JPH11240947A - ポリこはく酸イミドの製造方法 - Google Patents

ポリこはく酸イミドの製造方法

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JPH11240947A
JPH11240947A JP35001598A JP35001598A JPH11240947A JP H11240947 A JPH11240947 A JP H11240947A JP 35001598 A JP35001598 A JP 35001598A JP 35001598 A JP35001598 A JP 35001598A JP H11240947 A JPH11240947 A JP H11240947A
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JP
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organic solvent
polysuccinimide
hydrochloric acid
aspartic acid
acid
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JP35001598A
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English (en)
Inventor
Toshio Kato
敏雄 加藤
Makoto Sukegawa
誠 助川
Yoshihiro Irisato
義広 入里
Hiroaki Tamaya
玉谷  弘明
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Publication date
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  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い分子量を有するポリこはく酸イミドを製
造するための簡易で生産性の高い製造方法の提供する。 【解決手段】 アスパラギン酸を、特定溶媒の存在下、
塩酸水溶液、及び/又は、塩酸ガスの存在下で、有機溶
剤中で脱水縮合反応させて、ポリこはく酸イミドを製造
する方法において、塩酸を、アスパラギン酸の使用量を
基準として、0.06〜0.79モル%使用することを
特徴とするポリこはく酸イミドの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬品、化粧品、
香粧品等のの中間体として有用なポリこはく酸イミドの
製造方法に関する。より具体的には、アスパラギン酸を
酸触媒の存在下に各々特定の有機溶剤中で脱水縮合し、
高分子量のポリこはく酸イミドを製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般にポリアミノ酸類はタンパク質のモ
デル化合物として、医学や生化学の分野で広く使用され
ている。ポリこはく酸イミドは環境に適合する水溶性ポ
リマーとして有用であるポリアスパラギン酸合成の前駆
体でもある。
【0003】[有機溶剤中でポリこはく酸イミドを製造
する方法]有機溶剤中でポリこはく酸イミドを製造する
方法の具体例としては、例えば、以下の〜の方法が
知られている。
【0004】 米国特許第4,363,797号 米国特許第4,363,797号には、イオン交換樹脂
を触媒として用い、アスパラギン酸を高沸点溶剤中で2
00〜230℃で脱水縮合する方法が開示されている。
【0005】この技術の実施の形態としては、例えば、
アスパラギン酸と、触媒としてのイオン交換樹脂(商品
名アンバーライト)と、高沸点溶剤としてのジフェニル
エーテルとを容器内に装入し、230〜240℃まで徐
々に昇温すると200℃で脱水縮合が始まり、更に23
0〜240℃で2〜3時間反応させ、その後、冷却、濾
過してイオン交換樹脂とポリこはく酸イミド回収し、イ
オン交換樹脂を濾別する処理等を行なってポリこはく酸
イミドを得る方法が記載されている。しかしながら、こ
の技術で得られるポリこはく酸イミドの分子量は1万程
度と低く、高い分子量を有するポリこはく酸イミドは得
られなかった。また、ポリこはく酸イミドとイオン交換
樹脂との分離等の処理が必要なので、製造工程が複雑に
なり、工業化に必ずしも適さなかった。さらには、反応
系の温度が比較的高いので樹脂等の劣化、変性、変色等
を伴うおそれがあった。
【0006】 特公昭52−8873号 特公昭52−8873号には、アスパラギン酸無水物の
