JP2018092704A - リチウム二次電池 - Google Patents

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広幸 中野
奥田 匠昭
Naruaki Okuda
匠昭 奥田
健太 石井
Kenta Ishii
健太 石井
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Abstract

【課題】リチウム二次電池の安全性及び電池性能を共に高める。
【解決手段】リチウム二次電池20は、正極22と、リチウムイオンを吸蔵放出する負極23と、炭酸エステルとフッ素含有リン酸エステルと支持塩と酸素含有ホウ素化合物とを含み、フッ素含有リン酸エステルと炭酸エステルとの全体に対するフッ素含有リン酸エステルの量が10体積%を超える範囲であり、リチウムイオンを伝導する非水電解液27と、を備えたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、リチウム二次電池に関する。
従来、リチウム二次電池としては、環状カーボネートとビニレンカーボネートとフッ素化環状カーボネートとリン酸エステルとを含む非水電解液を用いたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この非水電解液では、難燃性及び充放電サイクル特性を両立し、電池の長寿命化を実現することができるとしている。
特開2011−187410号公報
しかしながら、上述の特許文献1のリチウム二次電池では、難燃性及び充放電サイクル特性を両立するとしているが、まだ十分ではなく、安全性と共に、電池性能を更に高めることが望まれていた。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、安全性及び電池性能を共に高めることができるリチウム二次電池を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、所定量のフッ素含有リン酸エステルと酸素含有ホウ素化合物とを電解液に加えると、安全性及び電池性能を共に高めることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本明細書で開示するリチウム二次電池は、
正極と、
リチウムイオンを吸蔵放出する負極と、
炭酸エステルとフッ素含有リン酸エステルと支持塩と酸素含有ホウ素化合物とを含み、
前記フッ素含有リン酸エステルと前記炭酸エステルとの全体に対する前記フッ素含有リン酸エステルの量が10体積%を超える範囲であり、リチウムイオンを伝導する電解液と、
を備えたものである。
このリチウム二次電池では、安全性及び電池性能を共に高めることができる。このような効果が得られる理由は、以下のように推測される。例えば、リチウム二次電池に一般的に用いられている炭酸エステル系電解液は可燃性であることから、難燃性のフッ素含有リン酸エステルを非水系電解液に添加し、難燃化する試みがなされている。しかしながら、この方法により、電解液の難燃性は向上するが、負極(例えば、黒鉛)の充放電特性は大きく低下する。このため、フッ素含有リン酸エステルを多量に添加することはできず、電池性能(エネルギー密度)と安全性を両立させることは困難であった。このリチウム二次電池では、フッ素含有リン酸エステルを加えると共に、更に酸素含有ホウ素化合物を電解液に添加することにより、負極の充放電特性低下を抑制することができる。この理由は、酸素含有ホウ素化合物が負極表面で分解して形成される被膜が、フッ素含有リン酸エステルの還元分解を抑制するため、負極の充放電特性低下が抑制できるものと考えられる。また、この充放電特性の低下を抑制することができることから、フッ素含有リン酸エステルを10体積%超過など多量に添加することによって、自己消火性を付与することができ、更に安全性を高めることができる。
リチウム二次電池20の構成の一例を示す模式図。 TFEP及び被膜形成剤の添加と放電容量との関係図。
本実施形態で説明するリチウム二次電池は、正極と、リチウムイオンを吸蔵放出しうる負極活物質を有する負極と、正極と負極との間に介在しリチウムイオンを伝導する電解液とを備えている。
この正極は、リチウムイオンを吸蔵放出しうる正極活物質を含むものとしてもよい。この正極は、例えば正極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。正極活物質としては、遷移金属元素を含む硫化物や、リチウムと遷移金属元素とを含む酸化物などを用いることができる。具体的には、TiS2、TiS3、MoS3、FeS2などの遷移金属硫化物、基本組成式をLi(1-x)MnO2(0<x<1など、以下同じ)やLi(1-x)Mn24などとするリチウムマンガン複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)CoO2などとするリチウムコバルト複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)NiO2などとするリチウムニッケル複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)NiaCobMnc2(a+b+c=1)などとするリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、基本組成式をLiV23などとするリチウムバナジウム複合酸化物、基本組成式をV25などとする遷移金属酸化物などを用いることができる。