JP2008239720A - 分子量増大可能なポリフェニレンエーテル樹脂 - Google Patents

分子量増大可能なポリフェニレンエーテル樹脂 Download PDF

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知宏 近藤
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Abstract

【課題】成型流動性に優れ、かつ他成分を添加することなく、加熱により分子量を顕著に増大させることが可能な、ポリフェニレンエーテル樹脂及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】特定の構造単位からなるポリフェニレンエーテル樹脂であって、加熱前の還元粘度ηAが0.55(dl/g)以下であり、かつ加熱前の還元粘度ηAと、加熱後の還元粘度ηBが、関係式(ηB−ηA)/ηA≧0.26を満たす、ポリフェニレンエーテル樹脂。
【選択図】なし

Description

本発明は、成型流動性に優れ、かつ、加熱により分子量を顕著に増大させることが可能なポリフェニレンエーテル樹脂及びその製造方法に関する。
ポリフェニレンエーテルは加工性、生産性に優れ、溶融射出成型法や溶融押出成型法などの成型方法により、所望の形状の製品や部品を効率よく生産できるため、電気・電子材料分野、自動車分野、その他各種工業材料分野、食品の包装分野の製品や部品用の材料として幅広く用いられている。用途の多様化に伴い、耐熱性、機械的特性に優れ、さらに分子量やガラス転移温度等の特性が異なる多種類のポリフェニレンエーテルが求められるようになっている。
一般的に、ポリフェニレンエーテル系樹脂の分子量を調整する方法として、重合段階で分子量を増大させる場合には樹脂の重合度を高める必要があるが、その際重合槽内の粘性が上昇してしまい生産が難しくなる、或いは粘性上昇を回避するために原料のフェノール化合物濃度を薄くし、多量の重合溶媒を用いる必要があるなど生産性に問題が生じる。
これらの問題を解消する方法として、重合時に触媒を加える、あるいは加熱加工時に他成分を添加すること等の、ポリフェニレンエーテル系樹脂の分子量を調整するための方法が提案されてきた。
例えば、特許文献1及び2には、触媒にマンガン化合物及びN−アルカノールアミンを用いて重合することにより得られるポリフェニレンエーテル樹脂が開示されている。ここで得られているポリフェニルエーテル樹脂は、加熱により分子量を増大させることが可能であるが、その還元粘度が高すぎるため、押出成型等における成型流動性に劣るおそれがある。
また、特許文献3には、重合の際に他成分として炭素−炭素二重結合を有する化合物を配合しポリフェニレンエーテル系樹脂のガラス転移温度以上の温度で溶融混練する方法が開示されている。この方法は、副生成物の発生を抑制した分子量調整方法であり、効率的な分子量増大方法として有用である。しかしながら、添加量によってはゲルが発生することが課題として挙げられるほか、ポリフェニレンエーテル系樹脂の純度が低下し、ポリフェニレンエーテル系樹脂が有する機械的特性などを損なうおそれがある。
特開昭62−240322号公報 特開昭62−240323号公報 特開平06−107784号公報
上記事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、成型流動性に優れ、かつ他成分を添加することなく、加熱により分子量を顕著に増大させることが可能な、ポリフェニレンエーテル樹脂及びその製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題に対して鋭意研究を行った結果、特定の構造単位を有し、かつ加熱前と加熱後の還元粘度が特定範囲に設定されたポリフェニルエーテル樹脂が、上記課題を解決できることを見出し本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)下記式(1)
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基を示す)
で表される構造単位(A)及び/又は、
下記式(2)
(式中、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基を示し、R5は、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基を示す)
で表される構造単位(B)からなるポリフェニレンエーテル樹脂であって、
加熱前の還元粘度ηAが0.55(dl/g)以下であり、かつ
加熱前の還元粘度ηAと、加熱後の還元粘度ηBが、関係式(ηB−ηA)/ηA≧0.26を満たす、ポリフェニレンエーテル樹脂。
(2)前記関係式が(ηB−ηA)/ηA≧0.29を満たす、上記(1)記載のポリフェニレンエーテル樹脂。
(3)前記構造単位(A)が、R1及びR2がメチル基である構造単位(A1)であり、前記構造単位(B)が、R3、R4及びR5がメチル基である構造単位(B1)である、上記(1)又は(2)に記載のポリフェニレンエーテル樹脂。
(4)下記式(3)
(式中、R1及びR2は前記と同義を示す)
で表されるフェノール化合物(C)及び/又は、
下記式(4)
(式中、R3、R4及びR5は前記と同義を示す)
で表されるフェノール化合物(D)からなる混合フェノール化合物を、触媒の存在下、少なくとも1種以上のポリフェニレンエーテルの良溶媒及び少なくとも1種以上のポリフェニレンエーテルの貧溶媒からなる混合溶媒中で、酸素含有ガスを用いて酸化カップリングし、重合後期において重合体を沈殿析出させるポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
(5)前記混合フェノール化合物が、フェノール化合物(C)60質量%〜95質量%及びフェノール化合物(D)5質量%〜40質量%からなる混合フェノール化合物である、上記(4)記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
(6)前記フェノール化合物(C)が2,6−ジメチルフェノール、フェノール化合物(D)が2,3,6−トリメチルフェノールである、上記(4)又は(5)に記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
(7)前記貧溶媒が炭素数1〜10のアルコールを主成分とする、少なくとも1種以上の溶媒である、上記(4)〜(6)のいずれか記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
(8)炭素数1〜10のアルコールがメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、上記(7)記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
(9)前記触媒の構成成分が銅化合物、ハロゲン化合物及び下記式(5)
(式中、R6、R7、R8及びR9は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を示し(但し、全てが同時に水素ではない)、R10は炭素数2〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す)
で表されるジアミン化合物である、上記(4)〜(8)のいずれか記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
(10)混合フェノール化合物の全量を、沈殿析出を開始し重合溶液がスラリー状態を呈し始める以前に重合槽内に添加する、上記(4)〜(9)のいずれか記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法
