JP2005272631A - 低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明はポリフェニレンエーテル中の不要成分が低減された、電子材料用途などで要求される性能を満足する低分子量のポリフェニレンエーテル樹脂およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】ポリフェニレンエーテルを析出する際に、析出スラリーを20℃を超えて析出スラリーの沸点以下に保持しながら、析出スラリーの溶媒中の良溶媒濃度が20重量%以下1.0重量%以上、析出スラリー中のポリフェニレンエーテル含有量が25重量%以下1.0重量%以上になるように、濃度が25重量%〜90重量%のポリフェニレンエーテル溶液と、貧溶媒を混合して、30℃において0.5g/dlの濃度のクロロホルム溶液で測定された還元粘度(ηsp/c)が0.04〜0.20dl/gであり、かつUV波長480nmで測定されるカラーインデックスが1.0以下であるポリフェニレンエーテル樹脂を製造する。
【選択図】選択図なし

Description

本発明は低分子量のポリフェニレンエーテル樹脂に関するものである。特にはポリフェニレンエーテル中の不要成分を低減することにより電子材料用途などに要求される性能を向上させた低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂及びその製造方法に関するものである。
ポリフェニレンエーテルは加工性に優れ、溶融射出成形法や溶融押出成形法などの成形方法により所望の形状の製品・部品を効率よく生産できるため、電気・電子分野、自動車分野、その他の各種工業材料分野、食品・包装分野の製品・部品用の材料として幅広く用いられている。
最近、上記分野に用いられる通常の比較的高分子量のポリフェニレンエーテルよりも、きわめて低分子量のポリフェニレンエーテルが他の樹脂の改質や、電子材料用途に対して有効であると期待されてきている。低分子量のポリフェニレンエーテルは分子量が小さいため、高分子量のポリフェニレンエーテルに比べ優れた加工性が付与される。さらにポリフェニレンエーテルが本来持つ、低誘電率や低誘電損失等の優れた電気特性は変わらないため、特に電子材料用途に好適である。
しかしながら、分子量が小さいがために、電子材料用途で特に倦厭される不純物の混入、具体的には極めて低分子量の部分に残留しやすい酸化体等の、不要成分を含有するといった問題があった。
また、低分子量のポリフェニレンエーテルは、通常の分子量のポリフェニレンエーテルと比べ、分子量が低いことに起因して、ポリフェニレンエーテルの重合溶液等からポリフェニレンエーテル樹脂を析出させることが非常に難しい。通常の分子量のポリフェニレンエーテルの析出方法としては、下記特許文献1等に例示できる。通常の分子量のポリフェニレンエーテルは、該文献1に記載のように非常に広範囲な条件で析出が可能である。しかしながら、低分子量ポリフェニレンエーテルでは、該文献1の明細書中に記載の条件では、析出槽内の良溶媒濃度が高すぎるため、析出は事実上不可能であった。
これまで、低分子量のポリフェニレンエーテル樹脂の単離方法としては、押出し機等を用いたポリフェニレンエーテルの良溶媒の直接脱気法(特許文献2参照)が主流であった。この方法は、その製法の特徴上、酸化体等の不要成分を残存し易く、不要成分の代用指標ともなるカラーインデックスが3.0以上となるのが現状であった。
また、特許文献3には低分子量ポリフェニレンエーテルの重合溶液から水性相に触媒成分を除去し、次いで−80〜20℃の低温条件下でポリフェニレンエーテル濃度25〜70重量%のポリフェニレンエーテル溶液に、ポリフェニレンエーテルの貧溶媒を添加することによりポリフェニレンエーテル樹脂を析出回収する方法が記載されている。この方法は、低温下で行うことを特徴とするものであるが、ポリフェニレンエーテルのカラーインデックスの更なる改良が望まれていた。
以上のような背景から該用途に有望な、不要成分が低減された低分子量のポリフェニレンエーテル樹脂が望まれている。
特開2001−40087号 米国特許6211327号 特開2003−313290号
本発明はポリフェニレンエーテル中の不要成分が低減された、電子材料用途などで要求される性能を満足する低分子量のポリフェニレンエーテル樹脂およびその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
[1] 30℃において0.5g/dlの濃度のクロロホルム溶液で測定された還元粘度(ηsp/c)が0.04〜0.20dl/gであり、かつUV波長480nmで測定されるカラーインデックスが1.0以下であることを特徴とするポリフェニレンエーテル樹脂、
[2] ポリフェニレンエーテル樹脂が、一般式(1)で表される二価フェノール化合物に由来する構造単位を含有する[1]に記載のポリフェニレンエーテル樹脂、
Figure 2005272631
(式中、R、Rは各々同一または異なる置換基を表し、水素、アルキル基、置換アルキル基、アラルキル基、置換アラルキル基、アリール基、置換アリール基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、ハロゲンを表し、Xは脂肪族炭化水素残基及びそれらの置換誘導体、酸素、イオウ、スルホニル基を表し、R,Xの結合位置はフェノール水酸基に対してオルソ位またはパラ位を表す。)
