JP2017134974A - リチウム二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】リチウム二次電池の負極における反応抵抗を低減する。【解決手段】非水系リチウム二次電池10は、リチウムと遷移金属とを含む正極活物質12を有する正極と、炭素を含む負極活物質17を有する負極と、正極と負極との間に介在してリチウムイオンを伝導する非水系のイオン伝導媒体20とを備える。負極活物質17の表面には固体電解質界面(SEI)被膜が形成されている。このSEI被膜は、硬X線光電子分光法により測定し、得られたS1s、P1s及びO1sピークの積分強度を光イオン化断面積を考慮した各ピークの感度係数で除算した値をそれぞれRS、RP及びROとしたとき、RS/RO≧0.05、およびRP/RO≧0.25を満たす。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム二次電池に関する。
非水電解液を用いたリチウム二次電池は、高電圧・高エネルギー密度が得られるだけでなく、小型・軽量化が図れるため、パソコンや携帯電話等の情報通信機器の関連分野ではすでに実用化されている。また、近年では、資源問題や環境問題から電気自動車やハイブリッド電気自動車に搭載される電源としても利用されている。しかし、リチウム二次電池は、特に低温において正負極において高い反応抵抗を示すため、低温入出力が低いという大きな課題がある。特に負極においては初回充電時に支持塩や溶媒が負極活物質表面で還元分解をして、固体電解質界面(SEI)被膜を形成する。このSEI被膜により、電池性能が大きく影響を受けることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
負極表面のSEI被膜を制御するために、様々な電解液添加剤が検討されている。例えば、リチウム二次電池として、ビニレンカーボネートを電解液へ添加することにより電解液の分解を抑制させることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。あるいは、リチウム二次電池としては、量子化学計算により求められたLUMOを基に負極活物質表面で還元分解する電位を制御した電解液添加剤が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この電池では、非水電解液中の有機溶媒よりも先に還元分解して被膜を形成するため、負極活物質表面に堅い安定な被膜を形成することが可能としている。また、リチウム二次電池として、負極活物質に対してある質量比で被膜形成添加剤を含有することで、負極活物質表面に形成する被膜の量を制御するとともに、正極などでの添加剤の分解を防ぐものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平8−45545号公報 特開2006−12806号公報 特開2014−137861号公報
J.Power Sources,89,206−218(2000)
しかしながら、上述の特許文献1では、ビニレンカーボネートを添加剤として使用した場合には、負極反応抵抗が顕著に増大してしまい、電池の入出力が低下するという課題があった。また、上述の特許文献では電解液添加剤の種類や量を制御することで負極活物質表面に形成する被膜を制御しているが、電極の密度や目付量といった構成条件、あるいは電解液量や初回充電時の電流密度など様々な条件により被膜が変化する可能性があり、この結果電池性能が影響を受けることが想定される。また、低温入出力のさらなる向上も求められていた。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、負極における反応抵抗を低減することができるリチウム二次電池を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、SEI被膜中に存在する硫黄およびリンを含む成分を所定量以上存在するものとすると、負極における反応抵抗を低減することができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のリチウム二次電池は、
リチウムと遷移金属とを含む正極活物質を有する正極と、
炭素を含む負極活物質を有し、該負極活物質の表面に存在する被膜を硬X線光電子分光法により測定し、得られたS1s、P1s及びO1sピークの積分強度を光イオン化断面積を考慮した各ピークの感度係数で除算した値をそれぞれRS、RP及びROとしたとき、RS/RO≧0.05、およびRP/RO≧0.25を満たす負極と、
前記正極と前記負極との間に介在してリチウムイオンを伝導する非水系のイオン伝導媒体と、
を備えたものである。
本発明のリチウム二次電池は、負極における反応抵抗を低減することができる。このような効果が得られる理由は、以下のように推測される。例えば、負極活物質の表面には、初回充電時に電解質や溶媒などの電解液成分が還元分解することにより、固体電解質界面層(SEI)被膜が形成される。このSEI被膜中に存在する硫黄およびリンを含む成分が、所定量以上存在することによって、負極反応抵抗を低減する効果を発現すると考えられる。この効果は、特に負極反応抵抗の寄与度が大きくなる低温での入出力において顕著となる。その結果、非水電解質を用いたリチウム二次電池の入出力性能を飛躍的に向上させることが可能となる。
