JP2021014556A - ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、極低分子量ポリフェニレンエーテルを安定的に回収することができ、経済的に優れる低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】30℃において0.5g/dLの濃度のクロロホルム溶液で測定された還元粘度(ηsp/c)が0.03〜0.20dL/gであるポリフェニレンエーテル樹脂を製造する方法であって、フェノール性化合物を触媒及び酸素含有ガスの存在下で酸化重合する重合工程を有し、前記重合工程において、第1重合槽〜第3重合槽を含む少なくとも3槽の重合槽を用い、前記フェノール性化合物を前記第1重合槽及び前記第2重合槽で連続供給することを特徴とする、ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法に関する。
近年、通常の高分子量ポリフェニレンエーテル樹脂よりも、極めて低分子量のポリフェニレンエーテル樹脂が他樹脂の改質や、電子材料用途に対して有効であることが期待されており、性能のよい低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂及び、その効率的な製造方法が望まれている。一般にポリフェニレンエーテルの製造において低分子量体が生成するような状況の場合には、副生成物の選択率が高くなることや、収率が低下することが知られている。
フェノール性化合物を酸化重合させてポリフェニレンエーテル樹脂を製造し、ポリフェニレンエーテル樹脂を重合溶液中から分離させる際に、分離溶媒中に1000以下の低分子量体が5〜10質量%存在し、ポリフェニレンエーテル樹脂の回収率を低下させるという問題がある。かかる問題を解決するために、例えば、特許文献1に開示の方法では、ポリフェニレンエーテル樹脂の製造において、分離後の濾液中に溶解している低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂を回収し、ハロゲン化水素処理した後に再度、酸化重合に用いる方法が開示されている。
また、フェノール性化合物を酸化重合させて低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂を製造した重合溶液より、低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂を効率的に回収するために、例えば、特許文献2に開示の方法では、少なくとも2槽からなる重合槽を用いて、第一重合槽の重合率を40%以上に高めた後に、第二重合槽において重合を完結させる方法において、ポリフェニレンエーテルの貧溶媒を該フェノール類に対し5質量%以上添加することで、重合槽へのスケール付着を抑制している。
特開昭62−172021号公報 特開2004−307554号公報
しかしながら、特許文献2に記載の技術に基づき製造する低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂は、重合槽のスケール付着を抑制することで収率低下を防止しているため、極低分子量ポリフェニレンエーテルの回収率が低下する傾向があった。このように、極低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂を連続的に重合溶液より安定的に回収でき、経済性に優れる低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法は、知られていないのが現状である。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、極低分子量ポリフェニレンエーテルを安定的に回収することができ、経済的に優れる低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者は、低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂を製造する際の重合溶液の形態をコントロールすることで、極低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂を安定的に回収することができ、経済的に優れる低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法とすることができるとの着想に思い至り、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]
30℃において0.5g/dLの濃度のクロロホルム溶液で測定された還元粘度(ηsp/c)が0.03〜0.20dL/gであるポリフェニレンエーテル樹脂を製造する方法であって、
フェノール性化合物を触媒及び酸素含有ガスの存在下で酸化重合する重合工程を有し、
前記重合工程において、第1重合槽〜第3重合槽を含む少なくとも3槽の重合槽を用い、前記フェノール性化合物を前記第1重合槽及び前記第2重合槽で連続供給することを特徴とする、ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
[2]
前記フェノール性化合物及び前記触媒を含まないポリフェニレンエーテルの貧溶媒を、前記第3重合槽で連続供給する、[1]に記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
[3]
前記重合工程において、前記第1重合槽及び前記第2重合槽の重合形態が溶液重合であり、前記第3重合槽の重合形態が沈殿析出重合である、[2]に記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
[4]
前記フェノール性化合物が、下記一般式(1)で表されるフェノール化合物と、下記一般式(2)で表される2価フェノール性化合物とを含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
Figure 2021014556
(式(1)中、R1,R2,R3は各々独立の置換基を表し、R1はアルキル基,置換アルキル基,アラルキル基,置換アラルキル基,アリール基,置換アリール基,アルコキシ基又は置換アルコキシ基であり、R2,R3はR1について定義されたものと同一の基に加え更に水素又はハロゲンであってもよい。)
Figure 2021014556
