JP6045836B2 - ポリエーテルスルホンの製造方法 - Google Patents
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Description
[1]重合槽内でジハロゲノジフェニルスルホンおよびビスフェノール類をアルカリ金属塩の存在下、第1の溶剤中で重縮合反応させ、重合槽内の重合物が所定粘度に到達した時点で重合物を重合槽から抜き出すポリエーテルスルホンの製造方法であって、前記重縮合反応の進行に伴って重合槽内の重合物が所定粘度に到達した時点で第2の溶剤を添加して攪拌すると共に、重合槽からの重合物抜き出し開始からT×0.25(時間)以内(ただしTは抜き出し開始から終了までの総時間)で攪拌を停止することを特徴とする、ポリエーテルスルホンの製造方法。
[2]前記重合槽内の重合物が所定粘度に到達した時点での第2の溶剤の添加量は溶剤の全使用量の20〜40質量%とする、[1]記載のポリエーテルスルホンの製造方法。
[3]前記重縮合反応において(ジハロゲノジフェニルスルホンのモル数)/(ビスフェノール類のモル数)が1.00〜1.03である、[1]または[2]記載のポリエーテルスルホンの製造方法。
[4]ポリエーテルスルホンの抜き出し時の前記攪拌における動力数 Np(Np = P/ρn3d5:測定された撹拌所要動力 P [W] 、重合物密度 ρ [kg/m3]、撹拌回転数 n [s-1]および撹拌翼径 d [m])が3.2〜6.4である、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリエーテルスルホンの製造方法。
[5]前記ジハロゲノジフェニルスルホンが、4,4'−ジクロロジフェニルスルホンである、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリエーテルスルホンの製造方法。
[6]前記ビスフェノール類が4,4'−ビスフェノールスルホンである、[1]〜[5]のいずれかに記載のポリエーテルスルホンの製造方法。
[7]前記所定粘度がゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定された重合物の重量平均分子量(Mw)と標準物質に基づく相関式とから算出された還元粘度(RV)である、[1]〜[6]のいずれかに記載のポリエーテルスルホンの製造方法。
[8]前記還元粘度が0.65以上、0.90以下である、[7]に記載のポリエーテルスルホンの製造方法。
[9]前記還元粘度が0.80を超える前に撹拌を停止する、[1]〜[8]のいずれかに記載のポリエーテルスルホンの製造方法。
[10]前記第2の溶剤の温度が、所定粘度に到達した時点での反応温度よりも低い[1]〜[9]のいずれかに記載のポリエーテルスルホンの製造方法。
[11]所定粘度に到達した時点での反応温度Tp1(℃)と、この時点で添加する第2の溶剤の温度Tp2(℃)の差:Tp1−Tp2(℃)が、50℃以上である[1]〜[10]のいずれかに記載のポリエーテルスルホンの製造方法。
[12]所定粘度に到達して第2の溶剤を添加する時に、重合槽の加熱温度を下げる[1]〜[11]のいずれかに記載のポリエーテルスルホンの製造方法。
[13]所定粘度に到達した時点での反応温度Tp1(℃)と、第2の溶剤添加後の加熱温度Tp3(℃)の差:Tp1−Tp3(℃)が、20〜100℃である[1]〜[12]のいずれかに記載のポリエーテルスルホンの製造方法。
[14]前記重縮合反応において(アルカリ金属塩のモル数)/(ビスフェノール類のモル数)が1.04以上、1.05以下である、[1]〜[13]のいずれかに記載のポリエーテルスルホンの製造方法。
[15]前記第1の溶剤と、第2の溶剤とが同じである[1]〜[14]のいずれかに記載のポリエーテルスルホンの製造方法。
[16]前記第2の溶剤がポリアリール化合物である[1]〜[15]のいずれかに記載のポリエーテルスルホンの製造方法。
[17]前記アルカリ金属塩がアルカリ金属炭酸塩又はアルカリ金属水酸化物である[1]〜[16]のいずれかに記載のポリエーテルスルホンの製造方法。
重縮合反応において、ビスフェノール類に対するジハロゲノジフェニルスルホンの仕込み量、すなわち(ジハロゲノジフェニルスルホンのモル数)/(ビスフェノール類のモル数)の比は好ましくは1以上、より好ましくは1.00〜1.03であるのがよい。
