ni,Mn,Fe,Cu,Crから選ばれた1種)で表されるリチウムイオン電池用正極材料を製造するものである。水などの液体にLi(リチウム)成分およびP(リン)成分およびA成分(ただし、AはCo,Ni,Mn,Fe、Cu,Crから選ばれた1種)を加え、これを亜臨界状態または臨界状態または超臨界状態で反応させ、LixAyPO4を合成する。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明のリチウムイオン電池用正極材料の製造方法は、一般式LixAyPO4(0.8<x<2、0<Y<1.5、ただし、AはCo,Ni,Mn,Fe,Cu,Crから選ばれた1種)で表されるリチウムイオン電池用正極材料を製造するものである。水などの液体にLi(リチウム)成分およびP(リン)成分およびA成分(ただし、AはCo,Ni,Mn,Fe、Cu,Crから選ばれた1種)を加え、これを亜臨界状態または臨界状態または超臨界状態で反応させ、LixAyPO4を合成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムイオン電池に使用される正極材料の製造方法およびこれにより製造された正極材料を使用したリチウムイオン電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電子機器やハイブリッド自動車に用いるための二次電池の研究が進められている。代表的な二次電池としては鉛蓄電池、アルカリ蓄電池、リチウムイオン電池などが知られている。種々の二次電池の中でもリチウムイオン電池を用いたリチウム二次電池は高出力、高エネルギー密度等の利点を有している。
リチウムイオン電池はリチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な活物質を有する正極と負極と非水電解質からなる。
【0003】
このリチウムイオン電池の正極材料としては、金属酸化物、金属硫化物、あるいはポリマーなどが用いられ、例えばTiS2、MoS2、NbSe2、V2O5等のリチウム非含有化合物や、LiMO2(M=Co、Ni、Mn、Fe等)、LiMn2O4等のようなリチウム複合酸化物等が知られている。
現在、この中でリチウムイオン電池の正極材料には、LiCoO2が活物質として一般的に用いられている。LiCoO2は高エネルギー密度で高電圧の電池を構成することが可能である。しかし、Coは地球上に偏在し、かつ希少な資源であるためコストが高くつく他、安定供給が難しいという問題がある。このため、Coに代わり資源として豊富に存在し、安価なNiやMnをベースにした正極材料の開発が望まれている。
【0004】
しかし、LiNiO2を使用した正極材料は、理論容量が大きく、かつ高放電電位を有するものの、充放電サイクルの進行に伴ってLiNiO2の結晶構造が崩壊してしまう。このため、放電容量の低下を引き起こしたり熱安定性に劣る等の問題がある。
LiMn2O4は、正スピネル型構造を持ち、空間群Fd3mを有している。このLiMn2O4は、対リチウム電極で4V級というLiCoO2と同等の高い電位を有する。さらに、LiMn2O4は合成が容易であること、および高い電池容量を有することから非常に有望な材料であり、実用化されている。しかし、実際にLiMn2O4を用いて構成された電池では、高温保存時における容量劣化が大きいことや、Mnが電解液に溶解してしまうといった、安定性やサイクル特性が充分でないといった問題が残されている。
【0005】
そこで、オリビン構造を有するFe、Mn、Co、Ni等の遷移金属のリン酸化合物をリチウムイオン電池の正極に用いることが提案されている(特開平9−134724号公報)。また、上述のオリビン構造を有する遷移金属のリン酸化合物のうち、例えばLiFePO4をリチウムイオン電池の正極に用いることが提案されている(特開平9−171827号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のオリビン構造をもつリン酸化合物の合成には固相法を用いており、不活性ガス雰囲気での焼成と粉砕を繰り返す必要があり、複雑な操作が必要であった。
またLiFePO4の場合、合成時の焼成温度が低いため、合成時の結晶化度や粒径を制御することが難しい。そのため、得られるLiFePO4は小さな結晶子が乱雑に並んだ構造をもっている。従って粒子内のイオンの拡散性や電子伝導性が悪く、充放電時の分極が大きくなるといった問題があった。
また、充放電によるリチウムイオンの挿入脱離に伴い、活物質の体積変化が起こり、これが繰り返されることで粒子に亀裂が入り、さらに亀裂が進行して粒子が破壊され、微細化される。前記亀裂や微細化により粒子内のイオン拡散性および粒子間のインピーダンスが増加するため、放電時の分極が大きくなるといった問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点に着目してなされたものであり、粒径が小さく、結晶性が良く、粒径および粒子形状が制御されたことにより、高容量で充放電特性に優れたリチウムイオン電池用の正極材料を容易にかつ安価に製造できる製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のリチウムイオン電池用正極材料の製造方法は、一般式LixAyPO4(0.8<x<2、0<y<1.5、ただし、AはCo,Ni,Mn,Fe,Cu,Crから選ばれた1種)で表されるリチウムイオン電池用正極材料の製造方法であって、Li(リチウム)成分およびP(リン)成分およびA成分(ただし、AはCo,Ni,Mn,Fe,Cu,Crから選ばれた1種)を、亜臨界状態または臨界状態または超臨界状態の流体中で反応させ、前記LixAyPO4を合成することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の他のリチウムイオン電池用正極材料の製造方法は、一般式LixAyBzCwPO4(BおよびCはMg,Ca,Zn,Ge,Ti,Sr,Ba,Sc,Y,Al,Ga,In,Si,B,希土類元素から選ばれた互いに異なる1種であり、0.8<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5、0≦w<1.5、zとwは同時には0ではない)で表されるリチウムイオン電池用正極材料の製造方法であって、Li(リチウム)成分およびP(リン)成分およびA成分(ただし、AはCo,Ni,Mn,Fe,Cu,Crから選ばれた1種)に加えて、Mg,Ca,Zn,Ge,Ti,Sr,Ba,Sc,Y,Al,Ga,In,Si,B,希土類元素から選ばれた1種または2種の成分を、亜臨界状態または臨界状態または超臨界状態の流体中で反応させ、前記LixAyBzCwPO4を合成することを特徴とする。
【0010】
なお、本明細書で言う「亜臨界状態または臨界状態または超臨界状態の状態」とは、それぞれ「亜臨界状態」とは、臨界温度以下でかつ臨界温度近傍の温度であり、かつ飽和蒸気圧以上の圧力である状態を言い、「臨界状態」とは、臨界温度かつ臨界圧力にある状態を言い、「超臨界状態」とは、臨界温度以上の状態を言う。亜臨界状態の条件は温度250℃以上、かつ圧力は飽和蒸気圧以上であり、超臨界状態の条件は温度374℃以上、かつ圧力22MPa以上である。なお、水密度が0.1g/cm3よりも小さいと、単位体積あたりの水の存在量が少なくなり、良好な反応が行われないことがあり、それ以上の密度が望ましい。
【0011】
本発明の製造方法を用いた場合、その反応中に溶解−再析出過程を含むため、均一な結晶の合成が可能となり、微粒子の粒径、結晶化度をコントロールすることができる。また、反応初期に生成する副生成物を溶解−再析出過程で溶解することにより、目的とする材料の単一相での合成が容易となる。また、一度溶解した後に析出により粒子化するため、結晶成長の方向をコントロールすることができ、結晶性の方向が揃った粒子を合成することが可能となり、また粒子形状のコントロールも可能となる。
【0012】