本発明のリチウム二次電池10の一例を示す模式図。 実施例1のS1s、P1s、O1sの硬X線光電子分光分析結果。
本発明のリチウム二次電池は、正極と、負極と、イオン伝導媒体とを備えている。正極は、リチウムと遷移金属とを含む正極活物質を有する。負極は、炭素を含む負極活物質を有する。イオン伝導媒体は、正極と負極との間に介在してリチウムイオンを伝導する。
本発明のリチウム二次電池の正極は、例えば正極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。正極活物質としては、リチウムと遷移金属元素とを含む酸化物やリン酸化合物などを用いることができる。具体的には、基本組成式をLi(1-x)MnO2(0<x<1など、以下同じ)やLi(1-x)Mn24などとするリチウムマンガン複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)CoO2などとするリチウムコバルト複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)NiO2などとするリチウムニッケル複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)NiaCobMnc2(但し0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1を満たす)などとするリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、基本組成式をLiV23などとするリチウムバナジウム複合酸化物、基本組成式をLiFePO4などとするリン酸鉄リチウム化合物などを用いることができる。これらのうち、リチウムの遷移金属複合酸化物、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiNi1/3Co1/3Mn1/32などが好ましい。なお、「基本組成式」とは、他の元素を含んでもよい趣旨である。導電材は、正極の電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、導電材としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、カーボンブラック及びアセチレンブラック(AB)が好ましい。結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、スルホン化EPDMゴム、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。正極活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1〜500μmのものが用いられる。
本発明のリチウム二次電池の負極は、負極活物質と集電体とを密着させて形成したものとしてもよいし、例えば負極活物質と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の負極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素質材料が挙げられる。炭素質材料は、例えば、コークス類、ガラス状炭素類、グラファイト類、難黒鉛化性炭素類、熱分解炭素類、炭素繊維などが挙げられる。このうち、人造黒鉛、天然黒鉛などのグラファイト類が、金属リチウムに近い作動電位を有し、高い作動電圧での充放電が可能であり支持塩としてリチウム塩を使用した場合に自己放電を抑え、且つ充電時における不可逆容量を少なくできるため、好ましい。また、負極には導電材を含むものとしてもよい。負極に用いられる導電材、結着材、溶剤などは、それぞれ正極で例示したものを用いることができる。負極の集電体には、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金などのほか、接着性、導電性及び耐還元性向上の目的で、例えば銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものも用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状は正極と同様のものを用いることができる。