GPC−RVとはゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と相関式から簡易的に算出された還元粘度(RV)をいう。GPC−RVが前記所定範囲内であれば溶剤を添加した後に、重合物の重合槽からの抜き出しを開始する。GPC−RVが前記範囲外の場合はさらに攪拌を続け、重縮合反応の最終温度に到達した時から(t1+t2)時間(=1.2〜2.0hr)後に再度サンプリングを行い、GPC−RVが所定範囲内にあるか否かの判断を前記と同様に行う。そして前記所定範囲内であれば溶剤を添加した後に、重合物の重合槽からの抜き出しを開始する。範囲外であれば重縮合反応の最終温度に到達した時から(t1+t2+t3)時間(=2〜3hr、ただしt3≧0.5時間とする。)後に溶剤を添加して希釈し、ついで重合物の重合槽からの抜き出しを開始する。ただし攪拌動力数の値が4.8以上に達した場合は、前記フローチャートに関係なくその時点で第2の溶剤を添加せずに重合物の重合槽からの抜き出しを開始する。
前記第2の溶剤の温度は、重縮合反応温度または所定粘度に到達した時点での反応温度よりも低いことが好ましい。所定粘度に到達した時点での反応温度Tp1(℃)と、この時点で添加する第2の溶剤の温度Tp2(℃)の差:Tp1−Tp2(℃)は、例えば、好ましくは50℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは120℃以上である。Tp1−Tp2(℃)の上限は特に限定されないが、第2溶剤の温度が低すぎると、重合物または溶剤の析出が部分的に発生し、重合物が不均一となり重合進行が不安定となり、好ましくない。従って第2の溶剤は、添加前に予備加熱しておく事が望ましく、Tp1−Tp2(℃)は、例えば、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、さらに好ましくは160℃以下とする。例えば、第2の溶剤を温度100〜170℃まで予備加熱した後に、攪拌下、重合槽に添加するのが好ましい。この溶剤の添加によって重合槽の内温を短時間で下げることができる。
また抜き出し開始から撹拌停止までの時間は、例えば、好ましくはT×0.05(時間)以上、より好ましくはT×0.10(時間)以上、さらに好ましくはT×0.15(時間)以上、特にT×0.18(時間)以上とすることが推奨される。
なお還元粘度(GPC−RV)が、例えば、0.80を超える前に撹拌を停止できれば、より確実に解重合を防止できる。
東ソー(株)社製のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(商品名:HLC−8220GPC)を使用して、以下の条件のもと、試料であるポリエーテルスルホンの重量平均分子量(Mw)を求める。あらかじめ還元粘度(RV)が既知である標準試料を用いて、MwとRVの関係を示す相関式を出しておき、その式に試料のMwを当てはめ、試料の還元粘度(RV)を求める。還元粘度が既知である標準試料として、RVが0.705、0.723、0.768、0.887であるポリエーテルスルホンを用いた場合、MwとRVの関係を示す相関式は、例えば、RV=4.565×10-6×Mw+3.040×10-1で示される(式A)。また、Mwを求める際の標準試料として標準ポリスチレンShodex STANDARD SM−105を用いた場合、溶出時間t(分)と分子量 Mw の関係を示す関係式は、例えば Mw = At3 + Bt2 + Ct + D (A=9.220656×10-3、B= -1.761955×10-1、C=2.904533×10-1、D=9.505696)で表される(式B)。以上により、ポリエーテルスルホンのGPC溶出時間を式Bに代入して、得られたMwを式Aに代入すれば、還元粘度を求めることができる。
(測定条件)
カラム:TSKgel SuperHZM−M(内径4.6mm、長さ15cm)
移動相:10mmol/L濃度のLi-Brを溶解させたジメチルホルムアミド(DMF)
流速:0.1〜0.2ml/分
検出部:RIおよびUV(300nm)
ポリエーテルスルホンの原料モノマーとして4,4'−ビスフェノールスルホン(Bis−S)を100質量部、ジクロロジフェニルスルホン(DCDPS)を(DCDPSのモル数)/(Bis−Sのモル数)が1.019となるように117.0質量部、溶剤としてジフェニルスルホン(DPS)を116.2質量部(溶剤の全使用量の70質量%)および触媒として炭酸カリウム(CAB)を(CABのモル数)/(Bis−Sのモル数)が1.045となるように57.7質量部を重合槽に仕込み、重合槽内を保温するための熱媒ジャケットの設定温度を290℃に設定し、攪拌動力数3.2〜5.6で攪拌しながら重縮合反応させた。