これらのうち、リチウムの遷移金属複合酸化物、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiNi1/3Co1/3Mn1/32、LiV23などが好ましい。なお、「基本組成式」とは、他の元素を含んでもよい趣旨である。導電材は、正極の電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、導電材としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、カーボンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、スルホン化EPDMゴム、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。正極活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1〜500μmのものが用いられる。
このリチウム二次電池の負極は、負極活物質と集電体とを密着させて形成したものとしてもよいし、例えば負極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の負極材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素質材料、複数の元素を含む複合酸化物、導電性ポリマーなどが挙げられる。炭素質材料は、例えば、コークス類、ガラス状炭素類、グラファイト類、難黒鉛化性炭素類、熱分解炭素類、炭素繊維などが挙げられる。このうち、人造黒鉛、天然黒鉛などのグラファイト類が、金属リチウムに近い作動電位を有し、高い作動電圧での充放電が可能であり支持塩としてリチウム塩を使用した場合に自己放電を抑え、且つ充電時における不可逆容量を少なくできるため、好ましい。複合酸化物としては、例えば、リチウムチタン複合酸化物やリチウムバナジウム複合酸化物などが挙げられる。負極活物質としては、このうち、炭素質材料、特に黒鉛が安全性及び電池性能を共に高めることができ、好ましい。また、負極に用いられる導電材、結着材、溶剤などは、それぞれ正極で例示したものを用いることができる。負極の集電体には、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金などのほか、接着性、導電性及び耐還元性向上の目的で、例えば銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものも用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状は、正極と同様のものを用いることができる。
このリチウム二次電池の電解液としては、支持塩を含む非水系電解液などを用いることができる。この電解液は、炭酸エステルとフッ素含有リン酸エステルと支持塩と酸素含有ホウ素化合物とを含むものである。炭酸エステルとしては、例えば、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類や、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート、エチル−n−ブチルカーボネート、メチル−t−ブチルカーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート、t−ブチル−i−プロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート類などが挙げられる。なお、この電解液には、炭酸エステルのほかに、エステル類、エーテル類、ニトリル類、フラン類、スルホラン類及びジオキソラン類などのうち1以上の他の溶媒が添加されてもよい。この他の溶媒は、電解液に含まれないものとしてもよく、電解液の性状が変更されない程度、少ない量(例えば、10体積%以下)で添加されるものとしてもよい。
この電解液は、式(1)の化合物をフッ素含有リン酸エステルとして含むものとしてもよい。式(1)において、R1〜R3における有機基としては、鎖状又は環状のアルキル基の一部の水素をフッ素化したフッ素化アルキル基などが好適である。フッ素を含むことにより、難燃性をより高め、自己消火性、即ち、着火したのち自然に消火する効果を発現することができる。フッ素化アルキル基は、例えば、炭素数が、1以上10以下のものとしてもよく、1以上6以下としてもよく、1以上3以下としてもよい。フッ素化アルキル基は、アルキル基の一部の水素がフッ素化していてもよいし全部の水素がフッ素化していてもよい。フッ素化アルキル基としては、フッ素化メチル基、フッ素化エチル基、フッ素化プロピル基、などが好適であり、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、などがより好適である。有機基は、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基、フッ素化メチル基、フッ素化エチル基、フッ素化プロピル基、からなる群より選ばれる1以上であることが好ましい。また、式(1)において、R1〜R3は3つ全てが同じであることが好ましい。例えば、R1〜R3の全てが2,2,2−トリフルオロエチル基であるトリス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスフェート(TFEP)などが好ましい。
Figure 2018092704