固相法の場合、結晶性を上げるためには、加熱温度や加熱時間を大きくする必要があるが、この場合、粒子同士が融着する、あるいは粒子自身が成長することにより粒径が大きくなってしまう。その点、本発明の製造方法によれば、固相法に比べて比較的低温で合成が可能であり、かつ溶解と析出の条件をコントロールすることが可能なため、例えば粒径が0.001〜1μmのリチウムイオン電池用正極材料が得られる。このため、従来に比較して粒子径を小さくすることでリチウムイオン電池用正極材料の表面積を増大させることができ、よって高い充放電速度を有するリチウムイオン電池を提供できる。粒径が0.001μmより小さいと、電荷移動に問題が生じるため好ましくない。また、粒径が1μmより大きいと、得られる粒子の比表面積が小さく、単位重量当たりの充放電容量が低下する、また、充放電の繰り返しにより粒子が破壊されることによる電池容量の低下が生じる点で好ましくない。
【0013】
また、固相法の場合は合成反応に高温が必要であるが、本発明の製造方法を用いた合成反応の場合、固相法に比べて少ないエネルギーで反応を進めることができる。このため、ランニングコスト面で有利である。
【0014】
特に本発明の場合、亜臨界状態または臨界状態または超臨界状態の流体を用いることで高温高圧の反応場で反応が進行するため、極めて短時間で合成を行なうことができる、結晶度が向上するなどの効果も期待することができる。
【0015】
上記本発明のリチウムイオン電池用正極材料の製造方法においては、前記反応の前後で前記流体のpHを変化させる物質、もしくは還元作用を示す物質または酸化作用を示す物質を反応系に含有させることが望ましい。
【0016】
本発明のリチウムイオン電池は、上記本発明のリチウムイオン電池用正極材料の製造方法により製造されたリチウム電池用正極材料が使用されていることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態であるリチウムイオン電池用正極材料の製造方法について説明する。
まず、液体にLi(リチウム)成分、P(リン)成分、A成分(ただし、AはCo,Ni,Mn,Fe,Cu,Crから選ばれた1種)を加えて、出発原料を調整する。Li(リチウム)成分、P(リン)成分、A成分は前記液体に溶解することが好ましいが、この段階では溶解しなくても、加熱により液体の温度が上昇し、反応容器内の圧力が上昇した段階で溶解すればよい。したがって、液体に前記各種成分を加えて調整した段階の出発原料の状態は、溶液状あるいはスラリー状、溶液と固体物質またはゾルまたはゲルとの混合物といった状態となっている。
【0018】
Li(リチウム)成分としてはリチウムの金属塩等が使用でき、A成分としてはAの金属塩等が使用できる。また、P(リン)成分としては、リン酸等が使用できる。さらに必要により、B成分、C成分として、Mg,Co、Zn,Ge,Ti,Sr,Ba,Sc,Y,Al,Ga,In,Si,B,希土類元素から選ばれる1種または2種の金属の塩、もしくはこれらの元素を含む化合物等を使用できる。ただし、B成分とC成分とは異なる元素のものを選ぶ必要がある。ここで、希土類元素とは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのことである。
【0019】
前記の各種成分を加える液体としては、例えば水、アルコール類、エーテル類、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド等の極性有機溶媒、およびこれらを含む混合溶液、または液化ガス等を用いることができ、特に限定はされないが、中でも水を用いることが好ましい。その理由は、水は安価、安全であり、かつ有機溶媒等のように揮発して環境中に有機物質を放出することのないクリーンな物質であり、また、水は臨界点付近で誘電率の大きな変化を示すことから、温度、圧力の操作により容易に各物質に対する溶解度等の溶媒物性をコントロールすることが可能だからである。
【0020】
こうして調整された出発原料を耐圧容器に入れ、亜臨界状態または臨界状態または超臨界状態となる温度および圧力になるまで加熱、加圧し、所定の時間合成反応を行った後、降温する。
この反応条件は、溶媒の種類または合成する物質に応じて適宜選択されるが、溶媒が水の場合、加熱温度は250〜900℃、反応時間は0.1秒〜5時間が好ましい。さらには、加熱温度は250〜600℃、反応時間は0.1秒〜5時間が好ましい。圧力は、飽和蒸気圧〜100MPaが好ましい。溶媒が水の場合、亜臨界状態の場合は、加熱温度が250℃〜374℃、圧力は飽和蒸気圧〜100MPaが好ましい。超臨界状態の場合は、加熱温度は374〜600℃、反応時間は0.2秒〜1時間、圧力は22〜100MPaが好ましい。
【0021】
その後、合成された生成物を吸引ろ過等によりろ別回収し、水洗後、乾燥を行なうことにより、一般式LixAyBzCwPO4(AはCo,Ni,Mn,Fe,Cu,Crから選ばれた1種、BおよびCはMg,Ca,Zn,Ge,Ti,Sr,Ba,Sc,Y,Al,Ga,In,Si,B,希土類元素から選ばれた互いに異なる1種であり、0.8<x<2、0<Y<1.5、0≦z<1.5、0≦w<1.5)で表されるリチウムイオン電池用正極材料が得られる。
【0022】
オリビン構造を持つリン酸化合物を流体中で合成しようとする場合、流体中での金属イオンの安定性から、流体のpHが問題となる場合がある。この場合、出発原料が流体中で安定な状態となるpHの範囲と、合成反応生成物が流体中で安定な状態となるpHの範囲とが異なる場合があり、合成反応生成物の収率に大きな影響を与える。そこで、本発明の製造方法では、合成する物質に応じて、合成反応時に変性し、変性の前後で該流体のpHを変化させる物質を反応系に加えることが好ましい。
【0023】
また、オリビン構造を持つリン酸化合物を流体中で合成しようとする場合、流体中での金属イオンの安定性が問題となる場合がある。例えば、LiFePO4の場合、出発原料中の2価のFeイオンは溶存酸素などの存在により容易に3価に酸化し、希望するLiFePO4ではなくFePO4を生成してしまう。また、出発原料として、容易に入手できるFeの3価の塩ではなく、入手し難い2価の塩を選択しなくてはならない。そこで、合成する物質に応じて、還元作用を示す物質または酸化作用を示す物質を反応系に加えることが好ましい。
【0024】
合成反応時に自身が変性し、変性の前後で該流体のpHを変化させる物質としては、例えば、尿素、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアミド、チオ尿素、ウラジル、核酸化合物、アミノ酸化合物等が挙げられる。還元作用を示す物質としては、還元剤として、例えば、アスコルビン酸、アルデヒド類、水素ガス、アンモニア等が挙げられ、また、合成時に変性して還元作用を示す物質として、例えば、蟻酸、シュウ酸、クエン酸、アミン類、アルコール類、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム等が挙げられる。また、酸化作用を示す物質としては、酸化剤として、例えば、過酸化水素水、酸素ガス、過酸化物、硝酸、オゾン等が挙げられ、また、変性して酸化作用を示す物質として、過酸化水素水、過酸化物等が挙げられる。
【0025】
反応系に、合成反応時に変性し変性の前後で該流体のpHを変化させる物質を加えると、原料物質と生成物質の安定なpH領域が異なる場合でも対応が可能となる。例えばLiFePO4の合成では、出発原料中では鉄の酸化数を2価にすることが望ましく、この場合はpHが低いことが必要とされ、pHは5以下が好ましく、さらには2以下が好ましい。しかし、合成生成物のLiFePO4は酸性流体中では生成物の溶解やLiイオンの溶出が生じるため、合成生成物の回収時には流体のpHは高い方が好ましく、pH7以上が好ましい。このため、合成反応中に変性し、反応前後のpHを変化させる物質、例えば尿素を、溶媒が水の場合、出発原料中に添加することにより、溶液の液性を合成反応前は低pH、合成反応後は高pHとすることが可能となる。この尿素(NH2CONH2)は、水溶液中での加熱により、
NH2CONH2+H2O → 2NH3 + CO2
となり、pH調整剤として機能し、合成反応終了時のpHを高くすることにより合成生成物の再溶解の抑制およびLiの溶媒中への溶出を防ぐことができる。
【0026】