塩酸塩を原料として、ポリアスパラギン酸を製造する方
法が開示されている。この技術の実施の形態としては、
例えば、L−アスパラギン酸無水物の塩酸塩を不活性有
機溶剤であるキシレンに懸濁させ、還流下で加熱し、冷
却、濾過する方法が挙げられるが、さらに、この反応温
度を200℃とすると、原料の一部がポリこはく酸イミ
ドに変化することがあると開示されている。しかしなが
ら、この技術で得られるポリこはく酸イミドの重量平均
分子量も1万程度と低く、さらには、ポリマー中に未反
応の原料もかなり混入しており単離収率が低い。
【0007】 特開平7−196796号 特開平7−196796号には、アスパラギン酸等を原
料として、o−クレゾール等の溶媒で原料を湿らし、硫
酸水素ナトリウム存在下、ポリこはく酸イミドを製造す
る方法が開示されている。しかしながら、この技術で得
られるポリこはく酸イミドの重量平均分子量も低く、こ
の方法で高分子量のポリこはく酸イミドを得ることは困
難である。
【0008】 特開平8−176297号 特開平8−176297号には、アスパラギン酸を有機
溶媒と非プロトン性極性溶媒との混合溶媒中、縮合りん
酸の存在下にポリこはく酸イミドを製造する方法が開示
されている。特に、高い分子量のポリこはく酸イミドを
得るためには、触媒としては、特にりん酸等が好ましい
と開示されている。この技術で得られるポリこはく酸イ
ミドの重量平均分子量は、上記〜の技術で得られる
ものと比較して、相対的に高いものである。
【0009】しかしながら、触媒として、特に好ましい
とされているりん酸等を触媒として使用すると、反応生
成物であるポリこはく酸イミドを、単に、濾過操作や洗
浄操作を行なうのみでは、ポリマー中に夾雑する酸分や
溶剤等を除去することが困難である点で問題である。
【0010】 特開平9−143265号 本発明者らが先に出願した特開平9−143265号に
は、アスパラギン酸類(アスパラギン酸、アスパラギン
酸塩、アスパラギン酸無水物の塩等)を原料として、有
機溶剤中で触媒の存在下に、ポリこはく酸イミドを製造
する方法が開示されている。この技術は、得られるポリ
こはく酸イミドの重量平均分子量が、6万以上と高いも
のである点で極めて有意義である。
【0011】しかしながら、触媒として、縮合りん酸を
使用する場合には、ポリマー中に酸分が残留する点で問
題があり、酸分を除去しようとすると、多量の水を必要
とした。
【0012】一方、触媒として、縮合りん酸等の代わり
に塩酸等(塩酸溶液、塩酸ガス等)を使用する場合に
は、反応中に塩酸が解離して塩酸ガスとして系外へ除去
されるため、ポリマー中へ酸分が残留しない点で有利で
はあるが、原料となるアスパラギン酸を基準として、
0.8〜3.0当量の塩酸等を使用するので、塩酸等の
使用量が多量である点で難点があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、上記の従来の技術の問題点に鑑み、以下の
〜に示す事項である。 高い分子量を有するポリこはく酸イミドを提供する
こと。 高い分子量を有するポリこはく酸イミドを製造する
ための簡易で生産性の高い製造方法を提供すること。 酸が実質的に夾雑していないポリこはく酸イミドを
提供すること。 ここで、高い分子量とは、重量平均分子量を基準とし
て、2万以上、好ましくは4万以上、より好ましくは6
万以上、より好ましくは8万以上、より好ましくは10
万以上を意味する。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の[1]
〜[7]に示す事項により特定される。
【0015】[1] アスパラギン酸を非プロトン性極
性有機溶剤および/またはフェノール類有機溶剤を含む
溶剤中、塩酸水溶液および/または塩酸ガスの存在下で
脱水縮合する方法において、酸の使用量をアスパラギン
酸の使用量を基準として0.06〜0.79当量使用す
ることを特徴とするポリこはく酸イミドの製造方法。 [2] 非プロトン性極性有機溶剤が窒素を含む非プロ
トン性極性有機溶剤である[1]に記載したポリこはく
酸イミドの製造方法。
【0016】[3] 窒素を含む非プロトン性極性有機
溶剤が、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミ
ド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチル
イミダゾリジノンからなる群から選択された少なくとも
1種である[2]に記載したポリこはく酸イミドの製造
方法。
【0017】[4] フェノール類有機溶剤がフェノー
