JP3910896B2 - ポリフェニレンエーテルを製造する方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリフェニレンエーテルの効率的な生産を実現するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
フェノール性化合物を触媒の存在下、酸素を反応させポリフェニレンエーテルを得る方法では、重合により酸素の最終還元体である水が発生する。この水はしばしば触媒の加水分解をもたらし、活性を低下させ、ポリフェニレンエーテルの分子量が上がらないという問題点を有している。この為、活性を保持するための数々の方法が提案されている。第一に、系中に水を保持させつつ活性を維持する方法として、第4級アンモニウム塩を用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1 参照)。しかしながらこの様な添加剤を用いる方法は、添加量が少ないとはいえ、コストの増大をもたらす。
【0003】
第二の方法は水と相溶性のある溶剤を用い、水を可溶化する方法でありこれは自明のことであろう。溶剤としてはしばしばメタノールが用いられる。しかし溶剤としてメタノール等の溶剤のみを用いると得られるポリフェニレンエーテルの分子量は工業的には殆ど興味の持たれない低分子量のものである。これはメタノール等の水と相溶性のある溶媒はしばしばポリフェニレンエーテルの貧溶媒であるため、ポリフェニレンエーテルが低分子量の状態で沈殿してしまい、分子量の増大が望むようにならないことに起因すると思われる。この為ポリフェニレンエーテルと相溶性のある溶媒を混合させた混合溶媒系でしばしば行われる。このことは、溶媒の回収設備の複雑化を誘起する。
【0004】
第三の方法は、触媒自体に耐水性を持たせることである(例えば、特許文献2参照)。これらは幾分か耐水性が改良された方法が見られるものの、完全なる耐性を持つには至っていない。水を系外に排除する方法としては古くは(多くは自明のことであるが)重合混合物に硫酸マグネシウム等の脱水剤を加えたり、モレキュラーシーブを使う等の手段により水を除去し、触媒の活性を維持する方法が行われた(例えば、特許文献3 参照)。また、ポリフェニレンエーテルの連続重合で所望の転化率が達成された後、反応水を遠心分離後、触媒成分を追加する方法が挙げられている(例えば、特許文献4 参照)。この様な方法はポリフェニレンエーテルの分子量を増大させるには有効な方法であるが、水を遠心分離させるとこの中の触媒成分を抜き捨てることになり、触媒の追添を行わねばならずコストが増大するという問題点がある。特に水と相溶性がない溶媒を用いる場合の重合法では水の相分離を誘起することが最大の問題であり未だ不満足なレベルである。
【0005】
【特許文献1】
特公昭59−22736号公報
【特許文献2】
米国特許第4028341号明細書
【特許文献3】
特公昭44−27831号公報
【特許文献4】
米国特許第4477649号明細書 実施例1
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明における課題は、触媒を用いて酸素とフェノール性化合物を反応させてポリフェニレンエーテルを製造する際に発生する水の影響を制御する方法の提供とそのことによって、高効率なポリフェニレンエーテルの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、驚くべきことにある特定の溶媒を用いた場合には、ポリフェニレンエーテルを製造する際に発生する水の影響を制御し、特異的な活性向上および触媒金属の効果的な除去が可能となることを認め本発明に至った。
即ち本発明は、フェノール性化合物を触媒と酸素含有ガスを用いて酸化重合させポリフェニレンエーテルを製造する際、重合溶媒として少なくとも2種の溶媒を用い、少なくとも1種の重合溶媒が他の重合溶媒と40℃において非相溶であり、かつ少なくとも1種の重合溶媒に対する水の溶解度が40℃において5重量%以上であることを特徴とするポリフェニレンエーテルの製造方法である。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられるフェノール性化合物は下記一般式(1)で表される構造の化合物である。
【0008】
【化1】
【0009】
(式中、R1はアルキル基,置換アルキル基,アラルキル基,置換アラルキル基,アリール基,置換アリール基,アルコキシ基,置換アルコキシ基であり、R2はR1について定義されたものと同一の基に加え更にハロゲンであっても良く、R3はR2について定義されたものと同一の基に加え更に水素であっても良い。)