反応系に、還元作用を示す物質または酸化作用を示す物質を加えた場合、例えば、還元剤としてアスコルビン酸を加えると、LiFePO4の合成の場合、出発原料中のFe2+の酸化を抑制することができる。また、合成時に変性により還元性物質を生成する物質、例えば蟻酸を加えると、合成操作中に同時に還元操作を行なうことが容易に可能となり、例えば、LiFePO4の合成の場合に問題となるFe2+→Fe3+への酸化反応の抑制が可能となる。また、還元物質は気体であってもよく、例えば反応容器中に水素ガスなどを同時に封入して反応を行うことによりその還元能力を有効に利用することができる。LiMnPO4やLiNiPO4の合成の場合にも、同様の理由でMnやNiの酸化を抑制することができ、良好な合成反応が行える。
【0027】
図1に本実施形態で用いた装置の構成を示し、一実施形態の製造方法について説明する。図1に示すように、保温容器である金属溶融浴1内に、高温でも安定な金属塩溶液2(例えば、新日鐵化学株式会社製、KNO3−NaNO3 50wt%の硝酸塩金属熱処理剤 焼戻剤 T−3)を収容する。そして、この中に加熱用の電熱ヒーター3を浸漬させるとともに、温度計測用の熱電対4を浸漬させる。そして、熱電対4により温度を計測しながら電熱ヒーター3による加熱を温度コントローラー5により制御することで、金属溶融浴内の重金属溶液を所定の温度に制御する。
【0028】
そして、この金属溶融浴1内に反応管6を浸漬させ、この反応管6内においてLiFePO4を生成する。
このような装置を用いてLiFePO4を製造する場合には、まず反応管内に原料水溶液を仕込む。原料水溶液は例えばLiClとFeCl2とH3PO4とNH2CONH2を蒸留水に溶かしたものを利用する。
NH2CONH2はpH調整剤として機能する。NH2CONH2は水溶液中での加熱により、
NH2CONH2+H2O → 2NH3 + CO2
となり、反応終了時のpHを大とすることにより生成物の再溶解の抑制およびLiの溶媒中への溶出を防ぐことを目的としている。
【0029】
そして、この原料水溶液を、金属溶融浴内の温度において、目的とする圧力になるように調整する。ここで、この圧力は、原料水溶液を純水であると仮定し、スチームテーブル(Steam−Table)により算出する。例えば、反応温度400℃、反応圧力30MPaの水の密度は0.35g/cm3であることから、反応管の容量が10cm3であれば、反応管内の原料水溶液が合計で3.5cm3になるように原料水溶液を仕込む。
【0030】
なお、水の臨界点は374℃、22MPaであり、反応条件は亜臨界状態または臨界状態または超臨界状態になるように設定する。原料溶液の濃度など、他の条件にもよるが、少なくとも温度250℃以上、圧力20MPa以上という水が亜臨界条件となる条件とすることが好適であり、上述した水が超臨界条件となるような条件とすることが特に好適である。
【0031】
反応管に原料水溶液を仕込んだ後、反応管を金属溶融浴内に浸漬させ、所定の反応時間(例えば3〜30分程度)だけその状態に置く。次に、反応管を金属溶融浴から取り出し、冷水浴に入れて、反応を速やかに停止させる。
そして、反応管の内容物を取り出し、ろ過後、水洗することによって、反応生成物であるLiFePO4が得られる。
【0032】
このようにして得られたLiFePO4は不純物が少なく、粒子径が小さく、また結晶度も良いものであり、電池材料として非常に好適なものである。従って、リチウムイオン電池の正極材料として好適に利用できる。
【0033】
以上は、回分式の合成方法であるが、連続式も可能であり、以下に連続式の合成方法について述べる。
図2に連続式合成法に用いる装置の一例を示す。
原料水溶液は、高圧ポンプ11により混合部12に圧送される。原料水溶液は例えばLiClとFeCl2とH3PO4とNH2CONH2を蒸留水に溶かしたものを利用する。
一方、蒸留水は高圧ポンプ14により予熱部(ヒーター15)を通り、所定の温度まで昇温された後、予熱水として混合部12に圧送される。ここで言う「所定の温度」とは、混合部12で予熱水が原料水と混合された後、反応管13上部で所要の反応温度となる温度をいう。
そして、反応管13内での滞在時間内にヒーター16により制御された所要の反応温度で反応が行なわれ、反応管13内での反応後、冷却部17で急速冷却を行なう。この後、インラインフィルター18で粗大粒子を回収した後、背圧弁19を通り、反応液は液受け20に回収される。背圧弁19により系内の圧力は所要の圧力に制御される。背圧弁19から排出された反応液をろ過後、水洗することによって、反応生成物であるLiFePO4が得られる。
【0034】
このようにして得られたLiFePO4は不純物が少なく、粒子径が小さく、また結晶度も良いものであり、電池材料として非常に好適なものである。従って、リチウムイオン電池の正極材料として好適に利用できる。
【0035】
なお、上述の説明ではLiFePO4を合成方法の例に挙げているが、一般式LixAyBzCwPO4で表される化合物を合成する場合には、出発物質としてAおよびBおよびCを含む水溶性化合物を合成原料に添加し、それ以外は上述の合成方法と同様な合成手法を行なうことによりLixAyBzCwPO4が得られる。
【0036】
また、合成反応原料水溶液に酸化剤または還元剤を添加することも好ましい。上述のLixAyBzCwPO4で表される化合物を合成する場合にAまたはBまたはCのイオンが水溶液中で酸化される場合があり、これが正極材料としての性能を下げる場合がある。例えば上述のLiFePO4の合成の場合、原料水溶液中でFe2+→Fe3+の酸化反応が進行することは望ましくない。このため、原料水溶液中にアスコルビン酸などの還元剤を添加することが有効である。
【0037】
また、合成反応中に自身が変性することにより還元剤または酸化剤として作用する成分を原料水溶液中に添加することも有効である。例えば上述のLiFePO4の合成の場合、Fe2+の酸化を抑制することが望ましい。このため、蟻酸を原料水溶液に添加することにより、合成反応中に蟻酸の分解により生成するH2によりFe2+の酸化が抑制される。超臨界条件の場合、反応場では均一相となるため、このような反応を行なう条件として特に好ましい。
上述のような還元剤の例としては蟻酸、シュウ酸、クエン酸、アミン類、ヒドラジンなどが、酸化剤の例としては過酸化水素水、過酸化物類などが挙げられるが、本発明は上記の物質に限定されるものではない。
また、連続式の場合、前述のような還元剤または酸化剤を予熱水に添加して反応を行うことが可能である。
【0038】
また、合成反応原料水溶液中にpH調整剤を用いることも好ましい。さらに反応中に変成し、反応前後のpHを変化させる材料の添加も有効である。例えば上述のLiFePO4の合成の場合、反応開始から終了まで鉄の酸化数が2価であることが望ましく、このためには反応開始時のpHが低く、かつ反応終了時にはpHが高いことが望ましい。これは水溶液中でFeが2価であるためにはpHが低いほうがよいが、pHが低い場合、反応生成物であるLiFePO4を溶解してしまい、収率を下げるといった問題が生じてしまう。この問題を解決するためにpH調整剤の添加が有効である。例えば尿素をpH調整剤として用いた場合、反応中にNH2CONH2+H2O→2NH3+CO2の反応が生じ、反応前に比べて反応後のpHを高くできる。このため原料水溶液中ではpHを低く、反応後水溶液ではpHを高くすることが可能となり、上述のLiFePO4の合成に有効である。このようなpH調整剤の例としては尿素、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアミド等が挙げられるが、本発明は上述の物質例に限定されるものではない。
【0039】
亜臨界状態または臨界状態または超臨界状態の水を溶媒とした場合、その高温高圧の反応場で反応が進行するため、極めて短時間で合成を行なうことが可能となる。また、高温高圧のため、結晶度向上などの効果も期待できる。また、水を溶媒として用いた場合、温度上昇とともに溶質の溶解度は上昇するが、臨界温度を超えると溶解度は急激に減少する。このため、超臨界水はわずかな温度や圧力操作により溶媒としての特性を大幅かつ連続的に変化させることが可能である。超臨界流体のこの特徴から、例えば水熱合成反応で超臨界領域まで急速昇温を行った後、急速降温操作を行なうことによる極めて大きな過飽和度を利用することによって、ナノサイズの超微粒子を合成することが可能となる。