ル、クレゾール、o−クレゾール、m−クレゾール、p
−クレゾール、及び、キシレノールからなる群から選択
された少なくとも1種である[1]に記載したポリこは
く酸イミドの製造方法。
【0018】[5] 非プロトン性極性有機溶剤が、硫
黄を含む非プロトン性有機溶剤である[1]に記載した
ポリこはく酸イミドの製造方法。
【0019】[6] 硫黄を含む非プロトン性有機溶剤
がジメチルスルホキシド、スルホラン、及び、ジメチル
スルホンからなる群から選択された少なくとも1種であ
る、[5]に記載したポリこはく酸イミドの製造方法。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0021】[特開平9−143265号]すでに、
[従来の技術]の項でも述べたように、本発明者らは、
既に、特開平9−143265号において、原料として
アスパラギン酸類(アスパラギン酸、アスパラギン酸
塩、アスパラギン酸無水物の塩等)を有機溶剤中、触媒
の存在下にポリこはく酸イミドを製造する技術を開示し
た。この技術は、得られるポリこはく酸イミドの分子量
が6万以上と高いものである点で極めて有意義である。
【0022】この技術においては、アスパラギン酸分子
中のアミノ基を、加熱から保護するために、原料となる
アスパラギン酸中のアミノ基を基準として、ほぼ当量〜
大過剰の塩酸を、アスパラギン酸分子中のアミノ基と塩
を形成させ、アンモニウム塩としてブロックしている。
【0023】すなわち、この技術においては、 〈反応1・アミノ基の塩形成化〉[化1]に示すよう
に、アスパラギン酸のアミノ基を塩酸でブロックして、
加熱から保護し、その後、 〈反応2・無水物化反応〉[化2]に示すように、高温
(約170℃ )で脱水反応させて無水物化し、さら
に、 〈反応3・重合反応〉[化3]に示すように、高温(約
165℃ )で脱塩酸が生じ重合して、ポリこはく酸イ
ミドを得るのである。
【0024】
【化1】
【0025】
【化2】
【0026】
【化3】 この技術においては、触媒として、塩酸等(塩酸溶液、
塩酸ガス等)を使用する場合の塩酸等の使用量は、原料
となるアスパラギン酸を基準として、0.8〜3.0当
量である。原料となるアスパラギン酸を基準として、
0.8〜3.0当量の塩酸等を使用する理由は、アスパ
ラギン酸をそのまま加熱脱水縮合して、ポリこはく酸イ
ミドを得ようとしても、アスパラギン酸分子中の保護さ
れていないアミノ基が熱変成してしまい、ポリこはく酸
イミドを得ることは困難だからである。使用した塩酸等
は、反応中に塩酸が解離して塩酸ガスとして系外へ除去
されるため、ポリマー中へ酸分が残留しない点で有利で
ある。
【0027】[本願発明の基礎となる技術的思想]特開
平9−143265号に開示した技術においては、アス
パラギン酸分子中のアミノ基を基準として、化学量論的
に、ほぼ等当量〜大過剰の塩酸を使用するので、場合に
より、塩酸等の使用量が多量であるので、使用する溶媒
量が多くなること、その結果脱溶媒に時間がかかり、ま
た大量に使用する塩酸の処理に大きな設備や費用が発生
するので問題となることがあった。
【0028】そこで、本発明者らは、特開平9−143
265号の基礎となった技術的思想を発展しつつ、塩酸
等の使用量を低減すべく、鋭意検討した結果、原理的に
は、アスパラギン酸分子中のアミノ基を基準として、化
学量論的に、ほぼ当量〜大過剰の塩酸を使用しなけれ
ば、アスパラギン酸分子中のアミノ基をブロックして保
護できないはずであるにもかかわらず、実質的に等当量
に到達しなくても、0.06〜0.79モル%の範囲で
あれば、アスパラギン酸分子中のアミノ基を充分にブロ
ックして保護できることを見い出し、本発明を完成する
に至った。
【0029】塩酸等の使用量が、アスパラギン酸分子中
のアミノ基を基準として、実質的に等当量に到達しなく
ても、0.06〜0.79モル%の範囲であれば、アス
パラギン酸分子中のアミノ基を充分にブロックして保護
できるメカニズムは必ずしも明確ではない。
【0030】塩酸等の使用量が、アスパラギン酸分子中
のアミノ基を基準として、実質的に等当量に到達しなく
ても、0.06〜0.79モル%の範囲であれば、アス
パラギン酸分子中のアミノ基を充分にブロックして保護
できるメカニズムとしては、例えば、[化4]に示すよ
うな、アスパラチル−アスパラギン酸を形成するメカニ
ズムが考えられる。なお、[化4]においては、塩酸等
の使用量は、アスパラギン酸分子中のアミノ基を基準と
して50モル%である。
【0031】
【化4】 [アスパラギン酸]本発明においては、原料としてアス