本発明によれば、成型流動性に優れ、かつ他成分を添加することなく加熱により分子量を顕著に増大させることが可能な、ポリフェニレンエーテル樹脂及びその製造方法を提供することができる。また、本発明によって得られるポリフェニレンエーテル樹脂は、加熱により分子量を顕著に増大させることが可能であるため、加熱成型して得られる成型体の機会的特性に優れ、機械部品、自動車部品、電気電子部品、特にシートやフィルム材として好適に利用することが可能である。
以下、本発明を、望ましい実施に形態とともに詳細に説明するが、本発明はこれらの態様に限定されるものではない。
本発明のポリフェニレンエーテル樹脂は、上記式(1)で表される構造単位(A)及び/又は、上記式(2)で表される構造単位(B)からなり、加熱前の還元粘度ηAが0.55(dl/g)以下であり、かつ加熱前の還元粘度ηAと、加熱後の還元粘度ηBが、関係式(ηB−ηA)/ηA≧0.26を満たす。
本発明において還元粘度とは、30℃における、ポリフェニレンエーテル樹脂の0.5g/dl濃度のクロロホルム溶液の還元粘度を意味する。また、本発明において加熱後の還元粘度ηBとは、加熱前のポリフェニルエーテル樹脂を、310℃、10MPaで20分間熱プレスを実施した後の還元粘度を意味する。
以下、本発明における各記号の説明を行う。
1、R2、R3、R4及びR5で示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられ、好ましくは、塩素原子、臭素原子である。
1、R2、R3、R4及びR5で示される置換されていてもよいアルキル基の「アルキル基」としては、炭素数が1〜6、好ましくは1〜3の、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を示し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられ、好ましくは、メチル、エチルであり、より好ましくはメチルである。
1、R2、R3、R4及びR5で示される置換されていてもよいアリール基の「アリール基」としては、例えば、フェニル、ナフチルなどが挙げられ、好ましくはフェニルである。
1、R2、R3、R4及びR5で示される置換されていてもよいアラルキル基の「アラルキル基」としては、アルキル部分が上記で定義された「アルキル基」であり、アリール部分が上記で定義された「アリール基」であるアラルキル基が挙げられ、例えば、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、1−ナフチルメチルなどが挙げられ、好ましくはベンジルである。
1、R2、R3、R4及びR5で示される置換されていてもよいアルコキシ基の「アルコキシ基」としては、炭素数が1〜6、好ましくは1〜3の、直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基を示し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどが挙げられ、好ましくはメトキシ、エトキシである。
1、R2、R3、R4及びR5で示されるアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基は、置換可能な位置に、1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。そのような置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル)、アラルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)、などが挙げられる。
本発明のポリフェニレンエーテル樹脂は、上記式(1)で表される構造単位(A)及び/又は式(2)で表される構造単位(B)からなる。各構造単位の樹脂中における割合は特に限定されないが、好ましくは、ポリフェニレンエーテル樹脂全体に対して、構造単位(A)が100〜40%、構造単位(B)が0〜60%、より好ましくは、構造単位(A)が96〜60%、構造単位(B)が4〜40%であり、さらに好ましくは、構造単位(A)が87〜72%、構造単位(B)が13〜28%である。各構造単位が上記範囲内であると、加熱した際のポリフェニレンエーテル樹脂に関して、その分子量増大効果が大きく、さらにガラス転移温度Tgが高くなるため耐熱性に優れる傾向があり好ましい。
上記構造単位(A)としては、R1、R2がメチル基である構造単位(A1)が、構造単位(B)としては、R1、R2及びR3がメチル基である構造単位(B1)が、成型流動性に優れる傾向があるため好ましい。
本発明のポリフェニルエーテル樹脂は、加熱前の還元粘度ηAが0.55(dl/g)以下、好ましくは0.50(dl/g)以下、より好ましくは0.48(dl/g)以下、さらに好ましくは0.46(dl/g)以下である。加熱前の還元粘度ηAが、0.55(dl/g)以下であることにより成型流動性に優れた樹脂とすることができる。また、加熱前の還元粘度ηAの下限としては、特に限定されないが、成型して得られる成型体の機会的特性の観点から、好ましくは0.30(dl/g)以上であり、より好ましくは0.35(dl/g)以上である。
また、本発明のポリフェニルエーテル樹脂は、加熱前の還元粘度ηAと、加熱後の還元粘度ηBが、関係式(ηB−ηA)/ηA≧0.26を満たし、好ましくは、関係式(ηB−ηA)/ηA≧0.29を満たし、より好ましくは、関係式(ηB−ηA)/ηA≧0.30を満たす。加熱前の還元粘度ηAと、加熱後の還元粘度ηBが、関係式(ηB−ηA)/ηA≧0.26を満たすことにより、加熱による分子量の増大が顕著となり、加熱成型して得られる成型体の機械的特性が優れたものとなる。
さらに、本発明のポリフェニルエーテル樹脂は、加熱後の還元粘度ηBが、機械的特性の観点から、好ましくは0.4(dl/g)以上であり、より好ましくは0.45(dl/g)以上であり、成型流動性の観点から、好ましくは0.9(dl/g)以下であり、より好ましくは0.8(dl/g)以下である。
本発明のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法としては、特に限定されないが、上記式(3)で表されるフェノール化合物(C)及び/又は、上記式(4)で表されるフェノール化合物(D)からなる混合フェノール化合物を、触媒の存在下、少なくとも1種以上のポリフェニレンエーテルの良溶媒及び少なくとも1種以上のポリフェニレンエーテルの貧溶媒からなる混合溶媒中で、酸素含有ガスを用いて酸化カップリングし、重合後期において重合体を沈殿析出させる方法を用いるのが、重合後期において重合液の液粘度の上昇を防ぎ、均一撹拌することが容易となるため好ましい。
フェノール化合物(C)としては、o−クレゾール、2,6−ジメチルフェノール、2−エチルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−n−プロピルフェノール、2−メチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−イソプロピルフェノール、2−メチル−6−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−フェニルフェノール、2−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ビス−(4−フルオロフェニル)フェノール、2−メチル−6−トリルフェノール、2,6−ジトリルフェノール、等が挙げられ、なかでも、安価であり入手が容易であるため、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2,6−ジフェニルフェノールが好ましく、2,6−ジメチルフェノールがより好ましい。上記フェノール化合物(C)は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジエチルフェノールを組み合わせて使用する方法、2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジフェニルフェノールを組み合わせて用いる方法などが挙げられ、その際の混合比は任意に選択できる。また使用するフェノール化合物の中には、製造の際の副産物として含まれている少量のm−クレゾール、p−クレゾール、2,4−ジメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール等が含まれていてもかまわない。