[3] 良溶媒を用いて30℃において0.5g/dlの濃度のクロロホルム溶液で測定された還元粘度(ηsp/c)が0.04〜0.20dl/gのポリフェニレンエーテルの製造方法において、ポリフェニレンエーテル溶液から貧溶媒を用いて該ポリフェニレンエーテルを析出させる際に、該ポリフェニレンエーテル溶液としてポリフェニレンエーテル樹脂濃度が25重量%〜90重量%の溶液を用い、析出スラリーを20℃を超えて析出スラリーの沸点以下に保持しながら、析出スラリーの溶媒中の良溶媒濃度が20重量%以下1.0重量%以上、析出スラリー中のポリフェニレンエーテル含有量が25重量%以下1.0重量%以上になるように上記ポリフェニレンエーテル溶液と、貧溶媒または貧溶媒および良溶媒とを混合することを特徴とするポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
[4] ポリフェニレンエーテル溶液が、ポリフェニレンエーテル濃度、30重量%以上、80重量%以下のポリフェニレンエーテル溶液を用いる事を特徴とする[3]に記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法、
[5] 析出スラリーの温度を、20℃を越えて70℃以下にすることを特徴とする[3]または[4]に記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法、
[6] 析出スラリーの溶媒中の良溶媒濃度が20重量%以下3重量%以上、かつ析出スラリー中のポリフェニレンエーテル含有量を20重量%以下3重量%以上にすることを特徴とする[3]〜[5]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法、
[7] ポリフェニレンエーテル溶液の良溶媒が、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、スチレン、アセトンおよびメチルエチルケトンから選ばれる1種類以上であることを特徴とする[3]〜[6]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法、
[8] ポリフェニレンエーテルの貧溶媒が炭素数6以下の一価もしくは多価アルコールおよび水から選ばれる1種以上であることを特徴とする[3]〜[7]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法、
[9] [3]〜[8]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法で得られたポリフェニレンエーテル樹脂、
である。
本発明の低分子量のポリフェニレンエーテルは、カラーインデックスに代用される不要成分が抑制されているため、電子材料用途等の分野に極めて有用である。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明のポリフェニレンエーテル樹脂は、30℃において0.5g/dlの濃度のクロロホルム溶液で測定された還元粘度(ηsp/c)が0.04〜0.20dl/g、好ましくは0.06〜0.20dl/gの低分子量のポリフェニレンエーテル樹脂である。電子用途部品などにした際の機械強度の観点から還元粘度が0.04dl/g以上であることが必要であり、電子用途部品などへの加工性の観点から0.20dl/g以下が必要で
ある。
本発明のポリフェニレンエーテル樹脂は、電子用途部品等での電気特性の観点からカラーインデックス(以下C.Iと略す。)が、1.0以下であり、好ましくは0.9〜0.1である。
低分子量のポリフェニレンエーテルは、その分子量が小さい故、着色成分を含む酸化体やオリゴマー等の不要成分が残留しやすく、その残留量によってC.Iの数値が大きくなる。すなわち、C.Iの値を知ることで該酸化体等の残留量を知ることが可能である。
本発明のUV波長480nmで測定されるカラーインデックスとは、ポリフェニレンエーテル濃度0.05g/mlのクロロホルム溶液を、セル長1cmの石英セルを用いて、紫外吸光光度計により波長480nm光の吸光度を測定する。得られた吸光度を測定試料の濃度で除した値を、カラーインデックス(以下C.Iと略す。)とする。また、測定に供するポリフェニレンエーテル樹脂は、ポリフェニレンエーテル樹脂粉体で行う。必要以上の加熱溶融を行ったポリフェニレンエーテル樹脂はC.Iが著しく大きくなる事があるため、その製造における揮発分の乾燥除去など以外に必要以上の加熱溶融履歴を受けていないものを使用する。
次いで、本発明のポリフェニレンエーテルの重合について詳述する。
本発明のポリフェニレンエーテルを重合する際に用いることが出来る一価フェノール性化合物は次のような一般式(2)の構造を持つ化合物である。
Figure 2005272631
(式中、R,R,Rは各々独立の置換基を表し、Rはアルキル基,置換アルキル基,アラルキル基,置換アラルキル基,アリール基,置換アリール基,アルコキシ基,置換アルコキシ基であり、R,RはRについて定義されたものと同一の基に加え更に水素,ハロゲンであっても良い。)
一般式(2)で表されるような一価フェノール性化合物としては、例えば、o−クレゾール、2,6−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2−エチルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−n−プロピルフェノール、2−メチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−イソプロピルフェノール、2−メチル−6−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−フェニルフェノール、2−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ビス−(4−フルオロフェニル)フェノール、2−メチル−6−トリルフェノール、2,6−ジトリルフェノール等が挙げられる。これらの一価フェノール性化合物の中でも2,6−ジメチルフェノールが特に好ましい。これらの一価フェノール性化合物は一種類で用いても、いくつか組み合わせて用いても良い。例えば、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールの組み合わせ、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールの組み合わせなどが挙げられる。
