JP5311717B2 - 多官能性ポリフェニレンエーテルの製造方法 - Google Patents

多官能性ポリフェニレンエーテルの製造方法 Download PDF

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本発明は多官能性ポリフェニレンエーテルの製造方法、およびこの方法で得られる多官能性ポリフェニレンエーテルに関するものである。
ポリフェニレンエーテルは加工性・生産性に優れ、溶融射出成形法や溶融押出成形法などの成形方法により所望の形状の製品・部品を効率よく生産できるため、電気・電子分野、自動車分野、その他の各種工業材料分野、食品・包装分野の製品・部品用の材料として幅広く用いられている。ポリフェニレンエーテルを連続的に得る製法に関しては、媒体としてフェノール化合物は溶解するがポリフェニレンエーテルは溶解しない液体を用い、完全混合型重合槽で均一な溶液状態で重合させ、ついで生成ポリフェニレンエーテルの粒子を析出させる連続重合方法(例えば、特許文献1参照。)などが報告されている。
この方法は、樹脂として実用的な分子量のポリフェニレンエーテル(実施例で得られるポリフェニレンエーテルの、25℃・0.5%クロロホルム溶液中で測定した還元粘度は0.44〜0.77)を連続的に得ることができ、工業的な意義は大なるものが認められる。
最近、通常の高分子量ポリフェニレンエーテルよりも、きわめて低分子量のポリフェニレンエーテルが他の樹脂の改質や、電子材料用途に対して有効であることが期待されており、性能の良い極低分子量のポリフェニレンエーテル及びその効率的な製造方法が望まれている。一般にポリフェニレンエーテルの製造において低分子量体が生成するような状況の場合には、副生成物の選択率が高くなることや、収率が低下することが知られている。
比較的低分子量のポリフェニレンエーテルの製造方法として、2,4,6−トリメチルフェノールを加えることでその添加量に応じ得られるポリフェニレンエーテルの分子量を変化させる製法(例えば、特許文献2参照。)が提案されており、また同明細書中には、溶媒としてポリフェニレンエーテルの良溶媒(例えばベンゼン、トルエン、キシレン)とポリフェニレンエーテルの貧溶媒(例えばケトン、エーテル、アルコール)の混合溶媒を用い、良溶媒/貧溶媒の比を変えることにより種々の分子量のポリマーが得られる旨の提案がされている。しかしこの方法は不正確で要求する分子量のポリマーを得る方法としては適当なものではないと述べられている。
また、同様にポリフェニレンエーテルの良溶媒として芳香族炭化水素(例えばベンゼン、トルエン、キシレン等)、ポリフェニレンエーテルの貧溶媒として脂肪族炭化水素(例えばn−ヘキサン、イソヘキサン、n−ヘプタン等)の混合溶媒中で実施された方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしこの方法においては、実施例中でも明白なように還元粘度が0.1dl/g以下となるような領域の極低分子量域に至っては収率が低下するという問題が発生している。
一方で、理論的にポリフェニレンエーテルは一分子あたり1個のフェノール性水酸基を有するが、ポリフェニレンエーテルを製造する際、一価フェノール化合物と二価フェノール化合物を共重合せしめる場合には、一分子あたりに1個以上の二価フェノール化合物が構造に含まれると考えられ、そのようなポリフェニレンエーテルは一分子あたりにフェノール性水酸基を2個有すると考えられる。即ち二価フェノール化合物の存在量は一分子あたりの平均フェノール性水酸基数を決定する因子である。この概念から、多官能性ポリフェニレンエーテルを製造するため、高分子量ポリフェニレンエーテルと二価フェノール化合物を3,3’5,5’―テトラメチル―ジフェノキノンや、ラジカル触媒下で再分配させ、二価フェノール化合物をポリフェニレンエーテル中に取り込む方法(例えば、特許文献4、5参照。)、高分子中に取り込むこと或いは二価フェノール化合物と一価フェノール化合物を酸化共重合する方法(例えば、特許文献6、7参照。)何れも所望の数のフェノール性水酸基を導入するために、生成物の一分子あたりの平均フェノール性水酸基数から考えられる二価フェノール化合物添加量以上の二価フェノール化合物を添加しており、効率よく多官能性ポリフェニレンエーテルを製造することができない。
さらに、多官能性ポリフェニレンエーテルを製造するため、嫌気下で酸化剤の存在下で一価フェノール化合物と二価フェノール化合物を共重合する方法等が知られているが(非特許文献1参照。)、得られるポリフェニレンエーテルの収率が50%以下と極めて低く、工業的な製造方法としては効率が良くないという問題がある。同様に嫌気下で二酸化マンガンを酸化剤として用い、一価フェノール化合物と二価フェノール化合物を共重合する方法等が知られているが(特許文献8参照。)、酸化剤の量は用いるフェノール化合物の当モル以上用いる必要があり、生産性を考えた場合好ましくない。
特公昭49−28919号公報 米国特許第3440217号明細書 特公昭50−6520号公報 WO98/36015号公報 特開平9−291148号公報 特公平8−011747号公報 特開2003−12796号公報 特公昭57−26526号公報 M.Jayakannan、Synthesis and characterization of new telechelic poly(phenyleneoxide)s、EUROPEAN POLYMER JOURNAL、英国、ELSEVIER、2004年2月4日、Vol40、p1169−1175