フェノール化合物(D)としては、2、5−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,5−ジエチルフェノール、2−メチル−5−エチルフェノール、2−エチル−5−メチルフェノール、2−アリル−5−メチルフェノール、2、5−ジアリルフェノール、2,3−ジエチル−6−n―プロピルフェノール、2−メチル−5−クロルフェノール、2−メチル−5−ブロモフェノール、2−メチル−5−イソプロピルフェノール、2−メチル−5−n−プロピルフェノール、2−エチル−5−ブロモフェノール、2−メチル−5−n−ブチルフェノール、2,5−ジ−n−プロピルフェノール、2−エチル−5−クロルフェノール、2−メチル−5−フェニルフェノール、2,5−ジフェニルフェノール、2,5−ビス−(4−フルオロフェニル)フェノール、2−メチル−5−トリルフェノール、2,5−ジトリルフェノール、2,6−ジメチル−3−アリルフェノール、2,3,6−トリアリルフェノール、2,3,6−トリブチルフェノール、2,6−ジーn−ブチル−3−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール、2,6−ジメチル−3―n−ブチルフェノール、2,6−ジメチル−3―t―ブチルフェノール、等が挙げられ、なかでも、安価であり入手が容易であるため、2,3,6−トリメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノールが好ましく、2,3,6−トリメチルフェノールがより好ましい。上記フェノール化合物(D)は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、2,3,6−トリメチルフェノールと2,5−ジメチルフェノールを組み合わせて使用する方法などが挙げられ、その際の混合比は任意に選択できる。また使用するフェノール化合物(D)の中に、製造の際の副産物として含まれている少量のo−クレゾール、p−クレゾール、2,4−ジメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール等が含まれていても全くかまわない。
フェノール化合物(C)とフェノール化合物(D)の割合は特に限定されないが、好ましくは、単量体混合物全体に対して、フェノール化合物(C)が100質量%〜40質量%、フェノール化合物(D)が0質量%〜60質量%、より好ましくは、フェノール化合物(C)が95質量%〜60質量%、フェノール化合物(D)が5〜40質量%、さらに好ましくは、フェノール化合物(C)が85〜70質量%、フェノール化合物(D)が15〜30質量%である。各フェノール化合物の割合が上記範囲内であると、重合して得られるポリフェニレンエーテル樹脂の分子量増大効果が大きく、さらにガラス転移温度Tgが高くなるため耐熱性に優れる傾向があり好ましい。
本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法において、ポリフェニレンエーテルの良溶媒とは、従来の方法で得られるポリ(2,6―ジメチルフェニレン)エーテルを溶解させることができる溶媒である。このような溶媒を例示すると、ベンゼン、トルエン、キシレン(o−、m−、p−の各異性体を含む)、エチルベンゼン、スチレンなどの芳香族炭化水素、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ニトロベンゼンのようなニトロ化合物が挙げられる。また、その他の良溶媒に分類されるものとしては、ペンタン、ヘキサン、へプタン、シクロヘキサン、シクロへプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、ギ酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルスルホキシド等が例示される。これらの良溶媒は、単独でも用いられるし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも好ましい良溶媒はベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン等の芳香族炭化水素やクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素である。
本発明においてポリフェニレンエーテルの貧溶媒とは、従来の方法で得られるポリ(2,6―ジメチルフェニレン)エーテルを全く溶解しないか、わずかに溶解できる溶媒である。例えば、ケトン類、アルコール類である。好ましくは貧溶媒として炭素数1〜10のアルコールを用いる方法である。このような貧溶媒としては例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、エチレングリコール等を挙げることができ、このような貧溶媒に、更に水が含まれていてもよい。これらの貧溶媒は単独でも用いられるし、2種以上を組み合わせて用いても良い。特に好ましい貧溶媒はメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノールである。
しばしば用いられる溶媒の例としてはトルエンやキシレン等の芳香族炭化水素単独溶媒や、これにメタノール、エタノール等のアルコール類を含有させた混合溶媒である。
フェノール化合物を酸化重合させて得られる重合体であるポリフェニレンエーテルに対する良溶媒と貧溶媒の比率を変化させ、貧溶媒の比率を大きくすることで反応の進行とともに重合体が反応溶媒中に粒子として析出する沈殿重合法になる。良溶媒:貧溶媒の割合としては、重量比で95:5〜35:65であるのが好ましく、90:10〜45:65であるのがさらに好ましく、85:15〜50:50であるのが最も好ましい。各溶媒の割合が上記範囲内であると、析出した粒子の反応器へのスケールが極めて少なく、安定な粒子が生成する。良溶媒の割合が上記範囲よりも少ないと、所望の分子量を得るために重合時間が著しく長期化する可能性がある、重合中に外部からの加熱が必要となることがある等、効率的にポリフェニレンエーテルを得られなくなる場合がある。また、良溶媒の割合が上記範囲を超えると、重合体が反応溶媒中に粒子として析出しなくなることがある。
本発明におけるポリフェニレンエーテルの製造方法は、重合の進行によりポリフェニレンエーテルの重合度が上昇し、生成するポリフェニレンエーテルが上記良溶媒及び貧溶媒からなる重合溶媒に溶解しきれなくなり、結果ポリフェニレンエーテルが沈殿析出を開始し重合液がスラリー状態を呈する。重合に供する単位時間当たりの酸素供給量や重合溶媒に用いる良溶媒及び貧溶媒の比率にもよるが、フェノ−ル化合物の全量に対し重合率55%以上99%以下の間でスラリー状態を呈することが好ましい。スラリー状態を呈さずに溶液状態で重合度を高くする場合、重合槽内の粘性が上昇してしまい生産が難しくなる、或いは粘性の上昇を回避するため重合に用いるフェノール化合物量を低下させ、多量の溶媒を用いる必要があるなど、効率的な製造方法とは言い切れなくなる。
本発明におけるポリフェニレンエーテルの製造方法において、重合に用いるフェノール化合物は重合初期から重合槽内に全量存在させてもよいし、重合中に逐次添加してもよい。その際、単量体として使用するフェノール化合物の全量を、沈殿析出を開始しスラリー状態を呈し始める以前に重合槽内に全て添加し終えるのが好ましい。沈殿析出を開始しスラリー状態を呈し始めた後にフェノール化合物を添加すると、添加されたフェノール化合物由来のオリゴマーの成長により微粒子の発生が増大するおそれがある。