パラギン酸を使用する。このアスパラギン酸は、L体、
D体、DL体のいずれでもよい。
【0032】[塩酸等]本発明においては、触媒として
使用される塩酸等(塩酸水又は塩酸ガス)は、アスパラ
ギン酸に対して0.06〜0.79当量の範囲で使用
し、好ましくは0.1〜0.5当量の範囲で用いられ
る。
【0033】[有機溶剤]本発明において、使用される
有機溶剤は、非プロトン性極性有機溶剤、及び/又は、
フェノール類有機溶剤を含む溶剤中で実施される。
【0034】 非プロトン性極性有機溶剤 非プロトン性極性有機溶剤は、プロトンを含まないで窒
素、硫黄等のヘテロ原子を含む化合物であれば、特に制
限されるものではないが、反応中に生成する水を除去す
るので、水より高い沸点を有するものが好ましい。
【0035】非プロトン性極性有機溶剤の具体例として
は、例えば、従来より公知の各種非プロトン性極性有機
溶剤を挙げることができ。非プロトン性極性有機溶剤の
好ましい具体例としては、例えば、ジメチルホルムアミ
ド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、N
−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N,N, −ジメ
チルイミダゾリジノン(DMI)等の非プロトン性極性
有機溶剤や、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スル
ホラン、ジメチルスルホン等の脂肪族含硫有機溶剤であ
る非プロトン性極性有機溶剤を挙げることができる。
【0036】これらは、単独で、又は、二種類以上を組
み合わせて使用することができる。これらは、得られる
ポリこはく酸イミドに対して溶解性が高いので、反応初
期は懸濁状態であるが、やがて溶解状態を経てポリマー
化が進行する点から好ましい。
【0037】 フェノール類有機溶剤 フェノール類有機溶剤は、特に制限されるものではな
い。フェノール類有機溶剤の好ましい具体例としては、
例えば、フェノール、クレゾール(一般に工業的に得ら
れるo、m、pの混合物)、o−クレゾール、m−クレ
ゾール、p−クレゾール、キシレノール等を挙げること
ができる。これらは、単独で、又は、二種類以上を組み
合わせて使用することができ、非プロトン性極性有機溶
剤と併用しても良い。
【0038】非プロトン性極性有機溶剤および/または
フェノール類有機溶剤の使用量は、アスパラギン酸に対
して、0.5〜10倍量(重量比)の範囲、好ましくは
1〜10倍量(重量)で用いられる。過剰に用いても反
応に問題はないが、経済的に不利となり得る。また、使
用量が少ないと、ポリマーが析出したり、粘度が増加す
ることがある。 共沸脱水促進有機溶剤 共沸により脱水を促進させるために、非プロトン性極性
有機溶剤やフェノール類有機溶剤以外の他の有機溶剤、
すなわち、共沸脱水促進有機溶剤を、1種以上混合して
使用してもよい。
【0039】このような共沸脱水促進有機溶剤は、水と
分液するものでもしないものでもよい。共沸脱水促進有
機溶剤の具体例としては、例えば、メシチレン、ナフタ
レン、ジエチルベンゼン、ドデシルベンゼン等の芳香族
炭化水素、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン等の
ハロゲン化炭化水素、フェネトール、ジフェニルエーテ
ル、ジメトキシベンゼン等の芳香族エーテル類、ニトロ
ベンゼン等の芳香族ニトロ化合物が挙げられ、又は、置
換されたジフェニルエーテルが挙げられる。共沸脱水促
進有機溶剤の他の具体例としては、例えば、4,4’−
ジメチルジフェニルエーテル、3,3’−ジメチルジフ
ェニルエーテル等のアルキル置換ジフェニルエーテル、
又は、4,4’ジクロロジフェニルエーテル等のハロゲ
ン置換ジフェニルエーテル、又は、4−メトキシジフェ
ニルエーテル等のアルコキシ置換ジフェニルエーテル、
又は、ジベンゾフラン等の環状ジフェニルエーテル等を
挙げることができるこれら共沸脱水促進有機溶剤を併用
する場合は、その使用量は、一般的には、全有機溶剤中
60重量%以下、好ましくは45重量%以上であること
が好ましい。これら共沸脱水促進有機溶剤の併用は、縮
合反応で副生する水を効率よく共沸脱水し、高分子量化
を促進する点から好ましい。
【0040】[脱水縮合反応]本発明においては、アス
パラギン酸を有機溶剤中、好ましくは触媒の存在下に脱
水縮合反応してポリこはく酸イミドを得る。この脱水縮
合反応は、単に反応系を所望の温度に加熱するだけで進
行する。脱水縮合の際の反応系の温度は、特に制限され
ないが、通常、100℃以上で行われる。