本発明は、ポリフェニレンエーテルを製造する際に、二価フェノール化合物の存在量が考えられるより少ない量で効率よく多官能性ポリフェニレンエーテルを得る多官能性ポリフェニレンエーテルの製造方法及び多官能性ポリフェニレンエーテルを提供することを目的とする。
本発明者は、前記課題を解決するため、多官能性ポリフェニレンエーテルについて鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに、一般式(1)で示される一価フェノール化合物と、一般式(2)で示される二価フェノール化合物の存在下で酸化重合すると、生成する多官能性ポリフェニレンエーテルの一分子あたりの平均フェノール性水酸基数から考えられる二価フェノール化合物の添加量より、極めて少ない添加量で効率よく多官能性ポリフェニレンエーテルを製造できる事を見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
1.(A)一般式(1)で表される一価フェノール化合物及び(B)一般式(2)で表され式中のR4の少なくとも一つが水素原子である二価フェノール化合物を触媒の存在下で重合することを特徴とする多官能性ポリフェニレンエーテルの製造方法。
(式(1)中、R1,R2,R3は各々独立の置換基を表し、R1はアルキル基,置換アルキル基,アラルキル基,置換アラルキル基,アリール基,置換アリール基,アルコキシ基または置換アルコキシ基であり、R2,R3はR1について定義されたものと同一の基に加え更に水素原子またはハロゲン原子であっても良い。式(2)中、R4は各々独立の置換基を表し、水素原子、ハロゲン原子、またはアルキル基,置換アルキル基,アラルキル基,置換アラルキル基,アリール基,置換アリール基,アルコキシ基または置換アルコキシ基であり、少なくとも1つが水素原子である。式(2)中、R5、R6、R7は各々独立の置換基を表し、水素原子、ハロゲン原子、またはアルキル基,置換アルキル基,アラルキル基,置換アラルキル基,アリール基,置換アリール基,アルコキシ基または置換アルコキシ基を表す。)
Figure 0005311717
Figure 0005311717
2.(A)フェノール化合物及び(B)二価フェノール化合物を触媒と酸素の存在下で重合することを特徴とする1.に記載の多官能性ポリフェニレンエーテルの製造方法、
3.重合終結時における重合溶液の形態が、スラリーであることを特徴とする1.または2.に記載の多官能性ポリフェニレンエーテルの製造方法、
4.30℃、0.5g/dlの濃度のクロロホルム溶液で測定された還元粘度(ηsp/c)が、0.04〜0.20dl/gであることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の多官能性ポリフェニレンエーテルの製造方法、
5.(B)の二価フェノール化合物が0.1mol〜25mol%であることを特徴とする1.〜4.のいずれかに多官能性ポリフェニレンエーテルの製造方法、
6.成分(B)が、4,4’−ジヒドロキシビフェニルであることを特徴とする1.〜5.のいずれかに記載の多官能性ポリフェニレンエーテルの製造方法、
7.少なくとも2槽からなる重合槽を用い、第二またはそれ以降の重合槽において重合を完結させる方法であって、該フェノール化合物の重合率を40%以上に高めた後に、ポリフェニレンエーテルの貧溶媒を該フェノール化合物に対し5重量%以上添加することを特徴とする1.〜6.のいずれかに記載の多官能性ポリフェニレンエーテルの製造方法、
8.1.〜7.のいずれかに記載の製造方法で得られ、(B)のR4の少なくとも二つが水素原子であることを必須とする多官能性ポリフェニレンエーテルである。
本発明によれば、多官能性ポリフェニレンエーテルを製造するに際し、特定の二価フェノール化合物を用いることにより、効率よく多官能性ポリフェニレンエーテルを提供することができる。また本発明で得られる多官能性ポリフェニレンエーテルは、末端フェノール性水酸基を他の官能基に容易に誘導できる。更に、基本骨格がポリフェニレンエーテル構造であるので、耐熱性、誘電特性等に優れる。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明に用いられるフェノール化合物(A)は下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 0005311717
式(1)中、R,R,Rは各々独立の置換基を表し、Rはアルキル基,置換アルキル基,アラルキル基,置換アラルキル基,アリール基,置換アリール基,アルコキシ基または置換アルコキシ基であり、R,RはRについて定義されたものと同一の基に加え更に水素またはハロゲンであっても良い。
一般式(1)で表されるような一価フェノール化合物としては、例えば、o−クレゾール、2,6−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2−エチルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−n−プロピルフェノール、2−メチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−イソプロピルフェノール、2−メチル−6−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−フェニルフェノール、2−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ビス−(4−フルオロフェニル)フェノール、2−メチル−6−トリルフェノール、2,6−ジトリルフェノール等が挙げられる。