(式(2)中、Q1、Q2は各々同一又は異なる置換基を表し、水素、アルキル基,置換アルキル基,アラルキル基,置換アラルキル基,アリール基,置換アリール基,アルコキシ基,置換アルコキシ基又はハロゲンを表し、Xは脂肪族炭化水素残基及びそれらの置換誘導体、酸素、イオウ又はスルホニル基を表し、Q2,Xの結合位置はフェノール水酸基に対してオルソ位又はパラ位を表す。)
本発明によれば、極低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂を安定的に回収することができ、経済的に優れる低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
本実施形態は、バッチ重合法、連続重合法等の重合方法に適用でき、また、溶液重合法、沈殿重合法等の重合方法に適用できる。
もちろん、本実施形態は、溶媒を使わないバルク重合法、超臨界での炭酸ガスを溶媒として用いる重合法においても有効である。
なお、以下において、フェノール性化合物、触媒、溶媒等の使用量や比率は、特に、連続重合法が用いられる場合は、定常状態での使用量をいうものとする。
(ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法)
本実施形態のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法は、30℃において0.5g/dLの濃度のクロロホルム溶液で測定された還元粘度(ηsp/c)が0.03〜0.20dL/gであるポリフェニレンエーテル樹脂を製造する方法であって、フェノール性化合物と触媒とを酸素含有ガスの存在下で、酸化重合する重合工程を有し、前記重合工程において、第1重合槽〜第3重合槽を含む少なくとも3槽からなる重合槽を用い、前記フェノール性化合物を前記第1重合槽及び前記第2重合槽で連続供給することを特徴とする。
なお、本実施形態では、第1重合槽〜第3重合槽に加えて第4以降の重合槽をも用いてもよい。
本実施形態の製造方法では、フェノール性化合物や触媒を混合して、第1重合槽、第2重合槽でこれを連続供給してよい。
好適には、本実施形態の製造方法では、フェノール性化合物及び触媒を含まないポリフェニレンエーテルの貧溶媒を、第3重合槽で連続供給する。
ここで、フェノール性化合物及び触媒を「含まない」とは、第3重合槽に連続供給するポリフェニレンエーテルの貧溶媒におけるフェノール性化合物及び触媒の含有量が、それぞれ5000質量ppm以下であることをいう。当該含有量は、それぞれ1000質量ppm以下であることが好ましく、それぞれ100質量ppm以下であることがより好ましく、それぞれ50質量ppm以下であることがさらに好ましい。
<フェノール性化合物>
本実施形態に用いられるフェノール性化合物は、下記一般式(1)で表される化合物であってよい。
Figure 2021014556
式(1)中、R1,R2,R3は各々独立の置換基を表し、R1はアルキル基,置換アルキル基,アラルキル基,置換アラルキル基,アリール基,置換アリール基,アルコキシ基又は置換アルコキシ基であり、R2,R3はR1について定義されたものと同一の基に加え更に水素又はハロゲンであってもよい。
一般式(1)で表されるような一価フェノール化合物としては、例えば、o−クレゾール、2,6−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2−エチルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−n−プロピルフェノール、2−メチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−イソプロピルフェノール、2−メチル−6−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−ブロモフェノール、2−メチル−6−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−n−プロピルフェノール、2−エチル−6−クロルフェノール、2−メチル−6−フェニルフェノール、2−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ビス−(4−フルオロフェニル)フェノール、2−メチル−6−トリルフェノール、2,6−ジトリルフェノール等が挙げられる。
本実施形態に於いてこれらの一価フェノール化合物の中でも2,6−ジメチルフェノールは工業上非常に重要であり好ましく用いられる。並びに好ましくはこれらの一価フェノール化合物は一種類でも用いられるし、いくつか組み合わせて用いてもよい。例えば、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールを組み合わせて使用する方法、2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジフェニルフェノールを組み合わせて用いる方法などである。このような混合の一価フェノール化合物を用いる場合には2,6−ジメチルフェノールとの比が1:99から99:1の質量比である混合一価フェノール化合物を用いることができる。また使用するフェノール化合物の中に、少量のm−クレゾール、p−クレゾール、2,4−ジメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール等が含まれていても全くかまわない。
本実施形態に用いられる2価フェノール性化合物は下記一般式(2)で表される化合物であってよい。
Figure 2021014556
式(2)中、Q1、Q2は各々同一又は異なる置換基を表し、水素、アルキル基,置換アルキル基,アラルキル基,置換アラルキル基,アリール基,置換アリール基,アルコキシ基,置換アルコキシ基又はハロゲンを表し、Xは脂肪族炭化水素残基及びそれらの置換誘導体、酸素、イオウ又はスルホニル基を表し、Q2,Xの結合位置はフェノール水酸基に対してオルソ位又はパラ位を表す。
一般式(2)で表されるような2価フェノール性化合物は該当する一価フェノール性化合物とケトン類又はジハロゲン化脂肪族炭化水素との反応等により工業的に有利に製造できる。例えばホルムアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン等の汎用のケトン化合物と、一価フェノール性化合物の反応により得られる化合物群がある。例えば、下記一般式(2−a)、(2−b)、(2−c)の各々の構造に挙げる化合物群がある。
Figure 2021014556
Figure 2021014556
Figure 2021014556