また、使用する化合物の中に、少量のm−クレゾール、p−クレゾール、2,4−ジメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール等が含まれていてもかまわない。
本発明のポリフェニレンエーテル樹脂は、下記一般式(1)で表される二価フェノール化合物に由来する構造単位を含有していることが好ましい。
Figure 2005272631
(式中、R、Rは独立に各々同一または異なる置換基を表し、水素、アルキル基,置換アルキル基,アラルキル基,置換アラルキル基,アリール基,置換アリール基,アルコキシ基,置換アルコキシ基,ハロゲンを表し、Xは脂肪族炭化水素残基及びそれらの置換誘導体、酸素、イオウ、スルホニル基を表し、R,Xの結合位置はフェノール水酸基に対してオルソ位またはパラ位である。)
一般式(1)で表されるような二価フェノール性化合物は該当する一価フェノール性化合物とケトン類またはジハロゲン化脂肪族炭化水素との反応等により工業的に有利に製造できる。例えばホルムアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン等の汎用のケトン化合物と、一価フェノール性化合物の反応により得られる化合物群である。
その中の代表例として、下記一般式(1−a)、(1−b)、(1−c)で示される化合物群が挙げられる。
Figure 2005272631
Figure 2005272631
Figure 2005272631
(一般式(1−a)、(1−b)、(1−c)の式中、R、Rは独立に各々同一または異なる置換基を表し、水素、アルキル基,置換アルキル基,アラルキル基,置換アラルキル基,アリール基,置換アリール基,アルコキシ基,置換アルコキシ基,ハロゲンを表し、Xは脂肪族炭化水素残基及びそれらの置換誘導体、酸素、イオウ、スルホニル基を表す。)
更に、上記一般式で表される化合物の中で代表的な具体例としては、RとRがメチル基でXがイソプロピリデンである化合物、RとRがメチル基でXがメチレンである化合物、RとRがメチル基でXがチオである化合物、RとRがメチル基でXがシクロヘキシリデンである化合物等が挙げられる。 これらの二価フェノール性化合物は一種類でも用いられるし、いくつか組み合わせて用いても良い。
一般式(1)で表される二価フェノール性化合物を用いる場合には、一般式(2)の一価フェノール性化合物に対する一般式(1)の二価フェノール性化合物の量は、一価フェノール性化合物に対して、0.5から25モル%とするのが好ましく、更に好ましくは1.0〜15モル%である。二価フェノール化合物を添加して重合を行うと、ポリフェニレンエーテル構造中のヒドロキシ基が増加し、エポキシ樹脂などとの反応性が改善されるほか、電子材料用途などで要求される金属接着性が改善される。二価フェノール化合物の添加量は該ヒドロキシ基の増加の観点から0.5モル%以上が好ましく、ポリフェニレンエーテルの重合性の観点から25モル%以下が好ましい。
本発明は、フェノール性化合物を触媒と酸素含有ガスを用いて酸化重合させポリフェニレンエーテルを製造する際、触媒として、銅化合物、臭素化合物、ジアミン化合物、3級モノアミン化合物、2級モノアミン化合物から構成される触媒を用いることが出来る。
本発明における、銅化合物及び臭素化合物としては次のようなものを例示することができる。第一銅化合物、第二銅化合物またはそれらの混合物を使用することができる。第二銅化合物としては、例えば塩化第二銅、臭化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅等を例示することができる。また第一銅化合物としては、例えば塩化第一銅、臭化第一銅、硫酸第一銅、硝酸第一銅等を例示することができる。これらの中で好ましい化合物は第一銅,第二銅化合物については塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅である。またこれらの銅塩は酸化物、炭酸塩、水酸化物等と対応するハロゲンまたは酸から使用時に合成しても良い。例えば酸化第一銅と臭化水素(の溶液)を混合することにより得られる。銅化合物として特に好ましいものは第一銅化合物である。これら銅化合物は単独でも用いられるし、2種類以上組み合わせて用いても良い。臭素化合物としては例えば臭化水素、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム等である。またこれらは水溶液や適当な溶媒を用いた溶液として使用できる。これらの臭素化合物は、成分として単独でも用いられるし、2種類以上組み合わせて用いても良い。最も好ましい銅化合物と臭素化合物の組み合わせは、酸化第一銅と臭化水素の水溶液である。これらの化合物の使用量は特に限定されないが、銅原子のモル量に対して臭素原子として2倍以上10倍以下が好ましく、フェノール性化合物の100モルに対して銅原子としては0.02モルから0.6モルの範囲である。