本発明に於いてこれらの一価フェノール化合物の中でも2,6−ジメチルフェノールは工業上非常に重要であり好ましく用いられる。並びに好ましくはこれらの一価フェノール化合物は一種類でも用いられるし、いくつか組み合わせて用いても良い。例えば、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールを組み合わせて使用する方法、2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジフェニルフェノールを組み合わせて用いる方法などである。このような混合の一価フェノール化合物を用いる場合には2,6−ジメチルフェノールとの比が1:99から99:1の重量比である混合一価フェノール化合物を用いることができる。また使用するフェノール化合物の中に、少量のm−クレゾール、p−クレゾール、2,4−ジメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール等が含まれていても全くかまわない。
本発明に用いられる二価フェノール化合物(B)は下記一般式(2)で表される化合物である。
Figure 0005311717
式(2)中、Rは各々独立の置換基を表し、水素原子、ハロゲン原子、またはアルキル基,置換アルキル基,アラルキル基,置換アラルキル基,アリール基,置換アリール基,アルコキシ基または置換アルコキシ基であり、少なくとも一つが水素原子である。式(2)中、R、R、Rは各々独立の置換基を表し、水素原子、ハロゲン原子、またはアルキル基,置換アルキル基,アラルキル基,置換アラルキル基,アリール基,置換アリール基,アルコキシ基または置換アルコキシ基を表し、これらを表す二価フェノール化合物としては4,4’−ジヒドロキシビフェニルなどが好ましい。これらの二価フェノール化合物は一種類でも用いられるし、いくつか組み合わせて用いても良い。
本発明において、一価フェノール化合物を二価フェノール化合物の存在下で酸化重合せしめる場合、一般式(2)の二価フェノール化合物がフェノール化合物に占める割合は特に制限されないが、0.1〜25mol%とするのが好ましく、より好ましくは0.1〜15mol%、さらに好ましくは0.1〜10mol%、最も好ましくは0.1〜5mol%である。
本発明の連続重合方法において重合溶液中のフェノール化合物の濃度は特に限定されないが、全重合溶液中において10〜50重量%とすると沈殿析出重合の特徴が発揮され好ましい。
本発明で用いられる触媒は、一般的にポリフェニレンエーテルの製造に用いることができる公知の触媒系が全て使用できる。一般的に知られている触媒系は酸化還元能を有する遷移金属イオンとこの金属イオンと錯形成可能なアミン化合物からなるものが知られており、例えば銅化合物とアミンからなる触媒系、マンガン化合物とアミンからなる触媒系、コバルト化合物とアミンからなる触媒系、等である。重合反応は若干のアルカリ性条件下で効率よく進行するため、ここに若干のアルカリもしくは更なるアミンを加えることもある。
本発明で好適に使用される触媒は、触媒の構成成分として銅化合物、ハロゲン化合物および一般式(3)で表されるジアミン化合物からなる触媒である。
Figure 0005311717
(式中、R,R,R10,R11はそれぞれ独立に水素、炭素数1から6の直鎖状または分岐状アルキル基で、全てが同時に水素ではない。R12は炭素数2から5の直鎖状またはメチル分岐を持つアルキレン基である)
ここで述べられた触媒成分の銅化合物の例を列挙する。好適な銅化合物としては第一銅化合物、第二銅化合物またはそれらの混合物を使用することができる。第二銅化合物としては、例えば塩化第二銅、臭化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅等を例示することができる。また第一銅化合物としては、例えば塩化第一銅、臭化第一銅、硫酸第一銅、硝酸第一銅等を例示することができる。これらの中で特に好ましい金属化合物は塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅である。またこれらの銅塩は酸化物(例えば酸化第一銅)、炭酸塩、水酸化物等と対応するハロゲンまたは酸から使用時に合成しても良い。しばしば用いられる方法は先に例示の酸化第一銅とハロゲン化水素(またはハロゲン化水素の溶液)を混合して作成する方法である。
ハロゲン化合物としては例えば塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム等である。またこれらは水溶液や適当な溶媒を用いた溶液として使用できる。これらのハロゲン化合物は、成分として単独でも用いられるし、2種類以上組み合わせて用いても良い。好ましいハロゲン化合物は、塩化水素の水溶液、臭化水素の水溶液である。
これらの化合物の使用量は特に限定されないが、銅原子のモル量に対してハロゲン原子として2倍以上20倍以下が好ましく、使用されるフェノールの100モルに対して好ましい銅原子の使用量としては0.02モルから0.6モルの範囲である。
次に触媒成分のジアミン化合物の例を列挙する.例えばN、N、N‘、N’‐テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−エチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−N−エチルエチレンジアミン、N−n−プロピルエチレンジアミン、N,N’−ジーn−プロピルエチレンジアミン、N−i−プロピルエチレンジアミン、N,N’−ジーi−プロピルエチレンジアミン、N−n−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジーn−ブチルエチレンジアミン、N−i−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジーi−ブチルエチレンジアミン、N−t−ブチルエチレンジアミンが挙げられる。