【0040】
さらに、超臨界水を溶媒とした水熱反応では、反応中は均一相となるため、気液界面による反応律速の問題を回避することが可能となり、合成操作中に同時に還元操作を行なうことも容易に可能となり、含鉄リチウム系複合リン酸化合物の合成で問題となるFe2+→Fe3+への酸化反応の抑制も可能となる。このような特徴を利用すれば、還元剤は水溶性のものに限定されることがなくなる。例えば気体であっても、その還元能力を有効に利用することができる。
【0041】
また、この超臨界流体の特徴の利用は還元に限定されることはなく、酸化反応への利用も可能である。例えば、反応溶液中に酸素ガスをコンプレッサーで注入する、あるいは反応原料水溶液中に過酸化水素水を添加し、分解生成する酸素により酸化反応を行なうことも可能となる。
【0042】
また、合成反応中に変性することにより還元剤又は酸化剤として作用する成分を原料水溶液中に添加することも有効である。例えば上述のLiFePO4の合成の場合、Fe2+の酸化を抑制することが望ましい。このため、蟻酸を原料水溶液に添加することにより、合成反応中に蟻酸の分解により生成するH2によりFe2+の酸化が抑制される。超臨界条件の場合、反応場では均一相となるため、このような反応を行なう条件として特に好ましい。
また、連続式の反応の場合、前述の合成反応中に変性することにより還元剤もしくは酸化剤として作用する成分を予熱水に添加して反応を行うことも可能である。
【0043】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの記述により限定されるものではない。また、以下の実施例に記載された活物質の出発原料、製造方法、正極、負極、電解質、セパレーターおよび電池形状などに限定されるものではない。
【0044】
(実施例1)
塩化リチウム0.37重量部、塩化鉄(II)四水和物1.74重量部、リン酸0.85重量部、尿素1.59重量部を蒸留水95.45重量部に溶解し、原料水溶液とした。
内容積10ccの反応管内に上述の原料水溶液を3.5g封入した後、400℃の金属溶融塩内に3分間浸漬させ、反応を行なった後、反応管を取り出し、冷却水により急冷し、反応を停止させた。その後、反応生成物を吸引ろ過によりろ別して回収した後、乾燥した。
【0045】
図3に反応生成物のエックス線回折パターンを示す。これにより、反応生成物はLiFePO4と同定された。
【0046】
(実施例2)
リン酸第一鉄8水和物2.61重量部とリン酸7.08重量部とを蒸留水490.31重量部に溶解し、これを原料1とした。水酸化リチウム1水和物0.52重量部と尿素7.58重量部とアスコルビン酸0.22重量部とを蒸留水491.68重量部に溶解し、これを原料2とした。この原料1、原料2を図2に示す連続式合成装置を用いて反応を行った。
【0047】
原料1、原料2を高圧ポンプにより反応管内に送液し、予めヒーターにより500℃に加熱された予熱水と混合し、400℃、30MPaで反応を行った。反応時間は2秒間とした。反応生成物はインラインフィルターにより捕集され、洗浄、乾燥して回収した。
【0048】
図4に反応生成物のエックス線回折パターンを示す。これにより、反応生成物はLiFePO4と同定された。
【0049】
(比較例1)
水酸化リチウム1水和物41.96重量部とシュウ酸鉄2水和物179.89重量部とリン酸二水素アンモニウム115.03重量部とを乳鉢で混合した後、加圧成型後、雰囲気炉内で800℃、窒素雰囲気で24時間焼成し、生成物を得た。
【0050】
図5に反応生成物のエックス線回折パターンを示す。これにより、反応生成物はLiFePO4と同定された。
【0051】
(電池充放電試験)
上の実施例1,2、比較例1の方法で得られた正極活物質材料を用い、次のようにしてリチウム二次電池を試作した。
該正極活物質、導電助剤、結着剤を重量比80:12:8で混合し、アセトンを加え、充分混練した。前記混練物をシート状に成形した後、ステンレスメッシュ集電体上に圧着後、面積2cm2の円盤状に打ち抜き、正極とした。得られた正極を真空乾燥後、乾燥アルゴン雰囲気下で法泉株式会社製、HS標準セルを用いて電池を作製した。負極にはリチウム箔を用い、円形に打ち抜いて用いた。電解液はエチレンカーボネートとジエチルカーボネートを混合した溶媒にLiPF6を溶解したものを用いた。セパレーターは多孔質ポリプロピレン膜を用いた。充放電サイクル試験は、カットオフ電圧3−4V、電流密度0.5mA/cm2の定電流で室温で行った。充放電試験結果を図6に示す。本発明の実施例1,2の正極活物質は、120mAhg−1以上の高い初期容量と優れたサイクル特性が得られたことがわかった。
【0052】
(実施例3)
硝酸リチウム0.6重量部、硝酸コバルト六水和物2.56重量部、リン酸0.85重量部、尿素1.59重量部を蒸留水94.4重量部に溶解し、原料水溶液とした。反応は実施例1と同様の手法により行った。図7に反応生成物のエックス線回折パターンを示す。これにより、正極活物質材料LiCoPO4の生成を確認した。
【0053】
(電池充放電試験)
実施例3で得られた正極活物質を用い、次のようにしてリチウム二次電池を試作した。該正極活物質、導電助剤、結着剤を重量比80:12:8で混合し、アセトンを加え、充分混練した。前記混練物をシート状に成形した後、ステンレスメッシュ集電体上に圧着後、面積2cm2の円盤状に打ち抜き、正極とした。得られた正極を真空乾燥後、乾燥アルゴン雰囲気下で法泉株式会社製、HS標準セルを用いて電池を作製した。負極にはリチウム箔を用い、円形に打ち抜いて用いた。電解液はエチレンカーボネートとジエチルカーボネートを混合した溶媒にLiPF6を溶解したものを用いた。セパレーターは多孔質ポリプロピレン膜を用いた。充放電サイクル試験は、カットオフ電圧3.5−4.8V、電流密度0.5mA/cm2の定電流で室温で行った。充放電試験結果を図8に示す。本発明の正極活物質は、4.8V級の2次電池として正常に動作することがわかった。
【0054】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、粒径が小さく、結晶性が良く、粒径および粒子形状が制御されたことにより高容量で充放電特性に優れたリチウムイオン電池用の正極材料を容易にかつ安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるリチウムイオン電池用正極材料の製造に用いる回分式合成法による製造装置の概略構成図である。
【図2】同、リチウムイオン電池用正極材料の製造に用いる連続式合成法による製造装置の概略構成図である。
【図3】本発明の実施例1により得られた電極材料のエックス線回折パターンを示す図である。
【図4】本発明の実施例2により得られた電極材料のエックス線回折パターンを示す図である。
【図5】比較例1により得られた電極材料のエックス線回折パターンを示す図である。
【図6】実施例1、実施例2、比較例1により得られた電極材料を用いて作製したリチウムイオン電池の充放電試験結果を示す図である。
【図7】本発明の実施例3により得られた電極材料のエックス線回折パターンを示す図である。
【図8】本発明の実施例3により得られた電極材料を用いて作製したリチウムイオン電池の充放電試験結果を示す図である。
【符号の説明】
1 金属溶融浴
2 金属塩溶液
3 電熱ヒーター
4 熱電対
5 温度コントローラー
6 反応管
11,14 高圧ポンプ
12 混合部
13 反応管
15,16 ヒーター
17 冷却部
18 インラインフィルター
19 背圧弁
20 液受け
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウムイオン電池に使用される正極材料の製造方法およびこれにより製造された正極材料を使用したリチウムイオン電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電子機器やハイブリッド自動車に用いるための二次電池の研究が進められている。代表的な二次電池としては鉛蓄電池、アルカリ蓄電池、リチウムイオン電池などが知られている。種々の二次電池の中でもリチウムイオン電池を用いたリチウム二次電池は高出力、高エネルギー密度等の利点を有している。