本発明におけるポリフェニレンエーテルの製造方法において、反応溶媒中に重合体が粒子として析出した後、酸素含有ガスの供給量にもよるが、1分以上重合を継続すると本発明の効果が好適に発揮され、10分以上重合を継続するとより好適に、30分以上重合を継続すると更に好適に発揮される。
本発明におけるポリフェニレンエーテルの製造方法において、重合に用いるフェノール化合物の濃度は特に限定されないが、溶液全体に対して、好ましくは10〜50質量%であり、より好ましくは15〜30質量%である。フェノール化合物の濃度が上記範囲内であると、沈殿析出重合の特徴が発揮され易いため好ましい。
逐次添加する場合、フェノール化合物と貧溶媒の重量比は任意の範囲で選択できるが、25:1〜1:10であると、ポリフェニレンエーテルを沈殿析出重合により安定に得ることができ好ましい。より好ましくは15:1〜1:5の範囲であり、さらに好ましくは10:1〜1:1の範囲である。添加開始は重合開始と同時が好ましく、ポリフェニレンエーテルが析出するより以前に添加を終了するのが好ましい。
本発明のポリフェニレンエーテルを重合するにあたり、重合に用いる重合方式は特に限定されないが、多種類のポリフェニレンエーテルを製造するには、様々なガラス転移温度を有するポリフェニレンエーテルの造り分けが容易なバッチ方式が好ましい。
本発明で用いられる触媒は、一般的にポリフェニレンエーテルの製造に用いることができる公知の触媒系が全て使用できる。一般的に知られている触媒系は酸化還元能を有する遷移金属イオンとこの金属イオンと錯形成可能なアミン化合物からなるものが知られており、例えば銅化合物とアミンからなる触媒系、マンガン化合物とアミンからなる触媒系、コバルト化合物とアミンからなる触媒系、等である。重合反応は若干のアルカリ性条件下で効率よく進行するため、ここに若干のアルカリもしくは更なるアミンを加えることもある。
本発明で好適に使用される触媒は、触媒の構成成分として銅化合物、ハロゲン化合物および上記式(5)で表されるジアミン化合物からなる触媒である。
ここで述べられた触媒成分の銅化合物の例を列挙する。好適な銅化合物としては第一銅化合物、第二銅化合物またはそれらの混合物を使用することができる。第二銅化合物としては、例えば、塩化第二銅、臭化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅等を例示することができる。また第一銅化合物としては、例えば塩化第一銅、臭化第一銅、硫酸第一銅、硝酸第一銅等を例示することができる。これらの中で特に好ましい金属化合物は塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅である。またこれらの銅塩は酸化物(例えば酸化第一銅)、炭酸塩、水酸化物等と対応するハロゲンまたは酸から使用時に合成してもよい。しばしば用いられる方法は先に例示の酸化第一銅とハロゲン化水素(またはハロゲン化水素の溶液)を混合して作成する方法である。
ハロゲン化合物としては、例えば、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム等である。またこれらは水溶液や適当な溶媒を用いた溶液として使用できる。これらのハロゲン化合物は、成分として単独でも用いられるし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。好ましいハロゲン化合物は、塩化水素の水溶液、臭化水素の水溶液である。
これらの化合物の使用量は特に限定されないが、銅原子のモル量に対してハロゲン原子として2倍以上20倍以下が好ましく、使用されるフェノール化合物の100モルに対して好ましい銅原子の使用量としては0.02モルから0.6モルの範囲である。
次に触媒成分のジアミン化合物の例を列挙する。例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−エチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−N−エチルエチレンジアミン、N−n−プロピルエチレンジアミン、N,N’−ジーn−プロピルエチレンジアミン、N−i−プロピルエチレンジアミン、N,N’−ジーi−プロピルエチレンジアミン、N−n−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジーn−ブチルエチレンジアミン、N−i−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジーi−ブチルエチレンジアミン、N−t−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジーt−ブチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’−トリメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N−メチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ−1−メチルプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ−2−メチルプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,5−ジアミノペンタン等が挙げられる。
本発明にとって好ましいジアミン化合物は2つの窒素原子をつなぐアルキレン基(R10)の炭素数が2又は3のものである。これらのジアミン化合物の使用量は特に限定されないが、通常使用されるフェノール化合物100モルに対して0.01モル〜10モルの範囲で用いられる。
本発明において触媒の構成成分として、更に3級モノアミン化合物または2級モノアミン化合物をそれぞれ単独で、またはこれらを組み合わせて含ませることは好ましい。3級モノアミン化合物とは、脂環式3級アミンを含めた脂肪族3級アミンである。例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、アリルジエチルアミン、ジメチル−n−ブチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。これらの第3級モノアミンは単独でも用いられるし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。これらの使用量は特に限定されないが、通常使用されるフェノール化合物100モルに対して15モル以下の範囲が好ましい。
2級モノアミン化合物の例として、第2級脂肪族アミンとしては例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−i−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジペンチルアミン類、ジヘキシルアミン類、ジオクチルアミン類、ジデシルアミン類、ジベンジルアミン類、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、シクロヘキシルアミンが挙げられる。芳香族を含む2級モノアミン化合物の例としては、N−フェニルメタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルプロパノールアミン、N−(m−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(2’,6’−ジメチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−クロロフェニル)エタノールアミン、N−エチルアニリン、N−ブチルアニリン、N−メチル−2−メチルアニリン、N−メチル−2,6−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン等が挙げられるがこれらの例には限定されない。これらの2級モノアミン化合物は単独でも用いられるし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。使用量は特に限定されないが、通常使用されるフェノール化合物100モルに対し15モル以下の範囲が好ましい。