一般式(2−a)、(2−b)、(2−c)の式中、Q1、Q2は各々同一又は異なる置換基を表し、水素、アルキル基,置換アルキル基,アラルキル基,置換アラルキル基,アリール基,置換アリール基,アルコキシ基,置換アルコキシ基又はハロゲンを表し、Xは脂肪族炭化水素残基及びそれらの置換誘導体、酸素、イオウ又はスルホニル基を表す。
上記一般式の構造を持つもので代表的なものは、Q1とQ2がメチル基でXがイソプロピリデンである化合物、Q1とQ2がメチル基でXがメチレンである化合物、Q1とQ2がメチル基でXがチオである化合物、Q1とQ2がメチル基でXがシクロヘキシリデンである化合物等であるがこれらの例に限定されないことはいうまでもない。
これらの2価フェノール性化合物は一種類でも用いられるし、いくつか組み合わせて用いてもよい。
本実施形態において、一価フェノール化合物を2価フェノール化合物の存在下で酸化重合せしめる場合、一般式(2)の2価フェノール性化合物がフェノール性化合物に占める割合は、特に制限されないが、0.1〜25mol%とするのが好ましく、より好ましくは0.1〜15mol%、さらに好ましくは0.5〜10mol%、最も好ましくは1〜8mol%である。
本実施形態の連続重合方法において重合溶液中のフェノール化合物の濃度は特に限定されないが、全重合溶液中において10〜50質量%とすると沈殿析出重合の特徴が発揮され好ましい。
<触媒>
本実施形態で用いられる触媒は、一般的にポリフェニレンエーテルの製造に用いることができる公知の触媒系が全て使用できる。一般的に知られている触媒系は、酸化還元能を有する遷移金属イオンとこの金属イオンと錯形成可能なアミン化合物からなるものが知られており、例えば、銅化合物とアミンからなる触媒系、マンガン化合物とアミンからなる触媒系、コバルト化合物とアミンからなる触媒系等である。重合反応は若干のアルカリ性条件下で効率よく進行するため、ここに若干のアルカリもしくは更なるアミンを加えることもある。
本実施形態で好適に使用される触媒は、触媒の構成成分として銅化合物、ハロゲン化合物及び一般式(3)で表されるジアミン化合物からなる触媒である。
Figure 2021014556
(式中、R8,R9,R10,R11はそれぞれ独立に水素、炭素数1から6の直鎖状又は分岐状アルキル基で、全てが同時に水素ではない。R12は炭素数2から5の直鎖状又はメチル分岐を持つアルキレン基である)
ここで述べられた触媒成分の銅化合物の例を列挙する。好適な銅化合物としては第一銅化合物、第二銅化合物又はそれらの混合物を使用することができる。第二銅化合物としては、例えば、塩化第二銅、臭化第二銅、硫酸第二銅、硝酸第二銅等を例示することができる。また、第一銅化合物としては、例えば、塩化第一銅、臭化第一銅、硫酸第一銅、硝酸第一銅等を例示することができる。これらの中で特に好ましい金属化合物は塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅である。また、これらの銅塩は酸化物(例えば酸化第一銅)、炭酸塩、水酸化物等と対応するハロゲン又は酸から使用時に合成してもよい。しばしば用いられる方法は、先に例示の酸化第一銅とハロゲン化水素(又はハロゲン化水素の溶液)を混合して作成する方法である。
ハロゲン化合物としては、例えば、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウム、塩化テトラメチルアンモニウム、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、ヨウ化テトラエチルアンモニウム等である。また、これらは水溶液や適当な溶媒を用いた溶液として使用できる。これらのハロゲン化合物は、成分として、単独でも用いられるし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。好ましいハロゲン化合物は、塩化水素の水溶液、臭化水素の水溶液である。
これらの化合物の使用量は、特に限定されない。ハロゲン原子としては、銅原子のモル量に対して2倍以上20倍以下のモル量が好ましい。好ましい銅原子の使用量としては、使用されるフェノール性化合物の100モルに対して0.02モル〜0.6モルの範囲である。
次に、触媒成分のジアミン化合物の例を列挙する。例えばN、N、N‘、N’‐テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリメチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、N,N,N’−トリエチルエチレンジアミン、N,N’−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N−エチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−N’−エチルエチレンジアミン、N,N’−ジメチル−N−エチルエチレンジアミン、N−n−プロピルエチレンジアミン、N,N’−ジーn−プロピルエチレンジアミン、N−i−プロピルエチレンジアミン、N,N’−ジーi−プロピルエチレンジアミン、N−n−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジーn−ブチルエチレンジアミン、N−i−ブチルエチレンジアミン、N,N’−ジーi−ブチルエチレンジアミン、N−t−ブチルエチレンジアミンが挙げられる。
また、N,N’−ジーt−ブチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’−トリメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N’−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン、N−メチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ−1−メチルプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノ−2−メチルプロパン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ジアミノブタン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,5−ジアミノペンタン等が挙げられる。
本実施形態にとって好ましいジアミン化合物は2つの窒素原子をつなぐアルキレン基の炭素数が2又は3のものである。
これらのジアミン化合物の使用量は、特に限定されないが、通常使用されるフェノール性化合物の100モルに対して0.01モル〜10モルの範囲で用いられる。