【0010】
該化合物の例としては例えば、2,6−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−エチル−6−n−プロピルフェノール、2−メチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−イソプロピルフェノール、2−メチル−6−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ビス−(4−フルオロフェニル)フェノール、2−メチル−6−トリルフェノール、2,6−ジトリルフェノール等が挙げられる。これらの化合物はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上併用しても良い。また少量のフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,4−ジメチルフェノール、2−エチルフェノール等を含んでいても実質上差し支えない。これらのフェノール性化合物の中で特に2,6−ジメチルフェノールは工業上重要である。
【0011】
本発明は、フェノール性化合物を触媒と酸素含有ガスを用いて酸化重合させポリフェニレンエーテルを製造する際の触媒として、銅、マンガンまたはコバルトからなる群から選ばれる金属の塩と各種アミン、および必要に応じて各種酸との組み合わせからなる触媒を用いて酸化重合される。
本発明における金属の塩としては次のようなものを例示することができる。例えば酸化第一銅、塩化第一銅、臭化第一銅、硫酸第一銅、硝酸第一銅等、および塩化第二銅、臭化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅等が挙げられる。
【0012】
本発明における各種アミンは特に限定されるものではないが、2級モノアミン化合物、ジアミン化合物、3級モノアミン化合物等を2種類以上組み合わせて用いることが好ましい。
本発明において、必要に応じて用いられる各種酸としては次のようなものを例示することができる。例えば塩酸、臭化水素、硫酸、硝酸等が挙げられる。
本発明において用いる重合溶媒は、少なくとも2種の溶媒であって、少なくとも1種の重合溶媒が他の重合溶媒と40℃において非相溶であり、かつ少なくとも1種の重合溶媒に対する40℃における水の溶解度が5重量%以上であることが必須である。つまり、40℃における水の溶解度が5重量%以上である少なくとも1種の重合溶媒を主成分とする相(以下(B)相と略記する)に、ポリフェニレンエーテルを製造する際に発生する水を溶解させることにより、(B)相と非相溶である少なくとも1種の重合溶媒を主成分とする相(以下(A)相と略記する)において、水の影響を受けることなくポリフェニレンエーテルの重合を効率よく進行させることが可能となる。
【0013】
このような溶媒としては、上述した条件を満たす溶媒の組み合わせであれば限定されるものではないが、ポリフェニレンエーテルの重合を効率よく進行させる(A)相を形成する溶媒としては、重合に供するフェノール性化合物を溶解し、触媒混合物の一部または全部を溶解するものが好ましい。このような溶媒の例としては例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロルエタン、トリクロルエタン、クロルベンゼン、ジクロルベンゼン、トリクロルベンゼンの様なハロゲン化炭化水素、ニトロベンゼンの様なニトロ化合物等を挙げることができ、これらは重合体の良溶媒として使用できる。重合体の貧溶媒としてはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の脂肪族炭化水素類、またテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類等も使用できる。これらの溶媒は、2種以上併用しても構わない。
【0014】
40℃における水の溶解度が5重量%以上である性質を持つ(B)相を形成する溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、ギ酸エチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシドの様なスルホキシド類等を挙げることができる。これらの溶媒は、2種以上併用しても構わない。
【0015】
本発明においては、上述した(A)相を形成する少なくとも1種の溶媒に対し、非相溶である(B)相を形成する少なくとも1種の溶媒を選択し、本発明の効果を妨げない限りの量比において組み合わせて用いることができる。