この電解液は、フッ素含有リン酸エステルと炭酸エステルとの全体に対するフッ素含有リン酸エステルの量が10体積%を超える範囲である。即ち、フッ素含有リン酸エステルと炭酸エステルとの体積比が10/90を超える範囲である。フッ素含有リン酸エステルの量が10体積%を超えるものとすると、電解液に自己消火性を付与することができる。このフッ素含有リン酸エステルと炭酸エステルとの全体に対するフッ素含有リン酸エステルの量は、20体積%以上70体積%以下の範囲であることが好ましく、20体積%以上50体積%以下の範囲であることがより好ましい。即ち、このフッ素含有リン酸エステルと炭酸エステルとの体積比は、20/80以上70/30以下の範囲であることが好ましく、20/80以上50/50以下の範囲であることがより好ましい。このような範囲内では、自己消火性を有すると共に、電池容量の低下をより抑制することができる。なお、電池容量の低下を許容して自己消火性を向上する場合は、フッ素含有リン酸エステルの量は、50体積%以上70体積%以下の範囲であるものとしてもよい。
この電解液は、負極表面に被膜を形成する被膜形成剤として酸素含有ホウ素化合物を含むものとしてもよい。また、この電解液は、酸素含有ホウ素化合物として、シュウ酸イオンがホウ素に結合したオキサラト構造を有する化合物を含むものとしてもよい。例えば、この電解液は、式(2)、(3)に示すBFO及びBOBから選ばれる1種以上をアニオンとして含む化合物を酸素含有ホウ素化合物として含むものとしてもよい。この酸素含有ホウ素化合物のカチオンは、特に限定されないが、リチウムであることが好ましい。この酸素含有ホウ素化合物は、リチウムビスオキサラトボレート(LiBOB)であることが好ましい。この電解液は、酸素含有ホウ素化合物を10mmol/L以上1000mmol/L以下の範囲で含むことが好ましく、20mmol/L以上100mmol/L以下の範囲で含むことがより好ましい。
Figure 2018092704
この電解液に含まれている支持塩は、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiSbF6、LiSiF6、LiAlF4、LiSCN、LiClO4、LiCl、LiF、LiBr、LiI、LiAlCl4などが挙げられる。このうち、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4などの無機塩、及びLiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23などの有機塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上の塩を組み合わせて用いることが電気特性の点から見て好ましい。この支持塩は、非水電解液中の濃度が0.1mol/L以上5mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上2mol/L以下であることがより好ましい。支持塩を溶解する濃度が0.1mol/L以上では、十分な電流密度を得ることができ、5mol/L以下では、電解液をより安定させることができる。
このリチウム二次電池は、負極と正極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、リチウム二次電池の使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の薄い微多孔膜が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
このリチウム二次電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。図1は、コイン型のリチウム二次電池20の構成の概略を表す断面図である。このリチウム二次電池20は、カップ形状のケース21と、正極活物質を有しこのケース21の下部に設けられた正極22と、負極活物質を有し正極22に対してセパレータ24を介して対向する位置に設けられた負極23と、絶縁材により形成されたガスケット25と、ケース21の開口部に配設されガスケット25を介してケース21を密封する封口板26と、を備えている。このリチウム二次電池20は、正極22と負極23との間の空間に非水電解液27を備えている。このリチウム二次電池20において、負極23は、リチウムイオンを吸蔵放出する負極活物質(例えば黒鉛)を含んでいる。また、非水電解液27には、炭酸エステルとフッ素含有リン酸エステルと支持塩と酸素含有ホウ素化合物とが含まれており、フッ素含有リン酸エステルと炭酸エステルとの体積比が10/90を超える範囲で含まれている。
以上詳述したリチウム二次電池では、安全性及び電池性能を共に高めることができる。このような効果が得られる理由は、以下のように推測される。例えば、リチウム二次電池に一般的に用いられている炭酸エステル系電解液は可燃性であることから、難燃性のフッ素含有リン酸エステルを非水系電解液に添加し、難燃化する試みがなされている。しかしながら、この方法により、電解液の難燃性は向上するが、負極(例えば、黒鉛)の充放電特性は大きく低下する。このため、フッ素含有リン酸エステルを多量に添加することはできず、電池性能(エネルギー密度)と安全性を両立させることは困難であった。このリチウム二次電池では、フッ素含有リン酸エステルを加えると共に、更に酸素含有ホウ素化合物を電解液に添加することにより、負極の充放電特性低下を抑制することができる。