本実施形態において触媒の構成成分として、更に3級モノアミン化合物又は2級モノアミン化合物をそれぞれ単独で、又はこれらを組み合わせて含ませることは好ましい。
3級モノアミン化合物とは、脂環式3級アミンを含めた脂肪族3級アミンである。例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、ジメチルエチルアミン、ジメチルプロピルアミン、アリルジエチルアミン、ジメチル−n−ブチルアミン、ジエチルイソプロピルアミン、N−メチルシクロヘキシルアミン等が挙げられる。これらの第3級モノアミンは単独でも用いられるし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
これらの使用量は特に限定されないが、通常使用されるフェノール性化合物の100モルに対して15モル以下の範囲が好ましい。
2級モノアミン化合物の例として、第2級脂肪族アミンとしては例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−i−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−i−ブチルアミン、ジ−t−ブチルアミン、ジペンチルアミン類、ジヘキシルアミン類、ジオクチルアミン類、ジデシルアミン類、ジベンジルアミン類、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、シクロヘキシルアミンが挙げられる。芳香族を含む2級モノアミン化合物の例としては、N−フェニルメタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−フェニルプロパノールアミン、N−(m−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−メチルフェニル)エタノールアミン、N−(2’,6’−ジメチルフェニル)エタノールアミン、N−(p−クロロフェニル)エタノールアミン、N−エチルアニリン、N−ブチルアニリン、N−メチル−2−メチルアニリン、N−メチル−2,6−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン等が挙げられるがこれらの例には限定されない。これらの2級モノアミン化合物は単独でも用いられるし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。
使用量は特に限定されないが、通常使用されるフェノール性化合物の100モルに対し15モル以下の範囲が好ましい。
本実施形態には、従来より活性に向上効果を有することが知られている界面活性剤を添加することについて何ら制限されない。例えば、Aliquat336やCapriquatの商品名で知られるトリオクチルメチルアンモニウムクロライドである。使用量は重合反応混合物の全量に対して0.1wt%を超えない範囲が好ましい。本実施形態の重合における酸素含有ガスは純酸素の他、酸素と窒素等の不活性ガスとを任意の割合で混合したもの、空気、更には空気と窒素等の不活性ガスとを任意の割合で混合したもの等が使用できる。重合反応中の系内圧力は常圧で充分であるが必要に応じて減圧でも加圧でも使用できる。
重合の温度は特に限定されないが、低すぎると反応が進行しにくく、また高すぎると反応の選択性が低下することがあるので、0〜80℃、好ましくは10〜70℃の範囲である。
<重合溶媒>
本実施形態の重合溶媒としては、一般的にポリフェニレンエーテルの重合に用いられる各種溶媒が使用可能である。ポリフェニレンエーテルの良溶媒・貧溶媒が使用可能である。
ポリフェニレンエーテルの良溶媒とは、ポリフェニレンエーテルを溶解させることができる溶媒である。このような溶媒を例示すると、ベンゼン、トルエン、キシレン(o−、m−、p−の各異性体を含む)、エチルベンゼン、スチレン等の芳香族炭化水素、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、ニトロベンゼンのようなニトロ化合物が挙げられる。また若干の貧溶媒性を持ってはいるものの良溶媒に分類されるものとしては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、ギ酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルスルホキシド等が例示される。これらの良溶媒は、単独でも用いられるし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリフェニレンエーテルの貧溶媒とは、ポリフェニレンエーテルを全く溶解しないか、わずかに溶解できる溶媒である。例えば、エーテル類、ケトン類、アルコール類である。
中でも炭素数が1個から10個までのアルコールが好ましい。このような貧溶媒としては例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、エチレングリコール等を挙げることができ、このような貧溶媒に、更に水が含まれていてもよい。これらの貧溶媒は、単独でも用いられるし、2種以上を組み合わせて用いても良く、貧溶媒の特徴を損なわない範囲において良溶媒を含有しても構わない。
しばしば用いられる溶媒の例としてはトルエンやキシレン等の芳香族炭化水素単独溶媒や、これにメタノール、エタノール等のアルコール類を含有させた混合溶媒である。
フェノール性化合物を酸化重合させて得られる重合体であるポリフェニレンエーテルに対する良溶媒と貧溶媒の比率を選ぶことによって溶液重合法にもなるし、貧溶媒の比率を大きくすることで反応の進行とともに重合体が反応溶媒中に粒子として析出し、スラリー形態となる沈殿重合法にもなる。
重合反応系に、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属のアルコキサイド、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム等の中性塩、ゼオライト等も添加することができる。
本実施形態において重合溶媒中の各種溶媒の比率は特に限定されないが、重合溶媒に占める良溶媒の含有量が総じて40質量%以下であることが好ましい。
本実施形態で用いられる上記混合溶媒としては、下記が好ましい。
第1重合槽では、好適には溶液重合が行われ、前述の良溶媒と貧溶媒との比が0:100〜40:60であるものが好ましく、より好ましくは10:90〜30:70であり、
さらに好ましくは20:80〜30:70である。