また、N,N’−ジーt−ブチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’−トリメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N−メチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ−1−メチルプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ−2−メチルプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,5−ジアミノペンタン等が挙げられる。
本発明にとって好ましいジアミン化合物は2つの窒素原子をつなぐアルキレン基の炭素数が2または3のものである。これらのジアミン化合物の使用量は特に限定されないが、通常使用されるフェノールの100モルに対して0.01モルから10モルの範囲で用いられる。
本発明において触媒の構成成分として、更に3級モノアミン化合物または2級モノアミン化合物をそれぞれ単独で、またはこれらを組み合わせて含ませることは好ましい。
3級モノアミン化合物とは、脂環式3級アミンを含めた脂肪族3級アミンである。例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、アリルジエチルアミン、ジメチル−n−ブチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。これらの第3級モノアミンは単独でも用いられるし、2種類以上組み合わせて用いても良い。これらの使用量は特に限定されないが、通常使用されるフェノールの100モルに対して15モル以下の範囲が好ましい。
2級モノアミン化合物の例として、第2級脂肪族アミンとしては例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−i−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジペンチルアミン類、ジヘキシルアミン類、ジオクチルアミン類、ジデシルアミン類、ジベンジルアミン類、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、シクロヘキシルアミンが挙げられる。芳香族を含む2級モノアミン化合物の例としては、N−フェニルメタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルプロパノールアミン、N−(m−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(2’,6’−ジメチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−クロロフェニル)エタノールアミン、N−エチルアニリン、N−ブチルアニリン、N−メチル−2−メチルアニリン、N−メチル−2,6−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン等が挙げられるがこれらの例には限定されない。これらの2級モノアミン化合物は単独でも用いられるし、2種類以上組み合わせて用いても良い。使用量は特に限定されないが、通常使用されるフェノールの100モルに対し15モル以下の範囲が好ましい。
本発明には従来より活性に向上効果を有することが知られている界面活性剤を添加することについて何ら制限されない。例えば、Aliquat336やCapriquatの商品名で知られるトリオクチルメチルアンモニウムクロライドである。使用量は重合反応混合物の全量に対して0.1wt%を超えない範囲が好ましい。本発明の重合における酸素含有ガスは純酸素の他、酸素と窒素等の不活性ガスとを任意の割合で混合したもの、空気、更には空気と窒素等の不活性ガスとを任意の割合で混合したもの等が使用できる。重合反応中の系内圧力は常圧で充分であるが必要に応じて減圧でも加圧でも使用できる。
重合の温度は特に限定されないが、低すぎると反応が進行しにくく、また高すぎると反応の選択性が低下することがあるので、0〜80℃、好ましくは10〜70℃の範囲である。
本発明の重合溶媒としては、一般的にポリフェニレンエーテルの重合に用いられる各種溶媒が使用可能である。ポリフェニレンエーテルの良溶媒・貧溶媒が使用可能である。
ポリフェニレンエーテルの良溶媒とは、ポリフェニレンエーテルを溶解させることができる溶媒である。このような溶媒を例示すると、ベンゼン、トルエン、キシレン(o−、m−、p−の各異性体を含む)、エチルベンゼン、スチレン等の芳香族炭化水素、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ニトロベンゼンのようなニトロ化合物が挙げられる。また若干の貧溶媒性を持ってはいるものの良溶媒に分類されるものとしては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、ギ酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルスルホキシド等が例示される。これらの良溶媒は、単独でも用いられるし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
