JP2011099033A - ポリフェニレンエーテルの製造方法 - Google Patents

ポリフェニレンエーテルの製造方法 Download PDF

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Akinobu Nagai
彰信 永井
Akira Mitsui
昭 三井
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Abstract

【課題】煩雑な造粒加工や非効率的なプロセス変更を行うことなく簡便な方法で効率的に、平均粒径を所望の範囲に制御可能なポリフェニレンエーテルの製造方法を提供する。
【解決手段】特定のフェノール化合物の重合工程を含むポリフェニレンエーテルの製造方法であって、該ポリフェニレンエーテルの平均粒径が50μm〜300μmであり、重合溶媒は、特定の一置換芳香族炭化水素と、前記一置換芳香族炭化水素以外のポリフェニレンエーテルの良溶媒とを含み、重合終了後の該重合溶媒中、前記一置換芳香族炭化水素と前記一置換芳香族炭化水素以外のポリフェニレンエーテルの良溶媒との質量比が46:54〜90:10である、ポリフェニレンエーテルの製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリフェニレンエーテルの製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、粉体取り扱い性が向上したポリフェニレンエーテルの製造方法に関する。
ポリフェニレンエーテルは加工性や生産性に優れ、溶融射出成型法や溶融押出成型法などの成型方法により、製品の形状を自由に設計・生産できるため、電気・電子材料分野及び自動車分野その他各種工業材料分野、並びに食品の包装分野の製品や部品用の材料として幅広く用いられている。
一般に、ポリフェニレンエーテルは粒径が1μm〜300μm程度の粒子形状で得られ、粒度分布が広く、微粒子が多く発生することが知られている。粒径の小さいポリフェニレンエーテルは、輸送時における粒子の飛散問題や、加工時にポリフェニレンエーテルをホッパーより供給する際、スクリューへの食い込み悪化などの一因となる。
そのため、工業的にポリフェニレンエーテルを製造するにあたっては、前述したポリフェニレンエーテルの微粒子による、加工時の悪影響を低減するために、粒径を肥大化させることや、効率的に制御することが望まれており、解決方法について多様な検討がなされている。
一般的な微粒子低減方法としては、得られたポリフェニレンエーテルを溶媒の存在下で加熱することが知られており、その手法に関する検討が行われている。
例えば、特許文献1には、ポリフェニレンエーテルを有機溶媒中に分散させた混合物を80℃〜220℃の範囲で加熱処理し、ポリフェニレンエーテルの粒子を肥大化させる技術が開示されている。
また、特許文献2には、有機溶媒により湿潤状態となっているポリフェニレンエーテルを水に分散させ加熱処理を行うことで、ポリフェニレンエーテルの粒子を肥大化させる技術が開示されている。
さらに、特許文献3には、良溶媒を含む湿潤状態のポリフェニレンエーテルを、別途加熱処理をしたポリフェニレンエーテルと混合攪拌し造粒する技術が開示されている。
加えて、特許文献4では、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとのコポリマーを用いた場合の100μm以下の微粒子抑制方法として、重合後のスラリー溶液を濃縮し、ポリフェニレンエーテルの貧溶媒を加え、その後に熱処理をすることで、ポリフェニレンエーテルの粒子を肥大化させる方法が開示されている。
さらに、特許文献5では、ポリフェニレンエーテルの粉体に含まれる有機溶媒量を減らすために、溶媒としてp−キシレンとm−キシレンに着目し、ポリフェニレンエーテルの粉体に含まれる溶媒量の少ないポリフェニレンエーテル、及びその製造方法が開示されている。
特開昭62−172024号公報 特開平6−172545号公報 特開2006−241258号公報 米国特許出願公開第2006/0069229号明細書 特開平5−295121号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている方法は、平均粒径を飛躍的に増大させるが、新たに加熱攪拌処理が必要になる上、粒径が1000μm以上の粒子が生成するため、その後の粒子乾燥段階において効率が悪化する恐れがある。
また、特許文献2に開示されている方法は、有機溶媒により湿潤状態であるポリフェニレンエーテルに、新たに水を加え分散系とするため、加えた水をその後の乾燥処理の際に取り除かなければならない。これに加えて、1000μm以上の粒子が生成することにより、粒子の乾燥段階における効率が悪化する恐れがある。そのため、効率的な粒径制御方法とは言えない。
さらに、特許文献3に開示されている方法は、新たな添加物を要しないという良好なプロセスである。しかし、当該方法では、湿潤状態のポリフェニレンエーテルと乾燥状態のポリフェニレンエーテルとを混合攪拌する新たなプロセスが必要となるとともに、一度乾燥させたポリフェニレンエーテルを再度湿潤状態に戻す必要がある。そのため、ポリフェニレンエーテルの粒子肥大化方法としては効率的とは言い難い。
加えて、特許文献4に開示されている方法は、新たな製造プロセスを必要としないポリフェニレンエーテルの粒子の肥大化方法であるが、多段階の熱処理が必要であるなど、効率的な連続生産プロセスとしては十分とは言えない。
さらに、特許文献5に開示されている方法は、ポリフェニレンエーテルの粉体中の残留溶媒分を削減するためには良好な手段であるが、後述する本発明の比較例にも示すように、得られるポリフェニレンエーテルの平均粒径が小さく、輸送時における微粒子飛散の問題などが生じることがある。
そこで本発明は、煩雑な造粒加工や非効率的なプロセス変更を行うことなく簡便な方法で効率的に、平均粒径を所望の範囲に制御可能なポリフェニレンエーテルの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、特定のフェノール化合物を重合する際、重合溶媒に特定量の一置換芳香族炭化水素を含ませることにより、一置換芳香族炭化水素が特定量の範囲外の場合と異なり、ポリフェニレンエーテルの平均粒径を所望の範囲に制御可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