本発明には従来から活性に向上効果を有することが知られている界面活性剤を添加することについて何ら制限されない。例えば、Aliquat336やCapriquatの商品名で知られるトリオクチルメチルアンモニウムクロライドである。使用量は重合反応混合物の全量に対して0.1質量%を超えない範囲が好ましい。
本発明の重合における酸素含有ガスは純酸素の他、酸素と窒素等の不活性ガスとを任意の割合で混合したもの、空気、更には空気と窒素、希ガス等の不活性ガスとを任意の割合で混合したもの等が使用できる。重合反応中の系内圧力は常圧で充分であるが必要に応じて減圧でも加圧でも使用できる。酸素含有ガスの供給速度は、除熱や重合速度等を考慮して任意に選択できるが、重合に用いるフェノール化合物1モル当たりの純酸素として5Nml/分以上が好ましく、10Nml/分以上がさらに好ましい。
重合の温度は特に限定されないが、低すぎると反応が進行しにくく、また高すぎると反応の選択性が低下することがあるので、0〜100℃、好ましくは10〜80℃の範囲である。
本発明の重合反応系に、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属のアルコキサイド、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム等の中性塩、ゼオライト等も添加することができる。
重合反応終了後の後処理方法については特に制限はない。通常、塩酸や酢酸等の酸、またはエチレンジアミン4酢酸(EDTA)及びその塩、ニトリロトリ酢酸及びその塩等を反応液に加えて触媒を失活させる。その後重合終結時の重合溶液の形状がスラリーであるため、触媒の洗浄除去を目的として、重合に用いたポリフェニレンエーテルの溶解能が低い溶媒を主成分とする溶液を用いて繰り返し洗浄を実施することがより好ましい。その後、各種乾燥機を用いた乾燥工程において乾燥するという操作でポリフェニレンエーテルが回収できる。
本発明の方法で得られたポリフェニレンエーテルは、従来既知の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂と溶融混練することができる。次に熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の例を列挙する。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル、ポリアミド、ポリアセタール、超高分子量ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリテトラフロロエチレン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアミドイミド、フェノール、尿素、メラミン、不飽和ポリエステル、アルキッド、エポキシ、ジアリルフタレート等の樹脂が挙げられる。また溶融混練時に、導電性、難燃性、耐衝撃性等の効果を付与する目的で従来既知の添加剤や熱可塑性エラストマーを加えることがより好ましい。
本発明のポリフェニレンエーテル樹脂の成型流動性の指標であるSSPの値は、好ましくは1〜9(MPa)であり、より好ましくは1〜7(MPa)である。SSPの値が上記範囲内であると、ポリフェニレンエーテル樹脂を成型する際の成型流動性が良好となる。
また、本発明のポリフェニレンエーテル樹脂を加熱成型して得られる成型体の引張強度は、好ましくは71〜200(MPa)であり、より好ましくは75〜100(MPa)である。引張強度の値が上記範囲内であると、ポリフェニレンエーテル樹脂を加熱成型して得られる成型体の機械的特性が良好となる。
さらに、本発明のポリフェニレンエーテル樹脂を加熱成型して得られる成型体の曲げ強度は、好ましくは120〜200(MPa)であり、より好ましくは120〜160(MPa)である。曲げ強度の値が上記範囲内であると、ポリフェニレンエーテル樹脂を加熱成型して得られる成型体の機械的特性が良好となる。
以下に実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下に記載の実施例によって限定されるものではない。なお、以下において%とは、質量%を意味する。
[測定方法]
本明細書中の物性、特性等の測定方法は以下の通りである。
(1)重合率の測定
重合に供するフェノール化合物の重量より、理論上重合に必要な酸素体積(リットル)を下式により求めた。
理論酸素量=フェノール化合物の重量/フェノールの分子量×22.4/2
重合に要した酸素量は下式により求めた。
重合に要した酸素量=(重合に供した酸素量)−(排出ガス中の酸素量)
重合率は上述した理論酸素量及び重合に要した酸素量を用い、下式により求めた。
重合率(%)=重合に要した酸素量/理論酸素量×100
(2)ガラス転移温度の測定
得られたポリフェニレンエーテルのガラス転移温度は示差走査熱量計DSC(PerkinElmer製−Pyris1)を用いて測定した。窒素雰囲気中毎分20℃の昇温速度で室温から280℃まで加熱後50℃まで毎分40℃で降温し、その後毎分20℃の昇温速度でガラス転移温度を測定した。
(3)反応器へのスケール付着の確認
重合液を反応器から抜き出した後、反応器内の付着しているスケールの量を目視にて確認した。
(4)(ηB−ηA)/ηAの算出
各々の例において得られたポリフェニレンエーテル樹脂を0.5g/dlのクロロホルム溶液として、ウベローデ粘度管を用いて30℃における還元粘度(ηsp/c)を求めた。単位はdl/gである。これをηAで表す。
各々の例において重合により得られたポリフェニレンエーテル樹脂を、株式会社新藤金属工業所製YS−10型卓上用テストプレスを用い、310℃、10MPaの条件で20分加熱処理を行ない、得られた成型片を0.5g/dlのクロロホルム溶液として、ウベローデ粘度管を用いて30℃における還元粘度(ηsp/c)を求めた。単位はdl/gである。これをηBで表す。
上記ηA及びηBから、(ηB−ηA)/ηAを求めた。
(5)成型流動性(SSP)
東芝機械社性の射出成型機IS―80EPN(成型温度300℃、金型温度120℃)を用いて、厚み0.32cmのダンベル成型片のショートショットプレッシャー(SSP)をゲージ圧で測定した。
(6)引張強度測定
ASTM D―648に従い、厚み0.32cmのダンベル成型片を用いて、試験速度5mm/min、引張チャック間距離115mmとし測定した。
(7)曲げ強度測定
ASTM D―790に従い、厚み0.32cmのタンザク成型片を用いて、試験速度3mm/min、支点間距離101.6mmとし測定した。
[ポリフェニレンエーテル樹脂の製造]
(実施例1)
重合槽底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフル、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた10リットルのジャケット付き重合槽に500ml/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、1.099gの塩化第二銅2水和物、4.705gの35%塩酸、41.971gのN,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、31.658gのジ−n−ブチルアミン、1264gのn−ブタノール、1264gのメタノール、3792gのキシレン、1120gの2,6−ジメチルフェノール、480gの2,3,6−トリメチルフェノールを入れ、均一溶液となり、かつ反応器の内温が40℃になるまで撹拌した。