2級モノアミン化合物としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−i−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジペンチルアミン類、ジヘキシルアミン類、ジオクチルアミン類、ジデシルアミン類、ジベンジルアミン類、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、シクロヘキシルアミン等が挙げられる。N−(置換または非置換フェニル)アルカノールアミンとしては例えば、N−フェニルメタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルプロパノールアミン、N−(m−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(2’,6’−ジメチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−クロロフェニル)エタノールアミン等が挙げられる。N−炭化水素置換アニリンとしては例えば、N−エチルアニリン、N−ブチルアニリン、N−メチル−2−メチルアニリン、N−メチル−2,6−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン等が挙げられるがこれらの例には限定されない。これらの第2級モノアミン化合物は成分として単独でも用いられるし、2種類以上組み合わせて用いても良い。使用量は特に限定されないが、一般的にフェノール性化合物100モルに対し0.05モルから15モルの範囲である。
本発明で使用されるジアミン化合物は一般式(3)で表される構造を持つものが使用できる。
Figure 2005272631
(式中、R,R,R,Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1から6の直鎖状または分岐状アルキル基で、全てが同時に水素ではない。R10は炭素数2から5の直鎖状またはメチル分岐を持つアルキレン基である。)
上記構造を持つジアミン化合物の内、好ましいジアミン化合物はN,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミンである。ジアミン化合物の使用量は特に限定されないが通常使用される銅原子のモル数に対して0.5倍モル量以上であり上限は臨界的ではない。
3級モノアミン化合物としては、脂環式3級アミンを含めた脂肪族3級アミンである。例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、アリルジエチルアミン、ジメチル−n−ブチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。これらの第3級モノアミンは、成分として単独でも用いられるし、2種類以上組み合わせて用いても良い。これらの使用量は特に限定されないが、フェノール性化合物100モルに対して0.1モルから15モルの範囲である。
本発明において、従来より活性に向上効果を有することが知られている界面活性剤を添加することができる。例えば、Aliquat336やCapriquatの商品名で知られるトリオクチルメチルアンモニウムクロライドである。使用量はフェノール性化合物を添加し終わった後の全反応混合物の全量に対して0.1wt%を超えない範囲が好ましい。
重合反応系にアルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属のアルコキサイド、硫酸マグネシウム等の中性塩、ゼオライト等も添加することができる。
重合形式については特に制限はない。本発明はバッチ重合法、連続重合法いずれの方法にも適用できる。
重合反応温度については、低すぎると反応が進行しにくく、また高すぎると反応の選択性が低下することがあるので、0〜80℃、好ましくは10〜70℃の範囲である。
本発明のポリフェニレンエーテルの重合においては、前述したフェノール性化合物、触媒等を、ポリフェニレンエーテルの良溶媒に溶解または混合させて用いる。
ポリフェニレンエーテルの良溶媒としては、トルエン、ベンゼン、キシレン(o−、m−、p−の各異性体を含む)、エチルベンゼン、スチレン等の芳香族炭化水素、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ニトロベンゼンのようなニトロ化合物が挙げられる。
また若干の貧溶媒性を持ってはいるものの良溶媒に分類されるものとしては、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、ギ酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルスルホキシド等が例示される。中でも本発明に用いる、ポリフェニレンエーテルの良溶媒としてはトルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、スチレン、アセトン、メチルエチルケトンから選ばれる1種類以上の溶媒が好ましく、特にトルエンであることが好ましい。
重合時に用いるポリフェニレンエーテルの良溶媒と析出時に用いるポリフェニレンエーテル溶液の良溶媒の種類は、同一であることが好ましいが、異なる溶媒を加えても構わない。
重合時のフェノール性化合物の濃度は、いかなる濃度でも構わないが、析出操作時のポリフェニレンエーテル溶液中のポリフェニレンエーテル濃度が25〜90重量%、好ましくは30〜80重量%、更に好ましくは50〜80重量%であるため、その範囲内のポリフェニレンエーテル濃度となるように重合を行うことが好ましい。上記範囲外の濃度で重合を行った場合には、濃縮または希釈の操作により、析出操作時に所望する濃度に調整することも出来る。
本発明の酸化重合における酸素含有ガスは純酸素の他、酸素と窒素等の不活性ガスとを任意の割合で混合したもの、空気、更には空気と窒素等の不活性ガスとを任意の割合で混合したもの等が使用できる。重合反応中の系内圧力は常圧で充分であるが必要に応じて減圧でも加圧でも使用できる。
ポリフェニレンエーテルの還元粘度が0.2dl/g以下、特に0.1dl/g以下のポリフェニレンエーテルは、ポリフェニレンエーテル溶液からの還元粘度の測定のために簡易にポリフェニレンエーテルを析出させると回収率が一定し難いためか、還元粘度の測定に誤差を生じやすい。