下記一般式(1):
Figure 2011099033
(上記式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、及び置換されていてもよいアルコキシ基からなる群から選ばれるいずれかを表す。)
で表されるフェノール化合物の重合工程を含むポリフェニレンエーテルの製造方法であって、
該ポリフェニレンエーテルの平均粒径が50μm〜300μmであり、
前記重合工程において用いる重合溶媒は、下記一般式(2):
Figure 2011099033
(上記式中、R5は、置換されていてもよいアルキル基を表す。)
で表される一置換芳香族炭化水素と、前記一置換芳香族炭化水素以外のポリフェニレンエーテルの良溶媒とを含み、
重合終了後の該重合溶媒中、前記一置換芳香族炭化水素と前記一置換芳香族炭化水素以外のポリフェニレンエーテルの良溶媒との質量比が46:54〜90:10である、ポリフェニレンエーテルの製造方法。
[2]
前記一置換芳香族炭化水素がエチルベンゼンである、[1]に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
[3]
前記フェノール化合物の重合工程は、
触媒及び酸素含有ガスの存在下、前記一置換芳香族炭化水素、前記ポリフェニレンエーテルの良溶媒、及びポリフェニレンエーテルの貧溶媒を含む重合溶媒中で、前記フェノール化合物を酸化重合する段階と、
重合後期において、合成された重合体を沈殿析出させる段階とを含む、[1]又は[2]に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
[4]
前記触媒は、銅化合物、ハロゲン化合物、及び下記一般式(3):
Figure 2011099033
(上記式(3)中、R6、R7、R8及びR9は、それぞれ独立して、水素原子、及び炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基からなる群から選ばれるいずれかを表し、但し、それら全てが同時に水素ではなく、R10は炭素数2〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表す。)
で表されるジアミン化合物を構成成分として含む、[3]に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
[5]
30℃において0.5g/dLの濃度のクロロホルム溶液で測定された、該ポリフェニレンエーテルの還元粘度(ηsp/c)が、0.25dL/g以上である、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
[6]
該ポリフェニレンエーテルがポリ(2,6―ジメチルフェニレン)エーテルである、[1]〜[5]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
本発明によれば、煩雑な造粒加工や非効率的なプロセス変更を行うことなく簡便な方法で効率的に、平均粒径を所望の範囲に制御可能なポリフェニレンエーテルの製造方法が得られる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施の形態」と言う。)について説明するが、本発明は以下に示す形態に限定されるものではない。
[ポリフェニレンエーテルの製造方法]
本実施の形態に係るポリフェニレンエーテルの製造方法は、特定のフェノール化合物の重合工程を含み、当該ポリフェニレンエーテルの平均粒径が50μm〜300μmであり、前記重合工程において用いる重合溶媒は、特定の一置換芳香族炭化水素と、前記特定の一置換芳香族炭化水素以外のポリフェニレンエーテルの良溶媒とを含み、かつ重合終了後の該重合溶媒中、前記一置換芳香族炭化水素と前記一置換芳香族炭化水素以外の良溶媒との質量比が46:54〜90:10である。
本実施の形態において好ましく採用できるポリフェニレンエーテルの製造方法としては、例えば、特公昭42−3195号公報、特公昭45−23555号公報や特開昭64−33131号公報等に記載された、金属の塩と各種アミンとの組み合わせからなる触媒を用いてフェノール化合物を酸化重合する方法が挙げられる。但し、本実施の形態では、前記フェノール化合物として上記特定のフェノール化合物(後述)を用いる。また、本実施の形態における上記の重合工程では、特定の触媒及び酸素含有ガスの存在下、良溶媒と貧溶媒との混合重合溶媒中で上記特定のフェノール化合物を重合させることが好ましい。
〔フェノール化合物〕
本実施の形態のポリフェニレンエーテルの製造方法においては、下記一般式(1)で表されるフェノール化合物を用いて重合を行う。
Figure 2011099033
(上記式(1)中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、及び置換されていてもよいアルコキシ基からなる群から選ばれるいずれかを表す。)
上記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子などが挙げられ、中でも好ましくは塩素原子及び臭素原子である。
上記アルキル基としては、例えば、炭素数が1〜6(好ましくは1〜3)の、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。中でも好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル及びヘキシルであり、より好ましくはメチル及びエチルであり、さらに好ましくはメチルである。
上記アリール基としては、例えば、フェニル及びナフチルなどが挙げられ、中でも好ましくはフェニルである。
上記アラルキル基としては、例えば、アルキル部分が上述の「アルキル基」であり、アリール部分が上述の「アリール基」であるアラルキル基が挙げられる。中でも好ましくは、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル及び1−ナフチルメチルなどが挙げられ、より好ましくはベンジルである。