リチウムイオン電池はリチウムイオンを可逆的に脱挿入可能な活物質を有する正極と負極と非水電解質からなる。
【0003】
このリチウムイオン電池の正極材料としては、金属酸化物、金属硫化物、あるいはポリマーなどが用いられ、例えばTiS2、MoS2、NbSe2、V2O5等のリチウム非含有化合物や、LiMO2(M=Co、Ni、Mn、Fe等)、LiMn2O4等のようなリチウム複合酸化物等が知られている。
現在、この中でリチウムイオン電池の正極材料には、LiCoO2が活物質として一般的に用いられている。LiCoO2は高エネルギー密度で高電圧の電池を構成することが可能である。しかし、Coは地球上に偏在し、かつ希少な資源であるためコストが高くつく他、安定供給が難しいという問題がある。このため、Coに代わり資源として豊富に存在し、安価なNiやMnをベースにした正極材料の開発が望まれている。
【0004】
しかし、LiNiO2を使用した正極材料は、理論容量が大きく、かつ高放電電位を有するものの、充放電サイクルの進行に伴ってLiNiO2の結晶構造が崩壊してしまう。このため、放電容量の低下を引き起こしたり熱安定性に劣る等の問題がある。
LiMn2O4は、正スピネル型構造を持ち、空間群Fd3mを有している。このLiMn2O4は、対リチウム電極で4V級というLiCoO2と同等の高い電位を有する。さらに、LiMn2O4は合成が容易であること、および高い電池容量を有することから非常に有望な材料であり、実用化されている。しかし、実際にLiMn2O4を用いて構成された電池では、高温保存時における容量劣化が大きいことや、Mnが電解液に溶解してしまうといった、安定性やサイクル特性が充分でないといった問題が残されている。
【0005】
そこで、オリビン構造を有するFe、Mn、Co、Ni等の遷移金属のリン酸化合物をリチウムイオン電池の正極に用いることが提案されている(特開平9−134724号公報)。また、上述のオリビン構造を有する遷移金属のリン酸化合物のうち、例えばLiFePO4をリチウムイオン電池の正極に用いることが提案されている(特開平9−171827号公報)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のオリビン構造をもつリン酸化合物の合成には固相法を用いており、不活性ガス雰囲気での焼成と粉砕を繰り返す必要があり、複雑な操作が必要であった。
またLiFePO4の場合、合成時の焼成温度が低いため、合成時の結晶化度や粒径を制御することが難しい。そのため、得られるLiFePO4は小さな結晶子が乱雑に並んだ構造をもっている。従って粒子内のイオンの拡散性や電子伝導性が悪く、充放電時の分極が大きくなるといった問題があった。
また、充放電によるリチウムイオンの挿入脱離に伴い、活物質の体積変化が起こり、これが繰り返されることで粒子に亀裂が入り、さらに亀裂が進行して粒子が破壊され、微細化される。前記亀裂や微細化により粒子内のイオン拡散性および粒子間のインピーダンスが増加するため、放電時の分極が大きくなるといった問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点に着目してなされたものであり、粒径が小さく、結晶性が良く、粒径および粒子形状が制御されたことにより、高容量で充放電特性に優れたリチウムイオン電池用の正極材料を容易にかつ安価に製造できる製造方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のリチウムイオン電池用正極材料の製造方法は、一般式LixAyPO4(0.8<x<2、0<y<1.5、ただし、AはCo,Ni,Mn,Fe,Cu,Crから選ばれた1種)で表されるリチウムイオン電池用正極材料の製造方法であって、Li(リチウム)成分およびP(リン)成分およびA成分(ただし、AはCo,Ni,Mn,Fe,Cu,Crから選ばれた1種)を、亜臨界状態または臨界状態または超臨界状態の流体中で反応させ、前記LixAyPO4を合成することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の他のリチウムイオン電池用正極材料の製造方法は、一般式LixAyBzCwPO4(BおよびCはMg,Ca,Zn,Ge,Ti,Sr,Ba,Sc,Y,Al,Ga,In,Si,B,希土類元素から選ばれた互いに異なる1種であり、0.8<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5、0≦w<1.5、zとwは同時には0ではない)で表されるリチウムイオン電池用正極材料の製造方法であって、Li(リチウム)成分およびP(リン)成分およびA成分(ただし、AはCo,Ni,Mn,Fe,Cu,Crから選ばれた1種)に加えて、Mg,Ca,Zn,Ge,Ti,Sr,Ba,Sc,Y,Al,Ga,In,Si,B,希土類元素から選ばれた1種または2種の成分を、亜臨界状態または臨界状態または超臨界状態の流体中で反応させ、前記LixAyBzCwPO4を合成することを特徴とする。
【0010】
なお、本明細書で言う「亜臨界状態または臨界状態または超臨界状態の状態」とは、それぞれ「亜臨界状態」とは、臨界温度以下でかつ臨界温度近傍の温度であり、かつ飽和蒸気圧以上の圧力である状態を言い、「臨界状態」とは、臨界温度かつ臨界圧力にある状態を言い、「超臨界状態」とは、臨界温度以上の状態を言う。亜臨界状態の条件は温度250℃以上、かつ圧力は飽和蒸気圧以上であり、超臨界状態の条件は温度374℃以上、かつ圧力22MPa以上である。なお、水密度が0.1g/cm3よりも小さいと、単位体積あたりの水の存在量が少なくなり、良好な反応が行われないことがあり、それ以上の密度が望ましい。
【0011】
本発明の製造方法を用いた場合、その反応中に溶解−再析出過程を含むため、均一な結晶の合成が可能となり、微粒子の粒径、結晶化度をコントロールすることができる。また、反応初期に生成する副生成物を溶解−再析出過程で溶解することにより、目的とする材料の単一相での合成が容易となる。また、一度溶解した後に析出により粒子化するため、結晶成長の方向をコントロールすることができ、結晶性の方向が揃った粒子を合成することが可能となり、また粒子形状のコントロールも可能となる。
【0012】
固相法の場合、結晶性を上げるためには、加熱温度や加熱時間を大きくする必要があるが、この場合、粒子同士が融着する、あるいは粒子自身が成長することにより粒径が大きくなってしまう。その点、本発明の製造方法によれば、固相法に比べて比較的低温で合成が可能であり、かつ溶解と析出の条件をコントロールすることが可能なため、例えば粒径が0.001〜1μmのリチウムイオン電池用正極材料が得られる。このため、従来に比較して粒子径を小さくすることでリチウムイオン電池用正極材料の表面積を増大させることができ、よって高い充放電速度を有するリチウムイオン電池を提供できる。粒径が0.001μmより小さいと、電荷移動に問題が生じるため好ましくない。また、粒径が1μmより大きいと、得られる粒子の比表面積が小さく、単位重量当たりの充放電容量が低下する、また、充放電の繰り返しにより粒子が破壊されることによる電池容量の低下が生じる点で好ましくない。
【0013】
また、固相法の場合は合成反応に高温が必要であるが、本発明の製造方法を用いた合成反応の場合、固相法に比べて少ないエネルギーで反応を進めることができる。このため、ランニングコスト面で有利である。
【0014】
特に本発明の場合、亜臨界状態または臨界状態または超臨界状態の流体を用いることで高温高圧の反応場で反応が進行するため、極めて短時間で合成を行なうことができる、結晶度が向上するなどの効果も期待することができる。
【0015】
上記本発明のリチウムイオン電池用正極材料の製造方法においては、前記反応の前後で前記流体のpHを変化させる物質、もしくは還元作用を示す物質または酸化作用を示す物質を反応系に含有させることが望ましい。
【0016】
本発明のリチウムイオン電池は、上記本発明のリチウムイオン電池用正極材料の製造方法により製造されたリチウム電池用正極材料が使用されていることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態であるリチウムイオン電池用正極材料の製造方法について説明する。
