JP2602100B2 - ポリエーテルスルホンの製造方法 - Google Patents

ポリエーテルスルホンの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、重合体からの無機塩化物の分離が容易であ
る、耐熱性および機械的強度に優れた熱可塑性ポリエー
テルスルホンの製造方法に関するものである。
〔従来の技術及びその問題点〕
ポリエーテルスルホンは、二価フェノール、アルカリ
金属化合物および4,4′−ジクロルジフェニルスルホン
とを有機極性溶媒中で反応させて、反応系で二価フェノ
ールのアルカリ金属二塩を合成して、または、二価フェ
ノールのアルカリ金属二塩を予め合成しておいて、4,
4′−ジクロルジフェニルスルホンと有機極性溶媒中で
反応させることによって製造されることが知られている
(特公昭42−7799号、特公昭45−21318号、特開昭48−1
9700号)。二価フェノールを使う重縮合反応において副
成する水を取り除くために、水と共沸物を形成する少量
の有機溶媒が反応系に添加される。
重縮合溶媒として極性の高い適当な有機溶媒を用いる
ことによって、高分子量の重縮合体を反応中に析出させ
ることなく製造することができる。重縮合反応に伴って
アルカリ金属の塩化物が固体として反応系に生成するの
で、この塩化物と重合体を分離する工程が必要となる。
上記の塩化物と重合体を分離する方法としては、
(1)反応溶液に重合体の貧溶媒を添加して重合体を沈
澱析出させた後、重合体の水洗を繰り返す、(2)反応
溶液を濾過、あるいは遠心分離によって塩化物を分離し
た後、貧溶媒を添加して重合体を沈澱析出させる方法が
通常良く採用されている。(1)の方法においては、沈
澱析出させた重合体中に含有される塩化物を充分に水で
溶解分離することが困難である。塩化物の分離効果を高
めるために、有機極性溶媒から粒子状の重合体を分離す
る方法として、非極性溶媒での置換する(特開昭59−74
123号、同59−74125号)、ジアルキルケトンを添加する
(特開昭59−155431号)、反応溶液を噴霧状にして貧溶
媒と接触させる(特開昭49−110791号)ことなどが提案
されている。
前記(2)の方法においては、濾過、あるいは遠心分
離によって塩化物を重合体から完全に除去できる。しか
しながら、重縮合反応が進行し、重合体の分子量が増大
するにつれて、反応溶液の粘度が急激に増加し、この反
応溶液を濾過するたのに必要とする時間は非常に長くな
る欠点がある。
〔問題点解決のための技術的手段〕
本発明者らは、前記問題点を解決することを目的とし
て鋭意研究をした結果、簡単な操作で無機物をほとんど
含まないポリエーテルスルホンの製造方法を見出し本発
明に至った。
本発明は、有機極性溶媒中で、4,4′−ジクロルジフ
ェニルスルホン、二価フェノール化合物および無水アル
カリ金属化合物、または、4,4′−ジクロルジフェニル
スルホンと二価フェノールのアルカリ金属二塩を加熱、
撹拌してポリエーテルスルホンを製造する際に、 ポリエーテルスルホンを含有している80〜100℃の反
応溶液の粘度が1〜100CPに達するまで加熱、撹拌して
重縮合反応を行った後、濾過あるいは遠心分離してアル
カリ金属塩化物を分離する第1工程と、 上記工程で得られた濾過液に無水アルカリ金属化合物
を添加し、再度、加熱、撹拌して重縮合反応を続ける第
2工程と、 からなることを特徴とする高分子量のポリエーテルスル
ホンの製造方法を提供するものである。
以下、本発明の第1及び第2工程について詳しく説明
する。
本発明で有機極性溶媒とは、例えば、ジメチルスルホ
キシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶
媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセト
アミドなどのアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリド
ン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶
媒、ヘキサメチレンスルホキシド、γ−ブチロラクトン