この理由は、酸素含有ホウ素化合物が負極表面で分解して形成される被膜が、フッ素含有リン酸エステルの還元分解を抑制するため、負極の充放電特性低下が抑制できるものと考えられる。また、この充放電特性の低下を抑制することができることから、フッ素含有リン酸エステルを多量に添加することによって、自己消火性を付与することができ、更に安全性を高めることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば上述した実施形態では、正極は、リチウムイオンを吸蔵放出するリチウムイオン二次電池を主として説明したが、負極がリチウムイオンを吸蔵放出するものとすれば、正極は特にこれに限られない。電解液に含まれる酸素含有ホウ素化合物やフッ素含有リン酸エステルは、正極に影響せず、負極に作用するためである。したがって、このリチウム二次電池は、リチウムイオン二次電池のほか、電気二重層キャパシタ、電気化学キャパシタなど、各種蓄電デバイスなどとすることができる。
以下には、本発明のリチウム二次電池を具体的に作製した例を実験例として説明する。なお、実験例4〜7が実施例に相当し、実験例1〜3、8〜13が比較例に相当する。
[実験例1]
エチレンカーボネート(EC)/ジメチルカーボネート(DMC)/エチルメチルカーボネート(EMC)を体積比で30/40/30で含むものを溶媒とした(CBNTとも称する)。この溶媒(CBNT)に、LiPF6を1mol/L、リチウムビスオキサラトボレート(LiBOB)を50mmol/L溶解させ、得られたものを実験例1の電解液とした。正極は、コバルトとマンガンをドープしたニッケル酸リチウム(LiNi1/3Co1/3Mn1/32;NCM)、カーボンブラック(CB)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を質量の配合比で、92:5:3となるよう混合したものをN−メチルピロリドン(NMP)中に分散させ、得られたペーストを、アルミニウム箔に塗布したのち、乾燥させた。この乾燥体をプレスし、得られたものを正極とした。負極は、黒鉛、カルボキシメチルセルロース(CMC)、スチレンブタジエンゴム(SBR)を質量の配合比で96:2:2となるよう混合したものを水中で分散させ、得られたペーストを、銅箔に塗布したのち、乾燥させた。この乾燥体をプレスし、得られたものを負極とした。アルゴン雰囲気中で、正極もしくは負極と、上記作製した電解液を染み込ませたポリエチレン多孔体を介してリチウム金属箔とを対向させ、密閉することで、電気化学セルとした。
[実験例2〜7]
溶媒を、トリス(2,2,2−トリフルオロエチル)ホスフェート(TFEP、式(4))とCBNTとを体積比でTFEP/CBNT=5/95で混合したものに変更した以外は、実験例1と同様の工程を経て得られたものを実験例2の電解液及び電気化学セルとした。同様に、体積比でTFEP/CBNT=10/90、20/80、30/70、50/50、70/30で混合したものに変更した以外は、実験例1と同様の工程を経て得られたものを、それぞれ実験例3〜7の電解液及び電気化学セルとした。
Figure 2018092704
[実験例8〜10]
溶媒にLiBOBを加えずに、体積比でTFEP/CBNT=0/100、30/70、70/30で混合したものに変更した以外は、実験例1と同様の工程を経て得られたものを、それぞれ実験例8〜10の電解液及び電気化学セルとした。
[実験例11〜13]
LiBOBの代わりに、リチウムジフルオロビスオキサラトホスフェート(LPFO)を50mmol/L添加した以外は実験例5と同様の工程を経て得られたものを実験例11の電解液及び電気化学セルとした。また、LiBOBの代わりに、ビニレンカーボネート(VC)を50mmol/L添加した以外は実験例5と同様の工程を経て得られたものを実験例12の電解液及び電気化学セルとした。また、溶媒にLiBOBを加えずに、LiPF6の代わりに、LiBF4を1mol/L添加した以外は実験例5と同様の工程を経て得られたものを実験例13の電解液及び電気化学セルとした。
(着火試験)
上記作製した電解液100μLを60mm×10mm×0.02mmのポリエチレン多孔体に染み込ませたものに、800℃の炎を近付けて着火させ、炎を離した後に自己消火性を示すか否かを目視により確認した。自己消火したものを「○」、自己消火しなかったものを「×」として評価した。
(充放電試験)
上記作製した正極に対しては3.0V〜4.2Vとし、上記作製した負極に対しては0.05V〜1.5Vの範囲で、0.05Cレート、20℃の条件で充放電試験を行った。ただし、負極については、電極の電位低下の影響を考慮し、充電終止電圧である0.05Vに到達後、電流値が0.05Cレートの1/5以下になるまで電圧を0.05Vに保持した。
(結果と考察)
図2は、TFEP及び被膜形成剤の添加と放電容量との関係図である。表1に実験例1〜13の組成、自己消火性及び放電容量の測定結果をまとめた。表1に示すように、TFEPの添加量が10体積%以下である実験例1〜3、8では自己消火性を示さなかった。TFEPの添加量が10体積%を超えると、特に、TFEPが20体積%以上である実験例4〜7、9〜12で自己消火性を示し、電解液の化学的安定性が極めて高くなることがわかった。また、TFEPを添加しない実験例8では、被膜形成剤(LiBOBなど)を添加しなくても、黒鉛負極は理論容量に近い放電容量(345.4mAh/g)を示した。一方、TFEPを添加した実験例9、10では、負極の放電容量が大きく低下した。この要因は、充電時にTFEPが黒鉛負極表面で還元分解され、抵抗層が形成されたためであると考えられる。
Figure 2018092704