ポリフェニレンエーテルの貧溶媒とは、ポリフェニレンエーテルを全く溶解しないか、わずかに溶解できる溶媒である。例えば、エーテル類、ケトン類、アルコール類である。中でも炭素数が1個から10個までのアルコールが好ましい。このような貧溶媒としては例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、エチレングリコール等を挙げることができ、このような貧溶媒に、更に水が含まれていても良い。これらの貧溶媒は、単独でも用いられるし、2種以上を組み合わせて用いても良く、貧溶媒の特徴を損なわない範囲において良溶媒を含有しても構わない。
しばしば用いられる溶媒の例としてはトルエンやキシレン等の芳香族炭化水素単独溶媒や、これにメタノール、エタノール等のアルコール類を含有させた混合溶媒である。
フェノール性化合物を酸化重合させて得られる重合体であるポリフェニレンエーテルに対する良溶媒と貧溶媒の比率を選ぶことによって溶液重合法にもなるし、貧溶媒の比率を大きくすることで反応の進行とともに重合体が反応溶媒中に粒子として析出し、スラリー形態となる沈殿重合法にもなる。
本発明はバッチ重合法、連続重合法、溶液重合法、沈殿重合法等の重合方法に適用できる。もちろん、本発明は溶媒を使わないバルク重合法、超臨界での炭酸ガスを溶媒として用いる重合法においても有効である。重合反応系に、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属のアルコキサイド、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム等の中性塩、ゼオライト等も添加することができる。
重合反応終了後の後処理方法については特に制限はない。通常、塩酸や酢酸等の酸、またはエチレンジアミン4酢酸(EDTA)及びその塩、ニトリロトリ酢酸及びその塩等を反応液に加えて触媒を失活させる。その後重合終結時の重合溶液の形状がスラリーである場合は、触媒の洗浄除去を目的として、重合に用いたポリフェニレンエーテルの溶解能が低い溶媒を主成分とする溶液を用いて繰り返し洗浄を実施することがより好ましい。重合終結時の重合溶液の形状が溶液である場合は、生成した重合体から触媒を分離した後、ポリフェニレンエーテルの溶解能が低い溶媒を用いてポリフェニレンエーテルを固形化する。この際、更なる触媒の洗浄除去を目的として、固形化に用いたポリフェニレンエーテルの溶解能が低い溶媒を主成分とする溶液を用いて繰返し洗浄を実施することがより好ましい。
その後、各種乾燥機を用いた乾燥工程において乾燥するという操作でポリフェニレンエーテルが回収できる。
次に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるべきではない。
なお測定は以下の方法に従って行なった。
(1)フェノール化合物の重合率の測定方法
重合に供するフェノール化合物の重量より、理論上重合に必要な酸素体積(リットル)を下式により求めた。
理論酸素量=フェノール化合物の重量/フェノール化合物の分子量×22.4/2
重合に要した酸素体積は下式により求めた。
重合に要した酸素量=(重合に供した酸素量)−(排出ガス中の酸素量)
重合率は、上述した理論酸素量及び重合に要した酸素量を用い、下式より求めた。
重合率(%)=重合に要した酸素量/理論酸素量×100
(2)副生成物の生成量の測定方法
重合溶液を用いて、ポリフェニレンエーテル濃度が100ppmのクロロホルム溶液を作製し、このクロロホルム溶液を日立分光光度計U−3310を用いて、420nmの吸光度を測定し、下式により求めた数値を副生成物の生成量とした。
副生成物の生成量(%)=3.56×吸光度
(3)ηsp/cの測定方法
ポリフェニレンエーテルを0.5g/dlのクロロホルム溶液として、ウベローデ粘度管を用いて30℃における還元粘度(ηsp/c)を求めた。単位はdl/gである。
(4)一分子当たりの平均フェノール性水酸基の定量
高分子論文集,vol.51,No.7(1994)、480頁記載の方法に従い、ポリマーの塩化メチレン溶液にテトラメチルアンモニウムハイドロオキシド溶液を加えたときの318nmにおける吸光度変化を紫外可視吸光光度計で測定した値、及び数平均分子量の値から算出した。
(5)数平均分子量の測定方法
クロロホルムを溶剤としたGPC測定を行い、予め作成したポリスチレンの分子量と溶出量の関係を表すグラフから数平均分子量(Mn)を算出した。
(6)二価フェノール性化合物の一価フェノール性化合物に対する理論モル分率の算出
一分子あたりに複数の一価フェノール化合物の繰り返し単位と、二価フェノール化合物が1単位のみから構成される理想的な多官能性ポリフェニレンエーテル(理想PPE)を製造するための、フェノール化合物中の二価フェノール性化合物の理論モル分率を算出した。
理想PPE一分子には2個の末端があるため、生成した多官能性ポリフェニレンエーテルの数平均分子量(Mn)と、平均フェノール性水酸基数(a)及び一価フェノール性化合物の分子量(m1)と二価フェノール性化合物の分子量(m2)から、算出される。
理想PPE一分子当りの平均二価フェノール化合物ユニット数(P)=a−1
理想PPE一分子当りの平均一価フェノール化合物ユニット数(Q)
=(Mn−m2×(a−1))/m1
理論モル分率(モル%)=P/(P+Q)×100
[実施例1]