【0041】一般的には、反応系の温度が高すぎると、
アスパラギン酸やポリマー等の熱分解反応が起こりやす
くなる傾向があることから、230℃以下が好ましく、
200℃以下がさらに好ましい。また、脱水縮合反応
は、不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。また、
この反応は常圧下でも行うことができ、溶剤の沸点によ
っては減圧下で行なってもよい。
【0042】[触媒]この脱水縮合反応は、無触媒でも
進行するが、反応温度を下げ反応時間を短くできるこ
と、さらには溶剤の使用量を減少できることから、触媒
を用いるが好ましい。触媒の具体例としては、例えば、
りん酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ
メタンスルホン酸等のプロトン酸、周期表II、II
I、IV、V族の金属、あるいは、その塩が挙げられ、
例えば、亜鉛末、錫末、アルミニウム、マグネシウム等
の金属、又は、酸化亜鉛、酸化錫、酸化マグネシウム、
酸化チタン等の金属酸化物、又は、塩化錫、塩化マグネ
シウム、塩化アルミニウム、塩化リチウム、塩化カルシ
ウム等の金属ハロゲン化物、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウ
ム等の金属炭酸塩、オクタン酸錫、酢酸錫、酢酸亜鉛等
の有機カルボン酸塩、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム等の
硫酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸錫、トリフルオ
ロメタンスルホン酸亜鉛、メタンスルホン酸錫、p−ト
ルエンスルホン酸亜鉛等の有機スルホン酸塩が挙げられ
る。
【0043】他の具体例としては、例えば、ジブチルチ
ンオキサイド等の上記金属の有機金属酸化物、又は、チ
タニウムイソプロポキサイド等の上記金属の金属アルコ
キシド、又は、ダウエックス、アンバーライト等のイオ
ン交換樹脂等が挙げられる。触媒の使用量は、通常、ア
スパラギン酸に対して、0.001wt%〜50wt%
である。また、触媒として、塩化リチウム、塩化カルシ
ウム等のハロゲン化物を使用すると、非プロトン性極性
有機溶剤および/またはフェノール類の使用量を削減で
きる。
【0044】特に、反応系内でポリこはく酸イミドが析
出する場合でも、この金属ハロゲン化物を使用すれば、
反応マスの流動性を失わせることなく高分子量のポリこ
はく酸イミドが得られる。
【0045】[水の反応系内からの除去]本発明におい
て、副生した水を反応系外に留去させる方法は特に限定
されず、有機溶剤と水との共沸による留去でもよいし、
共沸せずに留去してもよい。また、水と共沸等により反
応系から有機溶剤の少なくても一部を除去し、モレキュ
ラシーブ等で脱水する等により水分量を少なくした有機
溶剤を系内に戻す操作等を行なうこともできる。但し、
本発明においては、特に、水より高い沸点を有する有機
溶剤を用いてる場合は、有機溶剤を反応系に残しつつ脱
水するという簡易な工程が可能となり、工業化する上で
溶剤を脱水することに伴う設備が不要となる。
【0046】[ポリこはく酸イミドの重量平均分子量]
本発明に係る製造方法により、高い重量平均分子量を有
するポリこはく酸イミドが容易に得られる。本発明にお
いては、特に、重量平均分子量約3万以上のポリこはく
酸イミドが得られるので、従来、低分子ポリこはく酸イ
ミドを重合しそれをジシクロヘキシルカルボジイミド等
の縮合剤で高分子化処理する工程を付加して高分子量ポ
リこはく酸イミドを得る複雑な方法などを採用する必要
がなくなる。
【0047】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明する
が、本発明は実施例のみに限定されるものではない。ポ
リこはく酸イミドの重量平均分子量(Mw)は、ポリス
チレンを標準としてGPC(ゲル パーミエーション
クロマトグラフィー)より測定した。
【0048】[実施例1]攪拌装置を備えた容器にL−
アスパラギン酸66.5g(0.5モル)、スルホラン
66.5g、トルエン66.5g、35%塩酸26.0
g(0.25モル)を装入した後、窒素気流下に150
℃まで昇温し、150〜160℃で3.0時間共沸脱水
反応を行った。その後、160〜170℃で5時間、1
70〜180℃で6時間共沸脱水反応を続けた。脱水は
還流冷却器での凝縮物の分液で行った。反応後、析出し
ているポリマーにスルホラン66.5gを添加して完全
に溶解させた。この溶液を55℃でメタノール133.