この負極は、負極活物質の表面に存在する被膜(SEI被膜)を硬X線光電子分光法(HAX−PES)により測定し、得られたS1s、P1s及びO1sピークの積分強度を光イオン化断面積を考慮した各ピークの感度係数で除算した値をそれぞれRS、RP及びROとしたとき、RS/RO≧0.05、およびRP/RO≧0.25を満たす。なお、硬X線光電子分光測定は、7940eVの硬X線を用いて行うものとする。本発明のリチウム二次電池は、RS/RO及びRP/ROが上記範囲を満たすことにより、負極における反応抵抗を低減する効果を発現する。この効果発現のメカニズムはおそらく、以下のように考えることが可能である。リチウムイオンは、例えば非水電解液中では溶媒が配位した構造、つまり溶媒和化合物となり安定化している。この溶媒和リチウムイオンが黒鉛などの負極活物質に挿入される際には、SEI被膜の作用により脱溶媒和してリチウムイオンが挿入される。これらのリチウムイオンが挿入される過程において、特にリチウムイオンが脱溶媒和する過程の活性障壁が大きく、律速となることが報告されている(例えば、J. Electochem. Soc., 152, A2151 (2005)参照)。本発明において7940eVの硬X線を用いた光電子分光法により得られるRS、RP及びROが上述した関係を満たすと、リチウム二次電池の入出力をより良好なものとすることができる。上述した関係式は、SEI被膜内の硫黄の成分が酸素量に対して5質量%以上含まれ、SEI被膜内のリンの成分が酸素量に対して25質量%以上含まれることを意味する。このような被膜を有するものとすると、リチウムイオンの脱溶媒和過程あるいは被膜中のリチウムイオン伝導過程の活性障壁を低減し、負極反応抵抗を低減すると推測される。また、この効果は、硫黄のみ、あるいはリンのみが存在している場合には十分発現されず、これらが共存することにより、単純に足し合わせた以上の入出力向上効果を発現する。
この負極は、RS/RO≦0.1を満たすことが好ましい。この範囲では、負極の反応抵抗を低減することができる。また、この負極は、RP/RO≦0.6を満たすことが好ましい。この負極は、800≦RS≦1600の範囲を満たすことが好ましい。また、この負極は、4000≦RP≦9000の範囲を満たすことが好ましい。また、この負極は、15000≦RO≦16000の範囲を満たすことが好ましい。上記範囲内においては、負極の反応抵抗をより低減することができ、好ましい。なお、硬X線光電子分光法は、例えば試料表面から40nm程度の深さまでを測定することができるため、試料表面(1〜2nm程度の深さ)を測定するX線光電子分光法(XPS)に比して、SEI被膜の分析を行うのに適している。硬X線光電子分光測定は、以下の条件で行うものとする。例えば、リチウム二次電池の電池容量SOCを0%まで放電したのち、不活性雰囲気中で分解して負極を分離する。この負極を有機溶媒(例えば電解液に含まれる溶媒)で洗浄したのち、入射X線のエネルギーを7937eVとし、光電子の取出し角を80度として、S1s、P1s、O1sのスペクトルを測定する。光イオン化断面積を考慮した各ピークの感度係数をそれぞれS1s=1.586612、P1s=1.322194、O1s=0.138391として、上記RS、RP、ROを算出する。
本発明のリチウム二次電池のイオン伝導媒体としては、支持塩を含む非水電解液や非水系ゲル電解液などを用いることができる。非水電解液の溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、フラン類、スルホラン類及びジオキソラン類などが挙げられ、これらを単独又は混合して用いることができる。具体的には、カーボネート類としてエチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類や、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート、エチル−n−ブチルカーボネート、メチル−t−ブチルカーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート、t−ブチル−i−プロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート類、γ−ブチルラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状エステル類、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酪酸メチルなどの鎖状エステル類、ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタン、ジエトキシエタンなどのエーテル類、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、などのフラン類、スルホラン、テトラメチルスルホランなどのスルホラン類、1,3−ジオキソラン、メチルジオキソランなどのジオキソラン類などが挙げられる。このうち、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組み合わせが好ましい。この組み合わせによると、充放電の繰り返しでの電池特性を表すサイクル特性が優れているばかりでなく、電解液の粘度、得られる電池の電気容量、電池出力などをバランスの取れたものとすることができる。なお、環状カーボネート類は、比誘電率が比較的高く、電解液の誘電率を高めていると考えられ、鎖状カーボネート類は、電解液の粘度を抑えていると考えられる。