上記アルコキシ基としては、例えば、炭素数が1〜6(好ましくは1〜3)の、直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシ基が挙げられる。中でも好ましくは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ及びヘキシルオキシなどが挙げられ、より好ましくはメトキシ及びエトキシである。
上記のアルキル基、アリール基、アラルキル基及びアルコキシ基は、任意の置換可能な位置で、1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。そのような置換基として、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル)、アラルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル)、及びアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)などが挙げられる。
上記フェノール化合物の具体例としては、例えば、o−クレゾール、2,6−ジメチルフェノール、2−エチルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−n−プロピルフェノール、2−メチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−イソプロピルフェノール、2−メチル−6−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−フェニルフェノール、2−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ビス−(4−フルオロフェニル)フェノール、2−メチル−6−トリルフェノール、2,6−ジトリルフェノール、2、5−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,5−ジエチルフェノール、2−メチル−5−エチルフェノール、2−エチル−5−メチルフェノール、2−アリル−5−メチルフェノール、2、5−ジアリルフェノール、2,3−ジエチル−6−n―プロピルフェノール、2−メチル−5−クロルフェノール、2−メチル−5−ブロモフェノール、2−メチル−5−イソプロピルフェノール、2−メチル−5−n−プロピルフェノール、2−エチル−5−ブロモフェノール、2−メチル−5−n−ブチルフェノール、2,5−ジ−n−プロピルフェノール、2−エチル−5−クロルフェノール、2−メチル−5−フェニルフェノール、2,5−ジフェニルフェノール、2,5−ビス−(4−フルオロフェニル)フェノール、2−メチル−5−トリルフェノール、2,5−ジトリルフェノール、2,6−ジメチル−3−アリルフェノール、2,3,6−トリアリルフェノール、2,3,6−トリブチルフェノール、2,6−ジーn−ブチル−3−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール、2,6−ジメチル−3―n−ブチルフェノール、及び2,6−ジメチル−3―t―ブチルフェノール等が挙げられる。
中でも、安価であって入手が容易であるという観点から、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール及び2,5−ジメチルフェノールが好ましく、2,6−ジメチルフェノールがより好ましい。
また、上記フェノール化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。フェノール化合物を2種以上組み合せて用いる場合、その組み合わせに限定はない。具体例として、2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジエチルフェノールの組み合わせや、2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジフェニルフェノールの組み合わせなどが挙げられ、組み合わせの際の混合比も任意に選択できる。
また、本実施の形態の目的を逸脱しない限り、上記フェノール化合物の中に、製造の際の副産物として含まれ得る少量のp−クレゾール、2,4−ジメチルフェノールや2,4,6−トリメチルフェノール等が含まれていても構わない。
〔重合溶媒〕
本実施の形態における重合溶媒は、前述の一般式(2)で表される一置換芳香族炭化水素と、前記一置換芳香族炭化水素以外のポリフェニレンエーテルの良溶媒とを少なくとも含む。なお、前記一置換芳香族炭化水素は、本来ポリフェニレンエーテルの良溶媒の1種であるが、本発明では、一置換芳香族炭化水素を「ポリフェニレンエーテルの良溶媒」の中に含めないものとする。
(ポリフェニレンエーテルの良溶媒)
本実施の形態において、ポリフェニレンエーテルの良溶媒とは、20℃におけるポリ(2,6−ジメチルフェニレン)エーテルの溶解度、すなわち溶媒100gに溶解する溶質(ポリ(2,6−ジメチルフェニレン)エーテル)の質量(g)が1以上である溶媒を指す。具体例として、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレンなどの芳香族炭化水素;クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ニトロベンゼン等のニトロ化合物;ペンタン、ヘキサン、へプタン、シクロヘキサン、シクロへプタン等の脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、ギ酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。中でも、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン及びスチレン等の芳香族炭化水素、並びにクロロベンゼン及びジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が好ましい。また、廃液となる溶媒の処理方法の観点から、より好ましくはベンゼン、トルエン、キシレン及びエチルベンゼン等の芳香族炭化水素である。