まず、液体にLi(リチウム)成分、P(リン)成分、A成分(ただし、AはCo,Ni,Mn,Fe,Cu,Crから選ばれた1種)を加えて、出発原料を調整する。Li(リチウム)成分、P(リン)成分、A成分は前記液体に溶解することが好ましいが、この段階では溶解しなくても、加熱により液体の温度が上昇し、反応容器内の圧力が上昇した段階で溶解すればよい。したがって、液体に前記各種成分を加えて調整した段階の出発原料の状態は、溶液状あるいはスラリー状、溶液と固体物質またはゾルまたはゲルとの混合物といった状態となっている。
【0018】
Li(リチウム)成分としてはリチウムの金属塩等が使用でき、A成分としてはAの金属塩等が使用できる。また、P(リン)成分としては、リン酸等が使用できる。さらに必要により、B成分、C成分として、Mg,Co、Zn,Ge,Ti,Sr,Ba,Sc,Y,Al,Ga,In,Si,B,希土類元素から選ばれる1種または2種の金属の塩、もしくはこれらの元素を含む化合物等を使用できる。ただし、B成分とC成分とは異なる元素のものを選ぶ必要がある。ここで、希土類元素とは、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのことである。
【0019】
前記の各種成分を加える液体としては、例えば水、アルコール類、エーテル類、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド等の極性有機溶媒、およびこれらを含む混合溶液、または液化ガス等を用いることができ、特に限定はされないが、中でも水を用いることが好ましい。その理由は、水は安価、安全であり、かつ有機溶媒等のように揮発して環境中に有機物質を放出することのないクリーンな物質であり、また、水は臨界点付近で誘電率の大きな変化を示すことから、温度、圧力の操作により容易に各物質に対する溶解度等の溶媒物性をコントロールすることが可能だからである。
【0020】
こうして調整された出発原料を耐圧容器に入れ、亜臨界状態または臨界状態または超臨界状態となる温度および圧力になるまで加熱、加圧し、所定の時間合成反応を行った後、降温する。
この反応条件は、溶媒の種類または合成する物質に応じて適宜選択されるが、溶媒が水の場合、加熱温度は250〜900℃、反応時間は0.1秒〜5時間が好ましい。さらには、加熱温度は250〜600℃、反応時間は0.1秒〜5時間が好ましい。圧力は、飽和蒸気圧〜100MPaが好ましい。溶媒が水の場合、亜臨界状態の場合は、加熱温度が250℃〜374℃、圧力は飽和蒸気圧〜100MPaが好ましい。超臨界状態の場合は、加熱温度は374〜600℃、反応時間は0.2秒〜1時間、圧力は22〜100MPaが好ましい。
【0021】
その後、合成された生成物を吸引ろ過等によりろ別回収し、水洗後、乾燥を行なうことにより、一般式LixAyBzCwPO4(AはCo,Ni,Mn,Fe,Cu,Crから選ばれた1種、BおよびCはMg,Ca,Zn,Ge,Ti,Sr,Ba,Sc,Y,Al,Ga,In,Si,B,希土類元素から選ばれた互いに異なる1種であり、0.8<x<2、0<Y<1.5、0≦z<1.5、0≦w<1.5)で表されるリチウムイオン電池用正極材料が得られる。
【0022】
オリビン構造を持つリン酸化合物を流体中で合成しようとする場合、流体中での金属イオンの安定性から、流体のpHが問題となる場合がある。この場合、出発原料が流体中で安定な状態となるpHの範囲と、合成反応生成物が流体中で安定な状態となるpHの範囲とが異なる場合があり、合成反応生成物の収率に大きな影響を与える。そこで、本発明の製造方法では、合成する物質に応じて、合成反応時に変性し、変性の前後で該流体のpHを変化させる物質を反応系に加えることが好ましい。
【0023】
また、オリビン構造を持つリン酸化合物を流体中で合成しようとする場合、流体中での金属イオンの安定性が問題となる場合がある。例えば、LiFePO4の場合、出発原料中の2価のFeイオンは溶存酸素などの存在により容易に3価に酸化し、希望するLiFePO4ではなくFePO4を生成してしまう。また、出発原料として、容易に入手できるFeの3価の塩ではなく、入手し難い2価の塩を選択しなくてはならない。そこで、合成する物質に応じて、還元作用を示す物質または酸化作用を示す物質を反応系に加えることが好ましい。
【0024】
合成反応時に自身が変性し、変性の前後で該流体のpHを変化させる物質としては、例えば、尿素、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアミド、チオ尿素、ウラジル、核酸化合物、アミノ酸化合物等が挙げられる。還元作用を示す物質としては、還元剤として、例えば、アスコルビン酸、アルデヒド類、水素ガス、アンモニア等が挙げられ、また、合成時に変性して還元作用を示す物質として、例えば、蟻酸、シュウ酸、クエン酸、アミン類、アルコール類、ヒドラジン、水素化ホウ素ナトリウム等が挙げられる。また、酸化作用を示す物質としては、酸化剤として、例えば、過酸化水素水、酸素ガス、過酸化物、硝酸、オゾン等が挙げられ、また、変性して酸化作用を示す物質として、過酸化水素水、過酸化物等が挙げられる。
【0025】
反応系に、合成反応時に変性し変性の前後で該流体のpHを変化させる物質を加えると、原料物質と生成物質の安定なpH領域が異なる場合でも対応が可能となる。例えばLiFePO4の合成では、出発原料中では鉄の酸化数を2価にすることが望ましく、この場合はpHが低いことが必要とされ、pHは5以下が好ましく、さらには2以下が好ましい。しかし、合成生成物のLiFePO4は酸性流体中では生成物の溶解やLiイオンの溶出が生じるため、合成生成物の回収時には流体のpHは高い方が好ましく、pH7以上が好ましい。このため、合成反応中に変性し、反応前後のpHを変化させる物質、例えば尿素を、溶媒が水の場合、出発原料中に添加することにより、溶液の液性を合成反応前は低pH、合成反応後は高pHとすることが可能となる。この尿素(NH2CONH2)は、水溶液中での加熱により、
NH2CONH2+H2O → 2NH3 + CO2
となり、pH調整剤として機能し、合成反応終了時のpHを高くすることにより合成生成物の再溶解の抑制およびLiの溶媒中への溶出を防ぐことができる。
【0026】
反応系に、還元作用を示す物質または酸化作用を示す物質を加えた場合、例えば、還元剤としてアスコルビン酸を加えると、LiFePO4の合成の場合、出発原料中のFe2+の酸化を抑制することができる。また、合成時に変性により還元性物質を生成する物質、例えば蟻酸を加えると、合成操作中に同時に還元操作を行なうことが容易に可能となり、例えば、LiFePO4の合成の場合に問題となるFe2+→Fe3+への酸化反応の抑制が可能となる。また、還元物質は気体であってもよく、例えば反応容器中に水素ガスなどを同時に封入して反応を行うことによりその還元能力を有効に利用することができる。LiMnPO4やLiNiPO4の合成の場合にも、同様の理由でMnやNiの酸化を抑制することができ、良好な合成反応が行える。
【0027】
図1に本実施形態で用いた装置の構成を示し、一実施形態の製造方法について説明する。図1に示すように、保温容器である金属溶融浴1内に、高温でも安定な金属塩溶液2(例えば、新日鐵化学株式会社製、KNO3−NaNO3 50wt%の硝酸塩金属熱処理剤 焼戻剤 T−3)を収容する。そして、この中に加熱用の電熱ヒーター3を浸漬させるとともに、温度計測用の熱電対4を浸漬させる。そして、熱電対4により温度を計測しながら電熱ヒーター3による加熱を温度コントローラー5により制御することで、金属溶融浴内の重金属溶液を所定の温度に制御する。
【0028】
そして、この金属溶融浴1内に反応管6を浸漬させ、この反応管6内においてLiFePO4を生成する。
このような装置を用いてLiFePO4を製造する場合には、まず反応管内に原料水溶液を仕込む。原料水溶液は例えばLiClとFeCl2とH3PO4とNH2CONH2を蒸留水に溶かしたものを利用する。
NH2CONH2はpH調整剤として機能する。NH2CONH2は水溶液中での加熱により、