本発明のリチウム二次電池に含まれている支持塩は、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiSbF6、LiSiF6、LiAlF4、LiSCN、LiClO4、LiCl、LiF、LiBr、LiI、LiAlCl4などが挙げられる。このうち、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4などの無機塩、及びLiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23などの有機塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上の塩を組み合わせて用いることが電気特性の点から見て好ましい。この支持塩は、非水電解液中の濃度が0.1mol/L以上5mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上2mol/L以下であることがより好ましい。支持塩を溶解する濃度が0.1mol/L以上では、十分な電流密度を得ることができ、5mol/L以下では、電解液をより安定させることができる。また、この非水電解液には、リン系、ハロゲン系などの難燃剤を添加してもよい。
本発明のイオン伝導媒体には、ハロゲン含有リン酸化合物とハロゲン含有硫酸化合物とを含むものとしてもよい。これらの化合物から負極活物質上に良好な被膜が形成される。ハロゲン含有リン酸化合物としては、例えば、LiPO22が挙げられる。ハロゲン含有リン酸化合物は、電解液中に0.05mol/L以上0.15mol/L以下の範囲で含まれることが好ましい。この範囲では、RP/ROをより好適範囲にしやすい。この含有量は、0.06mol/L以上がより好ましく、0.12mol/L以下がより好ましい。また、ハロゲン含有硫酸化合物としては、例えば、LiSO3Fが挙げられる。ハロゲン含有硫酸化合物は、電解液中に0.05mol/L以上0.20mol/L以下の範囲で含まれることが好ましい。この範囲では、RS/ROをより好適範囲にしやすい。この含有量は、0.07mol/L以上がより好ましく、0.16mol/L以下がより好ましい。
本発明のリチウム二次電池は、負極と正極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、リチウム二次電池の使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の薄い微多孔膜が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
本発明のリチウム二次電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。図1は、本発明の非水系リチウム二次電池10の一例を示す模式図である。この非水系リチウム二次電池10は、正極活物質12を含む正極合材を集電体11の表面に形成した正極シート13と、負極活物質17を含む負極合材を集電体14の表面に形成した負極シート18と、正極シート13と負極シート18との間に設けられたセパレータ19と、正極シート13と負極シート18の間を満たすイオン伝導媒体20と、を備えたものである。この非水系リチウム二次電池10では、正極シート13と負極シート18との間にセパレータ19を挟み、これらを捲回して円筒ケース22に挿入し、正極シート13に接続された正極端子24と負極シートに接続された負極端子26とを配設して形成されている。この負極活物質12は、炭素材であり、その表面には、RS/RO≧0.05およびRP/RO≧0.25を満たす被膜が形成されている。
以上詳述した本実施形態のリチウム二次電池では、負極活物質上に形成されるSEI被膜中に、硫黄およびリンを含む成分が所定量以上存在することによって、リチウムイオンの脱溶媒和過程あるいは被膜中のリチウムイオン伝導過程の活性障壁を低減可能であり、負極反応抵抗、特に−20℃以下の低温における負極反応抵抗を低減することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
以下には、本発明のリチウム二次電池を具体的に作製した例を実施例として説明する。
[非水電解液二次電池の作製]
正極活物質であるLiNi1/3Co1/3Mn1/32と、導電材AB、結着材PVdFを質量比で90:80:2となるように秤量し、これらの材料をNMPに分散させてペースト状の正極合材層を形成する組成物を調製した。これを厚さ15μmの正極集電体(アルミニウム箔)に塗布した。その後、120℃の真空中で6時間乾燥させて、ロールプレス機を用いて圧延処理を施すことによって、正極集電体上に合材密度2.2g/cm3の正極合材層を形成した正極シートを作製した。次に、負極活物質である球形化天然黒鉛粒子と、結着材SBRと増粘剤CMCを質量比で98:1:1となるように秤量し、これら材料を水に分散させてペースト状の負極合材層を形成する組成物を調製した。これを厚さ10μmの負極集電体(銅箔)に塗布した。その後、120℃の真空中で6時間乾燥させて、ロールプレス機を用いて圧延処理を施すことによって、負極集電体上に合材密度1.1g/cm3の負極合材層が形成された負極シートを作製した。