これらの良溶媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上の成分を混合して用いてもよい。また、上記重合溶媒を含む重合液中には、上記式(1)で表されるフェノール化合物の他に、後述の触媒、触媒除去のための薬品、及び副生成物除去のための薬品等が含まれていてもよい。
(一置換芳香族炭化水素)
本実施の形態において、一置換芳香族炭化水素とは、下記一般式(2)で示される構造を持つものを指す。
Figure 2011099033
(上記式(2)中、R5は、置換されていてもよいアルキル基を表す。)
上記アルキル基としては、例えば、炭素数が2〜6(好ましくは2〜3)の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。より好ましくは、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル及びヘキシルであり、乾燥効率という観点から、さらに好ましくはメチル及びエチルである。
また、ポリフェニレンエーテルの溶剤への溶解度の観点から、最も好ましくはエチルである。ポリフェニレンエーテルの溶解度が高い一置換炭化水素を用いると、生成したポリフェニレンエーテルが再溶解されて、その粒径が過度に小さくなる恐れがある。すなわち、前記一置換芳香族炭化水素として、最も好ましくはエチルベンゼンである。
上記のアルキル基は、任意の置換可能な位置で、1又は2以上の置換基で置換されていてもよい。そのような置換基として、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル)、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル)、アラルキル基(例えば、ベンジル、フェネチル)、及びアルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ)などが挙げられる。
重合終了後の当該重合溶媒中、上記一置換芳香族炭化水素と、前記一置換芳香族炭化水素以外のポリフェニレンエーテルの良溶媒との質量比は、46:54〜90:10であり、好ましくは46:54〜80:20、より好ましくは46:54〜65:35である。
一置換芳香族炭化水素の比率が上記範囲よりも低いと、本発明の効果が十分に得られない可能性が高い。また、一置換芳香族炭化水素の比率が上記範囲よりも高いと、重合液の液粘度が上昇し反応槽内の壁面に付着するポリマーが多くなるなど、工業レベルの生産が困難になる可能性がある。
(ポリフェニレンエーテルの貧溶媒)
本実施の形態における重合溶媒は、ポリフェニレンエーテルの貧溶媒をさらに含んでもよい。ここで、前記ポリフェニレンエーテルの貧溶媒とは、ポリ(2,6―ジメチルフェニレン)エーテルを全く溶解しないか、20℃におけるポリ(2,6―ジメチルフェニレン)エーテルの溶解度が1未満である溶媒を指す。
前記貧溶媒として、例えばケトン類やアルコール類が挙げられ、好ましくは炭素数1〜10のアルコールである。その具体例として、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール及びエチレングリコール等が挙げられる。中でも、入手の容易性などの観点から、好ましくはメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、及びtert−ブタノールである。また、前記貧溶媒は、さらに水を含有してもよい。
これらの貧溶媒は、1種単独でも用いてもよく、2種以上の成分を混合して用いてもよい。
〔触媒〕
本実施の形態におけるポリフェニレンエーテルの製造方法としては、触媒による酸化重合、酸化剤による酸化重合、及び電解重合などが挙げられる。中でも、製造コストの観点から、触媒による酸化重合が好ましい。前記触媒としては、一般的にポリフェニレンエーテルの製造に用いられる公知の触媒が使用できる。
例えば、酸化還元能を有する遷移金属イオンと、この金属イオンと錯形成可能なアミン化合物からなるものが挙げられる。具体例として、銅化合物とアミンからなる触媒系、マンガン化合物とアミンからなる触媒系、及びコバルト化合物とアミンからなる触媒系等が挙げられる。
重合反応は若干のアルカリ性条件下で効率良く進行するため、重合液に若干のアルカリ又はさらなるアミンを加えてもよい。
本実施の形態のポリフェニレンエーテルの製造方法において好適な触媒とは、触媒の構成成分として、銅化合物、ハロゲン化合物及び下記式(3)で表されるジアミン化合物を含む触媒である。
Figure 2011099033
(上記式(3)中、R6、R7、R8及びR9は、それぞれ独立して、水素原子、及び炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基からなる群から選ばれるいずれかを表し、但し、それら全てが同時に水素ではなく、R10は炭素数2〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表す。)
触媒成分を構成する銅化合物としては、第一銅化合物、第二銅化合物又はこれらの混合物を使用できる。第一銅化合物としては、例えば塩化第一銅、臭化第一銅、硫酸第一銅、硝酸第一銅等が挙げられる。第二銅化合物としては、例えば、塩化第二銅、臭化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅等が挙げられる。これらの中で好ましい銅化合物は、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅である。
また、これらの銅塩は、酸化物(例えば酸化第一銅)、炭酸塩又は水酸化物等と、対応するハロゲン又は酸から合成してもよい。例えば、酸化第一銅とハロゲン化合物(例えばハロゲン化水素の溶液)とを混合することにより合成できる。