0g中に排出した。25〜30℃で濾過、濾塊はメタノ
ール133.0gで洗浄後、さらに水400gで洗浄し
乾燥した。 収量 48.0g 収率 98.9% ここで得られたポリマーのMwは、6万であった。単離
したポリこはく酸イミドの元素分析結果は、下記の通り
であった 元素分析値 (%) (C4H13NO2として計算した) C H N 計算値 49.49 3.12 14.43 理論値 49.45 3.11 14.43。
【0049】[実施例2]攪拌装置を備えた容器にL−
アスパラギン酸66.5g(0.5モル)、スルホラン
66.5g、メシチレン86.6g、35%塩酸26.
0g(0.25モル)を装入した後、160℃まで昇温
し、160〜170℃で1.0時間共沸脱水反応を行っ
た。その後、170〜180℃で3時間反応させた。反
応後、一部ポリマーが析出しているため、スルホラン6
6.6gを追加して完全に溶解させた。この溶液を55
℃でメタノール133.0g中に排出した。25〜30
℃で濾過、濾塊はメタノール133.0gで洗浄後、さ
らに水400gで洗浄し乾燥した。 収量 48.5g 収率 99.9% ここで得られたポリマーのMwは、8.5万であった。
【0050】[実施例3]35%塩酸量を13.0g
(0.125モル)に代える以外は実施例2と同様に行
った。 収量 48.0g 収率 98.9% ここで得られたポリマーのMwは、8.0万であった。
【0051】[実施例4]35%塩酸量を6.5g
(0.0625モル)に代える以外は実施例2と同様に
行った。 収量 48.0g 収率 98.9% ここで得られたポリマーのMwは、7.5万であった。
【0052】[実施例5]実施例2でスルホランに代え
て、クレゾール66.5gを用いる以外は実施例2と同
様に行った。 収量 48.1g 収率 99.1% ここで得られたポリマーのMwは、8.0万であった。
【0053】[実施例6]実施例2でスルホランに代え
て、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)66.5g
を用いる以外は実施例2と同様に行った。 収量 48.0g 収率 98.9% ここで得られたポリマーのMwは、7.5万であった。
【0054】[実施例7]実施例1で塩化リチウム3.
3gを添加する以外は実施例1と同様に行った。 収量 48.2g 収率 99.3% ここで得られたポリマーのMwは、10万であった。
【0055】[実施例8]実施例1でスルホランに代え
て、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン66.5gと
塩化リチウム3.3gを添加する以外は実施例1同様に
行った。 収量 48.1g 収率 99.1% ここで得られたポリマーのMwは、7.5万であった。
【0056】[実施例9]実施例1で35%塩酸使用量
を36.5g(0.35モル)に代える以外は実施例1
と同様に行った。 収量 48.2g 収率 99.3% ここで得られたポリマーのMwは、9.0万であった。
【0057】[実施例10]実施例1で35%塩酸使用
量を6.5g(0.0625モル)に代える以外は実施
例1と同様に行った。 収量 48.0g 収率 98.9% ここで得られたポリマーのMwは、8.0万であった。
【0058】[実施例11]攪拌装置を備えた容器にL
−アスパラギン酸66.5g(0.5モル)、スルホラ
ン66.5g、oージクロロベンゼン86.5g、35
%塩酸26.0g(0.25モル)を装入した後、窒素
気流下に160℃まで昇温し、160〜170℃で2.