第2重合槽では、好適には溶液重合が行われ、前述の良溶媒と貧溶媒との比が0:100〜40:60であるものが好ましく、より好ましくは10:90〜30:70であり、さらに好ましくは20:80〜30:70である。
第3重合槽では、好適には沈殿析出重合が行われ、前述の良溶媒と貧溶媒との比が0:100〜40:60であるものが好ましく、より好ましくは0:100〜30:70であり、さらに好ましくは0:100〜20:80である。
ここで、第1重合槽における良溶媒の良溶媒と貧溶媒との合計に対する割合、及び第2重合槽における良溶媒の良溶媒と貧溶媒との合計に対する割合は、いずれも、第3重合槽における良溶媒の良溶媒と貧溶媒との合計に対する割合よりも大きいことが好ましい。
本実施形態では、少なくとも3槽からなる重合槽を用いる。
第一の重合槽においてフェノール性化合物の重合率を40%以上に高めることが好ましく、43%以上に高めることがより好ましく、45%以上に高めることがさらに好ましい。更に、第二の重合槽においてフェノール性化合物の重合率を50%以上に高めることが好ましく、55%以上に高めることがより好ましく、58%以上に高めることがさらに好ましい。それ以降の重合槽において重合を完結させる。
なお、重合を完結させた時のフェノール性化合物の重合率は、特に限定されないが、95%以上に高めることが好ましく、97%以上に高めることがより好ましい。
フェノール性化合物の重合率は以下に示す方法により得ることができる。
ポリフェニレンエーテルの重合は、一般に公知の通り、一価フェノール類2モルと酸素1モルから酸化カップリング反応により得られる。よって、フェノール類の重合率は反応に供給する酸素量と反応に寄与せずに排出される酸素量、及び反応に供したフェノール類の量より求めることができる。
本実施形態の好適形態では、第二の重合槽においてフェノール類の重合率を50%以上に高めた後に、貧溶媒を第三の重合槽において添加することで溶液重合より、沈殿析出重合に変化させることにより低分子量のポリフェニレンエーテルを製造するのに重要な解決課題である極低分子量ポリフェニレンエーテルの回収率を向上させることができる。
貧溶媒の後添加により、重合後期における重合生成水による触媒の失活を抑えると共に、重合溶液中の低分子量ポリフェニレンエーテルの沈殿析出をも容易となる。
本実施形態の特徴を損なわない範囲であれば、貧溶媒は任意の割合で重合初期から重合溶媒中に含有されていても何ら問題はない。
第1の重合槽と第2の重合槽における重合初期の重合形態が溶液重合であり、貧溶媒を添加した後の重合後期における重合形態を沈殿析出重合とすることが、極低分子量ポリフェニレンエーテルの回収率を向上させる上で好ましい。これにより、重合を完結させた重合溶液において、沈殿析出したポリフェニレンエーテルに対し重合溶媒に溶解するフェノール類帰属の化合物の含有量を20質量%未満に低減させることも容易に達成可能となる。
重合率を高める目的で第四又はそれ以降の重合槽を併設することも重要な役割を果たすことが多い。このような重合形態を採ることにより、従来技術では困難であった収率の低下が抑制され、工業的に極めて有利な低分子量のポリフェニレンエーテルの連続重合方法となる。
重合反応終了後の後処理方法については特に制限はない。通常、塩酸や酢酸等の酸、又はエチレンジアミン4酢酸(EDTA)及びその塩、ニトリロトリ酢酸及びその塩等を反応液に加えて触媒を失活させる。その後重合終結時の重合溶液の形状がスラリーである場合は、触媒の洗浄除去を目的として、重合に用いたポリフェニレンエーテルの溶解能が低い溶媒を主成分とする溶液を用いて繰り返し洗浄を実施することがより好ましい。重合終結時の重合溶液の形状が溶液である場合は、生成した重合体から触媒を分離した後、ポリフェニレンエーテルの溶解能が低い溶媒を用いてポリフェニレンエーテルを固形化する。この際、更なる触媒の洗浄除去を目的として、固形化に用いたポリフェニレンエーテルの溶解能が低い溶媒を主成分とする溶液を用いて繰返し洗浄を実施することがより好ましい。
その後、各種乾燥機を用いた乾燥工程において乾燥するという操作でポリフェニレンエーテルが回収できる。
次に実施例により本実施形態を更に詳細に説明するが、本実施形態はこれらの例によって何ら限定されるべきではない。
なお、測定は以下の方法に従って行った。
(1)フェノール化合物の重合率の測定方法
重合に供するフェノール化合物の質量より、理論上重合に必要な酸素体積を下式により求めた。
(理論酸素量)=(フェノール化合物の質量)/(フェノール化合物の分子量)×22.4/2
重合に要した酸素体積は下式により求めた。
(重合に要した酸素量)=(重合に供した酸素量)−(排出ガス中の酸素量)
重合率(%)は、上述した理論酸素量及び重合に要した酸素量を用い、下式より求めた。
重合率(%)=(重合に要した酸素量)/(理論酸素量)×100
(2)副生成物の生成量の測定方法
重合溶液を用いて、ポリフェニレンエーテル濃度が100質量ppmのクロロホルム溶液を作製し、このクロロホルム溶液について、日立分光光度計U−3310を用いて、420nmの吸光度を測定し、下式により求めた数値を、副生成物の生成量(%)とした。
副生成物の生成量(%)=3.56×吸光度
(3)還元粘度の測定方法
得られた乾燥ポリフェニレンエーテルを0.5g/dLのクロロホルム溶液として、ウベローデ粘度管を用いて30℃における還元粘度(ηsp/c)を求めた。単位はdL/gである。
(4)ロスポリマー量の測定方法
重合溶液をガラスフィルターにて濾別し、析出沈殿しているポリフェニレンエーテルと濾液を分取した。そして、沈殿析出しているポリフェニレンエーテルの乾燥質量に対する、濾液を蒸発乾固して得られた重合溶媒に溶解しているフェノール類帰属の化合物の質量の割合を100分率で表し、ロスポリマー量(質量%)とした。
[実施例1]
重合槽底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフル、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器、重合槽側面に第二重合槽へのオーバーフローラインを備えた1.6リットルのジャケット付き第一重合槽に500mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、0.163gの塩化第二銅2水和物、0.716gの35%塩酸、0.621gのジ−n−ブチルアミン、7.446gのN,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、828gのn−ブタノール、92gのメタノールを入れた。