ハロゲン化合物としては、例えば、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム及びヨウ化テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。また、これらは水溶液や適当な溶媒を用いた溶液として使用できる。これらのハロゲン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、好ましいハロゲン化合物は、塩化水素の水溶液、及び臭化水素の水溶液である。
これらの化合物の使用量は特に限定されないが、銅原子のモル量に対し、ハロゲン原子として2倍以上20倍以下が好ましい。上記式(1)で表されるフェノール化合物の100モルに対する、好ましい銅原子の使用量としては、0.02〜0.6モルであり、触媒量を低減しつつ効率良く生産するという観点から、0.02〜0.2モルであることが好ましく、より好ましくは0.02〜0.1モルである。
上記式(3)により示されるジアミン化合物としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−エチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−N−エチルエチレンジアミン、N−n−プロピルエチレンジアミン、N,N’−ジーn−プロピルエチレンジアミン、N−i−プロピルエチレンジアミン、N,N’−ジーi−プロピルエチレンジアミン、N−n−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジーn−ブチルエチレンジアミン、N−i−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジーi−ブチルエチレンジアミン、N−t−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジーt−ブチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’−トリメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N−メチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ−1−メチルプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ−2−メチルプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ジアミノブタン、及びN,N,N’,N’−テトラメチル−1,5−ジアミノペンタン等が挙げられる。
好ましいジアミン化合物は、2つの窒素原子をつなぐアルキレン基(上記式(3)中のR10)の炭素数が2又は3のものである。これらのジアミン化合物の使用量は特に限定されないが、上記式(1)で表されるフェノール化合物100モルに対して0.01〜10モルであることが好ましい。
(触媒を構成し得るその他の成分)
重合工程で用いる触媒には、上述した構成成分の他に、例えば3級モノアミン化合物及び2級モノアミン化合物を、それぞれ単独で又は組み合わせて含有させてもよい。
上記3級モノアミン化合物とは、脂環式3級アミンを含む脂肪族3級アミンである。例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、アリルジエチルアミン、ジメチル−n−ブチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、及びN−メチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
これらの第3級モノアミンは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。使用量は特に限定されないが、上記式(1)で表されるフェノール化合物100モルに対して15モル以下が好適である。
上記2級モノアミン化合物としては、第2級脂肪族アミンが適用できる。例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−i−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジペンチルアミン類、ジヘキシルアミン類、ジオクチルアミン類、ジデシルアミン類、ジベンジルアミン類、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、及びシクロヘキシルアミンが挙げられる。
また、2級モノアミン化合物としては、芳香族を含む2級モノアミン化合物も適用できる。例えば、N−フェニルメタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルプロパノールアミン、N−(m−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(2’,6’−ジメチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−クロロフェニル)エタノールアミン、N−エチルアニリン、N−ブチルアニリン、N−メチル−2−メチルアニリン、N−メチル−2,6−ジメチルアニリン、及びジフェニルアミン等が挙げられる。前記2級モノアミン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2級モノアミン化合物の使用量は、特に限定されないが、上記式(1)で表されるフェノール化合物100モルに対して15モル以下が好適である。
〔酸素含有ガス〕
本実施の形態におけるポリフェニレンエーテルの製造方法では、酸素含有ガスを供給しながら行う。前記酸素含有ガスは、酸素ガスを含む気体であればよい。酸素含有ガスに含まれる酸素ガス以外の気体としては、例えば、窒素ガスや希ガス等が挙げられる。
〔重合方式〕
本実施の形態のポリフェニレンエーテルの製造方法における重合方式は、特に限定されない。多種類のポリフェニレンエーテルを製造する場合には、様々な性質(例えば、様々なガラス転移温度)を有するポリフェニレンエーテルの造り分けが容易なバッチ方式が好ましい。一方、連続的かつ安定的に生産する場合には連続方式が好ましい。