その誤差を含め重合終了時のポリフェニレンエーテルは、30℃において0.5g/dlの濃度のクロロホルム溶液で測定された還元粘度(ηsp/c)が0.02〜0.20dl/gであることが好ましい。析出後のポリフェニレンエーテルの還元粘度を0.04〜0.2dl/gの範囲にするには、この重合終了時の還元粘度が0.02〜0.20dl/gであることが好ましい。
また、この重合停止時のポリフェニレンエーテル溶液の溶液粘度を、落球式粘度計などにより測定し、溶液粘度と還元粘度の相関式を得ることで、重合中の溶液粘度を監視し重合の終点を知ることもできる。
さらに、重合時間や酸素含有ガスの吸収量などによる重合終点の管理も、還元粘度との相関式を得ることで可能である。
重合反応の終了は、ポリフェニレンエーテル溶液が、目的の溶液粘度などに到達したら酸素含有ガスの供給を停止し、さらに、既知の触媒除去処理方法を用いて処理することが好ましい。例えば、塩酸や酢酸等の酸、またはエチレンジアミン4酢酸(EDTA)及びその塩、ニトリロトリ酢酸及びその塩等の水性液を反応液に加えて触媒を水性液に移した後、水性液とポリフェニレンエーテル溶液に液々分離を行うことにより触媒成分を除去する方法が挙げられ、特にEDTAを用いる方法が好ましい。
重合中に副生成物として発生することが知られているジフェノキノンは重合後、溶剤洗浄や公知の還元剤などで処理するか、または特公昭61−20576号公報記載の方法や特開平7−278293号公報記載の方法に従って処理することが好ましい。
本発明の析出操作においては、ポリフェニレンエーテルと該ポリフェニレンエーテルの重合に用いたポリフェニレンエーテルの良溶媒からなるポリフェニレンエーテル溶液中のポリフェニレンエーテル濃度が25〜90重量%であることが必要であり、好ましくは30〜80重量%、更に好ましくは50〜80重量%である。25重量%未満では析出に必要なポリフェニレンエーテルの貧溶媒量が過大となり、その回収処理などが困難になり好ましくない。また90重量%を越えるとC.Iを1.0以下にすることが困難となり好ましくない。
本発明において析出スラリーとは、析出せずに溶媒中に溶解しているポリフェニレンエーテル、溶媒および析出したポリフェニレンエーテル樹脂を含めたスラリー全体を言う。つまり、析出スラリーとはポリフェニレンエーテルの良溶媒とポリフェニレンエーテルの貧溶媒からなる混合溶媒、該混合溶媒に溶解しているポリフェニレンエーテルと、析出したポリフェニレンエーテル樹脂の固液混合溶液である。ここで、ポリフェニレンエーテルの良溶媒とポリフェニレンエーテルの貧溶媒からなる混合溶媒には、析出しきらないポリフェニレンエーテルおよびそのオリゴマー成分が溶解している。
本発明の析出スラリー中のポリフェニレンエーテル含有量は、析出操作性の観点から25重量%以下であることが必要であり、使用溶剤量および回収処理操作性の観点から1重量%以上が必要である。好ましくは3重量%以上、20重量%以下、更に好ましくは、5重量%以上、15重量%以下である。
析出スラリー中のポリフェニレンエーテルの含有量が25重量%以上では、析出したポリフェニレンエーテル粒子同士の衝突干渉が過大となり、析出操作が困難となる。
さらに、本発明のポリフェニレンエーテル分を除く析出スラリー中のポリフェニレンエーテルの良溶媒濃度は20重量%以下、1.0重量%以上であり、好ましくは20重量%以下、3.0重量%以上、更に好ましくは18重量%以下、5.0重量%以上である。
ポリフェニレンエーテルの良溶媒濃度が20重量%以上であれば、ポリフェニレンエーテルの析出が困難となる傾向にあり、1.0重量%以下ではC.Iが1.0以上になる可能性が高まり好ましくない。
低分子量ポリフェニレンエーテルの析出に際しては、使用するポリフェニレンエーテル溶液中のポリフェニレンエーテル濃度と、析出スラリー中のポリフェニレンエーテル含有量、析出スラリー中の混合溶媒の良溶媒濃度、析出スラリーの温度が非常に重量である。
これらの要件の何れかが範囲外になった場合には、本発明のポリフェニレンエーテル樹脂のC.Iを1.0以下とすることが困難となったり、析出操作が困難になる場合がある。
析出スラリーの温度は、20℃を越えて、析出スラリーの沸点以下であることが必要であり、さらに20℃を越えて70℃以下であることが好ましく、更に好ましくは20℃を越えて40℃以下である。温度が20℃以下ではC.Iを1.0以下にすることが困難となり好ましくなく、沸点以上では析出操作が困難となり好ましくない。
析出スラリーの沸点は、実際の析出スラリー若しくは模擬液を用いて、実測することで知ることが出来る。
析出に用いるポリフェニレンエーテルの貧溶媒としては、炭素数6以下の一価または多価アルコール、および水から選ばれる1種以上の貧溶媒が使用できる。これらの溶媒を例示すると、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等の一価アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール類及び水が挙げられ、中でも炭素数2以下の一価アルコール、二価アルコール及び水が好ましく、メタノールが特に好ましい。
貧溶媒量は上記析出スラリーのポリフェニレンエーテル濃度、良溶媒濃度になるように調整され、ポリフェニレンエーテル溶液中のポリフェニレンエーテルに対して約1〜100重量倍の範囲において使用することが好ましい。
ポリフェニレンエーテル溶液とポリフェニレンエーテルの貧溶媒との混合、もしくはポリフェニレンエーテル溶液とポリフェニレンエーテルの貧溶媒および良溶媒の混合は、本発明の効果を損なわない範囲においていかなる方法でも構わないが、ポリフェニレンエーテルの貧溶媒中にポリフェニレンエーテル溶液を添加する方法、ポリフェニレンエーテルの良溶媒と貧溶媒からなる混合溶液中にポリフェニレンエーテルの貧溶媒とポリフェニレンエーテル溶液を同時に添加する方法が好ましく、ポリフェニレンエーテルの良溶媒と貧溶媒からなる混合溶液中にポリフェニレンエーテルの貧溶媒とポリフェニレンエーテル溶液を同時に添加する方法が本発明のC.Iを達成する上でより好ましい。前者の添加方法は、バッチ式の析出方法を行う際に好適な方法であり、後者は連続式の析出方法を行う際に好適である。