上記正極シートの合材を一部剥離しアルミニウム製の正極端子を超音波溶接して正極集電体上に取り付けた。同様に、上記負極シートの合材を一部剥離しニッケル製の負極端子を超音波溶接して負極集電体に取り付けた。各端子を取り付けた正極シートと負極シートとを、ポリエチレンとポリプロピレンが積層された三層構造のセパレータを介して捲回し捲回体を作製した。非水電解液としてECとDMCとEMCとの体積比が3:4:3の非水溶媒にLiPF6を1.1mol/L溶解させたものを使用した。非水電解液中にはジフルオロリン酸リチウム(LiPO22)とフルオロ硫酸リチウム(LiSO3F)を添加剤として表1に示す濃度(mol/L)で含有させた。
[電池評価]
作製した電池を25℃の環境下において、充放電を実施した。充放電条件は、1Cの定電流充電によって4.1Vに到達後、定電圧で2時間充電した後、1Cの定電流放電によって3.0Vに到達後、定電圧にて2時間放電を実施した。上記初回充放電後の電池に対して、電池容量SOC90%(電池電圧3.97V)に調整した後、60℃の恒温槽内で150時間保持して被膜改質処理を実施した。その後、SOCを40%の状態に調製した後、−30℃の環境下において交流インピーダンス測定を行った。得られたCole−Coleプロットの円弧部分の直径より反応抵抗を算出し、電解液添加剤を無添加の場合の反応抵抗を100として、相対値を算出した。これらの結果を表1の該当欄に示す。
[被膜分析]
上記電池をSOC0%の状態まで放電した後、Ar雰囲気のグローブボックス内にて解体して、負極を分離した後、EMCで洗浄、風乾をして分析用試料を得た。試料をサンプルホルダーに貼り付けた後、大気非解放で運搬するためトランスファーに入れてSPring−8に運んだ。硬X線光電子分光測定(HAX−PES)は、SPring−8のBL16XUにて実施した。入射X線のエネルギーを7937eV、光電子の取出し角を80度として、S1s、P1s、O1sのスペクトルを測定した。表1における実施例1について得られたスペクトルを図2に示す。これらのスペクトルで得られたピークの積分強度に対して、光イオン化断面積を考慮した各ピークの感度係数(S1s:1.586612、P1s:1.322194、O1s:0.138391)で除算した値(RS、RP、RO)、およびその比RS/RO、RP/ROを求めた。
[結果と考察]
実施例1〜3、比較例1〜4の電解液への添加剤の添加量、硬X線光電子分光分析結果、−30℃の反応抵抗値を表1に示す。−30℃の反応抵抗値は、比較例1の値を100として、規格化した。表1に示すように、S1s、P1s、O1sピークの積分強度を光イオン化断面積を考慮した各ピークの感度係数で除算した値RS、RP、ROにおいて、RS/RO≧0.05、およびRP/RO≧0.25を共に満たすと、反応抵抗が大幅に低減することが明らかになった。これは、例えば、リチウムイオンの脱溶媒和過程あるいは被膜中のリチウムイオン伝導過程の活性障壁を低減し、負極反応抵抗を低減していると推測された。一方、比較例1〜4ではRS/ROが0.05未満、あるいはRP/ROが0.25未満であり、これらは反応抵抗の低減効果が不十分であった。これは、リチウムイオンの脱挿入に対して低抵抗であるPおよびSを含有する被膜が必要な量まで存在せず、高抵抗な被膜(LiF、Li2CO3など)のみが存在しているためと考えられる。実施例1〜3では、硫黄及びリンを含有する相乗効果によって、表1の比較例2と比較例3とから予想される反応抵抗の値91に比して極めて高い入出力向上効果が発現していることがわかった。
なお、本発明は上述した実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
本発明は、電池の技術分野に利用可能である。
10 非水系リチウム二次電池、11 集電体、12 正極活物質、13 正極シート、14 集電体、17 負極活物質、18 負極シート、19 セパレータ、20 イオン伝導媒体、22 円筒ケース、24 正極端子、26 負極端子

Claims (3)

  1. リチウムと遷移金属とを含む正極活物質を有する正極と、
    炭素を含む負極活物質を有し、該負極活物質の表面に存在する被膜を硬X線光電子分光法により測定し、得られたS1s、P1s及びO1sピークの積分強度を光イオン化断面積を考慮した各ピークの感度係数で除算した値をそれぞれRS、RP及びROとしたとき、RS/RO≧0.05、およびRP/RO≧0.25を満たす負極と、
    前記正極と前記負極との間に介在してリチウムイオンを伝導する非水系のイオン伝導媒体と、
    を備えたリチウム二次電池。
  2. 前記負極は、RS/RO≦0.1、およびRP/RO≦0.6を満たす、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3. 前記負極は、800≦RS≦1600、4000≦RP≦9000および15000≦RO≦16000を満たす、請求項1又は2に記載のリチウム二次電池。
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