重合槽底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフル、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器、重合槽側面に第二重合槽へのオーバーフローラインを備えた1.6リットルのジャケット付き第1重合槽に500ml/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、0.432gの塩化第二銅2水和物、1.90gの35%塩酸、19.79gのN,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、1058.6gのn−ブタノールを入れた。同様に、反応器底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフル、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器、重合槽側面に洗浄層へのオーバーフローラインを備えた4.0リットルのジャケット付き第二重合層に1000ml/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、2700.0gのブタノール、300gのメタノールを入れた。
また、プランジャーポンプにより第1重合槽に送液できるライン、撹拌タービン翼及び槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた6.0リットルの第一原料タンクに500ml/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、1.296gの塩化第二銅2水和物、5.70gの35%塩酸、59.37gのN,N,N’,N’,−テトラメチルプロパンジアミン、3175.8gのn−ブタノール、873.1gの2,6−ジメチルフェノール、46.9gの4,4’−ジヒドロキシビフェニルを入れ、撹拌により液を混合させた。フェノール化合物中の4,4’−ジヒドロキシビフェニルのモル分率は3.5モル%であった。さらに、プランジャーポンプにより第一重合槽及び第二重合槽の何れにも送液できるライン、撹拌タービン翼及び槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた2.0リットルの第二原料タンクに100ml/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、1200gのメタノールを入れた。尚、第一原料タンク及び第二原料タンクへの仕込み液は重合に供することで減量するため、その都度上記液組成のものを追加添加した。
次いで、激しく撹拌した第一重合槽へ、第1原料タンクより、18.43g/分の流量で重合溶液を供給するのと同時に、第1重合槽へ238ml/分の速度で酸素をスパージャーより導入を始めた。更に、第一重合槽より第二重合槽へオーバーフローが開始されると同時に、第二原料タンクより第二重合槽へ1.57g/分の流量でメタノールを添加し、更に257ml/分の速度で酸素をスパージャーにより導入させた。このとき貧溶媒であるメタノールの添加量は、2,6−ジメチルフェノールと4,4’−ジヒドロキシビフェニルの合計重量に対し39.2重量%となる。重合温度は第一重合槽及び第二重合槽ともに40℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調節した。その後30時間重合を継続することで、第一重合槽及び第二重合槽における重合は安定状態となる。このときの第一重合槽の重合率を測定すると50%、第二重合槽の重合率は46%であり、重合率96%のポリフェニレンエーテルが連続的に得られている。
また、第一重合槽の重合形態は溶液重合であり、第二重合槽の重合形態は沈殿析出重合である。その後さらに40時間重合を継続し完了した。この間、第二重合層の重合溶液は槽底部に窒素ガス導入の為のスパージャー、撹拌タービン翼、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器、重合槽側面に払い出しのためのオーバーフローラインを備えた4.0リットルのジャケット付き洗浄槽に連続的に供給されており、500ml/分の窒素が導入されている。洗浄槽温度は50℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調節した。
原料の供給及び酸素含有ガスの通気をやめ、洗浄槽に溜め込まれた重合混合物にエチレンジアミン四酢酸3カリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の10%水溶液を添加し30分間重合混合物を撹拌した。その後、濾過して濾残の湿潤ポリフェニレンエーテルにメタノールをふりかけ洗浄し湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。次いで110℃で真空乾燥し乾燥ポリフェニレンエーテルを得た。
重合完了間際の第二重合槽の重合溶液を用いて、副生成物の生成量及びロスポリマー量の測定を行なった。また、乾燥ポリフェニレンエーテルを用いてηsp/cの測定、フェノール性水酸基の定量を行なった。結果を表1に示した。
[実施例2]