フェノール性化合物を酸化重合させて得られる重合体であるポリフェニレンエーテルの重合終結時の形態は特に限定されないが、重合時に選択する溶媒の種類により、溶液重合法にもなるし、反応の進行とともに重合体が反応溶媒中に粒子として析出するスラリー重合法にもなる。本発明の効果である重合で発生する水の効率的除去により、高活性を発現させる目的においては、溶液重合法を選択することが好ましい。
【0016】
本発明において、全仕込み混合物中に0.1wt%を超えない範囲のテトラアルキルアンモニウム塩化合物、またはポリエチレングリコール基含有アルキルアミンもしくはポリエチレングリコール基含有アルキルアンモニウム塩化合物を含有させてもよい。この様な化合物の代表例としては、Aliquat336(ヘンケル社製)やCapriquat(株式会社 同仁化学研究所製)の商品名で知られるトリオクチルメチルアンモニウムクロライドである。
【0017】
重合反応終了後の後処理方法については、特に制限はない。通常、塩酸や酢酸等の酸、またはエチレンジアミン4酢酸(EDTA)及びその塩、ニトリロトリ酢酸及びその塩等をそのままで、または(B)相を形成する少なくとも1種の溶媒に溶解させた溶液として反応液に加え触媒を失活させる。この重合停止剤の添加は一度にまたは数回に分けてもよい。この重合停止剤とポリフェニレンエーテルを含有する重合溶液との接触時間は特に限定されないが、通常1分から5時間程度である。反応温度は特に制限はないが、通常30℃以上、使用する溶媒の沸点以下に加熱することが触媒金属成分を効率よく除去するためには好ましい。
【0018】
次いで、ポリフェニレンエーテルを含有する(A)相は、重合停止剤を含有する(B)相と静置分離や遠心分離等の工業的に用いられる方法によって分離される。この際、(A)相と(B)相の分離を促進させる目的で、溶媒や添加剤を添加しても構わない。例えば各種界面活性剤や水等が挙げられる。また、(A)相に重合で得られたポリフェニレンエーテルの70重量%以上が存在し、他方の(B)相に重合で用いた触媒金属の70重量%以上が存在する様に各相を形成する溶媒を選択することが好ましい。ここで(A)相に含有するポリフェニレンエーテルの重量は、例えば(A)相の溶媒を蒸発除去させることにより求めることができる。(B)相に存在する触媒金属の重量は、例えば原子吸光を用いて求めることができる。さらに、ポリフェニレンエーテルの含有金属量が10ppm以下になるまで(A)相に対し非相溶である溶媒を繰り返し添加し洗浄することが好ましい。ここでポリフェニレンエーテルの含有金属量とは、(A)相に含有するポリフェニレンエーテル重量に対する、(A)相に存在する触媒金属の重量を示す。
【0019】
その後、(A)相よりポリフェニレンエーテルを分取する。ポリフェニレンエーテルを(A)相から分取する方法は何ら限定させるものではない。例えば貧溶媒と接触させてポリフェニレンエーテルを固形物する方法や、ポリフェニレンエーテルを含む(A)相から揮発性成分を除去する方法等が挙げられる。ここで、ポリフェニレンエーテルを含む(A)相から揮発性成分を除去する方法の一例としては、ポリフェニレンエーテルを含む(A)相を常圧よりも高い圧力(P1)に加圧し、且つ常温よりも高い温度(T1)に加熱し、続いてダイを通して、常圧よりも高く圧力(P1)よりも低い圧力(P2)に加圧され、且つ常温または常温よりも低い温度(T2)に制御された槽に膨張させることでポリフェニレンエーテルを溶媒から分取することができる。この方法における温度、圧力は特に限定されないが、通常、圧力P1は20〜50bar、圧力P2は1.01〜2bar程度であり、温度T1は150〜300℃、温度T2は30℃以下である。
その後、回収されたポリフェニレンエーテルは乾燥工程に送られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次にフェノール性化合物として2,6−ジメチルフェノールを使用し、触媒成分が銅化合物として酸化第一銅、臭素化合物として臭化水素(水溶液で使用)、ジアミン化合物としてN,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン(以下Dtと略記する)、2級モノアミン化合物としてN,N−ジ−n−ブチルアミン(以下DBAと略記する)、3級モノアミンとしてN,N−ジメチル−n−ブチルアミン(以下BDと略記する)を用いた実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるべきではない。