等、あるいは、フェノール、o−、m−、又はp−クレ
ゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール(パラク
ロルフェノール、オルトクロルフェノール、パラブロモ
フェノールなど)、カテコール等のフェノール系溶媒を
挙げることができる。
本発明で用いられる二価フェノール化合物としては、
ハイドロキノン、カテコール、レゾルシン、4,4′−ビ
フェノール、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン類、
ジヒドロキシジフェニルスルホン類、ジヒドロキシジフ
ェニルエーテル類、あるいはそれらのベンゼン環の水素
の少なくとも一つが、適当な置換基(例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基などの低級アルキル基、メト
キシ基、エトキシ基などのアルコキシ基などの置換基)
で置換されたものが挙げられる。二価フェノール化合物
として、上記の化合物を二種類以上混合して用いること
ができる。
本発明で用いられる無水アルカリ金属化合物として
は、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物、アル
カリ金属水素化物、あるいはアルカリ金属アルコキシド
などが挙げられる。特に、炭酸ナトリウムおよび炭酸カ
リウムが好ましい。
二価フェノールを使用する重縮合反応において使用す
る共沸脱水剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、芳香族ハロゲン化物などが挙げられる。
先ず第1工程においては、有機極性溶媒中に二価フェ
ノール化合物と無水アルカリ金属化合物を混合し、4,
4′−ジクロルジフェニルスルホンをさらに添加し、ま
たは、有機極性溶媒中に二価フェノールのアルカリ金属
二塩を混合し、4,4′−ジクロルジフェニルスルホンを
さらに添加して、100〜250℃、好ましくは150〜200℃で
加熱、撹拌して重縮合反応を進めながら、ポリエーテル
スルホンを製造する。有機極性溶媒中に二価フェノール
化合物と無水アルカリ金属化合物を混合する場合には、
二価フェノール化合物に対する無水アルカリ金属化合物
のモル比は、1/0.7〜1/5であり、好ましくは1/1〜1/2で
ある。
前記反応の進行につれて、即ち、重合体の収率、およ
び重合体の分子量が増加するにつれて反応溶液の粘度が
大きくなる。実用的に満足すべく分子量に近づくと、重
合体の分子量が急激に大きくなっており、反応溶液の粘
度も著しく増大する。従って、第1工程では、粘度が急
激に増加する前に、比較的粘度が小さい80〜100℃で粘
度1〜100CP、好ましくは1〜70CPの反応溶液を濾過あ
るいは遠心分離によって、反応溶液中の無機固体を短時
間で簡単に分離する。この時点での4,4′−ジクロルジ
フェニルスルホンの反応率がほぼ100%であるように、
あらかじめ決めた必要量の有機極性溶媒を反応開始時に
使用する。第1工程においては、反応溶液の粘度が比較
的小さいので、分離された無機固体と共に失われる重合
体も微量である。粘度が大きい場合には、一回の濾過あ
るいは遠心分離では生成重合体が固体中に残り、結果と
して収率が低下する。重合体の収率を高めようとする
と、多量の有機極性溶媒で固体を洗浄しなければならな
い。
次に、第2工程においては、第1工程で濾過あるいは
遠心分離によって多量の無機塩化物が除かれた、80〜10
0℃での粘度が比較的低い反応溶液に微量の無水アルカ
リ金属化合物を添加し、反応溶液を再度、100〜250℃、
好ましくは150〜200℃で加熱、撹拌して重縮合反応を進
めて所望の分子量を有するポリエーテルスルホンを製造
する。得られた反応溶液は、第1工程で調製された反応
溶液よりは粘度がかなり大きくなっている。第2工程で
使用される無水アルカリ金属化合物の添加量は、好まし
くは第1工程の反応において使用される量の1/50〜1/20
0である。第2工程での反応溶液に重合体の末端停止剤
としてクロロメタンを、例えば、90〜150℃で吹き込み
添加してもよい。