また、前者の方法で析出を開始し、各成分が目的とする範囲に到達したら後者の方法で連続析出に移行することも好適である。
後者の方法で析出を開始する場合、ポリフェニレンエーテルの貧溶媒と、ポリフェニレンエーテルの良溶媒からなる混合溶媒は、該良溶媒濃度が20重量%以下、1.0重量%以上、好ましくは20重量%以下、3.0重量%以上、更に好ましくは18重量%以下、5.0重量%以上の範囲内と成るように仕込む。次いで、連続析出が平衡化した際に析出スラリーの溶媒中の良溶媒濃度が、20重量%以下1.0重量%以上、好ましくは20重量%以下、3.0重量%以上、更に好ましくは18重量%以下、5.0重量%以上の範囲内、且つ、析出スラリー中のポリフェニレンエーテル含有量が25重量%以下1.0重量%以上、好ましくは20重量%以下、3重量%以上、更に好ましくは、15重量%以下、5重量%以上になるようにポリフェニレンエーテル溶液と、貧溶媒または貧溶媒および良溶媒とを同時に添加混合する。
ポリフェニレンエーテル溶液および、ポリフェニレンエーテルの貧溶媒は、操作可能な範囲においていかなる温度でも構わないが、ポリフェニレンエーテル溶液中のポリフェニレンエーテル濃度が高い場合には、ポリフェニレンエーテル溶液の温度を高温度に、例えば50〜110℃の間で析出状態に応じて変化させることが好ましい。この際には、添加する貧溶媒の温度を低く設定すると、析出スラリーの温度を所望の温度に制御することが容易となり好ましい。
ポリフェニレンエーテルの析出を行う装置としては、本発明の目的を達成するものであれば、いかなるものでも構わないが、例示すれば1方向回転攪拌翼を供えた攪拌槽、往復翼を供えた攪拌槽が最も一般的である。析出操作時の攪拌は、析出系内の運転安定性、得られる粒子の大きさ等に影響するため、本発明の目的を損なわない範囲において、調整することが可能である。
本発明のポリフェニレンエーテル析出時の平均滞留時間は、本発明の目的を損なわない範囲で調整することが出来る。一般的には0.1〜15分であることが好ましい。
析出スラリーの排出は、析出スラリーが均一混合の状態にある場合には、析出槽などの上部よりオーバーフローの形態で排出する方法、および底部より排出する方法のいずれでも良く、非均一混合の状態にある場合には、底部より排出する方法が好ましい。
排出された析出スラリーは、吸引濾過器、加圧濾過器、遠心分離機等によりポリフェニレンエーテル樹脂の湿粉と溶媒に分離することが出来る。さらに必要に応じ、ポリフェニレンエーテルの湿粉を再び貧溶媒中に分散させ粒子中の良溶媒含有量を低減させるなどの、粒子の安定化を図る操作を行うことも可能である。分離したポリフェニレンエーテルは、必要に応じ、粒子の破砕機等を通したあと、乾燥機等により残存する溶媒を取り除き製品とすることが出来る。
乾燥時の条件は、ポリフェニレンエーテルの還元粘度により乾燥温度の上限が制限されるが、40〜160℃の範囲で常圧または減圧にて乾燥することが出来る。また、空気や不活性ガスの気流下に乾燥することも出来る。
本発明のポリフェニレンエーテルは、C.Iが低く酸化体やオリゴマー等の不要成分が少ないため、低誘電率や低誘電損失等を要求される電子材料用途として極めて有用である。また他の物質に耐熱性、難燃性を付与するための耐熱、難燃助剤的な添加剤としても有用である。特に熱可塑性エラストマーとの混合のためには極めて有用である。
更に本発明によるポリフェニレンエーテルは、種々の熱可塑性樹脂組成物や熱硬化性樹脂等に適用することも有用である。当然のことながら通常の高分子量のポリフェニレンエーテルを用いた変性ポリフェニレンエーテル樹脂に本発明の低分子量ポリフェニレンエーテルを適用し、その流動特性の改善にも寄与することができる。
熱可塑性樹脂としては例えば、ポリスチレン系樹脂(ゴム補強ポリスチレンやAS,ABS樹脂等も含む)、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、液晶樹脂、熱可塑性エラストマー等との組成物であり、熱硬化性樹脂としては例えば、エポキシ系、不飽和ポリエステル系、ポリウレタン、架橋アリール、ビスマレイミド、フェノール性樹脂等との組成物が挙げられるがこの例に限定されない。
本発明のポリフェニレンエーテルを含有する組成物を構成する各成分を混合する方法はいかなる方法でも良いが、例えば、溶液ブレンドと脱気方法、押出機、加熱ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、ヘンシェルミキサー等使用することができる。
また本発明によって得られたポリフェニレンエーテルを用いた組成物を製造させる際に他の添加剤、例えば可塑剤、安定剤、変性剤、紫外線吸収剤、難燃剤、着色剤、離型剤及びガラス繊維、炭素繊維等の繊維状補強剤、更にはガラスビーズ、炭酸カルシウム、タルク等の充填剤を添加することができる。安定剤や変性剤としては、亜リン酸エステル類、ヒンダードフェノール類、含イオウ酸化防止剤、アルカノールアミン類、酸アミド類、ジチオカルバミン酸金属塩類、無機硫化物、金属酸化物類、無水カルボン酸類、スチレンやステアリルアクリレート等のジエノフィル化合物類、エポキシ基含有化合物などが挙げられるがこれらの例には限定されない。これらの添加剤は単独でまたは組み合わせて使用することができる。
次に実施例により本発明を更に詳細に説明する。
なお、測定は以下の方法に従って行った。
(1)ηsp/cの測定方法
各々の例で得られたポリフェニレンエーテルを0.5g/dlのクロロホルム溶液として、ウベローデ粘度管を用いて30℃における還元粘度(ηsp/c)を求めた。単位はdl/gである。