0時間共沸脱水反応を行った。同温度でスルホラン6
6.6gを追加した後、160〜170℃で5時間反応
させた。反応後、スルホラン133gを追加して析出し
ているポリマー溶解させた。70℃まで冷却した後、メ
タノール199.8gを挿入した。25〜30℃で濾
過、濾塊はメタノール133.0gで洗浄後、さらに水
400gで洗浄し乾燥した。 収量 48.0g 収率 98.9% ここで得られたポリマーのMwは、7万であった。
【0059】[実施例12]攪拌装置を備えた容器にL
−アスパラギン酸66.5g(0.5モル)、スルホラ
ン59.9g、メシチレン86.5gを装入した後、2
5〜30℃攪拌下に塩酸ガス9.1g(0.25モル)
を吸収させた後、窒素気流下に160℃まで昇温し、1
60〜170℃で8.0時間共沸脱水反応を行った。ポ
リマーが粒状で析出しているため、濾過、濾塊はメタノ
ール66.6gで洗浄した。ポリマー湿体87gとメタ
ノール133.1gを攪拌装置を備えた容器に装入した
後、65℃まで昇温し同温度で1時間攪拌し、ポリマー
中に含まれるメシチレンを抽出処理した。
【0060】25〜30℃まで冷却した後、濾過、濾塊
はメタノール133.1gで洗浄後乾燥した。 収量 48.0g 収率 98.9% ここで得られたポリマーのMwは、8万であった。
【0061】[実施例13]攪拌装置を備えた容器にL
−アスパラギン酸66.5g(0.5モル)、スルホラ
ン99.7g、と35%塩酸26.0g(0.25モ
ル)を装入した後、60mmHg減圧下に160℃まで
2時間要して昇温し、160〜170℃で7時間脱水縮
合反応を行った。反応後、スルホラン66.6gを追加
しして析出しているポリマー溶解させた。70℃まで冷
却した後、メタノール199.8gを挿入してポリマー
を析出させた。25〜30℃で 濾過、濾塊はメタノー
ル133.0gで洗浄後、さらに水400gを用いる洗
浄を繰り返して、洗浄液のpH6〜7になるまで洗浄し
た後、乾燥した。 収量 48.0g 収率 98.9% ここで得られたポリマーのMwは、5万であった。
【0062】[比較例1]攪拌装置を備えた容器にL−
アスパラギン酸20.0g(0.15モル)、スルホラ
ン20gを装入した後、210℃まで昇温し、210℃
で8.0時間反応を行った。。反応後、メタノール10
0gに排出し、25〜30℃で濾過、濾塊はメタノール
で洗浄後、さらに水で洗浄した後、乾燥した。 収量 11.7g 収率 80.3% ここで得られたポリマーのMwは、1.0万であった。
【0063】[比較例2]攪拌装置を備えた容器にL−
アスパラギン酸20.0g(0.15モル)、スルホラ
ン20g、トルエン20gを装入した後、150℃まで
昇温し、150〜160℃で3.0時間共沸脱水反応を
行った。その後、160〜170℃で3時間、180〜
190℃で10時間反応させた。反応後、55℃でメタ
ノール66.6gに排出した。25〜30℃で濾過、濾
塊はメタノール26.6gで洗浄後、さらに水66.5
gで洗浄し乾燥した。 収量 11.0g 収率 75.5% ここで得られたポリマーのMwは、1.5万であった。
【0064】
【発明の効果】本発明の効果としては、少なくとも、以
下の〜に示す事項を挙げることができる。 高い分子量を有するポリこはく酸イミドを提供する
ことができる。 高い分子量を有するポリこはく酸イミドを製造する
ための簡易で生産性の高い製造方法を提供することでき
る。 酸が実質的に夾雑していないポリこはく酸イミドを
提供することができる。 ここで、高い分子量とは、重量平均分子量を基準とし
て、2万以上、好ましくは4万以上、より好ましくは6
万以上、より好ましくは8万以上、より好ましくは10
万以上を意味する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 玉谷 弘明 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 化学株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アスパラギン酸を非プロトン性極性有機
    溶剤および/またはフェノール類有機溶剤を含む溶剤
    中、塩酸水溶液および/または塩酸ガスの存在下で脱水
    縮合する方法において、酸の使用量をアスパラギン酸の
    使用量を基準として0.06〜0.79当量使用するこ
    とを特徴とするポリこはく酸イミドの製造方法。
  2. 【請求項2】 非プロトン性極性有機溶剤が窒素を含む
    非プロトン性極性有機溶剤である請求項1に記載したポ
    リこはく酸イミドの製造方法。
  3. 【請求項3】 窒素を含む非プロトン性極性有機溶剤
    が、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N
    −メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチルイミダ
    ゾリジノンからなる群から選択された少なくとも1種で
    ある請求項2に記載したポリこはく酸イミドの製造方
    法。
  4. 【請求項4】 フェノール類有機溶剤がフェノール、ク
    レゾール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレ
    ゾール、及び、キシレノールからなる群から選択された
    少なくとも1種である請求項1に記載したポリこはく酸
    イミドの製造方法。
  5. 【請求項5】 非プロトン性極性有機溶剤が、硫黄を含
    む非プロトン性有機溶剤である請求項1に記載したポリ
    こはく酸イミドの製造方法。
  6. 【請求項6】 硫黄を含む非プロトン性有機溶剤がジメ
    チルスルホキシド、スルホラン、及び、ジメチルスルホ
    ンからなる群から選択された少なくとも1種である、請
    求項5に記載したポリこはく酸イミドの製造方法。
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