同様に、反応器底部に酸素含有ガス導入の為のスパージャー、攪拌タービン翼及びバッフル、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器、重合槽側面に第三重合槽へのオーバーフローラインを備えた1.6リットルのジャケット付き第二重合槽に500mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、900gのn−ブタノール、100gのメタノールをいれた。
同様に洗浄槽へのオーバーフローラインを備えた4.0リットルのジャケット付き第三重合槽に1000mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、2700gのn−ブタノール、300gのメタノールを入れた。
また、プランジャーポンプにより第一重合槽に送液できるライン、攪拌タービン翼、及び槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた6.0リットルの第一原料タンクに500mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、1.30gの塩化第二銅2水和物、5.72gの35%塩酸、4.97gのジ−n−ブチルアミン、59.56gのN,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、2374.1gのn−ブタノール、834.0gの2,6−ジメチルフェノールを入れ、攪拌により液を混合させた。さらに、プランジャーポンプにより第二重合槽に送液できるライン、攪拌タービン翼及び槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた2.0リットルの第二原料タンクに100mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、1017.5gのn−ブタノール、126.2gの2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンを入れ、撹拌により液を混合させた。さらに、プランジャーポンプにより第三重合槽に送液できるライン、攪拌タービン翼及び槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた2.0リットルの第三原料タンクに100mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、753.7gのメタノールを入れた。尚、第一原料タンク、第二原料タンク及び第三原料タンクへの仕込み液は重合に供することで減量するため、その都度、上記液組成のものを追加添加した。
次いで激しく攪拌した第一重合槽へ、第一原料タンクより13.7g/min流量で重合溶液を供給するのと同時に、第一重合槽へ220mL/minの速度で酸素をスパージャーより導入を始めた。更に、第一重合槽より第二重合槽へのオーバーフローが開始されたのを確認して、第二原料タンクより第二重合槽へ4.8g/minの流量で重合溶液を供給するのと同時に、第二重合槽へ120mL/minの速度で酸素をスパージャーより導入を始めた。更に、第二重合槽より第三重合槽へのオーバーフローが開始されたのを確認後、第三原料タンクより第三重合槽へ1.6g/minの流量でメタノールを供給するのと同時に、160mL/minの速度で酸素をスパージャーより導入させた。重合温度は第一重合槽、第二重合槽及び第三重合槽ともに40℃を保つように、ジャケットに熱媒を通して調節した。その後4時間重合を継続することで、第一重合槽、第二重合槽及び第三重合槽における重合は安定状態となる。この時の第一重合槽の重合率を測定すると44%、第二重合槽の重合率は13%であり、第三重合槽の重合率は41%であり、合計98%のポリフェニレンエーテルが連続的に得られている。
また、第一重合槽と第二重合槽の重合形態は溶液重合であり、第三重合槽の重合形態は沈殿析出重合である。その後さらに8時間重合を継続し完了した。この間、第二重合槽の重合溶液は、槽底部に窒素ガス導入の為のスパージャー、攪拌タービン翼、反応器上部のベントガスラインに還流冷却器、重合槽側面に払い出しのためのオーバーフローラインを備えた4.0リットルのジャケット付き洗浄槽に連続的に供給されており、500mL/minの窒素が導入されている。洗浄槽温度は50℃を保つようにジャケットに熱媒を通して調節した。
原料の供給及び酸素含有ガスの通気をやめ、洗浄槽に溜め込まれた重合混合物にエチレンジアミン四酢酸3カリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の10%水溶液を添加し、30分間重合混合物を攪拌した後、洗浄槽温度を80℃まで高めポリフェニレンエーテルが白色となるまで攪拌を継続した。その後50℃まで洗浄槽温度を下げた後、濾過して濾残の湿潤ポリフェニレンエーテルを50%の水を含むメタノール洗浄溶媒に投入し、60℃で攪拌を行った。続いて再び濾過し、濾残に50%の水を含むメタノールをふりかけ洗浄し湿潤ポリフェニレンエーテルを得た。次いで140℃で真空乾燥し、乾燥ポリフェニレンエーテルを得た。
重合完了間際の第三重合槽の重合溶液を用いて、副生成物の生成量及びロスポリマー量の測定を行った。また、乾燥ポリフェニレンエーテルを用いてηsp/cの測定を行った。結果を表1に示した。
[実施例2]
第一重合槽に500mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、736gのn−ブタノール、92gのメタノール、92gのキシレンを入れ、第二重合槽に500mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、800gのn−ブタノール、100gのメタノール、100gのキシレンを入れ、第三重合槽に1000mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、2400gのn−ブタノール、300gのメタノール、300gのキシレンを入れた。次いで、第一原料タンクに500mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、1997.3gのn−ブタノール、376.8gのキシレンを入れた以外は、実施例1に準じて重合を実施した。