次いで、激しく撹拌した重合槽へ、重合槽へ1000Nml/分の速度で酸素ガスをスパージャーより280分通気し、反応器の内温が40℃になるようコントロールした。なお、酸素ガスを供給開始140分後ポリフェニレンエーテルが析出しスラリー状の形態を示した。重合終結時の重合液の形態は沈殿析出重合であった。
酸素含有ガスの通気をやめ、重合混合物にエチレンジアミン四酢酸3カリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の50%水溶液を11.5g添加し60分間重合混合物を撹拌し、次いでハイドロキノン(和光純薬社製試薬)を少量ずつ添加し、スラリー状のポリフェニレンエーテルが白色となるまで撹拌を続けた。反応器の内温は40℃になるようコントロールした。
その後、濾過して濾残の湿潤ポリフェニレンエーテルをメタノール6400gともに10L洗浄槽に入れ分散させ、30分間撹拌した後再度ろ過し、湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。洗浄槽の内温は40℃になるようコントロールした。これを3回繰り返し、次いで140℃で150分真空乾燥し乾燥ポリフェニレンエーテルを得た。
得られた乾燥ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηAは0.420及びガラス転移温度Tgは232℃であった。なお、クロロホルム中での不溶物は確認されなかった。また、反応器等へのスケールは確認されなかった。
得られた乾燥ポリフェニレンエーテルを用い、310℃、10MPaの条件で20分加熱処理を行なったところ、加熱後の還元粘度ηBは0.556であった。なお、クロロホルム中での不溶物は確認されなかった。(ηB―ηA)/ηAの値は、0.30であり、加熱による顕著な分子量増大(還元粘度の増大)が確認された。
(実施例2)
重合に用いるn−ブタノールを632g、メタノールを1264g、キシレンを4424g、2,6−ジメチルフェノールを1200g、2,3,6−トリメチルフェノールを400g、とした以外は実施例1と同様に重合を行い、ポリフェニレンエーテル樹脂を得た。
得られた乾燥ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηAは0.430及びガラス転移温度Tgは231℃であった。なお、クロロホルム中での不溶物は確認されなかった。また、重合終結時の重合液は沈殿析出形態であり、さらに反応器等へのスケールは確認されなかった。
得られた乾燥ポリフェニレンエーテルを用いて、310℃、10MPaの条件で20分加熱処理を行なったところ、加熱後の還元粘度ηBは0.578であった。なお、クロロホルム中での不溶物は確認されなかった。(ηB―ηA)/ηAの値は、0.34であり、加熱による顕著な分子量増大(還元粘度の増大)が確認された。
(実施例3)
重合に用いる2,6−ジメチルフェノールを1360g、2,3,6−トリメチルフェノールを240g、とした以外は実施例1と同様に重合を行い、ポリフェニレンエーテル樹脂を得た。
得られた乾燥ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηAは0.451及びガラス転移温度Tgは227℃であった。なお、クロロホルム中での不溶物は確認されなかった。また、重合終結時の重合液は沈殿析出形態であり、さらに反応器等へのスケールは確認されなかった。
得られた乾燥ポリフェニレンエーテルを用いて、310℃、10MPaの条件で20分加熱処理を行なったところ、加熱後の還元粘度ηBは0.583であった。なお、クロロホルム中での不溶物は確認されなかった。(ηB―ηA)/ηAの値は、0.29であり、加熱による顕著な分子量増大(還元粘度の増大)が確認された。
(実施例4)
重合槽底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフル、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた10リットルのジャケット付き重合槽に500ml/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、1.099gの塩化第二銅2水和物、4.705gの35%塩酸、41.971gのN,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、31.658gのジ−n−ブチルアミン、1264gのn−ブタノール、544gのメタノール、3792gのキシレン、136gの2,6−ジメチルフェノール、24gの2,3,6−トリメチルフェノールを入れ、均一溶液となり、かつ反応器の内温が40℃になるまで撹拌した。
また、これとは別に、貯蔵槽に窒素ガス導入の為のスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフル、貯蔵槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた5リットルの貯蔵槽に、200ml/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、720gのメタノール、1224gの2,6−ジメチルフェノール、216gの2,3,6−トリメチルフェノールを入れ、均一溶液となるまで撹拌し、混合溶液を調合した。
次いで、激しく撹拌した重合槽へ1000Nml/分の速度で酸素ガスをスパージャーより導入を始めると同時に、貯蔵槽から送液ポンプを用い、上記貯蔵槽内の混合溶液を21.6g/分の速度で逐次添加した。280分通気し、反応器の内温が40℃になるようコントロールした。なお、酸素ガスを供給開始140分後ポリフェニレンエーテルが析出しスラリー状の形態を示し、スラリー形態を示しはじめる前に混合溶液の添加は終了した。重合終結時の重合液の形態は沈殿析出重合であった。
酸素含有ガスの通気をやめ、重合混合物にエチレンジアミン四酢酸3カリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の50%水溶液を11.5g添加し60分間重合混合物を撹拌し、次いでハイドロキノン(和光純薬社製試薬)を少量ずつ添加し、スラリー状のポリフェニレンエーテルが白色となるまで撹拌を続けた。反応器の内温は40℃になるようコントロールした。
その後、濾過して濾残の湿潤ポリフェニレンエーテルをメタノール6000gともに10L洗浄槽に入れ分散させ、30分間撹拌した後再度ろ過し、湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。洗浄槽の内温は40℃になるようコントロールした。これを3回繰り返し、次いで140℃で150分真空乾燥し乾燥ポリフェニレンエーテルを得た。
得られた乾燥ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηAは0.446及びガラス転移温度Tgは229℃であった。なお、クロロホルム中での不溶物は確認されなかった。また、反応器等へのスケールは確認されなかった。
得られた乾燥ポリフェニレンエーテルを用いて、310℃、10MPaの条件で20分加熱処理を行なったところ、加熱後の還元粘度ηBは0.583であった。なお、クロロホルム中での不溶物は確認されなかった。(ηB―ηA)/ηAの値は、0.32であり、加熱による顕著な分子量増大(還元粘度の増大)が確認された。
(比較例1)
特開昭62−240322号公報に従いポリフェニレンエーテルの重合を実施した。
重合槽底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフル、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた10リットルのジャケット付き重合槽に250ml/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、塩化マンガン(四水塩)9.9gをメタノールに溶解し、反応器の温度が25℃になるまで撹拌した。