洗浄槽の窒素ガス導入の為のスパージャーより、100ml/分の速度で酸素を導入し、第三重合槽として用いた以外は実施例1に準じて重合を実施した。重合温度は第三重合槽も40℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調節した。30時間重合を継続した後、第一重合槽の重合率を測定すると50%、第二重合槽の重合率は46%、第三重合槽の重合率は2%であり、重合率98%のポリフェニレンエーテルが連続的に得られている。また、第一重合槽の重合形態は溶液重合であり、第二重合槽および第三重合槽の重合形態は沈殿析出重合である。重合終了後、第三重合槽に溜め込まれている重合混合物は実施例1に準じて洗浄を実施した。重合完了間際の第三重合槽の重合溶液を用いて、副生成物の生成量およびロスポリマー量の測定を行なった。
また、乾燥ポリフェニレンエーテルを用いてηsp/cの測定、フェノール性水酸基の定量を行なった。結果を表1に示した。
[実施例3]
第一重合槽に500ml/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、0.432gの塩化第二銅2水和物、1.90gの35%塩酸、19.79gのN,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、58.8gのキシレン、529.3gのn−ブタノールを入れた。第二重合槽に1000ml/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、150gのキシレン、1350.0gのブタノール、1500gのメタノールを入れた。第一原料タンクに500ml/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、1.296gの塩化第二銅2水和物、5.70gの35%塩酸、4.95gのジ−n−ブチルアミン、59.37gのN,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、176.4gのキシレン、1587.9gのn−ブタノール、873.1gの2,6−ジメチルフェノール、46.9gの4,4’−ジヒドロキシビフェニルを入れ、撹拌により液を混合させた。フェノール化合物中の4,4’−ジヒドロキシビフェニルのモル分率は3.5モル%であった。その他の仕込み操作は実施例1に準ずる。
次いで激しく撹拌した第一重合槽へ、第一原料タンクより12.16g/分の流量で重合溶液を供給するのと同時に、第一重合槽へ238ml/分の速度で酸素をスパージャーより導入を始めた。更に、第一重合槽より第二重合槽へのオーバーフローが開始されると同時に、第二原料タンクより第二重合槽へ7.84g/分の流量でメタノールを添加し、更に257ml/分の速度で酸素をスパージャーより導入を始めた。この時の貧溶媒であるメタノールの添加量は、2,6−ジメチルフェノールと4,4’−ジヒドロキシビフェニルの合計重量に対し162.7重量%であり、重合溶媒に占める良溶媒であるキシレンの含有量は5重量%である。その後30時間重合を継続させた時の第一重合槽の重合率を測定すると59%、第二重合槽の重合率は38%であり、重合率97%のポリフェニレンエーテルが連続的に得られている。また、第一重合槽の重合形態は溶液重合であり、第二重合槽の重合形態は沈殿析出重合であった。
得られた重合混合物にエチレンジアミン四酢酸3カリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の10%水溶液を添加し、50℃に温めた。次いでハイドロキノン(和光純薬社製試薬)を少量ずつ添加し、スラリー状のポリフェニレンエーテルが白色となるまで、50℃での保温を続けた。終了後、濾過して、濾残の湿潤ポリフェニレンエーテルをメタノール洗浄溶媒に投入し、60℃で撹拌を行なった。続いて再び濾過し、濾残にメタノールをふりかけ洗浄し湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。次いで110℃で真空乾燥し乾燥ポリフェニレンエーテルを得た。測定を実施例1と同様に行ない、結果を表1に示した。
[実施例4]
洗浄槽の窒素ガス導入の為のスパージャーより、100ml/分の速度で酸素を導入し、第三重合槽として用いた以外は実施例3に準じて重合を実施した。重合温度は第三重合槽も40℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調節した。30時間重合を継続した後、第一重合槽の重合率を測定すると59%、第二重合槽の重合率は37%、第三重合槽の重合率は2%であり、重合率98%のポリフェニレンエーテルが連続的に得られている。また、第一重合槽の重合形態は溶液重合であり、第二重合槽および第三重合槽の重合形態は沈殿析出重合である。重合終了後、第三重合槽に溜め込まれている重合混合物は実施例3に準じて洗浄を実施した。重合完了間際の第三重合槽の重合溶液を用いて、副生成物の生成量およびロスポリマー量の測定を行なった。測定を実施例1と同様に行ない、結果を表1に示した。
[実施例5]
2,6−ジメチルフェノールを904.4g、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを15.6gとした以外は実施例1に準じて重合を実施した。なお、フェノール化合物中の4,4’−ジヒドロキシビフェニルのモル分率は0.83モル%であった。その他の操作や測定は実施例1と同様に行ない、結果を表1に示した。
[実施例6]
2,6−ジメチルフェノールを904.4g、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを15.6gとした以外は実施例3に準じて重合を実施した。なお、フェノール化合物中の4,4’−ジヒドロキシビフェニルのモル分率は0.83モル%であった。その他の操作や測定は実施例1と同様に行ない、結果を表1に示した。