その後4時間重合を継続することで、第一重合槽、第二重合槽及び第三重合槽における重合は安定状態となる。この時の第一重合槽の重合率を測定すると45%、第二重合槽の重合率は13%であり、第三重合槽の重合率は40%であり、合計98%のポリフェニレンエーテルが連続的に得られている。また、第一重合槽と第二重合槽の重合形態は溶液重合であり、第三重合槽の重合形態は沈殿析出重合である。その後さらに8時間重合を継続し完了した。
重合完了間際の第三重合槽の重合溶液を用いて、副生成物の生成量及びロスポリマー量の測定を行った。また、乾燥ポリフェニレンエーテルを用いてηsp/cの測定を行った。結果を表1に示した。
[実施例3]
第一重合槽に500mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、736gのn−ブタノール、92gのメタノール、92gのトルエンを入れ、第二重合槽に500mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、800gのn−ブタノール、100gのメタノール、100gのトルエンを入れ、第三重合槽に1000mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、2400gのn−ブタノール、300gのメタノール、300gのトルエンを入れた。次いで、第一原料タンクに500mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、1997.3gのn−ブタノール、376.8gのトルエンを入れた以外は、実施例1に準じて重合を実施した。
その後4時間重合を継続することで、第一重合槽、第二重合槽及び第三重合槽における重合は安定状態となる。この時の第一重合槽の重合率を測定すると45%、第二重合槽の重合率は13%であり、第三重合槽の重合率は40%であり、合計98%のポリフェニレンエーテルが連続的に得られている。また、第一重合槽と第二重合槽の重合形態は溶液重合であり、第三重合槽の重合形態は沈殿析出重合である。その後さらに8時間重合を継続し完了した。
重合完了間際の第三重合槽の重合溶液を用いて、副生成物の生成量及びロスポリマー量の測定を行った。また、乾燥ポリフェニレンエーテルを用いてηsp/cの測定を行った。結果を表1に示した。
[実施例4]
第一重合槽に500mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、0.163gの塩化第二銅2水和物、0.716gの35%塩酸、7.446gのN,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、644gのn−ブタノール、92gのメタノール、92gのキシレン、92gのトルエンを入れ、第二重合槽に500mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、700gのn−ブタノール、100gのメタノール、100gのキシレン、100gのトルエンを入れ、第三重合槽に1000mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、2100gのn−ブタノール、300gのメタノール、300gのキシレン、300gのトルエンを入れた。次いで、第一原料タンクに500mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、1.30gの塩化第二銅2水和物、5.72gの35%塩酸、59.56gのN,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、1623.9gのn−ブタノール、377.3gのキシレン、377.3gのトルエン、834.0gの2,6−ジメチルフェノールを入れた以外は、実施例1に準じて重合を実施した。
その後4時間重合を継続することで、第一重合槽、第二重合槽及び第三重合槽における重合は安定状態となる。この時の第一重合槽の重合率を測定すると47%、第二重合槽の重合率は12%であり、第三重合槽の重合率は39%であり、合計98%のポリフェニレンエーテルが連続的に得られている。また、第一重合槽と第二重合槽の重合形態は溶液重合であり、第三重合槽の重合形態は沈殿析出重合である。その後さらに8時間重合を継続し完了した。
重合完了間際の第三重合槽の重合溶液を用いて、副生成物の生成量及びロスポリマー量の測定を行った。また、乾燥ポリフェニレンエーテルを用いてηsp/cの測定を行った。結果を表1に示した。
[実施例5]
第一重合槽に500mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、414gのn−ブタノール、460gのメタノール、46gのトルエンを入れ、第二重合槽に500mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、450gのn−ブタノール、500gのメタノール、50gのトルエンを入れ、第三重合槽に1000mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、1350gのn−ブタノール、1500gのメタノール、150gのトルエンを入れた。次いで、第一原料タンクに500mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、1698.0gのn−ブタノール、491.9gのメタノール、188.7gのトルエンを入れ、第二原料タンクに100mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、1017.5gのメタノールを入れた以外は、実施例4に準じて重合を実施した。
その後4時間重合を継続することで、第一重合槽、第二重合槽及び第三重合槽における重合は安定状態となる。この時の第一重合槽の重合率を測定すると40%、第二重合槽の重合率は12%であり、第三重合槽の重合率は45%であり、合計97%のポリフェニレンエーテルが連続的に得られている。また、第一重合槽と第二重合槽の重合形態は溶液重合であり、第三重合槽の重合形態は沈殿析出重合である。その後さらに8時間重合を継続し完了した。
重合完了間際の第三重合槽の重合溶液を用いて、副生成物の生成量及びロスポリマー量の測定を行った。また、乾燥ポリフェニレンエーテルを用いてηsp/cの測定を行った。結果を表1に示した。
[比較例1]