NH2CONH2+H2O → 2NH3 + CO2
となり、反応終了時のpHを大とすることにより生成物の再溶解の抑制およびLiの溶媒中への溶出を防ぐことを目的としている。
【0029】
そして、この原料水溶液を、金属溶融浴内の温度において、目的とする圧力になるように調整する。ここで、この圧力は、原料水溶液を純水であると仮定し、スチームテーブル(Steam−Table)により算出する。例えば、反応温度400℃、反応圧力30MPaの水の密度は0.35g/cm3であることから、反応管の容量が10cm3であれば、反応管内の原料水溶液が合計で3.5cm3になるように原料水溶液を仕込む。
【0030】
なお、水の臨界点は374℃、22MPaであり、反応条件は亜臨界状態または臨界状態または超臨界状態になるように設定する。原料溶液の濃度など、他の条件にもよるが、少なくとも温度250℃以上、圧力20MPa以上という水が亜臨界条件となる条件とすることが好適であり、上述した水が超臨界条件となるような条件とすることが特に好適である。
【0031】
反応管に原料水溶液を仕込んだ後、反応管を金属溶融浴内に浸漬させ、所定の反応時間(例えば3〜30分程度)だけその状態に置く。次に、反応管を金属溶融浴から取り出し、冷水浴に入れて、反応を速やかに停止させる。
そして、反応管の内容物を取り出し、ろ過後、水洗することによって、反応生成物であるLiFePO4が得られる。
【0032】
このようにして得られたLiFePO4は不純物が少なく、粒子径が小さく、また結晶度も良いものであり、電池材料として非常に好適なものである。従って、リチウムイオン電池の正極材料として好適に利用できる。
【0033】
以上は、回分式の合成方法であるが、連続式も可能であり、以下に連続式の合成方法について述べる。
図2に連続式合成法に用いる装置の一例を示す。
原料水溶液は、高圧ポンプ11により混合部12に圧送される。原料水溶液は例えばLiClとFeCl2とH3PO4とNH2CONH2を蒸留水に溶かしたものを利用する。
一方、蒸留水は高圧ポンプ14により予熱部(ヒーター15)を通り、所定の温度まで昇温された後、予熱水として混合部12に圧送される。ここで言う「所定の温度」とは、混合部12で予熱水が原料水と混合された後、反応管13上部で所要の反応温度となる温度をいう。
そして、反応管13内での滞在時間内にヒーター16により制御された所要の反応温度で反応が行なわれ、反応管13内での反応後、冷却部17で急速冷却を行なう。この後、インラインフィルター18で粗大粒子を回収した後、背圧弁19を通り、反応液は液受け20に回収される。背圧弁19により系内の圧力は所要の圧力に制御される。背圧弁19から排出された反応液をろ過後、水洗することによって、反応生成物であるLiFePO4が得られる。
【0034】
このようにして得られたLiFePO4は不純物が少なく、粒子径が小さく、また結晶度も良いものであり、電池材料として非常に好適なものである。従って、リチウムイオン電池の正極材料として好適に利用できる。
【0035】
なお、上述の説明ではLiFePO4を合成方法の例に挙げているが、一般式LixAyBzCwPO4で表される化合物を合成する場合には、出発物質としてAおよびBおよびCを含む水溶性化合物を合成原料に添加し、それ以外は上述の合成方法と同様な合成手法を行なうことによりLixAyBzCwPO4が得られる。
【0036】
また、合成反応原料水溶液に酸化剤または還元剤を添加することも好ましい。上述のLixAyBzCwPO4で表される化合物を合成する場合にAまたはBまたはCのイオンが水溶液中で酸化される場合があり、これが正極材料としての性能を下げる場合がある。例えば上述のLiFePO4の合成の場合、原料水溶液中でFe2+→Fe3+の酸化反応が進行することは望ましくない。このため、原料水溶液中にアスコルビン酸などの還元剤を添加することが有効である。
【0037】
また、合成反応中に自身が変性することにより還元剤または酸化剤として作用する成分を原料水溶液中に添加することも有効である。例えば上述のLiFePO4の合成の場合、Fe2+の酸化を抑制することが望ましい。このため、蟻酸を原料水溶液に添加することにより、合成反応中に蟻酸の分解により生成するH2によりFe2+の酸化が抑制される。超臨界条件の場合、反応場では均一相となるため、このような反応を行なう条件として特に好ましい。
上述のような還元剤の例としては蟻酸、シュウ酸、クエン酸、アミン類、ヒドラジンなどが、酸化剤の例としては過酸化水素水、過酸化物類などが挙げられるが、本発明は上記の物質に限定されるものではない。
また、連続式の場合、前述のような還元剤または酸化剤を予熱水に添加して反応を行うことが可能である。
【0038】
また、合成反応原料水溶液中にpH調整剤を用いることも好ましい。さらに反応中に変成し、反応前後のpHを変化させる材料の添加も有効である。例えば上述のLiFePO4の合成の場合、反応開始から終了まで鉄の酸化数が2価であることが望ましく、このためには反応開始時のpHが低く、かつ反応終了時にはpHが高いことが望ましい。これは水溶液中でFeが2価であるためにはpHが低いほうがよいが、pHが低い場合、反応生成物であるLiFePO4を溶解してしまい、収率を下げるといった問題が生じてしまう。この問題を解決するためにpH調整剤の添加が有効である。例えば尿素をpH調整剤として用いた場合、反応中にNH2CONH2+H2O→2NH3+CO2の反応が生じ、反応前に比べて反応後のpHを高くできる。このため原料水溶液中ではpHを低く、反応後水溶液ではpHを高くすることが可能となり、上述のLiFePO4の合成に有効である。このようなpH調整剤の例としては尿素、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアミド等が挙げられるが、本発明は上述の物質例に限定されるものではない。
【0039】
亜臨界状態または臨界状態または超臨界状態の水を溶媒とした場合、その高温高圧の反応場で反応が進行するため、極めて短時間で合成を行なうことが可能となる。また、高温高圧のため、結晶度向上などの効果も期待できる。また、水を溶媒として用いた場合、温度上昇とともに溶質の溶解度は上昇するが、臨界温度を超えると溶解度は急激に減少する。このため、超臨界水はわずかな温度や圧力操作により溶媒としての特性を大幅かつ連続的に変化させることが可能である。超臨界流体のこの特徴から、例えば水熱合成反応で超臨界領域まで急速昇温を行った後、急速降温操作を行なうことによる極めて大きな過飽和度を利用することによって、ナノサイズの超微粒子を合成することが可能となる。
【0040】
さらに、超臨界水を溶媒とした水熱反応では、反応中は均一相となるため、気液界面による反応律速の問題を回避することが可能となり、合成操作中に同時に還元操作を行なうことも容易に可能となり、含鉄リチウム系複合リン酸化合物の合成で問題となるFe2+→Fe3+への酸化反応の抑制も可能となる。このような特徴を利用すれば、還元剤は水溶性のものに限定されることがなくなる。例えば気体であっても、その還元能力を有効に利用することができる。
【0041】
また、この超臨界流体の特徴の利用は還元に限定されることはなく、酸化反応への利用も可能である。例えば、反応溶液中に酸素ガスをコンプレッサーで注入する、あるいは反応原料水溶液中に過酸化水素水を添加し、分解生成する酸素により酸化反応を行なうことも可能となる。
【0042】
また、合成反応中に変性することにより還元剤又は酸化剤として作用する成分を原料水溶液中に添加することも有効である。例えば上述のLiFePO4の合成の場合、Fe2+の酸化を抑制することが望ましい。このため、蟻酸を原料水溶液に添加することにより、合成反応中に蟻酸の分解により生成するH2によりFe2+の酸化が抑制される。超臨界条件の場合、反応場では均一相となるため、このような反応を行なう条件として特に好ましい。
また、連続式の反応の場合、前述の合成反応中に変性することにより還元剤もしくは酸化剤として作用する成分を予熱水に添加して反応を行うことも可能である。
【0043】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの記述により限定されるものではない。また、以下の実施例に記載された活物質の出発原料、製造方法、正極、負極、電解質、セパレーターおよび電池形状などに限定されるものではない。