次いで酸素を500Nml/分の速度で酸素ガスをスパージャーより通気しながら、N−メチルエタノールアミン7.5gを加えた。次に水酸化ナトリウム10gをメタノール100gに溶かした液を反応器に加えた。N−メチルエタノールアミンの添加を開始してから水酸化ナトリウムのメタノール溶液の添加を終了するまで20分間で行なった。以上で触媒の合成が終了した。
2,6−ジメチルフェノール610g、キシレン1450g及びn−ブタノール485gに溶解させ反応器に加えた。酸素供給量を2500Nml/分の速度で酸素ガスをスパージャーより350分通気し、反応器の内温が25℃になるようコントロールした。なお、酸素ガスを供給開始50分後ポリフェニレンエーテルが析出しスラリー状の形態を示した。重合終結時の重合液の形態は沈殿析出重合であった。
酸素含有ガスの通気を止め、35%塩酸水(和光純薬製試薬)と振り混ぜて触媒を塩酸水と共に除去し、メタノール1930gを加えた。その後、濾過して濾残の湿潤ポリフェニレンエーテルをメタノール2000gともに10L洗浄槽に入れ分散させ、30分間撹拌した後再度ろ過し、湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。洗浄槽の内温は40℃になるようコントロールした。これを3回繰り返し、次いで140℃で150分真空乾燥し乾燥ポリフェニレンエーテルを得た。
得られた乾燥ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηAは0.570及びガラス転移温度Tgは218℃であった。なお、クロロホルム中での不溶物は確認されなかった。また、反応器等へのスケールは確認されなかった。
得られた乾燥ポリフェニレンエーテルを用いて、310℃、10MPaの条件で20分加熱処理を行なったところ、加熱後の還元粘度ηBは0.721であった。なお、クロロホルム中での不溶物は確認されなかった。(ηB―ηA)/ηAの値は、0.26であり、加熱による顕著な分子量増大(還元粘度の増大)が確認された。
(比較例2)
重合槽底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフル、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた10リットルのジャケット付き重合槽に500ml/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、1.649gの酸化第二銅、12.399gの47%臭化水素水溶液、3.9725gのジーt−ブチルエチレンジアミン、19.232gのジ−n−ブチルアミン、58.535gのブチルジメチルアミン、6602gのトルエン、920gの2,6−ジメチルフェノール、トリ―n―オクチルメチルアンモニウムクロライド(同仁化学研究所製)0.1416gを入れ、均一溶液となり、かつ反応器の内温が40℃になるまで撹拌した。
次いで、激しく撹拌した重合槽へ、重合槽へ4000Nml/分の速度で酸素含有ガスとしてエアーをスパージャーより導入を始めた。350分通気し、反応器の内温が40℃になるようコントロールした。重合終結時の重合液中にポリフェニレンエーテルの析出は観察されず溶液状態であった。
酸素含有ガスの通気をやめ、重合混合物にエチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の2.5%水溶液を800g添加し100分間重合混合物を撹拌後静置し、液−液分離により有機相と水相を分離した。得られた有機相にメタノールを過剰に加えてポリフェニレンエーテルを析出後濾過し、濾残のポリフェニレンエーテルをメタノール5120gに分散させた。
次いでハイドロキノン(和光純薬社製試薬)を少量ずつ添加し、スラリー状のポリフェニレンエーテルが白色となるまで撹拌を続けた。反応器の内温は40℃になるようコントロールした。
その後、濾過して濾残の湿潤ポリフェニレンエーテルをメタノール5120gともに10L洗浄槽に入れ分散させ、30分間撹拌した後再度ろ過し、湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。洗浄槽の内温は40℃になるようコントロールした。これを3回繰り返し、次いで140℃で150分真空乾燥し乾燥ポリフェニレンエーテルを得た。
得られた乾燥ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηAは0.520及びガラス転移温度Tgは218℃であった。なお、クロロホルム中での不溶物は確認されなかった。
得られた乾燥ポリフェニレンエーテルを用い、310℃、10MPaの条件で20分加熱処理を行なったところ、加熱後の還元粘度ηBは0.585であった。なお、クロロホルム中での不溶物は確認されなかった。(ηB―ηA)/ηAの値は、0.13であり、加熱による顕著な分子量増大は確認されなかった。
(比較例3)
重合槽底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフル、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた10リットルのジャケット付き重合槽に500ml/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、1.099gの塩化第二銅2水和物、4.705gの35%塩酸、41.971gのN,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、31.658gのジ−n−ブチルアミン、945gのn−ブタノール、1176gのメタノール、3476gのキシレン、160gの2,6−ジメチルフェノールを入れ、均一溶液となりかつ反応器の内温が40℃になるまで撹拌した。
また、貯蔵槽に窒素ガス導入の為のスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフル、貯蔵槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた5リットルの貯蔵槽に、200ml/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、720gのメタノール、1440gの2,6−ジメチルフェノールを入れ、均一溶液となるまで撹拌し、(B)混合溶液を調合した。
次いで、激しく撹拌した重合槽へ、重合槽へ1000Nml/分の速度で酸素ガスをスパージャーより導入を始めると同時に、貯蔵槽から送液ポンプを用い、上記貯蔵槽内の混合溶液を10.3g/分の速度で逐次添加した。340分通気し、反応器の内温が40℃になるようコントロールした。なお、酸素ガスを供給開始140分後ポリフェニレンエーテルが析出しスラリー状の形態を示し、スラリー形態を示しはじめた後も混合溶液の添加を継続した。重合終結時の重合液の形態は沈殿析出重合であった。
酸素含有ガスの通気をやめ、重合混合物にエチレンジアミン四酢酸3カリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の50%水溶液を11.5g添加し60分間重合混合物を撹拌し、次いでハイドロキノン(和光純薬社製試薬)を少量ずつ添加し、スラリー状のポリフェニレンエーテルが白色となるまで撹拌を続けた。 反応器の内温は40℃になるようコントロールした。
その後、濾過して濾残の湿潤ポリフェニレンエーテルをメタノール6000gともに10L洗浄槽に入れ分散させ、30分間撹拌した後再度ろ過し、湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。洗浄槽の内温は40℃になるようコントロールした。これを3回繰り返し、次いで140℃で150分真空乾燥し乾燥ポリフェニレンエーテルを得た。