本実施の形態のポリフェニレンエーテルの製造方法においては、バッチ式、連続方式に共通して、反応溶媒中に重合体が粒子として析出する沈殿析出重合を適用することが好ましい。かかる沈殿析出重合を適用することにより、フェノール化合物の濃度を高めることができ、重合物を抜き出す際に残存するポリマーの低減化が図られ、濾過操作のみでポリマーを単離できる等の利点を有する。
上記式(1)で表されるフェノール化合物の重合工程が沈殿析出重合を適用する場合、当該工程は、触媒及び酸素含有ガスの存在下、上記特定の一置換芳香族炭化水素、上記ポリフェニレンエーテルの良溶媒、及び上記ポリフェニレンエーテルの貧溶媒を含む重合溶媒中でフェノール化合物を酸化重合する段階と、重合後期において、合成された重合体を沈殿析出させる段階とを含むことが好ましい。
上記式(1)で表されるフェノール化合物の重合工程において沈殿析出重合を行う場合、重合工程は、下記の重合初期、重合中期及び重合後期の各段階に分けられる。重合初期は、酸素含有ガス導入開始から、析出を観察し始めるまでの期間である。重合中期は、析出開始から、スラリーが安定化するまでの期間である。重合後期は、スラリーが安定化し、重合が完結するまでの期間である。なお、上記各段階は、良溶媒量、モノマー種及びモノマー濃度によって、析出を呈するまでの時間及びスラリーが安定化するまでの時間が異なってくる。
ここで、上記の重合工程を経て得られる重合体(ポリフェニレンエーテル)に対する良溶媒と貧溶媒の比率を変化させ、貧溶媒の比率を大きくすることで、重合反応の進行と共に重合体が反応溶媒中に粒子として析出する沈殿重合法を適用することが好ましい。
このとき、上記の良溶媒と貧溶媒の比率(良溶媒:貧溶媒)としては、質量比で35:65〜95:5が好ましく、45:55〜85:15がより好ましく、55:45〜75:25がさらに好ましい。
良溶媒と貧溶媒の比率を上記範囲とすることにより、析出したポリフェニレンエーテルの粒子の反応器へのスケールの発生が効果的に低減され、安定的に重合体を製造できる。
より具体的には、良溶媒の割合が上記範囲よりも少ないと、所望の重合度のポリフェニレンエーテルを得るために重合時間を著しく長くしなければならず、重合工程中、外部からの加熱が必要となる等、ポリフェニレンエーテルを効率良く製造することが困難となる。一方、良溶媒の割合が上記範囲を超えると、ポリフェニレンエーテルが反応溶媒中に粒子として析出しなくなる場合がある。
本実施の形態におけるポリフェニレンエーテルの製造方法において、重合に用いるフェノール化合物、すなわち上記式(1)で表されるフェノール化合物は、重合初期から重合槽内に全量存在させてもよいし、重合中に逐次添加する形式でもよい。
なお、単量体として使用するフェノール化合物の全量を、沈殿析出を開始しスラリー状態を呈し始める前の段階で、重合槽内に全て添加し終えるようにすると、重合時間の短縮化が図られるため好ましい。
一方、沈殿析出が開始し、スラリー状態を呈し始めた後の段階で、さらにフェノール化合物を添加した場合には、添加されたフェノール化合物の成長に時間を要するため、トータルの重合時間が長くなる。
本実施の形態のポリフェニレンエーテルの製造方法においては、酸素含有ガスの供給量にもよるが、重合体が沈殿析出した後、すなわち重合体の沈殿析出が開始した時点から好ましくは1分間以上、より好ましくは10分間以上、さらに好ましくは30分間以上、重合を継続させる。これにより、本実施の形態における粒径の制御効果が発揮されるため好適である。
バッチ方式よりもさらに効率よくポリフェニレンエーテルの粉体を製造する方法として、連続方式があるが、この連続方式においては、少なくとも2槽からなる重合槽を用いることが好ましい。
第一の重合槽及びそれ以降の重合槽において沈殿析出重合を選択する場合においては、重合溶媒に溶解させたフェノール化合物及び触媒を、第一の重合槽に連続的に供給し、かつ良溶媒及び貧溶媒を第一の重合槽に連続的に供給する連続重合法を選択することが好ましい。
一方、第一の重合槽においてはポリフェニレンエーテルが沈殿析出を呈しない溶液重合を選択する場合には、第二又はそれ以降の重合槽において沈殿析出重合を選択することにより、沈殿析出に要する平均滞留時間の観察が容易となり、副生成物の生成量を著しく抑制できる。
さらに、第一の重合槽において沈殿析出を呈しない範囲内で重合化率を高めておくと、ポリフェニレンエーテルを得るための総平均滞留時間の短縮化が図られる。
このように、本実施の形態によれば、簡便な方法で効率的に、平均粒径を所望の範囲に制御可能なポリフェニレンエーテルの製造方法が得られる。
また、本実施の形態の製造方法によるポリフェニレンエーテル(粉体)の平均粒径は従来の製造方法と比較して容易に制御できるため、輸送時における微粒子飛散の問題や、成型時における噛みこみ不良の問題等を解決することができ、粉体取扱い性が向上する。
[ポリフェニレンエーテル]
本実施の形態により得られるポリフェニレンエーテルの平均粒径は、50μm〜300μmであり、好ましくは50μm〜250μmである。
平均粒径が300μmよりも大きい場合、粒子の表面積低下に伴う乾燥効率の悪化を招く危険性がある。一方、平均粒径が50μmよりも小さい場合、輸送時における微粒子飛散の問題などが生じる。なお、本発明における平均粒径の測定は、後述の実施例で実施した方法を採用する。
また、本実施の形態により得られるポリフェニレンエーテルの粉体は、還元粘度(dL/g)が0.25以上であることが好ましい。これによりポリフェニレンエーテルの一般的な耐熱性を維持しつつ、用途に適したポリフェニレンエーテルを製造することができる。
ここで、前記「還元粘度」とは、30℃の条件下における、ポリフェニレンエーテルが0.5g/dL濃度であるクロロホルム溶液の還元粘度を意味する。なお、本発明における還元粘度の測定は、後述の実施例で実施した方法を採用する。
前記還元粘度は、0.25dL/g以上が好ましく、0.30dL/g以上がより好ましく、0.40dL/g以上がさらに好ましい。