表1に示すようにポリエーテルスルホンの重合槽からの抜き出しにおける攪拌時間を2.0時間とし、抜き出し開始から終了までの総時間を6.0時間、攪拌動力数3.2〜5.9とした他は、実施例1と同様にしてポリエーテルスルホンの製造を行った。
表1に示すようにポリエーテルスルホンの原料モノマーのDCDPSおよびBis−Sの仕込み量を(DCDPSのモル数)/(Bis−Sのモル数)が1.020となるように前出の4,4'−ビスフェノールスルホン(Bis−S)を100質量部、前出のジクロロジフェニルスルホン(DCDPS)を117.0質量部とした。そしてGPC−RVが0.670となったことを確認した時点でポリエーテルスルホンの重合槽からの抜き出しを開始し、この抜き出しにおける攪拌動力数を1.6とし、抜き出し開始からの攪拌時間を1.5時間とした他は、実施例1と同様にしてポリエーテルスルホンの製造を行った。なお抜き出し開始から終了までの総時間は6.0時間であった。
(DCDPSのモル数)/(Bis−Sのモル数)の比が1.020で、かつ溶剤を添加せずに、さらに重縮合の攪拌を停止せずにポリエーテルスルホンの重合槽からの抜き出しを行った他は、実施例1と同様にしてポリエーテルスルホンの製造を行った。
攪拌機を備える1Lのセパラフラスコに、実施例1で得たポリエーテルスルホン100質量部をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)732.5質量部中に加え、60℃で保温したまま200rpmで1〜2時間攪拌してポリエーテルスルホンをNMPに完全に溶解させ、溶解後この溶液を室温まで冷却した。次にメッシュ孔10μm、直径47mmのフィルター「LCWP04700」(日本ミリポア社製)を取り付けたろ過器と、吸引瓶と、バキュームコントローラー(岡野製作所社製)とを用いて、バキュームコントローラーで4kPaに減圧して前記溶液300mlをろ過し、そのろ過に要した時間を測定した。また比較例3のポリエーテルスルホンについても同様にろ過性評価試験を行った。これらの結果を表2に示す。
本発明の製造方法で得られたポリエーテルスルホンは、人工透析用の膜等に限られず、電子・電気部品をはじめ、自動車、医療、食品、塗料等の広範な用途で使用することができる。
Claims (6)
- 重合槽内でジハロゲノジフェニルスルホンおよびビスフェノール類をアルカリ金属塩の存在下、第1の溶剤中で重縮合反応させ、重合槽内の重合物が、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定された重合物の重量平均分子量(Mw)と、還元粘度(RV)と重量平均分子量(Mw)が既知である標準物質に基づく相関式とから算出された還元粘度(RV)である所定粘度に到達した時点で重合物を重合槽から抜き出すポリエーテルスルホンの製造方法であって、
前記所定粘度が、還元粘度(RV)で0.65以上0.90以下であり、前記重縮合反応の進行に伴って重合槽内の重合物が前記所定粘度に到達した時点で第2の溶剤を添加して攪拌すると共に、重合槽からの重合物抜き出し開始からT×0.25(時間)以内(ただしTは抜き出し開始から終了までの総時間)で攪拌を停止することを特徴とする、ポリエーテルスルホンの製造方法。 - 前記重合槽内の重合物が前記所定粘度に到達した時点での第2の溶剤の添加量は溶剤の全使用量の20〜40質量%とする、請求項1記載のポリエーテルスルホンの製造方法。
- 前記重縮合反応において(ジハロゲノジフェニルスルホンのモル数)/(ビスフェノール類のモル数)が1.00〜1.03である、請求項1または請求項2記載のポリエーテルスルホンの製造方法。
- 前記攪拌における動力数が3.2〜6.4である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエーテルスルホンの製造方法。
- 前記ジハロゲノジフェニルスルホンが、4,4'−ジクロロジフェニルスルホンである請求項1〜4のいずれかに記載のポリエーテルスルホンの製造方法。
- 前記ビスフェノール類が4,4'−ビスフェノールスルホンである、請求項1〜5のいずれかに記載のポリエーテルスルホンの製造方法。
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