第一原料タンクに500mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、1.30gの塩化第二銅2水和物、5.72gの35%塩酸、4.97gのジ−n−ブチルアミン、59.56gのN,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン、3014.72gのn−ブタノール、376.8gのキシレン、833.8gの2,6−ジメチルフェノール、126.2gの2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンを入れ、撹拌により液を混合させた。第二原料タンクに100mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、753.7gのメタノールを入れた。次いで、激しく攪拌した第一重合槽へ、第一原料タンクより18.4g/min流量で重合溶液を供給するのと同時に、第一重合槽へ230mL/minの速度で酸素をスパージャーより導入を始めた。更に、第一重合槽より第二重合槽へのオーバーフローが開始されたのを確認して、第二原料タンクより第二重合槽へ1.6g/minの流量で重合溶液を供給するのと同時に、第二重合槽へ160mL/minの速度で酸素をスパージャーより導入を始めた。更に、第二重合槽より第三重合槽へのオーバーフローが開始されたのを確認後、160mL/minの速度で酸素をスパージャーより導入させた以外は、実施例2に準じて重合を実施した。
その後4時間重合を継続することで、第一重合槽、第二重合槽及び第三重合槽における重合は安定状態となる。この時の第一重合槽の重合率を測定すると45%、第二重合槽の重合率は23%であり、第三重合槽の重合率は30%であり、合計98%のポリフェニレンエーテルが連続的に得られている。また、第一重合槽の重合形態は溶液重合であり、第二重合槽と第三重合槽の重合形態は沈殿析出重合である。その後さらに8時間重合を継続し完了した。
重合完了間際の第三重合槽の重合溶液を用いて、副生成物の生成量及びロスポリマー量の測定を行った。また、乾燥ポリフェニレンエーテルを用いてηsp/cの測定を行った。結果を表1に示した。
[比較例2]
第一重合槽に500mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、736gのn−ブタノール、92gのメタノール、92gのトルエンを入れ、第二重合槽に500mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、800gのn−ブタノール、100gのメタノール、100gのトルエンを入れ、第三重合槽に1000mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、2400gのn−ブタノール、300gのメタノール、300gのトルエンを入れた。次いで、第一原料タンクに500mL/minの流量で窒素ガスを吹き込みながら、376.8gのトルエンを入れた以外は、比較例1に準じて重合を実施した。
その後4時間重合を継続することで、第一重合槽、第二重合槽及び第三重合槽における重合は安定状態となる。この時の第一重合槽の重合率を測定すると45%、第二重合槽の重合率は22%であり、第三重合槽の重合率は31%であり、合計98%のポリフェニレンエーテルが連続的に得られている。また、第一重合槽の重合形態は溶液重合であり、第二重合槽と第三重合槽の重合形態は沈殿析出重合である。その後さらに8時間重合を継続し完了した。
重合完了間際の第三重合槽の重合溶液を用いて、副生成物の生成量及びロスポリマー量の測定を行った。また、乾燥ポリフェニレンエーテルを用いてηsp/cの測定を行った。結果を表1に示した。
Figure 2021014556
本発明によれば、極低分子量ポリフェニレンエーテルの回収率を向上しつつ、経済的に優れる低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂の製造することができる。
本発明の低分子量ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法により得られる低分子量ポリフェニレンエーテルを含むポリフェニレンエーテル樹脂組成物は、自動車用部品、耐熱部品、電子機器用部品、工業用部品、被覆剤、絶縁性被膜等の材料として、産業上の利用可能性を有している。

Claims (4)

  1. 30℃において0.5g/dLの濃度のクロロホルム溶液で測定された還元粘度(ηsp/c)が0.03〜0.20dL/gであるポリフェニレンエーテル樹脂を製造する方法であって、
    フェノール性化合物を触媒及び酸素含有ガスの存在下で酸化重合する重合工程を有し、
    前記重合工程において、第1重合槽〜第3重合槽を含む少なくとも3槽の重合槽を用い、前記フェノール性化合物を前記第1重合槽及び前記第2重合槽で連続供給する
    ことを特徴とする、ポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
  2. 前記フェノール性化合物及び前記触媒を含まないポリフェニレンエーテルの貧溶媒を、前記第3重合槽で連続供給する、請求項1に記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
  3. 前記重合工程において、前記第1重合槽及び前記第2重合槽の重合形態が溶液重合であり、前記第3重合槽の重合形態が沈殿析出重合である、請求項2に記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
  4. 前記フェノール性化合物が、下記一般式(1)で表されるフェノール化合物と、下記一般式(2)で表される2価フェノール性化合物とを含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル樹脂の製造方法。
    Figure 2021014556
    (式(1)中、R1,R2,R3は各々独立の置換基を表し、R1はアルキル基,置換アルキル基,アラルキル基,置換アラルキル基,アリール基,置換アリール基,アルコキシ基又は置換アルコキシ基であり、R2,R3はR1について定義されたものと同一の基に加え更に水素又はハロゲンであってもよい。)
    Figure 2021014556
    (式(2)中、Q1、Q2は各々同一又は異なる置換基を表し、水素、アルキル基,置換アルキル基,アラルキル基,置換アラルキル基,アリール基,置換アリール基,アルコキシ基,置換アルコキシ基又はハロゲンを表し、Xは脂肪族炭化水素残基及びそれらの置換誘導体、酸素、イオウ又はスルホニル基を表し、Q2,Xの結合位置はフェノール水酸基に対してオルソ位又はパラ位を表す。)
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