【0044】
(実施例1)
塩化リチウム0.37重量部、塩化鉄(II)四水和物1.74重量部、リン酸0.85重量部、尿素1.59重量部を蒸留水95.45重量部に溶解し、原料水溶液とした。
内容積10ccの反応管内に上述の原料水溶液を3.5g封入した後、400℃の金属溶融塩内に3分間浸漬させ、反応を行なった後、反応管を取り出し、冷却水により急冷し、反応を停止させた。その後、反応生成物を吸引ろ過によりろ別して回収した後、乾燥した。
【0045】
図3に反応生成物のエックス線回折パターンを示す。これにより、反応生成物はLiFePO4と同定された。
【0046】
(実施例2)
リン酸第一鉄8水和物2.61重量部とリン酸7.08重量部とを蒸留水490.31重量部に溶解し、これを原料1とした。水酸化リチウム1水和物0.52重量部と尿素7.58重量部とアスコルビン酸0.22重量部とを蒸留水491.68重量部に溶解し、これを原料2とした。この原料1、原料2を図2に示す連続式合成装置を用いて反応を行った。
【0047】
原料1、原料2を高圧ポンプにより反応管内に送液し、予めヒーターにより500℃に加熱された予熱水と混合し、400℃、30MPaで反応を行った。反応時間は2秒間とした。反応生成物はインラインフィルターにより捕集され、洗浄、乾燥して回収した。
【0048】
図4に反応生成物のエックス線回折パターンを示す。これにより、反応生成物はLiFePO4と同定された。
【0049】
(比較例1)
水酸化リチウム1水和物41.96重量部とシュウ酸鉄2水和物179.89重量部とリン酸二水素アンモニウム115.03重量部とを乳鉢で混合した後、加圧成型後、雰囲気炉内で800℃、窒素雰囲気で24時間焼成し、生成物を得た。
【0050】
図5に反応生成物のエックス線回折パターンを示す。これにより、反応生成物はLiFePO4と同定された。
【0051】
(電池充放電試験)
上の実施例1,2、比較例1の方法で得られた正極活物質材料を用い、次のようにしてリチウム二次電池を試作した。
該正極活物質、導電助剤、結着剤を重量比80:12:8で混合し、アセトンを加え、充分混練した。前記混練物をシート状に成形した後、ステンレスメッシュ集電体上に圧着後、面積2cm2の円盤状に打ち抜き、正極とした。得られた正極を真空乾燥後、乾燥アルゴン雰囲気下で法泉株式会社製、HS標準セルを用いて電池を作製した。負極にはリチウム箔を用い、円形に打ち抜いて用いた。電解液はエチレンカーボネートとジエチルカーボネートを混合した溶媒にLiPF6を溶解したものを用いた。セパレーターは多孔質ポリプロピレン膜を用いた。充放電サイクル試験は、カットオフ電圧3−4V、電流密度0.5mA/cm2の定電流で室温で行った。充放電試験結果を図6に示す。本発明の実施例1,2の正極活物質は、120mAhg−1以上の高い初期容量と優れたサイクル特性が得られたことがわかった。
【0052】
(実施例3)
硝酸リチウム0.6重量部、硝酸コバルト六水和物2.56重量部、リン酸0.85重量部、尿素1.59重量部を蒸留水94.4重量部に溶解し、原料水溶液とした。反応は実施例1と同様の手法により行った。図7に反応生成物のエックス線回折パターンを示す。これにより、正極活物質材料LiCoPO4の生成を確認した。
【0053】
(電池充放電試験)
実施例3で得られた正極活物質を用い、次のようにしてリチウム二次電池を試作した。該正極活物質、導電助剤、結着剤を重量比80:12:8で混合し、アセトンを加え、充分混練した。前記混練物をシート状に成形した後、ステンレスメッシュ集電体上に圧着後、面積2cm2の円盤状に打ち抜き、正極とした。得られた正極を真空乾燥後、乾燥アルゴン雰囲気下で法泉株式会社製、HS標準セルを用いて電池を作製した。負極にはリチウム箔を用い、円形に打ち抜いて用いた。電解液はエチレンカーボネートとジエチルカーボネートを混合した溶媒にLiPF6を溶解したものを用いた。セパレーターは多孔質ポリプロピレン膜を用いた。充放電サイクル試験は、カットオフ電圧3.5−4.8V、電流密度0.5mA/cm2の定電流で室温で行った。充放電試験結果を図8に示す。本発明の正極活物質は、4.8V級の2次電池として正常に動作することがわかった。
【0054】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、粒径が小さく、結晶性が良く、粒径および粒子形状が制御されたことにより高容量で充放電特性に優れたリチウムイオン電池用の正極材料を容易にかつ安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態であるリチウムイオン電池用正極材料の製造に用いる回分式合成法による製造装置の概略構成図である。
【図2】同、リチウムイオン電池用正極材料の製造に用いる連続式合成法による製造装置の概略構成図である。
【図3】本発明の実施例1により得られた電極材料のエックス線回折パターンを示す図である。
【図4】本発明の実施例2により得られた電極材料のエックス線回折パターンを示す図である。
【図5】比較例1により得られた電極材料のエックス線回折パターンを示す図である。
【図6】実施例1、実施例2、比較例1により得られた電極材料を用いて作製したリチウムイオン電池の充放電試験結果を示す図である。
【図7】本発明の実施例3により得られた電極材料のエックス線回折パターンを示す図である。
【図8】本発明の実施例3により得られた電極材料を用いて作製したリチウムイオン電池の充放電試験結果を示す図である。
【符号の説明】
1 金属溶融浴
2 金属塩溶液
3 電熱ヒーター
4 熱電対
5 温度コントローラー
6 反応管
11,14 高圧ポンプ
12 混合部
13 反応管
15,16 ヒーター
17 冷却部
18 インラインフィルター
19 背圧弁
20 液受け
Claims (6)
- 一般式LixAyPO4(0.8<x<2、0<y<1.5、ただし、AはCo,Ni,Mn,Fe,Cu,Crから選ばれた1種)で表されるリチウムイオン電池用正極材料の製造方法であって、
Li(リチウム)成分およびP(リン)成分およびA成分(ただし、AはCo,Ni,Mn,Fe,Cu,Crから選ばれた1種)を、亜臨界状態または臨界状態または超臨界状態の流体中で反応させ、前記LixAyPO4を合成することを特徴とするリチウムイオン電池用正極材料の製造方法。 - 一般式LixAyBzCwPO4(BおよびCはMg,Ca,Zn,Ge,Ti,Sr,Ba,Sc,Y,Al,Ga,In,Si,B,希土類元素から選ばれた互いに異なる1種であり、0.8<x<2、0<y<1.5、0≦z<1.5、0≦w<1.5、zとwは同時には0ではない)で表されるリチウムイオン電池用正極材料の製造方法であって、
Li(リチウム)成分およびP(リン)成分およびA成分(ただし、AはCo,Ni,Mn,Fe,Cu,Crから選ばれた1種)に加えて、Mg,Ca,Zn,Ge,Ti,Sr,Ba,Sc,Y,Al,Ga,In,Si,B,希土類元素から選ばれた1種または2種の成分を、亜臨界状態または臨界状態または超臨界状態の流体中で反応させ、前記LixAyBzCwPO4を合成することを特徴とするリチウムイオン電池用正極材料の製造方法。 - 前記反応の前後で前記流体のpHを変化させる物質を反応系に含有させることを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン電池用正極材料の製造方法。
- 還元作用を示す物質を反応系に含有させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池用正極材料の製造方法。
- 酸化作用を示す物質を反応系に含有させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池用正極材料の製造方法。
- 請求項1ないし5のいずれか一項に記載のリチウムイオン電池用正極材料の製造方法により製造されたリチウム電池用正極材料が使用されたことを特徴とするリチウムイオン電池。
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