そこで、TFEPの還元分解をより抑制するため、被膜形成剤(LPFO、VC、LiBOB)を添加してその影響を検討した(実験例11、12、5)。その結果、LiBOBを添加した実験例5では、例えば、放電容量の低下をより抑制できることがわかった。この要因は、例えば、以下の通り考えられる。上記3種類の被膜形成剤はいずれも充電時に、黒鉛表面で還元分解され、被膜を形成することが知られている。これらの中でLiBOBでは、形成した被膜中にもホウ素が含まれており、このホウ素を含んだ被膜で黒鉛表面を保護することにより、TFEPの還元分解を特異的に抑制しているものと考えられた。また、ホウ素を含むLi塩としてLiBF4を溶解させた実験例13では、負極放電容量は122.6mAh/gと低い値であった。この要因は、LiBF4は黒鉛表面で十分な量が分解されず、被膜を形成しなかったためであると考えられた。よって、負極特性向上に効果を示すホウ素を含む添加剤は、黒鉛表面で分解して被膜を形成できるものに限ると考えられた。
次に、TFEP添加量とLiBOB添加効果について考察した。TFEP/CBNTが30/70である実験例5、9について、黒鉛負極の放電容量は、LiBOBなしの実験例9では161.2mAh/gであるのに対して、LiBOBを添加した実験例5では341.7mAh/gであり、LiBOBの添加により、負極の放電容量低下抑制効果が確認された。TFEP比を増加させた実験例7、10についても、同様に、LiBOBの添加による負極放電容量の低下抑制効果が確認できた。LiBOBの添加効果は、TFEP混合量が0〜70体積%の範囲で効果があることが分かった。なお、TFEPの添加の有無、及び添加量を変更させた実験例の正極の放電容量は、理論容量にほぼ等しい150〜154mAh/gの範囲であり、TFEPを添加しても正極の放電容量には影響しないことが分かった。
以上の結果より、10体積%を超える、特に20体積%以上のTFEPの添加により、既存の有機電解液に自己消化性を付与でき、高安全化ができることがわかった。また、更にLiBOBを用いることにより、TFEPを添加したときの黒鉛負極の特性低下を抑制することができることがわかった。更に、負極の被膜形成剤において、LiBOBは特異的に黒鉛負極の特性低下を抑制することがわかったが、これはホウ素を含んだ被膜が良好に機能しているためであると推察された。更にまた、ホウ素化合物であるLiBF4を支持塩に用いた場合、それのみでは黒鉛負極の充放電特性に対する効果はないことがわかった。これは、LiBF4が黒鉛負極表面で被膜を形成しにくいためであると推察された。すなわち、添加剤として用いるホウ素化合物は、黒鉛表面で分解し、被膜を形成するものでなければならないと推察された。そしてまた、LiBOBの電解液への添加は、TFEP添加量が0体積%〜70体積%の範囲で効果を示すことがわかった。また、黒鉛負極の充放電特性と電解液の安全性を考慮した場合、TFEPの添加量は、20体積%〜50体積%の範囲が好ましいことがわかった。そして更に、TFEPの添加は、正極の放電容量に影響しなかった。したがって、TFEPとLiBOBを添加した電解液と、正極と、負極とを組み合わせてリチウム二次電池を提供することができることがわかった。
なお、本発明は上述した実施例に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
本発明は、二次電池の技術分野に利用可能である。
20 リチウム二次電池、21 ケース、22 正極、23 負極、24 セパレータ、25 ガスケット、26 封口板、27 非水電解液。

Claims (6)

  1. 正極と、
    リチウムイオンを吸蔵放出する負極と、
    炭酸エステルとフッ素含有リン酸エステルと支持塩と酸素含有ホウ素化合物とを含み、前記フッ素含有リン酸エステルと前記炭酸エステルとの全体に対する前記フッ素含有リン酸エステルの量が10体積%を超える範囲であり、リチウムイオンを伝導する電解液と、
    を備えたリチウム二次電池。
  2. 前記電解液は、前記フッ素含有リン酸エステルの量が20体積%以上70体積%以下の範囲である、請求項1に記載のリチウム二次電池。
  3. 前記電解液は、前記フッ素含有リン酸エステルの量が50体積%以下の範囲である、請求項1又は2に記載のリチウム二次電池。
  4. 前記電解液は、式(1)の化合物を前記フッ素含有リン酸エステルとして含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
    Figure 2018092704
  5. 前記電解液は、式(2)、(3)に示すBFO及びBOBから選ばれる1種以上をアニオンとして含む化合物を前記酸素含有ホウ素化合物として含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
    Figure 2018092704
  6. 前記電解液は、前記酸素含有ホウ素化合物を10mmol/L以上1000mmol/L以下の範囲で含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウム二次電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020003639A (ja) * 2018-06-28 2020-01-09 株式会社沖データ 加熱ユニットおよび画像形成装置

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