前記還元粘度は、用いる良溶媒の量、触媒量、酸素含有ガスの通気量及び速度、並びに原料モノマーの濃度等によって変動する値である。本実施の形態においては、上記した好ましい範囲の還元粘度となるように、これらの製造条件を適宜選択する。
本実施の形態により得られるポリフェニレンエーテルの具体例として、ポリ(2,6―ジメチルフェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチルフェニレン)エーテル、及びポリ(2,3,6−トリメチルフェニレン)エーテル等が挙げられる。中でも、工業生産されているという観点から、好ましくはポリ(2,6―ジメチルフェニレン)エーテルである。
本実施の形態により得られるポリフェニレンエーテルは、公知の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂と溶融混練して用いることができる。かかる熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂の例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリアセタール、超高分子量ポリエチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルペンテン、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー、ポリテトラフロロエチレン、ポリエーテルイミド、ポリアリレート、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアミドイミド、フェノール樹脂、ポリ尿素、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、及びジアリルフタレート樹脂等の樹脂が挙げられる。また、溶融混練時に、導電性、難燃性や耐衝撃性等の効果を付与する目的で従来公知の添加剤や熱可塑性エラストマーを加えることが好ましい。
上記の特許文献1、2、3及び4に記載の粒子肥大化方法では、上述のとおり、1000μmを超える粒子が多量に生成する。これに比べて、本実施の形態により得られるポリフェニレンエーテルの平均粒径は50μm〜300μmの範囲であり、上記の乾燥効率の悪化を伴う可能性が顕著に低くなる。
以下に実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下に記載の実施例によって限定されるものではない。
[測定方法]
物性等の測定方法は以下のとおりである。
1.ポリフェニレンエーテルの平均粒径の測定方法
ポリフェニレンエーテルの平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置:製品名LS−230(コールター社製)を用い、1−ブタノール溶媒中に分散させて3回以上測定し、各体積平均中位径の算術平均値を平均粒径とした。
2.還元粘度ηsp/cの測定
0.5g/dL濃度のクロロホルム溶液として、ウベローデ粘度管を用いて30℃における還元粘度(ηsp/c)を求めた。単位はdL/gである。
3.溶媒中の良溶媒の含有量の測定方法
ポリフェニレンエーテルの製造時に用いた良溶媒量の測定には、ガスクロマトグラフィー(製品名GC−14B、島津製作所製)、FID検出器を用い、n−ブチルエーテルを内部標準物質とした内部標準検量線法により定量した。ガスクロマトグラフィーには、充填材としてCalitil545(60/80)を充填させたカラム(直径3mm×長さ4m)を取り付け、温度条件を100℃として測定した。
[実施例1]
重合槽底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた2Lのジャケット付き第一重合槽に、50mL/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、0.4007gの塩化第二銅2水和物、1.767gの35%塩酸、19.71gのN,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、3.753gのジ−n−ブチルアミン、一置換芳香族炭化水素として344.4gのエチルベンゼン、215.8gのn−ブタノール、171.6gのメタノール、328.2gのキシレン、373.3gの2,6−ジメチルフェノールを入れた。これらが均一溶液となり、重合槽の内温が40℃になるまで撹拌した。
次に、第一重合槽へ、350NmL/分の速度で酸素ガスをスパージャーより導入を始めると同時に、重合槽と等しい組成の混合液を貯蔵槽から送液ポンプを用い、18.9g/分の速度で逐次添加した。
第一重合槽から排出された重合液は、重合槽底部に酸素ガス導入のためのスパージャー、攪拌タービン翼、還流冷却器を備えた3.7Lのジャケット付きSUS製の第二重合槽に、供給した。第二重合槽には、3.60g/分の速度でメタノールを、250NmL/分の速度で酸素ガスを重合液に導入すると同時に、600NmL/分の速度で窒素ガスを気相部に供給した。なお、酸素ガスの供給量は、重合液の酸素吸収量の変動に伴い調節した。
第二重合槽から排出された重合液は、重合槽底部に酸素ガス導入のためのスパージャー、攪拌タービン翼、還流冷却器を備えた1.5Lのジャケット付きSUS製の第三重合槽に、供給した。第三重合槽には、50NmL/分の速度で酸素ガスを重合液に、50NmL/分の速度で窒素ガスを気相部に供給した。
重合が終了し、得られたスラリーにメタノールを加え、50℃にて攪拌させた。分散とろ過を2回繰り返して行い、次いで140℃で120分真空乾燥し、乾燥ポリフェニレンエーテルを得た。
重合終了後の、得られたスラリーの溶媒における、エチルベンゼンとその他の良溶媒との質量比は51.2:48.8、平均粒径は110μmであった。また、乾燥後のポリフェニレンエーテルの還元粘度は0.59dL/gであった。
[実施例2]
第一重合槽に入れるエチルベンゼンを408.3g、キシレンを264.3gとした点以外は、実施例1と同様にして実施した。
重合終了後の、得られたスラリーの溶媒における、エチルベンゼンとその他の良溶媒との質量比は60.7:39.3であり、平均粒径は242μmであった。また、乾燥後のポリフェニレンエーテルの還元粘度は0.59dL/gであった。