なおポリフェニレンエーテルの粘度(ηsp/c)は重合体を0.5g/100mlのクロロホルム溶液とし30℃においてウベローデ粘度計を用いて測定した値である。単位はdl/gで表す。
【0021】
実施例及び比較例における、一般的手順を以下に述べる。
反応器底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた10リットルのジャケット付き反応器に、触媒成分と各実施例、比較例に記した溶媒を加える。激しく攪拌を開始し、次いで2.4NL/minの流量で酸素ガスをスパージャーより導入し、安全のため気相部に窒素を22NL/minの流量で導入する。次いで2,6−ジメチルフェノールを各実施例、比較例に記した溶媒に溶かした溶液を20分で反応器に添加できる速度で添加を開始する。この時点を重合開始時間とする。2,6−ジメチルフェノール溶液の添加が終わった時点を全仕込み混合物基準の計算値(仕込み値)とする。仕込み値は全ての例で5kgとした。
【0022】
また全仕込み混合物基準の計算値(仕込み値)は次の通りである。500gの2,6−ジメチルフェノール、4469.6gの溶媒総量、0.5856gの酸化第一銅、3.8747gの臭化水素の47%水溶液、1.5518gのDt、19.0543gのBD、5.2906gのDBAである。以上の総量合計が5kgである。溶媒の詳細な仕込み量は各実施例、比較例に記した。重合を100分実施した後、EDTA4ナトリウム塩を各実施例、比較例に記した溶液として加え3分攪拌後、反応器より反応液を少量サンプリングし過剰のメタノールを加えてポリマーを沈殿させ、沈殿させたポリマーを分取後乾燥しηsp/cを測定した。さらに反応器の温度を70℃に上げ150分間攪拌した後、遠心分離機を用いて液液分離を行い、ポリマーを含有する相のポリマー含有量を溶媒の蒸発除去法により求めた。同時に、ポリマーを含有する相に存在する触媒金属量を原子吸光を用いて測定した。
【0023】
【実施例1】
一般的手順で述べた酸化第一銅、臭化水素水溶液、DBA、BD、Dtの全量及び447.0gのエチレングリコール、2355.9gのトルエンを反応器に入れ初期仕込み液を作成した。ここで、エチレングリコールとトルエンは非相溶であり、エチレングリコールと水は任意の割合で溶解する。次いで、反応容器気相部に窒素を導入し、続いて酸素をスパージャーより導入した。上記ガスの通気を開始してから直ちに2,6−ジメチルフェノールの全量を1666.7gのトルエンに溶かした溶液をプランジャポンプを用いて20分で全量を投入し終わる速度で添加を開始した。重合温度は40℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調節した。重合を100分継続した後、2.1重量%のEDTA4ナトリウム塩のエチレングリコール溶液を300g反応器に添加し、3分後に重合液を少量サンプリングし、ηsp/cを測定した。さらに反応器の温度を70℃に上げ150分経過後、遠心分離機を用いて液液分離を実施した。トルエンを主成分とする相を(A)相、エチレングリコールを主成分とする相を(B)相とし、(A)相中のポリマー含有量(g)を測定した。この(A)相中のポリマー含有量(g)と、重合に供したモノマー量(g)より、(A)相に存在するポリフェニレンエーテルの存在割合(重量%)を算出した。ここで、(A)相へのポリフェニレンエーテルの存在割合は以下計算式により算出した。
(A)相中のポリマー含有量(g)/重合に供したモノマー量(g)×100
また、(A)相中に存在する銅量(g)を測定し、重合に供した触媒銅量(g)を用いて、(B)相へ銅の存在割合(重量%)を算出した。ここで、(B)相への銅の存在割合は以下計算式により算出した。
(重合に供した触媒銅量(g)−(A)相中に存在する銅量(g))/重合に供した触媒銅量(g)×100
結果は表1に示した。
【0024】
【比較例1】
実施例1で、エチレングリコールの代わりにメタノールを用いた。メタノールとトルエンは相溶し、本願の請求範囲から外れている。また、重合を100分継続した後、2.1重量%のEDTA4ナトリウム塩の水溶液を300g反応器に添加したが、遠心分離機により液液分離できなかった。よって、ηsp/cの測定値のみ表1に示した。
【0025】
【比較例2】
実施例1でエチレングリコールを使用せずに、溶媒は全量トルエンを用いた。重合溶媒として1種のトルエンを用いたため、本願の請求範囲から外れている。また、重合を100分継続した後、2.1重量%のEDTA4ナトリウム塩の水溶液を300g反応器に添加した。その後遠心分離機を用いて液液分離を実施した際、トルエンを主成分とする相を(A)相、水を主成分とする相を(B)相とした。その他の操作は実施例1と同様の手順で行った。結果は表1に示した。