(2)ポリフェニレンエーテル樹脂粉体のC.Iの測定方法。
120℃の窒素気流下で2時間乾燥して得た、ポリフェニレンエーテル樹脂粉体を、ポリフェニレンエーテル濃度0.05g/mlのクロロホルム溶液として溶解する。セル長1cmの石英セルにポリフェニレンエーテルの溶解に用いたのと同じ純クロロホルムを入れ、UV波長480nmで純クロロホルムの吸光度を測定し、吸光度0とする。次いで、石英セル内のクロロホルムを廃棄、洗浄、乾燥させ上記ポリフェニレンエーテルのクロロホルム溶液を入れ、480nmでの吸光度を測定する。ポリフェニレンエーテル溶液の吸光度から純クロロホルムの吸光度を減じ、ポリフェニレンエーテル溶液中のポリフェニレンエーテル濃度で除してポリフェニレンエーテルのC.Iを求めた。
[製造例1]
反応器底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた45リットルのジャケット付き反応器に、予め作成した2.51gの酸化第一銅、18.96gの47%臭化水素の混合物と、29.39gのジ−n−ブチルアミン、6.05gのN,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、84.0gのジメチル−n−ブチルアミン、及び12909gのトルエン、1950gの2,6−ジメチルフェノールを入れた。次いで激しく攪拌しながら反応器へ20.5NL/min(2,6−ジメチルフェノール1.0Kgに対して10.5NL)の速度で空気をスパージャーより導入を始めると同時に、重合温度は40℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調節した。空気を導入し始めてから65分後、空気の通気をやめ、この重合溶液に31.8gのエチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩4水和物(同仁化学研究所製試薬)を1500gの水溶液として添加し70℃に温めた。70℃にて2時間保温し触媒抽出と副生したジフェノキノン処理行った後、混合液をシャープレス社製遠心分離機に送り、ポリフェニレンエーテル溶液と触媒金属を移した水性相に分離した。得られたポリフェニレンエーテル溶液をジャケット付き濃縮槽に移し、130℃のオイルをジャケットに通じて加熱した。約8kgのトルエンを溜去してポリフェニレンエーテルを濃縮してポリフェニレンエーテル溶液を得た。
濃縮したポリフェニレンエーテル溶液中のポリフェニレンエーテル濃度は、ロータリーエバポレーターでポリフェニレンエーテル溶液を乾固させ、残量を仕込み重量で除して求め、ポリフェニレンエーテル濃度は28重量%であった。
[製造例2]
製造例1の濃縮したポリフェニレンエーテル溶液を更に濃縮し、ポリフェニレンエーテル濃度51重量%のポリフェニレンエーテル溶液を得た。
[製造例3]
製造例1と相似形の15L反応器に、予め作成した4.05gの酸化第一銅、30.6gの47%臭化水素の混合物と、47.5gのジ−n−ブチルアミン、9.77gのN,N’−ジ−t−ブチルエチレンジアミン、135.7gのジメチル−n−ブチルアミン、及び2922gのトルエン、2822gの2,6−ジメチルフェノールさらに328gの2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンを入れて参考例1と同じ条件にて、120分間の重合と触媒分離処理、ジフェノキノン処理さらに水性相との分離処理を行い、ポリフェニレンエーテル溶液を得た。
ポリフェニレンエーテル溶液中のポリフェニレンエーテル濃度は、ロータリーエバポレーターでポリフェニレンエーテル溶液を乾固させ、残量を仕込み重量で除して求め、ポリフェニレンエーテル濃度は45重量%であった。
[製造例4]
製造例3のポリフェニレンエーテル溶液を濃縮し、ポリフェニレンエーテル濃度65重量%のポリフェニレンエーテル溶液を得た。
[実施例1]
一方向攪拌機、3枚プロペラ翼、底部排出口および温調用ジャケットを備えた1L析出槽にメタノール/トルエンを11.6/1.0重量比で540g仕込み30℃に調整した。製造例1で得られたポリフェニレンエーテル溶液を70℃に調整し、25℃に調整したメタノールと同時に析出槽上部から表1に示す条件で投入を開始した。投入開始から1分後より底部排出口から60g/minずつ内容液を抜き出しつつ析出槽内を30℃に保ち50分間析出操作を行った。投入開始から30分以降に抜き出した内容液は、ガラスフィルターにより減圧濾過を行い、湿潤ポリフェニレンエーテルをメタノールでリンスした後、120℃の窒素気流下で2時間乾燥した。得られたポリフェニレンエーテル樹脂粉体のC.Iを測定すると、0.812、ηsp/cは0.081dl/gであった。
[実施例2]
析出槽に初期に張り込むメタノール/トルエン比を14.5/1.0重量比に、使用するポリフェニレンエーテル溶液を製造例3にした以外は、実施例1と同様にして析出操作を行い、ポリフェニレンエーテル樹脂粉体を得た。得られたポリフェニレンエーテル樹脂粉体のC.Iを測定すると、0.643、ηsp/cは0.104dl/gであった。
[実施例3]
析出槽の温度を45℃にした以外は、実施例2と同様にして析出操作を行い、ポリフェニレンエーテル樹脂粉体を得た。得られたポリフェニレンエーテル樹脂粉体のC.Iを測定すると0.626、ηsp/cは0.105dl/gであった。
[実施例4]
析出槽に初期に張り込むメタノール/トルエン比を14.5/1.0重量比にした以外は、実施例2と同様にして析出操作を行い、ポリフェニレンエーテル樹脂粉体を得た。得られたポリフェニレンエーテル樹脂粉体のC.Iを測定すると、0.638、ηsp/cは0.104dl/gであった。
[実施例5]
析出槽に初期に張り込むメタノール/トルエン比を8.3/1.0重量比に、使用するポリフェニレンエーテル溶液を製造例2にした以外は、実施例1と同様にして析出操作を行い、ポリフェニレンエーテル樹脂粉体を得た。得られたポリフェニレンエーテル樹脂粉体のC.Iを測定すると、0.768、ηsp/cは0.082dl/gであった。