[実施例3]
第一重合槽に入れるエチルベンゼンを487.0g、キシレンを185.6gとした点以外は、実施例1と同様にして実施した。
重合終了後の、得られたスラリーの溶媒における、エチルベンゼンとその他の良溶媒との質量比は72.4:28.6であり、平均粒径は292μmであった。また、乾燥後のポリフェニレンエーテルの還元粘度は0.57dL/gであった。
[実施例4]
第一重合槽に入れるエチルベンゼンを591.8g、キシレンを80.7gとした点以外は、実施例1と同様にして実施した。
重合終了後の、得られたスラリーの溶媒における、エチルベンゼンとその他の良溶媒との質量比は88.0:12.0であり、平均粒径は298μmであった。また、乾燥後のポリフェニレンエーテルの還元粘度は0.58dL/gであった。さらに、実施例1に比べ、乾燥に約1.2倍の時間が必要であった。
[比較例1]
第一重合槽に入れるエチルベンゼンを304.0g、キシレンを368.6gとした点以外は、実施例1と同様にして実施した。
重合終了後の、得られたスラリーの溶媒における、エチルベンゼンとその他の良溶媒との質量比は45.2:54.8であり、平均粒径は45.8μmであった。また、乾燥後のポリフェニレンエーテルの還元粘度は0.58dL/gであった。
[比較例2]
第一重合槽に入れるエチルベンゼンを0g、キシレンとしてp−キシレンのみを672.6gとした点以外は、実施例1と同様にして実施した。
重合終了後の、得られたスラリーの溶媒における、エチルベンゼンとその他の良溶媒との質量比は0:100であり、得られたスラリーの溶媒中のエチルベンゼン濃度は0%であり、平均粒径は41.7μmであった。また、乾燥後のポリフェニレンエーテルの還元粘度は0.58dL/gであった。
[比較例3]
第一重合槽に入れるエチルベンゼンを612.1g、キシレンを60.5gとした点以外は、実施例1と同様にして実施した。
重合終了後の、得られたスラリーの溶媒における、エチルベンゼンとその他の良溶媒との質量比は91:9であり、平均粒径は347μmであった。また、乾燥後のポリフェニレンエーテルの還元粘度は0.58dL/gであった。さらに、実施例1に比べ、乾燥に約1.5倍の時間が必要であった。
Figure 2011099033
上記の結果より、重合終了後の重合溶媒中のエチルベンゼンとその他の良溶媒との質量比が46:54〜90:10の範囲内にある実施例1〜4のポリフェニレンエーテルは、範囲外の比較例1〜3に比して、還元粘度が同程度であるにも関わらず、顕著に大きくて、かつ、好適な範囲(50〜300μm)内の平均粒径を有することが明らかとなった。
本発明のポリフェニレンエーテルの製造方法は、電気・電子材料分野及び自動車分野その他各種工業材料分野、並びに食品の包装分野の製品や部品用の材料として用いるポリフェニレンエーテルの製造に利用することができる。

Claims (6)

  1. 下記一般式(1):
    Figure 2011099033
    (上記式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアラルキル基、及び置換されていてもよいアルコキシ基からなる群から選ばれるいずれかを表す。)
    で表されるフェノール化合物の重合工程を含むポリフェニレンエーテルの製造方法であって、
    該ポリフェニレンエーテルの平均粒径が50μm〜300μmであり、
    前記重合工程において用いる重合溶媒は、下記一般式(2):
    Figure 2011099033
    (上記式中、R5は、置換されていてもよいアルキル基を表す。)
    で表される一置換芳香族炭化水素と、前記一置換芳香族炭化水素以外のポリフェニレンエーテルの良溶媒とを含み、
    重合終了後の該重合溶媒中、前記一置換芳香族炭化水素と前記一置換芳香族炭化水素以外のポリフェニレンエーテルの良溶媒との質量比が46:54〜90:10である、ポリフェニレンエーテルの製造方法。
  2. 前記一置換芳香族炭化水素がエチルベンゼンである、請求項1に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
  3. 前記フェノール化合物の重合工程は、
    触媒及び酸素含有ガスの存在下、前記一置換芳香族炭化水素、前記ポリフェニレンエーテルの良溶媒、及びポリフェニレンエーテルの貧溶媒を含む重合溶媒中で、前記フェノール化合物を酸化重合する段階と、
    重合後期において、合成された重合体を沈殿析出させる段階とを含む、請求項1又は2に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
  4. 前記触媒は、銅化合物、ハロゲン化合物、及び下記一般式(3):
    Figure 2011099033
    (上記式(3)中、R6、R7、R8及びR9は、それぞれ独立して、水素原子、及び炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基からなる群から選ばれるいずれかを表し、但し、それら全てが同時に水素ではなく、R10は炭素数2〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基を表す。)
    で表されるジアミン化合物を構成成分として含む、請求項3に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
  5. 30℃において0.5g/dLの濃度のクロロホルム溶液で測定された、該ポリフェニレンエーテルの還元粘度(ηsp/c)が、0.25dL/g以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
  6. 該ポリフェニレンエーテルがポリ(2,6―ジメチルフェニレン)エーテルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリフェニレンエーテルの製造方法。
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