【0026】
【実施例2】
実施例1でトルエンの代わりにシクロヘキサンを使用した。ここで、エチレングリコールとシクロヘキサンは非相溶である。重合を100分継続した後、2.1重量%のEDTA4ナトリウム塩のエチレングリコール溶液を300g反応器に添加した。その後遠心分離機を用いて液液分離を実施した際、シクロヘキサンを主成分とする相を(A)相、エチレングリコールを主成分とする相を(B)相とした。その他の操作は実施例1と同様の手順で行った。結果は表1に示した。
【0027】
【比較例3】
実施例2で、エチレングリコールを用いずにシクロヘキサン単独で重合を実施した。重合を100分継続した後、2.1重量%のEDTA4ナトリウム塩の水溶液を300g反応器に添加した。その後遠心分離機を用いて液液分離を実施した際、シクロヘキサンを主成分とする相を(A)相、水を主成分とする相を(B)相とした。その他の操作は実施例1と同様の手順で行った。結果は表1に示した。
比較例1は本発明の溶媒とは異なり、相溶する2種の溶媒を用いたため、貧溶媒であるメタノールの影響によりポリフェニレンエーテルのηsp/cが実施例1と比較し低くなり、且つ相分離しないために触媒金属の除去が困難である。比較例2は本発明の溶媒とは異なり、1種の溶媒を用いたため、重合で発生する水の影響により触媒の一部が失活しているため、ηsp/cが実施例1と比較し低い。実施例1は高分子量のポリフェニレンエーテルを製造する目的で、良溶媒であるトルエンを用いた実験である。同様に比較例3は本発明の溶媒とは異なり、1種の溶媒を用いたため、重合で発生する水の影響により触媒の一部が失活しているため、ηsp/cが実施例2と比較し低く、且つ触媒として用いた銅が重合で発生した水により反応器内で析出しており、実施例2と比較し(B)相への触媒銅の存在割合が著しく低下すると共に、未反応のモノマーやオリゴマーが多く存在し、(A)相におけるポリマー含有量も著しく低下している。実施例2は低分子量のポリフェニレンエーテルを製造する目的で、貧溶媒であるシクロヘキサンを用いた実験である。
表1の結果から明らかなように、本発明の溶媒を用いた場合には本発明における重合により発生する水の影響を制御することにより、特異的な活性向上および触媒金属の効果的な除去が可能となっていることが判る。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】
本発明での溶媒を用いて酸素とフェノール性化合物を反応させてポリフェニレンエーテルを製造することにより、発生する水の影響を抑制し、特異的活性向上および触媒金属の効率的な除去を行う方法を提供する事ができ、そのことによって高効率なポリフェニレンエーテルの製造方法を達成することができる。
Claims (4)
- フェノール性化合物を触媒と酸素含有ガスを用いて酸化重合させポリフェニレンエーテルを製造する際、重合溶媒として少なくとも2種の溶媒を用い、少なくとも1種の重合溶媒が他の重合溶媒と40℃において非相溶であり、かつ少なくとも1種の重合溶媒に対する水の溶解度が40℃において5重量%以上であることを特徴とするポリフェニレンエーテルの製造方法であって、40℃における水の溶解度が5重量%以上である少なくとも1種の重合溶媒を主成分とする相((B)相)がエチレングリコールを含む相であることを特徴とするポリフェニレンエーテルの製造方法。
- 重合終結時において、ポリフェニレンエーテルが重合溶媒に溶解していることを特徴とする請求項1記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
- 重合停止剤によりポリフェニレンエーテルの重合を停止した後の重合溶液が少なくとも2相に分離し、一方の相(A)にポリフェニレンエーテルの70重量%以上が存在し、他方の相(B)に触媒として用いた金属の70重量%以上が存在することを特徴とする請求項2記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
- ポリフェニレンエーテルの含有金属量が10ppm以下になるまで(A)相に対し非相溶である溶媒を繰り返し添加し、洗浄することを特徴とする請求項3記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
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