反応溶液中に含まれている微量の無機物固体を濾過あ
るいは遠心分離によって短時間で分離した後、または、
濾過あるいは遠心分離によって無機物固体を分離せず
に、反応溶液に貧溶媒(メタノール、水など)を加えて
ポリエーテルスルホンを析出固体として得られる。析出
固体を水洗後、例えば、90〜120℃で乾燥させることに
よって、ポリエーテルスルホンの粉末を得ることができ
る。第2工程後、重合体と無機物の、濾過あるいは遠心
分離による分離は簡単であり、また、重合体の析出、水
洗による無機物の分離も効果的に行われ、結果、無機物
の含有量が非常に少ないポリエーテルスルホンを製造す
ることができる。
〔実施例〕
以下に本発明の実施例を説明する。
実施例1〜5 表1に示されているような添加量で、溶媒としてN−
メチル−2−ピロリドン(NMP)、共沸脱水用トルエ
ン、4,4′−ジクロルジフェニルスルホン(DPS)、ハイ
ドロキノン(HQ)、4,4′−ビフェノール(BP)、およ
び無水炭酸カリウムを使用して、重合温度約180℃、1
時間撹拌を続け、ポリエーテルスルホン反応溶液を調製
した。得られた反応溶液の80℃における粘度(CP)を第
1表に示す。
次に、ポリエーテルスルホン反応溶液を、80℃に保た
れた圧濾過装置使用して、3kg/cm2、約30分間で濾過し
た。濾過液に無水炭酸カリウムを初期仕込み量の1/100
添加し、再度、約180℃、3時間撹拌を続け、その後、1
08〜143℃で222gのクロロメタンを40分間吹き込んだ。
反応後、メタノール60と水30の混合液中に、上記
反応溶液を注ぎ、撹拌しながらポリエーテルスルホンを
析出させた。析出固体を水洗し、90℃で減圧乾燥してポ
リエーテルスルホンの粉末を得た。得られたポリエーテ
ルスルホンの還元粘度ηsp/c(NMP,0.5g/dl,30℃)を第
1表に示す。
比較例1 実施例1と同様な反応試料で、重合温度約180℃、4
時間撹拌を続け、ポリエーテルスルホン反応溶液を調製
した。得られた反応溶液の粘度は80℃で230CPの高粘性
を示した。
ポリエーテルスルホン反応溶液を、80℃に保たれた圧
濾過装置使用して、3kg/cm2で濾過したところ、3時間
以上要した。また、一回の濾過で約20%のポリエーテル
スルホンが分離固体によって失われた。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−136326(JP,A) 特開 昭63−95231(JP,A) 特開 平1−242624(JP,A) 特開 昭64−48829(JP,A) 特開 平3−174444(JP,A) 特開 昭50−36598(JP,A) 特開 平1−319530(JP,A) 特開 昭63−79868(JP,A) 高分子学会編「先端高分子材料シリー ズ2高性能芳香族系高分子材料」(H 2.3.30)丸善株式会社発行P.128 −132

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機極性溶媒中で、4,4′−ジクロルジフ
    ェニルスルホン、二価フェノール化合物および無水アル
    カリ金属化合物、または、4,4′−ジクロルジフェニル
    スルホンおよび二価フェノールのアルカリ金属二塩を加
    熱、撹拌してポリエーテルスルホンを製造する際に、 ポリエーテルスルホンを含有している80〜100℃の反
    応溶液の粘度が1〜100CPに達するまで加熱、撹拌して
    重縮合反応を行った後、濾過あるいは遠心分離してアル
    カリ金属塩化物を分離する第1工程と、 上記工程で得られた濾過液に無水アルカリ金属化合物
    を添加し、再度、加熱、撹拌して重縮合反応を続ける第
    2工程と、 からなることを特徴とする高分子量のポリエーテルスル
    ホンの製造方法。
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JP5891555B2 (ja) * 2012-02-01 2016-03-23 住友化学株式会社 芳香族ポリスルホンの製造方法
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