[実施例6]
析出槽に初期に張り込むメタノール/トルエン比を9.6/1.0重量比に、使用するポリフェニレンエーテル溶液を製造例4にした以外は、実施例1と同様にして析出操作を行い、ポリフェニレンエーテル樹脂粉体を得た。得られたポリフェニレンエーテル樹脂粉体のC.Iを測定すると、0.629、ηsp/cは0.105dl/gであった。
[実施例7]
実施例1と同じ析出槽に、メタノールを540g仕込み、30℃に調整した。製造例4で得られたポリフェニレンエーテル溶液を70℃に調整し、析出槽上部から16.0g/minで15分間、合計240gのポリフェニレンエーテル溶液を添加し析出させた。ポリフェニレンエーテルの添加終了後、3分間攪拌を行い、内溶液を全量抜き出した。抜き出した内容液は、実施例1と同様の方法で処理し、ポリフェニレンエーテル樹脂粉体を得た。得られたポリフェニレンエーテル樹脂粉体のC.Iを測定すると、0.691、ηsp/cは0.104dl/gであった。
[比較例1]
析出槽の温度を−10℃にした以外は、実施例1と同様にして析出操作を行い、ポリフェニレンエーテル樹脂粉体を得た。得られたポリフェニレンエーテル樹脂粉体のC.Iを測定すると、1.53、ηsp/cは0.080dl/gであった。
[比較例2]
製造例1のポリフェニレンエーテル溶液を用い、150℃に設定したオイルバスとロータリーエバポレーターを用いトルエンを溜去した。ポリフェニレンエーテル濃度が約70wt%となったらオイルバスの温度を190℃にしてポリフェニレンエーテルが乾固するまでトルエン溜去した。得られた、ポリフェニレンエーテルを回収しC.Iを測定すると3.69、ηsp/cは0.078dl/gであった。
Figure 2005272631
実施例のC.Iは、いずれも1.0以下であり、不要成分が少ないポリフェニレンエーテルが得られた。比較例では、C.Iが1.5から3.7であり不要成分が残留していると推察される。
本発明の、酸化体等の不要成分の代用指標となるカラーインデックスが著しく改善されたポリフェニレンエーテルは、特に電子材料用途等に好適に利用可能である。

Claims (9)

  1. 30℃において0.5g/dlの濃度のクロロホルム溶液で測定された還元粘度(ηsp/c)が0.04〜0.20dl/gであり、かつUV波長480nmで測定されるカラーインデックスが1.0以下であることを特徴とするポリフェニレンエーテル樹脂。
  2. ポリフェニレンエーテル樹脂が、一般式(1)で表される二価フェノール化合物に由来する構造単位を含有する請求項1に記載のポリフェニレンエーテル樹脂。
    Figure 2005272631
    (式中、R、Rは各々同一または異なる置換基を表し、水素、アルキル基、置換アルキル基、アラルキル基、置換アラルキル基、アリール基、置換アリール基、アルコキシ基、置換アルコキシ基、ハロゲンを表し、Xは脂肪族炭化水素残基及びそれらの置換誘導体、酸素、イオウ、スルホニル基を表し、R,Xの結合位置はフェノール水酸基に対してオルソ位またはパラ位を表す。)
  3. 良溶媒を用いて30℃において0.5g/dlの濃度のクロロホルム溶液で測定された還元粘度(ηsp/c)が0.04〜0.20dl/gのポリフェニレンエーテルの製造方法において、ポリフェニレンエーテル溶液から貧溶媒を用いて該ポリフェニレンエーテルを析出させる際に、該ポリフェニレンエーテル溶液としてポリフェニレンエーテル樹脂濃度が25重量%〜90重量%の溶液を用い、析出スラリーを20℃を超えて析出スラリーの沸点以下に保持しながら、析出スラリーの溶媒中の良溶媒濃度が20重量%以下1.0重量%以上、析出スラリー中のポリフェニレンエーテル含有量が25重量%以下1.0重量%以上になるように上記ポリフェニレンエーテル溶液と、貧溶媒または貧溶媒および良溶媒とを混合することを特徴とするポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
  4. ポリフェニレンエーテル溶液が、ポリフェニレンエーテル濃度、30重量%以上、80重量%以下のポリフェニレンエーテル溶液を用いる事を特徴とする請求項3に記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
  5. 析出スラリーの温度を、20℃を越えて70℃以下にすることを特徴とする請求項3または4に記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
  6. 析出スラリーの溶媒中の良溶媒濃度が20重量%以下、3重量%以上、かつ析出スラリー中のポリフェニレンエーテル含有量を20重量%以下、3重量%以上にすることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
  7. ポリフェニレンエーテル溶液の良溶媒が、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、スチレン、アセトンおよびメチルエチルケトンから選ばれる1種類以上であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
  8. ポリフェニレンエーテルの貧溶媒が炭素数6以下の一価もしくは多価アルコールおよび水から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
  9. 請求項3〜8のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法で得られたポリフェニレンエーテル樹脂。
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