得られた乾燥ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηAは0.555及びガラス転移温度Tgは218℃であった。なお、クロロホルム中での不溶物は確認されなかった。また、反応器等へのスケールは確認されなかった。
得られた乾燥ポリフェニレンエーテルを用いて、310℃、10MPaの条件で20分加熱処理を行なったところ、加熱後の還元粘度ηBは0.648であった。なお、クロロホルム中での不溶物は確認されなかった。(ηB―ηA)/ηAの値は、0.18であり、加熱による顕著な分子量増大は確認されなかった。
(比較例4)
重合槽に仕込む920gの2,6−ジメチルフェノールの代わりに、2,6―ジメチルフェノールを782g、2,3,6−トリメチルフェノールを138gとした以外は比較例2と同様に重合を行い、ポリフェニレンエーテル樹脂を得た。
得られた乾燥ポリフェニレンエーテルの還元粘度ηAは0.436及びガラス転移温度Tgは227℃であった。なお、クロロホルム中での不溶物は確認されなかった。また、重合終結時の重合液中にポリフェニレンエーテルの析出は観察されず溶液状態であった。
得られた乾燥ポリフェニレンエーテルを用い、310℃、10MPaの条件で20分加熱処理を行なったところ、加熱後の還元粘度ηBは0.472であった。なお、クロロホルム中での不溶物は確認されなかった。(ηB―ηA)/ηAの値は、0.08であり、加熱による顕著な分子量増大は確認されなかった。
[評価試験]
成型流動性(SSP)および機械的特性(引張強度、曲げ強度)の測定
実施例1〜4及び比較例1〜4で得た乾燥ポリフェニレンエーテルを、ZSK25二軸押出機(独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数10、スクリュー径25mm、ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)を用いて、バレル設定温度300℃、スクリュー回転数200rpmで溶融混練し、ニートペレットを得た。得られたニートペレットを、東芝機械社製の射出成形機IS−80EPN(成形温度330℃、金型温度120℃)を用いて、厚み0.32cmのタンザク成型片及び厚み0.32cmのダンベル成型片を得た。成型時におけるSSP及び成型片の引張強度、曲げ強度を上記の方法に従って測定した。結果は表1に示す。
表1に示した結果から、実施例1〜4で製造したポリフェニレンエーテル樹脂は、SSPの値が6.4〜6.9の範囲であり、良好な成型流動性を示した。また、これらの樹脂は加熱することによって分子量を顕著に増大させることが可能であるため、加熱成型して得られる成型体に関して、優れた機械的特性(引張強度、曲げ強度)を有していた。
これに対して、比較例1で製造したポリフェニレンエーテル樹脂は、分子量の増大効果は見られたものの、SSPの値が高すぎて良好な成型流動性を得ることができなかった。また、比較例2〜4で製造したポリフェニレンエーテル樹脂は、加熱による充分な分子量増大効果が得られず、従って、加熱成型して得られる成型体に関して、優れた機械的特性(引張強度、曲げ強度)を付与することが困難であった。
本発明によって得られるポリフェニレンエーテルは、従来のポリフェニレンエーテルと比較して、良好な成型流動性を有し、ガラス転移温度が高く、機械的特性も改善されるため、その特性を生かして様々な機械部品、自動車部品、電気電子部品、特にシート、フィルム材の分野に好適に利用できる。また、本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法は、スケールの発生による収率の低下を抑制し、ガラス転移温度の特性異なる多種類のポリフェニレンエーテルを効率・生産性の良い製造方法である。

Claims (10)

  1. 下記式(1)
    (式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基を示す)
    で表される構造単位(A)及び/又は、
    下記式(2)
    (式中、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基を示し、R5は、ハロゲン原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基を示す)
    で表される構造単位(B)からなるポリフェニレンエーテル樹脂であって、
    加熱前の還元粘度ηAが0.55(dl/g)以下であり、かつ
    加熱前の還元粘度ηAと、加熱後の還元粘度ηBが、関係式(ηB−ηA)/ηA≧0.26を満たす、ポリフェニレンエーテル樹脂。
  2. 前記関係式が(ηB−ηA)/ηA≧0.29を満たす、請求項1記載のポリフェニレンエーテル樹脂。
  3. 前記構造単位(A)が、R1及びR2がメチル基である構造単位(A1)であり、前記構造単位(B)が、R3、R4及びR5がメチル基である構造単位(B1)である、請求項1又は2に記載のポリフェニレンエーテル樹脂。
  4. 下記式(3)
    (式中、R1及びR2は前記と同義を示す)
    で表されるフェノール化合物(C)及び/又は、
    下記式(4)
    (式中、R3、R4及びR5は前記と同義を示す)
    で表されるフェノール化合物(D)からなる混合フェノール化合物を、触媒の存在下、少なくとも1種以上のポリフェニレンエーテルの良溶媒及び少なくとも1種以上のポリフェニレンエーテルの貧溶媒からなる混合溶媒中で、酸素含有ガスを用いて酸化カップリングし、重合後期において重合体を沈殿析出させるポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
  5. 前記混合フェノール化合物が、フェノール化合物(C)60質量%〜95質量%及びフェノール化合物(D)5質量%〜40質量%からなる混合フェノール化合物である、請求項4記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
  6. 前記フェノール化合物(C)が2,6−ジメチルフェノール、フェノール化合物(D)が2,3,6−トリメチルフェノールである、請求項4又は5に記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
  7. 前記貧溶媒が炭素数1〜10のアルコールを主成分とする、少なくとも1種以上の溶媒である、請求項4〜6のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
  8. 炭素数1〜10のアルコールがメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノールからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項7記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
  9. 前記触媒の構成成分が銅化合物、ハロゲン化合物及び下記式(5)
    (式中、R6、R7、R8及びR9は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を示し(但し、全てが同時に水素ではない)、R10は炭素数2〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を示す)
    で表されるジアミン化合物である、請求項4〜8のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
  10. 混合フェノール化合物の全量を、沈殿析出を開始し重合溶液がスラリー状態を呈し始める以前に重合槽内に添加する、請求項4〜9のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
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