[比較例1]
2,6−ジメチルフェノールを851.2g、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンを68.8gとした以外は実施例1に準じて重合を実施した。なお、フェノール化合物中の2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンのモル分率は3.5モル%であった。その他の操作や測定は実施例1と同様に行ない、結果を表1に示した。
[比較例2]
2,6−ジメチルフェノールを857.2g、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタンを62.8gとした以外は実施例1に準じて重合を実施した。なお、フェノール化合物中の2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタンのモル分率は3.5モル%であった。その他の操作や測定は実施例1と同様に行ない、結果を表1に示した。
[比較例3]
重合槽底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフル、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた1Lのジャケット付き重合槽に、トルエン100ml、臭化第二銅0.41g、ジ−n−ブチルアミンを入れ撹拌した。次いで高速撹拌しながら、酸素を1000ml/分の急速流量で酸素をスパージャーにより導入させながら、100mlトルエン中の70gの2,6−ジメチルフェノールの溶液を計量ポンプを通して15分かけて加えた。尚、重合槽に30℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調整した。
2,6−ジメチルフェノールの溶液添加開始から2時間後酸素の導入を停止した直後、2,6−ジメチルフェノールに対し1.48重量%の4,4’―ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ペンタン酸を加え、80℃で1時間撹拌した。そして、生成物の試料を抜き取り少量の50%酢酸水溶液と共に撹拌し、遠心分離しポリマー溶液をデカントする。ポリマーはメタノールを添加して沈殿させ、メタノールで濾過した。未反応の4,4’―ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ペンタン酸はメタノールでソックスレー抽出して除去した(15時間)。生成物を90℃で真空乾燥したポリフェニレンエーテルを得た。測定は実施例1と同様に行ない、結果を表1に示した。
Figure 0005311717
本発明の製造方法により、多官能性ポリフェニレンエーテルを効率的に製造することが可能となる。本発明で得られる多官能性ポリフェニレンエーテルは、末端フェノール性水酸基を容易に他の官能基に誘導できる。さらに基本骨格がポリフェニレンエーテル構造であるので、耐熱性,誘電特性などに優れるため、電気産業、電子産業、宇宙・航空機産業等の分野において誘電材料、絶縁材料、耐熱材料等として用いることができる。

Claims (6)

  1. (A)一般式(1)で表される一価フェノール化合物及び(B)4,4'−ジヒドロキシビフェニルを触媒の存在下で重合することを特徴とする多官能性ポリフェニレンエーテルの製造方法。
    Figure 0005311717
    (式(1)中、R 1 ,R 2 ,R 3 は各々独立の置換基を表し、R 1 はアルキル基,置換アルキル基,アラルキル基,置換アラルキル基,アリール基,置換アリール基,アルコキシ基または置換アルコキシ基であり、R 2 ,R 3 はR 1 について定義されたものと同一の基に加え更に水素原子またはハロゲン原子であっても良い。)
  2. (A)フェノール化合物及び(B)4,4'−ジヒドロキシビフェニルを触媒と酸素の存在下で重合することを特徴とする請求項1に記載の多官能性ポリフェニレンエーテルの製造方法。
  3. 重合終結時における重合溶液の形態が、スラリーであることを特徴とする請求項1または2いずれか記載の多官能性ポリフェニレンエーテルの製造方法。
  4. 30℃、0.5g/dlの濃度のクロロホルム溶液で測定された製造される多官能性ポリフェニレンエーテルの還元粘度(ηsp/c)が、0.04〜0.20dl/gであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の多官能性ポリフェニレンエーテルの製造方法。
  5. (B)4,4'−ジヒドロキシビフェニル(A)一般式(1)で表される一価フェノール化合物及び(B)4,4'−ジヒドロキシビフェニルの合計量に対して0.1mol〜25mol%であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の多官能性ポリフェニレンエーテルの製造方法。
  6. 少なくとも2槽からなる重合槽を用い、第二またはそれ以降の重合槽において重合を完結させる方法であって、該フェノール化合物の重合率を40%以上に高めた後に、ポリフェニレンエーテルの貧溶媒を該フェノール化合物に対し5重量%以上添加することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の多官能性ポリフェニレンエーテルの製造方法。
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